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特開2022-64051ポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物、ポリイソシアヌレートフォーム及び断熱材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064051
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】ポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物、ポリイソシアヌレートフォーム及び断熱材
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/09 20060101AFI20220418BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220418BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20220418BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20220418BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
C08G18/09 020
C08G18/00 H
C08G18/42
C08G18/48
C08G18/40 018
C08G18/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172551
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】柏本 雄大
(72)【発明者】
【氏名】干場 次郎
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034AA06
4J034BA07
4J034DA01
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4J034RA12
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】成形品の表面品質、特には平滑性に優れるポリイソシアヌレートフォームを形成するための組成物を提供する。
【解決手段】水酸基を有するポリマー、ポリイソシアネート、及び発泡剤を含むポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物であって、発泡剤がハイドロフルオロオレフィンを含み、水酸基を有するポリマーがポリエステルアルコールと、水酸基価350~700mgKOH/gのポリエーテルポリオールであって、3官能のポリオールを出発物質としてプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステルアルコールの量が前記組成物100質量部に対して15質量部以上であり、前記ポリエーテルポリオールの量が前記組成物100質量部に対して0.2~5質量部である、組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有するポリマー、ポリイソシアネート、及び発泡剤を含むポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物であって、発泡剤がハイドロフルオロオレフィンを含み、水酸基を有するポリマーがポリエステルアルコールと、水酸基価350~700mgKOH/gのポリエーテルポリオールであって、3官能のポリオールを出発物質としてプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステルアルコールの量が前記組成物100質量部に対して15質量部以上であり、前記ポリエーテルポリオールの量が前記組成物100質量部に対して0.2~5質量部である、組成物。
【請求項2】
イソシアネートインデックスが250以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物に含まれる水酸基を有するポリマーの粘度が2500mPas(25℃)以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物を発泡させてなるポリイソシアヌレートフォーム。
【請求項5】
面材付きポリイソシアヌレートフォームである、請求項4に記載のポリイソシアヌレートフォーム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のポリイソシアヌレートフォームからなる断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物、該組成物から形成されるポリイソシアヌレートフォーム、及び該フォームからなる断熱材に関し、より具体的には、成形品の表面品質、特には平滑性に優れるポリイソシアヌレートフォームを形成するための組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂系フォームの中でも、ポリウレタンフォーム、特に硬質ポリウレタンフォームは、優れた断熱性能を有していることから発泡系断熱材として広く使用されている。ポリウレタンフォームは、通常、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、必要に応じて適宜配合される触媒、発泡剤、整泡剤などと一緒に混合して、発泡させることにより製造されている。
【0003】
ポリウレタンフォームの中には、ポリイソシアヌレートフォームと称される樹脂系フォームも知られている。フォームの形成に使用されるポリイソシアネートは、その三量化反応からイソシアヌレート環を生成することができ、一定の割合以上にイソシアヌレート環構造を有する樹脂系フォームを一般的なポリウレタンフォームと区別して「ポリイソシアヌレートフォーム」と称する場合がある。ポリイソシアヌレートフォームは、イソシアヌレート環構造を多く含むため、高い難燃性を有している。
【0004】
