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特開2022-64014石膏パック、及び石膏パックの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064014
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】石膏パック、及び石膏パックの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/02 20060101AFI20220418BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20220418BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61F7/02 D
A45D44/22 C
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/23
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172488
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】501043359
【氏名又は名称】平田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 耕一
【テーマコード(参考)】
4C083
4C099
【Fターム(参考)】
4C083AB361
4C083AB362
4C083CC07
4C083DD12
4C083DD21
4C083EE07
4C099AA01
4C099CA05
4C099EA09
4C099GA01
4C099JA03
4C099LA01
4C099NA10
4C099PA01
(57)【要約】
【課題】多くの石膏を保持することが可能な石膏パック等の提供。
【解決手段】本発明の石膏パック1は、不織布製のシート状の底シート部10と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ底シート部10の輪郭に沿うように底シート部10の上面に形成される縁枠部31を有する中間枠部30と、縁枠部31の内側を埋めるように充填され、かつ焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物40と、石膏組成物40を覆うように中間枠部30に積層されるシート状の蓋シート部20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布製のシート状の底シート部と、
平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記底シート部の輪郭に沿うように前記底シート部の上面に形成される縁枠部を有する中間枠部と、
前記縁枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、
前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層されるシート状の蓋シート部とを備える石膏パック。
【請求項2】
前記中間枠部は、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記上面のうち前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部の前記上面に形成される仕切り枠部を有し、
前記石膏組成物は、前記縁枠部の内側のうち、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部の内側を埋めるように充填される請求項1に記載の石膏パック。
【請求項3】
前記中間枠部は、前記底シート部に使用される不織布よりも厚手の不織布からなり、かつ、前記縁枠部及び前記仕切り枠部が一体的に形成されている請求項2に記載の石膏パック。
【請求項4】
前記混合石膏粉末は、前記焼石膏と前記二水石膏の合計100質量部に対する、前記焼石膏の配合割合が40~80質量部である請求項1~請求項3の何れか一項に記載の石膏パック。
【請求項5】
前記蓋シート部及び/又は前記底シート部は、前記中間枠部に積層される本体部と、前記本体部の周縁に延設され、使用時に、利用者の耳に引っ掛けることが可能な耳掛け部とを有する請求項1~請求項4の何れか一項に記載の石膏パック。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の石膏パックの使用方法であって、
