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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064154
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】測定用ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20220418BHJP
   H01L 23/32 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
H01R33/76 Z
H01L23/32 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172719
(22)【出願日】2020-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】312014155
【氏名又は名称】株式会社SDK
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】扇浦 徹哉
【テーマコード(参考)】
5E024
【Fターム(参考)】
5E024CA30
(57)【要約】
【課題】フレキシブル基板に電子部品が接続された電子モジュールを測定対象とする場合に、フレキシブル基板の変形を抑制することができる測定用ソケットを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、フレキシブル基板に電子部品が接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、電子モジュールを収容する凹部を有するベースと、ベースの凹部に収容された電子モジュールのフレキシブル基板を押圧する押圧部と、フレキシブル基板の端部を所定位置までガイドする傾斜ガイド面と、を備え、押圧部は、固定部分と、固定部分に対して進退可能に設けられる可動部分とを有し、押圧部でフレキシブル基板を押圧する際、可動部分がフレキシブル基板の端部と接触して、傾斜ガイド面に沿って移動するフレキシブル基板の端部とともに可動することを特徴とする測定用ソケットである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板に電子部品が接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子モジュールを収容する凹部を有するベースと、
前記ベースの前記凹部に収容された前記電子モジュールの前記フレキシブル基板を押圧する押圧部と、
前記フレキシブル基板の端部を所定位置までガイドする傾斜ガイド面と、
を備え、
前記押圧部は、固定部分と、前記固定部分に対して進退可能に設けられる可動部分とを有し、
前記押圧部で前記フレキシブル基板を押圧する際、前記可動部分が前記フレキシブル基板の前記端部と接触して、前記傾斜ガイド面に沿って移動する前記フレキシブル基板の前記端部とともに可動することを特徴とする測定用ソケット。
【請求項2】
前記傾斜ガイド面から前記可動部分が離れている状態で、前記可動部分は上下方向にみて前記傾斜ガイド面と重なる位置に配置され、
前記可動部分が前記傾斜ガイド面と接触したあと、前記フレキシブル基板の前記端部を押圧する際、前記可動部分が前記傾斜ガイド面に沿いながら前記端部を前記所定位置まで送るように移動する、請求項1記載の測定用ソケット。
【請求項3】
前記ベースに対して回動可能に支持されたカバーと、前記ベースと前記カバーとの間に設けられたセンターカバーをさらに備え、
前記センターカバーには、前記センターカバーが前記ベースに近づいた際に前記電子部品を基準壁に押圧するための位置決め部が設けられ、
前記カバーには前記押圧部が設けられ、
前記カバーおよび前記センターカバーが前記ベースに近づき、前記位置決め部によって前記電子部品を押圧した後に前記押圧部によって前記フレキシブル基板の押圧が行われる、請求項1記載の測定用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの導通検査や特性測定などを行う際に用いられる測定用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC等の電子部品の電気的な測定を行う際に用いられる測定用ソケット(以下、単に「ソケット」とも言う。)として、電子部品を一方向に押圧して位置決めするソケットが開示されている。例えば、特許文献1では、ICパッケージの表面を押圧して位置決めを行う半導体装置用ソケットが開示される。
【0003】
また、特許文献2には、ソケットカバーの電気部品を押圧する押圧動作に伴って操作され、収容部に収容された電気部品の位置決め部と反対側の隅角部にて直交する側面にそれぞれ点接触し、電気部品を位置決め部に対して片寄せする片寄せ手段を備えた電気部品用ソケットが開示される。
