(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064117
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】給電制御システム及び制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220418BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20220418BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220418BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20220418BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/20
H02J50/80
H02J50/90
B23Q17/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172650
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000138071
【氏名又は名称】株式会社メトロール
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】和佐 有祐
(72)【発明者】
【氏名】菅野 隆行
【テーマコード(参考)】
3C029
5G503
【Fターム(参考)】
3C029AA01
3C029AA06
3C029AA12
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA05
5G503GB08
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】工作機械に設置されるセンサの電源に対する充電を、簡便且つ安全に行うことが可能な測定システムを提供する。
【解決手段】電子デバイス30に給電する給電制御システム1であって、該電子デバイス30を駆動するためのバッテリー33と、該電子デバイス30に電力を伝送するための電波を取得する受電アンテナ31と、受電アンテナ31によって受電した電波を電力に変換する変換部34と、変換部34によって変換された電力をバッテリー33に充電する充電部35と、を備える電子デバイス30と、前記電子デバイス30の動作に影響を与えないように受電アンテナ31に電力を伝送する条件を制御する給電制御部44と、を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスに給電する給電制御システムであって、
該電子デバイスを駆動するためのバッテリーと、
該電子デバイスに電力を伝送するための電波を取得する受電アンテナと、
前記受電アンテナによって受電した電波を電力に変換する変換部と、
前記変換部によって変換された電力を前記バッテリーに充電する充電部と、を備える電子デバイスと、
前記電子デバイスの動作に影響を与えないように前記受電アンテナに電力を伝送する条件を制御する給電制御部と、
を備える、給電制御システム。
【請求項2】
更にレシーバーを備え、
前記電子デバイスは、
前記レシーバーと通信するための電波を送受する第1通信アンテナと、
前記第1通信アンテナを用いて送受される電波により、前記レシーバーと通信する第1通信部とを備え、
前記レシーバーは、
前記電子デバイスに対し、電力を伝送するための電波を送出する給電アンテナと、
前記電子デバイスと通信するための電波を送受する第2通信アンテナと、
前記第2通信アンテナによって送受される電波により、前記電子デバイスと通信する第2通信部と、を備え、
前記給電制御部は、前記第2通信部による通信に含まれる前記電子デバイスに関する情報に基づいて前記受電アンテナに電力を伝送する条件を制御する、請求項1に記載の給電制御システム。
【請求項3】
前記電子デバイスは、前記バッテリーの残量を検出する残量検出部を更に備え、
前記第1通信部は、前記レシーバーに対し、前記残量検出部によって検出された前記残量を送出し、
前記第2通信部は、前記電子デバイスから前記残量を取得し、
前記給電制御部は、前記第2通信部によって取得された前記残量に応じて、前記電力を伝送する電波による給電間隔及び給電出力のうち少なくとも一方を制御する、請求項2に記載の給電制御システム。
【請求項4】
前記レシーバーは、前記第2通信部による前記通信と、前記給電制御部による給電とのタイミングを制御する動作制御部を更に備える、請求項2から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御システム。
【請求項5】
