(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064184
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20220418BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172775
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】片桐 修太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 公也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕
(72)【発明者】
【氏名】奥田 恭広
【テーマコード(参考)】
5K038
5K201
【Fターム(参考)】
5K038AA06
5K038CC02
5K038CC12
5K038DD22
5K038FF11
5K201BA01
5K201CA01
5K201EA05
5K201EB06
5K201EC06
5K201ED05
(57)【要約】
【課題】 携帯電話を玄関子機からの呼び出しに応答できる機器に設定しても、消費電力を抑制しつつスムーズな応答を実施できる。
【解決手段】 玄関子機4、居室親機5を備えたインターホン装置1と、ネットワークNを介してインターホン装置1に接続される携帯電話2とを有し、居室親機5の設置位置を含む特定のエリアを記憶するエリア情報記憶部21と、携帯電話2の位置を把握して、携帯電話2が特定のエリアの内外何れに位置しているか判定する位置判定部22とを有し、携帯電話2は位置判定部22が特定のエリアの内側であると判定したら、10秒の短い時間間隔で居室親機5との接続維持処理を実施し、特定のエリアの外側であると判定したら、通信アダプタ3からプッシュ要求を受けた時のみ、接続維持処理を実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出すための玄関子機及び前記玄関子機からの呼び出しに応答するための居室親機を備えたインターホン装置と、通信ネットワークを介して前記インターホン装置に接続される携帯電話とを有するインターホンシステムであって、
前記インターホン装置の設置位置を含む特定のエリアを記憶するエリア情報記憶部と、
前記携帯電話の位置を把握して、携帯電話が前記特定のエリアの内外何れに位置しているか判定する位置判定部とを有する一方、
前記携帯電話は、前記位置判定部が前記特定のエリアの内側であると判定したら、30秒以下の短い第1の時間間隔で前記インターホン装置との接続維持処理を実施し、前記特定のエリアの外側であると判定したら、外部からプッシュ要求を受けた時のみ、前記接続維持処理を実施するレジスタ処理部を有することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記携帯電話に対して、5分を超える第2の時間間隔で前記携帯電話に、前記インターホン装置との接続維持処理を実施させるプッシュ要求を出す通信アダプタが前記通信ネットワーク上に配置されており、
外部からのプッシュ要求が、前記通信アダプタからのプッシュ要求であることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記インターホン装置は、前記通信アダプタを介して前記通信ネットワークに接続され、
前記携帯電話と前記インターホン装置とが通信する際、前記通信アダプタを介して実施されることを特徴とする請求項2記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに関し、特に玄関子機からの呼び出しに対して携帯電話で応答できるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
玄関子機からの呼び出しに対して、携帯電話で応答できるインターホンシステムがある。このようなインターホンシステムでは、携帯電話はインターネットを利用して居室親機と通信するよう構成されている。この場合、携帯電話のIPアドレスには頻繁に変更されるグローバルIPアドレスが割り当てられて、SIP通信により呼出/応答が実施された。
そのため、居室親機は携帯電話の最新のIPアドレスを認識している必要があった。これは、定期的に携帯電話から居室親機に自身のIPアドレスを通知することで解決するが、携帯電話の消費電力が大きくなる問題があるため、例えば特許文献1に開示されているような技術を適用することでこの問題を解決した。
特許文献1では、呼出発生時にまずグローパルIPアドレスを入手するためのメールを居室親機から携帯電話に送信し、その返信から最新のIPアドレスを入手することでSIP通信を可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術は、携帯電話の居室親機との通信機能を頻繁に起動する必要が無いため、携帯電話の電力消費を抑制できた。しかしながら、玄関子機からの呼び出しを受けて、まずメールの送受が行われるため、携帯電話が呼び出し動作するまでの時間がスムーズでなく、一定時間の遅れが発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、携帯電話を玄関子機からの呼び出しに応答できる機器に設定しても、消費電力を抑制しつつスムーズな応答を実施できるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、居住者を呼び出すための玄関子機及び玄関子機からの呼び出しに応答するための居室親機を備えたインターホン装置と、通信ネットワークを介してインターホン装置に接続される携帯電話とを有するインターホンシステムであって、インターホン装置の設置位置を含む特定のエリアを記憶するエリア情報記憶部と、携帯電話の位置を把握して、携帯電話が特定のエリアの内外何れに位置しているか判定する位置判定部とを有する一方、携帯電話は、位置判定部が特定のエリアの内側であると判定したら、30秒以下の短い第1の時間間隔でインターホン装置との接続維持処理を実施し、特定のエリアの外側であると判定したら、外部からプッシュ要求を受けた時のみ、接続維持処理を実施するレジスタ処理部を有することを特徴とする。
