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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064019
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】キャップ及び塗布容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20220418BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20220418BHJP
   B65D 51/32 20060101ALI20220418BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A45D40/00 U
A45D34/00 510A
B65D51/32
B65D83/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172495
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】久我 渉
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014AC03
3E014PE02
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB09
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FA09
3E084FC01
3E084HA04
3E084LG06
(57)【要約】
【課題】複数種類の塗布容器を装着することができると共に、複数種類の塗布容器のそれぞれにおいて気密を確保することができるキャップ、及び塗布容器を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るキャップは、有底筒状のキャップ10であって、キャップ10の内面は、キャップ10に装着される容器本体1の外面2rが接触する第1接触部12gと、キャップ10に装着されて容器本体1とは異なる容器本体の外面が接触する第2接触部12hと、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のキャップであって、
前記キャップの内面は、前記キャップに装着される第1容器の外面が接触する第1接触部と、前記キャップに装着されて前記第1容器とは異なる第2容器の外面が接触する第2接触部と、を有する、
キャップ。
【請求項2】
前記キャップは、
有底筒状の外キャップと、
前記外キャップの内部に配置されており、前記外キャップの底面の反対側を向く開口を有する筒状の内キャップと、
を含んでおり、
前記内面は前記内キャップに設けられている、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記第1接触部及び前記第2接触部のそれぞれは、前記キャップの周方向に延在すると共に前記内面において突出する環状凸部である、
請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記キャップの軸線方向に直交する平面で切断した前記第1接触部の断面形状、及び、前記軸線方向に直交する平面で切断した前記第2接触部の断面形状が円形状とされている、
請求項1~3のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のキャップと、
前記キャップが装着される容器本体と、を備える、
塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗布容器に装着されるキャップ、及び塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャップ及び塗布容器については種々のものが知られている。特開2011-120843号公報には、キャップ付き化粧用具が記載されている。キャップ付き化粧用具は、キャップと化粧具とからなる。キャップ付き化粧用具では、キャップと化粧具とが着脱自在に嵌着される。キャップの一方の端には化粧具が挿入される開口が形成されており、キャップの内部には軟質材からなる内栓が装着されている。
【0003】
内栓は、有底筒状を呈する。内栓には環状凸部が形成されており、この環状凸部がキャップの内面に係合することによって内栓がキャップの内部に係合している。内栓は、化粧具が挿入される開口を有する。内栓の内径は、内栓の底面から開口に向かうに従って大きくなっている。内栓の内面には、挿入された化粧具の外面が接触する凸部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-120843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したキャップ付き化粧用具では、内栓の開口に挿入された化粧具の外面が内栓の凸部に接触した状態でキャップに化粧具が係合する。これにより、化粧具の気密が確保される。しかしながら、このキャップは、前述した化粧具以外の塗布容器に対応していないため、当該化粧具以外の塗布容器を装着できないという現状がある。具体的には、このキャップに当該化粧具以外の塗布容器を装着させようとすると、塗布容器の外面に前述した凸部が接触しない場合があるので、塗布容器の気密を確保できなくなることがある。
【0006】