特表2014-530282号公報(特許文献1)には、ポリウレタン製品およびポリイソシアヌレート製品を得るためにポリエステルポリオールと相互に適合する他のポリオールまたは他の材料との混合に適したポリエステル-ポリエーテルポリオールに関する発明が記載されている。特許文献1に記載の発明は、具体的に、1)3という公称官能価および90~500という分子量を有するアルコールと無水フタル酸を、無水フタル酸半エステルを形成する条件下において混合する工程;および2)工程1において形成された半エステルをアルコキシル化して、200~350というヒドロキシル数を有するポリエステル-ポリエーテルポリオールを形成する工程によって生成されるが、ただし、該アルコールがポリエーテルポリオールであるとき、該ポリエーテルポリオールは、少なくとも70重量パーセントのポリオキシプロピレンを含む、ポリエステル-ポリエーテルポリオールである。特許文献1には、かかるポリエステル-ポリエーテルポリオールを用いることで、ポリオール混合物は炭化水素系発泡剤との良好な相溶性を示し、また、得られる発泡体は良好な強度を有すると記載されている。
【0005】
特開2004-224967号公報(特許文献2)には、表面にインテグラルスキン層を有する半硬質ないし軟質ポリウレタンフォーム成形品の製造方法に関する発明が記載されている。特許文献2に記載の発明は、少なくともポリオール化合物、架橋剤、触媒、及び発泡剤を含むポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合した反応原液組成物を金型内に注入してインテグラルスキンを有する成形体とするポリウレタンフォーム成形品の製造方法であって、前記ポリオール化合物100重量部は分子量500~4000の2官能ポリオール化合物70~95重量部と3官能以上の多官能ポリオール30~5重量部とを含み、前記発泡剤が水であり、成形体の表面硬度がアスカーC硬度計にて45度以下であるポリウレタンフォーム成形品の製造方法である。特許文献2には、発泡剤として水を含むポリオール組成物は、その粘度が高く、高圧発泡機を使用する必要があったが、特許文献2に記載の発明によれば、特定のポリオール混合物を用いることによって、製造設備を高圧発泡機に更新することなく、既設の低圧発泡機を使用しても成形することが可能であり、かつ室内で使用する家具等に使用した場合であっても臭気の問題等を発生することのないインテグラルスキンを有するポリウレタンフォーム成形品の製造方法を提供することができると記載されている。
【0006】
また、従来、硬質ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォーム用発泡剤として、HFC-134a、HFC-245fa、HFC-365mfc等のハイドロフルオロカーボン(HFC)系発泡剤が用いられている。しかしながら、このハイドロフルオロカーボン系発泡剤は、オゾン層破壊の少ない又は生じない代替フロンとして認識されているものの、化学的に安定なために地球温暖化係数が高く、HFC系発泡剤の使用が地球温暖化に繋がると懸念されており、モントリオール議定書(キガリ改正)による段階的な削減が進められている。
【0007】
そこで、近年ではこれらHFC系発泡剤に替わって、化学的に不安定であるために地球温暖化係数が低くなるハイドロフルオロオレフィン(HFO)と呼ばれるハロゲン化ハイドロオレフィン系発泡剤が、使用され始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2014-530282号公報
【特許文献2】特開2004-224967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、ポリイソシアヌレートフォームの発泡剤としてハイドロフルオロオレフィン(HFO)を用いることについて検討したところ、ポリイソシアヌレートフォームを面材と一体成形した場合に、得られる成形品の面材の平滑性が他の発泡剤の場合と比較して劣っており、表面品質を低下させるという問題があることが分かった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、成形品の表面品質、特には平滑性に優れるポリイソシアヌレートフォームを形成するための組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該組成物から形成されるポリイソシアヌレートフォーム及び該フォームからなる断熱材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィン(HFO)を用いると、ポリイソシアヌレートフォームに収縮が生じることを確認しており、この収縮によって面材の平滑性が低下する傾向にあると考えている。
【0012】
ポリイソシアヌレートフォームの形成過程は、一般に、(1)ポリイソシアネートと水の反応による発泡と、(2)ポリイソシアネートとポリオールの反応によるウレタン結合の形成と、(3)ポリイソシアネートの三量化反応によるイソシアヌレート環の形成からなり、これらの順に反応が開始するものであるが、発泡剤としてHFOを用いる場合、上記(1)の発泡を経て気泡が生成する前にHFOが揮発してしまい、ポリイソシアヌレートフォームに収縮が生じてしまうものと考えられる。
【0013】
そこで、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、発泡剤としてHFOを含むポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物において、ポリエステルアルコールと特定のポリエーテルポリオールとを特定量で含む水酸基含有ポリマーを用いることで、面材の平滑性に優れるポリイソシアヌレートフォームを形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明の組成物は、水酸基を有するポリマー、ポリイソシアネート、及び発泡剤を含むポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物であって、発泡剤がハイドロフルオロオレフィンを含み、水酸基を有するポリマーがポリエステルアルコールと、水酸基価350~700mgKOH/gのポリエーテルポリオールであって、3官能のポリオールを出発物質としてプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステルアルコールの量が前記組成物100質量部に対して15質量部以上であり、前記ポリエーテルポリオールの量が前記組成物100質量部に対して0.2~5質量部である、組成物である。
【0015】
本発明の組成物の好適例においては、イソシアネートインデックスが250以上である。
【0016】
