(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064286
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】マクロファージの挙動調節用ナノらせん-基板複合体、その製造方法、及びそれを利用したマクロファージの付着及び分極化調節方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/02 20060101AFI20220418BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20220418BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20220418BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220418BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20220418BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61K47/02
A61K41/00
A61K35/15 Z
A61K9/14
A61K47/62
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138666
(22)【出願日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131888
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518107501
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145,Anam-ro,Seongbuk-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン-グン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】コ,ミン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ペ グンヒュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC14
4C076DD22
4C076EE41
4C076FF31
4C084AA11
4C084AA24
4C084MA43
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB11
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087MA43
4C087MA66
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体、この製造方法及び前記複合体を利用したマクロファージの付着及び分極化調節方法の提供。
【解決手段】マクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体は、基板、基板と化学結合されたナノらせん、及び前記ナノらせんと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノらせんは螺旋形のナノワイヤで構成され、一つ以上の金属元素を含み、前記ナノらせんは100nm~20μmの長さを有し、磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含むことを特徴とする。
[式1]|L1-L0|>10nm
式1中、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
マクロファージの付着及び分極化調節方法は、前記複合体への磁場の印加有無を制御することにより調節するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、基板と化学結合されたナノらせん、及び前記ナノらせんと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、
前記ナノらせんは螺旋形のナノワイヤで構成され、一つ以上の金属元素を含み、
前記ナノらせんは100nm~20μmの長さを有し、
前記ナノらせんは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含むことを特徴とするマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【請求項2】
前記金属元素はコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項3】
前記ナノワイヤは断面が円形のワイヤ形態で備えられ、直径は5nm~100nmであり、
前記ナノらせんの螺旋形外径の平均長さは50nm~200nmであることを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項4】
前記印加される磁場は100mT~7Tの大きさであることを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項5】
前記インテグリンリガンドペプチドは複数個が前記ナノらせんに互いに離隔されて結合され、互いに隣合うインテグリンリガンドの間の平均間隔は1~10nmであることを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項6】
磁場の印加時に、前記ナノらせんの互いに隣合う螺旋は離隔され、互いに隣合う螺旋の間のピッチ(pitch)は1nm~100nmであることを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項7】
前記インテグリンリガンドペプチドはチオール化されたインテグリンリガンドペプチドを含み、
前記インテグリンリガンドペプチドのチオール基と螺旋形のナノらせんのポリエチレングリコールリンカーによって結合された構造であることを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項8】
前記ナノらせんはカルボン酸塩が置換されて基板と結合された構造であることを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項9】
前記基板はナノらせんが結合されない基板の表面が非活性化されたことを特徴とする請求項1に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体。
【請求項10】
一つ以上の金属元素を含む溶液を電着してナノらせんを用意するステップと、
前記ナノらせんと第1懸濁液とを混合してナノらせんにカルボン酸塩置換基を置換するステップと、
カルボン酸塩が置換されたナノらせんを含む溶液に表面が活性化された基板を担持してナノらせんが結合された基板を製造するステップと、
ナノらせんが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持してナノらせんの末端にリンカーを結合するステップと、
インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノらせんが結合された基板を混合してナノらせんにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップと、を含むことを特徴とするマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法。
【請求項11】
ナノらせんを用意するステップで金属元素を含む溶液はコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つ以上の金属元素を含むことを特徴とする請求項10に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法。
