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特開2022-64326レスパイトツーリズム支援システムおよびレスパイトツーリズム支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064326
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】レスパイトツーリズム支援システムおよびレスパイトツーリズム支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20220418BHJP
   G06Q 50/14 20120101ALI20220418BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20220418BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/14
G16Y10/60
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167971
(22)【出願日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2020172368
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520398216
【氏名又は名称】一般社団法人日本のぞみ葬協会
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 正一
(72)【発明者】
【氏名】内野 智子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC26
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】
本発明は、レスパイトツーリズム支援にかかる新規な技術を提供することを、解決すべ
き課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決するため、本発明は、レスパイトツーリズム支援システムであって、予約手段と、企画手段と、移動手段と、を有し、前記予約手段は、少なくとも要介護レベルを示す要介護者情報を受け付け、前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた前記要介護者情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様を充足する前記移動手段及び/又は前記移動手段のオプションを提示し、提示内容に対する指定に基づいて前記移動手段を決定し、前記移動手段は、要介護者が乗車可能なキャンピングカーである、レスパイトツーリズム支援システム。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レスパイトツーリズム支援システムであって、
予約手段と、企画手段と、移動手段と、を有し、
前記予約手段は、少なくとも要介護レベルを示す要介護者情報を受け付け、
前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた前記要介護者情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様を充足する前記移動手段及び/又は前記移動手段のオプションを提示し、提示内容に対する指定に基づいて前記移動手段を決定し、
前記移動手段は、要介護者が乗車可能なキャンピングカーである、
レスパイトツーリズム支援システム。
【請求項2】
前記予約手段は、前記要介護者が罹患している疾患に関する情報である疾患情報を受け付け、
前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた要介護レベル及び疾患情報に基づき看護のオプション及びツーリング先を提示する、
請求項1記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項3】
前記予約手段は、前記要介護レベルと、前記要介護者が要介護認定を受けた日付と、の組み合わせを複数記憶する、
請求項1又は2記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項4】
前記企画手段は、機械学習モデルと、前記予約手段を介して受け付けた入力時における前記要介護者の状態に関する情報である問診情報と、に基づき、前記要介護者が罹患している可能性の高い疾患を提示し、
前記企画手段は、提示された前記疾患と、前記疾患と前記疾患に罹患している前記要介護者に必要な看護のオプションが対応付けられた看護オプション情報と、に基づき前記看護のオプションを提示する、
請求項1~3の何れか一項記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項5】
前記予約手段は、ツーリング内容を示す希望旅行情報を受け付け、
前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた前記希望旅行情報、および、選定された前記移動手段に基づき、前記移動手段を運転しツーリングに同行する運転手、および、前記移動手段に乗車し前記ツーリングに同行する料理人を選定する、
請求項1~4の何れか一項記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項6】
前記企画手段は、前記要介護者情報および前記希望旅行情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様と前記ツーリング内容の要求仕様を充足する前記ツーリングの移動ルートおよび移動スケジュールを決定し、前記運転手に通知する、
請求項1~5の何れか一項記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項7】