本発明の組成物の他の好適例においては、前記組成物に含まれる水酸基を有するポリマーの粘度が2500mPas(25℃)以上である。
【0017】
また、本発明のポリイソシアヌレートフォームは、上記の組成物を発泡させてなるポリイソシアヌレートフォームである。
【0018】
本発明のポリイソシアヌレートフォームの好適例においては、面材付きポリイソシアヌレートフォームである。
【0019】
また、本発明の断熱材は、上記のポリイソシアヌレートフォームからなる断熱材である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の組成物によれば、成形品の表面品質、特には平滑性に優れるポリイソシアヌレートフォームを形成するための組成物を提供することができる。また、本発明のポリイソシアヌレートフォームによれば、かかる組成物から形成されるポリイソシアヌレートフォームを提供することができ、本発明の断熱材によれば、かかるポリイソシアヌレートフォームからなる断熱材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の1つの態様は、ポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物である。ポリイソシアヌレートフォームは、ポリウレタンフォームと同様にポリオールとポリイソシアネートとから得られる樹脂系フォームであり、ウレタン結合を有する重合体を含むものである。一方、ポリイソシアヌレートフォームは、イソシアヌレート環構造を多く含むことから、ポリウレタンフォームと区別される。ポリイソシアネートの三量化反応より生成されるイソシアヌレート環は、ウレタン結合を有する重合体に結合しているが、その一部がウレタン結合を有する重合体に結合していない三量体そのものとしてポリイソシアヌレートフォーム中に存在していてもよい。ポリウレタンフォームを構成する樹脂をウレタン樹脂と称するのに対して、ポリイソシアヌレートフォームを構成する樹脂をポリイソシアヌレート樹脂とも称する。
【0023】
本明細書において、ポリイソシアヌレートフォームとは、イソシアネートインデックスが150以上で、三量化触媒を使用するものを指す。
【0024】
本発明のポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物は、ポリオール、ポリイソシアネート及び発泡剤を含み、これらを混合することで、ポリオールとポリイソシアネートの反応が進行し、ポリイソシアヌレートフォームを形成することが可能である。本明細書においては、本発明のポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物を本発明の組成物とも称する。
【0025】
本発明の組成物は、水酸基を有するポリマーを含む。ここで、該ポリマーは、ポリオールを含むものであるが、1つの水酸基を有するポリマーを含んでいてもよい。例えば、ポリエステルポリオールの調製時に原料としてモノカルボン酸やモノアルコールを使用すると、得られるポリエステルポリオールには1つの水酸基を有するポリエステルポリマーも含まれる。本明細書においては、このように1つの水酸基を有するポリマーも含まれ得る点を考慮して、かかるポリマーをポリエステルアルコールとも称する。
【0026】
ポリオールは、複数の水酸基を有する化合物であり、好ましくは重合体のポリオールである。ポリオールの具体例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリマーポリオール、マンニッヒポリオール等が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物において、水酸基を有するポリマーの量は、ポリイソシアネートの量に応じて適宜調整されるが、例えば、該組成物100質量部に対して、20~35質量部である。なお、水酸基を有するポリマーは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオールが代表例として挙げられ、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、その他の活性水素含有基を2個以上有する化合物等を出発原料に、アルキレンオキサイドを開環付加反応させて製造することができる。
【0029】
ポリオキシアルキレン系ポリオールの出発原料には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、マンノース、ショ糖、フルクトース、デキストロース、ソルビトール等の多価アルコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタアミン等の多価アミン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、ハイドロキノン等の多価フェノール、それらの変性物等が挙げられ、これら出発原料は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
ポリオキシアルキレン系ポリオールを製造する際に、開環付加反応せしめるアルキレンオキサイドには、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられ、これらアルキレンオキサイドは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
ポリマーポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール中にポリアクリロニトリル微粒子やポリスチレン微粒子等のポリマー微粒子が分散したもの等が挙げられる。ポリマーポリオールは、ポリオキシアルキレン系ポリオールを含むものであることから、ポリエーテルポリオールの一種である。
【0032】
マンニッヒポリオールは、フェノール類、アルデヒド類、アルカノールアミン等を縮合反応させ、さらに必要に応じてエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドの開環付加反応を行うことにより、製造することができる。マンニッヒポリオールは、分子中に複数のエーテル結合を有することから、ポリエーテルポリオールの一種である。
【0033】