【請求項12】
カルボン酸塩置換基を置換するステップで、前記第1懸濁液はカルボン酸塩置換基を含むアミノ酸誘導体を含み、
前記アミノ酸誘導体がナノらせんの表面に結合することを特徴とする請求項10に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法。
【請求項13】
インテグリンリガンドペプチドを結合するステップで、前記第2懸濁液はチオール化されたインテグリンリガンドペプチドを含むことを特徴とする請求項11に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法。
【請求項14】
ナノらせんが結合された基板を製造するステップは、基板を酸性溶液の中に浸漬させて基板の表面を活性化させた後表面が活性化された基板をアミノシラン溶液の中に担持して表面をアミン化させた基板を用いることを特徴とする請求項11に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法。
【請求項15】
ナノらせんにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップ以後にポリエチレングリコール誘導体を含む溶液にナノらせんが結合された基板を担持してナノらせんが結合されない基板の表面を非活性化させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法。
【請求項16】
請求項1~9の中の何れか一項によるマクロファージの細胞付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体に培養液を処理した後20mT~7Tの磁場を印加してマクロファージの細胞付着及び分極化を調節するステップを含み、
前記ナノらせんは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含むことを特徴とするマクロファージの付着及び分極化調節方法:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【請求項17】
マクロファージの付着及び分極化を調節するステップはナノらせん-基板複合体に磁場の印加有無によって可逆的にナノらせんの長さを変化させて生体内または生体外のマクロファージの付着及び分極化を調節する請求項16に記載のマクロファージの付着及び分極化調節方法。
【請求項18】
マクロファージの付着及び分極化を調節するステップは、ナノらせん-基板複合体に磁場を印加しない場合、炎症性(M1)表現型を促進することを特徴とする請求項16に記載のマクロファージの付着及び分極化調節方法。
【請求項19】
マクロファージの付着及び分極化を調節するステップは、ナノらせん-基板複合体に磁場を印加する場合、再生性及び抗炎症性(M2)表現型を促進することを特徴とする請求項16に記載のマクロファージの付着及び分極化調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマクロファージの付着及び分極化調節のためのナノらせん-基板複合体、その製造方法及び前記ナノらせん-基板複合体を利用したマクロファージの付着及び分極化調節方法に関し、具体的には、前記ナノらせん-基板複合体に磁場印加有無によってマクロファージの細胞付着及び分極化を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マクロファージは先天免疫を担当する主な細胞である。体全体に定着性で存在するのが大部分であるが、一部は血液内で単球の形態で存在する。この単球は樹状細胞やマクロファージに分化することができる。大部分のマクロファージは定着性で、代表的に塵埃細胞、ミクログリア細胞、クッパー細胞、ランゲルハンス細胞などがあり、これらは全身に分布されて、抗原が侵入すれば摂食するか毒素を分泌して破壊、抗原を取り除き、リンパ球に抗原を伝達、免疫反応を引き起こす。血中の単球は敵が傷に侵入すれば好中球とともに血管の外に出てマクロファージに分化されて、バクテリアを除去する。また、マクロファージは体内のあちこちを移動して食作用をする自由型(Free form)と指定された臓器に固定されて食作用をする固着型(Fixed form)に分けられる。固着型マクロファージは肝のクッパー細胞(Kupffer cell)、肺胞のマクロファージ、結合組織の構造(Histiocyte)、脳のミクログリア細胞(Microglia)などがある。
【0003】
このように、マクロファージの再生及び抗炎症効果を効率的に制御するための方法として生体内でリガンドの提示を通じた技術が利用されている。しかしながら、従来のマイクロ規模のインテグリンリガンドペプチド(RGD)着脱(uncaging)が宿主マクロファージの付着を調節するが、マクロファージの機能的表現型分極の調整はしないという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人はナノバーコードリガンドの周期性及び配列順を制御してマクロファージの付着及び分極化を制御する技術を開発及び出願したことがある。
【0005】
以下、本願出願人は既に出願したマクロファージ付着及び分極化技術に比べてさらに向上され、生体親和的技術を提供することができる技術を提案する。特にリガンドを予め設計して挿入する方式ではなく、注入後外部刺激を利用して細胞の特性をリアルタイムに変化させることができる技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許10-1916588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、リガンドがコーティングされたナノらせんを含む基板を提供し、リガンドがコーティングされたナノらせんに磁場を印加することを制御してマクロファージの付着及び分極化を調節する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板、基板と化学結合されたナノらせん、及び前記ナノらせんと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノらせんは螺旋形のナノワイヤで構成され、一つ以上の金属元素を含み、前記ナノらせんは100nm~20μmの長さを有し、前記ナノらせんは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含むマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体を提供する。
【0009】
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【0010】
また、本発明は二つ以上の金属元素を含む溶液を電着してナノらせんを用意するステップと、前記ナノらせんと第1懸濁液とを混合してナノらせんにカルボン酸塩置換基を置換するステップと、カルボン酸塩が置換されたナノらせんを含む溶液に表面が活性化された基板を担持してナノらせんが結合された基板を製造するステップと、ナノらせんが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持してナノらせんの末端にリンカーを結合するステップと、インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノらせんが結合された基板を混合してナノらせんにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップと、を含むマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は前述したマクロファージの細胞付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体に培養液を処理した後、20mT~7Tの磁場を印加してマクロファージの細胞付着及び分極化を調節するステップを含み、前記ナノらせんは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含むマクロファージの付着及び分極化調節方法を提供する:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体は、インテグリンリガンドペプチドがコーティングされたナノらせんに磁場の印加有無を制御することにより可逆的な制御が可能であり、生体内及び生体外でのマクロファージの付着及び表現型分極化を効率的に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例によるマクロファージの細胞付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体及びこれを利用したマクロファージの付着及び分極化調節方法を示した模式図である。