【0004】
また、特許文献3には、ソケット本体に、電気部品が押圧部材で押圧される前に、載置部の周縁部の一部に設けられた固定ガイド部に当接される電気部品の側面と反対側の側面を固定ガイド部の方向に押し、電気部品を固定ガイド部に当接させて所定の載置位置に位置決めする手段を備えた電気部品用ソケットが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-023164号公報
【特許文献2】特開2005-061948号公報
【特許文献3】特開2004-296155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子モジュールとして、フレキシブル基板に電子部品が接続されたものを測定対象とする測定ソケットでは、電子モジュールを位置決めする際、電子部品の位置合わせとともにフレキシブル基板の位置も合わせる必要がある。フレキシブル基板を位置合わせする際には、押圧部によってフレキシブル基板を押さえながらフレキシブル基板を基準位置へ追い込み、位置固定している。この際、フレキシブル基板に不要な力を加えないようにして、フレキシブル基板を変形させない工夫が求められる。
【0007】
本発明は、フレキシブル基板に電子部品が接続された電子モジュールを測定対象とする場合に、フレキシブル基板の変形を抑制しながら位置固定することができる測定用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、フレキシブル基板に電子部品が接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、電子モジュールを収容する凹部を有するベースと、ベースの凹部に収容された電子モジュールのフレキシブル基板を押圧する押圧部と、フレキシブル基板の端部を所定位置までガイドする傾斜ガイド面と、を備え、押圧部は、固定部分と、固定部分に対して進退可能に設けられる可動部分とを有し、押圧部でフレキシブル基板を押圧する際、可動部分がフレキシブル基板の端部と接触して、傾斜ガイド面に沿って移動するフレキシブル基板の端部とともに可動することを特徴とする測定用ソケットである。
【0009】
このような構成によれば、フレキシブル基板の端部が傾斜ガイド面に乗り上げて載置された場合でも、押圧部の可動部分によってフレキシブル基板の端部を傾斜ガイド面に沿って押していき、所定位置まで送り込むことができる。これにより、押圧部によってフレキシブル基板を押圧した際、端部を変形させてしまうことを防止できる。
【0010】
上記測定用ソケットにおいて、傾斜ガイド面から可動部分が離れている状態で、可動部分は上下方向にみて傾斜ガイド面と重なる位置に配置され、可動部分が傾斜ガイド面と接触したあと、フレキシブル基板の端部を押圧する際、可動部分が傾斜ガイド面に沿いながら端部を所定位置まで送るように移動することが好ましい。これにより、フレキシブル基板の端部が傾斜ガイド面に乗り上げて載置された場合でも、可動部分がフレキシブル基板の端部と接触して、傾斜ガイド面に沿って所定位置まで送り込むことができる。
【0011】
上記測定用ソケットにおいて、ベースに対して回動可能に支持されたカバーと、ベースとカバーとの間に設けられたセンターカバーをさらに備え、センターカバーには、センターカバーがベースに近づいた際に電子部品を基準壁に押圧するための位置決め部が設けられ、カバーには押圧部が設けられ、カバーおよびセンターカバーがベースに近づき、位置決め部によって電子部品を押圧した後に押圧部によってフレキシブル基板の押圧が行われるよう構成されていてもよい。これにより、電子部品を位置決めした状態でフレキシブル基板が押圧部によって所定位置に送られるため、電子部品の位置決めと、フレキシブル基板の位置合わせとの両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレキシブル基板に電子部品が接続された電子モジュールを測定対象とする場合に、フレキシブル基板の変形を抑制しながら位置固定することができる測定用ソケットを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図2】測定対象の電子モジュールを例示する斜視図である。
図3】押圧部を例示する斜視図である。
図4】押圧部を例示する分解斜視図である。
図5】(a)および(b)は、押圧部の動作を例示する模式断面図である。
図6】(a)および(b)は、押圧部の動作を例示する模式断面図である。
図7】(a)および(b)は、参考例を示す模式断面図である。
図8】第2実施形態に係るコンタクト装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図2は、測定対象の電子モジュールを例示する斜視図である。
