(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064143
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】移動式作業用足場装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20220418BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B66F9/06 M
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172697
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】595135671
【氏名又は名称】第一建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】堀内 篤
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 和大
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA10
3F333AA11
3F333AB13
3F333AC01
3F333AC02
3F333AC03
3F333AC04
3F333AC07
3F333DA04
3F333DA05
3F333DA06
(57)【要約】
【課題】幅狭な状態で現場まで移動でき、現場まで移動させたら拡張足場を固定足場から拡張移動させるととともに、固定足場の内側対向間隔内を高所架設物が相対通過してこれよりも高所まで作業用足場を上昇させることができ、しかもこの拡張足場を長い支持桟で支持できる構成でありながら昇降時の妨げにはならない移動式作業用足場装置を提供すること。
【解決手段】移動時の幅狭な状態では、拡張足場4の支持桟7の内側部は、固定足場3の内側対向間隔6に配設されるが、昇降時には拡張足場4が拡張されることでこの間隔6内から退避して固定足場3の下部に位置し倒れ防止補強材として機能する構成とした移動式作業用足場装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に作業用足場が昇降自在に設けられ、この作業用足場は、固定足場とこの固定足場から外側に水平突出移動することで作業範囲が移動時より幅広に拡張される拡張足場とからなる構成とされ、前記移動体を作業現場へ移動させこの移動体の前記作業用足場の前記拡張足場を水平突出移動させて移動時より幅広に作業範囲を拡張するとともに、この作業用足場を所定作業高さまで上昇させ、この作業範囲が拡張された作業用足場上で高所作業がおこなえる構成とされている移動式作業用足場装置であって、
前記作業用足場の前記固定足場は、昇降時に高所架設物を避けるための内側対向間隔をおいて左右に設けられ、この固定足場に重合収納状態から外側に水平突出移動することでこの固定足場の外側に作業範囲が幅広に拡張される前記拡張足場が水平突出移動自在に設けられ、
前記拡張足場を下方から支持する支持桟が前記水平突出移動方向に配設され、この支持桟は前記拡張足場ととともに移動自在に設けられている構成とされ、この支持桟の内側部が前記固定足場に対して移動自在にしてこの固定足場の下部に配設されている構成とされ、
前記支持桟の長さは、前記作業現場への移動時の前記拡張足場が前記固定足場に重合収納された状態では、その内側部は、前記固定足場の前記内側対向間隔に配設され、且つ昇降時に前記拡張足場が外側に水平突出移動され作業範囲が外側に拡張された状態では、この拡張足場4とともに外側へ移動して前記内側対向間隔から退避移動し前記固定足場の下部に位置して、前記支持桟が前記拡張足場の下方への倒れ防止補強材として機能する長さに設定されていることを特徴とする移動式作業用足場装置。
【請求項2】
前記作業用足場の前記固定足場は、昇降時に前後方向に配設されている線状の前記高所架設物を避けるための前記内側対向間隔をおいて左右に一対設けられ、この固定足場に重合収納した状態から側方に水平突出移動することでこの固定足場の外側に作業範囲が拡張される前記拡張足場が水平突出移動自在に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載の移動式作業用足場装置。
【請求項3】