【
図2】本発明によるナノらせんの走査電子顕微鏡イメージである。
【
図3】本発明によるナノらせんの高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)イメージ、エネルギー分散型X線分光法マッピング(EDS Mapping)、走査電子顕微鏡(SEM)イメージ及び高分解能走査透過電子顕微鏡(HR-STEM)イメージを示し、HAADF-STEMとEDSのスケールバーは250nm、SEMのスケールバーは1μmであり、HR-STEMのスケールバーは4Åを表す。
【
図4】本発明によるナノらせんの(a)エネルギー分散型X線分光法(EDS)及び(b)電子エネルギー損失分光法(EELS)で分析した結果グラフである。
【
図5】本発明によるナノらせんの振動試料型磁力計測定結果グラフである。
【
図6】本発明によるナノらせんのX線回折分析グラフである。
【
図7】本発明によるナノらせんの高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)イメージであり、左側スケールバーは300nm、右側スケールバーは2nmである。
【
図8】本発明によるナノらせん-基板複合体を製造するステップを図式化したイメージである。
【
図9】本発明によるナノらせん-基板複合体のフーリエ変換赤外線分光(FT-IR)分析結果である。
【
図10】本発明によるナノらせんを対象として原子間力顕微鏡(AFM)で撮影したイメージであり、スケールバーは500nmを表す。
【
図11】本発明によるナノらせんを対象として原子間力顕微鏡(AFM)で撮影したイメージである。
【
図12】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して培養されたマクロファージ(24時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞密度、細胞面積、細胞伸長因子を示したグラフ(b)であり、スケールバーは20μmを表す。
【
図13】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して培養されたマクロファージ(24時間後)の生きている細胞と死んだ細胞に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞生存能力を示したグラフ(b)であり、スケールバーは50μmを表す。
【
図14】本発明の比較例によるナノらせんのない基板(No nanohelix)またはインテグリンリガンド(RGD)が結合されないナノらせん-基板複合体で二重モードスイッチング(bimodal switching)に対するマクロファージの付着性実験結果である。
【
図15】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して12時間の間隔で磁場印加を調節して36時間の間培養されたマクロファージのF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージで、この時、スケールバーは20μmを表す。
【
図16】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して磁場印加によってマクロファージの付着-依存的表現型分極が調節されるかに対する実験結果を示したのであり、スケールバーは20μmを表す。
【
図17】本発明のナノらせん-基板複合体を利用して分極表現型とマッチングされた刺激培地がない時(即ち、M2-刺激培地でM1発現またはM1-刺激培地でM2発現)の磁場印加に対する実験結果である。
【
図18】36時間の間磁場を印加した伸長(「ON」)及び磁場を印加しない収縮(「OFF」)の二重モードスイッチング下でM1またはM2培地でマクロファージを培養した後ROCK2及び核の共焦点免疫蛍光イメージ(a)及び共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算したROCK2免疫蛍光強度を表したグラフであり、スケールバーは20μmを表す。
【
図19】本発明の一実施例によるナノらせん-基板複合体を利用して実験したもので、(a)はROCK(Y27632)、ミオシンII(ブレビスタチン)またはアクチン重合(サイトカラシンD)に対する抑制剤の存在及び不在のM1分極培地で36時間の間培養した後CD68、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージと共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞面積、細胞伸長因子及びCD68蛍光強度を表したグラフであり、(b)はROCK(Y27632)、ミオシンII(ブレビスタチン)またはアクチン重合(サイトカラシンD)に対する抑制剤の存在及び不在のM2分極培地で培養した後Arg-1及びF-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージであり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞面積、細胞伸長因子及びArg-1蛍光強度を表したグラフである。
【
図20】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用した生体内宿主マクロファージ付着及び表現型調節に対する実験結果である。
【
図21】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用した生体内宿主マクロファージ付着及び表現型調節に対する実験結果である。
【
図22】本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して基板に対する宿主好中球の生体内付着実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をより具体的に説明するために、本発明による好ましい実施例を添付図面を参照してより詳しく説明する。しかしながら、本発明はここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。
【0015】
本発明は、基板、基板と化学結合されたナノらせん、及び前記ナノらせんと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノらせんは螺旋形のナノワイヤで備えられ、一つ以上の金属元素を含み、前記ナノらせんは100nm~20μmの長さを有し、前記ナノらせんは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含むマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体を提供する:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【0016】
図1は本発明によるマクロファージの細胞付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体及びこれを利用したマクロファージの細胞付着及び分極化調節方法を示した模式図である。
【0017】
