(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064238
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220418BHJP
G06F 40/205 20200101ALI20220418BHJP
【FI】
G06Q10/06 332
G06F40/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172866
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516171702
【氏名又は名称】株式会社コードタクト
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】関 大也
【テーマコード(参考)】
5B091
5L049
【Fターム(参考)】
5B091AA15
5B091CA02
5B091CA12
5B091CB02
5B091CB12
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】複数項目を含むレポート分析に優れた技術を提供する。
【解決手段】この発明の一態様の情報処理装置は、レポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する解析部と、各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定する判定部と、各文章の関連度に基づき前記複数項目に対して各文章を入力した入力者のパフォーマンスを推定する推定部と、前記パフォーマンスの推定結果を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する解析部と、
各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定する判定部と、
各文章の関連度に基づき前記複数項目に対して各文章を入力した入力者のパフォーマンスを推定する推定部と、
前記パフォーマンスの推定結果を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記複数項目は、目的を入力するための第1の項目、前記目的に対する事前対応を入力するための第2の項目、及び前記目的に対する結果を入力するための第3の項目を含み、
前記推定部は、各文章の関連度に基づき前記目的に対する前記パフォーマンスを推定する請求項1の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数項目は、前記目的に対する事後対応を入力するための第4の項目、及び前記目的に対する次の対応を入力するための第5の項目を含み、
前記推定部は、各文章の関連度に基づき前記目的に対する前記パフォーマンスを推定する請求項2の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記第1の項目の第1の文章と前記第2の項目の第2の文章の関連度、及び前記第2の項目の前記第2の文章と前記第3の項目の第3の文章の関連度に基づき前記目的に対する前記パフォーマンスを推定する請求項2の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記第1の項目の第1の文章と前記第2の項目の第2の文章の関連度、前記第2の項目の前記第2の文章と前記第3の項目の第3の文章の関連度、前記第3の項目の前記第3の文章と前記第4の項目の第4の文章の関連度、前記第4の項目の前記第4の文章と前記第5の項目の第5の文章の関連度、及び前記第5の項目の前記第5の文章と前記第2の項目の前記第2の文章の関連度に基づき前記目的に対する前記パフォーマンスを推定する請求項3の情報処理装置。
【請求項6】
前記解析部は、複数入力者からの複数レポートのそれぞれに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析し、
前記判定部は、前記複数レポートのそれぞれに含まれる各文章の相対的な関連度を判定する請求項1乃至5の何れか一つの情報処理装置。
【請求項7】
前記解析部は、複数回を対象として複数入力者からの複数レポートのそれぞれに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析し、
前記判定部は、前記複数回を対象として前記複数レポートのそれぞれに含まれる各文章の相対的な関連度を判定する請求項1乃至5の何れか一つの情報処理装置。
【請求項8】
前記推定部は、各入力者の前記パフォーマンスの平均値を推定する請求項6又は7の何れか一つの情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部は、各入力者の前記パフォーマンスの時系列変化を推定する、請求項6又は7の情報処理装置。
【請求項10】
レポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析し、
各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定し、
各文章の関連度に基づき前記複数項目に対して各文章を入力した入力者のパフォーマンスを推定し、
