(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064365
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ストレッチラベル装着装置およびストレッチラベル装着システム
(51)【国際特許分類】
B65C 3/14 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B65C3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172949
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁井 聖
(72)【発明者】
【氏名】植月 晶
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA07
3E095BA02
3E095CA01
3E095DA42
3E095DA83
3E095FA30
(57)【要約】
【課題】ラベルの仕上がり状態を良好に得ることができるストレッチラベル装着装置を提供する。
【解決手段】ストレッチラベル装着装置101は、対象物1を載せるための載置台5と、筒状のラベルを内側から押し広げて、下方に向かって対象物1の周囲を相対的に通過することによって前記ラベルを対象物1に被せるストレッチャ装置3と、対象物1に被さった状態の前記ラベルを内向きに押さえるクランパ装置4とを備える。ストレッチャ装置3は、対象物1の中心線10を取り囲むように配置され、対象物1の半径方向に変位可能な3以上のラベル拡開部材31を含む。クランパ装置4は、対象物1の半径方向に変位可能な3以上の対象物ガイド部材41を含む。クランパ装置4は、上下方向に移動可能であり、ラベル拡開部材31と、対象物ガイド部材41とは、上から見たときに、互いに重ならないように配列されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を載せるための載置台と、
前記対象物に被せるべき筒状のラベルを内側から押し広げて、前記対象物の上方から下方に向かって前記対象物の周囲を相対的に通過することによって前記ラベルを前記対象物に被せるストレッチャ装置と、
前記対象物に被さった状態の前記ラベルを前記対象物の外周面に対して内向きに押さえるクランパ装置とを備え、
前記ストレッチャ装置は、前記対象物の中心線を取り囲むように配置され、前記中心線に平行に延在し、前記対象物の半径方向に変位可能な3以上のラベル拡開部材を含み、
前記クランパ装置は、前記対象物を取り囲むように配置され、前記中心線に平行に延在し、前記対象物の半径方向に変位可能な3以上の対象物ガイド部材を含み、
前記クランパ装置が前記ラベルを押さえる際には、前記3以上の対象物ガイド部材の各々が、前記中心線に向かって、前記ラベルを押圧することができ、
前記クランパ装置は、上下方向に移動可能であり、
前記3以上のラベル拡開部材と、前記3以上の対象物ガイド部材とは、上から見たときに、互いに重ならないように配列されている、ストレッチラベル装着装置。
【請求項2】
前記3以上のラベル拡開部材と、前記3以上の対象物ガイド部材とは、同一の円周に沿って、交互に配置されている、請求項1に記載のストレッチラベル装着装置。
【請求項3】
回転可能な円形装置と、
前記円形装置の外周部に配列された、請求項1または2に記載のストレッチラベル装着装置と、
前記円形装置に備わる前記ストレッチラベル装着装置に前記対象物を引き渡す搬入装置と、
前記円形装置に備わる前記ストレッチラベル装着装置から前記ラベルを装着し終えた状態の前記対象物を引き取る搬出装置とを備え、
前記ストレッチラベル装着装置は、前記対象物が前記搬入装置の位置から前記搬出装置の位置まで前記円形装置の外周に沿って移動していく間に前記ラベルの装着を完了する、ストレッチラベル装着システム。
【請求項4】
前記3以上の対象物ガイド部材は、第1群と第2群とを含み、前記第1群の上端より前記第2群の上端は低い位置にある、請求項3に記載のストレッチラベル装着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチラベル装着装置およびストレッチラベル装着システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューブ状ラベルを対象物に被せる装着装置が、特許第4737835号(特許文献1)に記載されている。この装置では、対象物が「びん」である例が示されている。この装置では、下降する広げ掴みユニットによってラベル・スリーブがびんの上に被せられる。びんは掴みばさみによって保持されており、広げ掴みが掴みばさみを通過する際には、掴みばさみは開かれる。ラベル・スリーブが所定の高さに到達したとき、広げ掴みの下降運動は停止し、掴みばさみは完全に閉じられ、ラベルはびんの胴に圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、広げ掴みは、1対の掴みアームによって対象物を把持する構造となっている。ラベル装着後の対象物が1対のアームによってラベル越しに把持されると、アームが当接している箇所とそうでない箇所との間でラベルの伸びの差が生じ、仕上がり状態が悪化していた。