好適なポリエーテルポリオールの例としては、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを付加反応させて得られる(ジ)エチレングリコール系ポリエーテルポリオール、(ジ)プロピレングリコール系ポリエーテルポリオール、(ジ)グリセリン系ポリエーテルポリオール、トリメチロールプロパン系ポリエーテルポリオール、ペンタエリスリトール系ポリエーテルポリオール、ショ糖系ポリエーテルポリオール、デキストロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、モノ(ジ、トリ)エタノールアミン系ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、ビスフェノールA系ポリエーテルポリオール等のポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール中にポリマー微粒子が分散したポリマーポリオール、マンニッヒポリオール等が挙げられる。
【0034】
ポリエステルポリオールは、ポリエステルの製造条件を調整して製造することができ、例えば、少なくとも主鎖の両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールが挙げられ、より具体的には、直鎖状のポリエステルポリオールや僅かに分岐したポリエステルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールは、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸類と、ジオールと、任意に多価カルボン酸類および/または三官能性以上のポリオールとを使用して、既知の方法で調製することができる。
【0035】
ポリラクトンポリオールは、ラクトンのホモポリマー又はコポリマーであって、少なくとも主鎖の両末端に水酸基を有するポリラクトン等が挙げられる。具体的には、上記ポリオキシアルキレン系ポリオールにおいて説明したような活性水素含有基を2個以上有する化合物等を出発原料として、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトンを開環付加反応させて製造することができる。なお、ポリラクトンポリオールは、分子中に複数のエステル結合を有することから、ポリエステルポリオールの一種である。
【0036】
ポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートの製造条件を調整して製造することができ、少なくとも主鎖の両末端に水酸基を有するポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリブタジエンポリオールは、少なくとも主鎖の両末端に水酸基を有するポリブタジエン等が挙げられる。
【0037】
本発明の組成物において、水酸基を有するポリマーは、ポリエステルアルコールを含む。本明細書において「ポリエステルアルコール」とは、1つの水酸基を有するポリエステルを含み得るポリエステルポリオールを指す。ポリエステルアルコールは、燃焼性に優れ、断熱材として好適なポリイソシアヌレートフォームを得ることができる。
【0038】
ポリエステルアルコールの量は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは15質量部以上であり、より好ましくは15~30質量部であり、更に好ましくは20~30質量部である。ポリエステルアルコールを上記特定した量で用いることで、優れた燃焼性を確保することができる。また、比較的疎水性であるポリエステルアルコールと、親水性である水酸基の高い3官能のポリエーテルのバランスによりHFOの揮発のタイミングを制御することができるため、ポリエステルアルコールを上記特定した量で用いることは好ましい。
【0039】
ポリエステルアルコールは、水酸基価が好ましくは150~500mgKOH/gであり、更に好ましくは150~300mgKOH/gである。ポリエステルアルコールは、分子量が好ましくは200~800g/モルであり、更に好ましくは230~750g/モルである。ポリエステルアルコールは、官能基数が好ましくは1~4であり、更に好ましくは1.3~2.5である。
【0040】
本明細書において、水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基をカルボン酸無水物(例えば、無水酢酸又は無水フタル酸)で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である(JIS K 1557 2007参照)。
【0041】
本明細書において、水酸基を有するポリマー又はポリオールの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
【0042】
本明細書において、水酸基を有するポリマー又はポリオールの官能基数(fn)は、水酸基を有するポリマーの持つ水酸基価(OHV)と数平均分子量(Mn)から次の計算式により求められる。
fn=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56100
【0043】
本発明の組成物において、水酸基を有するポリマーは、カルボキシル基等の酸基を有するポリエステルポリオールを含んでいてもよい。かかるポリエステルポリオールの酸性部分によりポリオールとポリイソシアネートの反応を遅らせ得るが、反応性を同程度にするために三量化触媒の量を多くすることが可能となり、これによってヌレート化反応(イソシアヌレート環の形成)を促進させることができる。
【0044】
本発明の組成物において、水酸基を有するポリマーは、水酸基価350~700mgKOH/gのポリエーテルポリオールであって、3官能のポリオールを出発物質としてプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールを含む。本明細書においては、このポリエーテルポリオールを便宜上「ポリエーテルポリオール(a)」とも称する。
【0045】
ポリエーテルポリオール(a)は、水酸基価の高い3官能のポリエーテルポリオールであり、その構造から水に溶けやすい親水性の性質を持つ。ポリイソシアネートと反応する際、3つの水酸基のうち2つが初期に反応するが、残る1つの水酸基はその立体構造から少し遅れて反応することになる。反応が進むにつれて疎水性の構造を形成するが、反応しない1つの水酸基が残っていることで、ある程度遅くまで親水性の構造を維持することができる。
【0046】