図3は、押圧部を例示する斜視図である。
図4は、押圧部を例示する分解斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る測定用ソケット1は、電子モジュール100の特性(電気的特性や光学的特性など)を測定するソケットである。測定用ソケット1は、測定対象となる電子モジュール100を搭載して位置決めし、電子モジュール100との接続(電気的な接続や光軸合わせ)を行う。
【0017】
本実施形態では、測定対象となる電子モジュール100として、フレキシブル基板102に電子部品101およびコネクタ103が接続されたものが適用される。フレキシブル基板102には配線パターンが形成され、電子部品101とコネクタ103との間の通電がなされる。したがって、本実施形態の測定用ソケット1では、コンタクトピン(図示せず)をコネクタ103の端子と接触させることによって、電子部品101に対する電気的な導通を得ることができる。電子部品101の例には受光素子やレンズなどの光学要素が設けられていてもよい。また、電子部品101の例には、電磁波や音波などの信号を用いて測定を行う電磁波・音波等計測部品も含まれる。すなわち、電子部品101には、イメージングデバイスまたは距離測定デバイスの少なくとも一方が含まれていてもよい。電子モジュール100の具体例としては、カメラモジュール、指紋読み取りモジュール、ToF(Time of Flight)、レーダセンサモジュール、超音波センサモジュール等が挙げられる。
【0018】
本実施形態に係る測定用ソケット1は、ベース10と、第1カバー20と、押圧部30と、第2カバー40と、傾斜ガイド面50とを備える。なお、以下の説明において、ベース10における電子モジュール100を搭載する面と直交する方向をZ方向、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向ということにする。
【0019】
ベース10は、電子モジュール100を搭載する凹部11を有する。凹部11は、電子部品101およびフレキシブル基板102の配置位置を決めるためのガイドの役目を果たす。凹部11の開口側には、上に広がるテーパ部が設けられ、テーパ部の下方にはストレート部が設けられている。凹部11に載置された電子モジュール100はテーパ部で呼び込まれて、ストレート部に収容される。
【0020】
第1カバー20は、ベース10に対して回動可能に取り付けられる。本実施形態では、ベース10の一端に設けられたヒンジ81を介して第1カバー20が取り付けられる。第1カバー20は、ヒンジ81の軸85を中心として開閉動作可能に設けられる。第1カバー20はバネ86によって開く方向に付勢される。バネ86の付勢力に打ち勝って第1カバー20を閉じて、爪26をベース10に設けられたラッチ25に掛けることで閉じた状態で固体される。
【0021】
押圧部30は、ベース10の凹部11に収容された電子モジュール100のフレキシブル基板102を押圧する部材である。押圧部30の詳細については後述する。
【0022】
第2カバー40はセンターカバーである。第2カバー40は、ベース10と第1カバー20との間に設けられる。本実施形態では、第2カバー40はヒンジ82を介して第1カバー20の回動の軸85に取り付けられる。すなわち、第1カバー20および第2カバー40は共通の軸85に取り付けられる。第2カバー40には、第2カバー40がベース10に近づいた際に電子部品101を押圧するための位置決め部41が設けられる。電子部品101の位置決めにおいては、上記のような第2カバー40に設けられた位置決め部41によるものであってもよいし、別途の押圧機構(図示せず)によって第1カバー20などの閉動作と連動して電子部品101を基準位置(基準壁など)に押圧するものであってもよい。
【0023】
このような第2カバー40が設けられていることで、位置決め部41によって電子部品101を位置決めした状態で押圧部30によってフレキシブル基板102を所定位置に送り込み固定する。したがって、電子部品101の位置決めと、フレキシブル基板102の位置合わせとの両立を図ることができる。
【0024】
傾斜ガイド面50は、フレキシブル基板102の端部を所定位置までガイドする傾斜面であり、ベース10の凹部11の一部に設けられる。電子モジュール100が凹部11に収容される際、フレキシブル基板102は傾斜ガイド面50に沿って凹部11に呼び込まれる。
【0025】
(押圧部の構成)
押圧部30は、固定部分31と、固定部分31に対して進退可能に設けられる可動部分32とを有する。本実施形態では、押圧部30は第1カバー20に設けられる。凹部11に電子モジュール100を収容した状態で第1カバー20および第2カバー40を閉じることで、押圧部30によってフレキシブル基板102が押圧され、凹部11の所定の位置へフレキシブル基板102が追い込まれ、位置固定される。
【0026】