前記パフォーマンスの推定結果を出力する情報処理方法。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れかの情報処理装置が備える各部による処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば文章を解析し解析結果等を出力する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置による文章解析技術が、様々な分野で利用されている。例えば、市場調査の分野では、文章解析技術を利用しユーザにより投稿された文章が解析され、解析結果から購買動向等が調査されている。また、教育の分野では、文章解析技術を利用し研修者が作成した文章が解析され、解析結果から研修者の指導が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、文章解析技術は様々な分野で利用されているが、さらなる活用が要望されている。例えば、複数項目を含むレポートの文章を解析する場合、文章が項目別に入力されていることに着目し、効果的なレポート分析を可能にする技術が要望されている。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、複数項目を含むレポート分析に優れた技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明の一態様の情報処理装置は、レポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する解析部と、各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定する判定部と、各文章の関連度に基づき前記複数項目に対して各文章を入力した入力者のパフォーマンスを推定する推定部と、前記パフォーマンスの推定結果を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一態様によれば、複数項目を含むレポート分析に優れた技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る情報処理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るサーバのソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る情報処理システムによる情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るサーバによる解析対象のレポートの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るサーバにより出力されるパフォーマンスの推定結果の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るサーバにより出力されるポジティブ傾向及びネガティブ傾向の判定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成例)
図1は、一実施形態に係る情報処理システム100の全体構成を示す図である。
情報処理システム100は、社内教育等を可能にするシステムである。本システムは、指導者(又は管理者)と、被指導者(又は一般社員)によって利用される。ここでは、複数の被指導者の人数をn(nは2以上)人とする。以下では、「複数の被指導者」という表記は、n人の被指導者を意図している。
【0010】
情報処理システム100は、サーバ1、指導用端末2、及び複数の被指導用端末3-1~3-nを備える。サーバ1、指導用端末2、及び複数の被指導用端末3-1~3-nは、ネットワークNWを介して互いに通信自在に接続する。ネットワークNWは、インターネット、及びLAN(Local Area Network)等のうちの1以上のネットワークで構成される。典型的には、LANは、無線LANであるが、有線LANであってもよい。情報処理システム100は、サーバ1、指導用端末2、及び複数の被指導用端末3-1~3-nのうちの少なくとも2つの要素を含むシステムを指すこともある。
【0011】
サーバ1は、社内教育に関する種々のデータを記憶し、社内教育に関する種々の処理を行う電子機器である。電子機器は、コンピュータの一例である。サーバ1は、情報を処理する情報処理装置の一例である。例えば、サーバ1は、レポート用のテンプレートを記憶し、複数の被指導用端末3-1~3-nへ配信し、複数の被指導用端末3-1~3-nのそれぞれから送信されるレポートを受信し記憶する。サーバ1の構成例については後述する。
【0012】
指導用端末2は、指導者が使用する端末である。指導用端末2は、入力機能、表示機能及び通信機能を備える電子機器である。例えば、指導用端末2は、タブレット端末、スマートフォン、又はPC(Personal Computer)等であるが、これらに限定されない。指導用端末2は、端末の一例である。指導用端末2の構成例については後述する。
【0013】
被指導用端末3-1~3-nのそれぞれは、複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれが使用する端末である。例えば、被指導用端末3-1~3-nのそれぞれは、入力機能、表示機能及び通信機能を備える電子機器である。例えば、被指導用端末3-1~3-nのそれぞれは、タブレット端末、スマートフォン、又はPC等であるが、これらに限定されない。被指導用端末3-1~3-nのそれぞれは、端末の一例である。例えば、被指導用端末3-1~3-nのそれぞれは、サーバ1からレポート用のテンプレートをダウンロードする。複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれは、定期的又は所定のタイミングで、被指導用端末3-1~3-nによりレポートを作成する。被指導用端末3-1~3-nのそれぞれは、作成されたレポートをサーバ1へ送信する。被指導用端末3-1~3-nの構成例については後述する。なお、複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれは、被指導用端末3-1~3-nによりレポートに対して文章を入力する入力者である。