一方、発泡剤としてのハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、疎水性のため、ポリオールとポリイソシアネートの反応過程で疎水性側に移動する。反応熱が徐々にあがっていくことでHFOも揮発していくが、ポリエステルアルコールのような疎水性の構造が多いとHFOは良く溶け込むため、ある反応熱でHFOが一気に揮発することになる。HFOが一気に揮発すると、HFOの持つ樹脂への溶解性の高さのため、特定の箇所で樹脂が柔らかくなり、その柔らかさがフォームの収縮を招き、面材表面の平滑性を失わせると考えられる。
【0047】
ここで、ポリエーテルポリオール(a)は、上記のとおりある程度遅くまで親水性の構造を維持できることから、疎水性であるポリエステルアルコールを一定量以上含む原料から得られる樹脂へのHFOの溶解を制御することができ、特定の箇所で樹脂が柔らかくなるという課題を解決することができる。
【0048】
ポリエーテルポリオール(a)の量は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは0.2~5質量部であり、更に好ましくは0.5~3質量部である。ポリエーテルポリオール(a)の量が多すぎると、フォーム表面にしわが生じる傾向がある。
【0049】
ポリエーテルポリオール(a)は、水酸基価が350~700mgKOH/gであり、好ましくは400~650mgKOH/gであり、更に好ましくは450~600mgKOH/gである。なお、ポリエーテルポリオール(a)の分子量は、例えば200~500g/molであり、好ましくは250~450g/molであり、更に好ましくは280~400g/molである。
【0050】
ポリエーテルポリオール(a)の出発物質である3官能のポリオールとしては、例えば、グリセリンやトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物に含まれる水酸基を有するポリマーの粘度が好ましくは2500mPas(25℃)以上であり、より好ましくは2500~5000mPas(25℃)であり、更に好ましくは2500~4000mPas(25℃)である。水酸基を有するポリマーの粘度は、例えば、芳香族アミン系ポリエーテルポリオールを用いることで容易に増加させることができる。
【0052】
本明細書において、粘度の測定は、JIS K 7117-1:1999に準拠して測定され、ブルックフィールド回転粘度計B型を使用する。
【0053】
本発明の組成物に含まれる水酸基を有するポリマーの粘度とは、水酸基を有するポリマー全体の粘度であり、例えば、各水酸基を有するポリマーの粘度と質量分率から以下のように求めることができる。
[水酸基を有するポリマーの粘度]
本発明の組成物に含まれる水酸基を有するポリマーがn種類からなる場合、各水酸基を有するポリマーの粘度をそれぞれV、V、・・・、Vとし、水酸基を有するポリマー全体における各水酸基を有するポリマーの質量分率をW、W、・・・、Wとして、以下の式より求められる。
水酸基を有するポリマーの粘度=exp(W×ln(V)+W×ln(V)+・・・+W×ln(V))
【0054】
ポリイソシアネートは、複数のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族又は芳香脂肪族のポリイソシアネートが挙げられ、また、これらポリイソシアネートの変性物も含まれる。ポリイソシアネートの変性物としては、例えば、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、ウレア、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、イミノオキサジアジンジオン、オキサジアジントリオン、オキサゾリドン等の構造を有するポリイソシアネートが挙げられる。また、ポリイソシアネートとして、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有プレポリマーを使用してもよい。なお、ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
ポリイソシアネートのうち、芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
ポリイソシアネートは、イソシアネート基含有率が20~40質量%であることが好ましく、25~35質量%であることが更に好ましい。本明細書において、イソシアネート基含有率は、JIS K 1603-1:2007に従い求められる。
【0057】
本発明の組成物において、ポリイソシアネートの量は、例えば、イソシアネートインデックスにより示すことができる。本発明の組成物においては、ポリイソシアヌレートフォームの形成の観点から、イソシアネートインデックスが高く調整されており、イソシアネートインデックスが、好ましくは250以上であり、より好ましくは250~500であり、更に好ましくは250~350である。
【0058】
本明細書において、イソシアネートインデックスとは、ポリオールの他、発泡剤等のイソシアネート基と反応する活性水素の合計に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の比に100を乗じた値である。
【0059】
発泡剤は、一般に、物理的発泡剤と化学的発泡剤に分類される。発泡剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、物理的発泡剤と化学的発泡剤を併用してもよい。発泡剤の量は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部、更に好ましくは2.0~12質量部である。
【0060】
物理的発泡剤の具体例としては、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)等のフロン類、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素、二酸化炭素等が挙げられる。一方、化学的発泡剤としては、水や、ギ酸、酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。
【0061】
