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特開2022-64059画像合成装置及び画像合成方法並びに画像合成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064059
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】画像合成装置及び画像合成方法並びに画像合成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20220418BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
G06T11/60 100A
H04N1/387 110
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172565
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 徹
【テーマコード(参考)】
5B050
5C076
【Fターム(参考)】
5B050BA06
5B050BA16
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5C076AA12
5C076AA17
5C076CA10
(57)【要約】
【課題】視認性を高めることを目的とする。
【解決手段】画像合成装置1は、コンテンツ画像に対してコンテンツ画像よりもサイズの小さなロゴ画像を重畳させて表示画像を作成する。画像合成装置1は、ロゴ画像の代表色を特定する第1色情報特定部22と、コンテンツ画像においてロゴ画像を配置する複数の配置領域候補のそれぞれについて代表色を特定する第2色情報特定部23と、ロゴ画像の代表色と各配置領域候補の代表色との色差に基づいて、複数の配置領域候補の中からロゴ画像を配置する配置領域を決定する決定部24とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像に対して第1画像よりもサイズの小さな第2画像を重畳させて表示画像を作成する画像合成装置であって、
第2画像の代表色を特定する第1色情報特定部と、
前記第1画像において前記第2画像を配置する複数の配置領域候補のそれぞれについて代表色を特定する第2色情報特定部と、
前記第2画像の代表色と各前記配置領域候補の代表色との色差に基づいて、複数の前記配置領域候補の中から前記第2画像を配置する配置領域を決定する決定部と
を備える画像合成装置。
【請求項2】
前記第2画像は、複数の第2画像候補を含み、
前記第1色情報特定部は、前記第2画像候補毎に代表色を特定し、
前記決定部は、
各前記第2画像候補の代表色と各前記配置領域候補の代表色との色差に基づいて、前記第2画像候補と前記配置領域候補の組み合わせ毎に第1評価値を決定する評価値決定部と、
前記第1評価値に基づいて複数の前記第2画像候補の中から前記第1画像に重畳させる前記第2画像を決定するとともに、複数の前記配置領域候補の中から前記第2画像を配置する配置領域を決定する配置領域決定部と
を備える請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項3】
前記第1色情報特定部は、各前記第2画像候補において2つ以上の前記代表色を特定可能とされている請求項2に記載の画像合成装置。
【請求項4】
2つ以上の前記代表色を特定する場合に、前記第2画像候補における前記代表色の占有領域に基づいて各前記代表色に優先度が付与され、
前記評価値決定部は、前記第2画像候補における前記代表色の優先度と前記色差とに基づいて前記第1評価値を決定する請求項3に記載の画像合成装置。
【請求項5】
前記第2色情報特定部は、前記第2画像候補における前記代表色の数に応じて、各前記配置領域候補において特定する前記代表色の数を調整する請求項3または4に記載の画像合成装置。
【請求項6】
前記配置領域候補は、ユーザによる設定が可能とされている請求項1から5のいずれかに記載の画像合成装置。
【請求項7】
各前記第2画像候補には優先度が設定されており、
前記評価値決定部は、前記第2画像候補毎に優先度に応じた第2評価値を決定し、
前記配置領域決定部は、前記第1評価値及び前記第2評価値に基づいて前記第2画像及び前記配置領域を決定する請求項2から5のいずれかに記載の画像合成装置。
【請求項8】
前記評価値決定部は、各前記配置領域候補に含まれるオブジェクトの大きさに応じた第3評価値を決定し、
前記配置領域決定部は、前記第1評価値及び前記第3評価値に基づいて前記第2画像及び前記配置領域を決定する請求項2から5のいずれかに記載の画像合成装置。
【請求項9】
前記評価値決定部は、各前記配置領域候補に含まれるオブジェクトの大きさに応じた第3評価値を決定し、
前記配置領域決定部は、前記第1評価値、前記第2評価値及び前記第3評価値に基づいて前記第2画像及び前記配置領域を決定する請求項7に記載の画像合成装置。
【請求項10】
前記評価値決定部は、各前記配置領域候補の二値画像に基づいて前記第3評価値を演算する請求項9に記載の画像合成装置。