前記動作制御部は、前記第2通信部に対し、前記通信を一定間隔で開始させ、前記通信が完了した後、次の通信までの空き時間に、前記給電制御部に対し、前記電力を伝送するための電波を送出させる制御を行う、請求項4に記載の給電制御システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の給電制御システムと、工作機械と、前記工作機械を数値制御する数値制御装置とを備える制御システムであって、
前記電子デバイスは前記工作機械内に備わる、制御システム。
【請求項7】
前記数値制御装置が生成する制御情報は、前記電子デバイスが有する前記バッテリーの充電タイミングを含む、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記数値制御装置が生成する制御情報は、前記電子デバイスを充電効率が高い領域に移動させる指示を含む、請求項6又は請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記数値制御装置が生成する制御情報は、前記給電アンテナを給電効率の高い領域に移動させる指示を含む、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記給電アンテナ及び前記第2通信アンテナと、前記給電制御部及び前記第2通信部とは、別体となっており、
少なくとも前記給電アンテナは、前記工作機械の筐体内に備わり、
少なくとも前記給電制御部及び前記第2通信部は、前記工作機械の筐体外に備わる、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電制御システム及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチプローブや工具長セッタに代表される、従来の工作機械内で使用される無線通信式センサは、電池で動作するセンサ(送信機)と、前記センサによってセンシングされた測定値を取得すると共に、工作機械から電源を取得するレシーバー(受信機)とで構成されている。
【0003】
センサに備わる電池は交換が必要であり、その寿命は使用頻度や使用環境により大きく異なるため、交換時期の目安も設けがたい。
【0004】
この点、特許文献1は、タッチプローブの電池を充電するための電池充電装置に係る技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の電池を要する無線通信式センサであれ、特許文献1に係る電池充電装置を有するタッチプローブであれ、メンテナンスフリーとはならず、電池を交換したり、電池に充電したりするたび、工作機械を停止させる必要がある。複数台の工作機械が設置されているために、センサの搭載数が多いほど、頻繁な電池交換や有線での充電が必要となり、作業が煩雑なものとなる。結果的に、工作機械をこまめに停止する必要が発生し、生産性が低下する。
【0007】
また、電池交換は工作機械内で行われることが多く、その作業中にセンサ内部へ切削液や切粉が入ることでセンサの故障が発生し、センサ交換が必要となると生産再開までに時間を要する。
【0008】
更に、工作機械のメンテナンスや加工の段取り、被加工物の着脱等、作業者が工作機械内に入り込む場合、例えば特許文献1に係る電池充電装置が工作機械内に設置されていることにより、電池充電装置の安全性が損なわれる場合がある。
【0009】
本発明は、工作機械に設置されるセンサの電源に対する充電を、簡便且つ安全に行うことが可能な測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、電子デバイスに給電する給電制御システムであって、該電子デバイスを駆動するためのバッテリーと、該電子デバイスに電力を伝送するための電波を取得する受電アンテナと、前記受電アンテナによって受電した電波を電力に変換する変換部と、前記変換部によって変換された電力を前記バッテリーに充電する充電部と、を備える電子デバイスと、前記電子デバイスの動作に影響を与えないように前記受電アンテナに電力を伝送する条件を制御する給電制御部と、を備える、給電制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、工作機械に設置されるセンサの電源に対する充電を、簡便且つ安全に行うことが可能な測定システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の実施形態に係る制御システムの全体構成を示す図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係る制御システムの全体構成を示す図である。
【