押圧部30の固定部分31は第1カバー20に固定されており、第1カバー20と一体的に回動する。固定部分31は第1カバー20にネジなどで固定されていてもよい。例えば、固定部分31と第1カバー20との間にスペーサ(図示せず)を設けることで、第1カバー20を閉じた際の押圧部30とフレキシブル基板102との接触のタイミングを調整することができる。
【0027】
押圧部30による固定部分31には穴31hが設けられており、この穴31hに軸31aおよびコイルバネ31bが挿入される。可動部分32には軸31aを通す孔32hが設けられる。コイルバネ31bを固定部分31の穴31hに挿入し、可動部分32の孔32hに軸31aを通した状態で、孔32hから突出した軸31aを穴31hに挿入する。軸31aは、例えば螺合によって固定部分31の穴31h内に挿入した状態で固定される。
【0028】
軸31aの固定によって可動部分32は軸31aに沿って移動可能に取り付けられる。可動部分32は、固定部分31の穴31hの前方に設けられた溝部31c内に配置され、コイルバネ31bによって固定部分31から離れる方向に付勢される。したがって、通常の状態では、可動部分32はコイルバネ31bによって付勢されて溝部31c内における穴31hから最も離れた位置に配置される。可動部分32に対して穴31hの方向へ力が加わると、可動部分32はコイルバネ31bの付勢力に打ち勝つことで穴31hに近づくように溝部31c内を移動(スライド)することになる。
【0029】
(押圧部の動作)
図5(a)から図6(b)は、押圧部の動作を例示する模式断面図である。
図5(a)に示すように、ベース10の凹部11に電子モジュール100が載置される。この際、電子モジュール100のフレキシブル基板102は凹部11内に収容される場合もあれば、フレキシブル基板102の端部が凹部11の傾斜ガイド面50に引っ掛かって凹部11内に完全に収容されない場合もある。図5(a)には、フレキシブル基板102の端部が傾斜ガイド面50に引っ掛かっている状態が示される。
【0030】
次に、図5(b)に示すように、第1カバー20および第2カバー40を閉じる。本実施形態に係る測定用ソケット1では、押圧部30が傾斜ガイド面50から離れている状態で、上下方向(Z方向)にみて可動部分32が傾斜ガイド面50と重なる位置に配置される。このため、第1カバー20および第2カバー40を閉じていくと、可動部分32は傾斜ガイド面50と接触したあと、傾斜ガイド面50に沿いながら下っていく。
【0031】
この際、可動部分32は傾斜ガイド面50に沿って下りながらコイルバネ31bの付勢力に打ち勝って軸31aに沿ってスライドしていくことになる。可動部分32が傾斜ガイド面50に沿って下っていくと、傾斜ガイド面50の途中に掛かるフレキシブル基板102の端部に対して傾斜ガイド面50の上から斜め下に向けて近づいていくことになる。
【0032】
次に、図6(a)に示すように、第1カバー20および第2カバー40をさらに閉じていくと、傾斜ガイド面50に沿って下っていく可動部分32がフレキシブル基板102の端部に到達する。
【0033】
そして、さらに第1カバー20および第2カバー40を閉じていくことで、図6(b)に示すように、可動部分32がフレキシブル基板102の端部を傾斜ガイド面50に沿って上から斜め下に向けて押しながらフレキシブル基板102を凹部11まで送り込んでいく。フレキシブル基板102が凹部11内に収容された状態で第1カバー20が完全に閉じられる。これにより押圧部30によってフレキシブル基板102が押圧され、凹部11内の所定位置に固定されることになる。
【0034】
このように、フレキシブル基板102の端部が傾斜ガイド面50に乗り上げた状態で載置されていても、押圧部30の可動部分32がフレキシブル基板102の端部を傾斜ガイド面50に沿って上から斜め下に押す。これにより、フレキシブル基板102を所定位置まで送ることができる。可動部分32は傾斜ガイド面50に沿ってフレキシブル基板102の端部を上から斜め下に押しながら軸31aに沿ってスライドするため、フレキシブル基板102の凹部11に送り込むまでの間、フレキシブル基板102に対してZ方向に不要な力を加えずに済む。したがって、押圧部30によってフレキシブル基板102を押圧した際、フレキシブル基板102を変形させてしまうことを防止することができる。
【0035】
(参考例)
図7(a)および(b)は、参考例を示す模式断面図である。
図7(a)には電子モジュール100を凹部11に載置した状態が示され、図7(b)には押圧部60とフレキシブル基板102との接触位置の拡大図が示される。
参考例に係る押圧部60には可動部分32は設けられていない。
【0036】
