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  • 特開-パッケージ付きプラスチック製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064177
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】パッケージ付きプラスチック製品
(51)【国際特許分類】
   A63H 9/00 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
A63H9/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172761
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】320003552
【氏名又は名称】林 弘和
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】林 弘和
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA42
2C150BC02
2C150CA02
2C150FB43
2C150FD24
(57)【要約】
【課題】送付にかかる手間やコストを低減させることが可能なパッケージ付きプラスチック製品を提供する。
【解決手段】パッケージ付きプラスチック製品1に、四角い枠体の枠内に支持されている造形体2を有している本体部10と、本体部10と同じ大きさの四角形の平板状で一方の面に送付先記入部21を有する第一平板部20と、本体部10と第一平板部20とが互いに重なるように本体部10と第一平板部20とを接合している接合機構30と、接合機構30により本体部10と第一平板部20とを互いに重ねた状態にすると、互いに係合して本体部10と第一平板部20とを固定するための第一係合機構41と、本体部10と第一平板部20とを互いに重ねた時に、側面における本体部10と第一平板部20との隙間を閉鎖するように、第一平板部20の三つの辺から延出している側板部40と、を具備させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角い枠状に形成されている枠体、該枠体から枠内に延出している複数のランナー、及び該複数のランナーにより支持されている造形体、を有している本体部と、
該本体部と同じ大きさの四角形で平板状に形成されており、一方の面に送付先を記入するための送付先記入部を有する第一平板部と、
前記本体部と前記第一平板部とが互いに重なるように、前記本体部及び前記第一平板部における同じ長さの一つの辺同士を接合している接合機構と、
該接合機構により前記本体部と前記第一平板部とを互いに重ねた状態にすると、互いに係合して前記本体部と前記第一平板部とを互いに固定するための第一係合機構と、
前記本体部と前記第一平板部とを互いに重ねた時に、側面における前記本体部と前記第一平板部との隙間を閉鎖するように、前記本体部又は前記第一平板部における少なくとも三つの辺から延出している側板部と
を具備していることを特徴とするパッケージ付きプラスチック製品。
【請求項2】
前記接合機構は、
前記第一平板部の一辺と同じ長さの辺を有し該第一平板部と同じ大きさの四角形で平板状の第二平板部と、
前記本体部と前記第二平板部とが互いに重なるように、前記本体部及び前記第二平板部における同じ長さの一つの辺同士を接合している第一関節部と、
前記本体部を間にして前記第一平板部と前記第二平板部とが互いに重なるように、前記第一平板部及び前記第二平板部における同じ長さの一つの辺同士を接合している第二関節部と
を有しており、
前記側板部は、
前記本体部と前記第一平板部と前記第二平板部とを重ねた時に、前記本体部と前記第二平板部との間の隙間を更に閉鎖するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ付きプラスチック製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックにより形成されている造形体にパッケージが付いているパッケージ付きプラスチック製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックにより形成されているプラスチック製品として、棒状のランナーにより支持されている複数の造形体(組立部品)を有し、各組立部品をランナーから切り離して組み立てることが可能なプラスチックモデルキットが知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1のようなプラスチック製品は、ユーザーに送付する場合、箱や封筒のようなパッケージに収容した上で、パッケージに送付先を記入するようにしているため、別途にパッケージを用意する必要があり、送付に手間とコストがかかる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-47497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、送付にかかる手間やコストを低減させることが可能なパッケージ付きプラスチック製品の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明にかかるパッケージ付きプラスチック製品は、
