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特開2022-64343睡眠具セット、睡眠促進方法、および睡眠具提案装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064343
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】睡眠具セット、睡眠促進方法、および睡眠具提案装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20220419BHJP
   A41B 11/00 20060101ALI20220419BHJP
   A41D 20/00 20060101ALI20220419BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20220419BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A47G9/10 V
A41B11/00 Z
A41D20/00
A41D19/00 Z
A47C27/00 N
A47C27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172909
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】520399774
【氏名又は名称】株式会社オリエンタルミラクル
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】米田 稔
【テーマコード(参考)】
3B011
3B018
3B033
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B011AC13
3B018AA01
3B018AB02
3B018AC04
3B033AA14
3B033AB03
3B096AA04
3B096AB05
3B096AD04
3B102AA02
3B102AB07
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】睡眠をより促進する。
【解決手段】睡眠具セットは、足から下腿までを少なくとも覆って保温する靴下と、靴下とともに用いられ、少なくとも両目を含む頭部を覆って保温する筒状のバンドと、バンドとともに用いられ、下肢の少なくとも一部が載せられた状態にて上面部の高さが5cm以上15cm以下になる脚枕と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足から下腿までを少なくとも覆って保温する靴下と、
前記靴下とともに用いられ、少なくとも両目を含む頭部を覆って保温する筒状のバンドと、
前記バンドとともに用いられ、下肢の少なくとも一部が載せられた状態にて上面部の高さが5cm以上15cm以下になる脚枕と、
を備えることを特徴とする睡眠具セット。
【請求項2】
前記脚枕の前記上面部の高さは、8cm以上13cm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の睡眠具セット。
【請求項3】
前記脚枕は、右下肢と左下肢とが置かれる位置に対応して窪む凹部を有する、ことを特徴とする請求項1の睡眠具セット。
【請求項4】
前記靴下は、下腿を覆う部分の厚みが、足を覆う部分よりも厚い、ことを特徴とする請求項1の睡眠具セット。
【請求項5】
足から下腿までを少なくとも覆って保温する靴下を下肢に着用するステップと、
少なくとも両目を含む頭部を覆って保温する筒状のバンドを頭部に着用するステップと、
下肢の少なくとも一部が載せられた状態にて上面部の高さが5cm以上15cm以下になる脚枕に下肢を載せるステップと、
を備えることを特徴とする睡眠促進方法。
【請求項6】
手から前腕までを少なくとも覆って保温する手袋を上肢に着用するステップを備える、ことを特徴とする請求項5に記載の睡眠促進方法。
【請求項7】
身体に関する身体情報を取得する取得手段と、