前記拡張足場を下方から支持し前記拡張足場の水平突出移動方向に長さを有する前記支持桟7が、前記拡張足場の前記水平突出移動方向と直交する前後方向に間隔をおいて複数体並設されている構成とされ、
この支持桟は、前記拡張足場の下部に設けられているとともに、前記固定足場の下部に移動自在に配設されていて、この支持桟の内側部は、前記固定足場間の前記内側対向間隔に配設された状態から、前記拡張足場の外側への水平突出移動により前記固定足場の下部に移動退避自在に配設されている構成とされていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の移動式作業用足場装置。
【請求項4】
前記移動体は、鉄道レールを自走するまたは牽引されて走行するレール用車輪付きレール走行車に構成され、この移動体に前記作業用足場を昇降させる昇降装置が設けられている構成とされ、
この作業用足場の昇降時に、前記固定足場間の前記内側対向間隔内を相対通過させる前記高所架設物は鉄道架線であり、前記作業用足場はこの高所架設物よりも上部まで昇降自在に構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の移動式作業用足場装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、鉄道レール上を移動し駅舎の屋根などの高所補修工事などをおこなうことができる移動式作業用足場装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、架線、トンネル、駅舎など鉄道レール上の所定物を補修工事するときに、その作業現場で一から作業用足場をその都度構築することはたいへんであるから、昇降自在な作業用足場を現場に走行移動し、その足場を作業高さに応じて昇降させたり、さらに現場でベース足場に作業内容に応じて細部を追加構築したり、また作業範囲を拡張させる拡張足場をベース足場(固定足場)に設けて足場を現場で拡張したりできる移動式の作業用足場装置が提案されている。
【0003】
またたとえば、トラックに昇降自在な作業用足場を積載したものもあるが、たとえば鉄道のトンネル補修工事の場合、トラックではトンネル内には乗り入れできない場合や各トンネルを順次補修していく場合などは、トラックなどの道路走行車でなく鉄道レール上を自走あるいは牽引走行されるレール走行車(軌陸車を含む)に作業用足場を昇降自在に設けた移動式作業用足場装置を用いると便利である。
【0004】
たとえば、トンネル補修用として鉄道レール上を走行できるレール走行車(移動体)に作業用足場を昇降自在に設け、さらに必要に応じて側方に拡張足場を突出させて作業範囲を拡大できるように構成し、これをトンネル内所定位置で止めて固定した後この移動体上の作業用足場に作業者が乗り上がり、トンネル内壁を補修できる鉄道レール走行移動式の作業用足場装置が提案されている。(特許文献1特開2011-51750号公報)
【0005】
このような移動式の作業用足場装置は、前述のようにその都度現場で一から足場を構築しなくても(現場での細部の構築や追加構築は別としても)各現場まで移動体により作業用足場を移動でき、しかも鉄道レール上を走行する移動体に作業用足場を設けた構成とすることで、そのレール上の各トンネルなどに順次移動して次々と補修工事や所定作業をおこなえる。しかも必要に応じて昇降装置により作業用足場の高さを調整したり、拡張足場の追加付設や拡張足場の水平突出移動により作業範囲を拡張したりして、足場をトンネル内壁に接近させ作業がおこなえ、非常に便利である。
【0006】
しかしながら、たとえば駅舎の屋根の補修工事などにおいては、上昇高さは不十分であるし、またトンネル上部とは違い駅舎の屋根は高く、これに届く十分な高さまで作業用足場を上昇させようとしても、鉄道レール上方のトロリー線などの高所架設物があり、これ以上は上昇できない。
【0007】
また一方、固定足場の左右に拡張足場を水平突出移動自在に設けて作業範囲を拡張する構成としても、たとえば駅舎の屋根の補修工事はトンネル内壁とは異なり鉄道レールから離れている補修場所もあるため、拡張足場をかなり幅広に構成する必要がある。そのため、この拡張足場にはこれを支持する固定足場まで伸びる長い支持桟を複数設ける構成としなければならない。
【0008】
