(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064257
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/88 20060101AFI20220418BHJP
B23K 11/14 20060101ALN20220418BHJP
【FI】
B65G47/88 B
B23K11/14 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020181902
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【テーマコード(参考)】
3F017
【Fターム(参考)】
3F017EA01
3F017FA03
3F017FB01
(57)【要約】
【課題】停止通過ユニットの配置高さを適正化して、まとまりの良好な部品供給装置を構成するとともに、ドームナットの円滑な通過を行う。
【解決手段】ガイド管15内に供給ロッド16が収容され、部品1が目的箇所へ供給されるものにおいて、部品1を一旦停止する機能と、部品1を通過する機能を備えた開閉部材25が細長いケース内26に収容され、開閉部材25に進退駆動手段37が結合されて、細長い形状の停止通過ユニット24が形成され、開閉部材25に、ストッパ面30と、通過孔31が形成され、ガイド管15の下端部の上側に結合された支持部材41に、上方へ伸びる起立部材42が形成され、この起立部材42に停止通過ユニット24が取り付けられ、停止通過ユニット24の長手方向軸線O1-O1が、ガイド管15の上側を通過するとともに、ほぼ水平方向となるように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜姿勢で配置されたガイド管内に供給ロッドが進退可能な状態で収容されているとともに、前記供給ロッドの先端部に保持された部品が供給の目的箇所である相手方部材へ供給される形式のものにおいて、
供給されてきた部品を一旦停止させる機能と、この一旦停止後に部品通過を許容する機能を備えた開閉部材が進退可能な状態で細長いケース内に収容され、
前記開閉部材の進退軸線と同軸の状態で配置されているとともに、前記開閉部材を進退させるエアシリンダや進退出力式電動モータなどの細長い形状の進退駆動手段が前記開閉部材に結合されることによって、細長い形状の停止通過ユニットが形成され、
前記停止通過ユニットの開閉部材に、部品を一旦停止させるストッパ面と、部品通過を許容する通過孔が形成され、前記開閉部材が部品通過の位置に停止しているとき、前記通過孔に連通する入口孔と出口孔が前記ケースに開けられ、前記入口孔に連通する入口管と前記出口孔に連通する出口管が前記ケースに結合され、
前記入口管には部品供給源から伸びてきている部品供給管が接続されており、
前記ガイド管の下端部の上側に結合された支持部材に上方へ伸びる起立部材が形成され、この起立部材に前記停止通過ユニットが取り付けられ、
前記起立部材の高さを選定して、前記停止通過ユニットの前記長手方向軸線が、ガイド管の上側を通過するとともに、ほぼ水平方向となるように構成したことを特徴とする部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品搬送を停止したり通過させたりする停止通過ユニットを備えた部品供給装置に関している。
【背景技術】
【0002】
特開2005-040858号公報には、傾斜姿勢で配置されたガイド管内に供給ロッドが進退可能な状態で収容されているとともに、供給ロッドの先端部に保持された部品が供給の目的箇所である相手方部材へ供給される形式のものであって、供給されてきた部品を一旦停止させる機能と、この一旦停止後に部品通過を許容する機能を備えた開閉部材が進退可能な状態で細長いケース内に収容され、開閉部材の進退軸線と同軸の状態で配置されているとともに、開閉部材を進退させるエアシリンダや進退出力式電動モータなどの細長い形状の進退駆動手段がケースに結合されることによって、細長い形状の停止通過ユニットが形成されていることが記載されている。
【0003】
特開2009-062192号公報には、供給ロッドの先端部分に保持されたドームナットに、空気を噴射して送り出すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-040858号公報