前記移動手段は、前記要介護者が車椅子に乗ったまま乗車可能であり、出入口において着脱可能なスロープを導入されている前記キャンピングカーである、
請求項1~6の何れか一項記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項8】
前記移動手段は、前記要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、車体後方片側においてリフトおよび扉が導入されている前記キャンピングカーである、
請求項1~7の何れか一項記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項9】
前記移動手段は、前記要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、前記ストレッチャーに隣接するベッドを車内後方に備える前記キャンピングカーである、
請求項1~8の何れか一項記載のレスパイトツーリズム支援システム。
【請求項10】
レスパイトツーリズム支援方法であって、
予約ステップと、企画ステップと、をサーバのプロセッサに実行させ、
移動ステップを、要介護者が乗車可能なキャンピングカーによって行い、
前記予約ステップは、少なくとも要介護レベルを示す要介護者情報を受け付け、
前記企画ステップは、前記予約ステップが受け付けた前記要介護者情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様を充足する前記キャンピングカー及び/又は前記キャンピングカーのオプションを提示し、提示内容に対する指定に基づいて前記キャンピングカーを決定する、レスパイトツーリズム支援方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レスパイトツーリズム支援システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護者について、要介護者のリハビリテーション等に関するモチベーションが下がるケースが頻発している。どんなに頑張ってもある一定の成果が得られない、と変化のない毎日の生活の中で苦悩を抱き、塞ぎがちになり、その結果、モチベーションも下がってしまうケースがある。
【0003】
上記事情を踏まえて、介護従事者は、介護者や家族などのモチベーション向上を目的の1つとして、要介護者を連れて「行きたい場所へ出かける」ことできるような、要介護者と介護者の双方をケアするような、「レスパイトツーリズム」の重要性を訴えている。
【0004】
特許文献1記載の発明は、ハイヤーの配車や運行を管理する配車センター管理システムであり、利用者が望むサービス及び嗜好等にもとづいて、最適な配車を行うことのでき、さらに、ドライバーの管理や請求書発行等について事務効率を向上させる処理を実行することができるシステムを提供する発明である。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、レスパイトツーリズムを実現する上で要介護者に応じてツーリングのプランニングを支援する、という観点で改善の余地がある。レスパイトツーリズムを好適に実現するためには、要介護者と介護者の双方をケアするようなツーリングのプランニングが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-55326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情を鑑みて、本発明は、レスパイトツーリズム支援にかかる新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、レスパイトツーリズム支援システムであって、予約手段と、企画手段と、移動手段と、を有し、前記予約手段は、少なくとも要介護レベルを示す要介護者情報を受け付け、前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた前記要介護者情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様を充足する前記移動手段及び/又は前記移動手段のオプションを提示し、提示内容に対する指定に基づいて前記移動手段を決定し、前記移動手段は、要介護者が乗車可能なキャンピングカーである、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記予約手段は、前記要介護者が罹患している疾患に関する情報である疾患情報を受け付け、前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた要介護レベル及び疾患情報に基づき看護のオプション及びツーリング先を提示する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記予約手段は、前記要介護レベルと、前記要介護者が要介護認定を受けた日付と、の組み合わせを複数記憶する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記企画手段は、機械学習モデルと、前記予約手段を介して受け付けた入力時における前記要介護者の状態に関する情報である問診情報と、に基づき、前記要介護者が罹患している可能性の高い疾患を提示し、前記企画手段は、提示された前記疾患と、前記疾患と前記疾患に罹患している前記要介護者に必要な看護のオプションが対応付けられた看護オプション情報と、に基づき前記看護のオプションを提示する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記予約手段は、ツーリング内容を示す希望旅行情報を受け付け、前記企画手段は、前記予約手段が受け付けた前記希望旅行情報、および、選定された前記移動手段に基づき、前記移動手段を運転しツーリングに同行する運転手、および、前記移動手段に乗車し前記ツーリングに同行する料理人を選定する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記企画手