【0005】
そこで、本発明は、ラベルの仕上がり状態を良好に得ることができるストレッチラベル装着装置およびストレッチラベル装着システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に基づくストレッチラベル装着装置は、対象物を載せるための載置台と、前記対象物に被せるべき筒状のラベルを内側から押し広げて、前記対象物の上方から下方に向かって前記対象物の周囲を相対的に通過することによって前記ラベルを前記対象物に被せるストレッチャ装置と、前記対象物に被さった状態の前記ラベルを前記対象物の外周面に対して内向きに押さえるクランパ装置とを備える。前記ストレッチャ装置は、前記対象物の中心線を取り囲むように配置され、前記中心線に平行に延在し、前記対象物の半径方向に変位可能な3以上のラベル拡開部材を含む。前記クランパ装置は、前記対象物を取り囲むように配置され、前記中心線に平行に延在し、前記対象物の半径方向に変位可能な3以上の対象物ガイド部材を含む。前記クランパ装置が前記ラベルを押さえる際には、前記3以上の対象物ガイド部材の各々が、前記中心線に向かって、前記ラベルを押圧することができる。前記クランパ装置は、上下方向に移動可能である。前記3以上のラベル拡開部材と、前記3以上の対象物ガイド部材とは、上から見たときに、互いに重ならないように配列されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ラベルの仕上がり状態を良好に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着システムの平面図である。
【
図2】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着システムの装着ホイールが1周する間のストレッチラベル装着装置の動作の説明図である。
【
図3】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の立面図である。
【
図4】
図3におけるIV-IV線に関する矢視端面図である。
【
図5】
図3におけるV-V線に関する矢視端面図である。
【
図6】
図3におけるVI-VI線に関する矢視端面図である。
【
図7】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第1の説明図である。
【
図8】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第2の説明図である。
【
図9】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第3の説明図である。
【
図10】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第4の説明図である。
【
図11】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第5の説明図である。
【
図12】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第6の説明図である。
【
図13】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第7の説明図である。
【
図14】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第8の説明図である。
【
図15】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第9の説明図である。
【
図16】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第10の説明図である。
【
図17】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第11の説明図である。
【
図18】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第12の説明図である。
【
図19】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第13の説明図である。
【
図20】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第14の説明図である。
【
図21】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第15の説明図である。
【
図22】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第16の説明図である。
【
図23】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第17の説明図である。
【
図24】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第18の説明図である。
【