本発明の組成物は、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを含む。ハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、フロン類に該当しない物理的発泡剤として好適に使用される発泡剤である。HFOとは、フッ素原子を含有するオレフィン化合物であり、フッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)を更に含有するものも含まれる。HFOのうち塩素原子を更に含有するものは、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)とも称される。本発明の組成物は、ハイドロクロロフルオロオレフィンを含むことが好ましい。なお、HFOとHCFOは区別される場合もあるが、本明細書においては、上述のとおり、HFOにはHCFOが含まれる。
【0062】
ハイドロフルオロオレフィンは、炭素原子の数が2~5個であることが好ましく、また、フッ素原子の数が3~7個であることが好ましい。HFOの分子量は、100~200g/モルであることが好ましい。HFOの具体例としては、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロブテン等が挙げられる。なお、HFOは、シス体とトランス体のいずれの異性体であってもよい。これらHFOは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
ハイドロフルオロオレフィンの量は、本発明の組成物100質量部に対して、例えば0.5~15質量部であり、好ましくは2~12質量部である。
【0064】
本発明の組成物は、フォームの外観や強度を改良する観点から、発泡剤として水を含むことが好ましい。水の量は、本発明の組成物100質量部に対して、例えば0.2~10質量部であり、好ましくは0.5~2質量部である。
【0065】
本発明の組成物は、触媒を含むことが好ましい。触媒としては、水とポリイソシアネートとの反応を促進する触媒(泡化触媒)、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進する触媒(樹脂化触媒)、ポリイソシアネートの三量化反応(即ち、イソシアヌレート環の形成)を促進する触媒(三量化触媒)等が挙げられる。本発明の組成物は、ポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物であることから、少なくとも三量化触媒を含む。
【0066】
泡化触媒としては、例えば、ジモルホリン-2,2-ジエチルエーテル、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル等が挙げられる。
【0067】
樹脂化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン等のアミン触媒、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-N’-メチルピペラジン、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、5-ジメチルアミノ-3-メチル-1-ペンタノール等のアルカノールアミン触媒、オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛、カルボン酸ビスマス、ジルコニウム錯体などの金属触媒等が挙げられる。これらのアミン触媒およびアルカノールアミン触媒としては、炭酸を付加させて合成したアミン炭酸塩やギ酸、酢酸等のカルボン酸を付加させて合成したアミンカルボン酸塩を使用してもよい。
【0068】
三量化触媒としては、例えば、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸の4級アンモニウム塩、又はその他オニウム塩等が挙げられる。
【0069】
触媒の量は、本発明の組成物100質量部に対して、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.2~3質量部である。なお、触媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
本発明の組成物は、整泡剤を含んでもよい。整泡剤は、好ましくは界面活性剤である。界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、両性といったイオン性の界面活性剤や非イオン性界面活性剤があるが、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。また、具体例としては、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤が好適に挙げられる。整泡剤の量は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは1~5質量部である。整泡剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
本発明の組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤は、好ましくはリン系難燃剤である。具体例としては、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリス(β-クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)等が好適に挙げられる。また、ポリリン酸アンモニウムや赤燐などの固体(粉体)難燃剤なども、必要に応じて使用される。難燃剤の量は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは3~15質量部である。難燃剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
本発明の組成物には、その他の成分として、着色剤、充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、防かび剤、抗菌剤、架橋剤、溶媒、減粘剤、減圧剤、分離防止剤等の添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。
【0073】
本発明の組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製することができる。例えば、水酸基を有するポリマーを含むポリオール成分と、ポリイソシアネートからなるポリイソシアネート成分とを混合することで、本発明の組成物が調製できる。
【0074】
