(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064195
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】おむつ装着補助装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/44 20060101AFI20220418BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61F5/44 W
A61G12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172791
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】399071041
【氏名又は名称】月島倉庫株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】北川 洋子
【テーマコード(参考)】
4C098
4C341
【Fターム(参考)】
4C098CE05
4C341MP02
4C341MR03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】体が不自由な方でも自身でのおむつの装着を容易にするおむつ装着補助装置を提供する。
【解決手段】おむつ装着補助装置1は滑車2、重り、ハンドル4、ワイヤー10、パイプアーム20、ガイドレール30等からなり、パイプアーム20は滑車2を介して、重りと、ワイヤー10により接続されて、略水平を保ちつつ昇降可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑車と、重りと、前記滑車の回転を操作可能なハンドル、ワイヤー、パイプアーム、パイプアーム支持部、ガイドレールを備えたおむつ装着補助装置において、前記ワイヤーはその一端に重りを固定され、前記滑車を通過して他端に前記パイプアーム支持部を固定され、前記パイプアーム支持部は前記パイプアームを固定し支持しており、前記パイプアーム支持部はその一部が前記ガイドレールに格納されて前記パイプアームを昇降可能であることを特徴とする、おむつ装着補助装置。
【請求項2】
前記ハンドルの操作により前記重りが下端部において接地したときに、前記パイプアームは一定の高さに到達し、前記滑車の、少なくとも前記ワイヤーと接する部分は、前記一定の高さに重りが到達した際に空回りする軽摩擦素材で構成されることを特徴とする、請求項1に記載のおむつ装着補助装置。
【請求項3】
前記滑車は前記ワイヤーの滑車に巻きついた部分のゆるみを上方から押さえる押圧手段を備えることを特徴とする、請求項1乃至2に記載のおむつ装着補助装置。
【請求項4】
前記おむつ装着補助装置はパイプアーム支持台、パイプアーム支持棒を更に備え、前記パイプアーム支持棒は前記パイプアーム支持部に略水平に固設され、前記パイプアームは、右パイプアームと左パイプアームからなり、前記右パイプアームと前記左パイプアームはそれぞれが接続部を備え、前記パイプアーム支持棒は柱状で、前記接続部は筒状部分を有し、前記パイプアーム支持棒と前記筒状部分が遊嵌されており、前記右パイプアームと前記左パイプアームはともに前記パイプアーム支持棒に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1~3に記載のおむつ装着補助装置。
【請求項5】
前記パイプアーム支持棒は円柱状、前記筒状部分は円筒状であり、前記パイプアームは回動可能であることを特徴とする、請求項4に記載のおむつ装着補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつの装着の補助装置に関するものであり、より詳細には、昇降可能なパイプアームにより装着者が自力でおむつを装着できるおむつ装着補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来により、パンツタイプのおむつの装着を装着者自身が行いたいというニーズが高まっている。体が健常な高齢者においては、自身で装着を行うのが通常であるが、体が衰えているため、パンツタイプのおむつを装着するに際し体をかがめたり、バランスを崩したりするなど、パンツタイプのおむつの装着に際し不自由を感じることが多い。このため、体が衰えている、主に高齢者のパンツタイプのおむつの装着に関し交換補助装置従来のおむつ交換補助装置、身体の負担があり不便である、という問題があった。
