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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064186
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
H04M1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172777
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】西森 裕作
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友哉
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA05
5K023BB26
5K023CC02
5K023DD06
5K023GG04
5K023PP02
(57)【要約】
【課題】たとえボタンに変形が生じていたとしても、本体ケースへの取り付け時にボタンの操作部の表面が本体ケース内側へ大きく凹むことのないインターホン機器を提供する。
【解決手段】非常報知ボタン10に、操作部11と、操作部11から下方へ延びる弾性片12、12と、弾性片12、12の先端に設けられた取付片13とを備える一方、前ケース2の後面に後方へ突出する突条22、22を設けており、非常報知ボタン10を取り付けるにあたっては、取付片13の前端を突条22、22の後面に当接させ、弾性片12、12の先端から操作部11へ向かって前ケース2の後面へ徐々に近接する傾斜姿勢となるようにしている。したがって、たとえば弾性片12、12に後側へ撓む等の変形が生じていたとしても、前ケース2への取り付け時に操作部11の前面が本体ケース内側へ大きく凹むことのないインターホン親機1とすることができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面に操作窓が開設されているとともに、前記本体ケース内に、操作部と、前記操作部から上下左右何れかの方向へ延びる弾性片を有する弾性部とを備えたボタンが、前記操作部を前記操作窓内に露出させた状態で押し込み操作可能に取り付けられているインターホン機器であって、
前記本体ケースの前面内側に、後方へ突出する凸部が設けられており、
前記ボタンは、前記弾性部を前記凸部の後面に当接させ、前記弾性部の当接箇所から前記操作部側へ向かって前記本体ケースの前面へ徐々に近接する傾斜姿勢で取り付けられていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記操作部が後方へ開口する箱状に形成され、該操作部の開口縁で、少なくとも前記弾性片が位置する側に、前記弾性片が延びる方向へ広がる鍔部が設けられているとともに、前記鍔部から前記弾性片が延設されており、
前記ボタンは、前記鍔部と前記操作窓の開口縁とが干渉した状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン親機等の押し込み操作可能なボタンが設置されてなるインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン親機等の一般的なインターホン機器には、押し込み操作可能なボタンが設けられている。そして、そのようなボタンとしては、操作部に所定方向へ突出する弾性片を設けてなるものがあり、該ボタンは、操作部を本体ケースの表面に露出させるとともに、本体ケース側の平坦面に弾性片の表面を当接させた状態で、本体ケースに取り付けられることになる(たとえば特許文献1)。一方で、近年、インターホン機器には薄型化が求められており、上述したようなボタンにおいても操作部を薄型化したり、本体ケースへの取り付け時に操作部の表面が本体ケースの表面と略面一となるようにしたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-206854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、合成樹脂を射出成形してボタンを製造しようとすると、たとえば弾性片に僅かな反りが生じる等、ボタンに変形が生じることがある。