前記石膏パックに水分を含浸させて、前記石膏パックの内部にある石膏組成物に水分を付与する水分付与工程と、
水分を含浸した前記石膏パックを、皮膚表面に載せた状態で、前記石膏組成物を発熱させる発熱工程とを備える石膏パックの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏パック、及び石膏パックの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の基材に石膏を含浸させて形成された石膏パックが知られている。この種の石膏パックは、基材に、石膏としての半水石膏(焼石膏:CaSO・1/2HO)を含ませることにより構成されている。半水石膏は、水と反応すると、外部に熱を放出しながら硬化して、二水石膏(CaSO・2HO)となる。石膏パックは、そのような半水石膏の水和反応(発熱反応)を利用することで、美容効果を得るために顔面や身体等に付与される温熱パックとして用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/04869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した石膏パックの基材としては、綿100%のガーゼ(脱脂綿布)が利用されている。しかし、ガーゼは、石膏を含んだ処理剤(スラリー)を含浸させ難く、最終的に、1枚の基材で保持できる石膏の量が少ない。そのため、温熱パックとして使用する場合に、1枚では実質的に機能せず、複数枚(例えば、8枚)を重ねて使用する必要があった。このような従来の石膏パックは、取り扱い性が悪く、問題となっていた。
【0005】
なお、一般的な石膏パックは、エステティックサロンでの施術が主流である。石膏パックを施術する際、先ず、石膏を含んだスラリーが練られ、その後、スラリーを肌上に均等かつ厚めに塗布される。スラリーは練られることで、上述した反応が促されて発熱するため、肌上にスラリーを分厚く塗り過ぎてしまうと、スラリーの塗布物が発熱し過ぎて、利用者が熱く感じてしまうことがあった。また、これとは反対に、利用者の肌上にスラリーが薄く形成されると、利用者が肌上のスラリー(塗布層)から熱を感じなくなるという問題があった。このように、スラリーを肌上に適切な量で塗布するためには、専門的技術を備えた施術者が行う必要があった。そのため、従来の一般的な石膏パックを個人で施術しようとしても、各工程(練り工程、塗布工程)が煩雑であり、しかも温度管理や安全性の確保が難しいという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、多くの石膏を適切な厚みで保持することが可能であり、温度上昇が抑制され、安全性が確保された石膏パック、及び前記石膏パックの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 不織布製のシート状の底シート部と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記底シート部の輪郭に沿うように前記底シート部の上面に形成される縁枠部を有する中間枠部と、前記縁枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層されるシート状の蓋シート部とを備える石膏パック。
【0008】
<2> 前記中間枠部は、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記上面のうち前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部の前記上面に形成される仕切り枠部を有し、前記石膏組成物は、前記縁枠部の内側のうち、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部の内側を埋めるように充填される前記<1>に記載の石膏パック。
【0009】
<3> 前記中間枠部は、前記底シート部に使用される不織布よりも厚手の不織布からなり、かつ、前記縁枠部及び前記仕切り枠部が一体的に形成されている前記<2>に記載の石膏パック。
【0010】
<4> 前記混合石膏粉末は、前記焼石膏と前記二水石膏の合計100質量部に対する、前記焼石膏の配合割合が40~80質量部である前記<1>~<3>の何れか1つに記載の石膏パック。