「四角い枠状に形成されている枠体、該枠体から枠内に延出している複数のランナー、及び該複数のランナーにより支持されている造形体、を有している本体部と、
該本体部と同じ大きさの四角形で平板状に形成されており、一方の面に送付先を記入するための送付先記入部を有する第一平板部と、
前記本体部と前記第一平板部とが互いに重なるように、前記本体部及び前記第一平板部における同じ長さの一つの辺同士を接合している接合機構と、
該接合機構により前記本体部と前記第一平板部とを互いに重ねた状態にすると、互いに係合して前記本体部と前記第一平板部とを互いに固定するための第一係合機構と、
前記本体部と前記第一平板部とを互いに重ねた時に、側面における前記本体部と前記第一平板部との隙間を閉鎖するように、前記本体部又は前記第一平板部における少なくとも三つの辺から延出している側板部と
を具備している」ことを特徴とする。
【0007】
ここで、「造形体」としては、立体的に形成されているものであれば良く、組み立てる必要のない完成体であっても良いし、組み立てる必要のある部品体であっても良い。また、本体部と第一平板部との接合は、夫々の辺同士が直接接合されていても良いし、接合部のような他の構成を介して接合されていても良い。
【0008】
また、「接合機構」としては、「屈曲させることにより本体部と第一平板部とが互いに重なった状態になるもの」、「ヒンジ回転させることにより本体部と第一平板部とが互いに重なった状態になるもの」、「嵌合させることにより本体部と第一平板部とが互いに重なった状態になるもの」、を例示することができる。
【0009】
また、「第一係合機構」としては、「先端が鉤状に形成されている係合爪を有し、係合爪が枠体に係合されるもの」、「先端が鉤状に形成されている係合爪と、係合爪が係合される係合孔と、を有するもの」、「開口部が窄まっている溝状の係合溝と、係合溝に嵌入される係合部と、から構成されているもの」、「棒状に突出している係合ピンと、係合ピンが嵌入される係合孔と、から構成されているもの」、「間隔をあけて設けられている一対の係合片と、一対の係合片の間に挿入される被係合片と、から構成されているもの」、を例示することができる。
【0010】
本構成のパッケージ付きプラスチック製品によれば、接合機構と第一係合機構とにより、本体部と第一平板部とが互いに重なっている状態で固定することができるため、本体部の一方の面に第一平板部を重ねて折り畳むことにより、本体部の一方の面を覆うことができる。この際に、側面における本体部と第一平板部との間の隙間が、本体部又は第一平板部に設けられている側板部によって閉鎖される。そして、第一平板部には送付先記入部を有しているため、送付先記入部に送付先の氏名や名称、住所、等を記入することにより、折り畳んだ状態で造形体をユーザーに送付することができる。従って、郵便や宅配便により送付する際に、本体部を収容するための箱や封筒等のパッケージを別途に用意する必要がないと共に、パッケージに本体部を収容する手間を省くことができ、送付にかかる手間やコストを低減させることができる。
【0011】
また、本体部の一方の面を第一平板部で覆っているため、郵便や宅配便で輸送している時に、本体部の造形体に他の部材が当接して傷付いたり造形体が枠体から外れたりすることを防止することができる。更に、側面における本体部と第一平板部との間の隙間を側板部により閉鎖しているため、ハガキや封筒のような他の郵便物が側面から本体部と第一平板部との間に侵入することを防止することができる。
【0012】
本発明にかかるパッケージ付きプラスチック製品は、上記の構成に加えて、
「前記接合機構は、
前記第一平板部の一辺と同じ長さの辺を有し該第一平板部と同じ大きさの四角形で平板状の第二平板部と、
前記本体部と前記第二平板部とが互いに重なるように、前記本体部及び前記第二平板部における同じ長さの一つの辺同士を接合している第一関節部と、
前記本体部を間にして前記第一平板部と前記第二平板部とが互いに重なるように、前記第一平板部及び前記第二平板部における同じ長さの一つの辺同士を接合している第二関節部と
を有しており、