【特許文献2】特開2005-062192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された停止通過ユニットは、開閉部材を収容したケースに、進退駆動手段が結合されているものであるから、停止通過ユニット自体の全長が長くなる。また、部品が大きくなったりすると、開閉部材自体の長さが長くなるとともに、長尺化された進退ストロークを有する進退駆動手段をケースに結合することになるので、停止通過ユニット自体の全長が著しく長尺化される。
【0006】
このような長尺化された停止通過ユニットを、上述のよう構造の部品供給装置に組み付ける場合には、前記ガイド管に対して停止通過ユニットをまとまりよく配置する必要がある。
【0007】
特許文献1には、湾曲変形が可能な合成樹脂材料製の部品供給管(供給ホース)が停止通過ユニットの入口管に接合されていることが記載されているが(
図14参照)、接合部分における円滑な部品挙動の改善策については何も記載されていない。
【0008】
特許文献2には、空気噴射でドームナットを送り出すことは記載されているが、ドームナットを供給ロッドの先端部分に安定性よく保持することについては、特別な配慮がなされていない。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、停止通過ユニットの配置高さを適正化して、まとまりの良好な部品供給装置を構成するとともに、ドームナットの円滑な通過を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、
傾斜姿勢で配置されたガイド管内に供給ロッドが進退可能な状態で収容されているとともに、前記供給ロッドの先端部に保持された部品が供給の目的箇所である相手方部材へ供給される形式のものにおいて、
供給されてきた部品を一旦停止させる機能と、この一旦停止後に部品通過を許容する機能を備えた開閉部材が進退可能な状態で細長いケース内に収容され、
前記開閉部材の進退軸線と同軸の状態で配置されているとともに、前記開閉部材を進退させるエアシリンダや進退出力式電動モータなどの細長い形状の進退駆動手段が前記開閉部材に結合されることによって、細長い形状の停止通過ユニットが形成され、
前記停止通過ユニットの開閉部材に、部品を一旦停止させるストッパ面と、部品通過を許容する通過孔が形成され、前記開閉部材が部品通過の位置に停止しているとき、前記通過孔に連通する入口孔と出口孔が前記ケースに開けられ、前記入口孔に連通する入口管と前記出口孔に連通する出口管が前記ケースに結合され、
前記入口管には部品供給源から伸びてきている部品供給管が接続されており、
前記ガイド管の下端部の上側に結合された支持部材に上方へ伸びる起立部材が形成され、この起立部材に前記停止通過ユニットが取り付けられ、
前記起立部材の高さを選定して、前記停止通過ユニットの前記長手方向軸線が、ガイド管の上側を通過するとともに、ほぼ水平方向となるように構成したことを特徴とする部品供給装置である。
【発明の効果】
【0011】
ガイド管の下端部の上側に結合された支持部材に一体化されている起立部材は、ほぼ鉛直方向に起立しており、その上端部に停止通過ユニットが取り付けてあるので、起立部材の鉛直方向の長さを調節することにより、停止通過ユニットの取り付け高さを適正化することがでる。つまり、停止通過ユニットの中心軸線を水平方向に配置することができ、同時に、停止通過ユニットが長尺化されていても、前記ガイド管に干渉することがなく、まとまりの良い装置がえられる。
【0012】
すなわち、部品の寸法が大きくなって停止通過ユニットの全体長さが長くなっても、停止通過ユニットの中心軸線が供給ロッドの中心軸線の上側を通過した状態になるので、部品供給装置のまとまりがコンパクトなものとなる。
【0013】
さらに、部品供給源から伸びてきている部品供給管が入口管に接続される箇所の構造を改善することによって、部品が通路壁にひっかかるような現象を回避することができる。
【0014】
本願発明は、上述のような装置発明であるが、以下に記載する実施例から明らかなように、ナットの移動過程等を特定した方法発明として存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】装置全体を示す側面図と一部の断面図である。
【
図5】部品供給管と入口管の接続箇所を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の部品供給装置を実施するための形態を説明する。
【実施例0017】
【0018】
最初に、部品について説明する。