【0011】
<5> 前記蓋シート部及び/又は前記底シート部は、前記中間枠部に積層される本体部と、前記本体部の周縁に延設され、使用時に、利用者の耳に引っ掛けることが可能な耳掛け部とを有する前記<1>~<4>の何れか1つに記載の石膏パック。
【0012】
<6> 前記<1>~<5>の何れか1つに記載の石膏パックの使用方法であって、前記石膏パックに水分を含浸させて、前記石膏パックの内部にある石膏組成物に水分を付与する水分付与工程と、水分を含浸した前記石膏パックを、皮膚表面に載せた状態で、前記石膏組成物を発熱させる発熱工程とを備える石膏パックの使用方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多くの石膏を適切な厚みで保持することが可能であり、温度上昇が抑制され、安全性が確保された石膏パック、及び前記石膏パックの使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の石膏パックを模式的に表した平面図
図2図1のA-A断面図
図3】底シート部を模式的に表した平面図
図4】蓋シート部を模式的に表した平面図
図5】中間枠部を模式的に表した平面図
図6】蓋シート部に中間枠部を積層した状態を表す平面図
図7】小枠部の内側に石膏組成物が充填された状態を表す平面図
図8】石膏パックの使用方法を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態1に係る石膏パック1を、図1図8を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1の石膏パック1を模式的に表した平面図であり、図2は、図1のA-A断面図である。図1には、石膏パック1を裏面1b側から見た状態が示されている。図2の上側に、石膏パック1の裏面1b側が示され、図2の下側に石膏パック1の表面1a側が示されている。
【0016】
本実施形態の石膏パック1は、顔面用の温熱パックとして利用されるものであり、図1及び図2に示されるように、全体的には、平面視で略円形をなした柔軟な厚手のシート状をなしている。このような石膏パック1は、一対の略円形をなした薄手のシート状の底シート部10及び蓋シート部20と、それらの間に介在される枠状の中間枠部30と、底シート部10、蓋シート部20及び中間枠部30とで形成される中空体の内部に充填される粉末状の石膏組成物40とを備えている。
【0017】
このような石膏パック1には、図1に示されるように、利用者の目、鼻、口に対応する箇所にそれぞれ貫通孔2,3,4が形成されている。また、石膏パック1のうち利用者の顎に対応する箇所の外縁には、利用者の顔の表面形状に追従し易くする等の目的で、切欠部5が設けられている。石膏パック1を利用者の顔の表面形状(肌形状)に追従させることにより、使用時(パック時)の熱が肌に均等に伝わり易くなる。
【0018】
図3は、底シート部10の平面図である。図3には、底シート部10の外表面10b側が示されている。なお、底シート部10の外表面10bは、石膏パック1の裏面1bを構成する。底シート部10は、柔軟な可撓性を有する不織布からなり、その厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、1mm以上2mm以下の範囲に設定されてもよい。底シート部10は、石膏パック1の使用時に、外表面10bが利用者の顔(皮膚)側を向く形で、使用される。底シート部10のうち、石膏パック1の貫通孔2,3,4に対応する位置には、底シート部側貫通孔12,13,14が形成されている。また、石膏パック1の切欠部5に対応する位置には、底シート部側切欠部15が設けられている。なお、本実施形態の底シート部10は、表裏面に違いはなく、何れか一方の面を、「外表面10b」とし、他方を「内表面10a」とすればよい。
【0019】