また、塗布容器では、キャップと、当該キャップが装着される容器本体とがセットで製造及び流通するのが現状である。この場合、容器本体を製造すると共にキャップを製造しなければならず、塗布容器のバリエーションが増えるにつれて容器本体とキャップとを多く製造しなければならないため、製造等のコストが増大するという問題が生じうる。更に、容器本体のみ交換すればよいときであっても、容器本体及びキャップの双方を廃棄して、容器本体及びキャップの双方を購入しなければならない。このため、廃棄される塗布容器の量が多くなって環境に対する悪影響が生じたり、購入のコストが高くなったりという問題が生じる可能性がある。
【0007】
本開示は、複数種類の塗布容器を装着することができると共に、複数種類の塗布容器のそれぞれにおいて気密を確保することができるキャップ、及び塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るキャップは、有底筒状のキャップであって、キャップの内面は、キャップに装着される第1容器の外面が接触する第1接触部と、キャップに装着されて第1容器とは異なる第2容器の外面が接触する第2接触部と、を有する。
【0009】
このキャップの内面は、装着される第1容器の外面が接触する第1接触部と、装着される第2容器の外面が接触する第2接触部と、を有する。従って、第1容器及び第2容器の双方を装着することができる。キャップの内面には、第1容器の外面が接触する第1接触部と、第2容器の外面が接触する第2接触部とが設けられているので、第1容器及び第2容器のどちらが装着された場合であっても気密を確保することができる。また、キャップは、第1接触部及び第2接触部を備え、第1接触部及び第2接触部のいずれかに外面が接触すれば、第1容器及び第2容器の気密を確保することができる。よって、塗布容器のバリエーションが増えても種々の塗布容器にキャップを装着させて気密を確保することが可能となる。更に、容器本体を交換したいときに、キャップを廃棄する必要がなく、新たに購入した塗布容器にこのキャップを装着できるので、キャップの製造及び購入のコストを低減させることができる。
【0010】
キャップは、有底筒状の外キャップと、外キャップの内部に配置されており、外キャップの底面の反対側を向く開口を有する筒状の内キャップと、を含んでいてもよく、前述した内面は内キャップに設けられていてもよい。この場合、筒状の内キャップが外キャップの内部に配置されており、内キャップは外キャップの底面の反対側を向く開口を有し、内キャップの内面に、第1容器の外面が接触する第1接触部と、第2容器の外面が接触する第2接触部と、が設けられる。このように、内キャップが第1接触部及び第2接触部を有することにより、第1容器及び第2容器の双方を装着することができると共に、外キャップとしては通常の有底筒状のものを用いることができる。
【0011】
第1接触部及び第2接触部のそれぞれは、キャップの周方向に延在すると共に内面において突出する環状凸部であってもよい。この場合、第1接触部及び第2接触部のそれぞれが内面において突出する環状凸部とされており、各環状凸部はキャップの周方向に延在している。従って、第1容器の外面、及び第2容器の外面、のそれぞれに周方向に延びる環状凸部が接触するので、第1容器及び第2容器のそれぞれの気密確保をより効果的に行うことができる。
【0012】
キャップの軸線方向に直交する平面で切断した第1接触部の断面形状、及び、軸線方向に直交する平面で切断した第2接触部の断面形状が円形状とされていてもよい。この場合、軸線方向に直交する平面で切断した断面の形状が円形状とされた第1容器及び第2容器のそれぞれに第1接触部及び第2接触部のそれぞれを接触させることができ、断面円形状の第1容器及び第2容器のそれぞれの気密を確保することができる。
【0013】
本開示に係る塗布容器は、前述したキャップと、キャップが装着される容器本体と、を備えてもよい。この場合、この塗布容器のキャップでは、内面に、第1容器の外面が接触する第1接触部と、第2容器の外面が接触する第2接触部と、が設けられるので、前述したキャップと同様の効果が得られる。すなわち、第1容器及び第2容器の双方を装着することができ、第1容器及び第2容器のどちらが装着された場合であっても気密を確保することができると共に、キャップの製造及び購入のコストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、複数種類の塗布容器を装着することができると共に、複数種類の塗布容器のそれぞれにおいて気密を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るキャップ及び第1容器を備えた塗布容器を示す側面図である。
図2図1の塗布容器のA-A線断面図である。
図3】実施形態に係るキャップ及び第2容器を備えた塗布容器を示す断面図である。
図4】実施形態に係るキャップ及び第1容器を拡大させた断面図である。
図5】実施形態に係るキャップ及び第2容器を拡大させた断面図である。
図6】実施形態に係るキャップの内キャップを示す側面図である。
図7図6の内キャップのB-B線断面図である。
図8】(a)は、第1容器の第1ピストンを示す側面図である。(b)は、(a)のC-C線断面図である。
図9】(a)は、第2容器の第2ピストンを示す側面図である。(b)は、(a)のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るキャップ及び塗布容器の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
図1は、実施形態に係る塗布容器の側面図である。図2は、図1の塗布容器のA-A線断面図である。本実施形態に係る塗布容器は、例えば、塗布材を塗布する塗布容器である。「塗布材」は、塗布対象である被塗布部に塗布されるものを示している。「塗布材」は、例えば、化粧料、パフ、スポンジ、チップ、含浸体若しくはブラシ等の化粧料塗布具、又は、筆若しくは文房具等の描画材であってもよい。以下では、本実施形態に係る塗布容器が化粧料を保持する化粧料容器である例について説明する。