サイズの異なる複数種類の靴下のうち前記身体情報に基づいて特定される靴下と、サイズの異なる複数種類の頭部のバンドのうち前記身体情報に基づいて特定されるバンドと、高さおよび硬さの異なる複数種類の脚枕のうち前記身体情報に基づいて特定される脚枕との組み合わせを提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする睡眠具提案装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠具セット、睡眠促進方法、および睡眠具提案装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、脚を載置可能であって、脚を載置する位置に脚を刺激する弾性材が収容されたポケットを有する載置部と、載置部に接続された接地部と、を有するカバーと、カバーに収容されたクッション材と、カバーに収容され、クッション材に周囲を覆われ、クッション材よりも硬い内部クッションと、から構成されることを特徴とする脚枕が開示さている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3203092号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、睡眠が血圧に影響するという知見がある。睡眠中には交感神経よりも、身体を回復させるように働く副交感神経が優位になることが知られている。しかしながら、睡眠が促進されない場合には、交感神経が活性化してしまい、睡眠中のみならず、翌日の血圧も高くなってしまう可能性が高くなる。
本発明は、睡眠をより促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、足から下腿までを少なくとも覆って保温する靴下と、前記靴下とともに用いられ、少なくとも両目を含む頭部を覆って保温する筒状のバンドと、前記バンドとともに用いられ、下肢の少なくとも一部が載せられた状態にて上面部の高さが5cm以上15cm以下になる脚枕と、を備えることを特徴とする睡眠具セットである。
ここで、前記脚枕の前記上面部の高さは、8cm以上13cm以下である、ことを特徴とすることができる。
また、前記脚枕は、右下肢と左下肢とが置かれる位置に対応して窪む凹部を有する、ことを特徴とすることができる。
また、前記靴下は、下腿を覆う部分の厚みが、足を覆う部分よりも厚い、ことを特徴とすることができる。
そして、かかる目的のもと、本発明は、足から下腿までを少なくとも覆って保温する靴下を下肢に着用するステップと、少なくとも両目を含む頭部を覆って保温する筒状のバンドを頭部に着用するステップと、下肢の少なくとも一部が載せられた状態にて上面部の高さが5cm以上15cm以下になる脚枕に下肢を載せるステップと、を備えることを特徴とする睡眠促進方法である。
ここで、手から前腕までを少なくとも覆って保温する手袋を上肢に着用するステップを備える、ことを特徴とすることができる。
さらに、かかる目的のもと、本発明は、身体に関する身体情報を取得する取得手段と、サイズの異なる複数種類の靴下のうち前記身体情報に基づいて特定される靴下と、サイズの異なる複数種類の頭部のバンドのうち前記身体情報に基づいて特定されるバンドと、高さおよび硬さの異なる複数種類の脚枕のうち前記身体情報に基づいて特定される脚枕との組み合わせを提示する提示手段と、を備えることを特徴とする睡眠具提案装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、睡眠をより促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の睡眠具セットの概要を示す図である。
図2】本実施形態の靴下の全体図である。
図3】本実施形態のバンドの全体図である。
図4】本実施形態の脚枕の全体図である。
図5】本実施形態の手袋の全体図である。
図6】本実施形態の睡眠具セットを用いて睡眠を行った場合の最高血圧値の測定結果を示す図である。
図7】(A)および(B)は、本実施形態の睡眠具提案装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の睡眠具セット1の概要を示す図である。
【0010】
〔睡眠具セット1〕
図1に示すように、本実施形態の睡眠具セット1は、下肢に着用される靴下10と、頭部に着用されるバンド20と、下肢を載せる脚枕30と、上肢に着用される手袋40と、を備えている。
そして、本実施形態の睡眠具セット1のうち、少なくとも靴下10およびバンド20を身体に着用し、脚枕30に下肢を載せた状態で寝ることで、睡眠をより促進することができる。以下、各々の構成について詳細に説明する。
【0011】
なお、本実施形態において、指先から手首までを「手」と呼び、手首から肘までを「前腕」と呼び、肘から肩までを「上腕」と呼ぶ。そして、手、前腕および上腕をまとめて「上肢」と呼ぶ。
また、つま先から足首までを「足」と呼び、足首から膝までを「下腿」と呼び、膝から鼠径部までを「大腿」と呼ぶ。そして、足、下腿および大腿をまとめて「下肢」と呼ぶ。
【0012】
(靴下10)
図2は、本実施形態の靴下10の全体図である。
【0013】