図4は、蓋シート部20の平面図である。図4には、蓋シート部20の内表面20b側が示されている。蓋シート部20は、底シート部10と同様、柔軟な可撓性を有する不織布からなり、その厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、1mm以上2mm以下の範囲に設定されてもよい。蓋シート部20は、石膏パック1の使用時に、外表面20a(図2図8)が外側を向く形で、使用される。なお、蓋シート部20の外表面20aは、石膏パック1の表面1aを構成する。蓋シート部20のうち、石膏パック1の貫通孔2,3,4に対応する位置には、蓋シート部側貫通孔22,23,24が形成されている。また、石膏パック1の切欠部5に対応する位置には、蓋シート部側切欠部25が設けられている。蓋シート部20は、上述した底シート部10に対応する部分である本体部21と、本体部21の周縁に延設され、使用時に、利用者の耳に引っ掛けることが可能な一対の紐状の耳掛け部26とを備えている。耳掛け部26は、それらの長手方向の両端部が本体部21に一体に連結されることにより、略半円形のリング状とされている。なお、本実施形態の蓋シート部20は、表裏面に違いはなく、何れか一方の面を、「外表面20a」とし、他方を「内表面20b」とすればよい。
【0020】
本実施形態の場合、底シート部10の厚みと蓋シート部20の厚みは同じに設定されている。なお、他の実施形態においては、必要に応じて、底シート部10の厚みと蓋シート部20の厚みとを、互いに異なるように設定してもよい。
【0021】
図5は、中間枠部30の平面図である。図5には、裏側から見た状態の中間枠部30が示されている。中間枠部30は、蓋シート部20と底シート部10との間に、複数の石膏組成物40の充填スペースを形成するための略格子状の枠体からなる。
【0022】
中間枠部30は、平面視において上述した底シート部10の輪郭に沿うように、底シート部10の内表面(上面)10aに形成される縁枠部31と、底シート部10の内表面(上面)10aのうち、縁枠部31で囲まれた部分を複数の部分に区画するように底シート部10の内表面(上面)10aに形成される仕切り枠部32とを備えている。
【0023】
縁枠部31及び仕切り枠部32は、平面視において所定の線幅を含む立壁状をなしている。縁枠部31及び仕切り枠部32の各線幅は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、4mm以上7mm以下に設定されてもよい。
【0024】
また、縁枠部31及び仕切り枠部32の厚み(つまり、中間枠部30の厚み)は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、5mm以上7mm以下に設定されてもよい。
【0025】
縁枠部31は、底シート部10の輪郭のうち、底シート部10の外縁をなす部分に形成される略環状の外縁枠部31aと、底シート部10の内縁をなす部分にそれぞれ形成される内縁枠部31b1,31b2,31b3とを備えている。内縁枠部31b1,31b2,31b3は、底シート部10の内表面(上面)10a上において、外縁枠部31aの内側に収まるように配されている。
【0026】
内縁枠部31b1は、底シート部側貫通孔12の輪郭(底シート部10の内縁の一例)に沿った枠状(環状)をなしている。内縁枠部31b2は、底シート部側貫通孔13の輪郭(底シート部10の内縁の一例)に沿った枠状(環状)をなしている。内縁枠部31b3は、底シート部側貫通孔14の輪郭(底シート部10の内縁の一例)に沿った枠状(環状)をなしている。
【0027】
仕切り枠部32は、平面視において、外縁枠部31aと、何れかの内縁枠部31b1,31b2,31b3とを繋ぐように延びた複数のものからなる。具体的な仕切り枠部32としては、外縁枠部31aと、図5の左側に示される内縁枠部31b1との間を繋ぐ2つの仕切り枠部32a,32b、外縁枠部31aと、図5の右側に示される内縁枠部31b1との間を繋ぐ2つの仕切り枠部32c,32dが挙げられる。
【0028】
また、仕切り枠部32としては、2つの内縁枠部31b1の間を繋ぐ仕切り枠部32eが挙げられる。
【0029】
また、仕切り枠部32としては、図5の左側に示される内縁枠部31b1と、内縁枠部31b2との間を繋ぐ仕切り枠部32fと、図5の右側に示される内縁枠部31b1と、内縁枠部31b2との間を繋ぐ仕切り枠部32gとが挙げられる。
【0030】
また、仕切り枠部32としては、外縁枠部31aと、内縁枠部31b2との間を繋ぐ2つの仕切り枠部32h,32iが挙げられる。
【0031】
また、仕切り枠部32としては、内縁枠部31b2と、内縁枠部31b3とを繋ぐ仕切り枠部32jが挙げられる。
【0032】
また、仕切り枠部32としては、外縁枠部31aと、内縁枠部31b3とを繋ぐ3つの仕切り枠部32k,32l,32mが挙げられる。
【0033】
なお、中間枠部30のうち、石膏パック1の切欠部5に対応する位置には、切欠部5の縁部に沿う枠部側切欠部30aが設けられている。この枠部側切欠部30aを形成する外縁枠部31aの部分31a1と、内縁枠部31b3との間を繋ぐように、仕切り枠部32mが設けられている。