図25】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第19の説明図である。
【
図26】本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着装置の動作の第20の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
(構成)
図1~
図26を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるストレッチラベル装着システムについて説明する。本実施の形態におけるストレッチラベル装着システム801の平面図を
図1に示す。ストレッチラベル装着システム801は、搬入ホイール71と、装着ホイール72と、搬出ホイール73とを備える。対象物1は、公知技術による搬送手段によって、矢印90に示されるように供給される。この時点では、対象物1には、ストレッチラベルは未装着である。対象物1は、たとえば食品入りの容器である。対象物1は、食品以外のものを収めた容器であってもよい。対象物1は、容器以外のものであってもよい。
【0010】
搬入ホイール71の外周に等間隔に設けられた保持部によって、対象物1は個別に保持される。搬入ホイール71は矢印91の向きに回転する。搬入ホイール71の外周の一部に沿うようにガイド部材74が配置されている。ガイド部材74は円弧状に配置されている。ガイド部材74は、対象物1が搬入ホイール71から外に向かって脱落しないように支持するためのものである。上から見たとき、搬入ホイール71の外周と装着ホイール72の外周とは接している。搬入ホイール71がある程度回転したところで、搬入ホイール71から装着ホイール72へと対象物1が引き渡される。装着ホイール72の外周には、等間隔に複数のストレッチラベル装着装置101が配置されている。装着ホイール72は矢印92に示すように回転する。ストレッチラベル装着装置101の詳細な構成については、後述する。
【0011】
装着ホイール72においては、対象物1が矢印92で示されるように回転移動する間に、対象物1に対するストレッチラベルの装着が行なわれる。装着ホイール72の入口付近においては、装着ホイール72の外周の一部に沿うようにガイド部材75が配置されている。ガイド部材75は円弧状に配置されている。ガイド部材75は、搬入ホイール71から対象物1を受け取った直後の状態において、対象物1が装着ホイール72から外に向かって脱落しないように支持するためのものである。装着ホイール72におけるストレッチラベルの装着作業の詳細については、後述する。
【0012】
装着ホイール72においてラベルの装着が完了した対象物1は、装着ホイール72から搬出ホイール73へと引き渡される。装着ホイール72の出口付近においては、装着ホイール72の外周の一部に沿うようにガイド部材76が配置されている。ガイド部材76は円弧状に配置されている。ガイド部材76は、搬出ホイール73に引き渡す直前の時期において、対象物1が装着ホイール72から外に向かって脱落しないように支持するためのものである。
【0013】
上から見たとき、搬出ホイール73の外周と装着ホイール72の外周とは接している。搬出ホイール73の外周に等間隔に設けられた保持部によって、対象物1は個別に保持される。搬出ホイール73は矢印93の向きに回転する。搬出ホイール73の外周の一部に沿うようにガイド部材77が配置されている。ガイド部材77は円弧状に配置されている。ガイド部材77は、対象物1が搬出ホイール73から外に向かって脱落しないように支持するためのものである。
【0014】
装着ホイール72が1周する間のストレッチラベル装着装置101の動作を
図2に示す。
図2における横軸は装着ホイール72の回転角度を表す。
図2では、ストレッチラベル装着装置101の状態を側方から見たところを示している。ストレッチラベル装着装置101は、ストレッチャ装置3と、クランパ装置4と、載置台5とを含む。
図2では、これらの位置関係の変化を示している。
図2では、装着ホイール72の回転が進んでいくにつれて変化する様子を示している。1つのストレッチラベル装着装置101の詳細を
図3に示す。
【0015】
ストレッチラベル装着装置101は、上下方向に延在するレール6を備える。ストレッチャ装置3およびクランパ装置4はレール6に沿って上下に平行移動が可能なように支持されている。ストレッチャ装置3は、スライダ61,62を介してレール6によって支持されている。クランパ装置4は、スライダ63,64を介してレール6によって支持されている。
【0016】
ストレッチラベル装着装置101は、対象物1を載せるための載置台5を備える。載置台5は、載置部51と、載置部51を支持する支柱52とを備える。ここで示す例では、載置部51は板状の部材である。さらにストレッチラベル装着装置101は、ストレッチャ装置3と、クランパ装置4とを備える。ストレッチャ装置3は、対象物1に被せるべき筒状のラベル2を内側から押し広げて、対象物1の上方から下方に向かって対象物1の周囲を相対的に通過することによってラベル2を対象物1に被せる装置である。クランパ装置4は、対象物1に被さった状態のラベル2を対象物1の外周面に対して内向きに押さえる装置である。クランパ装置4は、装着ホイール72において対象物1を受け取り、対象物1を保持する装置でもある。