図2に示す靴下10は、一端部が開口するとともに他端部が閉塞する袋状に形成される。そして、本実施形態の靴下10は、大腿、下腿および足を収容することができる。
【0014】
靴下10は、シルクと、水分を吸収して発熱する吸湿発熱繊維と、を交編したニット生地を縫製して作製される。シルクと吸湿発熱繊維との混紡率は、シルクの比率を80%から20%とした場合に、残余の20%から80%を吸湿発熱繊維とすることができる。
【0015】
吸湿発熱繊維は、物質が水分を吸着したときに熱を発するという特性(吸着熱)を利用したもので、詳細には、水分が繊維表面の水酸基等に吸着されて運動エネルギーを熱エネルギーに変換する繊維である。吸湿発熱繊維に用いられる素材には、アクリル系素材やキュプラ等を用いることができるが、軽量性やストレッチ性を備えた素材を用いることが好ましい。
シルクは、肌ざわりの良さに加え、豊かな吸湿性や通気性、保温性を有する素材である。
【0016】
吸湿発熱繊維とシルクとの特徴を相互作用で効果的に引き出すには、吸湿発熱繊維とシルクとの混紡率は、シルクが60%で吸湿発熱繊維が40%の比率がより好ましい。
そして、靴下10は、着用するときの伸縮性や肌への密着性を向上させるために、ゴム糸をさらに加えても良い。ただし、靴下10の過度の伸縮性は、部位を締めすぎることになって血流を悪化させるおそれがある。また、靴下10は、保温するという観点では、皮膚と間に余裕を持たせて空気層を形成することが有効である。従って、ゴム糸を含有させるときには、シルク60%に対して、ゴム糸が2%以上3%以下、残余を吸湿発熱繊維とすることが好ましい。これによって、靴下10のずれを抑制しつつ、適度な締め付け力が発揮される。
【0017】
また、図2に示すように、本実施形態の靴下10は、足を覆う下部11と、下腿および大腿を覆う上部12と、を有する。
そして、上部12は、下部11よりも厚く形成されている。本実施形態の下部11は、上述した生地を一重の状態で筒状に編み上げて形成されている。一方で、上部12は、上述した生地を一重の状態で筒状に編み上げたものを、折り返して二重にすることで形成される。
【0018】
また、下部11のつま先の部分は、5本の指を一括して収めるタイプ、親指と残りの他の指とを分離して収める二股タイプや、5本の指をそれぞれ分離させて収めるタイプのいずれであっても良い。
【0019】
以上のように構成される靴下10は、吸湿発熱繊維が汗を吸収して発熱することで保温効果が高まる。さらに、靴下10は、シルクの吸湿性および通気性から肌触りがよく、保温と同時に快適性が保たれるため、睡眠中に着用しても不快に感じにくい。そして、靴下10は、吸湿発熱繊維糸とシルクを交編したニット生地を縫製して作製される。そのため、本実施形態の靴下10は、例えば樹脂製の保温材を使用したものと比べて薄くなるため、動きやすい。
【0020】
本実施形態の靴下10は、少なくとも下腿と足とを保温する。ここで、下腿のふくらはぎの部位は、第2の心臓と言われ、重力によって下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプの働きをする。そのため、ふくらはぎを温めることで、全身の血流が良くなる。ただし、ふくらはぎは、表面温度が低く、温まるのに時間がかかる。これに対して、本実施形態の靴下10を着用することで、ふくらはぎが効果的に温められる。
【0021】
なお、靴下10は、下肢のうち膝より先の下腿と足の部位が収まる長さであっても良い。例えば、靴下10は、膝を露出させた方が、関節が曲がりやすく、長時間の着用に適する場合もある。なお、靴下10は、膝が収まり大腿が収まる長さであっても、利用者が好みに応じて折り返して使用すれば良い。
【0022】
上述のとおり、靴下10は、吸湿発熱繊維糸とシルク糸を交編したニット生地を縫製して作製される。この靴下10を着用することで、身体の中心部から比較的離れた下肢を温める効果が得られる。この靴下10によって、睡眠が促進される。また、本実施形態の靴下10によって、つま先まで血液が行き届くようになり、末梢血管が広がり血流への抵抗が下がって高血圧が改善される。
【0023】
(バンド20)
図3は、本実施形態のバンド20の全体図である。
【0024】
図3に示すように、バンド20は、無端の帯である筒状に形成される。バンド20は、頭部を覆うことが可能である。そして、バンド20は、頭部に被せたときに、両目、両耳、こめかみ、首のうなじの部分を覆うことができる。
【0025】
本実施形態のバンド20は、シルクと吸湿発熱繊維とを混ぜて紡績した糸をループ状にして絡ませながら筒状に編み上げて形成される。シルクと吸湿発熱繊維との混紡率は、シルクの比率を80%から40%とした場合に、残りの20%から60%を吸湿発熱繊維とすることができる。
【0026】