【0018】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る塗布容器100は、例えば、内部に収容された化粧料Mを使用者の操作によって繰り出す(押し出す)ペンシル型の化粧料繰出容器である。化粧料Mは、例えば、アイライナー、アイブロウ、リップライナー、リップスティック、リップグロス、美容スティック又はコンシーラーである。化粧料Mは、柔軟性材料を含む(例えば、半固形状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ムース状又はこれらを含む練り物等の)棒状物であってもよい。
【0019】
例えば、化粧料Mは高揮発性材料によって構成されている。更に、化粧料Mは、外径が1.5mm以下の細径棒状物、外径が1.5mm以上且つ3.0mm以下である一般棒状物、又は外径が4.0mm以上である太径棒状物であってもよい。図2では、アイライナー又はアイブロウである化粧料Mが充填されたパイプ材Pの外径が1.5mmである例を示している。
【0020】
塗布容器100は、キャップ10と、キャップ10が装着される容器本体1(第1容器)とを備える。例示的な第1容器である容器本体1は、化粧料Mが収容されるパイプ材Pを備える先筒2と、先筒2に連結されると共に先筒2に係合される中央筒3と、中央筒3の先筒2との反対側に連結されると共に中央筒3に相対回転可能に係合する操作筒である尾栓4と、を備える。塗布容器100では、キャップ10が外されて中央筒3及び尾栓4が一方向に相対回転されて先筒2から化粧料Mが押し出されることにより、使用に供される。
【0021】
以下では、中央筒3から見て先筒2が設けられる方向を前、中央筒3から見て尾栓4が設けられる方向を後、として説明することがある。また、化粧料Mの繰出方向を前方(前進する方向)とし、その反対方向を後方(後退する方向)とすることがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜のためのものであって、部品の配置等を限定するものではない。
【0022】
先筒2、中央筒3及び尾栓4は、例えば、容器本体1の軸線方向に沿って並んでいる。本開示において、「軸線」とは、筒状体の軸線であって、塗布容器の長手方向に沿って延びる塗布容器の中心線を示している。「軸線方向」とは、塗布容器の長手方向であって、軸線に沿った方向を示している。「径方向」は軸線に直交する方向を示しており、「周方向」は軸線を中心とする環に沿う方向を示している。
【0023】
先筒2の内部のパイプ材Pの内側には、ピストン20を介して化粧料Mを外部に押し出す押棒5が挿入される。押棒5は、先筒2の内部に位置する筒状の回転止め部材6、中央筒3の内部に位置する筒状のラチェット部材7、及び尾栓4の内部に位置する筒状の雌螺子部材8、の内部において軸線方向に延びるように配置されている。
【0024】
押棒5は、ラチェット部材7の内部に配置されたバネ部材9によって後方に付勢される。ラチェット部材7と雌螺子部材8とは、後述するラチェット機構Rを構成する。バネ部材9は、例えば、圧縮コイルバネである。ラチェット機構Rによって、中央筒3と尾栓4との相対回転は一方向(例えば時計回り)のみ許容され、当該一方向の反対方向(例えば反時計回り)への相対回転は規制される。
【0025】
先筒2は、パイプ材Pに収容された化粧料Mを出現させるための開口2bを有する。先筒2の内部には、化粧料M、パイプ材P及びピストン20を収容する第1収容領域2cと、押棒5及び回転止め部材6を収容する第2収容領域2dとが設けられている。第1収容領域2cには、化粧料M及びピストン20を収容するパイプ材Pが配置されている。
【0026】
第2収容領域2dは、第1収容領域2cの後側(開口2bとの反対側)に設けられている。例えば、第2収容領域2dの内径は、第1収容領域2cの内径よりも大きい。第1収容領域2cと第2収容領域2dの間には、第1収容領域2cから第2収容領域2dに向かうに従って拡径する拡径部2fが形成されている。第2収容領域2dにおいて、パイプ材Pが回転止め部材6の前側に配置されている。
【0027】
先筒2の外周には、前方(開口2b)に向かうに従って先細りとなるように傾斜する傾斜面2gが形成されている。傾斜面2gの後側には、キャップ10を装着するための突起2h、テーパ面2j及び鍔部2kが形成されている。突起2h、テーパ面2j及び鍔部2kは、この順で前方から後方に向かって並んでいる。
【0028】
鍔部2kの前面にはキャップ10が当接し、鍔部2kの後面には中央筒3が当接する。先筒2は、鍔部2kの後方に雄螺子2p及び環状凹部2qを有する。雄螺子2pは環状凹部2qよりも前側に設けられる。雄螺子2pは中央筒3を螺合する部位であって、中央筒3への雄螺子2pの螺合によって中央筒3に対する先筒2の装着が行われる。環状凹部2qはOリングG1が入り込む部位であって、先筒2はOリングG1が環状凹部2qに入り込んだ状態で中央筒3に装着される。
【0029】
パイプ材Pは、例えば、段付き円筒状を呈する。パイプ材Pの材料は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)である。化粧料Mはパイプ材Pの内側に予め充填されており、充填された化粧料Mが後方から押し出されることによって、先筒2から突出した化粧料Mが塗布される。パイプ材Pの内面は、例えば、平滑面とされている。この場合、押棒5によるパイプ材Pからの化粧料Mの押し出しをスムーズに行うことができる。
【0030】
パイプ材Pは、例えば、化粧料M及びピストン20を収容する第1収容領域P1と、押棒5及び回転止め部材6の一部が入り込む第2収容領域P2とを有する。第2収容領域P2の径(外径及び内径)は、第1収容領域P1の径よりも大きい。第1収容領域P1と第2収容領域P2の間には、第1収容領域P1から第2収容領域P2に向かって拡径する拡径部P3が形成されている。第2収容領域P2において、回転止め部材6の内側に押棒5が通されている。