【0014】
サーバ1の構成例について説明する。
サーバ1は、制御部11、プログラム記憶部12、データ記憶部13、及び通信部14を備える。サーバ1を構成する各要素は、バス15を介して、互いに接続されている。
【0015】
制御部11は、サーバ1の中枢部分に相当する。制御部1は、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のプロセッサを備える。制御部1は、不揮発性のメモリ領域としてROM(Read Only Memory)を備える。制御部11は、揮発性のメモリ領域としてRAM(Random Access Memory)を備える。プロセッサは、ROM、又はプログラム記憶部12に記憶されているプログラムをRAMに展開する。プロセッサがRAMに展開されるプログラムを実行することで、制御部11は、後述する各部を実現する。
【0016】
プログラム記憶部12は、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリで構成される。プログラム記憶部12は、各種制御処理を実行するために必要なプログラムを記憶する。例えば、プログラム記憶部12は、制御部11に実現される後述する各部による処理をサーバ1に実行させる情報処理プログラムを記憶する。プログラム記憶部12は、ストレージの一例である。
【0017】
データ記憶部13は、記憶媒体としてHDD又はSSD等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリで構成される。データ記憶部13は、ストレージ、又は記憶部の一例である。
【0018】
データ記憶部13は、データDB(データベース)131を記憶する。データDB131は、複数の被指導者4-1~4-nのテンプレートに基づくレポートを記憶する。複数の被指導者4-1~4-nのテンプレートに基づくレポートは、被指導用端末3-1~3-nで入力される。テンプレートに基づくレポートは、複数項目を含み、各項目に対する文章は、被指導用端末3-1~3-nで入力される。例えば、各項目に対する文章は、テキストデータである。各レポートは、レポート識別情報により識別可能である。各レポートは、入力した被指導者を一意に識別するユーザ識別情報と関連付けられている。例えば、ユーザ識別情報は、被指導者ID、又は被指導者名等であるが、これらに限定されない。
【0019】
通信部14は、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、サーバ1を他の電子機器と通信可能に接続する種々のインタフェースを含む。
【0020】
なお、サーバ1のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。サーバ1は、適宜、上述の構成要素の省略、及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。
【0021】
指導用端末2の構成例について説明する。
指導用端末2は、制御部21、プログラム記憶部22、データ記憶部23、入力部24、表示部25、音声出力部26、及び通信部27を備える。指導用端末2を構成する各要素は、バス28を介して、互いに接続されている。
【0022】
制御部21は、指導用端末2の中枢部分に相当する。制御部21は、CPU等のプロセッサを備える。制御部21は、不揮発性のメモリ領域としてROMを備える。制御部21は、揮発性のメモリ領域としてRAMを備える。プロセッサは、ROM、又はプログラム記憶部22に記憶されているプログラムをRAMに展開する。プロセッサがRAMに展開されるプログラムを実行することで、制御部21は、各種動作を実現する。
【0023】
プログラム記憶部22は、記憶媒体としてフラッシュメモリ、HDD、又はSSD等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリで構成される。プログラム記憶部22は、各種制御処理を実行するために必要なプログラムを記憶する。例えば、プログラム記憶部22は、社内教育用のアプリケーションプログラムを記憶する。プログラム記憶部22は、ストレージの一例である。
【0024】
データ記憶部23は、記憶媒体としてフラッシュメモリ、HDD、又はSSD等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリで構成される。データ記憶部23は、ストレージの一例である。
【0025】
入力部24は、指導用端末2へデータ、又は指示を入力可能なデバイスである。例えば、入力部24は、タッチ操作による入力を可能にするキーボード、又はタッチパネル等を含む。入力部24は、音声入力を可能にするマイクを含む。入力部24は、映像の取り込み可能にするカメラを含む。
【0026】
表示部25は、画像データに基づく画像を表示可能なデバイスである。例えば、表示部25は、液晶ディスプレイ、又はEL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0027】
音声出力部26は、音声データに基づく音声を出力可能なデバイスである。例えば、音声出力部26は、スピーカである。