【0034】
上記のような縁枠部31と仕切り枠部32とで囲まれた個々の部分を、小枠部36と称する。本実施形態の場合、縁枠部31と仕切り枠部32とで囲まれた小枠部36が10個形成される。
【0035】
小枠部36aは、外縁枠部31aと、図5の左側の内縁枠部31b1と、仕切り枠部32aと,仕切り枠部32bとで形成される。
【0036】
小枠部36bは、外縁枠部31aと、図5の右側の内縁枠部31b1と、仕切り枠部32cと、仕切り枠部32dとで形成される。
【0037】
小枠部36cは、外縁枠部31aと、2つの内縁枠部31b1と、仕切り枠部32bと、仕切り枠部32cと、仕切り枠部32eとで形成される。
【0038】
小枠部36dは、外縁枠部31aと、図5の左側の内縁枠部31b1と、内縁枠部31b2と、仕切り枠部32aと、仕切り枠部32fと、仕切り枠部32hとで形成される。
【0039】
小枠部36eは、外縁枠部31aと、図5の右側の内縁枠部31b1と、内縁枠部31b2と、仕切り枠部32dと、仕切り枠部32gと、仕切り枠部32iとで形成される。
【0040】
小枠部36fは、2つの内縁枠部31b1と、内縁枠部31b2と、仕切り枠部32eと、仕切り枠部32fと、仕切り枠部32gとで形成される。
【0041】
小枠部36gは、外縁枠部31aと、内縁枠部31b2と、内縁枠部31b3と、仕切り枠部32hと、仕切り枠部32kと、仕切り枠部32jとで形成される。
【0042】
小枠部36hは、外縁枠部31aと、内縁枠部31b2と、内縁枠部31b3と、仕切り枠部32jと、仕切り枠部32lと、仕切り枠部32jとで形成される。
【0043】
小枠部36iは、外縁枠部31aと、内縁枠部31b3と、仕切り枠部32kと、仕切り枠部32mとで形成される。
【0044】
小枠部36jは、外縁枠部31aと、内縁枠部31b3と、仕切り枠部32lと、仕切り枠部32mとで形成される。
【0045】
以上のように、小枠部36a~36jは、何れも、縁枠部31と仕切り枠部32とで形成されている(本明細書において、小枠部36a~36jをまとめて、「小枠部36」と表す場合がある)。
【0046】
特に、本実施形態の場合、小枠部36a~36jは、何れも、縁枠部31として少なくとも2つの部分を含んでいる(例えば、小枠部36aは、縁枠部31として、外縁枠部31aと内縁枠部31b1とを含んでいる)。縁枠部31は、石膏パック1(底シート部10等)の輪郭に沿って形成される部分であり、そのような縁枠部31同士が、仕切り枠部32によって一体的に繋げられて、それぞれ小枠部36が形成されると、使用前の状態において石膏パック1の形状が保持されつつ、使用時に、小枠部36内に充填された石膏組成物40の偏り(石膏組成物40の層の厚みムラ)を抑制しながら石膏パック1の追従性(顔の表面に対する追従性)を確保することができる。このように、石膏組成物40の偏りを抑制しつつ、顔の表面に対する追従性を確保することで、石膏パック1の使用時に、熱が肌に均等に伝わり易くなる。
【0047】
中間枠部30は、底シート部10等と同様、柔軟な可撓性を有する不織布から構成されている。ただし、中間枠部30は、底シート部10及び蓋シート部20に使用される不織布よりも、厚手の不織布から形成されている。中間枠部30は、所定の厚みを有するシート状の不織布に対して、適宜、くり貫き加工が施されることで得られる。
【0048】
底シート部10、蓋シート部20、及び中間枠部30を構成する不織布の素材としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、木綿等の天然繊維、合成繊維、合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、天然由来の天然繊維を用いることが、肌にとって好適である。なお、中間枠部30を構成する不織布の素材としては、特に、パルプが好ましい。パルプ製の中間枠部30は、乾燥状態では剛性を示すため、石膏パック1全体が変形し難く(へたり難く)、取り扱い性に優れる。これに対して、パルプ製の中間枠部30は、水分(水等)を十分に含むと柔軟性を示し、石膏パック1全体が、利用者の顔の表面形状に追従し易くなる。また、底シート部10、蓋シート部20、及び中間枠部30を構成する各不織布は、同種類のものでもよく、異なる種類のものでもよい。
【0049】