図1C】本発明の実施形態に係る制御システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子デバイスの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るレシーバーの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る制御システムにおいて、通信と給電を切り替える際の時分割の態様を示す図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る制御システムの動作を示す図である。
【
図5B】本発明の実施形態に係る制御システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1~
図5Bを参照することにより、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
〔1 実施形態の構成〕
〔1.1 全体構成〕
図1Aは、本実施形態に係る制御システム1の全体構成を示す図である。制御システム1は、工作機械10と、数値制御装置20と、電子デバイス30と、レシーバー40と備える。
【0015】
なお、電子デバイス30は、工作機械10の内部又は近傍に設置されると共に、工作機械10、数値制御装置20、及びレシーバー40は、互いに通信可能に接続される。また、
図1Aにおいて、電子デバイス30は、工作機械10の中に1つのみ設置されているが、これには限定されず、任意の複数個の電子デバイス30が設置されていてもよい。
【0016】
工作機械10は、切削加工等の所定の機械加工を行う装置である。工作機械10は、ワークを加工するために駆動するモータや、このモータに取り付けられた主軸や送り軸や、これら各軸に対応する治具や工具等を備える。そして、工作機械10は、動作指令に基づいてモータを駆動させることにより所定の機械加工を行う。
【0017】
ここで、所定の機械加工の内容は、特に限定されない。すなわち、切削加工以外にも、例えば研削加工、研磨加工、圧延加工、あるいは鍛造加工といった他の加工を実行してもよい。
また、機械加工は、ワークの加工を伴うものであってもよいが、ワークの加工を伴わないものであってもよい。
【0018】
なお、本実施形態は、工作機械に限らず、産業機械全般に広く適用することができる。産業機械とは、例えば、工作機械、マシニングセンタ、産業用ロボット、サービス用ロボットといった種々の機械である。また産業機械は、特に本実施形態特有のものである必要はなく、一般的な産業機械により実現することができる。
【0019】
数値制御装置20は、加工プログラムに従って、工作機械10の主軸及び駆動軸を制御する。この数値制御装置20は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェイス等を有するコンピュータ装置に適切な制御プログラムを実行させることによって実現することができる。
【0020】
とりわけ数値制御装置20は、後述の電子デバイス30から取得したON-OFF信号や測定値を、後述のレシーバー40を経由して取得し、取得したON-OFF信号や測定値を用いて数値制御することが可能である。
【0021】
また数値制御装置20は、後述のレシーバー40に制御信号を送出し、レシーバー40がこれに基づいて、後述の電子デバイス30に対し、当該電子デバイス30の状態を、「待機中」とするか「測定中」とするかを切り替える。
【0022】
電子デバイス30は、無線通信が可能なデバイスであり、工作機械10の内部又は近傍に備わる。
電子デバイス30は、例えばタッチプローブのような、工具やワークの位置を検出する位置センサであってよい。この場合、位置センサとしての電子デバイス30によって検出された工具やワークの位置は位置フィードバック(位置FB)として利用される。
【0023】
あるいは、電子デバイス30は、例えば工具やワークの温度を検出する温度センサであってよい。この場合、温度センサとしての電子デバイス30によって検出された工具やワークの温度は温度フィードバック(温度FB)として利用される。
【0024】
なお、以下では、電子デバイス30が、タッチプローブである場合について説明することがあるが、本発明の実施形態の態様は、これには限定されない。
【0025】
図1Aに示すように、電子デバイス30は、受電アンテナ31と、第1通信アンテナ32とを備える。詳しくは後述するが、受電アンテナ31は、レシーバー40から、電力を伝送するための電波を取得するアンテナである。また、第1通信アンテナ32は、レシーバー40と通信するための電波を送受するアンテナである。
【0026】
レシーバー40は、タッチプローブとしての電子デバイス30から、例えば測定電圧と閾値電圧との比較結果としての、スイッチのON-OFF信号を取得すると共に、電子デバイス30に対して無線で給電する受信機である。なお、電子デバイス30が例えば工具長セッタである場合には、レシーバー40は、電子デバイス30から測定値を取得すると共に、電子デバイス30に対して無線で給電する。