【0031】
押棒5は、パイプ材Pの内部に収容された化粧料Mを前方に押し出す棒状部5bを有し、棒状部5bの外面には軸線方向に延びる突条5cが形成されている。押棒5は、例えば、複数の突条5cを備え、複数の突条5cは押棒5の周方向に沿って並ぶように配置されている。更に、押棒5は、棒状部5bの後側に位置する拡径部5dと、拡径部5dの外周に形成された雄螺子5fとを有する。
【0032】
棒状部5bは、回転止め部材6に周方向に係合する部位であり、棒状部5bが回転止め部材6に周方向に係合することによって、押棒5は回転止め部材6に対して軸線方向移動可能且つ周方向移動不能とされる。拡径部5dは棒状部5bの後側において拡径された部位であって、例えば、押棒5の後端を構成する。拡径部5dの前面はバネ部材9の一端(後端)を支持する部位に相当する。雄螺子5fは、雌螺子部材8に螺合する部位であって、押棒5と雌螺子部材8とによって構成される螺合部Tの一方を構成する。
【0033】
回転止め部材6は、例えば、段付き円筒状を呈する。回転止め部材6の内面には、押棒5が挿入される押棒挿入領域6bと、押棒挿入領域6bの後方において後側に開口する拡径穴部6dとが形成されている。押棒挿入領域6bの内面には突条6cが形成されている。例えば、回転止め部材6は複数の突条6cを有し、各突条6cは回転止め部材6の径方向内側に突出すると共に軸線方向に延在している。突条6cには押棒5の棒状部5bが周方向に係合し、突条6cに対する棒状部5bの係合によって回転止め部材6に対する押棒5の回り止めが実現される。
【0034】
拡径穴部6dは、バネ部材9の他端(前端)が入り込む部位である。拡径穴部6dは、バネ部材9の前端を支持する部位である。バネ部材9は、押棒5の拡径部5dと回転止め部材6の拡径穴部6dとの間において軸線方向に延びるように配置されている。バネ部材9は、押棒5を後方に付勢すると共に回転止め部材6を前方に付勢する。
【0035】
回転止め部材6の外面には、例えば、パイプ材Pに挿入される挿入部6fと、挿入部6fの後方に位置する凸部6gと、凸部6gの後方に位置する鍔部6hとが形成されている。挿入部6fは、後方からパイプ材Pに挿入される部位である。凸部6gは、回転止め部材6の外面において軸線方向に延びている。回転止め部材6の周方向に沿って複数の凸部6gが形成されている。凸部6gは、先筒2の後端に当接すると共に、先筒2に装着された状態においてラチェット部材7に周方向に係合する部位である。
【0036】
鍔部6hは、ラチェット部材7に軸線方向に係合する部位であり、鍔部6hの前面がラチェット部材7に当接することによって回転止め部材6がラチェット部材7に軸線方向に係合する。このように、ラチェット部材7に回転止め部材6が軸線方向に係合することによって、ラチェット部材7からの回転止め部材6の脱落が阻止される。
【0037】
ラチェット部材7は、例えば、軸線方向の中央部分に形成されたスリット7b付きのバネ部7cを有する円筒状を呈する。ラチェット部材7は、回転止め部材6が係合する前側筒部7dと、前述したバネ部7cと、雌螺子部材8が係合する後側筒部7fとを備える。例えば、前側筒部7dの外面には軸線方向に延びる複数の突条が形成されており、この突条は中央筒3の内面に形成されたローレット3bに回転方向に係合する。
【0038】
前側筒部7dの内面には、軸線方向に延びる複数の凸部が形成されており、当該複数の凸部はラチェット部材7の周方向に沿って並ぶように配置されている。ラチェット部材7に対して回転止め部材6は軸線方向に移動可能とされており、回転止め部材6が後方に位置するときに前側筒部7dの上記の凸部が回転止め部材6の凸部6gに周方向に係合する。そして、回転止め部材6が前方に位置するときにラチェット部材7の当該凸部と凸部6gとの周方向への係合が解除される。
【0039】
例えば、バネ部7cは円筒状に形成されている。前述したように、バネ部7cは、スリット7bを有する。従って、バネ部7cは、軸線方向に伸縮可能とされており、伸縮可能とされた樹脂バネを構成する。後側筒部7fは、雌螺子部材8に形成された第1ラチェット歯8bに係合する第2ラチェット歯7gを有する。
【0040】
第2ラチェット歯7gは、例えば、ラチェット部材7の後端に形成されている。第1ラチェット歯8bと第2ラチェット歯7gによって、前述したラチェット機構Rが構成される。ラチェット機構Rにより、ラチェット部材7は、雌螺子部材8に対して一方向に回転することが可能であり当該一方向の反対方向への回転は規制される。
【0041】
雌螺子部材8は、例えば、第1ラチェット歯8bが形成された環状凸部8cを有する段付き円筒状を呈する。雌螺子部材8の環状凸部8cよりも前側の部分はラチェット部材7に挿入されており、雌螺子部材8の環状凸部8cよりも後側の部分は尾栓4に挿入されている。
【0042】
雌螺子部材8の内周には、押棒5の雄螺子5fが螺合する雌螺子8dと、雌螺子8dの前側に位置する収容領域8fとが形成されている。雌螺子8dは、雌螺子部材8の後端部から前方に螺旋状に延びており、押棒5の拡径部5dに形成された雄螺子5fが螺合する。雌螺子8dは、前述した螺合部Tの他方を構成する。すなわち、雌螺子8dと押棒5の雄螺子5fとによって螺合部Tが構成される。
【0043】
収容領域8fには、押棒5の一部と、バネ部材9の一部とが収容される。前述したように、バネ部材9の一端は押棒5に支持されており、バネ部材9の他端は回転止め部材6に支持されている。バネ部材9は、ラチェット部材7の内側、及び雌螺子部材8の内側において、押棒5の拡径部5dと回転止め部材6との間で軸線方向に延在している。
【0044】