段は、前記要介護者情および前記希望旅行情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様と前記ツーリング内容の要求仕様を充足する前記ツーリングの移動ルートおよび移動スケジュールを決定し、前記運転手に通知する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記移動手段は、前記要介護者が車椅子に乗ったまま乗車可能であり、出入口において着脱可能なスロープを導入されている前記キャンピングカーである、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記移動手段は、前記要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、車体後方片側においてリフトおよび扉が導入されている前記キャンピングカーである、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記移動手段は、前記要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、前記ストレッチャーに隣接するベッドを車内後方に備える前記キャンピングカーである、ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明は、レスパイトツーリズム支援方法であって、予約ステップと、企画ステップと、をサーバのプロセッサに実行させ、移動ステップを、要介護者が乗車可能なキャンピングカーによって行い、前記予約ステップは、少なくとも要介護レベルを示す要介護者情報を受け付け、前記企画ステップは、前記予約ステップが受け付けた前記要介護者情報に基づき、前記要介護レベルの要求仕様を充足する前記キャンピングカー及び/又は前記キャンピングカーのオプションを提示し、提示内容に対する指定に基づいて前記キャンピングカーを決定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、レスパイトツーリズム支援にかかる新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかる機能ブロック図を示す。
図2】本発明の一実施形態にかかるサーバのハードウェア構成図を示す。
図3】本発明の一実施形態にかかるキャンピングカーの概要図を示す。
図4】本発明の一実施形態にかかるキャンピングカーの概要図を示す。
図5】本発明の一実施形態にかかるキャンピングカーの概要図を示す。
図6】本発明の一実施形態にかかるキャンピングカーの概要図を示す。
図7】本発明の一実施形態にかかるキャンピングカーの概要図を示す。
図8】本発明の一実施形態にかかる機能ブロック図を示す。
図9】本発明の一実施形態にかかる処理フローチャート図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、以下の一実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。
【0021】
図1に例示されるように、レスパイトツーリズム支援システムは、サーバ1と、クライアント2と、キャンピングカー3を適宜、利用する。サーバ1は、予約手段(予約ステップに相当)および企画手段(企画ステップに相当)を有する。クライアント2は、予約手段と対応する予約申請を行うような申請手段(申請ステップに相当)を有する。キャンピングカー3は、移動手段(移動ステップに相当)で用いられる。
【0022】
図2に例示されるように、サーバ1は、既知のコンピュータであり、少なくとも、プロセッサを含む演算装置11、主記憶装置12、補助記憶装置13、通信装置16、および、バスインタフェースを有し、本発明の作用効果を実現する上で用いられる。また、サーバ1は、入力装置14および出力装置15をさらに備える構成であってよい。
【0023】
サーバ1は、インデックスサーバやデータベースサーバなどの複数のサーバ装置からなるサーバ群の態様をとってよい。
【0024】
サーバ1は、クライアント2から受け付ける情報全般を格納するデータベースを有してよい。このとき、データベースは、サーバ1を構成する補助記憶装置13により構成されてよく、サーバ1を構成する通信装置16およびネットワークを介して連携可能な外部データベースであってよい。
【0025】
図2に例示されるように、クライアント2は、既知のコンピュータであり、少なくとも、プロセッサを含む演算装置21、主記憶装置22、補助記憶装置23、入力装置24、出力装置25、通信装置26、および、バスインタフェースを有し、本発明の作用効果を実現する上で用いられる。
【0026】
図3図7に例示されるように、キャンピングカー3は、既知または慣用のキャンピングカーに適宜、既知または慣用のカスタムが施されたものである。
【0027】
キャンピングカー3は、例として、要介護者が車椅子に乗ったまま乗車可能であり、その出入口において着脱可能なスロープ31を導入されていてよく、要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、その車体後方片側においてリフト32および扉が導入されていてよく、要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、ストレッチャーに隣接するベッドをその車内後方に備えてよい。
【0028】
予約手段は、少なくとも要介護レベルを示す要介護者情報をクライアント2から受け付ける。また、予約手段は、介護者にかかる介護者情報をクライアント2からさらに受け付けてよい。このとき、予約手段は、例として、クライアント2からAPI(Application Programming Interface)を介して要介護者情報などを受け付けてよい。
【0029】