【0003】
そこで、まずパンツタイプのおむつの装着を容易とするために、おむつ自体の構造が検討された。特許文献1においては、吸収体を有する内装体と、腹側部分、股間部分、及び背側部分を有する外装体と、前記腹側部分の両側端部及び前記背側部分の両側端部が接合されて形成された一方のサイドシール部及び他方のサイドシール部と、これらのサイドシール部の形成に伴って形成されたウエスト開口部並びに一方のレッグ開口部及び他方のレッグ開口部と、が備わるパンツタイプ使い捨ておむつであって、前記一方のサイドシールの上端部を軸支したことで、当該軸支部を中心に前記パンツタイプ使い捨ておむつが傾いた場合においても、前記他方のサイドシール部の外側端縁の傾き角が水平面に対して80°以上であるパンツタイプ使い捨ておむつが開示されている。しかし特許文献1に開示されるパンツタイプのおむつでは、装着を容易にする工夫はされているものの、体を屈める、片足立ちになり他方の足を持ち上げて開口部に足を差し入れる等の作業は依然として残っている。そのため、特許文献1の構造では、片足立ちになった際に不安定になったり、装着者が体を屈めることの苦痛についてはまだまだ問題がある構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、パンツタイプのおむつを装着するに際し、装着者が体を屈めながら装着する必要がなく、また両手を用いて片足立ちで足をおむつの開口部に差し入れるようなことが必要ないようなおむつ装着補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、滑車と、重りと、前記滑車の回転を操作可能なハンドル、ワイヤー、パイプアーム、パイプアーム支持部、ガイドレールを備えたおむつ装着補助装置において、前記ワイヤーはその一端に重りを固定され、前記滑車を通過して他端に前記パイプアーム支持部を固定され、前記パイプアーム支持部は前記パイプアームを固定し支持しており、前記パイプアーム支持部はその一部が前記ガイドレールに格納されて前記パイプアームを昇降可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明では、前記ハンドルの操作により前記重りが下端部において接地したときに、前記パイプアームは一定の高さに到達し、前記滑車の、少なくとも前記ワイヤーと接する部分は、前記一定の高さに重りが到達した際に空回りする軽摩擦素材で構成されることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記滑車は前記ワイヤーの滑車に巻きついた部分のゆるみを上方から押さえる押圧手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明では前記おむつ装着補助装置はパイプアーム支持台、パイプアーム支持棒を更に備え、前記パイプアーム支持棒は前記パイプアーム支持部に略水平に固設され、前記パイプアームは、右パイプアームと左パイプアームからなり、前記右パイプアームと前記左パイプアームはそれぞれが接続部を備え、前記パイプアーム支持棒は柱状で、前記接続部は筒状部分を有し、前記パイプアーム支持棒と前記筒状部分が遊嵌されており、前記右パイプアームと前記左パイプアームはともに前記パイプアーム支持棒に沿って移動可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記パイプアーム支持棒は円柱状、前記筒状部分は円筒状であり、前記パイプアームは回動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、滑車と、重りと、前記滑車の回転を操作可能なハンドル、ワイヤー、パイプアーム、パイプアーム支持部、ガイドレールを備えたおむつ装着補助装置において、前記ワイヤーはその一端に重りを固定され、前記滑車を通過して他端に前記パイプアーム支持部を固定され、前記パイプアーム支持部は前記パイプアームを固定し支持しており、前記パイプアーム支持部はその一部が前記ガイドレールに格納されて前記パイプアームを昇降可能であることを特徴とするので、使用者は、パンツタイプのおむつを自力で装着するに際し、両手をおむつに手をかけることなく、また片足立ちで足を差し入れながら手でおむつを引っ張り上げるといった身体が不安定になる動作を必要とせずに、おむつを装着することができることとなる。