雌螺子部材8の後側には、尾栓4が設けられる。尾栓4は、中央筒3の後端に形成された開口3cを塞ぐために設けられる。尾栓4は、中央筒3に挿入される筒状の挿入部4bと、挿入部4bの後側に位置する筒部4cとを備える。挿入部4bの外径は筒部4cの外径よりも小さく、例えば、筒部4cの外径は中央筒3の外径と略同一である。尾栓4は、中央筒3に対して周方向に相対回転可能とされており、中央筒3に対して相対回転することによって化粧料Mの繰り出し動作がなされる操作筒として機能する。
【0045】
挿入部4bの内面には、雌螺子部材8を収容する収容領域4dが設けられている。挿入部4bの外面には、中央筒3の内面に形成された環状凹部3dに軸線方向に係合する環状凸部4fと、OリングG2が収容される環状凹部4gとが形成されている。環状凹部4gに収容されたOリングG2は、中央筒3の内面に密着し、中央筒3の内部の気密を確保するために設けられる。
【0046】
以上のように構成された塗布容器100(容器本体1)の使用手順について説明する。まず、容器本体1(先筒2)からキャップ10を外し、中央筒3及び尾栓4を一方向に相対回転する。すると、尾栓4及び雌螺子部材8が同期回転し、中央筒3、ラチェット部材7、先筒2、パイプ材P及び押棒5が同期回転することにより、螺合部Tの螺合作用が働いて雌螺子部材8に対して押棒5が前進する。押棒5の前進に伴って押棒5はパイプ材Pの内部の化粧料Mを前方に押し出し、先筒2から前方に突出した化粧料Mが被塗布部(例えば、使用者の皮膚)に塗布されることによって、化粧料Mが使用に供される。
【0047】
押棒5の前進に伴ってバネ部材9が徐々に縮んでいく。また、ラチェット機構Rにより、当該一方向の反対方向への相対回転は規制される。従って、本実施形態では、押棒5と化粧料Mは後退しない。また、先筒2が中央筒3に装着されている状態では、回転止め部材6の凸部6gがラチェット部材7の内面に形成された凸部に周方向に係合しているので、回転止め部材6はラチェット部材7と同期回転する。
【0048】
以上、塗布容器100のキャップ10が装着される容器本体1(第1容器)について説明した。本実施形態に係るキャップ10は、図3に示されるように、容器本体1の他に、例えば、容器本体1とは異なる容器本体31(第2容器)にも装着可能とされている。すなわち、キャップ10は、複数種類の容器本体に装着可能とされている。
【0049】
例示的な第2容器である容器本体31の構成の一部は、容器本体1の構成の一部と重複するため、以下では容器本体1と重複する部分の説明を前述と同一の符号を付して適宜省略する。容器本体31は、例えば、容器本体1と同様、中央筒3、尾栓4、押棒5、回転止め部材6、ラチェット部材7、雌螺子部材8及びバネ部材9を備える。すなわち、中央筒3、尾栓4、押棒5、回転止め部材6、ラチェット部材7、雌螺子部材8及びバネ部材9は、容器本体1と容器本体31とで共通の部品とされている。
【0050】
容器本体31は、化粧料N、先筒32、パイプ材Q及びピストン40を備える。化粧料N、先筒32、パイプ材Q及びピストン40のそれぞれは、容器本体1の化粧料M、先筒2、パイプ材P及びピストン20のそれぞれと異なっている。パイプ材Qには化粧料N及びピストン40が収容されており、パイプ材Qは先筒32に収容されている。図3では、リップライナーである化粧料Nが充填されたパイプ材Qの外径が3.0mmである例を示している。例えば、化粧料Nは高揮発性材料によって構成されている。
【0051】
化粧料N、ピストン40及びパイプ材Qを収容する先筒32は、容器本体31の他の部分に対して着脱可能なカートリッジとされていてもよい。この場合、化粧料N、ピストン40及びパイプ材Qを収容する先筒32を中央筒3から外して、例えば、化粧料M、ピストン20及びパイプ材Pを収容する先筒2を中央筒3に装着することが可能となる。
【0052】
先筒32は、パイプ材Qに収容された化粧料Nを出現させるための開口32bを有し、先筒32の内部には、化粧料N、パイプ材Q及びピストン40を収容する収容領域32cが設けられている。収容領域32cにおけるピストン40の後側には、回転止め部材6の一部、及び押棒5の一部が挿入されている。先筒32の収容領域32cにおける内径は、例えば、先筒32の軸線方向において一定である。
【0053】
パイプ材Qは、例えば、円筒状を呈する。パイプ材Qは化粧料N及びピストン40を収容する収容領域Q1を有し、例えば、収容領域Q1の内径はパイプ材Qの軸線方向に沿って一定である。収容領域Q1におけるピストン40の後側には、押棒5が挿入された回転止め部材6の一部(前側部分)が挿入されている。
【0054】
容器本体31を含む塗布容器100の使用手順は、例えば、前述した容器本体1の使用手順と同様である。すなわち、容器本体31(先筒32)からキャップ10を外し、中央筒3及び尾栓4を一方向に相対回転すると、螺合部Tの螺合作用が働いて雌螺子部材8に対して押棒5が前進して、パイプ材Qの内部の化粧料Nが前方に押し出される。そして、先筒32から前方に突出した化粧料Nが被塗布部に塗布されることによって、化粧料Nが使用に供される。
【0055】
前述したように、キャップ10は、複数種類の容器に装着可能とされている。具体的には、外径が互いに異なる複数種類の塗布材を有する複数の容器に装着可能とされている。例えば、キャップ10は、細径の化粧料Mを有する容器本体1(先筒2)、及び太径の化粧料Nを有する容器本体31(先筒32)の双方に装着可能とされている。図4はキャップ10が容器本体1に装着されている状態を示す断面図であり、図5はキャップ10が容器本体31に装着されている状態を示す断面図である。
【0056】
図3図4及び図5に示されるように、キャップ10は、有底筒状の外キャップ11と、外キャップ11の底面11bの反対側を向く開口12bを有する筒状の内キャップ12と、を備える。
【0057】