この構成によれば、携帯電話がインターホン装置の設置位置を含む特定のエリア内にある場合は、比較的頻繁にインターホン装置と接続維持処理を実施するため、携帯電話を携行する人物が自宅或いはその周辺に居る場合はインターホン装置とスムーズな通信を実施でき、来訪者の呼出等にスムーズに応答することが可能となる。一方、外出等で特定エリアから離れたら、携帯電話は自身の制御で接続維持処理を行わないため、携帯電話の電力消費を抑制できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、携帯電話に対して、5分を超える第2の時間間隔で携帯電話に、インターホン装置との接続維持処理を実施させるプッシュ要求を出す通信アダプタが通信ネットワーク上に配置されており、外部からのプッシュ要求が、通信アダプタからのプッシュ要求であることを特徴とする。
この構成によれば、携帯電話が特定のエリアの外側にある場合は、通信アダプタの制御により定期的に接続維持処理を実施するため、インターホン装置との接続は継続される。
加えて、その際外部からの信号により起動して接続維持処理を実施するため消費電力を削減できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、インターホン装置は通信アダプタを介して通信ネットワークに接続され、携帯電話とインターホン装置とが通信する際、通信アダプタを介して実施されることを特徴とする。
この構成によれば、インターホン機器は通信アダプタと通信可能であれば良く、携帯電話と直接通信する必要が無く、通信インターフェースを簡易な構成にできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯電話がインターホン装置の設置位置を含む特定のエリア内にある場合は、比較的頻繁にインターホン装置と接続維持処理を実施するため、携帯電話を携行する人物が自宅或いはその周辺に居る場合はインターホン装置とスムーズな通信を実施でき、来訪者の呼出等にスムーズに応答することが可能となる。一方、外出等で特定エリアから離れたら、携帯電話は自身の制御で接続維持処理を行わないため、携帯電話の電力消費を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図であり、インターホン装置1、携帯電話2、通信アダプタ3を備えている。
インターホン装置1は、住戸玄関等に設置されて居住者を呼び出すための玄関子機4、住戸内に設置されて呼び出しに応答するための居室親機5を有している。
携帯電話2は、居住者が携行して使用され、居室親機5の代わりに玄関子機4からの呼び出しに応答可能としている。尚、Nは携帯電話2の通信網に加えてIP通信網を構成するネットワーク(通信ネットワーク)であり、ネットワークN上に携帯電話2の通信を管理する管理サーバ6が配置されている。
【0012】
玄関子機4は、呼出ボタン41、来訪者を撮像するカメラ42、通話のためのマイク43及びスピーカ44等を備えている。
【0013】
図2は居室親機5のブロック図を示している。居室親機5は、玄関子機4からの呼び出しに対して応答操作する通話ボタン51、玄関子機4のカメラ42の撮像映像を表示するモニタ52、マイク53a及びスピーカ53bを備えた通話部53、各種操作をするタッチパネルから成る操作部54、居室親機5を制御する親機CPU55、通信アダプタ3と通信するための通信インターフェース(通信IF)56等を備えている。尚、通話ボタン51は、モニタ52上のタッチパネルに配置されている。
【0014】
携帯電話2は所謂スマートフォンが適用され、インターホン装置とはSIP通信により呼出/応答を実施する。そして、GPS受信機能を有し、GPS信号を受信して自身の位置を把握する機能を有している。
また、居室親機5の位置を含む特定のエリアを記憶するエリア情報記憶部21、現在位置が特定のエリアの内外何れであるか判定する位置判定部22、特定のエリアの内部であると判定したら定期的に居室親機5に対して登録処理(IPアドレスの登録処理)を実施するレジスタ処理部23を有している。尚、このエリア情報記憶部21、位置判定部22、レジスタ処理部23は、携帯電話2に所定のアプリケーションソフトウェアをインストールすることで、設定される。
【0015】
図3は通信アダプタ3のブロック図を示している。通信アダプタ3は、居室親機5と通信する第1通信インターフェース(第1通信IF)31、ネットワークNに接続する第2通信インターフェース(第2通信IF)32、居室親機5と携帯電話2の情報を記憶するメモリ33、通信アダプタ3を制御する通信アダプタCPU34等を備えている。
通信アダプタCPU34は、携帯電話2に対して居室親機5との接続を維持させる処理(接続維持処理)を定期的に実施させるプッシュ要求を出す機能を有している。
尚。接続維持処理は、携帯電話2が居室親機5に対してIPアドレスを通知するレジスタ処理である。
