(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064041
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】布帛および防護製品
(51)【国際特許分類】
D03D 15/47 20210101AFI20220418BHJP
D03D 15/20 20210101ALI20220418BHJP
D01F 6/90 20060101ALI20220418BHJP
A41D 13/008 20060101ALI20220418BHJP
D03D 15/513 20210101ALI20220418BHJP
D03D 15/533 20210101ALI20220418BHJP
【FI】
D03D15/00 D
D03D15/00 E
D01F6/90 331
A41D13/008
D03D15/12 Z
D03D15/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172533
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙吾
【テーマコード(参考)】
3B011
4L035
4L048
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AA02
3B011AA06
3B011AB01
3B011AC07
3B011AC14
4L035JJ03
4L035MG04
4L048AA25
4L048AA53
4L048CA15
(57)【要約】
【課題】電気的アークに対する防護性能だけでなく、アーク曝露後の強度を維持する布帛および防護製品を提供する。
【解決手段】メタ型芳香族ポリアミド繊維、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が32以上である高耐熱繊維、および導電繊維を含み、耐アーク性試験ASTM F1959-1999において、ATPV値が8.0cal/cm2以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタ型芳香族ポリアミド繊維、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が32以上である高耐熱繊維、および導電繊維を含み、耐アーク性試験ASTM F1959-1999において、ATPV値が8.0cal/cm2以上であることを特徴とする布帛。
【請求項2】
前記メタ型芳香族ポリアミド繊維を50~94重量%、前記高耐熱繊維を5~35重量%、および前記導電繊維を1~15重量%含む、請求項1に記載の布帛。
【請求項3】
前記メタ型芳香族ポリアミド繊維が、赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤を含有する、請求項1または2に記載の布帛。
【請求項4】
前記メタ型芳香族ポリアミド繊維に含有される赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤が、繊維重量対比0.5~20重量%である、請求項3に記載の布帛。
【請求項5】
前記高耐熱繊維が、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリエーテルイミド繊維、パイロメックス(登録商標)、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載の布帛。
【請求項6】
前記のメタ型芳香族ポリアミド繊維、高耐熱繊維および導電繊維が混紡された紡績糸として布帛に含まれる、請求項1~5のいずれかに記載の布帛。
【請求項7】
赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤を布帛重量対比0.1~3.0重量%含む、請求項1~6のいずれかに記載の布帛。
【請求項8】
布帛が織物組織を有し、かつ布帛の目付けが120~260g/m2の範囲内である、請求項1~7のいずれかに記載の布帛。
【請求項9】
ISO17492で規定される試験装置を用いて熱流束84kW/m2の火炎で10秒間曝露した後の引張強さ保持率が10%以上である、請求項1~8のいずれかに記載の布帛。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の布帛を用いてなる、アーク防護服、防炎防護服、作業服、活動服、手袋、防護用エプロン、および防護用部材からなる群より選択されるいずれかの防護製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的アークに対する防護性能に優れた布帛および防護製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気設備付近で作業する人や、電気設備付近での事故に対応する救急隊員は、潜在的に電気アークやフラッシュ火災にさらされる可能性がある。電気アークは、通常、数千ボルトおよび数千アンペアの電気を伴う非常に激変的な事象である。アーク放電は、2つの電極間の電位差(つまり電圧)によって、気体分子が電離しイオン化が起こり、プラズマを生み出した結果、その中を電気が流れる。すなわち、普段は伝導性のない気体中に電流が流れる現象をいう。
【0003】
このような電気的アークやフラッシュ火災に対する防護のために各種の難燃性繊維を用いた布帛が提案されている(例えば特許文献1~8参照)。
しかしながら、これらの布帛を用いて作業服などを得て着用した場合、アーク防護性能は高いものの、アークフラッシュにより布帛がダメージを受け、作業服の形状を維持できず、次いで発生する火災などの二次災害に対し防護できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-527734号公報
【特許文献2】特表2009-503278号公報
【特許文献3】特表2007-529648号公報