バンド20は、ループ状にした吸湿発熱繊維とシルクの混紡糸を、一重の状態で筒状に横方向に編み上げることで形成する。これによって、バンド20には、頭部を通す方向である高さ方向Lと比較して周方向Wに伸縮性がより多く発現する。バンド20は、筒状の内側に頭部に通すときには、周方向Wに伸張することで頭部に装着しやすく、頭部を通した後の着用状態では収縮することで頭部に密着する。
【0027】
なお、バンド20は、伸縮性をさらに持たせる場合、吸湿発熱繊維とシルクとに、ゴム糸を加えても良い。この場合、ゴム糸の混紡率は、2%以上5%以下にすることで、頭部の過度な締め付けによる血流の悪化を抑制しつつ、頭部に対するバンド20のずれを防止できる。
【0028】
上述のとおり、吸湿発熱繊維とシルクの混紡糸で編み上げて作製されるバンド20を頭部に着用すると、吸湿発熱繊維による汗の吸収に伴う発熱性と、シルクによる吸湿性および通気性から、例えば夏場は放熱が促され、冬場は保温され、年間を通じての快適性が保たれる。
特に、吸湿発熱繊維とシルクの特徴を相互作用で効果的に引き出すための、吸湿発熱繊維とシルクとの最適な混紡率は、シルクが60%で吸湿発熱繊維が40%の比率が好ましい。また、ゴム糸を含有させるときには、シルク60%に対しゴム糸が、上述のとおり2%以上であって5%以下とし、残余を吸湿発熱繊維とすることが好ましい。
【0029】
また、本実施形態のバンド20は、筒状の外側となる表面と、筒状の内側となる裏面とで、吸湿発熱繊維とシルクとの異なる2種類の糸を用いることができる。これによって、吸湿発熱繊維の糸で構成された面が肌に接するようにバンド20を着用することで、ポカポカと温かみを感じることができる。一方、シルクの糸で構成された面が肌に接するようにバンド20を着用することで、通気性良く、かつ肌をやさしく覆うことができる。
【0030】
以上のように構成されるバンド20は、人の両目、両耳、こめかみ、首のうなじの部分を被覆するよう頭部に被せたとき、両目およびこめかみの周辺と耳が温められ、筋肉が弛緩して血行を良くする。特に、目の周辺には、さん竹、瞳子りょう、睛明の各ツボがある。また、耳や耳の周囲には、自律神経の交感神経と副交感神経とを調整するツボである神門やその他の体の各部位のツボが密集している。
【0031】
そして、本実施形態のバンド20は、これらのツボを温め、血流を促すことでリラックスさせ、疲れ目や眼精疲労等の回復も期待できる。さらに、バンド20は、頭部に着用して睡眠をとることで、副交感神経が優位となって快眠を促進する。本実施形態のバンド20は、吸湿発熱繊維とシルクを素材にしているため、生地が薄手で軽量かつストレッチ性を有しているため違和感なく着用できて、睡眠の妨げとなることもない。
【0032】
なお、バンド20は、編み上げて作製する際、高さ方向Lの寸法を、例えば両目を覆うことができる最低限の長さよりも長くしても良い。この場合、バンド20は、折り返して使用することで、保温性をさらに高めることができる。例えば、バンド20は、一回の折り返しで二重に頭部を被覆すれば、頭部の表面温度が略0.3℃上昇することが認められた。バンド20は、さらに折り返して四重にして用いれば、頭部の表面温度が1.2℃以上、上昇することが確認された。そして、本実施形態のバンド20は、生地が薄手であるため、例えば折り返して四重にしても、着用した部位が極端に分厚くなることがない。
【0033】
(脚枕30)
図4は、本実施形態の脚枕30の全体図である。
【0034】
本実施形態の脚枕30は、横幅Aが約60cmで、縦幅Bが約35cmの矩形状を有している。また、本実施形態の脚枕30の上面部31の高さHは、下肢が載っていない状態で約15cmとなっている。なお、脚枕30の上面部31の高さHは、後述する凹部32が形成される箇所を除いて、概ね同じ高さとなっている。
【0035】
さらに、本実施形態の脚枕30は、上面部31において他の箇所よりも窪む凹部32を有している。凹部32は、下肢のふくらはぎが載せられる箇所に対応して設けられている。凹部32は、脚枕30の横方向または縦方向の端部から端部まで形成されず、脚枕30の中央部の領域のみが窪んでいる。これによって、凹部32は、下肢を包み込み過ぎず、下肢を過度に圧迫したり、過度に固定したりしないようにしている。
そして、脚枕30は、右下肢と左下肢とに対応して、幅方向において離れた箇所に2つの凹部32を有しいてる。これによって、脚枕30に右下肢と左下肢とを載せたときに、各々の凹部32によって下肢が案内されることで、右下肢と左下肢との位置がそれぞれ安定する。また、凹部32同士が幅方向に離れて設けられていることで、右下肢と左下肢との間に一定の間隔が形成され、下肢同士が接触して相互に圧迫して窮屈になることが抑制される。