【0019】
本願発明の部品供給装置で供給される部品としては、断面円形の部材、フランジ付きのプロジェクションボルトなど、種々な部品を対象とすることができる。ここでは、つぎに説明するドームナットである。
【0020】
そこで、ドームナットについて説明する。
【0021】
ドームナット1は、
図3に見やすく記載されている。六角形とされたナット本体2の下部に円形のフランジ3が一体成型で設けられ、ナット本体2の上部には、球形頂部4を有するドーム部材5が一体化されている。ナット本体2やフランジ3は鉄製の素材に鍛造加工を施したもので、ドーム部材5は、鋼板からプレス成型で求めたもので、ナット本体2の上面に溶接してある。そして、フランジ3の下面6は平坦な平面とされ、その外周近くに溶着用突起7が形成されている。溶着用突起7は120度間隔で3個形成してある。なお、ナット本体2が四角形とされる場合もある。
【0022】
ナット本体2に開けたねじ孔8とドーム部材5の内部空間は、連通している。フランジ3の下面には、ねじ孔8の開口縁の外周側に環状の着座平面9が形成されている。
【0023】
以下の説明においては、ドームナットを単にナットと表現する場合もある。
【0024】
つぎに、部品供給装置の全体構造を説明する。
【0025】
部品供給装置全体は、符号100で示されている。ナット1が供給される目的箇所としては、相手方部品の開口部、可動電極の受入孔など、種々なものがあるが、ここでは後者の可動電極である。
【0026】
可動電極11は、図示していないが、エアシリンダや進退出力式電動モータなど、種々な駆動手段によって鉛直方向に進退する。可動電極11には、ドームナット1を受け入れる受入孔12が設けてある。受入孔12に挿入されたナット1が落下することを防止するために、受入孔12の奥側の箇所に永久磁石10が埋め込んである。可動電極11と同軸状態で配置された固定電極13の上に、鋼板部品14が載置してある。
【0027】
傾斜姿勢で配置されている断面円形のガイド管15内に、供給ロッド16が進退可能な状態で収容されている。ガイド管15の上端に、エアシリンダまたは進退出力式電動モータなどの進退駆動手段17が結合してあり、その進退出力によって供給ロッド16が進退するようになっている。ここでは進退駆動手段はエアシリンダであり、これにも同じ符号17が付してある。
【0028】
供給ロッド16の先端に保持ヘッド48が結合され、ここにナット1が保持されて可動電極11の受入孔12へ供給されるようになっている。ナット1を受入孔12へ挿入するために、部品供給装置100全体を鉛直方向に昇降させるエアシリンダ19が静止部材20に取り付けてある。静止部材20は、装置の機枠などで構成されている。エアシリンダ19のピストンロッド22が結合片23を介してガイド管15に結合してある。エアシリンダ19に換えて進退出力式電動モータを使用してもよい。
【0029】
部品供給装置100の構成ユニットとして、停止通過ユニット24が配置されている。
【0030】
つぎに、停止通過ユニットについて説明する。
【0031】
図2に分かりやすく図示されている。供給されてきたナット1を一旦停止させる機能と、この一旦停止後にナット1の通過を許容する機能を備えた開閉部材25が進退可能な状態で細長い箱状のケース26内に収容されている。開閉部材25は図示のような直方体の部材で構成されている。ケース26は、
図2(B)に示すように、下向きに開放した状態の断面コ字型の箱部材27と、箱部材27の下側に基部材28をボルト付けなどで一体化したものである。基部材28は、分厚いステンレス鋼製の板材で構成されている。
【0032】
開閉部材25は、停止通過ユニット24の進退軸線O1-O1に沿って進退し、ケース26の内面を摺動する。開閉部材25の左側は中実構造で、その上面がストッパ面30とされている。また、摺動部材25の右側に通過孔31が設けてある。通過孔31に連通する入口孔33と出口孔34がケース26に開けられている。入口孔33に連通する入口管35がケース26に溶接などで結合され、出口孔34に連通する出口管36がケース26に溶接などで結合されている。入口管35および出口管36は、ともに断面円形であり、ステンレス鋼などの金属材料で作られている。
【0033】
入口管35は、ステンレス鋼などの金属材料で構成されている。この入口管35に、部品供給源であるパーツフィーダ40から伸びてきている断面円形の部品供給管43が接続されている。この部品供給管43は、ポリプロピレンのような合成樹脂で作られており、所要の形態に湾曲することができる。空気噴射管44からの空気噴射によって、高速でナット1が停止通過ユニット24に送給される。