【請求項11】
第1画像に対して第1画像よりもサイズの小さな第2画像を重畳させて表示画像を作成する画像合成方法であって、
第2画像の代表色を特定する工程と、
前記第1画像において前記第2画像を配置する複数の配置領域候補のそれぞれについて代表色を特定する工程と、
前記第2画像の代表色と各前記配置領域候補の代表色との色差に基づいて、複数の前記配置領域候補の中から前記第2画像を配置する配置領域を決定する工程と
をコンピュータが実行する画像合成方法。
【請求項12】
コンピュータを請求項1から10のいずれかに記載の画像合成装置として機能させるための画像合成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像合成装置及び画像合成方法並びに画像合成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介した広告付与が盛んに行われている。広告付与としては、ウェブページの所定の位置に企業、商品等を表示する画像、またはキャッチコピー等の広告情報を表示し、このような広告情報がクリックされた場合に広告主のウェブページへ遷移するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ノートPCやタブレット端末等の情報処理装置が備える表示画面の一部または全面に、天気、カレンダー、最新のニュースなどを自動的に順次切り替えて表示させるアプリケーションが提案されている。そして、このようなアプリケーションにおいて、天気、カレンダー、ニュースなどのコンテンツの切り替えの合間に、広告情報を定期的に表示させる試みがなされている。
【0004】
上記広告情報を表示させる場合、例えば、コンテンツプロバイダから提供されるコンテンツ画像に、同じくコンテンツプロバイダから提供された複数のロゴ画像(例えば、色違いのロゴ画像等)の一つを重畳させることにより、広告情報を作成することがある。
一般的に、複数のロゴ画像には優先度が紐づけられている。このため、従来は、優先度が最も高いロゴ画像をコンテンツ画像の所定の位置(例えば、コンテンツ画像の右下)に配置することにより、広告情報を作成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-22561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最も優先度の高いロゴ画像をコンテンツ画像の決まった位置に配置する従来の手法では、背景色との兼ね合いにより、ロゴ画像がコンテンツ画像と同化してしまい、ロゴ画像の視認性が低い場合があった。
また、このような問題は、上述した広告情報の作成に限られず、ある画像に他の画像を重畳させる際に発生する問題である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、視認性を高めることのできる画像合成装置及び画像合成方法並びに画像合成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、第1画像に対して第1画像よりもサイズの小さな第2画像を重畳させて表示画像を作成する画像合成装置であって、第2画像の代表色を特定する第1色情報特定部と、前記第1画像において前記第2画像を配置する複数の配置領域候補のそれぞれについて代表色を特定する第2色情報特定部と、前記第2画像の代表色と各前記配置領域候補の代表色との色差に基づいて、複数の前記配置領域候補の中から前記第2画像を配置する配置領域を決定する決定部とを備える画像合成装置である。
【0009】
本発明の第2態様は、第1画像に対して第1画像よりもサイズの小さな第2画像を重畳させて表示画像を作成する画像合成方法であって、第2画像の代表色を特定する工程と、前記第1画像において前記第2画像を配置する複数の配置領域候補のそれぞれについて代表色を特定する工程と、前記第2画像の代表色と各前記配置領域候補の代表色との色差に基づいて、複数の前記配置領域候補の中から前記第2画像を配置する配置領域を決定する工程とをコンピュータが実行する画像合成方法である。
【0010】
本発明の第3態様は、コンピュータを上記画像合成装置として機能させるための画像合成プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、視認性を高めることができるとの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る画像合成装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像合成装置が有する各種機能のうち、画像合成に関する機能の一例を抽出して示した機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第1色情報特定部によって行われる代表色特定処理を概念的に説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る配置領域候補の一例を示した図である。