【0036】
脚枕30は、側地のグランド部がポリエステル100%であり、側地のパイル部が綿100%となっている。また、脚枕30は、中材がポリエステル100%で、ポリエステルをわた状にしたものを用いている。これによって、脚枕30は、載せられた下肢が比較的沈み込みにくくなる弾力性を有している。
【0037】
そして、脚枕30は、下肢の少なくとも一部である例えば、ふくらはぎが載せられた状態で、上面部31のうち、ふくらはぎが対向する箇所である対向上面部31tの高さが、5cm以上であって15cm以下になるように設計されている。
【0038】
この対向上面部31tの高さは、寝た状態で快適に感じる高さを、本願の発明者が鋭意検討して見出したものである。具体的には、下肢を載せる前の対向上面部31tの高さおよび硬さの異なる複数の脚枕30を準備し、身体のサイズが異なる複数の被験者によって試験を行った。
その結果、身体のサイズに依らず、脚枕30に下肢を載せた状態で対向上面部31tの高さが、5cm以上であって15cm以下である場合に、複数の被験者が快適に感じることが見出された。さらに、脚枕30に下肢を載せた状態で対向上面部31tの高さが、8cm以上であって13cm以下である場合に、より快適であることが見出された。
【0039】
上述のように構成される脚枕30に対して、身体を横にした状態で、下腿を載せることで、例えば足や下腿を心臓よりも高く位置させることができる。この脚枕30によって、足や下腿に滞りがちな血液が心臓に向けて流れやすくなり、血行が良くなる。そして、血行が良くなることによって、高血圧が改善され得る。
【0040】
(手袋40)
図5は、本実施形態の手袋40の全体図である。
【0041】
手袋40は、一端部が開口するとともに他端部が閉塞する袋状に形成される。そして、本実施形態の手袋40は、手を収容する手部41と、上腕および前腕を収容する腕部42とを有する。
手袋40の基本構成は、設けられる部位と形状が異なるものの、上述した靴下10と同様である。
手袋40は、靴下10と同様に、シルクと吸湿発熱繊維とを混ぜて紡績した糸をループ状にして絡ませながら筒状に編み上げて形成される。シルクと吸湿発熱繊維との混紡率は、シルクの比率を80%から40%とした場合に、残りの20%から60%を吸湿発熱繊維とする。
また、手袋40は、ループ状にした吸湿発熱繊維とシルクの混紡糸を、一重の状態で筒状に横方向に編み上げることで形成する。
【0042】
なお、手部41は、親指と残りの他の指とを分離して収めるミトンのタイプや、5本の指をそれぞれ分離させて収めるタイプのいずれであっても良い。
さらに、手袋40は、上肢のうち肘より先の前腕と手の部位が収まる長さであって良い。手袋40は、肘を露出させた方が、関節が曲がりやすく、より長時間の着用の際に好ましい。なお、手袋40は、肘を含む上腕が収まる長さであっても良く、利用者が好みに応じて折り返して使用すれば良い。
【0043】
上述のとおり、手袋40は、吸湿発熱繊維糸とシルク糸を交編したニット生地を縫製して作製される。この手袋40を着用することで、身体の中心部から比較的離れた上肢を温める効果が得られる。この手袋40によって、睡眠が促進される。また、本実施形態の手袋40によって、指先まで血液が行き届くようになり、末梢血管が広がり血流への抵抗が下がって高血圧が改善される。
【0044】
以上説明した睡眠具を用いた睡眠促進方法は、靴下10を下肢に着用するステップと、バンド20を頭部に着用するステップと、下肢の少なくとも一部を載せた状態にて対向上面部31tの高さが5cm以上15cm以下になる脚枕30に下肢を載せるというステップとを備える。そして、この方法により、靴下10とバンド20と脚枕30との各々の睡眠を促進する作用と、これらの相乗効果によって、睡眠がより促進される。
【0045】
さらに、本実施形態の睡眠促進方法では、手から前腕までを少なくとも覆って保温する手袋40を、上肢に着用するステップを備えることで、さらに睡眠が促進される。
【0046】
(測定結果)
続いて、本実施形態の睡眠具セット1による身体に対する作用について説明する。
図6は、本実施形態の睡眠具セット1を用いて睡眠をとった場合の最高血圧値の測定結果を示す図である。
【0047】
本実施形態の靴下10を下肢に着用し、バンド20を頭部に着用し、脚枕30に下肢を載せて就寝し、起床から30分経過後に血圧を測定した。
図6に示すように、測定を開始してから1ヶ月目までは、最高血圧値が150mmHg~160mmHgと、比較的高い数値を示していた。その後、2ヶ月目から10か月目までは、最高血圧値が140mmHg~150mmHgの範囲内に概ね収まる状態となった。そして、11ヶ月目以降は、最高血圧値が140mmHgを下回った。このように、全体としては、測定開始から最高血圧が下降傾向を示すことが分かった。