【0034】
図2(A)は、開閉部材25が部品通過禁止(一旦停止)位置に位置しているので、ストッパ面30は入口孔33を閉じている。開閉部材25が移動して部品通過許容(部品通過)位置に停止すると、入口管35、入口孔33、通過孔31、出口孔34、出口管36が一連に連通し、部品通過が可能となる
【0035】
開閉部材25を、部品通過禁止(一旦停止)位置に停止させたり、部品通過許容(部品通過)位置に停止させたりするために、エアシリンダや進退出力式電動モータなどの細長い形状の進退駆動手段37が進退軸線O1-O1上に配置してある。ここでは、エアシリンダによって進退駆動手段が構成され、これにも同じ符号37が付してある。エアシリンダ37のピストンロッド38に、開閉部材25の右端部が結合されている。この結合をするために、分厚い板状の結合部材39が使用されている。結合部材39の一端側がケース26にボルト付けなどで結合され、結合部材39の他端側がエアシリンダ37にボルト付けなどで結合されている。このような結合を行うことによって、細長い長尺な停止通過ユニット24が形成されている。
【0036】
つぎに、停止通過ユニットの取り付け構造を説明する。
【0037】
傾斜姿勢のガイド管15の下端部の上側に、細長い厚板で構成された支持部材41が固定されている。この固定は、
図1(B)に示すように、ボルト付けである。これを溶接付けにしてもよい。支持部材41の下端に、鉛直方向で上方へ伸びる起立部材42が形成されている。起立部材42は、分厚い板材で構成され、支持部材41の下端に溶接で固定されている。起立部材42の上端は、ケース26の一部を構成する基部材28の下面に溶接してある。この溶接をボルト付けにしてもよい。
【0038】
このように支持部材41と起立部材42を介して、停止通過ユニット24がガイド管15の下部に固定してある。停止通過ユニット24の配置姿勢は、同ユニット24の進退軸線O1-O1、すなわち停止通過ユニット24の長手方向軸線が水平方向とされ、長手方向軸線O1-O1が供給ロッド16やエアシリンダ17などの中心軸線O2-O2の上側を通過するように両軸線O1-O1、O2-O2の位置関係が設定してある。このような設定は、起立部材42の高さを加減して行う。
【0039】
つぎに、入口管と部品供給管の接続構造を説明する。
【0040】
入口管35の開口部近傍に断面円形の差し込み孔45が形成され、そこに部品供給管43が圧入してある。部品供給管43の差し込み長さを適正化して、入口管35に対する部品供給管43の接続強度を確保するために、差し込み孔45の下端部に環状の停止面46が形成されている。停止面46は、入口管35の中心軸線が垂直に交叉する仮想平面上に存在している。
図5(C)に拡大して図示してある。こうすることによって、部品供給管43の差し込み長さを適正な値に設定し、常に均一な差し込み長さとなり、適正な接続強度が確保される。
【0041】
図5(A)に示すように、部品供給管43の内径D3は、入口管35の内径D2とほぼ同じ値にしてある。同図では、D3の方がわずかに大きくしてある。一方、フランジ3の直径D1は、入口管35の内径D2よりもわずかに小さくしてある。したがって、図示の場合は、D3>D2>D1の関係となる。
【0042】
入口管35の直径方向で見た停止面46の幅W1の寸法は、挿入された部品供給管43をしっかりと受け止めるために、十分な環状の受け面面積を付与する必要がある。
図5(C)では、幅W1は部品供給管43の肉厚の1/3程度としてある。このような段状の停止面46を配置したり、入口管35の内径D2を所定の値に設定したりすることによって、停止面46の環状の内縁部であるa点から下方へテーパ面47が伸びていて、テーパ面47は入口管35の内面連接点bで入口管35の内面に連なっている。断面円形のテーパ孔となっている。つまり、停止面46の幅W1が部品供給管43の肉厚よりも小さく設定されているので、テーパ孔を形成することができる。また、部品供給管43の開口縁である端部内側縁部32の下側の離れた箇所にテーパ面47があって、フランジ3が何の突起物の影響を受けずに滑らかに下降できるようにしてある。
【0043】
図5(A)や(C)においては、停止面46が存在する前述の仮想平面に対するテーパ面47のテーパ角度θ1が小さい。すなわちテーパの傾斜角度が急角度となる。このように小さなテーパ角度θ1であると、