図5】本発明の一実施形態に係る第2色情報特定部によって行われる代表色特定処理を概念的に説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る評価値決定部によって行われる評価値決定処理を概念的に説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコンテンツ画像の二値画像を示した図である。
図8】本発明の一実施形態に係る総合評価値の一例を示した図である。
図9】本発明の一実施形態に係る画像合成処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る画像合成装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像合成装置1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図1に示すように、画像合成装置1は、例えば、CPU11、CPU11が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための補助記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置13、ネットワークに接続するための通信装置14、入力装置15、表示装置16等を備えている。これら各部は、例えば、バス18を介して接続されている。補助記憶装置12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気ディスク、光磁気ディスク、SSD(Solid State Drive)等の半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0014】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、画像合成プログラム)の形式で補助記憶装置12に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置13に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、補助記憶装置12に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0015】
図1において、通信装置14は、インターネットに代表されるネットワークに接続され、ネットワークとのインターフェースを図るものである。入力装置15は、例えば、リモコン、キーボード、マウス、タッチパネル等、ユーザが画像合成装置1に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。表示装置16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示画面を有し、画像合成装置1によって実行された処理の結果等を表示するものである。
【0016】
図2は、本実施形態に係る画像合成装置1が有する各種機能のうち、画像合成に関する機能の一例を抽出して示した機能ブロック図である。図2に示すように、画像合成装置1は、例えば、記憶部21、第1色情報特定部22、第2色情報特定部23、決定部24を主な構成として備えている。
【0017】
記憶部21には、画像データが格納される。例えば、記憶部21には、コンテンツ画像(第1画像)CT及びコンテンツ画像CTよりもサイズが小さく、コンテンツ画像CTに重畳されるロゴ画像(第2画像)が格納される。本実施形態では、記憶部21に、2つのロゴ画像PT1、PT2がロゴ画像候補として格納されている場合を例示しているが、この例に限定されない。すなわち、ロゴ画像の候補は、少なくとも1つ格納されていれば、その数については限定されない。
【0018】
コンテンツ画像CT及びロゴ画像PT1、PT2は、例えば、コンテンツプロバイダから提供される画像データである。例えば、記憶部21には、コンテンツプロバイダから提供された画像データ、または、コンテンツプロバイダが管理するサーバからダウンロードした画像データが格納される。
【0019】
第1色情報特定部22は、各ロゴ画像PT1、PT2において、代表的な色を代表色として特定する。代表色は、2つ以上特定することも可能である。例えば、第1色情報特定部22は、ロゴ画像PT1、PT2に含まれる全ての色を代表色として取得してもよいし、占有領域(例えば、画素数)の大きい色から順に所定数を代表色として特定してもよいし、占有領域(例えば、画素数)が所定の基準値を超える色を代表色として特定してもよい。また、代表色には、色の占有領域に応じた優先度が付加されてもよい。
【0020】
図3は、第1色情報特定部22によって行われる代表色特定処理を概念的に説明するための図である。図3では、一例として、ロゴ画像PT1、PT2は同じデザインとされ、中央に「FLOWER SHOP」の文字が2段で記載され、その文字を挟むように上下に2本のラインが配置されたデザインとされている。
ロゴ画像PT1において、背景は色CL1、文字とラインは色CL2とされ、ロゴ画像PT2において、背景は透明、文字とラインは色CL3とされている場合を想定する。