【0012】
また、本発明は、前記ハンドルの操作により前記重りが下端部において接地したときに、前記パイプアームは一定の高さに到達し、前記滑車の、少なくとも前記ワイヤーと接する部分は、前記一定の高さに重りが到達した際に空回りする軽摩擦素材で構成されることを特徴とするので、誤操作等によってパイプアームが一定の高さより上に上昇することなく、安全なおむつ装着補助装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、前記滑車は前記ワイヤーの滑車に巻きついた部分のゆるみを上方から押さえる押圧手段を備えることを特徴とするので、パイプアームの昇降の際ワイヤーがからまったりといった誤作動の原因を防止することができる。
【0014】
さらに、本発明は、前記おむつ装着補助装置はパイプアーム支持台、パイプアーム支持棒を更に備え、前記パイプアーム支持棒は前記パイプアーム支持部に略水平に固設され、前記パイプアームは、右パイプアームと左パイプアームからなり、前記右パイプアームと前記左パイプアームはそれぞれが接続部を備え、前記パイプアーム支持棒は柱状で、前記接続部は筒状部分を有し、前記パイプアーム支持棒と前記筒状部分が遊嵌されており、前記右パイプアームと前記左パイプアームはともに前記パイプアーム支持棒に沿って移動可能であることを特徴とするので、右パイプアームと左パイプアームの位置を移動させることで、大きいおむつから小さいおむつまで幅広いサイズのおむつを装着可能とすることができ、また位置固定のための部材を用いずとも、右パイプアームと左パイプアームの位置を固定することができ、簡易な構成のおむつ装着補助装置とすることができる。
【0015】
また、本発明は、前記パイプアーム支持棒は円柱状、前記筒状部分は円筒状であり、前記パイプアームは回動可能であることを特徴とするので、パイプアームを跳ね上げ式とすることができ、パイプアームの収納が可能となるため、使用しない時には省スペースなおむつ装着補助装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るおむつ装着補助装置1の一例が示された右側面図である。
【
図4】
図1の装置内部を点線でしめした、パイプアーム20が一定の高さAにある図である。
【
図5】
図4のパイプアーム20が下方に移動した際の図である。
【
図6】
図1のおむつ装着補助装置が示された斜視図である。
【
図7】
図1のおむつ装着補助装置の内部を説明のため一部露出させた、拡大斜視図である。
【
図8】(X)は
図2のおむつ装着補助装置1におむつ70を装着した際の図であり、(Y)は(X)のX―X線断面図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態に係るおむつ装着補助装置100の一例が示された斜視図である。
【
図10】(X)は本発明の第二の実施形態のおむつ装着補助装置100の上面図であり、(Y)はその左側面図である。
【
図11】(X)は本発明の第二の実施形態のおむつ装着補助装置100の正面図、(Y)は滑車102の周辺の拡大正面図、(Z)はその左側面図である。
【
図12】(X)おむつ装着補助装置100の使用の際のパイプアーム120の位置を示した図である。(Y)はおむつ装着補助装置100のパイプアーム120が収納される際の途中の状態を示した図である。(Z)はパイプアーム120が収納された状態を示した図である。
【
図14】
図14(X)は本発明の第二の実施形態のおむつ装着補助装置100のパイプアームが縮んだ状態の上面図、(Y)はその側面図、(Z)はその斜視図である。
【
図15】(X)は本発明の第二の実施形態に係るおむつ装着補助装置100が
図14の状態でおむつ70を装着したときの図の上面図であり、(Y)は
図9の状態でおむつ70を装着したときの図の上面図であり、(Z)は(Y)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るおむつ装着補助装置について説明する。
図1は、おむつ装着補助装置1の右側面図である。