図1によれば、本発明のナノらせん-基板複合体は、基板、基板と化学結合されたナノらせん、及び前記ナノらせんと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノらせんは螺旋形のナノワイヤで備えられ、前記ナノワイヤはコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つ以上の金属元素を含むことが分かる。
【0018】
具体的には、前記ナノらせんは式1を充足する螺旋形ナノワイヤで備えられることができる:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【0019】
前記式1で、磁場が印加されないナノらせんの長さは100nm~20μm、500nm~4μmまたは1μm~3μmであってもよい。
【0020】
前記のように、磁場を印加する時、ナノらせんが伸長(stretching)されて長さが長くなると、生体内でマクロファージの付着及びM2分極を促進させることができる。ただ、磁場が除去される場合ナノらせんが収縮して既存のナノらせんの長さに戻る。
【0021】
具体的には、前記式1で磁場の印加有無によるナノらせんの長さ変化は10nm以上、20nm以上、10nm~500nmまたは10nm~100nmであってもよい。
【0022】
本発明のナノらせん-基板複合体でナノらせんの長さ変化が前記式1を充足しない場合、前記ナノらせんの長さ変化が小さくて細胞付着能の差を見せなくて問題になる。
【0023】
前記ナノらせんの螺旋形外径の平均長さは50nm~200nmまたは100nm~200nmであってもよい。ナノらせんの螺旋形外径が100nm未満の場合、ナノらせんが小さすぎてインテグリンリガンドペプチドが所定の間隔を隔てて結合しにくくなり、外径が200nmを超える場合、基板上にナノらせんが占める領域が広くなって基板で適切な密度で分布しにくいという問題がある。
【0024】
前記ナノらせんはナノワイヤからなり、前記ナノワイヤはコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つまたは二つ以上の金属元素を含むことができ、前記ナノワイヤは断面が円形のワイヤ形態で備えられ、直径は5nm~100nm、20nm~90nmまたは60nm~90nmであってもよい。前記のようなワイヤの直径を充足しない場合、ナノらせんの伸長及び収縮が円滑に現れないないことがある。
【0025】
前記ナノらせん内に結合されたインテグリンリガンドペプチドはチオール化されたインテグリンリガンドペプチドであってもよく、前記インテグリンリガンドペプチドは複数個が前記ナノらせんに互いに離隔されて結合され、互いに隣合うインテグリンリガンドの間の平均間隔は1nm~10nmであってもよい。互いに隣合うインテグリンリガンドペプチドの間の平均間隔が1nm未満の場合、磁場を印加した場合にもマクロファージの付着及び分極化を活性化しにくく、10nmを超える場合、磁場を印加しない場合にもマクロファージの付着及び分極化を活性化して磁場を利用した可逆的制御をしにくいという問題が発生する。
【0026】
前記ナノらせんで磁場を印加する時、前記ナノらせんの互いに隣合う螺旋は離隔され、互いに隣合うらせんの間のピッチ(pitch)は1nm~100nm、1nm~50nmまたは5nm~30nmであってもよい。これは磁場の印加時にナノらせんが伸長(stretching)しながらピッチ間隔が増加したのである。それによってインテグリンリガンドペプチドの間隔も増加する。
【0027】
前記インテグリンリガンドペプチドはチオール化されたインテグリンリガンドペプチドで、インテグリンリガンドペプチドのチオール基と螺旋形のナノらせんのポリエチレングリコールリンカーによって結合されることができる。前記ポリエチレングリコールリンカーはマレイミド-ポリエチレングリコール-NHSエステル(Mal-PEG-NHS ester)であってもよい。前記のようなリンカーを含んでナノらせんとインテグリンリガンドペプチドとの間の結合力を高めて耐久性を向上させることができる。
【0028】
前記ナノらせんはカルボン酸塩が置換された構造であってもよい。前記カルボン酸塩置換基はアミノ酸誘導体、具体的にはアミノカプロン酸であってもよい。前記のように、ナノらせんがカルボン酸塩が置換された構造を有することにより、基板及びインテグリンリガンドペプチドとの結合力を高めることができる。
【0029】
前記基板は表面がアミン化された基板で、アミノシラン溶液に担持されて表面が活性化された基板であってもよく、前記基板の表面にあるアミノ基とナノらせんのカルボキシル基がEDC/NHS反応を通じて結合された構造であってもよい。
【0030】
また、前記基板はナノらせんが結合されない基板の表面が非活性化されたものであってもよい。
【0031】
また、本発明は一つ以上の金属元素を含む溶液を電着してナノらせんを用意するステップと、前記ナノらせんと第1懸濁液とを混合してナノらせんにカルボン酸塩置換基を置換するステップと、カルボン酸塩基が置換されたナノらせんを含む溶液に表面が活性化された基板を担持してナノらせんが結合された基板を製造するステップと、ナノらせんが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持してナノらせんの末端にリンカーを結合するステップと、インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノらせんが結合された基板を混合してナノらせんにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップと、を含むマクロファージの付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体の製造方法を提供する。
【0032】
前記ナノらせんを用意するステップで金属元素を含む溶液はコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つまたは二つ以上の金属元素を含むことができる。
【0033】
前記ナノらせんを用意するステップは、ナノ気孔を有し、一面に作用電極を有するナノテンプレート(nano template)を用意するステップと、アスコルビン酸(Ascorbic acid;C6H8O6)、オキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・xH2O)及び蒸着しようとする金属を含む金属前駆体溶液を含む第1金属前駆体混合液を用意するステップと、前記第1金属前駆体混合液に硝酸(Nitric acid;HNO3)を混合して第2金属前駆体混合液を用意するステップと、前記第2金属前駆体混合液に前記ナノテンプレートを浸漬し、前記第2金属前駆体混合液に挿入された対電極(counter electrode)と前記作用電極との間に電流を印加して電気メッキ方式で前記ナノ気孔に金属ナノらせんを蒸着させるステップと、前記金属ナノらせんが蒸着されたナノテンプレートで前記作用電極及び前記ナノテンプレートを選択的に除去するステップと、を含む。
【0034】
前記ナノテンプレートとしては陽極酸化アルミニウム(Anodic Aluminum Oxide、AAO)ナノテンプレート、無機材料(Inorganic)ナノテンプレートまたは高分子ナノテンプレートを用いる。ここでは、陽極酸化アルミニウムナノテンプレートを用いる場合を図示する。陽極酸化アルミニウムをナノテンプレートポア(Pore)の直径によってナノワイヤーの大きさが決まり、ナノワイヤーの形成時間及び速度によってナノワイヤーの長さが決まる。
【0035】
前記ナノ気孔の平均直径は5nm ~500nm、50nm~200nmまたは100nm~200nmであってもよい。
【0036】
前記金属前駆体溶液は硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO4・7H2O)及び硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4・7H2O)の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0037】
硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO4・7H2O)の濃度は30mM~100mMで、オキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・xH2O)の濃度は30mM~100mMで、鉄硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4・7H2O)の濃度は30mM~100mMで、アスコルビン酸(Ascorbic acid;C6H8O6)の濃度は20mM~50mMであってもよい。
【0038】
前記第2金属前駆体混合液のpHは1.5~2.5であってもよい。
【0039】
前記ナノテンプレートを前記第2金属前駆体混合液に浸漬し、前記第2金属前駆体混合液を収納するメッキ槽(plating bath)を減圧するステップをさらに含むことができる。前記メッキ槽の圧力は100Torr~700Torrであってもよい。
【0040】
電気メッキ時に前記作用電極に流れる電流密度は0.1~300mA/cm2で、電気メッキ時間は1分~48時間であってもよい。
【0041】
電子ビーム蒸着法(Electron Beam Evaporation)で陽極酸化アルミニウムナノテンプレートの底面に厚さ250nmの銀(Ag)電極層を形成する。この電極層は電着時に陰極の役割を果たす。ここで、電極層として他の金属または他の伝導性物質層を用いることができる。
【0042】
前記カルボン酸塩置換基を置換するステップは、前記ナノらせんと第1懸濁液を混合して8~20時間または10~15時間反応させて実施することができる。前記第1懸濁液はカルボン酸塩置換基を含むアミノ酸誘導体を含むことができ、具体的には、前記アミノ酸誘導体はアミノカプロン酸であってもよい。前記のような第1懸濁液と反応させて前記アミノ酸誘導体がナノらせんの表面に結合することができる。
【0043】
前記ナノらせんが結合された基板を製造するステップは、カルボン酸塩が置換されたナノらせんを含む溶液に表面が活性化された基板を担持して実施することができる。
【0044】
前記表面が活性化された基板は塩酸及び硫酸の中の何れか一つ以上を含む酸性溶液に30分~2時間または30分~1時間浸漬させて製造することができる。これを通じて、前記基板の表面に水酸化基を結合させてアミノ基との結合を容易にして基板の表面活性化を効果的に行うことができる。
【0045】
前記ナノらせんが結合された基板を製造するステップは、前記表面が活性化された基板を暗条件下でアミノ-シラン溶液に基板を担持して基板の表面をアミン化させることができる。前記アミノ-シラン溶液は(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)を含むことができる。この時、基板の表面をアミン化させるとは基板の上にアミン基を結合させたという意味である。前記のように、アミノ-シラン溶液に浸漬して基板の表面をアミン化させることにより前記ナノらせんとEDC/NHS反応を通じて結合することができる。
【0046】
前記ナノらせんの末端にリンカーを結合するステップは、ナノらせんが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持して実施することができる。前記ポリエチレングリコールリンカーはマレイミド-ポリエチレングリコール-NHSエステル(Mal-PEG-NHS ester)であってもよい。前記のようなリンカーを含んでナノらせんとインテグリンリガンドペプチドとの間の結合力を高めて耐久性を向上させることができる。
【0047】
前記ナノらせんにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップは、インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノらせんが結合された基板を混合して実施することができる。前記第2懸濁液はチオール化されたインテグリンリガンドペプチドを含むことができる。
【0048】
前記ナノらせんにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップ以後にポリエチレングリコール誘導体を含む溶液にナノらせんが結合された基板を担持してナノらせんが結合されない基板の表面を非活性化させるステップをさらに含むことができる。前記ポリエチレングリコール誘導体はメトキシ-ポリ(エチレングリコール)-スクシンイミジルカルボキシメチルエステルであってもよい。
【0049】
また、本発明は前述したマクロファージの細胞付着及び分極化調節用ナノらせん-基板複合体に処理した後、20mT~7Tの磁場を印加してマクロファージの細胞付着及び分極化を調節するステップを含み、前記ナノらせんは磁場の印加有無によって可逆的に長さが変化し、下記式1を充足することを特徴とするマクロファージの付着及び分極化調節方法を提供する:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノらせんの長さである。
【0050】
前記マクロファージの細胞付着及び分極化を調節するステップは、ナノらせん-基板複合体に磁場の印加有無によって可逆的にナノらせんの長さを変化させて生体内及び生体外のマクロファージの付着及び分極化を調節することができる。
【0051】
具体的には、マクロファージの付着及び分極化を調節するステップは、ナノらせん-基板複合体に磁場を印加しない場合ナノらせんが収縮し、ナノらせんのピッチの間隔が減小して炎症性(M1)表現型を促進することができる。
【0052】
また、マクロファージの付着及び分極化を調節するステップは、ナノらせん-基板複合体に磁場を印加する場合ナノらせんが伸長し、ナノらせんのピッチの間隔が増加して再生性及び抗炎症性(M2)表現型を促進することができる。
【0053】
例えば、ナノらせん-基板複合体に磁場を印加してから磁場を除去する場合、ナノらせんの長さが伸長及び収縮が可逆的に発生する。
【0054】
これを通じて、本発明によるナノらせん-基板複合体を利用したマクロファージの細胞付着及び分極化調節は時間的及び可逆的に調節することができる。
【0055】
具体的には、前記式1で磁場の印加有無によるナノらせんの長さ変化は10nm以上、20nm以上、10nm~500nmまたは10nm~100nmであってもよい。
【0056】
本発明のナノらせん-基板複合体でナノらせんの長さ変化が前記式1を充足しない場合、前記ナノらせんの長さ変化が少なくて細胞付着能の差を見せなくて問題になる。
【0057】
以下、本発明の実施例を記載する。しかし、以下の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明の権利範囲が以下の実施例によって限定されるのではない。
【0058】
[製造例]
製造例
ナノらせんの製造
気孔直径が200nmの陽極酸化アルミニウム(AAO)の多孔性テンプレートを用いて電着して製造した。まず、陽極酸化アルミニウム多孔性テンプレートの片面に電子ビーム蒸発器を用いて銀(Ag)を蒸着した。金属イオン前駆体溶液で硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O、0.08M)と硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O、0.08M)を脱イオン水に混合して用意した。CoFeナノらせんを生産するためにオキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・xH2O)とL-アスコルビン酸(0.06M)を前記金属イオン前駆体溶液に添加した。その後、硝酸を前駆体溶液に添加してpH2.5に調整した後、陽極酸化アルミニウムテンプレートの気孔に注入し、20mA/cm2の所定の電流密度を1分間印加してCoFeナノらせんを蒸着した。CoFeナノらせんが蒸着されたナノテンプレートを1MのNaOHで45℃で30分間反応させてナノテンプレートを除去した後脱イオン水で洗浄してCoFeナノらせんを製造した。洗浄されたCoFeナノらせんは基板に結合する前に1mLの脱イオン水に懸濁した。
【0059】