図5(A)に示すように、フランジ3の端部下面がテーパ面47にひっかかるとともに、球形頂部4が反対側の部品供給管43の内面にひっかかり、いわゆるドームナット1が傾斜して偶然このようなひっかかり現象が2箇所で発生すると、ナット1が橋渡し状になって、部品供給通路が閉塞された状態になる。このような現象は、ドームナット1の全高Hが入口管35の内径D2よりも大きい場合に発生する。
【0044】
このようなナット1による通路閉塞問題を解消するために、
図5(B)に示すような改良を行った。
【0045】
それは、前述のテーパ角度θ1を大きくしてθ2とし、a点からb点までの長さを長くした。このようにテーパ面47の傾斜角度が緩やかになっていることによって、フランジ3の端縁部がテーパ面47に接触しても、下方へ滑り落ちる状態になり、前述のような橋渡し状の停止姿勢にはならない。すなわち、断面円形のテーパ孔が形成され、そのテーパ角度を適正化して、ナット1のひっかかりが防止されている。
【0046】
図5(A)、(C)に示されているテーパ角度θ1は、50度であるために、橋渡し状の停止姿勢が発生するが、テーパ角度θ2を65度以上80度未満にすることによって、通路閉塞現象が解消した。10000個のナット1を本部品供給装置100で供給テストをした結果、テーパ角度θ2を65度以上80度未満とすることによって、通路閉塞現象はゼロであった。
【0047】
テーパ角θ2が65度未満であると、ナット1の通路閉塞現象が10000個中、3個発生した。これは、通路に鉄屑のような不純物か混入していることが原因とも考えられるが、角度不足によって
図5(A)のような現象が発生するものと判断される。また、テーパ角度θ2が80度以上であると、今度は、テーパ孔の内径がフランジ3の直径よりも遥かに大きくなるため、ナット1がテーパ孔を通過するときの安定性が損なわれる恐れがある。通常、ナット1の中心軸線と供給通路の中心軸線は、できるだけ一致状態にすることが円滑なナット移送において重要である。さらに、テーパ孔の長さが過長になって、加工工数が増大して経済的でない、という問題もある。
【0048】
テーパ面47の長さ、すなわちテーパ孔の長さL1は、ナット通過が確実になるという観点から、ナット1の全高Hとほぼ同じに設定するのが望ましい。
【0049】
図5に示されている部品供給管43と入口管35の接続部構造は、管部材の接続構造として、種々な製品分野で応用することができ、この接続構造部だけを単独の発明として存在させることができる。例えば、合成樹脂製部品供給管と部品噴射装置の金属製入口管の接続部分とか、合成樹脂製部品供給管と分岐状に突き出ている金属製入口管の接続部分など、種々な箇所に応用することができる。
図5に示されている構造によって、断面円形の棒状部材、フランジ付きのプロジェクションボルト、ドームナットなど、種々な部品を対象とすることができる。
【0050】
つぎに、保持ヘッドについて説明する。
【0051】
保持ヘッド48は、供給ロッド16の先端に取り付けられ、出口管36から出てきたナット1を受け止めて、可動電極11に供給する。
図3にしたがって説明する。四角い形状の本体49に、上方に開放した円筒状の受け筒50が一体化されている。受け筒50の内径は、フランジ3の外形よりもわずかに大きく設定され、受け筒50の深さは、ナット1の高さの半分くらいである。受け筒50の底面は平坦な平面とされ、フランジ3の外周部に設けた溶着用突起7を収容する環状の受け溝51が設けられ、その内側が円形の着座面52とされている。
【0052】
着座面52の下側に位置する本体49内に、永久磁石53が埋め込んである。
図3(B)に示すように、永久磁石53はほぼ120度間隔で3個配置してある。
【0053】
本体49の端部に、斜め上方に伸びている接合部材55が形成され、そこに供給ロッド16が結合してある。着座面52の中央部に空気噴射口56が開口し、空気噴射口56に連通する空気通路57が本体49と接合部材55に設けてある。供給ロッド16の中心部に空気通路58が形成され、前記空気通路57に連通している。
【0054】
空気通路58への空気供給構造は、
図4に示されている。ガイド管15中心軸線O2-O2方向に長孔59が形成され、供給ロッド16に差し込んだ接続管60が長孔59を貫通して外部に突き出ている。接続管60は連通孔61を経て空気通路58に連なっている。接続管60に合成樹脂製の柔軟な空気ホース62が接続され、供給ロッド16の進退に追従させるために、伸縮性のあるコイル部63が形成されている。コイル部63の他端は、空気ポンプなどの空気供給源に接続されている。なお、長孔59の長さは供給ロッド16の進退長さよりもわずかに長く設定してある。