前記側板部は、
前記本体部と前記第一平板部と前記第二平板部とを重ねた時に、前記本体部と前記第二平板部との間の隙間を更に閉鎖するものである」ことを特徴としても良い。
【0013】
本構成によれば、接合機構の第一関節部により本体部と第二平板部とが互いに重なるように折り畳んだ上で、第二関節部により本体部を間にして第一平板部と第二平板部とがダ外に重なるように折り畳むことで、本体部の一方の面を第一平板部により、反対側の面を第二平板部により覆うことができる。この際に、本体部又は第一平板部から延出している側板部により、側面における本体部と第二平板部との間の隙間が閉鎖される。従って、郵便や宅配便による輸送中において、本体部の造形体に、他の部材が当接して傷付いたり造形体が枠体から外れたりすることを確実に防止することができると共に、本体部と第一平板部との間、及び本体部と第二平板部との間に、他の郵便物などが側面から侵入することを防止することができる。
【0014】
また、プラスチックにより形成されている第一平板部及び第二平板部で本体部を覆うことができるため、紙でできた箱や封筒のようなパッケージに収容して送付する場合と比較して、プラスチックは丈夫であることから、より破損し難い状態で造形体を送付することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の効果として、送付にかかる手間やコストを低減させることが可能なパッケージ付きプラスチック製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の一実施形態であるパッケージ付きプラスチック製品を展開した状態で示す平面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は(b)の状態から本体部を第二平板部に折り畳んだ状態で示す正面図であり、(d)は(c)の状態から第一平板部を本体部に折り畳んだ状態で拡大して示す正面図である。
図2】(a)図1とは異なる実施形態のパッケージ付きプラスチック製品を展開した状態で示す平面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は(b)の状態から本体部を第二平板部に折り畳んだ状態で拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態であるパッケージ付きプラスチック製品1(以下では単にプラスチック製品1と称する)について、図1を参照して詳細に説明する。本実施形態のプラスチック製品1は、プラスチックモデルやプラスチックモデルキットのような造形体2を、箱や封筒のような別途のパッケージに収容しなくても、郵便や宅配便で送付することができるものである。
【0018】
プラスチック製品1は、造形体2を有している外形が四角い本体部10と、本体部10と同じ大きさの四角形で平板状の第一平板部20と、本体部10と第一平板部20とを接合している接合機構30と、第一平板部20の三つの辺から延出している側板部40と、を備えている。
【0019】
本体部10は、四角い枠状に形成されており枠内に造形体2が配置されている枠体11と、枠体11から枠内に延出している複数のランナー12と、ランナー12と造形体2とを繋いでいるゲート13と、を更に有している。造形体2は、ゲート13を介して複数のランナー12により支持されている。
【0020】
枠体11は、自身の長さよりも短い間隔をあけて平行に設けられている一対の長枠部11aと、一対の長枠部11aの端部同士を夫々連結している一対の短枠部11bと、により構成されている。長枠部11a及び短枠部11bは、棒状に形成されている。ランナー12は、長枠部11a及び短枠部11bと同じ太さの円柱状に形成されている。ゲート13は、ランナー12の太さよりも薄い平板状に形成されている。本実施形態では、図示するように、二つの造形体2を有しており、夫々がナイフとフォークの形に造形されている完成体である。
【0021】
第一平板部20は、一方の面(ここでは下面)に送付先を記入するための送付先記入部21と、切手を貼り付けるための切手貼付部22と、を有している。送付先記入部21及び切手貼付部22は、プラスチック製品1を、展開位置の状態から折り畳んで送付位置の状態にした時に、外部から見える面に設けられている。第一平板部20の厚さは、本体部10の枠体11の厚さと同じである。
【0022】
接合機構30は、第一平板部20と同じ大きさの四角形で平板状の第二平板部31と、本体部10と第二平板部31とを接合している第一関節部32と、第一平板部20と第二平板部31とを接合している第二関節部33と、を備えている。
【0023】