比較制造例
陰性荷電されたチオール化されたRGDペプチド(CDDRGD、GL Biochem)を添加しないことを除いて製造例1と同じ方法でナノらせんを製造した。
【0060】
[実施例]
実施例
ナノらせん-基板複合体製造
アミノカプロン酸(aminocaproic acid)は製造例で製造したナノらせんの天然酸化物層と反応するものと知られたアミングループに基づいて磁気CoFeナノらせんの表面にカップリングするのに使われた。1mLのナノらせんと1mLの6mMアミノカプロン酸溶液の混合溶液を室温で12時間撹拌した後、遠心分離して脱イオン水で洗浄した。22mm×22mmの平面の細胞培養グレード硝子基板をアミン化させてナノらせんの表面にカルボキシレート基が基板上のアミン基に結合されるようにする。まず、基板を塩酸及びメタノールを1:1で混合した混合物で30分間洗浄し、脱イオン水で洗浄した。洗浄された基板を硫酸で1時間活性化させて脱イオン水で洗浄した。基板を暗室で3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)及びエタノール(1:1)で1時間アミン化してエタノールで洗浄した後、100℃で1時間乾燥した。1mLの脱イオン水でアミノカプロン酸が結合されたナノらせんを0.5mLの20mMのN-エチル-N`-(3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(EDC)及び0.5mLの20mMのN-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinimide、NHS)を含む脱イオン水1mLで3時間EDC/NHS反応を通じて活性化させ、その後、脱イオン水で洗浄した。
【0061】
アミン化された基板を活性化されたナノらせんに1時間漬けた後脱イオン水で洗浄した。インテグリンリガンドはまず0.04mMのマレイミド-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステルリンカーと2μlのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、2μL)を含む1mLの脱イオン水で暗条件下で16時間振りながら培養してアミド結合を形成して基板の表面にグラフトされた後脱イオン水で洗浄した。チオール-エン反応を媒介するために前記基板をチオール化されたRGDペプチドリガンド(GCGYCFCDSPG、GLBiochem、0.04M)、2μLのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び10mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP)を含む脱イオン水1mLで暗条件下で2時間培養した後脱イオン水で洗浄した。細胞の培養前に非-RGDリガンド特異的マクロファージ付着を最小化するために、ナノらせんが結合されない領域を暗所で2μLのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び100μΜメトキシ-ポリ(エチレングリコール)-スクシンイミジルカルボキシメチルエステル(methoxy-poly(ethylene glycol)-succinimidyl carboxymethyl ester)を含む脱イオン水1mLで2時間反応させた後洗浄して基板の非-ナノらせんーコーティングされた領域を遮断した。
【0062】
比較例1
前記比較制造例1で製造したナノらせんを用いたことを除いて同じ方法でナノらせん-基板複合体を製造した。
【0063】
[実験例]
実験例1
本発明によるナノらせんの形態と化学的特性を確認するために、製造されたナノらせんを対象に走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)、高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)、高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)及び高分解能走査透過電子顕微鏡(HR-STEM)で撮影し、エネルギー分散型X線分光法(Energy dispersive X-ray spectroscopy、EDS)、電子エネルギー損失分光法(Electron energy loss spectroscopy、EELS)、振動試料型磁力計測定(Vibrating-sample magnetometry、VSM)及びX線回折分析(X-ray diffraction、XRD)を利用して分析し、その結果は
図2及び
図7に示した。
【0064】
図2は本発明によるナノらせんの走査電子顕微鏡イメージである。具体的には、(a)は電着テンプレートの気孔直径を調節して製造したCoFeナノらせんの走査電子顕微鏡イメージであり、(b)はコバルトナノらせんとCoFeナノらせんの走査電子顕微鏡イメージであり、(c)は電着時間によるCoFeナノらせんの長さを測定した走査電子顕微鏡イメージであり、この時、スケールバーは(a)500nm、(b)200nm、及び(c)1μmである。
【0065】
図2によれば、本発明によるナノらせんは電着テンプレートの気孔直径によってCoFeナノらせんの直径を調節することができ、金属イオン前駆体を調節することによってナノらせんの構成元素を調節することができ、電着時間によってCoFeナノらせんの長さを調節することができることが分かる。
【0066】
図3は本発明によるナノらせんの高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)イメージエネルギー分散型X線分光法マッピング(EDS mapping)及び高分解能走査透過電子顕微鏡(HR-STEM)イメージを示した。
【0067】
図4は本発明によるナノらせんの(a)エネルギー分散型X線分光法(EDS)及び(b)電子エネルギー損失分光法(EELS)で分析した結果グラフである。
【0068】
図3及び
図4によれば、HAADF-STEMイメージでナノらせんはコバルト(Co)及び鉄(Fe)からなり、それぞれ約50原子%の分布で均一に分布されたことを確認することができる。
【0069】
図5は本発明によるナノらせんの振動試料型磁力計測定結果グラフである。具体的には、コバルト及び鉄によるナノらせんの磁気特性を確認し、これを通じてナノらせんのナノ伸長(「ON」)及びナノ収縮(「OFF」)の可逆的な二重モード(bimodal)転換が可能であることが分かる。
【0070】
図6は本発明によるナノらせんのX線回折分析グラフであり、
図7は本発明によるナノらせんの高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)イメージである。
【0071】
図6及び
図7によれば、ナノらせんは体心立方構造の(110)結晶面を有することが分かり、平均格子間隔は約2.02±0.02Åであることが分かる。また、等方性インテグリンリガンドと結合を促進するためにナノらせんを成すナノワイヤの直径はインテグリン分子大きさの約10nmとほぼ類似することが分かる。
【0072】
実験例2
本発明によるナノらせん-基板複合体の特性を確認するために、ナノらせん-基板複合体を対象に電界放出走査電子顕微鏡で撮影し、フーリエ変換赤外線分光分析(Fourier-transform infrared spectroscopy、FT-IR)を実施し、原子間力顕微鏡(Atomic force microscope、AFM)で撮影し、その結果は
図8~
図11に示した。
【0073】
フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)はナノらせんの化学的結合特性を確認するために、FTIRはGX1(Perkin Elmer Spectrum、USA)を用いて行った。化学的結合特性の変化に対する分析を経たサンプルを分析する前に凍結乾燥させてKBrペレットに稠密にパッキングした。
【0074】
図8は本発明によるナノらせん-基板複合体を製造するステップを図式化したイメージである。