【0021】
このような場合、第1色情報特定部22は、例えば、ロゴ画像PT1から、占有領域の大きい順に、色CL1を第1代表色、色CL2を第2代表色として特定する。本実施形態では、第1代表色の方が、第2代表色よりも占有領域が大きく、ゆえに優先度が高いものとする。また、3つ以上代表色を特定する場合においても、第1、第2の順に高い優先度を設定するとよい。
また、第1色情報特定部22は、ロゴ画像PT2から、色CL3を代表色として設定する。なお、背景である透明色は、代表色として特定されない。透明色の場合、その領域の色は、ロゴ画像が配置される配置領域の色に左右されるからである。
【0022】
第2色情報特定部23は、コンテンツ画像CTにおいてロゴ画像を配置する複数の配置領域候補のそれぞれについて代表色を特定する。配置領域候補のサイズは、ロゴ画像PT1、PT2と同じ大きさとされている。配置領域候補は、予め設定されている領域であってもよいし、入力装置15からユーザによって設定される領域であってもよい。また、配置領域候補は、1つ以上設定されていればよく、数は限定されない。また、配置領域候補は、互いに重なりあう領域が生じていてもよい。
図4は、配置領域候補の一例を示した図である。図4において、配置領域候補A1~A4は、コンテンツ画像CTの四隅にそれぞれ設定されている。
【0023】
第2色情報特定部23は、例えば、それぞれの配置領域候補A1~A4において代表的な色を代表色として特定する。特定する代表的の色の数は特に限定されないが、例えば、上述したロゴ画像の代表色の数に合わせて設定されてもよい。例えば、図3に示した例では、1つのロゴ画像(例えば、ロゴ画像PT1)から最大2つの代表色が特定されていたため、以下、各配置領域候補A1~A4から2つの代表色をそれぞれ特定する場合を例示する。
【0024】
第2色情報特定部23は、例えば、各配置領域候補A1~A4において占有領域(例えば、画素数)の大きい順に2つの代表色を特定する。
【0025】
図5は、第2色情報特定部23によって行われる代表色特定処理を概念的に説明するための図である。第2色情報特定部23は、例えば、配置領域候補A1から、占有領域の大きい順に、色CL11を第1代表色、色CL12を第2代表色として特定する。同様に、配置領域候補A2から、色CL13を第1代表色、色CL14を第2代表色として、配置領域候補A3から、色CL15を第1代表色、色CL16を第2代表色として、配置領域候補A4から、色CL17を第1代表色、色CL18を第2代表色としてそれぞれ特定する。
【0026】
決定部24(図2参照)は、例えば、第1色情報特定部22によって特定された各ロゴ画像PT1、PT2の代表色と、第2色情報特定部23によって特定された各配置領域候補A1~A4の代表色との色差に基づいて、複数のロゴ画像候補であるロゴ画像PT1、PT2の中からコンテンツ画像に重畳させるロゴ画像を決定するとともに、複数の配置領域候補A1~A4の中からロゴ画像を配置する配置領域を決定する。
決定部24は、例えば、評価値決定部31及び配置領域決定部32を備えている。
【0027】
評価値決定部31は、例えば、各ロゴ画像の各代表色と各配置領域候補A1~A4の各代表色との色差に基づいて、ロゴ画像PT1,PT2と配置領域候補A1~A4の組み合わせ毎に第1評価値を決定する。
例えば、図3及び図5に示した例では、評価値決定部31は、ロゴ画像PT1の各代表色CL1及び第2代表色CL2と、配置領域候補A1~A4の各第1代表色CL11、CL13、CL15、CL17及び各第2代表色CL12、CL14、CL16、CL18との全ての組み合わせにおいて色差を演算し、演算した色差に基づいて第1評価値を決定する。
【0028】
図6は、評価値決定部31によって行われる評価値決定処理を概念的に説明するための図である。図6に示すように、例えば、評価値決定部31は、ロゴ画像PT1の第1代表色CL1と、各配置領域候補A1~A4の第1代表色CL11、CL13、CL15、CL17とを比較し、色差(色の距離)をそれぞれ算出する。この結果、図6に示すように、4つの色差がそれぞれ算出される。色差は、例えば、色相、明度、彩度の3つの基準からユークリッド距離、マンハッタン距離等を求めることで算出することとしてもよいし、CIE DE2000で規定される色差式を用いて算出してもよい。
【0029】
評価値決定部31は、算出した4つの色差のうち、最大の色差(259.8)が得られた配置領域候補A4に対して、所定の評価値(例えば、4点)を付与し、他の配置領域候補A1~A3にはそれよりも低い評価値(例えば、0点)を付与する。なお、評価値の与え方は一例であり、運用に応じて適宜決定すればよい。
【0030】
続いて、評価値決定部31は、ロゴ画像PT1の第1代表色であるCL1と、各配置領域候補A1~A4の第2代表色CL12、CL14、CL16、CL18とを比較し、色差をそれぞれ算出する。そして、算出した4つの色差のうち、最大の色差が得られた配置領域候補に対して、所定の評価値(例えば、3点)を付与し、他の配置領域候補にはそれよりも低い評価値(例えば、0点)を付与する。
【0031】