【0016】
管理サーバ6は、携帯電話2の通信を管理しており、通信アダプタ3からプッシュ要求が出力されたら、それを認識して携帯電話2に対してレジスタ処理を要求する。具体的に、通信アダプタ3からVoIP PUSH要求が出され、これを認識した管理サーバ6は、携帯電話2にVoIP PUSHを行う。このVoIP PUSHを受けて、携帯電話2は居室親機5に介してレジスタ処理を実施する。この結果、居室親機5が携帯電話2のSIPクライアントとして維持される。
【0017】
上記の如く構成されたインターホンシステムは次のように動作する。玄関子機4と居室親機5とから成るインターホン装置1の呼出/応答動作、カメラ42の撮像動作、居室親機5での表示動作等は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは携帯電話2の居室親機5に対する接続維持処理動作を中心に説明する。
居室親機5から携帯電話2に、玄関子機4からの呼出発生を通知して通話する動作を、SIP通信により実施するためには、頻繁に変更される携帯電話2のIPアドレスを居室親機5に登録する必要があり、定期的に実施することで居室親機5がSIPクライアントとしての登録が維持される。
【0018】
この接続維持動作は、居室親機5の位置を含む特定のエリアの内外で異なり、具体的に次のように行われる。
まず、特定のエリアは次のように設定される。携帯電話2を居室親機5の近くに配置した状態でGPS信号を受信し、受信した自身の位置情報を居室親機5の位置情報として登録する。この登録した位置に対して、一定の距離(例えば20メートル)以下となるエリア、或いは登録した位置を含む特定のエリア(例えば自宅の敷地形状に合わせたエリア)をエリア情報記憶部21に登録し、このエリアを特定のエリアとする。
【0019】
携帯電話2は、常時受信しているGPS信号から自身の位置を把握し、この位置が特定のエリアの内外何れであるか位置判定部22が判断する。こうして判断した結果、特定のエリア内であると判断したら、例えば10秒間隔(第1の時間間隔)でレジスタ処理部23がレジスタ処理を行いIPアドレスの登録処理を行う。登録信号はネットワークN、通信アダプタ3を介して居室親機5へ送信され、携帯電話2の最新のIPアドレスが居室親機5に登録される。尚、このときのレジスタ処理する第1の時間間隔は10秒でなくても良く、30秒程度長くても良い。
【0020】
一方、特定のエリア外であると判断したら、携帯電話2は自身の制御で設奥維持処理は行わない。代わりに、通信アダプタ3の制御により、接続維持処理が行われる。
通信アダプタ3は、例えば10分間隔(第2の時間間隔)で携帯電話2に対して接続維持処理を要求する信号、即ちVoIP PUSH要求を常時出力しており、この要求を管理サーバ6が認識して、管理サーバ6から携帯電話2にVoIP PUSHが成される。
レジスタ処理部23は、携帯電話2が特定のエリア外にある場合は、このVoIP PUSHを受けて接続維持処理を実施し、IPアドレスが居室親機5へ通知される。尚、通信アダプタ3がVoIP PUSH要求する第2の時間間隔は、10分で無くても良く例えば5分であっても良いが、間隔が長い方が携帯電話2の電力消費を削減でき好ましい。
【0021】
こうして、携帯電話2と居室親機5との接続が維持され、呼び出しを受けると、居室親機5で呼出音が報音されると共に、居室親機5から通信アダプタ3、ネットワークNを介して携帯電話2に呼び出しが通知される。この通知を受けた携帯電話2が通話操作されると、居室親機5と携帯電話2との間、即ち携帯電話2と玄関子機4との間で通話路が形成されて、携帯電話2を所持する住人と来訪者との間で通話が可能となる。
また、携帯電話2の通話操作を受けて、カメラ42の撮像映像が呼び出しの通知と同様の経路で携帯電話2に送信され、住人は来訪者を映像で確認できる。
【0022】
このように、携帯電話2が居室親機5の設置位置を含む特定のエリア内にある場合は、比較的頻繁に居室親機5と接続維持処理を実施するため、携帯電話2を携行する人物が自宅或いはその周辺に居る場合は居室親機5とスムーズな通信を実施でき、来訪者の呼出等にスムーズに応答することが可能となる。一方、外出等で特定エリアから離れたら、携帯電話2は自身の制御で接続維持処理を行わないため、携帯電話2の電力消費を抑制できる。
また、携帯電話2が特定のエリアの外側にある場合は、通信アダプタ3の制御により定期的に接続維持処理を実施するため、居室親機5との接続は継続される。加えて、その際外部からの信号により起動して接続維持処理を実施するため消費電力を削減できる。
更に、居室親機5は通信アダプタ3を介して携帯電話2と通信するため、通信アダプタ3と通信可能であれば良く携帯電話2と直接通信しないため、通信インターフェースを簡易な構成にできる。
【0023】
尚、上記実施形態では居室親機5の位置を基準として特定のエリアを設定しているが、玄関子機4の位置を基準にしても良いし、両者の中間位置を基準に特定のエリアを設定しても良い。
また、居室親機5は通信アダプタ3を介して携帯電話2と通信を行っているが、通信アダプタ3を介さずに、無線ルータ等を介して直接ネットワークNを介して通信しても良い。
更に、エリア情報記憶部21、位置判定部22を携帯電話2に設けているが、管理サーバ6に設け、携帯電話2にはレジスタ処理のみ実施させても良い。
【符号の説明】
【0024】
1・・インターホン装置、2・・携帯電話、3・・通信アダプタ、4・・玄関子機。5・・居室親機、6・・管理サーバ、21・・エリア情報記憶部、22・・位置判定部、23・・レジスタ処理部、N・・ネットワーク(通信ネットワーク)。