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  • 特開-インターホン機器 図1
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  • 特開-インターホン機器 図4
  • 特開-インターホン機器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064185
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
H04M1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172776
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】西森 裕作
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友哉
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA05
5K023BB06
5K023CC02
5K023DD06
5K023EE13
5K023QQ05
(57)【要約】
【課題】報音空間の広さを調整することで容易に音質向上を実現することができるインターホン機器を提供する。
【解決手段】スピーカ13の前方に設けられた報音空間17B内にパッキン15を取り付けて、報音空間17Bの広さ(ひいては、報音空間17A、17Bを合わせた広さ)を、スピーカ13にとって音質の向上に好適な広さとなるように調整している。したがって、従来のように前ケース2を設計し直す等することなく報音空間17Bの広さを調整することができるため、容易に且つ低コストでスピーカ部10に係る音質の向上を図ることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に、前方へ向けてスピーカが設置されており、前記本体ケースの前面と前記スピーカとの間に報音空間が設けられてなるインターホン機器であって、
前記報音空間内に、当該報音空間の広さを調整するためのパッキンが取り付けられていることを特徴とするインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン親機等のスピーカが内蔵されたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン親機等の一般的なインターホン機器では、インターホン機器の前面にスピーカ孔を設けるとともに、スピーカ孔の後側にスピーカを前方へ向けて設置する等して、通話のためのスピーカ部を設けている(たとえば特許文献1)。そして、このようなインターホン機器では、スピーカの前面とインターホン機器の本体ケースの内面との間には報音のための報音空間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-8468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような報音空間の広さは、スピーカ部に係る音質に大きく影響を及ぼすことになる。ただ、どの程度の広さの報音空間を確保すれば良好な音質を得られるかについては、設置されるスピーカの種類や本体ケースの素材等によって異なる。しかしながら、スピーカの種類や本体ケースの素材等を変更する度に報音空間の広さを設計し直すとなると、非常に煩わしく、コストが嵩む要因ともなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、報音空間の広さを調整することで容易に音質向上を実現することができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケース内に、前方へ向けてスピーカが設置されており、前記本体ケースの前面と前記スピーカとの間に報音空間が設けられてなるインターホン機器であって、前記報音空間内に、当該報音空間の広さを調整するためのパッキンが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体ケースの前面とスピーカとの間に設けられた報音空間内に、当該報音空間の広さを調整するためのパッキンが取り付けられているため、取り付けるパッキンの大きさを変更するだけで報音空間の広さを自在に調整することができる。したがって、スピーカの種類や本体ケースの素材に応じて、本体ケースの設計をし直す等することなく報音空間の広さを好適な広さへと容易に調整することができ、容易に且つ低コストで音質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】インターホン親機の前面側を示した斜視説明図である。
図2】分解状態にあるインターホン親機の前ケース側を前側から示した斜視説明図である。
図3】分解状態にあるインターホン親機の前ケース側を後側から示した斜視説明図である。
図4】前ケースの後面側を示した斜視説明図である。
図5】スピーカ部周りの垂直断面を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン親機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン親機1の前面側を示した斜視説明図である。図2は、分解状態にあるインターホン親機1の前ケース2側を前側から示した斜視説明図である。図3は、分解状態にあるインターホン親機1の前ケース2側を後側から示した斜視説明図である。図4は、前ケース2の後面側を示した斜視説明図である。図5は、スピーカ部10周りの垂直断面を示した説明図である。
【0011】
インターホン親機1は、前側に配置される前ケース2、及び前ケース2の後側に組み付けられる後ケース3で構成される本体ケースを有してなるもので、本体ケースの前面略中央には、インターホン子機(図示せず)で撮像された映像等を表示する表示部4が設けられている。また、本体ケースの前面で表示部4の上隣には、インターホン子機との間で通話するためのマイク部(図示せず)が設けられている。一方、本体ケースの前面で表示部4の下側には、インターホン子機との間で通話するためのスピーカ部10が設けられている。さらに、本体ケースの前面には、インターホン子機からの呼び出しに対して応答する際に操作する応答ボタン5や、自身の設定等のための設定ボタンや非常時に操作する非常報知ボタン等の各種ボタン6、6・・が設けられている。そして、このようなインターホン親機1は、居室内の壁面等に設置されており、インターホン子機からの呼び出しに応じて表示部4に映像を表示するとともに、応答ボタン5が操作されたことをもって、インターホン子機との間での通話を可能な状態とする。