本発明の組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との一対からなる原液から構成されることが多い。ポリオール成分は、水酸基を有するポリマーを含み、通常、発泡剤、整泡剤、触媒を含み、難燃剤または更なる添加剤を含んでもよい。また、ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネートからなるが、発泡剤や難燃剤などの添加剤などを含んでもよい。なお、発泡剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合する際に配合される場合もある。
【0075】
本発明の別の態様は、ポリイソシアヌレートフォームである。本発明のポリイソシアヌレートフォームは、上述した本発明のポリイソシアヌレートフォーム形成用組成物を発泡させてなる。本発明の組成物は、ポリオール及びポリイソシアネートを含むことから、両者を混合することで、反応が進行し、ポリイソシアヌレートフォームを形成することが可能である。なお、ポリイソシアヌレートフォーム形成時の温度は20~80℃であることが好ましい。
【0076】
ポリイソシアヌレートフォームの発泡方法は、特に限定されず、既知の発泡手段、例えば、ハンドミキシング発泡、簡易発泡、注入法、フロス注入法、スプレー法等が利用できる。また、ポリウレタンフォームの成形方法も、特に限定されず、既知の成形手段、例えば、モールド成形、スラブ成形、ラミネート成形、現場発泡成形等が利用できる。
【0077】
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、船舶、車両、プラント類、断熱機器、建築、土木、家具、インテリア等の各種用途に使用できるが、断熱材、具体的には断熱機器、例えば冷蔵倉庫や冷凍倉庫の断熱部材として好適に使用できる。
【0078】
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、面材付きポリイソシアヌレートフォームであることが好ましく、金属面材付きポリイソシアヌレートフォームであることが更に好ましい。本明細書において、面材付きポリイソシアヌレートフォームとは、ポリイソシアヌレートフォームの片面又は両面に箔や板等の面材を付した板状の複合材料であり、各種用途の断熱材として使用できる。
【0079】
面材等の被接着体の好適な例としては、金属やその他の無機材料が挙げられ、特に、アルミニウムおよびその合金、ステンレスおよびその合金、鉄およびその合金、銅およびその合金等が挙げられる。また、被接着体の表面には、本発明の組成物が付着する面に所望によりコーティングが施されていてもよい。コーティングとしては、ポリエステル樹脂等の有機高分子コーティング剤等が挙げられる。被接着体の厚みは、0.2~0.6mmであることが好ましい。
【0080】
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、密度が、例えば5~80kg/mであり、25~70kg/mであることが好ましく、40~65kg/mであることが更に好ましい。本明細書において、ポリイソシアヌレートフォームの密度は、JIS K 7222:2005に準拠して測定される。
【0081】
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、測定の中心温度が23℃の場合、熱伝導率が0.0185~0.0280W/m・Kであることが好ましく、0.0190~0.0260W/m・Kであることが更に好ましい。本明細書において、熱伝導率は、JIS A 1412-2:1999に準拠して測定される。
【0082】
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、優れた難燃性を奏することができる。本明細書において「優れた難燃性」とは、ISO5660の発熱性試験法(コーンカロリーメータ法)で測定される総発熱量が8MJ/m以下であることを意味する。
【0083】
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、ISO5660の発熱性試験法(コーンカロリーメータ法)で測定した場合、総発熱量が、好ましくは8MJ/m以下であり、更に好ましくは7MJ/m以下であり、最大発熱速度が、好ましくは150kw/m以下、更に好ましくは60kw/m以下であり、加熱減量が、好ましくは50wt%以下、更に好ましくは20wt%以下である。
【0084】
なお、本明細書において、ISO5660の発熱性試験法(コーンカロリーメータ法)による測定方法は、後述する実施例に記載の方法による。
【0085】
<難燃性ポリイソシアヌレートフォームの用途>
本発明のポリイソシアヌレートフォームは、優れた難燃性を有することから、難燃性が必要とされる種々の用途に適用することができる。
とりわけ、本発明の難燃性ポリイソシアヌレートフォームは、マンション等の集合住宅、戸建住宅、学校や商業ビル等の各種施設や、工場の配管、自動車および鉄道車両に用いられる建築材や断熱材として有利に利用することができる。
【0086】
また、本発明のポリイソシアヌレートフォームは、スプレー方式による現場施工タイプの断熱材および結露防止材、工場ラインでパネルやボード等の建材等を製造する際にも使用することができる。
【0087】
したがって、好ましい態様によれば、本発明の難燃性ポリイソシアヌレートフォームを備えてなる断熱材が提供される。
また、別の好ましい態様によれば、本発明の難燃性ポリイソシアヌレートフォームを備えてなる建築材が提供される。
【0088】
本発明の別の態様は、断熱材である。本発明の断熱材は、上述した本発明のポリイソシアヌレートフォームからなる断熱材である。断熱材は、例えば、断熱機器、例えば冷蔵倉庫や冷凍倉庫の断熱部材が挙げられる。また、本発明の断熱材は、マンション等の集合住宅、戸建住宅、学校や商業ビル等の各種施設や、冷凍倉庫、浴槽、工場の配管、自動車および鉄道車両に使用できる。
【実施例0089】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0090】
1.概略
高圧発泡機を使用し、水酸基を有するポリマーと発泡剤などを混合した混合液(ポリオール成分)とポリイソシアネートを所定の配合比にて混合し、一定の温度・圧力で混合液を金属面材を上下に配した型に吐出し、ポリイソシアヌレートフォームを得て、一定時間後下面の注入部付近の深さを測定する。
【0091】
2.装置及び機器
高圧発泡機(HK-650P、Hennecke社製)
割り箸
ストップウオッチ(ラップ機能のあるもの)
型(アルミニウム製、内寸:長さ2000mm、幅900mm、厚み100mm)