本明細書中の説明における「要介護者情報」は、要介護者にかかる年齢・食べ物の趣向・旅行の趣向・出身地などのプロフィールをさらに示してよい。また、「要介護者情報」は、介護認定審査会によって要介護レベルが決定され、要介護者が要介護認定を受けた日付、或いは認定の期間を示してよい。当該要介護レベルと認定の日付又は期間の組み合わせは、要介護者情報に対し複数対応付けられてもよい。複数の組み合わせは、介護認定審査会による要介護レベルの認定が再度行われ、要介護者情報における要介護レベル並びに認定の日付又は期間が更新された際に、以前の組み合わせとは区別されて要介護者情報に対応付けされることを意味する。
【0030】
本明細書中の説明における「介護者情報」は、介護者にかかる年齢・食べ物の趣向・旅行の趣向・出身地などのプロフィールを示してよい。
【0031】
本明細書中の説明における「要介護レベル」は、例として、要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5などの状態区分を示すものである。
【0032】
要支援1は、居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とし、排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるようなレベルを指す。
【0033】
要支援2は、身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とし、歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがあり、排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるようなレベルを指す。
【0034】
要介護1は、要支援2が示すようなレベルに加えて、問題行動や理解低下がみられることがあるようなレベルを指す。
【0035】
要介護2は、身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とし、歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とし、排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがあり、問題行動や理解低下がみられることがあるようなレベルを指す。
【0036】
要介護3は、身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできず、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできず、歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがあり、排泄が自分ひとりでできず、いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがあるようなレベルを指す。
【0037】
要介護4は、身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできず、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできず、歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできず、排泄がほとんどできず、多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがあるようなレベルを指す。
【0038】
要介護5は、身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできず、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできず、歩行や両足での立位保持などの移動の動作がほとんどできず、排泄や食事がほとんどできず、多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがあるようなレベルを指す。
【0039】
本明細書中の説明における「要介護レベル」は、見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とするか否かまたはその頻度、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とするか否かまたはその頻度、歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とするか否かまたはその頻度、排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがあるか否かまたはその頻度、および、問題行動や理解低下がみられることがあるか否かまたはその頻度、の少なくとも1つによって適宜、規定されていてよい。
【0040】
企画手段は、予約手段が受け付けた要介護者情報に基づき、要介護レベルの要求仕様を充足する移動手段を選定し移動手段のオプションを決定する。
【0041】
本明細書中の説明における「要介護レベルの要求仕様を充足する移動手段」とは、上記の要介護レベルに応じて、要介護者の介護に支障をきたさないような移動手段を指す。
【0042】
具体的には、例として、要介護レベルが要介護3~5である場合、企画手段は、移動手段として、要介護者がストレッチャーに乗ったまま乗車可能であり、その車体後方片側においてリフトおよび扉が導入されているキャンピングカー3を採用してよい。
【0043】
本明細書中の説明における「移動手段のオプション」とは、移動手段としてのキャンピングカー3におけるカスタムに相当する。オプションは、例として、キャンピングカー3に備えられるスロープ31やリフト32などである。ここで、要介護レベルの要求仕様に応じて、必要となるキャンピングカー3のカスタム要素が設定されていてよい。
【0044】
予約手段は、介護者および/または要介護者が希望するツーリング内容を示す希望旅行情報をクライアント2から受け付ける。このとき、予約手段は、例として、クライアント2からAPIを介して希望旅行情報などを受け付けてよい。
【0045】