【0012】
ここで、本発明の要部となるスピーカ部10の構造について説明する。
インターホン親機1では、前ケース2の後面(本体ケースの内面)に基板31と絶縁カバー32とが設置されており、基板31は絶縁カバー32によって後方から覆われている。また、前ケース2の後面で絶縁カバー32により覆われる箇所に、スピーカ設置部12が設けられており、該スピーカ設置部12、スピーカ孔11、スピーカ13、パッキン15、及び絶縁カバー32に設けられたボックス部14等によってスピーカ部10が構成される。
【0013】
スピーカ設置部12は、前ケース2後面から後方へ突出する円筒部として形成されている。そして、前ケース2の後面でスピーカ設置部12内となる箇所には、スピーカ設置部12の中心を通って左右方向へ延びるリブ16が後方へ突設されているとともに、リブ16の上辺に沿ってスリット状のスピーカ孔11が開設されている。また、スピーカ設置部12内には、スピーカ設置部12の外周に沿って延びているとともに、リブ16よりも後方へ突出する環状の設置リブ18が設けられている。
【0014】
このようなスピーカ設置部12内において、スピーカ13は、設置リブ18の先端面に自身の前面を当接させるようにして設置される。したがって、スピーカ13の前方(前ケース2の後面とスピーカ13との間)には、主にリブ16の上下両側に、設置リブ18の突出量と略同じだけの奥行きを前後方向に有するとともに、設置リブ18によって囲まれた報音空間17A、17Bが夫々設けられることになる。ただ、スピーカ13の種類や前ケース2の素材等に応じて、報音空間17A、17B(特に報音空間17B)が広すぎることに起因してスピーカ13からの報音時に所望の音質を得られないことがある。そこで、本実施例では、半円板状に形成された合成樹脂製のパッキン15を報音空間17B内に収納して報音空間17Bを埋めることにより、音質の向上を図っている。
【0015】
また、前ケース2の後面に組み付けられる絶縁カバー32は、基板31の後面に近接して基板31の後側を覆っており、スピーカ設置部12に設置されるスピーカ13についても覆っている。しかしながら、絶縁カバー32におけるスピーカ13の後方となる箇所の一部は後方へ膨出しており、当該膨出部分がボックス部14となっている。したがって、絶縁カバー32を前ケース2の後面に組み付けると、スピーカ13の後方にボックス部14で囲まれた空間が形成され(図5)、ボックス部14が所謂スピーカユニットにおけるエンクロージャとして機能するようになっている。なお、絶縁カバー32におけるボックス部14の周縁部分は、前方へ折れ曲がって基板31の後面に近接している。
【0016】
以上のような構成を有するインターホン親機1によれば、スピーカ13の前方に設けられた報音空間17B内にパッキン15を取り付けて、報音空間17Bの広さ(ひいては、報音空間17A、17Bを合わせた広さ)を、スピーカ13にとって音質の向上に好適な広さとなるように調整している。したがって、従来のように前ケース2を設計し直す等することなく報音空間17Bの広さを調整することができるため、容易に且つ低コストでスピーカ部10に係る音質の向上を図ることができる。
【0017】
また、パッキン15の取り付けに代えて、パッキン15と同じ前後方向での厚み分だけ前ケース2の対応箇所を分厚くするという対応も考えられるが、そのような対応では前ケース2の成形時に当該箇所にヒケ等の変形が生じやすい。したがって、製造時における歩留まり悪化等の問題が発生するというおそれがあるところ、上記インターホン親機1によれば、そのような問題発生のおそれがないという効果もある。
【0018】
さらに、前ケース2の後面に、基板31と、基板31の後方を覆う絶縁カバー32とを設置し、絶縁カバー32を基板31の後面に近接させているとともに、絶縁カバー32によりスピーカ13の後方をも覆っており、当該絶縁カバー32におけるスピーカ13の後方となる箇所の一部を後方へ膨出させて、スピーカ13の後方に報音のための空間を形成するボックス部14を設けている。したがって、ボックス部14の内部空間が所謂スピーカユニットのエンクロージャとしての機能を果たすことになり、スピーカ部10に係る音声の音質を向上することができる。加えて、基板31を覆う絶縁カバー32を利用して音質の向上を図っているため、部品点数を増やす等することなく、簡易な構成で音質の向上を実現することができる。
【0019】
なお、本発明に係るインターホン機器は、インターホン機器の全体的な構成は勿論、スピーカ部に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、上記実施形態では、本体ケースの前面にスピーカ孔を設けているが、本体ケースの側面や上面、下面等、前面以外の面にスピーカ孔を開設するとしても何ら問題はない。なお、言うまでもないが、スピーカ孔の位置の違い等に応じて、どのような形状の報音空間を設けるかについても適宜設計変更可能である。
また、上記実施形態では、スピーカ設置部内に設けられたリブの下側の報音空間にパッキンを取り付けているが、リブの上側の報音空間にパッキンを取り付けてもよく、報音空間のどこにどのような形状及び大きさのパッキンを取り付けるかについては適宜設計変更可能である。
【0021】
さらに、上記実施形態では、前ケースと後ケースとを組み合わせて本体ケースを構成しているが、たとえば前ケースの前面に化粧パネルを取り付けて本体ケースを構成したり、前ケースと後ケースとの間に中央ケースを配置させる等、3部材以上のケース部材を組み合わせて本体ケースを構成してもよく、どのような本体ケースとするかについても適宜設計変更可能である。
加えて、上記実施形態ではインターホン親機について説明しているが、本発明は、スピーカが内蔵されているものであれば、インターホン子機等の他のインターホン機器に対しても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・インターホン親機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース、10・・スピーカ部、11・・スピーカ孔、12・・スピーカ設置部、13・・スピーカ、14・・ボックス部、15・・パッキン、16・・リブ、17A、17B・・報音空間。
図1
図2
図3
図4
図5