また次の補修工事現場まで移動させるときは、走行幅に規制があるため幅広な拡張足場を収納しておかなければならず、これをも加味すると前記トロリー線など高所架設物上部まで上昇できしかも十分に拡張可能な作業用足場を構成することは困難であり、たとえば駅舎屋根の補修工事のような鉄道レール上の高所広範囲作業をおこなうことができる足場は、やはりその現場でその都度構築するしかないと考えられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を見出し、これを解決するもので、走行時に幅規制があっても拡張足場を固定足場に重合収納して幅狭な状態で現場まで移動でき、現場まで移動させたらたとえば必要に応じてこの移動した作業用足場を補充構築し、この現場で拡張足場を固定足場から外側へ水平突出移動させて作業用足場を拡張させるととともに上昇させることができ、さらに上昇の際には拡張足場を支持する支持桟を外側へ退避させることで、固定足場の内側対向間隔内を高所架設物が相対通過してこの高所架設物よりも高所までこの拡張させた作業用足場を上昇させることができ、しかもこの拡張足場を長い支持桟で支持できる構成でありながらも昇降時にこの拡張足場を拡張させることで、支持桟の内側部を内側対向間隔から外側に退避させることで上昇の妨げとならないなど実用性に優れた画期的な移動式作業用足場装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
移動体1に作業用足場2が昇降自在に設けられ、この作業用足場2は、固定足場3とこの固定足場3から外側に水平突出移動することで作業範囲が移動時より幅広に拡張される拡張足場4とからなる構成とされ、前記移動体1を作業現場へ移動させこの移動体1の前記作業用足場2の前記拡張足場4を水平突出移動させて移動時より幅広に作業範囲を拡張するとともに、この作業用足場2を所定作業高さまで上昇させ、この作業範囲が拡張された作業用足場2上で高所作業がおこなえる構成とされている移動式作業用足場装置であって、前記作業用足場2の前記固定足場3は、昇降時に高所架設物5を避けるための内側対向間隔6をおいて左右に設けられ、この固定足場3に重合収納状態から外側に水平突出移動することでこの固定足場3の外側に作業範囲が幅広に拡張される前記拡張足場4が水平突出移動自在に設けられ、前記拡張足場4を下方から支持する支持桟7が前記水平突出移動方向に配設され、この支持桟7は前記拡張足場4ととともに移動自在に設けられている構成とされ、この支持桟7の内側部が前記固定足場3に対して移動自在にしてこの固定足場3の下部に配設されている構成とされ、前記支持桟7の長さは、前記作業現場への移動時の前記拡張足場4が前記固定足場3に重合収納された状態では、その内側部は、前記固定足場3の前記内側対向間隔6に配設され、且つ昇降時に前記拡張足場4が外側に水平突出移動され作業範囲が外側に拡張された状態では、この拡張足場4とともに外側へ移動して前記内側対向間隔6から退避移動し前記固定足場3の下部に位置して、前記支持桟7が前記拡張足場4の下方への倒れ防止補強材として機能する長さに設定されていることを特徴とする移動式作業用足場装置に係るものである。
【0013】
また前記作業用足場2の前記固定足場3は、昇降時に前後方向に配設されている線状の前記高所架設物5を避けるための前記内側対向間隔6をおいて左右に一対設けられ、この固定足場3に重合収納した状態から側方に水平突出移動することでこの固定足場3の外側に作業範囲が拡張される前記拡張足場4が水平突出移動自在に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載の移動式作業用足場装置に係るものである。
【0014】
また前記拡張足場4を下方から支持し前記拡張足場4の水平突出移動方向に長さを有する前記支持桟7が、前記拡張足場4の前記水平突出移動方向と直交する前後方向に間隔をおいて複数体並設されている構成とされ、この支持桟7は、前記拡張足場4の下部に設けられているとともに、前記固定足場3の下部に移動自在に配設されていて、この支持桟7の内側部は、前記固定足場3間の前記内側対向間隔6に配設された状態から、前記拡張足場4の外側への水平突出移動により前記固定足場3の下部に移動退避自在に配設されている構成とされていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の移動式作業用足場装置に係るものである。
【0015】