例えば、外キャップ11は有底円筒状を呈する。外キャップ11には、少なくとも先筒2及び先筒32のいずれかが挿入及び装着される。外キャップ11の内面には、環状凹部11d及び環状凸部11fが形成されている。一例として、外キャップ11はABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂によって構成されている。内キャップ12は、例えば、弾性材料によって構成されており、一例として、TPEE(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)によって構成されている。
【0058】
内キャップ12の外周面には、環状凸部12cが形成されている。環状凸部11fを乗り越えた環状凸部12cが環状凹部11dに嵌まることによって内キャップ12が外キャップ11に固定される。内キャップ12は、例えば、先筒2又は先筒32の内部に位置する化粧料M又は化粧料Nの気密を確保するために設けられる。内キャップ12は、例えば、先筒2又は先筒32が挿入される筒状の挿入部12dを有する。
【0059】
前述したように、内キャップ12は、外キャップ11の内部に配置されている。内キャップ12(挿入部12d)の内径は、開口12bから離間するにつれて小さくなっている。これにより、内キャップ12の成形を容易に且つ高精度に行うことができる。具体的には、内キャップ12は、例えば、有底円筒状を呈し、内キャップ12の内径は内キャップ12の底部12fに近づくにつれて小さくなっている。
【0060】
また、内キャップ12は外キャップ11の底部11cに保持されている。内キャップ12の内面には、外キャップ11に装着される容器本体1(先筒2)の外面2rが接触する第1接触部12gと、外キャップ11に装着される容器本体31(先筒32)の外面32rが接触する第2接触部12hとが形成されている。
【0061】
図6は、内キャップ12の側面図である。図7は、図6のB-B線断面図である。図6及び図7に示されるように、内キャップ12は段付き円筒状を呈する。内キャップ12の外周面には、前述した環状凸部12cと、環状凸部12cよりも開口12b側に位置する環状凸部12jと、環状凸部12jの開口12b側において拡径された拡径部12kとが形成されている。
【0062】
例えば、外キャップ11の内面には環状凸部12cのみが接触しており、環状凸部12j及び拡径部12kは外キャップ11の内部における内キャップ12のがたつき防止のために設けられる。内キャップ12の底部12fの外面は、例えば、円形状とされており、底部12fの外面の中央には内キャップ12の軸線方向に窪む凹部12pが形成されている。例えば、環状凸部12cは、前側に位置する傾斜面12qと、傾斜面12qの後側に位置する頂面12rとを有する。また、拡径部12kの前側には、拡径部12kから徐々に縮径する方向に傾斜する傾斜面12sが形成されている。
【0063】
例えば、内キャップ12の肉厚は、開口12bから底部12fに向かうに従って徐々に厚くなっている。第1接触部12gは、例えば、内キャップ12の周方向に延在すると共に内キャップ12の内面において突出する環状凸部である。前述したように、キャップ10(内キャップ12)の内径は、開口12bから離間するにつれて徐々に小さくなっている。なお、「キャップの内径が開口から離間するにつれて徐々に小さくなっている」ことは、キャップの内径が開口から離間するにつれて単調に小さくなる場合に限られず、キャップの内面に内径が変化する段差が形成されている場合、及び、キャップの内径が開口から離間するにつれて全体的には小さくなっているものの途中に内径が大きくなっている部分が形成されている場合も含まれる。すなわち、「内径が徐々に小さくなっている」部分の一部に内径が大きくなっている部分が形成されていてもよい。また、「キャップの内径が開口から離間するにつれて徐々に小さくなっている」ことは、キャップの内部空間(例えば挿入部12d)の断面積が開口から離間するにつれて徐々に小さくなっていることを示していてもよい。「内径」は、円形とされた内面の直径に限られず、例えば、非円形とされた孔の内径も含まれる。「非円形とされた孔の内径」は、例えば、孔の内接円の直径に相当する。
【0064】
例えば、内キャップ12の軸線方向に直交する平面で切断した第1接触部12gの断面形状は、円形状とされている。また、内キャップ12の軸線方向に沿った平面で切断した第1接触部12gの断面形状は、例えば、曲線状(一例として円弧状)とされている。このように第1接触部12gの断面形状が曲線状であることにより、内キャップ12の第1接触部12gの成形を高精度に行うことが可能となる。
【0065】
第2接触部12hは、例えば第1接触部12gと同様、内キャップ12の周方向に延在すると共に内キャップ12の内面において突出する環状凸部である。例えば、内キャップ12の軸線方向に直交する平面で切断した第2接触部12hの断面形状は円形状とされており、内キャップ12の軸線方向に沿った平面で切断した第2接触部12hの断面形状は曲線状とされている。以上、第1接触部12g及び第2接触部12hの形状の例について説明した。しかしながら、第1接触部12g及び第2接触部12hの形状は、上記の例に限定されない。
【0066】
例えば、内キャップ12の内面には、開口12bから内キャップ12の内面が縮径するように傾斜する第1傾斜面12tと、第2接触部12hと、第2接触部12h及び第1接触部12gの間に位置する第1突部12vと、第1突部12v及び第1接触部12gの間に位置する第2傾斜面12xと、第1接触部12gと、第1接触部12gの底部12f側に位置する第2突部12wとが形成されている。
【0067】
第1傾斜面12t、第2接触部12h、第1突部12v、第2傾斜面12x、第1接触部12g及び第2突部12wは、この順で内キャップ12の軸線方向に沿って並んでいる。第2突部12wと底部12fの間には、先筒2(又は先筒32)と底部12fとの間に介在する空間部12yが形成される。
【0068】