上述したように、底シート部10及び蓋シート部20の間に中間枠部30を挟んだ状態で閉じられた中空体の内部(平面視において、各小枠部36の内側)には、粉末状の石膏組成物40が充填される。
【0050】
本実施形態で用いられる石膏組成物40は、焼石膏(CaSO・1/2HO)及び二水石膏(CaSO・2HO)の混合石膏粉末を含んでなる。石膏組成物40は、石膏成分としての混合石膏粉末を、石膏組成物40の全質量(100質量%)のうち、80質量%以上の割合で含有することが好ましい。
【0051】
また、混合石膏粉末は、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対する、焼石膏の配合割合が40~80質量部であることが好ましい。
【0052】
1枚の石膏パック1に含まれる石膏組成物40の量は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、100~150g/mの割合で含有することが好ましい。
【0053】
混合石膏粉末は、水と接触すると、粉末中の焼石膏が水と反応して発熱する。そのため、石膏パック1は、温熱パックとして利用することができる。温熱パックは、例えば、利用者の顔面に、直接又は他のシート等を介して載せられて、利用者の肌質の改善や、リラックス効果、痩身効果等を目的として使用される。
【0054】
石膏パック1の石膏組成物40には、混合石膏粉末が水と接触した際に、焼石膏が発熱する温度を調整する温度調整剤が含まれていてもよい。温度調整剤としては、硫酸カリウム(KSO)、粉砕二水石膏、カリミョウバン(AlK(SO・12HO)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、温度調整剤としては、硫酸カリウムが特に好ましい。
【0055】
さらに石膏組成物40には、温度調整剤以外にも、生薬成分や増粘剤が含まれていてもよい。生薬成分としては、例えば、ハトムギエキスが、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対して、0.1~1.0質量部含まれていてもよい。生薬成分を配合することにより、温熱効果に加え、さらに、美肌や代謝アップ、疲労回復等の効果が期待できる。また増粘剤としては、例えば、メチルセルロースが、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対して、0.1~1.0質量部含まれていてもよい。増粘剤を配合することにより、石膏パック1の小枠部36に充填された石膏組成物40のずれを抑制することができる。
【0056】
このように、発熱成分として上述した石膏組成物40を使用することにより、40℃(肌表面に好適な温度)を超えて温度が上がり過ぎることが抑制される。石膏組成物40は、例えば、消石灰と比べて、発熱量が抑えられ、温度調整がし易く、適正に使用すれば、皮膚火傷を負う危険性が無い。また、石膏組成物40は、消石灰のような強アルカリ性ではないため、化学的な皮膚損傷も抑制される。また、石膏組成物40は、水分との反応を利用して発熱するため、例えば、空気との反応で発熱する酸化鉄を使用した場合と比べて、肌乾燥を抑制すること(保湿すること)ができる。
【0057】
ここで、石膏パック1の製造方法の一例を説明する。図6は、蓋シート部20に中間枠部30を積層した状態を表す平面図である。上述した石膏パック1を製造する際には、先ず、蓋シート部20の本体部21に、中間枠部30を、澱粉糊等の接着剤を介して重ね合わせて接着する(図6参照)。この状態において、中間枠部30の縁枠部31の外周縁部は、蓋シート部20の外周縁部に一致しているとともに、縁枠部31の内縁枠部31b1,31b2,31b3の各内周縁部に、蓋シート部20の蓋シート部側貫通孔22,23,24の孔縁部に一致している。さらに、枠部側切欠部30aの縁部は、蓋シート部20の蓋シート部側切欠部25の縁部と一致している。このようにして、蓋シート部20の本体部21の内表面20b上に、縁枠部31と仕切り枠部32と区画された複数(10個)の小枠部36(36a~36j)が形成される。
【0058】
次に、蓋シート部20上に形成された各小枠部36の内側(セル)に、それぞれ石膏組成物40を充填する(図7参照)。図7は、小枠部36の内側に石膏組成物40が充填された状態を表す平面図である。石膏組成物40は、小枠部36の高さと同程度の高さとなる量が、小枠部36内に充填される。
【0059】