図2は、おむつ装着補助装置1を上からみた上面図である。
図3は、おむつ装着補助装置1を、
図1の左側からみた、正面図である。
図4は
図1のおむつ装着補助装置1の内部を点線で図示した説明図であり、パイプアーム20が一定の高さAにある際の図である。
図5は、おむつ装着補助装置1の内部を点線で示した説明図であり、パイプアーム20が下方に移動した際の図である。
図6は、おむつ装着補助装置1の斜視図である。
図7は、
図1のおむつ装着補助装置1の内部を一部露出させ、拡大し、斜視した図である。
図8(X)は
図2と同様の
図1の上面図に、おむつを装着した場合の図である。
図8(Y)はおむつ70の装着された様子を断面図により説明する、
図8(X)のX-X線断面図である。
図9は本発明の第二の実施形態に係る斜視図、
図10(X)は本発明の第二の実施形態のおむつ装着補助装置100の上面図、(Y)はその左側面図、
図11(X)は本発明の第二の実施形態のおむつ装着補助装置100の正面図、(Y)は滑車102の周辺の拡大正面図、(Z)はその左側面図であり、
図12(X)~(Z)は本発明の第二の実施形態の動きを表した斜視図であり(X)の状態から、(Y)の状態を経て(Z)の状態に移行することができることを示した図である。
図13(X)~(Z)は
図12(X)~(Z)のぞれぞれを左側面図で示したものである。
図14(X)は本発明の第二の実施形態のおむつ装着補助装置100のパイプアームが縮んだ状態の上面図、(Y)はその側面図、(Z)はその斜視図を示したものである。
図15(X)は本発明の第二の実施形態に係るおむつ装着補助装置100が
図14の状態でおむつ70を装着したときの図の上面図であり、(Y)は
図9の状態でおむつ70を装着したときの図の上面図であり、(Z)は(Y)の斜視図である。なお、本開示においては、説明の便宜上、前、正面とは
図1において左、
図10(X)(Y)において右からみた場合をいい、後ろ、背面側とは、
図1において右方向、
図10(X)(Y)において左方向を指し、左側面とは
図1において図示されない裏側を示し、
図2において下側を示しており、
図10(X)においては下側、(Y)においては手前側を指すこととする。
【0018】
(第一の実施形態)
図1に示すおむつ装着補助装置1は、滑車2、ハンドル4、ワイヤー10、パイプアーム20、ガイドレール30、重りガイド40、脚部60を備えている。
【0019】
図1に示されるパイプアーム20は、後述するワイヤー10により昇降可能なように設けられている。
図2に示されるようにパイプアーム20は略コの字型に、前方が開いているように形成されている。パイプアーム20のコの字型の中心付近には、パイプアーム支持部21が設けられる。パイプアーム支持部21はガイドレール30にコロ31、32によって安定して上下に移動することができるように遊嵌されている。
図3に示されるようにガイドレール30は、パイプアーム支持部21が上下動できるように、前方が矩形状に、その上端からおむつ装着補助装置1の下端まで開いている。しかし、おむつ装着のためかならずしも下端まで開いている必要はなく、下端付近にパイプアーム20が位置できる構造であればよい。また、ガイドレール30の背面側には、重りガイド40が設けられている。ガイドレール30と重りガイド40は、ともに直立して設けられ、重りガイド40の下端から延びる脚部60に支えられている。脚部60は
図2に示されるように上面視でコの字型に前方が開いて形成されている。重りガイド40は後述する重り3を内部に収納し、重り3が上下に移動する際のガイドの役割を果たしている。重り3とパイプアーム支持部21は、ワイヤー10を介して接続されている。このワイヤー10は、
図1に示されるように、滑車2に巻き付いている。滑車2は、ハンドル基部52に支持されており、ハンドル基部52は、ガイドレール30に固定されて設けられている。
【0020】
図3を示しながらワイヤー10について詳述する。ワイヤー10の一端は、パイプアーム支持部21に接続されており、この一端から、滑車2にむかってまっすぐ伸びている。そして滑車2の滑車のワイヤーに接する部分12に巻き付いている。その後、滑車2の背面側から、
図1に示されるように下方向へまっすぐ伸びている。そしてワイヤー10の他端が
図2に示される重り3に接続している。
【0021】
また、