図7(a)に示すように、電子モジュール100を凹部11に載置した際、フレキシブル基板102の端部が傾斜ガイド面50に乗り上げた状態で押圧部60によってフレキシブル基板102を押圧すると、図7(b)に示すように、押圧部60はフレキシブル基板102の端部よりも僅かに内側をZ方向に押圧することになる。この状態で押圧部60を下げていく際、押圧部60によってフレキシブル基板102が傾斜ガイド面50に沿って凹部11へ送られればよいが、傾斜ガイド面50にフレキシブル基板102の端部が引っ掛かった状態のまま押圧部60によってフレキシブル基板102を押圧してしまうと、フレキシブル基板102の端部を変形させてしまうことになる。
【0037】
可動部分32が設けられていない押圧部60では、フレキシブル基板102をZ方向に押圧するだけの構造のため、Z方向にみて押圧部60を傾斜ガイド面50と重なる位置に配置できず、フレキシブル基板102を収容する凹部11の上に配置せざるを得ない。このため、フレキシブル基板102が傾斜ガイド面50に乗り上げていない状態であれば、押圧部60によってフレキシブル基板102をZ方向に押圧して凹部11内に位置固定することができる。しかし、フレキシブル基板102の端部が傾斜ガイド面50に引っ掛かったままの状態で押圧部60によって押圧を行うと、押圧部60によってフレキシブル基板102の端部を変形させてしまうことになる。
【0038】
一方、本実施形態に係る測定用ソケット1では、押圧部30に可動部分32が設けられていることで、可動部分32を傾斜ガイド面50の上方に位置させておき、可動部分32が傾斜ガイド面50に接触した際には傾斜ガイド面50に沿って上から斜め下に移動させることができる。したがって、フレキシブル基板102の端部が傾斜ガイド面50に引っ掛かっていても、可動部分32によってフレキシブル基板102の端部を傾斜ガイド面50に沿って上から斜め下に押して凹部11へ送り込むことができる。これにより、傾斜ガイド面50に引っ掛かったままフレキシブル基板102を押圧することがなく、フレキシブル基板102の変形を抑制することができる。
【0039】
(第2実施形態:コンタクト装置)
図8は、第2実施形態に係るコンタクト装置を例示する模式図である。
本実施形態に係るコンタクト装置500は、先に説明した測定用ソケット1と同様に、ベース10、第1カバー20、押圧部30および傾斜ガイド面50を備える。コンタクト装置500では、第1カバー20がベース10に対して上下動するよう構成される。
【0040】
ベース10には、電子モジュール100を載置する凹部11が設けられる。ベース10には、例えば4箇所に支柱515が設けられている。第1カバー20は、この支柱515によって支持され、支柱515に沿って上下動可能に設けられる。支柱515にはバネ517が設けられており、第1カバー20を上方に付勢している。第1カバー20は、図示しない駆動機構によってバネ517の付勢力を超えた力で押し込まれることにより、ベース10の上に被せられる。
【0041】
第1カバー20を下降することで押圧部30の可動部分32が傾斜ガイド面50に沿ってスライドし、フレキシブル基板102の端部を傾斜ガイド面50に沿って凹部11まで送り込み、位置固定を行う。したがって、フレキシブル基板102の端部が傾斜ガイド面50に乗り上げていたとしても、押圧部30の可動部分32によってフレキシブル基板102の端部を傾斜ガイド面50に沿って凹部11内まで送り込むことができる。これにより、押圧部30によってフレキシブル基板102を押圧した際、フレキシブル基板102の端部を変形させてしまうことを防止できる。
【0042】
以上説明したように、実施形態に係る測定用ソケット1によれば、フレキシブル基板102に電子部品101が接続された電子モジュール100を測定対象とする場合に、フレキシブル基板102の変形を抑制しながら位置固定することが可能となる。
【0043】
なお、上記に本実施形態およびその具体例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、第1カバー20に押圧部30(固定部分31)が固定されている例を説明したが、押圧部30(固定部分31)は第2カバー40に固定されていてもよい。また、本発明の測定用ソケット1は、第2カバー40を備えていない構成であってもよい。また、前述の実施形態またはその具体例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0044】
1…測定用ソケット
10…ベース
11…凹部
20…第1カバー
25…ラッチ
26…爪
30…押圧部
31…固定部分
31a…軸
31b…コイルバネ
31c…溝部
31h…穴
32…可動部分
32h…孔
40…第2カバー
41…位置決め部
50…傾斜ガイド面
60…押圧部
81,82…ヒンジ
85…軸
86…バネ
100…電子モジュール
101…電子部品
102…フレキシブル基板
103…コネクタ
500…コンタクト装置
515…支柱
517…バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8