【0027】
図1Aに示すように、レシーバー40は、給電アンテナ41と、第2通信アンテナ42と、送電部43とを備える。詳しくは後述するが、給電アンテナ41は、電子デバイス30に対して、電力を伝送するための電波を送出するアンテナである。第2通信アンテナ42は、電子デバイス30と通信するための電波を送受するアンテナである。
【0028】
送電部43は、給電アンテナ41に対し電力を送出するユニットである。なお、
図1Aでは、送電部43はレシーバー40の筐体外に設置されているが、これには限定されず、送電部43がレシーバー40の筐体内に設置されることにより、両者が一体化していてもよい。また、送電部43が、レシーバー40の筐体外に設置される場合、工作機械10の内部に設置されてもよく、工作機械10の外部に設置されてもよい。
【0029】
電子デバイス30とレシーバー40との組は、電子デバイス30の受電アンテナ31、及びレシーバー40の給電アンテナ41を用いることにより、レシーバー40から電子デバイス30に対して無線で給電を行う。また、これと並行して、電子デバイス30とレシーバー40との組は、電子デバイス30の第1通信アンテナ32、及びレシーバー40の第2通信アンテナ42を用いることにより、電子デバイス30からON-OFF信号や測定値を取得したり、電子デバイス30を制御したりするための通信を互いに行う。
【0030】
なお、電子デバイス30とレシーバー40との無線給電のために用いる電波の無線周波数帯としては、例として、920MHz帯の電波を用いてもよく、2.4GHz帯の電波を用いてもよく、5.7GHz帯の電波を用いてもよい。各々の周波数の無線周波数帯を用いる場合には、当該周波数近傍の所定の周波数のチャネルを用いる。
【0031】
その際、キャリアセンスによる干渉確認を実行した後、電波の送信を開始してもよい。ここで「キャリアセンス」とは、電波の送信を開始する前に、他の無線局が送信を開始しようとする無線チャンネル(自チャンネル)を使用していないか確認し、他無線機が自チャンネルを使用中であれば、同一周波数での送信を行わないことで、干渉を回避する仕組みのことである。
【0032】
一方、電子デバイス30とレシーバー40との通信のために用いる電波の無線周波数帯としては、例として、2.4GHz帯の電波を用いるとよい。
【0033】
また、
図1Aに示すように、レシーバー40の給電アンテナ41と、第2通信アンテナ42とは、工作機械10の筐体内に備わる一方で、レシーバー40の制御機能を有する本体(後述の給電制御部44、第2通信部45、及び動作制御部46)と送電部43とは、工作機械10の筐体外に備わる。より詳細には、例えば工作機械10の筐体に穴を設け、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42と、送電部43とを、当該穴を経由する、信号を送受するケーブルで連結する。
【0034】
レシーバー40全体を、工作機械10の筐体外に設置した場合には、レシーバー40と電子デバイス30とで送受する電波が工作機械10の筐体に遮蔽されて送電効率が低下するが、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42と、送電部43及びレシーバー40本体とを別体とすることで、給電効率の低下を抑制することができる。また、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42と、送電部43及びレシーバー40本体とを別体とすることで、設置場所の自由度が高まる。
【0035】
更に、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42は、樹脂製のケース(カバー)で覆われる。これにより、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42に、工作機械10による切削時に発生する切粉が付着することが抑制される。
【0036】
更に、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42は、各々複数本備わってもよい。各々のアンテナが複数本備わることにより、電力の伝送効率や通信効率が向上する。
【0037】
なお、上記のように、
図1Aは、レシーバー40の給電アンテナ41と、第2通信アンテナ42とが工作機械10の筐体内に備わる一方で、レシーバー40の制御機能を有する本体が、工作機械10の筐体外に備わる例を示すが、これは一例であって、これには限定されない。
【0038】
図1B及び