【0028】
通信部27は、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、指導用端末2を他の電子機器と通信可能に接続する種々のインタフェースを含む。
【0029】
なお、指導用端末2のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。指導用端末2は、適宜、上述の構成要素の省略、及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。例えば、入力部24、表示部25、及び音声出力部26の少なくとも何れか一つは、指導用端末2から独立したデバイスであってもよい。この場合、入力部24、表示部25、及び音声出力部26の少なくとも何れか一つは、指導用端末2が備える図示しない入出力インタフェースと有線、又は無線で接続され得る。
【0030】
被指導用端末3-1の構成例について説明する。被指導用端末3-1は、被指導者4-1により操作されるものとする。
被指導用端末3-1は、制御部31、プログラム記憶部32、データ記憶部33、入力部34、表示部35、音声出力部36、及び通信部37を備える。被指導用端末3-1を構成する各要素は、バス38を介して、互いに接続されている。
【0031】
制御部31、プログラム記憶部32、データ記憶部33、入力部34、表示部35、音声出力部36、及び通信部37は、上述の制御部21、プログラム記憶部22、データ記憶部23、入力部24、表示部25、音声出力部26、及び通信部27と同様に構成されている。例えば、プログラム記憶部22は、社内教育用のアプリケーションプログラムを記憶する。
例えば、表示部35は、社内教育用のアプリケーションプログラムの起動に基づく被指導者用の画像を表示する。例えば、被指導者4-1は、社内教育用のアプリケーションプログラムの起動中に、入力部34を用いて指導者に宛てた、テンプレートに基づくレポートを入力することができる。テンプレートに基づくレポートは、入力部34のタッチ操作により入力されたテキストデータでもよいし、入力部34に入力された音声に基づいて音声認識により変換されたテキストデータでもよい。
【0032】
なお、被指導用端末3-1のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。被指導用端末3-1は、適宜、上述の構成要素の省略、及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。例えば、入力部34、表示部35、及び音声出力部36の少なくとも何れか一つは、被指導用端末3-1から独立したデバイスであってもよい。この場合、入力部34、表示部35、及び音声出力部36の少なくとも何れか一つは、被指導用端末3-1が備える図示しない入出力インタフェースと有線、又は無線で接続され得る。
【0033】
被指導用端末3-2~3-nの構成は、被指導用端末3-1の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0034】
図2は、一実施形態に係るサーバ1のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
制御部11は、取得部111、解析部112、判定部113、推定部114、及び出力部115を備える。制御部11が、情報処理プログラムを実行することにより、取得部111、解析部112、判定部113、推定部114、及び出力部115の各部の機能が実現される。或いは、制御部11が、各部に対応するロジックICを備えてもよい。或いは、各部を制御部11またはプロセッサと読み替えてもよい。
【0035】
取得部111は、複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれのレポートを被指導用端末3-1~3-nのそれぞれから取得する。また、取得部111は、データDB131に記憶された複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれのレポートを取得する。レポートは、テンプレートに基づくものであり、複数項目を含み、複数項目に対して入力された各文章を含む。また、複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれは、定期的に又は所定のタイミングでレポートを書き上げ、被指導用端末3-1~3-nのそれぞれから、書き上げられたレポートが提出される。つまり、複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれは、複数回を対象として複数レポートを書き上げ、被指導用端末3-1~3-nのそれぞれから、書き上げられたレポートが1回分ずつ或いは複数回分纏めて提出される。
【0036】
解析部112は、取得部111により取得された複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれのレポートを解析する。解析部112は、形態素解析により各文章を複数の形態素に分解する。ここでは、形態素は、単語を含むことを意図している。
【0037】
例えば、レポートの複数項目は、目的を入力するための第1の項目、目的に対する事前対応(思考や行動)を入力するための第2の項目、及び目的に対する結果を入力するための第3の項目を含む。また、第1の項目には第1の文章が入力され、第2の項目には第2の文章が入力され、第3の項目には第3の文章が入力される。被指導者は、第1の項目に相応しいと考える第1の文章を入力し、第2の項目に相応しいと考える第2の文章を入力し、第3の項目に相応しいと考える第3の文章を入力するものとする。