そして、そのようにボタンが変形している場合、上述したようなボタンの取付構造を採用していると、ボタンの取り付け状態において、操作部の表面が本体ケースの表面よりも本体ケース内側へ凹んだ格好となり、特に薄型化を図られたインターホン機器では見た目が悪くなるという問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、たとえボタンに変形が生じていたとしても、本体ケースへの取り付け時にボタンの操作部の表面が本体ケース内側へ大きく凹むことのないインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの前面に操作窓が開設されているとともに、本体ケース内に、操作部と、操作部から上下左右何れかの方向へ延びる弾性片を有する弾性部とを備えたボタンが、操作部を操作窓内に露出させた状態で押し込み操作可能に取り付けられているインターホン機器であって、本体ケースの前面内側に、後方へ突出する凸部が設けられており、ボタンは、弾性部を凸部の後面に当接させ、弾性部の当接箇所から操作部側へ向かって本体ケースの前面へ徐々に近接する傾斜姿勢で取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、本体ケースの前面内側に、後方へ突出する凸部が設けられており、ボタンは、弾性部を凸部の後面に当接させ、弾性部の当接箇所から操作部側へ向かって本体ケースの前面へ徐々に近接する傾斜姿勢で取り付けられているため、たとえ弾性片に後側へ撓む等の変形が生じていたとしても、本体ケースへの取り付け時にボタンの操作部の前面が本体ケース内側へ大きく凹むことのないインターホン機器とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、操作部が後方へ開口する箱状に形成され、該操作部の開口縁で、少なくとも弾性片が位置する側に、弾性片が延びる方向へ広がる鍔片が設けられているとともに、鍔片から弾性片が延設されており、ボタンは、鍔片と操作窓の開口縁とが干渉した状態で取り付けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、操作部が後方へ開口する箱状に形成され、該操作部の開口縁で、少なくとも弾性片が位置する側に、弾性片が延びる方向へ広がる鍔片が設けられているとともに、鍔片から弾性片が延設されており、ボタンは、鍔片と操作窓の開口縁とが干渉した状態で取り付けられているため、特にボタンに変形が生じていない通常時において、ボタンの操作部が操作窓から前方へ突出する態様を安定させることができ、インターホン機器の外観を安定させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体ケースの前面内側に、後方へ突出する凸部が設けられており、ボタンは、弾性片の前面を凸部の後面に当接させ、弾性片の当接箇所から操作部側へ向かって本体ケースの前面へ徐々に近接する傾斜姿勢で取り付けられているため、たとえ弾性片に後側へ撓む等の変形が生じていたとしても、本体ケースへの取り付け時にボタンの操作部の前面が本体ケース内側へ大きく凹むことのないインターホン機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インターホン親機の前面側を示した斜視説明図である。
図2】非常報知ボタンを前ケースから取り外した状態を前側から示した斜視説明図である。
図3】非常報知ボタンを前ケースから取り外した状態を後側から示した斜視説明図である。
図4】前ケースの後面側における非常報知ボタンの取付箇所を拡大して示した斜視説明図である。
図5】非常報知ボタンを示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。
図6】前ケースに非常報知ボタンが取り付けられた状態を後側から拡大して示した斜視説明図である。
図7】非常報知ボタンの取付位置における前ケースの垂直断面を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン親機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、インターホン親機1の前面側を示した斜視説明図である。図2は、非常報知ボタン10を前ケース2から取り外した状態を前側から示した斜視説明図である。図3は、非常報知ボタン10を前ケース2から取り外した状態を後側から示した斜視説明図である。図4は、前ケース2の後面側における非常報知ボタン10の取付箇所を拡大して示した斜視説明図である。図5は、非常報知ボタン10を示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。図6は、前ケース2に非常報知ボタン10が取り付けられた状態を後側から拡大して示した斜視説明図である。図7は、非常報知ボタン10の取付位置における前ケース2の垂直断面を示した説明図である。
【0012】