図1Cは、他の態様の制御システム1A及び1Bを示す。
図1Bに示すように、給電アンテナ41のみが工作機械10の筐体内に設置され、第2通信アンテナ42を含むレシーバー40の他の要素が、工作機械10の筐体外に設置されてもよい。あるいは、
図1Cに示すように、給電アンテナ41と第2通信アンテナ42とを一体化した一体化アンテナ47が工作機械10の筐体内に設置され、レシーバー40のそれ以外の構成要素が、工作機械10の筐体外に設置されてもよい。
【0039】
なお、上記のように、電子デバイス30とレシーバー40との間の無線給電のために用いる電波の無線周波数帯としては、例として、2.4GHz帯の電波を用いてもよく、5.7GHz帯の電波を用いてもよい一方で、通信のために用いる電波の無線周波数帯としては、例として、920MHz帯の電波を用いるとよい。
【0040】
この点、無線給電のために用いる電波の無線周波数帯と、通信のために用いる電波の無線周波数帯とが異なる場合は、
図1A及び
図1Bに示すように、給電アンテナ41と第2通信アンテナ42とを別体のアンテナとすることが好適である。
【0041】
一方で、無線給電のために用いる電波の無線周波数帯と、通信のために用いる電波の無線周波数帯が、共通の無線周波数帯、例えば2.4GHz帯の場合には、
図1Cに示すように、給電アンテナ41と第2通信アンテナ42とが一体化された一体化アンテナ47を用いることが好適である。なお、この場合、詳しくは後述するように、一体化アンテナ47を、無線給電のための電波を送出する時間帯と、通信のための電波を送受する時間帯とで時分割して用いることとなる。
【0042】
なお、無線給電のために用いる電波の無線周波数帯と、通信のために用いる電波の無線周波数帯とが異なる場合でも、一体化アンテナ47として、例えばアレイアンテナを用いることにより、
図1Cに示す態様を実現することが可能である。
【0043】
また、以降では、電子デバイス30とレシーバー40との組を「測定システム」と呼称することがある。
【0044】
〔1.2 電子デバイスの構成〕
図2は、電子デバイス30の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、電子デバイス30は、上記の受電アンテナ31、及び第1通信アンテナ32に加え、バッテリー33、変換部34、充電部35、残量検出部36、及び第1通信部37を備える。
【0045】
なお、電子デバイス30は、
図2に示す構成要素に加えて、当業者にとって周知の、センシング又は測定値と閾値との比較に基づくON-OFF信号の出力のために必須となる構成要素を備えるが、図示は省略する。
【0046】
バッテリー33は、電子デバイス30を駆動するための、充電式の二次電池である。バッテリー33は、例えばリチウムイオン電池であってもよく、ニッケル水素電池であってもよいが、本発明の実施形態はこれには限定されない。
【0047】
変換部34は、受電アンテナ31によって受電した、電力を伝送するための電波を、電力に変換する。変換部34は、例えば、電波を直流回路に変換する整流回路であってもよいが、これには限定されない。
【0048】
充電部35は、変換部34によって変換された電力を、バッテリー33に充電する。
【0049】
残量検出部36は、バッテリー33の残量を検出する。例えば、残量検出部36は、バッテリー33から使用される時々刻々の電力を検知し、バッテリー33の容量から、時々刻々の電力の積算値を減算することにより、バッテリー33の残量を検出することが可能である。
【0050】
第1通信部37は、第1通信アンテナ32を用いて送受される電波により、レシーバー40と通信し、レシーバー40に対してON-OFF信号や、バッテリー33の残量の値等の情報を送出すると共に、レシーバー40から、電子デバイス30に対する制御信号を取得する。
【0051】
電子デバイス30は、とりわけ充電式の二次電池としてバッテリー33を内蔵し、蓄電することにより、電子デバイス30による計測中の動作の安定性が確保される。
【0052】
〔1.2 レシーバーの構成〕
図3は、レシーバー40の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、レシーバー40は、上記の給電アンテナ41、及び第2通信アンテナ42、送電部43に加え、給電制御部44、第2通信部45、及び動作制御部46を備える。
【0053】
給電制御部44は、給電アンテナ41を用いた電波の送出による電力の伝送を制御する。とりわけ、給電制御部44は、電子デバイス30の動作に影響を与えないように電子デバイス30の受電アンテナ31に電力を伝送する条件を制御する。この際、給電制御部44は、後述の第2通信部45による通信に含まれる電子デバイス30に関する情報に基づいて、上記の条件を制御してもよい。あるいは、給電制御部44は、予め設定された制御内容に基づいて、上記の条件を制御してもよい。この「制御内容」とは、例えば、電子デバイス30の動作時間外に給電したり、電子デバイス30の通信周波数と異なる周波数を選択して給電するなどの制御内容であって良い。また給電制御部44は、給電間隔及び給電出力のうち少なくとも一方を制御することにより、上記の電力の伝送を制御する。