第一関節部32は、本体部10と第二平板部31とが互いに重なるように、本体部10の一つの長枠部11aと、第二平板部31の一つの長辺と、を接合している。第一関節部32は、長枠部11aに沿って延出している帯板状の繋板部32aと、繋板部32aの両外側に設けられている二つの可撓部32bと、を有している。繋板部32aの幅(二つの可撓部32b同士の間隔)は、第二平板部31の厚さよりも広い。夫々の可撓部32bは、図1(b)に示すように、両面から凹んでいるV字状の溝により形成されており、厚さを薄くすることにより可撓性を高めて屈曲させ易くしている。
【0024】
第二関節部33は、本体部10を間にして第一平板部20と第二平板部31とが互いに重なるように、第一平板部20の一つの長辺と、第二平板部31の第一関節部32とは反対側の長辺と、を接合している。第二関節部33は、第一平板部20の一つの長辺に沿って延出している帯板状の繋板部33aと、繋板部33aの両外側に設けられている二つの可撓部33bと、を有している。第二関節部33の繋板部33aの幅は、第一関節部32の繋板部32aの幅よりも広い。夫々の可撓部33bは、両面から凹んでいるV字状の溝により形成されており、厚さを薄くすることにより可撓性を高めて屈曲させ易くしている。
【0025】
上記のように、接合機構30の第一関節部31及び第二関節部33は、二段階に屈曲させることができる。また、接合機構30において、第二平板部31、第一関節部32の繋板部32a、及び第二関節部33の繋板部33aは、夫々の厚さが第一平板部20の厚さと同じである。
【0026】
側板部40は、第一平板部20における接合機構30により接合されている長辺とは反対側の長辺と、二つの短辺とから上方へ延出している。側板部40の高さは、第二関節部33の繋板部33aの幅と同じ高さである。側板部40は、詳細は後述するが、接合機構30により本体部10と第一平板部20とを互いに重ねると共に、本体部10を間にして第一平板部20と第二平板部31とを互いに重ねて後述する送付位置の状態にした時に、側面における本体部10と第一平板部20との間の隙間、及び、本体部10と第二平板部31との間の隙間、を閉鎖するよう設けられている。
【0027】
また、プラスチック製品1は、本体部10と第一平板部20とを互いに固定するための第一係合機構41と、本体部10と第二平板部31とを互いに固定するための第二係合機構42と、を備えている。
【0028】
第一係合機構41は、第一平板部20における第二関節部33とは反対側の長辺の近傍から垂直に上方へ延出していると共に先端が鉤状に形成されている係合爪41aを、備えている。第一係合機構41は、プラスチック製品1を送付位置の状態にした時に、本体部10の枠体11における第一関節部32に近い長枠部11aに係合される。
【0029】
第二係合機構42は、第二平板部31における第二関節部33に近い長辺の近傍から垂直に上方へ延出していると共に先端が鉤状に形成されている係合爪42aを、備えている。第二係合機構42は、プラスチック製品1を送付位置の状態にした時に、本体部10の枠体11における第一関節部32から遠い長枠部11aに係合される。
【0030】
次に、本実施形態のプラスチック製品1の使用方法について説明する。プラスチック製品1は、射出成形金型を使用した射出成形により形成されるものである。このプラスチック製品1は、図1(a)及び(b)に示すように、本体部10、第一平板部20、接合機構30が、同一平面上に配置されて一体に繋がっている展開位置の状態で成形される。なお、多色成形により、造形体2、本体部10、第一平板部20、第二平板部31、等を形成している合成樹脂の色を異ならせるようにしても良い。
【0031】
このプラスチック製品1をユーザーに送付する場合は、まず、本体部10が接合機構30の第二平板部31に対して上方から重ねられるように、第一関節部32の二つの可撓部32bの部位を屈曲させて、本体部10と第二平板部31とが互いに重なるような状態にする(図1(c)を参照)。この際に、第二平板部31から上方へ延出している第二係合機構42の係合爪42aの先端を、本体部10における枠体11の枠内を通過させて、鉤状の部位を長枠部11aに係合させる。これにより、本体部10と第二平板部31とが互いに重ね合わされた状態で固定される。
【0032】
続いて、第一平板部20が本体部10に対して上方から重ねられるように、第二関節部33の二つの可撓部33bの部位を屈曲させて、本体部10と第一平板部20とが互いに重なるような状態にする(図1(d)を参照)。この際に、第一平板部20から上方へ延出している第一係合機構41の係合爪41aの先端を、本体部10における枠体11の枠内を通過させて、鉤状の部位を長枠部11aに係合させる。これにより、本体部10と第一平板部20とが互いに重ね合わされた状態で固定される。
【0033】