以上、内キャップ12の内面に、第1傾斜面12t、第2接触部12h、第1突部12v、第2傾斜面12x、第1接触部12g及び第2突部12wが形成されている例について説明した。しかしながら、内キャップ12の内面に形成される傾斜面及び突部の数は、1つ又は3つ以上であってもよく、特に限定されない。また、内キャップ12の内面には突部が形成されていなくてもよい。
【0069】
次に、本実施形態に係る容器本体のピストンの例について説明する。前述したように、本実施形態のキャップ10は、細径の化粧料Mを有する容器本体1、及び太径の化粧料Nを有する容器本体31のそれぞれに装着される。容器本体1及び容器本体31では、パイプ材P(又はパイプ材Q)の内部に配置されるピストンの構成が互いに異なっている。以下では、容器本体1のピストン20、及び容器本体31のピストン40のそれぞれについて説明する。
【0070】
まず、図2図8(a)及び図8(b)を参照しながら細径の化粧料Mを有する容器本体1の例示的なピストン20について説明する。細径のピストン20は、例えば、棒状を呈する。ピストン20の長手方向の一端にはピストン20の長手方向に窪む第1凹部21が形成されており、ピストン20の長手方向の他端にはピストン20の長手方向に窪む第2凹部22が形成されている。第2凹部22は、押棒5が挿入される部位に相当する。
【0071】
例えば、ピストン20の外面には、環状突部23が形成されている。具体的には、ピストン20の長手方向に沿って並ぶ一対の環状突部23が形成されている。環状突部23は、パイプ材Pの内面に当接する部位であり、環状突部23がパイプ材Pの内面に当接した状態でピストン20はパイプ材Pの内部において軸線方向に摺動する。
【0072】
次に、図3図9(a)及び図9(b)を参照しながら太径の化粧料Nを有する容器本体31の例示的なピストン40について説明する。太径のピストン40は、例えば、有底筒状(一例として有底円筒状)を呈する。ピストン40の外面には環状突部43が形成されており、例えば、ピストン40の長手方向に沿って並ぶ一対の環状突部43が形成されている。
【0073】
ピストン40には、ピストン40の軸線方向に窪むと共に押棒5が挿入される凹部41が形成されている。凹部41の深さは、例えば、前述したピストン20の第2凹部22の深さよりも深い。また、図2及び図3に示されるように、容器本体31の化粧料Nの軸線方向の長さは、容器本体1の化粧料Mの軸線方向の長さよりも短い。よって、容器本体31の化粧料Nが容器本体1の化粧料Mよりも短い分、凹部41が第2凹部22よりも深いことにより、押棒5のストローク量が調整されており化粧料M及び化粧料Nのそれぞれを必要な分だけ繰り出すことが可能となる。
【0074】
次に、本実施形態に係るキャップ10及び塗布容器100の作用効果について詳細に説明する。図4及び図5に示されるように、キャップ10の内面は、装着される容器本体1の外面2rが接触する第1接触部12gと、装着される容器本体31の外面32rが接触する第2接触部12hと、を有する。従って、容器本体1及び容器本体31の双方を装着することができる。キャップ10の内面には、容器本体1の外面2rが接触する第1接触部12gと、容器本体31の外面32rが接触する第2接触部12hとが設けられているので、容器本体1及び容器本体31のどちらが装着された場合であっても気密を確保することができる。また、キャップ10は、第1接触部12g及び第2接触部12hを備え、第1接触部12g及び第2接触部12hのいずれかに外面が接触すれば容器本体1及び容器本体31の気密を確保することができる。よって、塗布容器100(容器本体)のバリエーションが増えても種々の塗布容器にキャップ10を装着させて気密を確保することが可能となる。更に、容器本体1又は容器本体31を交換したいときにキャップ10を廃棄する必要がなく、新たに購入した容器本体にキャップ10を装着できるので、キャップ10の製造及び購入のコストを低減させることができる。
【0075】
本実施形態において、キャップ10は、有底筒状の外キャップ11と、外キャップ11の内部に配置されており、外キャップ11の底面11bの反対側を向く開口12bを有する筒状の内キャップ12と、を含んでいてもよく、前述した内面は内キャップ12に設けられていてもよい。この場合、筒状の内キャップ12が外キャップ11の内部に配置されており、内キャップ12は外キャップ11の底面11bの反対側を向く開口12bを有し、内キャップ12の内面に、容器本体1の外面2rが接触する第1接触部12gと、容器本体31の外面32rが接触する第2接触部12hと、が設けられる。このように、内キャップ12が第1接触部12g及び第2接触部12hを有することにより、容器本体1及び容器本体31の双方を装着することができると共に、外キャップ11としては通常の有底筒状のものを用いることができる。
【0076】
本実施形態において、第1接触部12g及び第2接触部12hのそれぞれは、キャップ10の周方向に延在すると共に内面において突出する環状凸部である。よって、第1接触部12g及び第2接触部12hのそれぞれが内面において突出する環状凸部とされており、各環状凸部はキャップ10の周方向に延在している。従って、容器本体1の外面2r、及び容器本体31の外面32r、のそれぞれに周方向に延びる環状凸部が接触するので、容器本体1及び容器本体31のそれぞれの気密を確保することができる。
【0077】
本実施形態において、キャップ10の軸線方向に直交する平面で切断した第1接触部12gの断面形状、及び、軸線方向に直交する平面で切断した第2接触部12hの断面形状が円形状とされている。従って、軸線方向に直交する平面で切断した断面の形状が円形状とされた容器本体1及び容器本体31のそれぞれに第1接触部12g及び第2接触部12hのそれぞれを接触させることができ、断面円形状の容器本体1及び容器本体31のそれぞれの気密を確保することができる。