図3に示されるように、おむつ装着補助装置1は、さらに押圧手段としてブラシ50を備える。滑車2を支持するハンドル基部52の上方に、ブラシ基部51がアーチ状に伸びており、ブラシ基部51に設けられたブラシ50が、滑車2の滑車のワイヤーに接する部分12に向けて真っすぐに伸びている。これにより、ワイヤー10の滑車に巻き付いた部分11が抑えられ、当該部分がハンドル4の操作により緩んだ際に、これをおさえて、ワイヤー10がからまるなどの誤作動を防止することができる。押圧手段としては、上方からワイヤー10を押さえつける構造であれば公知のものを用いても構わないが、ブラシ50かチョウチンコロ150を用いることが好ましい。
【0022】
次に、
図4を示しながらおむつ装着補助装置1の動作について説明する。おむつ装着補助装置1は、ハンドル4を回転させることにより滑車2を回すことで、パイプアーム20を上下させて動作させる。ハンドル4を操作し、パイプアーム20が
図4に示される高さである、一定の高さAに到達すると、重り3が重りガイド40の下端部に到達し、接地する。ここでいう一定の高さとは、
図3に一定の高さAとして示されている。そして重り3が接地したことにより一定の高さAでパイプアーム20が止まり、それ以上上方に移動しなくなる。重り3はこの場合、接地してもよいし、重りガイド40内の任意の場所に設けられた台などの支えによりその重さが支えられる状態としてもよい。また、滑車2は重りガイド40が接地した際にワイヤー10を滑らせることにより、上記の状態でパイプアーム20を一定の高さAにとどめようとするものであるから、摩擦力がある程度低い軽摩擦素材が好ましい。軽摩擦素材とは主にプラスチック製品、ナイロン等を指す。しかし、これに限られず同様の摩擦係数を持つ公知の素材を使って構わない。また、摩擦力を軽減しつつも、滑車の機能を果たすために一定程度確保しておく関係から、滑車2はワイヤーが巻き付いている部分の内径が4センチメートル~8センチメートル程度であることが好ましい。
【0023】
また、上記とは反対方向にハンドル4を操作すると、
図5に示されるように、重り3が上方に移動し、パイプアーム20が下方に移動する。この際滑車2が回転し、ワイヤー10の重り3側のワイヤー10が重り3を引っ張るように滑車2に巻き取られ、正面側であるガイドレール30側に伸びるワイヤー10は、滑車2から離れて下方へと移動し伸びていく。そうすることでパイプアーム支持部21が下方に移動し、それに従ってパイプアーム20も水平を保ちながら下方へ移動する。
【0024】
図6を示しながらおむつ装着補助装置1について更に説明する。
図6は一定の高さAにパイプアーム20が到達している際の図である。おむつをパイプアーム20に装着した際に使用者がパイプアーム20をハンドル4を使用することにより上方に移動させた際に、使用者の腰付近でパイプアーム20が止まることが好ましい。従って一定の高さAとは、使用者の腰付近であればよく、使用者によって異なるがおおむね80~100センチメートル前後を指す。また、立ち位置61に使用者が直立することにより後述するおむつの装着をすることができる。
【0025】
次におむつ70の装着方法、つまりおむつ装着補助装置1の使用方法について詳述する。まず
図8(X)に示されるように、おむつ装着補助装置1のパイプアーム20に、おむつ70の、使用者の腰部分に当接することとなる側のおむつの縁71を全体的にひっかける。ひっかけた際の断面図を
図8(Y)に示す。
図8(Y)は
図8(X)のX―X線断面図である。このようにひっかけた際に、
図8(X)に示すようにおむつの使用者が足を挿入することとなる穴72が、パイプアーム20内の左右に2つ上面視で大きく露出する形となる(ステップ1)。次に、ハンドル4を操作し、
図5に示されるような、下方にパイプアーム20が位置する状態まで、パイプアーム20を下げる(ステップ2)。次に、使用者は自身の足を
図8(X)に示される穴72に挿入する(ステップ3)。その後、使用者はハンドル4を操作し、
図4の状態になるまでパイプアーム20を引き上げる(ステップ4)。そうすると、おむつが使用者に装着され、使用者はひざを曲げることなくおむつの縁71をパイプアーム20から外すことができ、直立したままおむつ70を自身で装着することができる。これにより使用者は、体が不自由でかがんだりすることができない場合でも、容易に自身でおむつ70の装着を行うことができる。