また前記移動体1は、鉄道レールを自走するまたは牽引されて走行するレール用車輪10付きレール走行車に構成され、この移動体1に前記作業用足場2を昇降させる昇降装置11が設けられている構成とされ、この作業用足場2の昇降時に、前記固定足場3間の前記内側対向間隔6内を相対通過させる前記高所架設物5は鉄道架線であり、前記作業用足場2はこの高所架設物5よりも上部まで昇降自在に構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の移動式作業用足場装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、走行時に幅規制があっても拡張足場を固定足場に重合収納して幅狭な状態で現場まで移動でき、現場まで移動させたらたとえば必要に応じてこの移動した作業用足場を補充構築し、この現場で拡張足場を固定足場から外側へ水平突出移動させて作業用足場を拡張させるととともに上昇させることができ、さらに上昇の際には拡張足場を支持する支持桟を外側へ退避させることで、固定足場の内側対向間隔内を高所架設物が相対通過してこの高所架設物よりも高所までこの拡張させた作業用足場を上昇させることができ、しかもこの拡張足場を長い支持桟で支持できる構成でありながらも昇降時にこの拡張足場を拡張させることで、支持桟の内側部を内側対向間隔から外側に退避させることで上昇の妨げとならないなど実用性に優れた画期的な移動式作業用足場装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施例の走行時の拡張足場が固定足場に重合収納した幅狭な状態の説明斜視図である。
【
図2】本実施例の走行時の拡張足場が固定足場に重合収納した幅狭な状態の説明正面図である。
【
図3】本実施例の拡張足場が固定足場から外側に水平突出移動して作業範囲が拡張した拡張状態で足場を補充構築した上昇前の説明斜視図である。
【
図4】本実施例の拡張足場が固定足場から外側に水平突出移動して作業範囲が拡張した拡張状態で足場を補充構築した上昇前の説明正面図である。
【
図5】本実施例の拡張状態で高所架設物をより高い位置まで上昇させ間隔閉塞蓋を閉めた作業時の説明斜視図である。
【
図6】本実施例の拡張状態で高所架設物をより高い位置まで上昇させ間隔閉塞蓋を閉めた作業時の説明正面図である。
【
図7】本実施例の拡張状態で高所架設物をより高い位置まで上昇させ間隔閉塞蓋を閉めた作業時の下側から見た説明斜視図である。
【
図8】本実施例の走行時の拡張足場が固定足場に重合収納した幅狭な状態の説明平面図である。
【
図9】本実施例の拡張足場が固定足場から外側に水平突出移動して作業範囲が拡張した拡張状態の説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
移動体1が鉄道レール上を自走するもしくは牽引されて走行、または道路を同様に走行するなどして、移動体1に昇降自在に構築されている作業用足場を作業現場へ移動させ、固定する。
【0019】
鉄道や道路などの走行において走行幅に規制があっても、作業用足場2の拡張足場4は固定足場3に重合した重合収納状態で走行することができるため、規定幅以内の幅狭な状態で走行できる。
【0020】
たとえば前記移動体1をレール用車輪10付きのレール走行車に構成して、自走するための走行装置や牽引車に牽引されるなどして鉄道レール上を移動させ、作業現場に固定する。この場合レール脇には様々な設置物があり、決められた横幅内の移動体1としなければならないが、走行時(移動時)には拡張足場4を固定足場3に重合収納させて幅狭くして走行できるため、鉄道レール上の各作業現場へ順次移動させ順次作業がおこなえる。
【0021】
作業現場に移動して固定したら、たとえば必要に応じて移動体1上の作業用足場2に必要な台や手すりや柵や階段などを追加構築(補充構築)してもよい。このように構築した作業用足場2の拡張足場4を固定足場3に重合収納した幅狭な状態から外側へ水平突出移動させて移動時より幅広に拡張するとともに、この作業範囲が拡張足場4の移動により拡張された作業用足場2を昇降装置11により所定作業高さまで上昇させ、この作業用足場2上で作業者が補修工事などの高所作業ができることとなる。
【0022】