【0054】
第2通信部45は、第2通信アンテナ42によって送受される電波により、電子デバイス30と通信する。とりわけ、第2通信部45は、電子デバイス30から、ON-OFF信号、バッテリー33の残量の値を取得すると共に、電子デバイス30に対して制御信号を送出する。
【0055】
動作制御部46は、給電制御部44による送電と、第2通信部45による電子デバイス30との通信を複合的に制御する。とりわけ動作制御部46は、上記の給電と通信のタイミングを制御する。
【0056】
なお、上記のように、レシーバー40において、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42と、本体部(すなわち、給電制御部44、第2通信部45、及び動作制御部46)とは別体となっている。
【0057】
〔2 実施形態の動作〕
以下、
図4~
図5Bを参照することにより、本実施形態に係る制御システム1~1Bの動作について説明する。
【0058】
〔2.1 第1の動作例〕
上記のように、電子デバイス30において、残量検出部36はバッテリー33の残量を検出し、第1通信部37は当該バッテリー33の残量をレシーバー40に送出する。
【0059】
レシーバー40において、第2通信部45は、電子デバイス30からバッテリー33の残量を取得し、給電制御部44は、第2通信部45によって取得されたバッテリー33の残量に応じて、電力を伝送する電波による給電間隔及び給電出力のうち少なくとも一方を制御する。
【0060】
とりわけ、電子デバイス30のバッテリー33がリチウムイオン電池の場合、バッテリー33の残量が閾値を下回ったことに基づいて、給電制御部44は、給電アンテナ41を用いた電波の送出による電力の伝送を開始すると好適である。なお、この閾値とは、電子デバイス30が安定的に動作するために必要な電力に対応する閾値である。
【0061】
あるいは、電子デバイス30のバッテリー33から使用した電力量に応じて、給電制御部44は、給電アンテナ41を用いた電波の送出により、使用した分だけの電力を伝送してもよい。
【0062】
〔2.2 第2の動作例〕
上記のように、無線給電のために用いる電波の無線周波数帯と、通信のために用いる電波の無線周波数帯が、共通の無線周波数帯、例えば2.4GHz帯又は5.7GHz帯の場合、レシーバー40の動作制御部46は、給電制御部44による送電と、第2通信部45による電子デバイス30との通信とが同時に実行されないように、各々の動作タイミングを制御する。
【0063】
図4は、動作制御部46による、給電と通信の動作タイミングの制御の例を示す図である。
図4に示す例においては、第2通信部45による電子デバイス30との通信を開始するタイミングを一定間隔とすると共に、各通信が終了した後の空き時間において、給電制御部44による給電を実行する。すなわち、通信と給電とからなる各組において、通信を実行する時間tcと、給電を実行する時間tpとの合計時間tiは、必ず一定の時間となるが、通信を実行する時間tcと、給電を実行する時間tpの各々は、必ずしも一定とはならない。
【0064】
〔2.3 第3の動作例〕
上記のように、制御システム1~1Bにおいて、数値制御装置20は、工作機械10を数値制御すると共に、レシーバー40と互いに通信することにより、レシーバー40を経由して、電子デバイス30からON-OFF信号又は測定値を取得する。
【0065】
ここで、数値制御装置20は、給電許可信号を含む制御情報を生成し、レシーバー40に送出する。更にこの制御情報に基づいて、レシーバー40は電子デバイス30に制御信号を送出する。これにより、レシーバー40は、バッテリー33の充電タイミングを制御する。
【0066】
例えば、当該制御信号は、電子デバイス30の待機中に、バッテリー33の充電を実行し、電子デバイス30の測定中に、バッテリー33の充電を停止するような充電タイミングを含んでもよい。
【0067】
あるいは、当該制御信号は、電子デバイス30を、工作機械10内で充電効率が高い領域に移動させる指示を含んでもよい。
【0068】
図5Aは、数値制御装置20が、工作機械10内の電子デバイス30の位置を、充電効率が高い領域に移動させる動作を示す図である。
図5Aに示すように、数値制御装置20から工作機械10に対して位置制御信号を送信することにより、電子デバイス30は、工作機械10内で充電効率が高い領域に移動する。なお、