本明細書中の説明における「希望旅行情報」とは、ツーリング先の詳細(1又は複数の目的地の名称や座標などを示す)・ツーリング先への希望到着時刻や希望滞在時間・ツーリング先に至るルートの詳細(出発地点や複数のツーリング先を巡る順番などを示す)・ツーリング時期・ツーリング期間(ツーリングの開始日時及び終了日時を示す)・ツーリング予算などのツーリング内容全般を示す。
【0046】
企画手段は、予約手段が受け付けた希望旅行情報、および、選定された移動手段に基づき、移動手段を運転しツーリングに同行する運転手、および、移動手段に乗車しツーリングに同行する料理人を選定し、ツーリングの実施を指示する。
【0047】
企画手段は、データベース上に登録された運転手および料理人を参照し運転手および料理人を選定してよい。データベース上に登録される運転手および料理人の情報は、年齢・性別などのプロフィールに加え、ツーリング帯同にかかる料金(費用)が設定されてよく、過去のツーリング帯同経験が設定されてよく、過去のサービス提供経験が設定されてよく、対応可能な要介護レベルが設定されてよい。
【0048】
以降の説明において、データベース上に登録された運転手および料理人を、「付添人」とする。
【0049】
企画手段は、要介護者情報および希望旅行情報に基づき、要介護レベルの要求仕様とツーリング内容の要求仕様を充足するツーリングの移動ルートおよび移動スケジュールを決定し、運転手に通知する。
【0050】
企画手段は、移動ルートや移動スケジュールを運転手が携帯する端末に通知してよく、運転手が運転するキャンピングカー3が備える端末に通知してよい。
【0051】
企画手段は、要介護レベルに応じて、移動ルートの総移動距離に上限を設定してよく、移動スケジュールの総期間に上限を設定してよく。
【0052】
企画手段は、外部サービスから取得した天気情報・気候情報や道路混雑情報などにさらに基づき、上記移動ルート・移動スケジュールを決定して良い。
【0053】
企画手段は、要介護者情報および希望旅行情報に基づき、要求介護レベルの要求仕様の充足を優先して、ツーリングの移動ルートおよび移動スケジュールを決定してよい。
【0054】
本発明の一実施形態では、企画手段により決定された、ツーリングにかかる運転手・料理人・移動ルート・移動スケジュールなどを適宜、クライアント2や運転手の端末などに通知してよい。このとき、決定から通知にかけて、クライアント2を介した意思確認が行われてよい。
【0055】
本発明の一実施形態では、予約手段および企画手段は、例として、SaaS(Software as a Service)の態様をとってよい。
【0056】
本発明の一実施形態では、予約手段および企画手段などは、図3図7にあるような、キャンピングカー3のカスタム要素やその配置・寸法・角度(傾斜)などについて適宜、設定可能であってよい。
【0057】
本発明の一実施形態では、キャンピングカー3に代えて、既知または慣用の福祉車両を移動手段として適宜、採用してよい。
【0058】
以下、図8及び図9を用いて、ツーリングの予約にかかる手順を詳細に説明する。
【0059】
図8に例示されるように、本発明の一実施形態では、データベースは、車両データベースと、予約データベースと、設備データベースと、要介護者データベースと、疾患データベースと、付添人データベースと、を有してよい。
車両データベースは、車両を一意に識別する為の車両IDと、当該車両が有する設備と、これら設備が必要となる要介護レベルと、を含む車両情報を有する。なお、車両情報は、更に、車両のナンバーや、メーカー、車体の色等の情報を有していてもよい。
予約データベースは、予約を一意に識別する為の予約IDと、予約される車両の車両IDと、予約される付添人の付添人IDと、予約される後述の移動手段オプションIDと、予約される後述の看護オプションIDと、ツーリングに参加する要介護者の要介護者IDと、当該車両が予約される日付又は期間と、当該車両の予約の状態(ステータス)と、ツーリング先の情報と、を含む予約情報を有する。なお、上記ステータスは、例として、ツーリングの「実施前」「実施中」「実施後」及び予約が「キャンセル」された状態を示してよい。
設備データベースは、移動手段のオプションを一意に識別する為の移動手段オプションIDと、要介護者の要介護レベルと、要介護レベルに応じて必要となる移動手段のオプションの名称と、を含む移動手段オプション情報を有する。また、設備データベースは、看護のオプションを一意に識別する為の看護オプションIDと、後述の疾患IDと、特定の疾患に罹患している要介護者に必要な看護のオプションの名称と、を含む看護オプション情報を有する。
要介護者データベースは、要介護者を一意に識別する為の要介護者IDが付与され、当該要介護者のプロフィールに関する情報である要介護者情報と、当該要介護者が罹患している疾患に関する情報である疾患情報と、入力時における当該要介護者の状態に関する情報である問診情報と、介護者及び/又は要介護者が希望するツーリングの内容に関する情報である希望旅行情報と、を有する。
疾患データベースは、疾患を一意に識別する為の疾患IDと、当該疾患名と、当該疾患によってあらわれる症状と、当該疾患が影響を及ぼす身体の部位と、当該疾患に対して処方される処方薬と、と含む疾患テーブルを有する。
付添人データベースは、付添人を一意に識別する為の付添人のIDと、当該付添人の年齢や性別等のプロフィールと、当該付添人がツーリング帯同する際にかかる料金と、当該付添人が対応可能な要介護レベルと、を含む付添人情報を有する。
【0060】
本明細書中の説明における「疾患情報」とは、要介護者が罹患している疾患に関する情報であり、要介護者が罹患している疾患の疾患名・病期(ステージ)・当該疾患に罹患してから経過した年数・要介護者に処方されている処方薬等の情報を示してよい。
【0061】
本明細書中の説明における「問診情報」とは、クライアント2が有する入力装置24を介した情報の入力時における要介護者の状態に関する情報であり、要介護者の体温・発症している症状・いつから発症しているか等の情報を示してよい。
【0062】