このように作業用足場2の固定足場3には、この固定足場3に重合収納した状態から外側に水平突出移動することで、この固定足場3の外側に作業範囲が幅広に拡張される拡張足場4が設けているが、この重合収納状態では前述のように規制幅内の幅狭な横幅となる構成とするとともに、レールから離れた作業場所にも足場を近づけることができるように拡張足場4は幅広く構成して、これを外側に水平突出移動することで、このように作業範囲を幅広に拡張して作業場所に近づけることができる構成としたい。
【0023】
言い換えると、作業用足場2を十分幅広に拡張できる構成にしながらも、この拡張足場4を固定足場3に重合収納できる構成とすることで、移動時には規制内の幅狭な状態にできる構成としたい。
【0024】
またさらに、たとえ上方に鉄道架線(トロリー線)などの高所架設物5があっても、この高所架設物5よりも高い位置まで作業用足場2を上昇させ、たとえば駅舎の屋根の補修工事などの高い作業場所にも近づける構成としたい。
【0025】
そのために、本発明は、外側に水平突出移動して作業範囲を十分に拡張できる幅とする拡張足場4には、これを下方から支持する支持桟7を設け、この支持桟7を前記水平突出移動方向に配設するとともに、この支持桟7の内側部が前記固定足場3に対して移動自在にしてこの固定足場3の下部にも配設される長さとして、この拡張足場4の下方への倒れを防止するようにして幅広な拡張足場4を支持補強するように構成している。
【0026】
また本発明は、固定足場3を、昇降時に鉄道架線(トロリー線)などの高所架設物5を避けるための内側対向間隔6をおいて左右に一対設けた構成とし、たとえレール上方にこのような高所架設物5があっても、昇降時にこの内側対向間隔6を相対通過させてこの高所架設物5よりも高い位置まで作業用足場2を上昇できるように構成している。
【0027】
したがって、本発明は、たとえば駅舎の屋根などの補修工事であっても、作業用足場2の拡張足場4を移動時の幅狭な重合収納状態から外側に拡張移動(水平突出移動)して作業範囲を外側に十分に拡張でき、しかもこの幅広な拡張足場4は、所定長さで固定足場2の下部にまで配設されて倒れ防止補強材として機能する支持桟7で支持補強される構成としている。
【0028】
またこの支持桟7の内側部は、拡張足場4が重合収納状態にあるときは、固定足場3間の内側対向間隔6内にまで移動またはそれ以上移動しているが、この拡張足場4の水平突出移動によりこの拡張足場4の拡張移動に伴って外側に移動して固定足場2間の内側対向間隔6内から退避する。
【0029】
すなわち、昇降時にはこのように拡張足場4を外側に拡張移動させることで、倒れ防止補強材として支持桟7の内側部は、内側対向間隔6から退避する。そのため昇降時にはこの内側対向間隔6を高所架設物5が相対通過することができ、高所架設物5よりも高い位置まで作業用足場2を昇降させることができる。
【0030】
したがって、幅広な拡張足場4であるゆえ長く設定されている支持桟7が使用時の拡張足場4の拡張移動により退避移動して昇降の妨げとならず、そのため幅広に切り替えることでこの高所架設物5よりもさらに上方まで作業用足場2を上昇でき、たとえば駅舎の屋根の補修工事などの高く広い場所での作業も容易にして安全に行うことができることとなる。
【実施例0031】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例では、鉄道レール上を走行するレール用車輪10を設けたレール走行車体の乗車部に乗った作業者が走行装置を作動または遠隔作動させて鉄道レール上を走行するレール走行車に移動体1を構成し、この移動体1に作業用足場2を昇降装置11により昇降自在に設けた構成としている。
【0033】
また本実施例では、移動車体に昇降移動ガイドに沿って作業用足場2を昇降させる昇降駆動装置を設けて、作業用足場2が高所まで上昇できるように前記昇降装置11を構成し、上昇させた際に昇降用梯子や階段が伸長するなどして作業用足場2上に作業者が乗り上がれるように構成し、その乗り上がり口を上がり口用閉塞蓋で閉塞することもできる構成としている。
【0034】
本実施例のこの昇降する作業用足場2は、左右一対の固定足場3とこの固定足場3から左右外側にそれぞれ水平突出移動することで作業範囲が移動時より幅広に拡張される左右の拡張足場4とからなる構成とし、移動体1を作業現場へ移動させこの作業用足場2の左右の拡張足場4をそれぞれ水平突出移動させて移動時より幅広に作業範囲を拡張するとともに、この作業用足場2を所定作業高さまで上昇させ、この作業範囲が拡張された作業用足場2上で高所作業がおこなえる構成としている。
【0035】