【0078】
本実施形態に係る塗布容器100は、キャップ10と、キャップ10が装着される容器本体1又は容器本体31と、を備える。よって、塗布容器100のキャップ10では、内面に、容器本体1の外面2rが接触する第1接触部12gと、容器本体31の外面32rが接触する第2接触部12hと、が設けられるので、前述したキャップ10と同様の効果が得られる。すなわち、容器本体1及び容器本体31の双方を装着することができ、容器本体1及び容器本体31のどちらが装着された場合であっても気密を確保することができると共に、キャップ10の製造及び購入のコストを低減させることができる。
【0079】
以上、本開示に係るキャップ及び塗布容器の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形することも可能である。すなわち、キャップ及び塗布容器の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0080】
例えば、前述した実施形態では、内キャップ12が外キャップ11とは別体となっているキャップ10について説明した。しかしながら、キャップにおいて、内キャップは外キャップと一体とされていてもよい。この場合、キャップを一部品とすることが可能となる。また、前述した実施形態では、高揮発性材料から構成される化粧料M及び化粧料Nについて説明した。しかしながら、化粧料の材料は、高揮発性材料を含んでいなくてもよく、特に限定されない。
【0081】
前述した実施形態では、外キャップ11と内キャップ12とを含む二重構造を有するキャップ10について説明した。しかしながら、キャップは、一重構造を有していてもよいし、三重以上の構造を有していてもよい。例えば、内キャップではなく、外キャップが、内面に、第1接触部及び第2接触部を有していてもよい。
【0082】
前述した実施形態では、内キャップ12の内面に、第1傾斜面12t、第2接触部12h、第1突部12v、第2傾斜面12x、第1接触部12g及び第2突部12wが含まれる例について説明した。しかしながら、内キャップの内面の形状は、上記の例に限定されず適宜変更可能である。例えば、第1接触部12g及び第2接触部12hを備え、第1接触部12g及び第2接触部12hの間が平坦面とされた内キャップであってもよい。
【0083】
前述した実施形態では、第1接触部12g及び第2接触部12hのそれぞれが環状凸部である例について説明した。しかしながら、第1接触部及び第2接触部の形状は、環状凸部に限定されない。例えば、第1接触部及び第2接触部が、軸線方向に対して傾斜する傾斜面として形成されていてもよい。
【0084】
前述した実施形態では、内キャップ12の軸線方向に直交する平面で切断した第1接触部12gの断面形状、及び軸線方向に直交する平面で切断した第2接触部12hの断面形状が円形状である例について説明した。しかしながら、第1接触部の断面形状、及び第2接触部の断面形状は、円形状に限られず、例えば、楕円形状、長円形状、又は、三角形状、四角形状若しくは六角形状等の多角形状であってもよい。
【0085】
前述した実施形態では、容器本体1及び容器本体31のそれぞれが、中央筒3、尾栓4、押棒5、回転止め部材6、ラチェット部材7、雌螺子部材8及びバネ部材9を備える例について説明した。しかしながら、本開示に係るキャップは種々の容器本体(第1容器及び第2容器)に装着可能であるため、容器本体の部品の種類及び数は上記の例に限られず適宜変更可能である。容器本体(第1容器及び第2容器)は、繰出機構を有しない容器であってもよい。
【0086】
前述した実施形態では、塗布材が化粧料M又は化粧料Nである例について説明した。しかしながら、化粧料の種類は特に限定されない。更に、塗布材は、化粧料以外のものであってもよく、例えば、筆記具又は文房具等の描画材であってもよい。このように、本開示に係るキャップ及び塗布容器は、種々のものに適用させることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…容器本体(第1容器)、2…先筒、2b…開口、2c…第1収容領域、2d…第2収容領域、2f…拡径部、2g…傾斜面、2h…突起、2j…テーパ面、2k…鍔部、2p…雄螺子、2q…環状凹部、2r…外面、3…中央筒、3b…ローレット、3c…開口、3d…環状凹部、4…尾栓、4b…挿入部、4c…筒部、4d…収容領域、4f…環状凸部、4g…環状凹部、5…押棒、5b…棒状部、5c…突条、5d…拡径部、5f…雄螺子、6…回転止め部材、6b…押棒挿入領域、6c…突条、6d…拡径穴部、6f…挿入部、6g…凸部、6h…鍔部、7…ラチェット部材、7b…スリット、7c…バネ部、7d…前側筒部、7f…後側筒部、7g…第2ラチェット歯、8…雌螺子部材、8b…第1ラチェット歯、8c…環状凸部、8d…雌螺子、8f…収容領域、9…バネ部材、10…キャップ、11…外キャップ、11b…底面、11c…底部、11d…環状凹部、11f…環状凸部、12…内キャップ、12b…開口、12c…環状凸部、12d…挿入部、12f…底部、12g…第1接触部、12h…第2接触部、12j…環状凸部、12k…拡径部、12p…凹部、12q…傾斜面、12r…頂面、12s…傾斜面、12t…第1傾斜面、12v…第1突部、12w…第2突部、12x…第2傾斜面、12y…空間部、20…ピストン、21…第1凹部、22…第2凹部、23…環状突部、31…容器本体(第2容器)、32…先筒、32b…開口、32c…収容領域、32r…外面、40…ピストン、41…凹部、43…環状突部、100…塗布容器、G1,G2…Oリング、M,N…化粧料、P…パイプ材、P1…第1収容領域、P2…第2収容領域、P3…拡径部、Q…パイプ材、Q1…収容領域、R…ラチェット機構、T…螺合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9