また、評価値決定部31は、ロゴ画像PT1の第2代表色CL2についても同様の処理を行う。すなわち、ロゴ画像PT1の第2代表色CL2と、各配置領域候補A1~A4の第1代表色である色CL11、CL13、CL15、CL17とを比較することで色差を算出し、算出した色差に基づいて各配置領域候補A1~A4に評価値を付与する。また、ロゴ画像PT1の第2代表色CL2と、各配置領域候補A1~A4の第2代表色CL12、CL14、CL16、CL18とを比較することで色差を算出し、算出した色差に基づいて各配置領域候補A1~A4に評価値を付与する。
【0032】
上記処理を行うことにより、ロゴ画像PT1との組み合わせにおいて、各配置領域候補A1~A4にはそれぞれ4つの評価値が付与されることとなる。評価値決定部31は、配置領域候補毎に評価値を累計することにより、配置領域候補毎に第1評価値を算出する。
【0033】
また、評価値決定部31は、ロゴ画像PT2についても同様の処理を行う。これにより、ロゴ画像PT2については、代表色である色CL3と各配置領域候補A1~A4の第1代表色との色差に基づく評価値及び色CL3と、各配置領域候補A1~A4の第2代表色との色差に基づく評価値とが算出される。そして、これらを配置領域候補A1~A4毎に累計することにより、第1評価値を演算する。
【0034】
なお、第1代表色と第2代表色とで付与する評価値の値を変えてもよい。一例として、第1代表色同士の比較では「4点」の評価値を、第1代表色と第2代表色との比較では「3点」の評価値を、第2代表色同士の比較では「1点」の評価値を付与することとしてもよい。このように、第1代表色と第2代表色とで評価値を変えることにより、視認性に影響を及ぼす程度が高い色に対して高い評価値を付与することができる。
【0035】
なお、ロゴ画像PT1、PT2において、第1色情報特定部22によって特定された代表色の数が異なる場合には、第1評価値の最大値がロゴ画像間で異なることとなる。このような場合には、正規化やその他の公知の演算手法によって、ロゴ画像PT1、PT2間での第1評価値の調整を行うことにより、代表色の数が異なることによる第1評価値の偏りを低減又は解消すればよい。また、このような第1評価値の調整を回避するために、各ロゴ画像において特定する代表色の数を一致させることとしてもよい。
【0036】
また、評価値決定部31は、ロゴ画像PT1、PT2に設定された優先度に応じて第2評価値を決定する。優先度は、例えば、コンテンツプロバイダによって予め設定されている。例えば、ロゴ画像PT1の方がロゴ画像PT2よりも高い優先度が設定されていた場合には、ロゴ画像PT1に対して「1」の第2評価値を付与する。
【0037】
また、評価値決定部31は、配置領域候補A1~A4に含まれるオブジェクトの大きさに応じた第3評価値を決定する。例えば、評価値決定部31は、各配置領域候補A1~A4の二値画像を取得し、二値画像に基づいてオブジェクトの占有率が所定の基準値以上か否かに応じて第3評価値を決定する。本実施形態では、一例として、オブジェクトの占有率が基準値以上の場合に、「1」の第3評価値を付与する。
【0038】
図7にコンテンツ画像CTの二値画像を示す。図7に示した二値画像において、例えば、配置領域候補A3、A4については、オブジェクトの占有率が基準値以上であると判定され、「1」の第3評価値が付与される。なお、オブジェクトの占有率が高いほど、視認性が悪くなるため、後述の(1)式に示されるように、第3評価値は減点要素となる。
【0039】
配置領域決定部32は、評価値決定部31によって決定された第1評価値、第2評価値及び第3評価値に基づいて、ロゴ画像の候補である複数のロゴ画像PT1、PT2の中からコンテンツ画像CTに重畳するロゴ画像を決定するとともに、ロゴ画像を配置する配置領域を複数の配置領域候補A1~A4の中から決定する。例えば、配置領域決定部32は、第1評価値、第2評価値及び第3評価値をパラメータとして総合評価値を演算するための評価演算式を有しており、この評価演算式に各ロゴ画像と各配置領域候補A1~A4との組み合わせにおいて決定された第1評価値、第2評価値、及び第3評価値を代入することにより、総合評価値を演算する。
【0040】
評価演算式の一例は、以下の(1)式で与えられる。
総合評価値=ax+by-cz (1)
【0041】
上記(1)式において、a,b,cは、重みづけ値であり、評価値の重要度に応じて任意に決定される値である。また、xは第2評価値、yは第1評価値、zは第3評価値である。また、上述したように、オブジェクトの占有率に基づいて決定される第3評価値は、負の評価値として取り扱われる。
【0042】
配置領域決定部32は、上記(1)式に基づいて総合評価値を演算し、総合評価値が最も大きいロゴ画像と配置領域候補との組み合わせを決定する。そして、決定した配置領域候補に、決定したロゴ画像を重畳させることにより、合成画像を作成する。この合成画像は、例えば、表示画面に広告情報として表示される。
【0043】
図8は、総合評価値の一例を示した図である。図8に示されるように、ロゴ画像PT1、PT2毎に、各配置領域候補A1~A4の第1評価値、第2評価値、第3評価値、及び総合評価値が算出される。図8に示した総合評価値では、ロゴ画像PT1と配置領域候補A2との組み合わせに対する総合評価値が最大である。従って、コンテンツ画像CTの配置領域候補A2に、ロゴ画像PT1を重畳させることにより、合成画像が作成されることとなる。