この状態では、本体部10を間にして第一平板部20と第二平板部31とが互いに重ねられている。また、第一平板部20の三つの辺から延出している側板部40により、側面において、本体部10と第一平板部20との間の隙間と、本体部10と第二平板部31との間の隙間とが、閉鎖されている。
【0034】
このようにして、本体部10の両面に、第一平板部20と第二平板部31とを重ね合わせることにより、三つ折りに折り畳まれて直方体状となった送付位置の状態となる。この状態では、第一平板部20における送付先記入部21や切手貼付部22が外方(上方)を向いている。そして、送付先記入部21に送付先を記入したり切手貼付部22に切手を貼り付けたりした上で、郵便や宅配便でユーザーに送付する。なお、送付先記入部21に、送付先が記載されているシールを貼り付けても良い。
【0035】
この送付位置の状態では、本体部10の両面が第一平板部20及び第二平板部31により覆われていると共に、側面が側板部40により覆われているため、郵便や宅配便による輸送中に、本体部10の造形体2に、他の部材が当接することはないと共に、側面から郵便物などが内部に侵入することはない。
【0036】
その後、本プラスチック製品1を受け取ったユーザーは、第一係合機構41の係合爪41aの係合を解除すると共に、第二係合機構42の係合爪42aを解除して展開した状態とする。そして、ニッパーのような工具を使用してゲート13を切断して本体部10から造形体2を切り離すことにより、造形体2(完成体)を得ることができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、折り畳んだ送付位置の状態で、外方を向いている第一平板部20の送付先記入部21に送付先の氏名や名称、住所、等を記入することにより、造形体2をユーザーに送付することができる。従って、造形体2を郵便や宅配便により送付する際に、本体部10を収容するための箱や封筒等のパッケージを別途に用意する必要がないと共に、パッケージにプラスチック製品を収容する手間を省くことができ、送付にかかる手間やコストを低減させることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、接合機構30において、第二関節部33の可撓部33bの部位で折り曲げることにより、本体部10と第二平板部31とが互いに重なっている状態で固定することができると共に、第一関節部32の可撓部32bの部位で折り曲げることにより、本体部10と第一平板部20とが互いに重なっている状態で固定することができるため、第一平板部20と第二平板部31とで本体部10の両面を覆うことができる。従って、郵便や宅配便による輸送中において、本体部10の造形体2に、他の部材が当接して傷付いたり造形体2が枠体から外れたりすることを確実に防止することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、側板部40により本体部10と第一平板部20との間の隙間、及び、本体部10と第二平板部31との間の隙間を、夫々閉鎖しているため、ハガキや封筒のような他の郵便物が側面から本体部10と第一平板部20との間や本体部10と第二平板部31との間に侵入することを防止することができる。
【0040】
更に、本実施形態によれば、プラスチックにより形成されている第一平板部20、第二平板部31、及び側板部40で本体部10(造形体2)を覆うことができるため、紙でできた箱や封筒のようなパッケージに収容して送付する場合と比較して、プラスチックは丈夫であることから、より破損し難い状態で造形体2を送付することができる。
【0041】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。以下では、上記と同じ構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
【0042】
例えば、上記の実施形態では、送付位置の状態にすると直方体状になるプラスチック製品1を示したが、これに限定するものではなく、立方体状になるプラスチック製品としても良い。
【0043】
また、上記の実施形態では、接合機構30に、第二平板部31と、第一関節部32及び第二関節部33とを備えることで、三つ折りにできるものを示したが、これに限定するものではなく、図2に示すような、二つ折りのプラスチック製品1Aとしても良い。第二実施形態のプラスチック製品1Aは、四角い本体部10と、本体部10と同じ大きさの第一平板部20と、本体部10と第一平板部20とを接合している接合機構35と、第一平板部20の三つの辺から延出している側板部40と、本体部10と第一平板部20とを固定するための第三係合機構43と、を備えている。
【0044】