【0017】
ストレッチャ装置3は、3以上のラベル拡開部材31を含む。前記3以上のラベル拡開部材31は、対象物1の中心線10を取り囲むように配置されており、中心線10に平行に延在している。前記3以上のラベル拡開部材31は、対象物1の半径方向に変位可能となっている。3以上のラベル拡開部材31の各々は、上向きの突起部分と下向きの突起部分とを備える。クランパ装置4は、3以上の対象物ガイド部材41を含む。前記3以上の対象物ガイド部材41は、対象物1を取り囲むように配置され、中心線10に平行に延在している。前記3以上の対象物ガイド部材41は、対象物1の半径方向に変位可能となっている。
【0018】
クランパ装置4がラベル2を押さえる際には、前記3以上の対象物ガイド部材41の各々が、中心線10に向かって、ラベル2を押圧することができる。クランパ装置4は、上下方向に移動可能である。前記3以上のラベル拡開部材31と、前記3以上の対象物ガイド部材41とは、上から見たときに、互いに重ならないように配列されている。
【0019】
ストレッチャ装置3は、ベース部33と、摺動部32と、モータ34とを含む。摺動部32は、半径方向に変位可能なように、ベース部33によって支持されている。モータ34の回転により、カム機構を利用して、摺動部32の半径方向の変位が行なわれる。摺動部32が半径方向に変位することに伴って、ラベル拡開部材31も半径方向に変位する。ストレッチャ装置3は、当接部36を備える。ラベル拡開部材31が最も外側に変位したときは、ラベル拡開部材31と当接部36とによってラベル2を挟み込んで保持することができる。
【0020】
クランパ装置4は、ベース部43と、摺動部42と、モータ44とを含む。摺動部42は、半径方向に変位可能なように、ベース部43によって支持されている。モータ44の回転により、カム機構を利用して、摺動部42の半径方向の変位が行なわれる。摺動部42が半径方向に変位することに伴って、対象物ガイド部材41も半径方向に変位する。クランパ装置4は、当接部46を備える。当接部46は、対象物ガイド部材41の中間または先端近傍に配置されている。
【0021】
図3におけるIV-IV線に関する矢視端面図を
図4に示す。ストレッチャ装置3は、開口部3aを有する。ここで示す例では、ストレッチャ装置3は、6つのラベル拡開部材31と、6つの当接部36とを備える。各々のラベル拡開部材31は、それぞれ1つの当接部36と、同一半径上に並んで配置されている。各々のラベル拡開部材31が、半径方向に沿って最も外側に変位した際には、ラベル拡開部材31と当接部36とがラベル2を挟み込んで保持することができる。
図4においては、開口部を通して対象物ガイド部材41a,41bが見えている。
【0022】
図3におけるV-V線に関する矢視端面図を
図5に示す。
図5においては、レール6は図示していないが、
図5における左の方にレール6が存在する。
図5では、対象物1が載っていない状態を表示している。載置部51は外周に凹凸を有する。ここで示す例では、載置部51は外周に12ヶ所の凹部を有する。3以上の対象物ガイド部材41の各々は、載置部51の外周の凹部に対応して配置されている。3以上の対象物ガイド部材41は、半径方向に変位可能であり、
図5に示されているのは、3以上の対象物ガイド部材41が最も内側に位置している状態である。載置部51の外周の凹部のうち対象物ガイド部材41が入り込んでいない6ヶ所の凹部は、ラベル拡開部材31が入り込むための凹部である。ここで示す例では、クランパ装置4は、6つの対象物ガイド部材41を備える。6つの対象物ガイド部材41は、4つの対象物ガイド部材41aと、2つの対象物ガイド部材41bとを含む。ここで示す対象物ガイド部材の個数はあくまで一例である。4つの対象物ガイド部材41aの上端は、2つの対象物ガイド部材41bの上端より高い位置にある。対象物ガイド部材41aと対象物ガイド部材41bとの、上下方向の相対的な位置関係は固定されている。この相対的な位置関係を維持したまま、対象物ガイド部材41a,41bは、摺動部42と共に上下に移動可能である。これらは、載置部51に対して、相対的に上下方向に変位可能である。
図3では、対象物ガイド部材41a,41bが上側に変位した状態が示されている。対象物ガイド部材41aのうち対象物ガイド部材41bの上端より上側まで延在している部分は、対象物1を受け取る際に対象物1を支える役割を果たす。対象物1が装着ホイール72に出入りする際には、対象物ガイド部材41a,41bは下方に変位した状態にある。こうすることによって、対象物ガイド部材41bが対象物1の移動を妨げない状態となる。
【0023】
図3におけるVI-VI線に関する矢視端面図を
図6に示す。クランパ装置4は、開口部4aを有する。開口部4aの内側には、載置台5の一部である支柱52が見えている。
【0024】
図2に示した一連の動作について、
図7~
図26を参照して説明する。ここでは、1つのストレッチラベル装着装置101に注目して順に説明する。以下でいう「回転角度」とは、
図1に示すように、定めたものである。すなわち、
図1における真下を0°とし、装着ホイール72の回転の向き、すなわち、矢印92の向きを正とした角度である。
【0025】