そして最後に、中間枠部30に対して底シート部10を、蓋シート部20の反対側から小枠部36内の石膏組成物40を覆うように接着剤を介して重ね合わせて接着する。これにより、中間枠部30の内側(各小枠部36の各内側)が蓋シート部20及び底シート部10により閉じられるとともに、内側の空間に石膏組成物40が充填された状態の石膏パック1を製造することができる。またこの状態において、利用者の目、鼻、口に対応する箇所には、それぞれ貫通孔2,3,4が形成されている(図1参照)。
【0060】
次に、石膏パック1の使用方法を、図8を参照しつつ説明する。本実施形態の石膏パック1の使用方法は、後述するように、水分付与工程と、発熱工程とを備えている。図8は、石膏パック1の使用方法を示す説明図である。水分付与工程は、石膏パック1に水分を含浸させて、石膏パックの内部にある石膏組成物40に水分を付与する工程である。石膏パック1を使用する際には、先ず、化粧水や美容液、水道水等の水分を石膏パック1に含浸させる。水分は、石膏パック1に霧吹き等を利用して直接、付与してもよいし、水分を満たした所定の容器内に、石膏パック1を所定時間、浸漬させてもよいし、水分を保持させた不織布等のシートを所定時間、重ね合わせることで石膏パック1に水分を付与してもよい。石膏パック1を構成する底シート部10、蓋シート部20、中間枠部30は、不織布からなるため、外側から付与された水分は、蓋シート部20等に含浸され、更に、小枠部36の内側にある石膏組成物40へ付与される。
【0061】
そして、水分を含浸させた石膏パック1を、その貫通孔2,3,4が使用者の目、鼻、口に対応するように位置決めしつつ使用者の皮膚の上に載せ、耳掛け部26を使用者の耳に引っ掛ける。この時、底シート部10が顔面側に、蓋シート部20が外側になる向きで、石膏パック1を顔面に載せる。そして、貫通孔2,3,4の各縁部等を利用して、石膏パック1を顔面に沿わせ、ぴったりと密着させる。また、切欠部5を閉じる形で、石膏パック1を使用者の顎に沿わせて密着させる。石膏パック1は、上述したように、水分と接触すると、石膏組成物40中の焼石膏が水分と反応(水和反応)し、所定時間、発熱する(発熱工程)。発熱工程は、水分を含浸した石膏パック1を、皮膚表面に載せた状態で、上記水和反応により石膏組成物40を発熱させる工程である。
【0062】
所定時間が経過し、発熱が終了したら、使用後の石膏パック1は、耳掛け部26を耳から取り外すことにより、利用者の顔面から容易に取り除くことができる。
【0063】
以上のように、本実施形態の石膏パック1は、小枠部36と、底シート部10と、蓋シート部20とで囲まれた空間部分に、石膏組成物40を充填できるため、従来の石膏パックと比べて、作製時に石膏組成物40を充填し易くなると共に、より多くの石膏組成物40を、適切な厚みとなるように確実に保持することができる。そのため、本実施形態の石膏パック1は、従来のもの比べて、より高い温度の発熱を得ることが可能である。また、場合によっては、従来よりも長い発熱時間を得ることも可能である。また、本実施形態の石膏パック1は、取り扱いや使用方法が容易な構成を備えている。また、本実施形態の石膏パック1は、石膏組成物40を適切な厚みで保持することが可能であるため、過度な温度上昇が抑制され、安全性が確保される。
【0064】
また、本実施形態の石膏パック1は、複数の小枠部36を備えることで、石膏組成物40の偏りが抑制される。小枠部36を備えていない石膏パックでは、1つの空間部分に充填された石膏組成物が縁枠部付近に偏ると、縁枠部における接着部分に大きな圧力がかかり、接着部分が剥がれる虞がある。これに対して、本実施形態のように小枠部36を設けることにより、石膏組成物40が小枠部36毎に小分けされるため、接着部分が剥がれてしまうような石膏組成物40の大きな偏りが抑制される。
【0065】
また、中間枠部30は、底シート部10に使用される不織布よりも厚手の不織布からなり、かつ、縁枠部31及び仕切り枠部32が一体的に形成されている。このような構成によれば、底シート部10及び蓋シート部20を薄く形成して、折り曲げ自在な柔軟性を付与し、取り扱いを容易にすることができる。一方、中間枠部30を比較的に厚く形成することにより、石膏組成物40を十分な量保持させることが可能となる。また、縁枠部31及び仕切り枠部32を一体的に形成することにより、部品点数を少なくすることができる。
【0066】