図5Aに示す例においては、給電アンテナ41に近づくように電子デバイス30を移動させる例を示しているが、これには限定されず、充電効率が高い領域であれば、どこでもよい。
【0069】
あるいは、当該制御情報は、給電アンテナ41を、工作機械10内で給電効率が高い領域に移動させる指示を含んでもよい。
【0070】
図5Bは、数値制御装置20が、工作機械10内の給電アンテナ41の位置を、給電効率が高い領域に移動させる動作を示す図である。
図5Bに示すように、数値制御装置20から工作機械10に対して位置制御信号を送信することにより、給電アンテナ41は、工作機械10内で給電効率が高い領域に移動する。なお、
図5Bに示す例においては、電子デバイス30に近づくように給電アンテナ41を移動させる例を示しているが、これには限定されず、給電効率が高い領域であれば、どこでもよい。
【0071】
なお、とりわけレシーバー40内に、給電アンテナ41の駆動機構が備わる場合には、数値制御装置20からレシーバー40に対して位置制御信号を送信してもよい。
【0072】
〔3 効果〕
本実施形態に係る給電制御システム1は、電子デバイス30に給電する給電制御システム1であって、該電子デバイス30を駆動するためのバッテリー33と、該電子デバイス30に電力を伝送するための電波を取得する受電アンテナ31と、受電アンテナ31によって受電した電波を電力に変換する変換部34と、変換部34によって変換された電力をバッテリー33に充電する充電部35と、を備える電子デバイス30と、前記電子デバイス30の動作に影響を与えないように受電アンテナ31に電力を伝送する条件を制御する給電制御部44と、を備える。
【0073】
これにより、工作機械10に設置される電子デバイス30の電源に対する充電を、簡便且つ安全に行うことが可能となる。
【0074】
また、給電時の電子デバイス30の位置を限定することなく、電子デバイス30が有するバッテリー33への充電が可能となるため、電力伝送効率の低下が抑制される。
【0075】
また、本実施形態に係る給電制御システム1は、更にレシーバー40を備え、電子デバイス30は、レシーバー40と通信するための電波を送受する第1通信アンテナ32と、第1通信アンテナ32を用いて送受される電波により、レシーバー40と通信する第1通信部37とを備え、レシーバー40は、電子デバイス30に対し、電力を伝送するための電波を送出する給電アンテナ41と、電子デバイス30と通信するための電波を送受する第2通信アンテナ42と、第2通信アンテナ42によって送受される電波により、電子デバイス30と通信する第2通信部45と、を備え、給電制御部44は、第2通信部45による通信に含まれる電子デバイス30に関する情報に基づいて受電アンテナ31に電力を伝送する条件を制御する。
【0076】
これにより、電子デバイス30とレシーバー40との間で、給電と通信とを並行して実行することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係る給電制御システムにおいて、電子デバイス30は、バッテリー33の残量を検出する残量検出部36を更に備え、第1通信部37は、レシーバー40に対し、残量検出部36によって検出された残量を送出し、第2通信部45は、電子デバイス30から残量を取得し、給電制御部44は、第2通信部45によって取得された残量に応じて、電力を伝送する電波による給電間隔及び給電出力のうち少なくとも一方を制御してもよい。
【0078】
これにより、バッテリー33の残量に応じて、給電をすることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態に係る測定システムにおいて、レシーバー40は、第2通信部45による通信と、給電制御部44による送電とのタイミングを制御する動作制御部46を更に備えてもよい。
【0080】
これにより、例えば、電子デバイス30とレシーバー40との間の通信に用いる電波と、給電に用いる電波との干渉を抑制することが可能となる。
【0081】
また、動作制御部46は、第2通信部45に対し、通信を一定間隔で開始させ、通信が完了した後、次の通信までの空き時間に、給電制御部44に対し、電力を伝送するための電波を送出させる制御を行ってもよい。
【0082】
これにより、給電と通信に用いる電波の周波数が同じ場合にでも、電波の干渉を回避しながら、給電と通信の双方を実行することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態に係る制御システム1~1Bは、上記の測定システムと、工作機械10と、工作機械10を数値制御する数値制御装置20とを備える制御システムであって、電子デバイス30は工作機械10内に備わる。
【0084】