図8によれば、ナノらせんにアミノカプロン酸を結合させた。その後、EDC/NHS反応を利用してEDC及びNHSが含まれた水にアミノカプロン酸が結合されたナノらせんを入れて活性化させた後、表面がアミン化された基板と結合させた。基板が結合されないナノらせんに結合されたアミノカプリン酸にポリエチレングリコールを結合させた後チオール化されたインテグリンリガンド(RGD)と反応させてインテグリンリガンドをナノらせんに結合させた。
【0075】
図9は本発明によるナノらせん-基板複合体のフーリエ変換赤外線分光(FT-IR)分析した結果である。
図9によれば、アミノカプロン酸がコーティングされたナノらせんの化学的結合特性を分かることができる。具体的には、1560ー1565Cm
-1及び1387ー1389Cm
-1でCOO
-結合を確認した。これを通じて、ナノらせんにアミノカプロン酸が成功的に結合されたことが分かる。
【0076】
また、非リガンド特異的( non-ligand-specific)マクロファージの接着を最小化するために、ナノリガンドが結合されない基板はメトキシ-PEG-NHSエステルグループと結合して非活性化させ、
図3によれば、ナノらせんの均一な分布は走査電子顕微鏡を通じて確認することができ、密度は約62802±2385ナノらせん/mm
2であることが分かる。
【0077】
図10は本発明によるナノらせんの伸長(stretching、「ON」)及び収縮(compression、「OFF」)による弾性運動の磁気二重モードスイッチング(magnetic bimodal switching)を確認するために原子間力顕微鏡(AFM)で撮影した結果である。
図11は本発明によるナノらせんに磁場を印加しない場合を原子間力顕微鏡(AFM)で撮影した結果である。
【0078】
図10及び
図11によれば、本発明によるナノらせん-基板複合体は、磁場を印加すればナノらせんの伸長が発生してナノらせんの長さが長くなり、また磁場を印加しない場合、ナノらせんの収縮が発生してナノらせんの長さが元の状態に戻ることが分かる。しかし、ナノらせんの長さだけ長くなってから再び短くなるだけでナノらせんの外径やナノらせんを成すナノワイヤの直径は大きい差がないことを確認することができる。
【0079】
具体的には、磁場を印加する前のナノらせんの長さは1060±9nmであり、磁場を印加する時のナノらせんの長さは1243±25nmであり、また、磁場を印加しない場合、ナノらせんの長さは1052±9nmに減小することを確認することができる。この時、ナノらせんの外径は174nm~181nmに保持され、、ナノらせんを成すナノワイヤの直径は83~86nmに保持されて循環スイッチング
(OFF→ON→OFF)される間に大きな差がないことを確認することができる。
【0080】
これを通じて、本発明のナノらせん-基板複合体は二重モードスイッチングする間に巨視的なリガンド密度が一定に保持されることを分かることができる。
【0081】
実験例3
本発明によるナノらせん-基板複合体に磁場を印加することによってマクロファージの付着に及ぶ影響を確認するために以下のような実験を行い、その結果は
図12~
図15に示した。
【0082】
ナノらせんの二重モードスイッチング下でマクロファージの付着性及び表現型分極化を調節する効果を評価した。培養前に基板を紫外線下で2時間滅菌させた。RAW264.7(ATCC)の継代5(passage 5)からマクロファージを約9×104Cell/cm2の密度に滅菌された基板に播種(seeding)し、マクロファージを高いグルコースDMEM(high glucose DMEM)、10%熱-不活性化されたウシ胎児血清及び50IU/mLペニシリン/ストレプトマイシンを含む基礎培地で5%CO2下37℃で培養した。マクロファージの二重モードスイッチングで制御された付着力は「ON」状態(基板辺縁付近に270mT永久磁石配置、リガンド含有ナノらせんが基板辺縁側へ伸長)または「OFF」状態(磁石を取り除いて元のナノらせん構造に収縮する)の間の周期的転換を通じて評価した。マクロファージ付着を評価するための対照実験は二重モードスイッチング下で行ったが、ナノらせんまたはインテグリンリガンドのない状態で行った。
【0083】
マクロファージの表現型分極の評価に用いられるM1培地はそれぞれ10ng/mLのリポ多糖(lipopolysaccharide、LPS)及び組換インターフェロン-γ(recombinant interferon-gamma、IFN-γ)を有する基礎培地を用いて製造した。インターロイキン-4(IL-4)及びインターロイキン-13(IL-13)それぞれ20ng/mLを有する基礎培地を用いてM2培地を製造した。マクロファージの付着-補助M2表現型分極はROCK(50μM Y2763)、ミオシンII(10μM ブレビスタチン)またはアクチン重合(2μg/mLのサイトカラシンD)抑制剤で評価した。
【0084】
図12は本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して培養されたマクロファージ(24時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)で、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞密度、細胞面積、細胞伸長因子を示したグラフ(b)で、スケールバーは20μmを表す。
【0085】
図12によれば、共焦点免疫蛍光イメージはマクロファージが二重モードスイッチングで磁場を印加する「ON」モードで磁場を印加しない「OFF」と比べてかなり高い細胞付着密度とビンキュリン及びF-アクチン拡散領域を有するので、磁場の印加時にマクロファージの付着を促進したことを示した。
【0086】
これを通じて、巨視的なストレッチング媒介マクロファージ付着はマクロファージの接着を促進するためにナノ規模ストレッチングを発揮することができることを確認した。
【0087】
図13は本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して培養されたマクロファージ(24時間後)の生きている細胞と死んだ細胞に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)で、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞生存能力を示したグラフ(b)で、スケールバーは50μmを表す。
【0088】
図13によれば、磁場を印加する二重モードスイッチングにも細胞の生存能力が95%と優れており、マクロファージに対して細胞適合性が優れていることが分かる。
【0089】
図14は本発明の比較例によるナノらせんのない基板(No nanohelix)またはインテグリンリガンド(RGD)が結合しないナノらせん-基板複合体で二重モードスイッチング(bimodal switching)に対するマクロファージの付着性実験で、培養されたマクロファージ(24時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞密度、細胞面積、細胞伸長因子を示したグラフ(b)であり、この時、スケールバーは20μmを表す。
【0090】
図14によれば、比較例はナノらせんがないかインテグリンリガンド(RGD)が結合されない基板を用いた状態で二重モードスイッチング「ON」及び「OFF」で有意味な差がないので、マクロファージの付着を促進しないことを確認することができる。
【0091】
これを通じて、本発明のナノらせん-基板複合体の場合、インテグリンリガンドがナノらせんに結合されてこそ二重モードスイッチングが効果を表すことが分かる。
【0092】
図15は本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して12時間の間隔で磁場印加を調節して36時間培養されたマクロファージのF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージであり、この時、スケールバーは20μmを表す。
【0093】