【特許文献4】特表2007-535415号公報
【特許文献5】特表2007-501341号公報
【特許文献6】特表2006-516306号公報
【特許文献7】特表2010-502849号公報
【特許文献8】国際公開第2012/077681号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、電気的アークに対する防護性能だけでなく、アーク曝露後の強度を維持する布帛および防護製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、布帛を構成する繊維などを巧みに工夫することにより、電気的アークに対する防護性能が向上し、かつアークフラッシュに曝露された後も強度を維持することが可能となることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明によれば「メタ型芳香族ポリアミド繊維、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が32以上である高耐熱繊維、および導電繊維を含み、耐アーク性試験ASTM F1959-1999において、ATPV値が8.0cal/cm2以上であることを特徴とする布帛。」が提供される。
【0008】
その際、布帛が、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維を50~94重量%、前記高耐熱繊
維を5~35重量%、および前記導電繊維を1~15重量%含むことが好ましい。また、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維が、赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤を含有することが好ましい。その際、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維に含有される赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤が、繊維重量対比0.5~20重量%であることが好ましい。また、前記高耐熱繊維が、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリエーテルイミド繊維、パイロメックス(登録商標)、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記のメタ型芳香族ポリアミド繊維、高耐熱繊維および導電繊維が混紡された紡績糸として布帛に含まれることが好ましい。また、布帛が、赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤を布帛重量対比0.1~3.0重量%含むことが好ましい。
【0009】
本発明の布帛において、布帛が織物組織を有し、布帛の目付けが120~260g/m2の範囲内であることが好ましい。また、ISO17492で規定される試験装置を用いて熱流束84kW/m2の火炎で10秒間曝露した後の引張強さ保持率が10%以上であることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、アーク防護服、防炎防護服、作業服、活動服、手袋、防護用エプロン、および防護用部材からなる群より選択されるいずれかの防護製品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気的アークに対する防護性能だけでなく、アーク曝露後の強度を維持する布帛および防護製品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の布帛はメタ型芳香族ポリアミド繊維、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が32以上である高耐熱繊維、および導電繊維を含む。
【0013】
前記メタ型芳香族ポリアミド繊維はその繰返し単位の85モル%以上がm-フェニレンイソフタルアミドであるポリマーからなる繊維である。市販品では「コーネックス」(商標名)などが例示される。
【0014】
かかるメタ型芳香族ポリアミド繊維には、赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤が含まれることが好ましい。その際、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維に赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤が、繊維重量対比0.5~20重量%含まれることが好ましい。
【0015】
ここで、赤外線吸収剤は、赤外線吸収効果を有するものであれば特に限定されない。例えば、カーボンブラック(カーボンブラック顔料など)、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムスズ酸化物、ニオブドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化チタン基材に担持したアンチモンドープ酸化スズ、鉄ドープ酸化チタン、炭素ドープ酸化チタン、フッ素ドープ酸化チタン、窒素ドープ酸化チタン、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛などを挙げることができる。なお、インジウムスズ酸化物は、インジウムドープ酸化スズとスズドープ酸化インジウムを含む。
【0016】
導電剤としては、導電効果を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属粒子(銀粒子、銅粒子、アルミ粒子等)や、金属酸化物(酸化第2錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等を主体とする粒子等)や、導電性酸化物をコーティングした粒子等を含有した導電
性粒子含有ポリマー等を挙げることができる。
【0017】