インターホン親機1は、前側に配置される前ケース2、及び前ケース2の後側に組み付けられる後ケース3で構成される本体ケースを有してなるもので、本体ケースの前面略中央には、インターホン子機(図示せず)で撮像された映像等を表示する表示部4が設けられている。また、本体ケースの前面で表示部4の上隣には、インターホン子機との間で通話するためのマイク部(図示せず)が設けられている。一方、本体ケースの前面で表示部4の下側には、インターホン子機との間で通話するためのスピーカ部7が設けられている。さらに、本体ケースの前面には、インターホン子機からの呼び出しに対して応答する際に操作する応答ボタン5や、自身の設定等のための設定ボタン6、6・・が設けられているとともに、非常時に操作する非常報知ボタン10、10が設けられている。そして、このようなインターホン親機1は、居室内の壁面等に設置されており、インターホン子機からの呼び出しに応じて表示部4に映像を表示するとともに、応答ボタン5が操作されたことをもって、インターホン子機との間での通話を可能な状態とする。
【0013】
ここで、本発明の要部となる非常報知ボタン10の取付構造について説明する。
非常報知ボタン10は、ユーザーが押し込み操作するための操作部11を備えているとともに、操作部11を初期位置で保持するための弾性片12、12、及び前ケース2の後面側へ取り付けるための取付片13を有する弾性部を備えてなる。操作部11は、前方へ膨出して後方へ開口する略直方体箱状に成形されており、該操作部11の後端縁に沿っては、上下左右それぞれ外側へ広がる鍔片11aが設けられている。また、弾性片12、12は、操作部11の下方で左右に並べて設けられており、どちらの弾性片12も操作部11の下縁(鍔片11aにおける下方へ突出する部位の先端)から下方へ延設されてなる。そして、両弾性片12、12の先端同士を繋ぐように、取付片13が設けられている。該取付片13は、弾性片12、12の先端から後方へ折り曲げられた格好で前後方向に起立する板状に形成されている。また、取付片13の左右両端は、各弾性片12よりも左右外側まで延設されているとともに、夫々上方へ折り曲げられている(すなわち、取付片13の左右両端には、折り曲げ部13a、13aが設けられている)。なお、操作部11の後面で略中央となる箇所には、後方へ突出する操作突起14が設けられている。
【0014】
一方、前ケース2側における非常報知ボタン10の取付構造としては、操作部11を露出させるための操作窓20が開設されている。また、前ケース2の後面における操作窓20の下方となる位置には、先端に下方へ突出する爪を備えた係止片21が後方へ突設されている。さらに、前ケース2後面での係止片21の左右両側には、後方へ突出する突条22、22が左右方向に延設されている。加えて、前ケース2の後面であって、係止片21を中央とした際に各突条22の左右方向で外側の端部となる箇所の上側には、後方へ突出する第1位置決めリブ23が設けられている一方、各突条22の左右方向で外側の端部において、突条22を挟んで位置決めリブ23の下側となる箇所には、後方へ突出する第2位置決めリブ24が設けられている。
【0015】
上記非常報知ボタン10の取付構造において、非常報知ボタン10は、操作窓20内に操作部11を露出させるとともに、係止片21に取付片13の後端を係止させた状態で取り付けられる。そして、該取付状態において、取付片13の上面は係止片21の下面に当接している。また、取付片13の左右両端側は、それぞれ第1位置決めリブ23と第2位置決めリブ24との間に位置しており、各折り曲げ部13aが、第1位置決めリブ23の左右方向で外側に位置している。すなわち、取付片13は、係止片21により前後方向への移動を、係止片21と第2位置決めリブ24、24とにより上下方向への移動を、第1位置決めリブ23、23により左右方向への移動を夫々規制されている。さらに、上記取付状態において、取付片13の前端が突条22、22に当接している(取付片13が突条22、22の後側に乗り上げた格好となっている)。したがって、取付状態における非常報知ボタン10の姿勢は、前ケース2の後面と平行な姿勢とならず、弾性片12、12の先端から操作部11へ向かって前ケース2の後面へ徐々に近接する傾斜姿勢となる。なお、非常報知ボタン10を取り外す際には、係止片21を弾性変形させて係止片21と取付片13との係止状態を解除すればよい。
【0016】
ただ、通常であると、操作部11の鍔片11aと操作窓20の開口縁とが干渉する(特に、図7に示すように、鍔片11aにおける操作部11から下方へ広がる箇所と、操作窓20の下縁部分とが干渉する)ようになっている。したがって、弾性片12、12が撓むことになり、操作部11の前面は、前ケース2の前面と略平行な状態で操作窓20内に露出する。また、僅かに前側へ撓む等の変形が弾性片12、12に生じていたとしても、同様に弾性片12、12と前ケース2の後面との干渉により、操作部11の前面を、前ケース2の前面と略平行な状態で操作窓20内に露出させることができる。さらに、僅かに後側へ撓む等の変形が弾性片12、12に生じていた場合であっても、非常報知ボタン10を上記傾斜姿勢で取り付けているため、非常報知ボタン10の取付状態において、操作部11の前面が前ケース2の前面よりも後側(本体ケース内側)へ大きく凹んでしまうような事態は防止される。