【0055】
供給ロッド16が最も後退しているとき、出口管36の開口部と保持ヘッド48の受け筒50が同軸となるように、出口管36と受け筒50の相対位置が設定してある。
【0056】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。
【0057】
上述の各エアシリンダの進退動作や空気噴射などの動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0058】
つぎに、部品供給装置の動作を説明する。
【0059】
図1に示した状態は、エアシリンダ17の後退動作で供給ロッド16が最後退位置におかれているとともに、エアシリンダ19が縮小して、出口管36の開口部と保持ヘッド48の受け筒50が最接近して同軸となっている。また、停止通過ユニット24は、エアシリンダ37の動作でその開閉部材25のストッパ面30が入口孔33を閉じている。
【0060】
空気噴射管44から搬送空気が噴射されると、ナット1はフランジ3を先頭にして勢いよく部品供給管43を移動し、停止通過ユニット24のストッパ面30で一端停止とされる。ついで、エアシリンダ37の進出動作で通過孔31が所定位置に停止すると、入口孔33、通過孔31、出口孔34が連通し、入口管35、出口管36も連通する。この連通によりナット1は低速で落下し、保持ヘッド48の受け筒50内に入り込む。このようになったナット1は、フランジ下面に形成した着座平面9が着座面52に密着し、この密着は永久磁石53の吸引力で維持される。
【0061】
それから供給ロッド16がエアシリンダ17の動作で進出し、
図1(A)に示すように、ナット1と受入孔12が同軸になった位置で停止する。それから、エアシリンダ19の縮小動作でナット1のドーム部材5が受入孔12に進入すると、永久磁石10で吸引されてナット保持がなされる。その後、エアシリンダ19、エアシリンダ17の復帰動作が完了すると、可動電極11が進出してナット1の溶着用突起7が鋼板部品14に加圧され、溶接電流の通電によって、溶着が完了する。
【0062】
上記動作から明らかなように、ナット1は停止通過ユニット24から低速で保持ヘッド48内に落下するので、保持ヘッド48の底面に圧痕をつけたりするようなことがない。
【0063】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0064】
ガイド管15の下端部の上側に結合された支持部材41に一体化されている起立部材42は、ほぼ鉛直方向に起立しており、その上端部に停止通過ユニット24が取り付けてあるので、起立部材42の鉛直方向の長さを調節することにより、停止通過ユニット24の取り付け高さを適正化することができる。つまり、停止通過ユニット24の中心軸線O1-O1を水平方向に配置することができ、同時に、停止通過ユニット24が長尺化されていても、ガイド管15に干渉することがなく、まとまりの良い装置がえられる。
【0065】
すなわち、フランジ3の直径が大きくなって停止通過ユニット24の全体長さが長くなっても、停止通過ユニット24の進退軸線O1-O1が供給ロッド16の中心軸線O2-O2の上側を通過した状態になるので、部品供給装置100のまとまりがコンパクトなものとなる。
【0066】
さらに、パーツフィーダ40から伸びてきている部品供給管43が入口管35に接続される箇所の構造を改善することによって、ドームナット1が通路壁にひっかかるような現象を回避することができる。つまり、
図5(A)に示したような橋渡し状のひっかかりが防止される。
【0067】
図3(A)および(B)から明らかなように、着座平面9と着座面52は環状の領域が完全にぴったりと密着している。そして、この密着は永久磁石53の吸引力によって一層強化されている。したがって、保持ヘッド48に対するナット1の一体化状態は、非常に強固ものとなり、供給ロッド16が急速に始動して高速で進出し、さらに供給ロッド16が急停止しても、ナット1は保持ヘッド48にしっかりと保持されて、保持ヘッド48から慣性力などで転落することがなく、確実に可動電極11に供給される。
上述のように、本発明の装置によれば、停止通過ユニットの配置高さを適正化して、まとまりの良好な部品供給装置を構成するとともに、ドームナットの円滑な通過を行う。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。