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収効果を有するものであれば特に限定されない。例えば、サリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾオキサジン系化合物、ビスフェノール系化合物、金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズなど)などが例示される。
【0018】
次に、前記高耐熱繊維としてはJIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が32以上(好ましくは32~100)であれば特に限定されないが、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリエーテルイミド繊維、パイロメックス(登録商標)、炭素繊維など例示される。なかでも、ポリベンズオキサゾール繊維が好ましく、市販品では「ザイロン」(商標名)などが例示される。
【0019】
また、導電繊維としては、カーボンブラックや金属化合物などの導電剤がポリマー中に練りこまれた、ナイロン導電繊維、ポリエステル導電繊維、アクリル導電繊維などが好ましい。特に、芯鞘構造を有し、芯部が導電剤を含むポリマー(好ましくはナイロン)からなる芯鞘型導電繊維が好ましい。
【0020】
本発明の布帛は、電気的アークに対する防護性能だけでなく、アーク曝露後の強度を維持する上で、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維を50~94重量%、前記高耐熱繊維を5~35重量%、および前記導電繊維を1~15重量%含むことが好ましい。これら以外の繊維を含んでいてもよいが、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維、前記高耐熱繊維および前記導電繊維の合計が100重量%であることが好ましい。
【0021】
本発明の布帛を構成する繊維において、単繊維繊度は0.5~3.3dtexの範囲であることが好ましい。0.5dtexより小さい場合は十分な強度が得られないおそれがある。逆に3.3dtexより大きい場合は剛性が高くなり着用感が低下するおそれがある。
【0022】
また、本発明の布帛を構成する繊維は、長繊維(マルチフィラメント)でもよいし短繊維でもよい。特に、他の繊維と混紡する上で繊維長25~200mm(より好ましくは30~150mm)の短繊維が好ましい。
【0023】
本発明の布帛は、例えば、前記のメタ型芳香族ポリアミド繊維、高耐熱繊維および導電繊維を混紡して得られた紡績糸を用いて、製編または製織することにより得られる。
その際、紡績糸の種類は特に限定されず、エアジェット紡績糸、リング紡績糸、牽切紡績糸などが例示される。太さも限定されず、10~80番手が例示される。また、上記紡績糸を、単糸または双糸にてレピア織機などを用いて、綾織、平織などの組織に製織することが好ましい。
【0024】
また、かかる布帛において、赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤が布帛重量対比0.1~3.0重量%含まれることが好ましい。例えば、布帛を構成する繊維中にこれらの剤が練りこまれていてもよいし、後加工により適宜バインダーを用いてこれらの剤が布帛に付与されていてもよい。赤外線吸収剤および/または導電剤および/または紫外線吸収剤が含有された布帛を作業服などに使用し電気的アーク事故に遭った際に、該剤が事故時に発生するエネルギーを吸収することで、人体へ到達するエネルギーを抑制し、人体の損傷を抑えることができる。
【0025】
さらには、かかる布帛には、染色加工や、消臭剤、抗菌剤などの付与が施されていても
よい。
かくして得られた布帛において、布帛の目付けが120~260g/m2の範囲内であることが、電気的アークに対する防護性能と軽量性とを両立させる上で好ましい。
【0026】
本発明の布帛は前記の構成を有するので、電気的アークに対する防護性能だけでなく、アーク曝露後の強度を維持する。その際、ATPV値が8.0cal/cm2以上(好ましくは8~15cal/cm2)であることが重要である。また、ISO17492で規定される試験装置を用いて熱流束84kW/m2の火炎で10秒間曝露した後の引張強さ保持率が10%以上(より好ましくは10~50%)であることが好ましい。
【0027】
また、本発明の防護製品は、前記の布帛を用いてなる、アーク防護服、防炎防護服、作業服、活動服、手袋、防護用エプロン、および防護用部材からなる群より選択されるいずれかの防護製品である。
かかる防護製品は前記の布帛を用いているので、電気的アークに対する防護性能だけでなく、アーク曝露後の強度を維持する。
【実施例0028】
次に本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)限界酸素指数(LOI)
JIS L 1091 E-2法により限界酸素指数(LOI)を測定した。
(2)織物の目付け
JIS L 1096:2010 A法に従って測定した。
(3)ATPV値
耐アーク性試験ASTM F1959-1999によりATPV値を測定した。8.0cal/cm2以上を合格(レベル2クリア)とした。
(4)熱暴露後の引張強さおよび保持率
ISO17492で規定される試験装置を用いて熱流束84kW/m2の火炎で10秒間暴露した後、ISO13934-1に規定される引張試験を行った。引張強さ保持率は次の関係式により求めた。
引張強さ保持率(%)=熱暴露後の引張強さ÷初期引張強さ×100
【0029】
[実施例1]
カーボンブラック顔料を繊維重量対比1.1重量%含むポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人社製「コーネックス」(商標名)、単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)と、ポリベンズオキサゾール繊維(東洋紡社製「ザイロン」(商標名)、単繊維繊度1.7dtex、繊維長44mm、LOI=68)と、導電性ナイロン繊維(単繊維繊度4.5dtex、繊維51mm、鞘部:ナイロン6/芯部:白色金属化合物の偏心芯鞘型導電性ナイロン繊維)とをこの順に混合比率が93:5:2となる割合で混合した紡績糸(英式綿番手30s/2(双糸))を用意した。