【0026】
次に
図7を用い、パイプアーム20が水平を保ちつつ上下に移動することができる仕組みについて詳述する。
図7はガイドレール30の一部を説明のため切り取ることにより、コロ31、32を露出させた説明図である。パイプアーム20に接続するパイプアーム支持部21は、
図7に示されるようにガイドレール30内部にアームが伸びており、このアームから、ガイドレール30に沿って上下に移動することができるよう、コロ31、32が2個ずつ上下に設けられている。コロ31、32が1つずつでは、パイプアーム20が上下にぐらつくが、複数設けられていることにより、パイプアーム支持部21が直立を保ち、パイプアーム20が水平方向を保つことができるようになる。コロ31、32はガイドレール30に円の縁が遊びをもって当接するように設けられていればよく、円盤状である。
【0027】
そして、ガイドレール30は、
図2に示されているが、コロが左右に複数設けられるように、上面視でコの字型が向き合う形であり、正面視においては
図3にしめされているように開口部の幅が一定で垂直方向に伸びている形状であることが好適である。
【0028】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態につき説明する。
図9に示されるパイプアーム120は、後述するワイヤー110により昇降可能なように設けられている。
図10(X)に示されるようにパイプアーム120は略Lの字型及び逆L字型に、前方が開いているように、向き合うように形成され、パイプアーム支持棒124に固定されている。また、パイプアーム120は右パイプアーム122と左パイプアーム123に分割されており、パイプアーム支持部121に水平に固定されているパイプアーム支持棒124に支持されている。パイプアーム120の付け根付近がパイプアーム支持棒124と接続しており、
図10の(Y)の方向である側面視で回動可能となっている。ただ、下方に回動しないように、長細いL字状の台座であるパイプアーム支持台131により下方に回動しないように重ねて支持されている。また、パイプアーム支持台131はパイプアーム支持部121に固設されている。
【0029】
また、パイプアーム支持棒124の中心付近には、パイプアーム支持部121が設けられる。パイプアーム支持部121は本発明に係る第一の形態と同じく、ワイヤー110と接続し、ガイドレール130にコロ31、32によって安定して上下に移動することができるように遊嵌されている。パイプアーム支持部121は、
図7に示されるようにガイドレール30内部にアームが伸びており、このアームから、ガイドレール130に沿って上下に移動することができるよう、コロ31、32が2個ずつ上下に設けられている点は、第二の実施形態も第一の実施形態と同様である。コロ31、32が1つずつでは、パイプアーム120が上下にぐらつくが、複数設けられていることにより、パイプアーム支持部21が直立を保ち、パイプアーム120が水平方向を保つことができるようになる。コロ31、32はガイドレール130に円の縁が遊びをもって当接するように設けられていればよく、円盤状であり、ガイドレール130は、
図2に示されているが、コロが左右に複数設けられるように、上面視でコの字型が向き合う形であり、正面視においては
図3にしめされているように開口部の幅が一定で垂直方向に伸びている形状であることが好適である点もまた、同様である。
【0030】
図3に示されるようにガイドレール30は、パイプアーム支持部121が上下動できるように、前方が直方体状に、おむつ装着補助装置1の下端まで開いている点は、第二の実施形態においても同様である。しかし、おむつ装着のためかならずしも下端まで開いている必要はなく、下端付近にパイプアーム120が位置できる構造であればよい。また、ガイドレール130の背面側には、重りガイド140が設けられている。ガイドレール130と重りガイド140は、ともに直立して設けられ、重りガイド140の下端から延びる脚部160に支えられている。
【0031】
脚部160は
図10(X)に示されるように上面視でH字型に形成されている。また
図11(X)に示されるように脚部160は円筒状に形成されている。これにより使用者などが足を怪我しないように配慮されている。重りガイド140は後述する重り3を内部に収納し、重り3が上下に移動する際のガイドの役割を果たしている。