また、混合石膏粉末は、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対する焼石膏の配合割合が、40~80質量部であることが好ましい。焼石膏の配合割合がこのような範囲であると、焼石膏と二水石膏を併用することで、焼石膏の配合割合を100質量部とする場合と比較して、石膏パック1の使用時に発熱の立ち上がり速度を早めることが可能であり、所望の発熱温度に容易に到達させ易い。また、石膏パック1の柔軟性(追従性)も確保され易く、ひいては、肌に熱が均等に伝わり易く好ましい。
【0067】
また、蓋シート部20は、中間枠部30に積層される本体部21と、本体部21の周縁に延設され、使用時に、利用者の耳に引っ掛けることが可能な耳掛け部26とを有する。このような構成によれば、耳掛け部26を備えた蓋シート部20により、その下側にある底シート部10及び中間枠部30の積層物が、利用者の顔に押さえつけられる形となる。そのため、このような石膏パック1は、顔面から位置ずれし難くなる。
【0068】
さらに、本実施形態の石膏パック1は、石膏パック1の外側から水分を付与するだけで発熱させることが可能であり、使用時に、石膏組成物40と水分とを混ぜ合わせる(練り合わせる)必要がない。このような本実施形態の石膏パック1は、取り扱いや使用方法が容易な構成を備えている。
【0069】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
(1)上記実施形態では、顔面用の石膏パック1を例示したが、顔面以外の部位にも本発明の石膏パックを利用することができる。その場合、石膏パックの形状は、適宜、調整されてもよい。
【0071】
(2)上記実施形態において、石膏パック1を製造する際に、蓋シート部20の本体部21に中間枠部30を、接着剤を介して重ね合わせて接着し、石膏組成物40を充填した後、底シート部10で塞ぐ方法を例示したが、底シート部10に中間枠部30を重ね合わせ、石膏組成物40を充填した後、蓋シート部20で塞いで製造してもよい。
【0072】
(3)中間枠部30は、底シート部10や蓋シート部20に使用される不織布と同等程度の厚みを有する不織布により構成することもできる。ただし、上述したように、中間枠部30の厚みを、底シート部10や蓋シート部20よりも大きくして、石膏組成物40を充填可能な空間を大きく確保することが好ましい。
【0073】
(4)中間枠部30の構成は上記実施形態に限るものでなく、例えば、仕切り枠部が縁枠部と別体で構成されてもよいし、場合によっては(例えば、石膏パック全体の大きさが小さい場合)、仕切り枠部が無く、縁枠部のみからなる中間枠部を用いてもよい。この場合、石膏組成物は、縁枠部の内側に充填される形となる。ただし、上記実施形態1のように、仕切り枠部と縁枠部とが一体的に形成されることが好ましい。このような構成により、石膏組成物40の偏りが抑制され、ひいては、石膏組成物40が肌に追従し易くなって、肌に熱が均等に伝わり易くなる。また、特に、小枠部が縁枠部31と仕切り枠部32とで一体的に構成されると、使用前の状態における石膏パック1の剛性(形状保持性)が確保され、かつ使用時における石膏パック1の追従性が確保され易く、好ましい。
【0074】
(5)蓋シート部20において、耳掛け部26を有さない構成も本発明の技術的範囲に含まれる。その場合、ゴム等の他の部材からなる耳掛け部を、石膏シートの蓋シート部や底シート部等に取り付けてもよい。また、他の実施形態においては、蓋シート部20だけでなく、底シート部10側にも、耳掛け部26と同様な、耳掛け部を設けてもよい。また、他の実施形態においては、底シート部10のみに、耳掛け部を設けてもよい。
【0075】
(6)上記実施形態では、1種類の石膏組成物40を各小枠部36に充填する構成を示したが、異なる配合の石膏組成物40を小枠部36の適切な位置に充填する構成としてもよい。例えば、目元周りの小枠部36には、保湿効果が高い成分を多く含む石膏組成物40を充填する構成とすることができる。
【0076】
(7)上記実施形態の石膏パックは、平面視した際に、左右対称の構成を備えているが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、左右非対称の構成(例えば、左右非対称の中間枠部等)を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1:石膏パック、2,3,4:貫通孔、5:切欠部、10:底シート部、20:蓋シート部、21:本体部、26:耳掛け部、30:中間枠部、31:縁枠部、32:仕切り枠部、36:小枠部、40:石膏組成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8