この本実施例の作業用足場2の固定足場3は、昇降時に高所架設物5である鉄道架線(トロリー線)を避けるための内側対向間隔6をおいて左右に一対設けられ、この左右の各固定足場3に重合収納状態から外側に水平突出移動することで、この左右それぞれの固定足場3の外側に作業範囲が幅広に拡張される前記拡張足場4を水平突出移動自在に設けた構成としている。
【0036】
またこの拡張足場4を下方から支持する支持桟7を前記水平突出移動方向に複数本間隔をおいて配設し、この支持桟7は前記拡張足場4の移動に伴い外側内側に往復移動自在に設けた構成としている。
【0037】
具体的には、前記拡張足場4の下部に設けられているとともに、前記固定足場3の下部に移動自在に配設されていて、この支持桟7の内側部は、前記固定足場3間の前記内側対向間隔6に配設された状態から、前記拡張足場4の外側への水平突出移動により前記固定足場3の下部に移動退避自在に配設されている構成としている。
【0038】
さらに説明すると、本実施例では、この支持桟7の内側部が、前記固定足場3に対してこの固定足場3の下部に設けた支持桟ガイド部8に支持ガイドされて往復移動自在にしてこの固定足場3の下部に配設された構成としている。
【0039】
この固定足場2は、所定厚を有する方形枠部に足場板部を設けた構成で、この足場板の下方であって方形枠部内に重合収納された方形の拡張足場4が、引き出しのように支持桟7とともにこの固定足場2から外側へ水平突出移動するように構成し、この支持桟7が固定足場2の方形枠部の二か所に設けた前記支持桟ガイド部8に支持ガイドされて移動する構成としている。
【0040】
具体的には、この一方の支持桟ガイド部8に設けられた支持ローラーで支持桟7の内側部を下から支承し、他方の支持桟ガイド部8に設けた支持ローラーは上から支持して、移動する支持桟7を上下から支持ガイドする構成とし、拡張足場4を補強支持しつつ固定足場2で受けることで倒れ防止補強桟として機能するように構成している。
【0041】
またこの支持桟7は、前記作業現場への移動時の前記拡張足場4が前記固定足場3に重合収納された状態では、その内側部は、この固定足場3の前記内側対向間隔6を通り反対側の固定足場2の下方に至るように配設され、且つ昇降時に前記拡張足場4が外側に水平突出移動され作業範囲が外側に拡張された状態では、この拡張足場4とともに外側へ移動して前記内側対向間隔6から退避移動して、この支持桟7の内側部の内端部は前記固定足場3の下部に位置して内側対向間隔6内から完全に退避し、鉄道架線(トロリー線)5と平行な内側対向間隔6内には前記支持桟7はもはやなく、昇降時にこの間隔6内をこの鉄道架線(トロリー線)5が相対通過できるように構成している。
【0042】
すなわち、本実施例は、前記作業用足場2の前記固定足場3は、昇降時に前後方向に配設されている線状の高所架設物5(トロリー線)を避けるための前記内側対向間隔6をおいて左右に一対設けた構成とし、この左右の固定足場3に、それぞれ重合収納した状態から側方に水平突出移動することでこの固定足場3の左右外側に作業範囲が拡張される拡張足場4が水平突出移動自在に設けた構成で、移動時には左右対向する拡張足場4の各支持桟7の内側部はすれ違うようにして内側対向間隔6内に位置し、昇降時にはこのように拡張足場4を外側に拡張移動させることで、この支持桟7の内側部は、内側対向間隔6から外側に退避してこの内側対向間隔6を高所架設物5が相対通過することで高所架設物5よりも高い位置まで作業用足場2を昇降することができるように構成している。
【0043】
また、本実施例では、駅舎の左右に柱などの付設物が片側には等間隔にあることなどを想定して拡張足場4の所定位置に切り欠き逃げ部9を設け、必要でない場合はこれを塞ぐことができるように構成している。
【0044】
また、本実施例では、前記移動装置、昇降装置11の他、拡張足場4を拡張移動させる駆動装置を備えた拡張装置も備え、それらの作動操作を遠隔操作可能に構成している。
【0045】
また、本実施例では、移動装置で移動体1を移動し固定した後、拡張装置で拡張足場4を拡張移動した後、この拡張した作業用足場2に台、手すり、柵などを追加構築した後、昇降装置11で上昇させ、高所架設物5よりも高い位置の所定作業高さまで上昇させたら、内側対向間隔6を複数の間隔閉塞蓋12で閉塞するように構成している。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。