重り3とパイプアーム支持部121は、ワイヤー110を介して接続されている。このワイヤー110は、
図1に示されるように、滑車102に巻き付いている。滑車102は、ハンドル基部152に支持されており、ハンドル基部152は、ガイドレール130に固定されて設けられている。
【0032】
図11(X)を示しながらワイヤー110について詳述する。ワイヤー110の一端は、パイプアーム支持部121に接続されており、この一端から、滑車102にむかってまっすぐ伸びている。そして滑車102の滑車のワイヤーに接する部分112に巻き付いており、滑車102の背面側から、
図11(Z)に示されるように下方向へまっすぐ伸びている点、そしてワイヤー110の他端が
図2に示されるような重り3に接続している点に関しては第二の実施形態は、第一の実施形態と同様である。
【0033】
また、
図11、とくに(Y)、(Z)に示されるように、おむつ装着補助装置100は、さらに押圧手段としてチョウチンコロ150を備える。滑車102を支持するハンドル基部152の上方に、チョウチンコロ150の支持部とともにチョウチンコロ150が設けられており、チョウチンコロ150がワイヤーに接する部分112に当接するように設けられている。これにより、ワイヤー110の滑車に巻き付いた部分111が抑えられ、当該部分がハンドル104の操作により緩んだ際に、これをおさえて、ワイヤー110がからまるなどの誤作動を防止することができる。押圧手段としては、上方からワイヤー110を押さえつける構造であれば公知のものを用いても構わない。
【0034】
また、押圧手段としてチョウチンコロ150を用いることで、滑車102が回転するとそれに連動して滑車に巻き付いた部分111が動き、これに連動して、滑車に巻き付いた部分111に当接し、押圧するように設けられているチョウチンコロ150も回転をする。これによりチョウチンコロ150と滑車102が逆回転で連動して回転する。
図11(Z)に示されるように、滑車102が矢印α方向に回転をすると、チョウチンコロ150は連動して矢印α´方向に回転する。反対に、滑車102が矢印β方向に回転すると、チョウチンコロ150は矢印β´方向に回転する。これにより、滑車102とチョウチンコロ150の間に挟まれたワイヤー110をスムーズに巻き取り、また送り出すことができる。
【0035】
次に
図12、
図13を示しながらパイプアーム120の跳ね上げ式の動きについて詳述する。
図12(X)や
図13(X)に示されるようにパイプアーム120の右パイプアーム122と左パイプアーム123はその付け根付近をパイプアーム支持台131に支持されており、水平方向より下方には回動しないよう構成される。
図12(Y)、
図13(Y)に示されるように、付け根付近を中心として右パイプアーム122と左パイプアーム123はそれぞれ上方に回動する。
図12(Y)、
図13(Y)の状態を経て、
図12(Z)、
図13(Z)に示されるように、右パイプアーム122、左パイプアーム123が真上の方向に向いて、収納される。この跳ね上げ式構造により、使用していない際は、パイプアーム120の収納が可能となり、省スペース化が実現できることとなる。
【0036】
次にパイプアーム120が横方向にも収縮する方式である点を詳述する。パイプアーム120の右パイプアーム122、左パイプアーム123は、
図10(X)に示されるように、その端部の付け根部分が接続部125、126を介し、パイプアーム支持棒124に接続されている。接続部125、126は、右パイプアーム122、左パイプアーム123とは完全に固定されている。しかし、パイプアーム支持棒124とは、接続部125、126の一部が筒状であり、その筒の中にパイプアーム支持棒124が遊嵌されている。そのため、パイプアーム支持棒124との接続部125、126が横方向に移動可能であることにより、右パイプアーム122、左パイプアーム123も横方向に移動可能に支持されていることとなる。これにより、
図10(X)に示される状態から、
図14に示される状態へとパイプアーム120の間の領域を収縮することが可能となる。つまり、
図9の状態から
図14(z)の状態に変更可能に構成されている。
【0037】
このパイプアーム120が収縮する方式により、右パイプアーム122と左パイプアーム123との間の領域が伸縮可能となり、大きいおむつと小さいおむつの両方に対応したおむつ装着補助装置100とすることが可能となる。