【0044】
次に、本実施形態に係る画像合成処理について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る画像合成処理の手順の一例を示したフローチャートである。
以下に説明する一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、画像合成プログラム)の形式で補助記憶装置12に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置13に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各処理が実現される。
【0045】
まず、ロゴ画像PT1、PT2毎に代表色を特定する(SA1)。続いて、コンテンツ画像CTに設定された各配置領域候補A1~A4について代表色を特定する(SA2)。
次に、各ロゴ画像PT1、PT2の各代表色と、各配置領域候補A1~A4の各代表色との全ての組み合わせについて色差を算出し、算出したこれら色差に基づいて、ロゴ画像PT1、PT2毎に、各配置領域候補A1~A4の第1評価値を決定する(SA3)。
【0046】
次に、ロゴ画像PT1、PT2の優先度に応じて、第2評価値を決定する(SA4)。続いて、配置領域候補A1~A4の二値画像からオブジェクトの占有率を算出し、算出したオブジェクトの占有率に基づいて第3評価値を決定する(SA5)。
そして、第1評価値~第3評価値に基づいて総合評価値を演算し、総合評価値に基づいてコンテンツ画像CTに重畳するロゴ画像を決定するとともに、このロゴ画像を配置する配置領域を決定し(SA6)、本処理を終了する。
【0047】
上述したように、本実施形態に係る画像合成装置、画像合成方法、及び画像合成プログラムによれば、ロゴ画像における代表色と、各配置領域候補における代表色との色差に基づいて、ロゴ画像を配置する配置領域を決定するので、視認性の高い合成画像を作成することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態によれば、代表色として複数の代表色を特定するので、より詳細な色の分析を行うことができ、視認性のより高い合成画像を作成することが可能となる。
【0049】
また、ロゴ画像の優先度に応じた第2評価値をパラメータとして用いて総合評価値を演算することにより、優先度も考慮したロゴ画像及び配置領域の選定を行うことが可能となる。
【0050】
さらに、各配置領域候補におけるオブジェクトの占有率に応じた第3評価値をパラメータとして用いて総合評価値を演算することにより、オブジェクトの占有率も考慮したロゴ画像及び配置領域の選定を行うことが可能となる。
【0051】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した画像合成処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0052】
例えば、上述した実施形態では、ロゴ画像の候補として複数のロゴ画像PT1、PT2が提供され、また、複数の配置領域候補A1~A4が設定されている場合について説明したが、この例に限定されない。例えば、本実施形態に係る合成画像装置、合成画像方法、合成画像プログラムは、1つのロゴ画像に対して複数の配置領域候補が設定されている場合や、複数のロゴ画像の候補に対して一つの配置領域候補が設定されている場合にも適用することが可能である。
【0053】
また、上述した実施形態では、第1評価値、第2評価値、及び第3評価値から総合評価値を算出する場合について述べたが、この例に限定されない。例えば、第1評価値、第2評価値、及び第3評価値のうちの少なくともいずれか一つの評価値に基づいて、コンテンツ画像CTに重畳させるロゴ画像を決定したり、コンテンツ画像CTにおいてロゴ画像を配置する配置領域を決定したりしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、コンテンツプロバイダから提供されたコンテンツ画像CTに対してロゴ画像を重畳させて広告情報を作成する場合を例示して説明したが、この例に限定されない。すなわち、上述した実施形態に係る合成画像装置、合成画像方法、合成画像プログラムは、ある画像に対してその画像よりもサイズの小さい他の画像を重畳させることにより合成画像を作成する場合に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 :画像合成装置
11 :CPU
12 :補助記憶装置
13 :主記憶装置
14 :通信装置
15 :入力装置
16 :表示装置
21 :記憶部
22 :第1色情報特定部
23 :第2色情報特定部
24 :決定部
31 :評価値決定部
32 :配置領域決定部
図1
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図9