【0038】
さらに、レポートの複数項目は、前記目的に対する事後対応(思考や行動)を入力するための第4の項目、及び前記目的に対する次の対応(思考や行動)を入力するための第5の項目を含む。また、第4の項目には第4の文章が入力され、第5の項目には第5の文章が入力される。被指導者は、第4の項目に相応しいと考える第4の文章を入力し、第5の項目に相応しいと考える第5の文章を入力するものとする。
【0039】
解析部112は、テンプレートに基づくレポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する。また、解析部112は、複数の被指導者4-1~4-nからの複数レポートのそれぞれに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する。また、解析部112は、複数回を対象として書き上げられた、複数の被指導者4-1~4-nからの複数レポートのそれぞれに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する。
【0040】
判定部113は、各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定する。また、複数の被指導者4-1~4-nから提出される複数レポートを対象とした場合、判定部113は、複数レポートのそれぞれに含まれる各文章の相対的な関連度を判定する。また、複数の被指導者4-1~4-nから提出される複数回分の複数レポートを対象とした場合、判定部113は、複数回を対象として複数レポートのそれぞれに含まれる各文章の相対的な関連度を判定する。
【0041】
関連度の判定については、既存技術を適用可能である。ここでは、一例について説明する。例えば、判定部113は、各文章に含まれる形態素それぞれをword2vecによりベクトルに変換し、各文章を表すベクトル表現を得る。判定部113は、コサイン類似度を用いて各文章を表すベクトルの近さから各文章の関連度を判定する。なお、判定部113は、被指導者全員の全ての回のレポートの全ての項目同士の関連度を総当りで算出した上での、相対的な関連度を判定する。0に近いほど平均的な関連度となる。絶対値が大きい正の値になるほど平均より関連度が高く、負の値であればその逆である。なお、ベクトル変換の手法はword2vecに限定されるものではなく、その他、周知の技術を適用することができる。
【0042】
推定部114は、各文章の関連度に基づき複数項目に対して各文章を入力した被指導者のパフォーマンスを推定する。例えば、レポートの複数項目が、第1、第2、及び第3の項目を含む場合、推定部114は、各文章の関連度、つまり第1、第2、及び第3の文章の関連度に基づき、第1の項目に入力された目的に対する被指導者のパフォーマンスを推定する。即ち、推定部114は、第1の項目の第1の文章と第2の項目の第2の文章の関連度、及び第2の項目の第2の文章と第3の項目の第3の文章の関連度に基づき目的に対する前記パフォーマンスを推定する。
【0043】
さらに、レポートの複数項目が、第4、及び第5の項目を含む場合、推定部114は、各文章の関連度、つまり第1、第2、第3、第4、及び第5の文章の関連度に基づき、第1の項目に入力された目的に対する被指導者のパフォーマンスを推定する。即ち、推定部114は、第1の項目の第1の文章と第2の項目の第2の文章の関連度、第2の項目の第2の文章と第3の項目の第3の文章の関連度、第3の項目の第3の文章と第4の項目の第4の文章の関連度、第4の項目の第4の文章と第5の項目の第5の文章の関連度、及び第5の項目の第5の文章と第2の項目の第2の文章の関連度に基づき目的に対するパフォーマンスを推定する。
【0044】
また、複数の被指導者4-1~4-nから提出される複数レポートを対象とした場合、推定部114は、各被指導者4-1~4-nのパフォーマンスの平均値を推定する。さらに、推定部114は、各被指導者4-1~4-nのパフォーマンスの時系列変化を推定する。
【0045】
出力部115は、パフォーマンスの推定結果を出力する。例えば、出力部115は、時系列変化が分るよう、パフォーマンスの推定結果をグラフとして出力する。或いは、出力部115は、複数の被指導者4-1~4-nのパフォーマンスの差分が分るよう、パフォーマンスの推定結果をグラフとして出力する。
【0046】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ1の動作例を説明する。
図3は、一実施形態に係る情報処理システムによる情報処理の一例を示すフローチャートである。
例えば、OJT(On-the-Job Training)においてグループコーチングを行う際に、本実施形態の情報処理システムを適用する。複数の被指導者4-1~4-nのそれぞれは、定期的又は所定のタイミングで、被指導用端末3-1~3-nによりレポートを作成し、作成したレポートをサーバ1へ提出する。サーバ1の通信部14は、複数の被指導者4-1~4-nが作成した複数のレポートを受信し、データ記憶部13のデータDB131に複数のレポートが記憶される。
【0047】
取得部111は、データDB131からレポートを取得する(ST1)。例えば、複数の被指導者4-1~4-nからの複数回分のレポートを取得する。解析部112は、レポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章を解析する(ST2)。上記したように、例えば、レポートは、第1~第5の項目を含み、第1の項目には目的が入力され、第2~第5の項目には目的に対する時系列の思考、行動、又は結果等が入力される。解析部112は、このような各項目の文章を解析する。