この結果から、本実施形態の睡眠具セット1を用いて睡眠をとることで、睡眠が促進され、交感神経よりも副交感神経が優位となって、血圧を下げる効果が得られたものと推察される。
【0048】
(睡眠具提案装置100)
続いて、本実施形態の睡眠具セット1を構成する睡眠具を提案する睡眠具提案装置について説明する。
図7は、本実施形態の睡眠具提案装置100の説明図である。
なお、図7(A)は、睡眠具提案装置100の全体図であり、図7(B)は、睡眠具提案のための機能ブロック図である。
【0049】
図7(A)に示すように、睡眠具提案装置100は、CPUと、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROMと、CPUの作業用メモリ等として用いられるRAMと、不揮発性メモリであるHDDやSSDと、を備えている。また、睡眠具提案装置100は、液晶ディスプレイや有機ディスプレイ等を含む表示画面100dと、キーボードやマウス等を含む入力部100iとを備えている。
【0050】
そして、図7(B)に示すように、睡眠具提案装置100は、身体の大きさ等に関する身体情報を取得する身体情報取得部110と、睡眠具に関する情報を記憶する睡眠具記憶部120と、睡眠具を提案する睡眠具提案部130と、を備える。
【0051】
身体情報取得部110は、睡眠具を提案する対象となる人の身体情報を取得する。身体情報としては、身長、体重、頭部の大きさ、上肢の長さ、下肢の長さ、上肢の太さ、下肢の太さ、手の大きさ、足の大きさ、性別、年齢等を例示できる。
なお、身体情報取得部110は、例えば表示画面100dに入力を受け付ける画面を表示し、入力部100iにて身体のサイズに関する情報の入力を受け付ける。
【0052】
睡眠具記憶部120は、身体情報に関連付けられた複数の睡眠具の情報を記憶している。睡眠具記憶部120は、靴下10に関して、例えば大サイズ、中サイズおよび小サイズの3種類の靴下10の情報を記憶している。そして、睡眠具記憶部120は、例えば、足の大きさおよび下肢の長さに合う、靴下10の種類の情報を記憶している。
睡眠具記憶部120は、バンド20に関して、例えば大サイズおよび小サイズの2種類のバンド20を記憶している。そして、睡眠具記憶部120は、例えば、頭部の大きさに合う、バンド20の種類の情報を記憶している。
睡眠具記憶部120は、手袋40に関して、例えば大サイズ、中サイズおよび小サイズの3種類の手袋40を記憶している。そして、睡眠具記憶部120は、例えば、手の大きさおよび上肢の長さに合う、手袋40の種類の情報を記憶している。
【0053】
さらに、睡眠具記憶部120は、脚枕30に関して、対向上面部31tの高さおよび硬さが異なる4種類の脚枕30の情報を記憶している。具体的には、睡眠具記憶部120は、対向上面部31tが比較的高く、比較的硬い第1の脚枕30と、対向上面部31tが比較的高く、比較的柔らかい第2の脚枕30と、対向上面部31tが比較的低く、比較的硬い第3の脚枕30と、対向上面部31tが比較的低く、比較的柔らかい第4の脚枕30と、を記憶している。さらに、睡眠具記憶部120は、例えば、所定の下肢の長さ、下肢の太さ、または足の大きさの場合に、その下肢を載せた場合の対向上面部31tの高さが5cm以上15cm以下となる脚枕30の種類の情報を記憶している。
【0054】
睡眠具提案部130は、身体情報取得部110から、身体情報を取得する。そして、睡眠具提案部130は、睡眠具記憶部120を参照し、取得した身体情報に基づいて、その身体に合う睡眠具の組み合わせを提案する。具体的には、睡眠具提案部130は、身体情報から特定される身体のサイズに合う、靴下10の種類、バンド20の種類、手袋40の種類、および脚枕30の種類を、表示画面100dに表示する。
【0055】
以上説明したとおり、本実施形態の睡眠具提案装置100は、提案の対象となる人の身体情報と、予め記憶された睡眠具の情報とに基づいて、提案の対象となる人の睡眠を促進することが可能な睡眠具を提案する。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述した実施形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
1…睡眠具セット、10…靴下、20…バンド、30…脚枕、31…上面部、31t…対向上面部、32…凹部、40…手袋、41…手部、42…腕部、100…睡眠具提案装置、110…身体情報取得部、120…睡眠具記憶部、130…睡眠具提案部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7