これにより、数値制御装置20による工作機械10の制御の中で、バッテリー33から電子デバイス30への給電が可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る制御システム1~1Bにおいて、数値制御装置20が生成する制御情報は、電子デバイス30が有するバッテリー33の充電タイミングを含んでもよい。
【0086】
これにより、電子デバイス30が有するバッテリー33に対する充電タイミングを、数値制御装置20による数値制御の中で規定することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態に係る制御システム1~1Bにおいて、数値制御装置20が生成する制御情報は、電子デバイス30を充電効率が高い領域に移動させる指示を含んでもよい。
【0088】
これにより、数値制御装置20による数値制御の中で、電子デバイス30に対する充電効率を高める制御が可能となる。
【0089】
また、本実施形態に係る制御システム1~1Bにおいて、数値制御装置20が生成する制御情報は、給電アンテナ41を送電効率の高い領域に移動させる指示を含んでもよい。
【0090】
これにより、数値制御装置20による数値制御の中で、レシーバー40からの給電効率を高める制御が可能となる。
【0091】
また、本実施形態に係る制御システム1~1Bにおいて、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42と、給電制御部44及び第2通信部45とは、別体となっており、少なくとも給電アンテナ41は、工作機械10の筐体内に備わり、少なくとも給電制御部44及び第2通信部45は、工作機械10の筐体外に備わってもよい。
【0092】
これにより、レシーバー40と電子デバイス30とで送受する電波が工作機械10の筐体に遮蔽されて、給電効率が低下する場合に比較して、給電効率の低下を抑制することができる。また、給電アンテナ41及び第2通信アンテナ42と、レシーバー40本体とを別体とすることで、設置場所の自由度が高まる。
【0093】
〔4.変形例〕
上記の実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態に本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0094】
〔4.1 変形例1〕
例えば、上記の実施形態において、工作機械10と数値制御装置20とは別体となっていたが、これには限定されない。例えば、工作機械10と数値制御装置20とが同一の筐体内で一体化していてもよい。
【0095】
〔4.2 変形例2〕
あるいは、事前に、レシーバー40から電子デバイス30への給電モードを複数準備しておき、電子デバイス30の待機中に、電子デバイス30の使用目的や電子デバイス30を取り巻く環境などに応じて、いずれか一つの給電モードを選択する態様としてもよい。
【0096】
〔4.3 変形例3〕
あるいは、上記の第2の動作例においては、第2通信部45による電子デバイス30との通信を開始するタイミングを一定間隔とすると共に、各通信が終了した後の空き時間において、給電制御部44による給電を実行するとしたが、これには限定されない。例えば、通信に成功した場合は、空き時間に給電制御部44による給電を実行する一方で、通信に失敗した場合は給電を実行せず、スキップしてもよい。
【0097】
〔4.4 変形例4〕
また、レシーバー40は、給電に用いる電波の周波数を切り替える周波数切替手段を備えていてもよい。これは、環境によってどの周波数の電波が届きやすいかが変わるためである。レシーバー40は、当該周波数切替手段を用いることにより、ある周波数で送電しようとしてもうまく行かなかった場合に、別の周波数に切り替えることにより、スムーズな給電を実行することが可能となる。また、レシーバー40は、当該周波数切替手段を用いることにより、最も給電効率の良い周波数をピックアップして給電することが可能となる。
【0098】
上記の制御システム1~1Bに含まれる各構成部は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の制御システム1~1Bに含まれる各構成部のそれぞれの協働により行われる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0099】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B 制御システム
10 工作機械
20 数値制御装置
30 電子デバイス
31 受電アンテナ
32 第1通信アンテナ
33 バッテリー
34 変換部
35 充電部
36 残量検出部
37 第1通信部
40 レシーバー
41 給電アンテナ
42 第2通信アンテナ
43 送電部
44 給電制御部
45 第2通信部
46 動作制御部