図15(X)に示されるおむつ装着補助装置100の状態は、小さいおむつ73に対応する。
図15(Y)に示されるおむつ装着補助装置100の状態は大きいおむつ70に対応する。この際、右パイプアーム122と左パイプアーム123の距離を固定可能な構造である点を説明する。
【0038】
まずおむつ70をおむつ装着補助装置100に装着する点につき説明する。
図15(Y)、(Z)に示される接続部125、126に設けられるゴム製の突起127、128におむつ70の縁71を、
図8(Y)に用いた方法と同様の方法でまくるように掛ける。そして、引き伸ばすようにおむつ70の他方の縁71を右パイプアーム122、左パイプアーム123の付け根とは反対側の、ゴム製の端部132、133に同様にひっかける。突起127、128、端部132、133はいずれも、必ずしもゴム製である必要はないが、引っかけるのが容易である点でゴム製であると好ましい。このようにおむつ70をおむつ装着補助装置に装着したものを斜視図としたものが
図15(Z)である。おむつの使用者への装着方法は、第一の実施形態と同様であるので省略する。
また、おむつ70、73は胴回りがゴム等で伸縮自在となっていると好適である。
【0039】
おむつ70の装着に際し、
図15(Y)に示される、ゴム突起127、128に、矢印Z、Z´方向に力がかかる。また同様に、端部132、133にも、矢印Y、Y´方向にも力がかかる。
図15(Y)、(Z)のようにおむつ70を装着すると、矢印Z、Z´方向にかかる力と矢印Y、Y´方向にかかる力には差が生じ、Z、Z´方向にかかる力のほうが小さくなる。このため、接続部125、126の筒状部分の向きがパイプアーム支持棒124に対して斜め方向にずれる力がかかることとなる。これにより、接続部125、126がパイプアーム支持棒124の、おむつ70を突起127、128にひっかけた位置で固定することができることとなり、好適である。このようなことを可能とするため、接続部125、126のパイプアーム支持棒124と接続する部分である筒状部分は、リング状ではなく、ある程度の長さを持つ筒状であることが好ましい。
【0040】
また、パイプアーム支持棒124がパイプアーム支持部121に対し回動可能に固定されている場合、パイプアーム支持棒124は断面が矩形である四角柱状でも右パイプアーム122、左パイプアーム123は側面視で回動可能となり、左右に移動可能ともなるのでで、この組み合わせでもよいが、本実施形態では、パイプアーム支持棒124がパイプアーム支持部121に回動しないよう固設され、パイプアーム支持棒124は円柱状であり、接続部125、126は円筒の筒状部分を有し、この筒状部分とパイプアーム支持棒124が回動自在に嵌合することとなっている。従ってパイプアーム支持棒124は柱状、接続部は筒状で嵌合可能であれば、形はとくに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示のおむつ装着補助装置は、高齢者などの使用者が屈まずにおむつを装着することができるおむつ装着補助装置として、介護施設や在宅介護に好適に利用することができる。しかしながら、本開示は、上述された実施形態、及び実施例に限定されるものではない。屈むことが困難な状況での装着や、手の不自由な方のハンドルを用いない方法でのおむつ装着補助装置の使用によるおむつの装着など体の不自由な方のおむつの装着に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1、100 おむつ装着補助装置
2、102 滑車
3 重り
4、104 ハンドル
10、110 ワイヤー
11,111 ワイヤーの滑車に巻き付いた部分
12、112 滑車のワイヤーに接する部分
20、120 パイプアーム
21、121 パイプアーム支持部
30、130 ガイドレール
31、32 コロ
40、140 重りガイド
50 ブラシ
51 ブラシ基部
52,152 ハンドル基部
60、160 脚部
61 立ち位置
70、73 おむつ
122 右パイプアーム
123 左パイプアーム
124 パイプアーム支持棒
125、126 接続部
127、128 突起
131 パイプアーム支持台
132、133 端部
150 チョウチンコロ
A 一定の高さ