このプラスチック製品1Aは、本体部10、第一平板部20、及び側板部40が、上記のプラスチック製品1と同じ構成である。同じ構成の部位については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図2では、造形体2Aとして、組み立てることが可能な部品体としている。換言すると、造形体2Aは、プラスチックモデルキットの組立部品(パーツ)である。
【0045】
接合機構35は、本体部10と第一平板部20とが互いに重なるように、本体部10の一つの長枠部11aと、第二平板部31の一つの長辺と、を接合している。接合機構35は、長枠部11aに沿って延出している帯板状の繋板部35aと、繋板部35aの両外側に設けられている二つの可撓部35bと、を有している。繋板部35aの幅(二つの可撓部35b同士の間隔)は、第一平板部20の厚さよりも広い。夫々の可撓部35bは、図2(b)に示すように、両面から凹んでいるV字状の溝により形成されており、厚さを薄くすることにより可撓性を高めて屈曲させ易くしている。つまり、接合機構35は、第一関節部32と同じ構成であり、二段階に屈曲させることができる。
【0046】
第三係合機構43は、枠体11における第一平板部20から遠い長枠部11aにおいて枠体11の枠面に対して垂直に上方へ延出していると共に先端が鉤状に形成されている係合爪43aと、側板部40における第一平板部20の枠体11から遠い長辺から延出している部位において内面から凹んでいる溝部43bと、溝部43bにおける側板部40と第一平板部20との境の部位で側板部40を貫通している係合孔43cと、を備えている。第三係合機構43は、プラスチック製品1Aを送付位置の状態にした時に、係合爪43aの軸部分が溝部43bに挿入されると共に、係合爪43aの先端の鉤状の部位が係合孔43cに係合される。
【0047】
本実施形態のプラスチック製品1Aは、上記と同様に、本体部10と第一平板部20とが互いに重なるように、接合機構35の二つの可撓部35bの部位で屈曲させて、第三係合機構43の係合爪43aを係合孔43cに係合させることで、二つ折りとなった送付位置の状態にすることができる。これにより、本体部10の一方の面を第一平板部20で覆うことができると共に、側面において本体部10と第一平板部20との間の隙間を側板部40により覆うことができるため、上述と同様の作用効果を奏することができ、プラスチック製品1Aを郵便や宅配便によりユーザーに送付することができる。なお、プラスチック製品1Aを送付する際に、袋に入れて送付しても良い。
【0048】
また、上記の実施形態では、接合機構30や接合機構35として、厚さの薄い可撓部32b(可撓部33b、可撓部35b)により屈曲させて重ねられるようにしたものを示したが、これに限定するものではなく、ヒンジ回転させることにより重ねられるものとしても良いし、嵌合させることで重ねられるものとしても良い。
【0049】
また、上記の実施形態では、側板部40を第一平板部20の三つの辺から延出させたものを示したが、これに限定するものではなく、第一平板部20の全て(四つ)の辺から側板部40を延出させても良い。また、上記の実施形態では、側板部40を第一平板部20から延出させたものを示したが、これに限定するものではなく、本体部10や第二平板部31から延出させても良い。
【0050】
更に、上記の実施形態では、第一係合機構41(第二係合機構42、第三係合機構43)として、先端が鉤状に形成されている係合爪41aを有したものを示したが、これに限定するものではなく、開口部が窄まっている溝状の係合溝と、係合溝に嵌入される係合部と、を有したものとしても良い。或いは、棒状に突出している係合ピンと、係合ピンが嵌入される係合孔と、を有したものとしても良いし、間隔をあけて設けられている一対の係合片と、一対の係合片の間に挿入される被係合片と、を有したものとしても良い。
【0051】
また、上記の実施形態では、側板部40を第一平板部20の辺から上方へ延出させたものを示したが、これに限定するものではなく、側板部40が設けられる第一平板部20の各辺において、接合機構35のような二段階の関節部を介して第一平板部20と側板部40とを繋げるようにしても良い。これにより、側板部40を第一平板部20と同一平面状に展開することが可能となるため、プラスチック製品の成形金型を深く加工する必要がなく、コストの増加を抑制させることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 プラスチック製品
1A プラスチック製品
2 造形体
2A 造形体
10 本体部
11 枠体
20 第一平板部
21 送付先記入部
22 切手貼付部
30 接合機構
31 第二平板部
32 第一関節部
33 第二関節部
35 接合機構
40 側板部
41 第一係合機構
42 第二係合機構
43 第三係合機構
図1
図2