【0030】
次いで、前記混紡糸を経糸および緯糸に用いて、綾織(2/1綾組織)にて、経密度86本/2.54cm、緯密度55本/2.54cmの織物(生機)を製織した。
得られた未加工織物(生機)を、常法の精練加工を行い、190℃で熱セットし、織物を得た。
得られた織物は、目付け245g/m2であり、ATPV値9.5cal/cm2、熱暴露後の引張強さの保持率は14%であった。
【0031】
[実施例2]
紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物)を繊維重量対比4.5重量%含むポリメ
タフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人社製「コーネックス」(商標名)、単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)と、ポリベンズオキサゾール繊維(東洋紡社製「ザイロン」(商標名)、単繊維繊度1.7dtex、繊維長44mm、LOI=68)と、導電性ナイロン繊維(単繊維繊度4.5dtex、繊維51mm、鞘部:ナイロン6/芯部:白色金属化合物の偏心芯鞘型導電性ナイロン繊維)とをこの順に混合比率が93:5:2となる割合で混合した紡績糸(英式綿番手30s/2(双糸))を用意した。
【0032】
次いで、前記混紡糸を経糸および緯糸に用いて、綾織(2/1綾組織)にて、経密度86本/2.54cm、緯密度55本/2.54cmの織物(生機)を製織した。
得られた未加工織物(生機)を、常法の精練加工を行い、190℃で熱セットし、織物を得た。
得られた織物は、目付け248g/m2であり、ATPV値8.9cal/cm2、熱暴露後の引張強さの保持率は15%であった。
【0033】
[実施例3]
カーボンブラック顔料を繊維重量対比1.1重量%含むポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人社製「コーネックス」(商標名)、単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)と、ポリベンズオキサゾール繊維(東洋紡社製「ザイロン」(商標名)、単繊維繊度1.7dtex、繊維長44mm、LOI=68)と、導電性ナイロン繊維(単繊維繊度4.5dtex、繊維51mm、鞘部:ナイロン6/芯部:白色金属化合物の偏心芯鞘型導電性ナイロン繊維)をこの順に混合比率が50:35:15となる割合で混合した紡績糸(英式綿番手30s/2(双糸))を用意した。
【0034】
次いで、前記混紡糸を経糸および緯糸に用いて、綾織(2/1綾組織)にて、経密度74本/2.54cm、緯密度47本/2.54cmの織物(生機)を製織した。
得られた未加工織物(生機)を、常法の精練加工を行い、190℃で熱セットし、織物を得た。
得られた織物は、目付け210g/m2であり、ATPV値8.3cal/cm2、熱暴露後の引張強さの保持率は19%であった。
【0035】
[実施例4]
カーボンブラック顔料を繊維重量対比1.1重量%含むポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人社製「コーネックス」(商標名)、単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)と、ポリベンズイミダゾール繊維(PBI Performance Products社製、単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm、LOI=41)と、導電性ナイロン繊維(単繊維繊度4.5dtex、繊維51mm、鞘部:ナイロン6/芯部:白色金属化合物の偏心芯鞘型導電性ナイロン繊維)をこの順に混合比率が93:5:2となる割合で混合した紡績糸(英式綿番手30s/2(双糸))を用意した。
【0036】
次いで、前記混紡糸を経糸および緯糸に用いて、綾織(2/1綾組織)にて、経密度86本/2.54cm、緯密度55本/2.54cmの織物(生機)を製織した。
得られた未加工織物(生機)を、常法の精練加工を行い、190℃で熱セットし、織物を得た。
得られた織物は、目付け244g/m2であり、ATPV値9.3cal/cm2、熱暴露後の引張強さの保持率は12%であった。
【0037】
[比較例1]
カーボンブラック顔料を繊維重量対比1.1重量%含むポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人社製「コーネックス」(商標名)、単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)と、コパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(
帝人社製「テクノーラ」(商標名)、単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm、LOI=25)と、導電性ナイロン繊維(単繊維繊度4.5dtex、繊維51mm、鞘部:ナイロン6/芯部:白色金属化合物の偏心芯鞘型導電性ナイロン繊維)をこの順に混合比率が93:5:2となる割合で混合した紡績糸(英式綿番手30s/2(双糸))を用意した。
【0038】
次いで、前記混紡糸を経糸および緯糸に用いて、綾織(2/1綾組織)にて、経密度86本/2.54cm、緯密度55本/2.54cmの織物(生機)を製織した。
得られた未加工織物(生機)を、常法の精練加工を行い、190℃で熱セットし、織物を得た。
得られた織物は、目付け246g/m2であり、ATPV値9.2cal/cm2と良好であったが、熱暴露後の引張強さの保持率は6%と不良であった。