【0092】
3.材料
1)水酸基を有するポリマー
ポリエステルアルコールA:ポリエステルアルコール[ファントール 6301:昭和電工マテリアルズ(株)製]、官能基数:1.7、水酸基値250mgKOH/g、粘度2500mPa・s(25℃)
ポリオールB:ポリエステルポリオール[マキシモール RFK-505:川崎化成工業(株)製]、官能基数:2.0、水酸基値250mgKOH/g、粘度5300mPa・s(25℃)
ポリオールC:芳香族アミン系ポリエーテルポリオール[SBU ポリオール Z450:住化コベストロウレタン(株)製]、官能基数:4、水酸基値340mgKOH/g、粘度12000mPa・s(25℃)
ポリオールD:ポリエーテルポリオール[SBU ポリオール S429:住化コベストロウレタン(株)製]、官能基数:3、水酸基値250mgKOH/g、粘度230mPa・s(25℃)
ポリオールE:ポリエーテルポリオール[MULTRANOL 9158:住化コベストロウレタン(株)製]、官能基数:3、水酸基値470mgKOH/g、粘度450mPa・s(25℃)
ポリオールF:ポリエーテルポリオール[SUMIPHEN TM:住化コベストロウレタン(株)製]、官能基数:3、水酸基値370mgKOH/g、粘度600mPa・s(25℃)
ポリオールG:ポリエーテルポリオール[SUMIPHEN VO:住化コベストロウレタン(株)製]、官能基数:3、水酸基値550mgKOH/g、粘度1600mPa・s(25℃)
ポリオールH:ポリエステルポリオール[マキシモール RAK-253:川崎化成工業(株)製]、官能基数:2、水酸基値360mgKOH/g、粘度3200mPa・s(25℃)、酸価180mgKOH/g
2)ポリイソシアネート
ポリイソシアネート:ポリメリックMDI[スミジュール 44V20 L:住化コベストロウレタン(株)製]、イソシアネート基含有率:31.5質量%
3)発泡剤
発泡剤A:水
発泡剤B:HCFO-1233zd(分子量130)
発泡剤C:HFO-1224yd(分子量148.5)
発泡剤D:HFO-1336mzz(Z)(分子量164)
4)その他添加剤
触媒A:ジモルホリン-2,2-ジエチルエーテル
触媒B:1,2-ジメチルイミダゾール70質量%+ジエチレングリコール30質量%
触媒C:オクチル酸カリウム
触媒D:オニウム塩溶液
整泡剤:シリコーン系非イオン性界面活性剤[TEGOSTAB B8460:エボニック ジャパン(株)製]
難燃剤:トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート
5)面材
アルミニウム面材
【0093】
3.方法
<ポリオール成分の調製>
1) 窒素置換した混合釜に所定量の各種ポリオール及び触媒等を投入して混合する。
2) 30分以上撹拌し、十分撹拌されたことを目視で確認する。
3) 2)で確認した混合液に発泡剤を所定量になるように添加し、充分に混合する。混合後、秤量し減量した発泡剤を追加し、再度混合する。
なお、ポリオール成分の配合処方(質量部)は、表1~2に示される。
<ポリイソシアヌレートフォームの製造>
4) Hennecke社製の高圧発泡機であるHK-650Pを使用し、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を19~23℃に調整し、吐出圧12MPaでウレタン注入成形を行った。ポリオール成分とポリイソシアネート成分の混合質量比は、表1~2に示される。
5) あらかじめ55℃に加温し、アルミニウム面材を上下に配置した型(内寸長さ2000mm、幅900mm、厚み100mm)の中央部1点にフォーム形成用組成物を注入する。
6) 型の長さ方向にポリイソシアヌレートフォームが詰まりきらない量を注入し、半円状の両端をカットして直方体をサンプリングした後、重さと体積を測定し、ジャスト密度(kg/m)を算出する。型に充填されたサンプルの密度をジャスト密度という。
7) ジャスト密度から型(内寸長さ2000mm、幅900mm、厚み100mm)のジャスト重量を算出し、それに対し1.25倍の量を注入し、ポリイソシアヌレートフォーム成形物を作製する。
8) フォーム形成用組成物を注入してから30分後、型から面材付きのポリイソシアヌレートフォーム成形物を取り出す。
9) ポリイソシアヌレートフォームを取り出した後、30分以内に0℃の条件下に置き、その後約24時間経過させる。
10) ウレタン注入した下面側の面材の上に直角になるように直尺を置き、直尺と面材の隙間の最大値をシクネスゲージ(新潟精機株式会社 100ML)もしくはテーパーゲージ(新潟精機株式会社 270A)を用いて測定する。得られた結果を「注入下面の最大凹み」として表1~2に示す。
11) また、下面側の面材について、蛍光灯(直管型)の下で該蛍光灯が面材に映り込む像を目視で確認し、下記の基準で平滑性を評価した。評価結果を表1~2に示す。
(評価基準)
◎ :表面が平滑であり、蛍光灯の像が直線で見えた。
○ :表面が平滑であり、蛍光灯の像が直線で見えたが、わずかに微細な凹凸があるように見えた。
× :表面が平滑ではなく、蛍光灯の像の波打ちが見えた。
【0094】
<ゲルタイムの測定方法>
フォーム形成用組成物の反応性を確認するため、所定の温度圧力で、溢れない程度の量を2Lデスカップに注入し、注入下混合液を割り箸で触った際に、混合液が糸を引き始めるまでの時間をゲルタイム(秒)として測定した。測定結果を表1~2に示す。
【0095】
<難燃性評価>
ポリイソシアヌレートフォームの難燃性(総発熱量)を、以下の装置および条件により、ISO5660に準拠して測定した。評価結果を表1~2に示す。
装置:東洋精機製作所社製 CONE CALORIMETER C4
条件:輻射熱:50kW/m
サンプル位置:60mm(コーンヒーターからサンプル面である面材までの距離)
加熱時間:20分
サンプルサイズ:100×100×40mm(パネル中央部の凹みのない下面面材を含む部分で切り出し)
パネル養生期間:3日(成形後)
サンプル養生期間:1日(切り出し後)
測定された総発熱量が8MJ/m以下の場合に顕著な難燃性が認められる(難燃性○)との評価とし、総発熱量が8MJ/mより大きい場合に顕著な難燃性が認められない(難燃性×)との評価とした。評価結果を表1~2に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
表1~2から、実施例のポリイソシアヌレートフォームは、比較例1~5と比較して、成形品の表面品質に優れていることが分かる。