図15によれば、磁場を印加しない場合には細胞付着に変化がなく、磁場を印加する場合には細胞付着が促進され、再び磁場を印加しない場合には可逆的に細胞付着が減少することが分かる。
【0094】
これを通じて、本発明のナノらせん-基板複合体はナノらせんの伸長及び収縮を時間的及び可逆的方式でマクロファージの付着を促進して抑制することが分かる。
【0095】
実験例4
本発明によるナノらせん-基板複合体を利用してマクロファージの表現型分極媒介付着を制御するかに対する実験を以下のように行い、その結果は
図16~22に示した。
【0096】
マクロファージの付着構造はM1またはM2分極刺激剤の存在下でこれらの表現型分極を調節することと知られている。特に、長い形態の一般的なF-アクチン及びビンキュリンのアセンブリーを含んで強力な付着構造を表すマクロファージはこれらの表現型分極を再生性/抗炎症性M2状態に活性化させる傾向がある。反対に、低いF-アクチン及び丸い形態を表すマクロファージはM1状態を活性化させる傾向がある。
【0097】
図16は本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して磁場印加によってマクロファージの付着-依存的表現型分極が調節されるかに対する実験結果を示した。
【0098】
図16によれば、共焦点免疫蛍光イメージはマクロファージが漸進的にM1-誘導培地で磁場を印加するほど弱いCD68蛍光信号を表したが、M2-誘導培地では磁場を印加するほどより強いArg-1蛍光信号を表した。また、遺伝子発現プロファイルは免疫蛍光で観察された傾向を確認することができる。マクロファージはM1-誘導培地で磁場を印加するほどよほど低いiNOS及びTNF-α発現を見せたが、M2-誘導培地で磁場を印加するほど高いArg-1及びYm1発現を見せた。
【0099】
これを通じて、マクロファージ付着を調節するナノらせんの磁場印加による二重モードスイッチングがマクロファージの付着性に依存する分極を調節することができることが分かる。
【0100】
図17は本発明のナノらせん-基板複合体を利用して分極表現型とマッチングされた刺激培地がない時(即ち、M2-刺激培地でM1発現またはM1-刺激培地でM2発現)の磁場印加の調節に対する実験結果である。
【0101】
図17によれば、分極表現型とマッチングされた刺激培地の不在下で(即ち、M2-刺激培地でM1発現またはM1-刺激培地でM2発現)磁場の印加有無を調節することはiNOS、TNF-α、Arg-1及びYm1発現で有意味な差を表していないことを発見した。
【0102】
これを通じて、M1及びM2刺激がそれぞれ適切な刺激なしにM1またはM2発現の変化に影響を及ぼさないことを分かることができる。
【0103】
図18は磁場を36時間印加した伸長(「ON」)及び磁場を印加しない収縮(「OFF」)の二重モードスイッチング下でM1またはM2培地でマクロファージを培養した後、ROCK2及び核の共焦点免疫蛍光イメージ(a)及び共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算したROCK2免疫蛍光強度を表したグラフであり、スケールバーは20μmを表す。
【0104】
図18によれば、磁場を印加することがM2培地の培養下で磁場を印加しないことに比べてROCK2発現を増加させることを確認することができる。これを通じて、磁場を印加した伸長(「ON」)条件によってマクロファージの付着依存性M2分極化を媒介することが分かる。
【0105】
図19の(a)はROCK(Y27632)、ミオシンII(ブレビスタチン)またはアクチン重合(サイトカラシンD)に対する抑制剤の存在及び不在のM1分極培地で36時間培養した後CD68、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージと共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞面積、細胞伸長因子及びCD68蛍光強度を表したグラフであり、
図19の(b)はROCK(Y27632)、ミオシンII(ブレビスタチン)またはアクチン重合(サイトカラシンD)に対する抑制剤の存在及び不在のM2分極培地で培養した後Arg-1及びF-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージで、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞面積、細胞伸長因子及びArg-1蛍光強度を表したグラフであり、スケールバーは20μmを表す。
【0106】
図19によれば、ROCK、ミオシンIIまたはアクチン重合を抑制する薬理学的阻害剤(それぞれY27632、ブレビスタチンまたはサイトカラシンD)を用いてM1培地の培養下で二重モードスイッチング「ON」下でマクロファージのM1分極化抑制が持続的に妨害されたことを確認することができる。また、M2培地の培養下では前記阻害剤を処理する時強力な付着(より高い細胞面積及び伸長因子)とM2分極の発現(Arg-1発現)の刺激が妨害されたことを確認することができる。
【0107】
これを通じて、ROCK、ミオシンII及びF-アクチンがインテグリンリガンド含有ナノらせんの磁気二重モードスイッチング(磁場の印加有無)とともにM1対M2分極の調節で分子スィッチで作動することが分かる。
【0108】
実験例5
本発明によるナノらせん提示基板を利用して磁場印加によるナノらせんの伸長及び収縮に対して生体内宿主マクロファージの付着及び表現型を空間的に調節することを確認するために以下のような実験を行い、その結果は
図20~
図22に示した。
【0109】
図20は本発明によるナノらせん-基板複合体を利用した生体内宿主マクロファージの付着及び表現型調節に対する実験結果である:(a)は生体内のナノらせん-基板複合体に磁場印加を示した概略的な模式図で、イントルキン-4及びイントルキンー13(M2誘導剤)を全部生体内に皮下移植された基板上に注射した。(b)はナノらせんの伸長(「ON」)及び収縮(「OFF」)の二重モードスイッチング下で24時間後に基板に付着されたiNOS、F-アクチン及び宿主マクロファージの核に対する共焦点免疫蛍光イメージ及びこれを定量化したグラフであり、スケールバーは20μmを表す。(c)はナノらせんの伸長(「ON」)及び収縮(「OFF」)の二重モードスイッチング下で24時間後に基板に付着されたM1表現型マーカー(iNOS及びTNF-α)の生体内付着性宿主細胞の定量分析結果グラフである。
【0110】
図21の(a)はナノらせんの伸長(「ON」)及び収縮(「OFF」)の二重モードスイッチング下で24時間後に基板に付着されたArg-1、F-アクチン及び宿主マクロファージの核に対する共焦点免疫蛍光イメージであり、スケールバーは20μmを表す。(b)はナノらせんの伸長(「ON」)及び収縮(「OFF」)の二重モードスイッチング下で24時間後に基板に付着されたM2表現型マーカー(Arg-1及びYm1)の生体内付着性宿主細胞の定量分析結果グラフである。
【0111】
図22は本発明によるナノらせん-基板複合体を利用して基板に対する宿主好中球の生体内付着実験結果である。(a)は24時間後に基板に付着されたNIMP-R14、F-アクチン及び宿主細胞の核に対する共焦点免疫蛍光イメージであり、スケールバーは20μmである。(b)は生体内付着性NIMP-R14-陽性宿主好中球の定量データでイントルキン-4及びイントルキン-13が全部ナノらせんが結合された皮下移植された基板上に注入された。
【0112】
図20~
図22によれば、二重モードスイッチングで磁場を印加する伸長(「ON」)は磁場を印加しない収縮(「OFF」)に比べてかなり高い付着性細胞密度、F-アクチン拡散領域、より明らかな伸長、低いiNOS及びTNF-α発現で宿主マクロファージのM1分極を抑制する時間調節付着を促進することを確認することができる。また、二重モードスイッチングで磁場を印加する伸長(「ON」)は堅固な付着構造と磁場を印加しない収縮(「OFF」)に比べて付着性NIMP-R14陽性好中球に関連するよほど高いArg-1及びYm1発現を有する宿主マクロファージの付着媒介M2分極を一時的に刺激することを確認することができる。