【0017】
また、非常報知ボタン10における操作部11の前面を表示面とし、該表示面にたとえば「警報音停止/復旧」等の表示を設けたい場合には、上述したようにして非常報知ボタン10を前ケース2に係止させた状態とし、当該係止状態のまま前ケース2の前面側から印刷を施すことによって、操作部11の前面に表示を設ければよい。このように非常報知ボタン10を前ケース2に係止させた状態で、操作部11の前面に表示を設けるようにしたことで、1つ1つのボタンに表示を夫々設けた後、それらのボタンを前ケースに組み付ける作業と比べると、複数のボタン(本実施形態では、少なくとも2つの非常報知ボタン10、10)について同時に表示を設けることができる上、場合によっては前ケース2の前面への印刷加工の一環としてボタンに表示を設けることができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0018】
以上のような構成を有するインターホン親機1によれば、非常報知ボタン10に、操作部11と、操作部11から下方へ延びる弾性片12、12と、弾性片12、12の先端に設けられた取付片13とを備える一方、前ケース2の後面に後方へ突出する突条22、22を設けており、非常報知ボタン10を取り付けるにあたっては、取付片13の前端を突条22、22の後面に当接させ、弾性片12、12の先端から操作部11へ向かって前ケース2の後面へ徐々に近接する傾斜姿勢となるようにしている。したがって、たとえば弾性片12、12に後側へ撓む等の変形が生じていたとしても、前ケース2への取り付け時に操作部11の前面が本体ケース内側へ大きく凹むことのないインターホン親機1とすることができる。
【0019】
また、操作部11に上下左右外側へ夫々広がる鍔片11aを設け、該鍔片11aから弾性片12、12を延設しており、非常報知ボタン10を取り付けた際、操作部11の鍔片11aと操作窓20の開口縁とを干渉させるようにした。すなわち、上述したような傾斜姿勢で取り付けているにも拘わらず、上記干渉によって弾性片12、12を撓ませ、操作部11の前面が、前ケース2の前面と略平行な状態で操作窓20内に露出するようにした。したがって、特に非常報知ボタン10に変形が生じていない通常時において、操作部11の操作窓20から前方への突出態様を安定させることができ、インターホン親機1の外観を安定させることができる。
【0020】
なお、本発明に係るインターホン機器は、インターホン機器の全体的な構成は勿論、スピーカ部に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
たとえば、上記実施形態では、表示部がある面を本体ケースの前面としているが、上記実施形態における上面や下面、側面等を特許請求の範囲で規定するところの前面としても何ら問題はない。すなわち、ボタンを設ける位置は適宜設計変更可能である。
また、上記実施形態では、操作部から下方へ2つの弾性片を延設するとともに、それらの弾性片の先端に取付片を設けてボタンの弾性部を構成し、取付片の前端を凸部の後面に当接させるとしているが、弾性片の延設方向や数、取付片の位置等の構成、すなわち弾性部の構成は適宜設計変更可能であり、弾性片の表面を凸部の後面に当接させるように構成することも当然可能であるし、それらの変更に伴い凸部の位置についても適宜変更することができる。
【0022】
さらに、上記実施形態では、凸部として所定方向へ延びる突条を設けているが、凸部として複数の突起を所定方向へ並設する等、凸部の具体的構成についても適宜設計変更可能である。
さらにまた、上記実施形態では、非常報知ボタンを本発明に係るボタンとしているが、応答ボタンや設定ボタン等、他のボタンについても本発明は好適に採用することができる。
加えて、上記実施形態ではインターホン親機について説明しているが、本発明は、本体ケースの前面に押し込み操作可能なボタンの操作部が露出しているものであれば、インターホン子機等の他のインターホン機器に対しても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1・・インターホン親機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース、10・・非常報知ボタン(ボタン)、11・・操作部、11a・・鍔部、12・・弾性片(弾性部)、13・・取付片(弾性部)、20・・操作窓、21・・係止片、22・・突条(凸部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7