本明細書中の説明における「看護のオプション」とは、移動手段としてのキャンピングカー3への特別装備に相当する。オプションは、例として、酸素吸入器や吸引器などである。本発明の一実施形態では、移動手段のオプションと看護のオプションを区別しているが、両者は区別されなくてもよい。また、車両の設備についても、設備データベースで管理してもよい。
【0063】
図9は、ツーリングの予約にかかる手順を示すフローチャートである。
【0064】
予約手段は、クライアント2が有する入力装置24を介して入力された情報を受け付ける(ステップS101)。本発明の一実施形態では、予約手段は、少なくともツーリング先及びツーリング期間を含む希望旅行情報を受け付ける。要介護者情報と、疾患情報と、は事前に入力され、要介護者データベースに格納されていてよく、希望旅行情報の入力に併せて入力されてもよい。また、予約手段は、問診情報を受け付けてよい。
【0065】
なお、本発明の一実施形態では、クライアント2から受け付けた要介護者の要介護者情報における要介護レベルと、当該要介護レベルの認定を受けた日付と、の組み合わせを1又は複数記憶することで、要介護レベルの遷移状況を把握可能にしてよい。
【0066】
企画手段は、要介護者情報と、疾患情報と、予約手段が受け付けた希望旅行情報と、に基づき、移動手段のオプションと、看護のオプションと、を提示する(ステップS102)。
【0067】
本発明の一実施形態では、企画手段は、予約手段が受け付けた要介護レベルに応じて、車両情報、予約情報および付添人情報を参照し、要介護者の要介護レベルに応じた設備を有する車両と、当該要介護レベルの要介護者に対応可能な付添人と、を提示する。なお、提示される車両は、要介護者の要介護レベルよりも低い要介護レベルに応じた設備を有する車両であってよく、要介護者の要介護レベルよりも高い要介護レベルに応じた設備を有する車両であってもよい。移動手段のオプション、及び、付添人も同様であってよい。この際、予約情報において、予約の日付又は期間において当該車両および当該付添人が既に指定されている場合、ステップS102において当該車両および当該付添人は提示されない。また、企画手段は、予約手段が受け付けた疾患情報に応じて看護オプション情報を参照し、当該要介護者が罹患している疾患に対応するのに必要な看護のオプションを提示する。
【0068】
なお、企画手段は、ステップS102において、機械学習モデルに基づき、要介護者の状態を改善させるのに推奨されるツーリング先を提示してよい。当該機械学習モデルは、要介護者の要介護者情報および要介護者の疾患情報を入力値とし、要介護者が訪問したツーリング先の情報を出力値とする教師データにより上記機械学習モデルの生成を行う。なお、本発明の一実施形態では、要介護者情報が有する複数の「要介護認定の認定日」の間にツーリングを行っており、且つ当該ツーリングの前後で要介護レベルが軽症化していた場合に、その期間中の要介護者情報とツーリング先の組み合わせを教師データとすることで、要介護者の状態改善に寄与している可能性があるツーリング先を機械学習モデルに学習させることができる。
【0069】
また、企画手段は、疾患データベースと、要介護者データベースと、に基づき、要介護者と同じ疾患に罹患している要介護者が訪問したことがあるツーリング先を提示してよい。
【0070】
また、企画手段は、機械学習モデルに基づき、要介護者の体調の予測推移を提示してよい。当該機械学習モデルは、問診情報を入力値とし、疾患名とその疾患に罹患していた場合の体調の推移のデータを出力値とする教師データにより上記機械学習モデルの生成を行う。なお、当該教師データは予め収集されたデータであってよい。本発明の一実施形態では、入力装置24を介して入力された問診情報に基づき最も可能性の高い疾患名と体調の予測推移を提示することから、要介護者が数日以内に体調を悪化させるとの予測結果が提示された場合、予約を保留又は中止することが可能となる。企画手段はさらに、提示された疾患名と、看護オプション情報と、に基づき、要介護者に必要な看護のオプションを提示してよい。或いは、企画手段は、問診情報と、疾患テーブルと、看護オプション情報と、に基づき、要介護者に発症している症状などの情報から、必要な看護のオプションを提示してよい。
【0071】
予約手段は、ツーリングを利用する要介護者のIDと、予約された日付又は期間クライアント2が有する入力装置24を介して入力された、移動手段と、移動手段のオプションと、看護のオプションと、ツーリング先と、を含む予約情報を予約データベースに格納する(ステップS103)。
【0072】
企画手段は、要介護者情報と、疾患情報と、希望旅行情報と、決定されたツーリング先と、に基づき、移動ルート及び移動スケジュールを1又は複数生成・提示する(ステップS104)。本発明の一実施形態では、移動ルートおよび移動スケジュールの生成は、例として、ダイクストラ法、最良優先探索及び遺伝的アルゴリズム等に基づき行われてよいが、上記の方法に限定されなくてもよい。なお、当該移動ルートおよび移動スケジュールは、入力装置24を介して受け付けた情報に基づき、人の手によって生成されてもよい。
【0073】
移動ルート及び移動スケジュールが複数提示された場合、予約手段は、クライアント2が有する入力装置24を介して入力された、移動ルートおよび移動スケジュールの選択を受け付ける(ステップS105)。
【0074】
本発明によれば、要介護者およびその家族などを連れて「行きたい場所へ出かける」ことできるような、要介護者と介護者の双方をケアするような、介護者のモチベーションを向上できるような施策を、高齢化社会において実現することができる。
なお、「レスパイトツーリズム」とは、レスパイトツーリングに相当し、一実施形態にかかるツーリングに相当する。
【符号の説明】
【0075】
1 :サーバ
2 :クライアント
3 :キャンピングカー
11、21 :演算装置
12、22 :主記憶装置
13、23 :補助記憶装置
14、24 :入力装置
15、25 :出力装置
16、26 :通信装置
31 :スロープ
32 :リフト

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