【0048】
判定部113は、各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定する(ST3)。判定部113は、文章中のキーワード間の相関の強さから関連度を判定する。推定部114は、各文章の関連度に基づき複数項目に対して各文章を入力した被指導者のパフォーマンスを推定する(ST4)。出力部115は、パフォーマンスの推定結果を出力する(ST5)。
【0049】
図4は、一実施形態に係るサーバ1による解析対象のレポートの一例を示す図である。
サーバ1は、レポートのテンプレートを記憶し、被指導用端末3-1~3-nは、サーバ1からレポートのテンプレートをダウンロードする。例えば、レポートは、目的を入力するための第1の項目51、目的に対する事前対応(思考や行動)を入力するための項目52、目的に対する結果を入力するための第3の項目53、前記目的に対する事後対応(思考や行動)を入力するための第4の項目54、及び前記目的に対する次の対応(思考や行動)を入力するための第5の項目55を含む。例えば、判定部113は、被指導者の全ての回のレポートの各項目同士の関連度を総当たりで算出した上で、相対的な関連度を算出する。
【0050】
図5は、一実施形態に係るサーバ1により出力されるパフォーマンスの推定結果の一例を示す図である。
第4の項目54と第5の項目55の関連度は、振り返り反映力を示す。第1の項目51と第2の項目52の関連度は、計画力を示す。第2の項目52と第3の項目53の関連度は、現状把握力を示す。第3の項目53と第4の項目54の関連度は、振り返り力を示す。第5の項目55と第2の項目52の関連度は、継続力を示す。
【0051】
判定部113は、各関連度から、振り返り反映力、計画力、現状把握力、振り返り力、及び継続力(以下、5つの力と表記する)を算出する。判定部113は、5つの力を各回で算出し、
図5に示す5つの力の変化を生成する。推定部114は、5つの力の時系列変化や全実施回での平均値に基づき、被指導者のパフォーマンスを推定する。例えば、出力部115は、
図5に示すパフォーマンスの推定結果を出力する。なお、5つの力は、一例であり、本実施形態はこれだけに限定されるものではない。
【0052】
図6は、一実施形態に係るサーバ1により出力されるポジティブ傾向及びネガティブ傾向の判定結果の一例を示す図である。
例えば、判定部113は、各項目の文章からポジティブな用語、ネガティブな用語、及び中立な用語を検出し、これら用語の使用割合に基づきポジティブ指数とネガティブ指数を判定する。判定部113は、各回で判定し、
図6に示すポジティブ指数とネガティブ指数の変化を生成する。推定部114は、時系列変化や全実施回での平均値に基づき、被指導者のパフォーマンスを推定する。
【0053】
また、判定部113は、各項目の文章から被指導者の性格を分析し、出力部115は、性格分析結果を出力してもよい。
【0054】
以上により、本実施形態によれば、複数項目を含むレポート分析に優れた技術を提供することができる。例えば、サーバ1は、レポートに含まれる複数項目に対して入力された各文章の解析結果に基づき各文章の関連度を判定し、各文章の関連度に基づき複数項目に対して各文章を入力した入力者のパフォーマンスを推定し、パフォーマンスの推定結果を出力する。関連度を利用することで、定量的な評価結果ではなく、定性的な評価結果を得ることができる。
【0055】
例えば、指導用端末2が、サーバ1に対してパフォーマンスの推定結果を要求し、サーバ1からパフォーマンスの推定結果を受信し出力する。指導者は、指導用端末2において出力される被指導者のパフォーマンスを閲覧(チェック)することができる。
【0056】
また、被指導用端末3-1~3-nが、サーバ1に対してパフォーマンスの推定結果を要求し、サーバ1からパフォーマンスの推定結果を受信し出力する。被指導者は、被指導用端末3-1~3-nにおいて出力される自身のパフォーマンスを閲覧(チェック)することができる。
【0057】
また、サーバ1は、指導用端末2からのパフォーマンスの推定結果に対するアクセス履歴又は閲覧履歴、及び被指導用端末3-1~3-nからのパフォーマンスの推定結果に対するアクセス履歴又は閲覧履歴を蓄積する。これらアクセス履歴又は閲覧履歴から、指導者の指導力等を推定することができ、また、被指導者の向上心等を推定することもできる。さらに、被指導者同士の閲覧履歴から、注目度の高い被指導者等を推定することもできる。
【0058】
本実施形態は、社内教育等を想定した例を用いて説明したが、これに限定されない。本実施形態は、学校教育等にも適用可能である。この例では、本実施形態において、指導者を教師と読み替え、被指導者を生徒と読み替えてもよい。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0060】
1…サーバ
2…指導用端末
3-1~3-n…被指導用端末
4-1~4-n…被指導者
11…制御部
12…プログラム記憶部
13…データ記憶部
14…通信部
15…バス
21…制御部
22…プログラム記憶部
23…データ記憶部
24…入力部
25…表示部
26…音声出力部
27…通信部
28…バス
31…制御部
32…プログラム記憶部
33…データ記憶部
34…入力部
35…表示部
36…音声出力部
37…通信部
38…バス
100…情報処理システム
111…取得部
112…解析部
113…判定部
114…推定部
115…出力部