図7は、装着ホイール72の回転角度0°の時点での状態を示す。ラベル拡開部材31の上端は、対象物ガイド部材41aの上端より低い位置にある。
【0026】
図8は、装着ホイール72の回転角度17.5°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3が上昇し、ラベル拡開部材31の上端は、対象物ガイド部材41aの上端より高い位置にある。
【0027】
図9は、装着ホイール72の回転角度35°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3がさらに上昇し、ストレッチャ装置3の筐体が対象物ガイド部材41aの上端より高い位置にある。
【0028】
図10は、装着ホイール72の回転角度52.5°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3がさらに上昇している。
【0029】
図11は、装着ホイール72の回転角度70°の時点での状態を示す。ラベル拡開部材31同士の間隔が狭くなっている。上方からは、筒状のラベル2が供給され、矢印95に示すようにストレッチャ装置3に接近している。
【0030】
図12は、装着ホイール72の回転角度90°の時点での状態を示す。筒状のラベル2が降下したことにより、ラベル拡開部材31がラベル2の内側に挿入されている。一方、載置部51の上面には、対象物1が載せられている。対象物1は、ガイド部材74,75によって、この位置に案内されており、対象物ガイド部材41aによっても支持されている。対象物1は、対象物ガイド部材41aがあることによって、図中左側に倒れないように支えられている。
【0031】
図13は、装着ホイール72の回転角度105°の時点での状態を示す。ラベル拡開部材31が外側に変位し、その結果、拡開部材31がラベル2の内面に接触した状態となっている。
【0032】
図14は、装着ホイール72の回転角度120°の時点での状態を示す。ラベル拡開部材31がさらに外側に変位し、その結果、ラベル2は外側に向けて押し広げられている。ラベル2は弾性変形し、ラベル拡開部材31に接している部分においてはラベル2の内径は当初より大きくなっている。この状態では、ラベル2は、ラベル拡開部材31と当接部36とに挟まれることによって保持されている。
【0033】
図15は、装着ホイール72の回転角度140°の時点での状態を示す。ラベル拡開部材31によってラベル2を保持したまま、ストレッチャ装置3は下降している。
【0034】
図16は、装着ホイール72の回転角度160°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3がさらに下降したことによって、ラベル拡開部材31の下向きの突起部分が、対象物1の外周面を取り囲む状態となっている。ラベル2は、ラベル拡開部材31によって保持されている。この時点で、対象物1は、ラベル拡開部材31によって周囲を囲まれているので、載置部51からは転落しない。したがって、
図1に示したガイド部材75が不要となる。この頃には、対象物1は装着ホイール72の回転によって、ガイド部材75のない区間へと進行する。ガイド部材75がないので、対象物ガイド部材41a,41bは、上昇可能となる。対象物ガイド部材41a,41bは、半径方向外側にやや変位して対象物1からやや離隔した状態で上昇する。
【0035】
図17は、装着ホイール72の回転角度176°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3がさらに下降したことによって、ラベル2の上部の押し広げられていない部分が、対象物1の上面に達しようとしている。この時点で、クランパ装置4は上昇中である。
【0036】
図18は、装着ホイール72の回転角度195°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3がさらに下降したことによって、ラベル2の上端が対象物1の上端より低い位置にある。この時点では、ラベル2の下半分においては、ラベル2の内側にラベル拡開部材31の上向きの突起部分が挿入されたままの状態となっている。
【0037】
図19は、装着ホイール72の回転角度215°の時点での状態を示す。クランパ装置4の一部である対象物ガイド部材41a,41bが内側に移動し、当接部46がラベル2の外面に接触している。当接部46は、ラベル2を介して対象物1を内向きに押圧している。
【0038】
図20は、装着ホイール72の回転角度230°の時点での状態を示す。当接部46が、ラベル2を介して対象物1を内向きに押さえつけた状態で、ストレッチャ装置3がさらに下降することによって、ラベル拡開部材31がラベル2に対して相対的に下方に移動している。すなわち、ラベル拡開部材31の上向きの突起部分が当初はラベル2に深く挿入されていたものが、抜ける方向にずれており、この時点では既に、ラベル拡開部材31の先端の一部がラベル2の内側に挿入されているのみである。
【0039】
図21は、装着ホイール72の回転角度245°の時点での状態を示す。ストレッチャ装置3がさらに下降したことによって、ラベル拡開部材31の上向きの突起部分がラベル2から完全に抜けている。ラベル2は弾力により、対象物1の外周面に密着している。すなわち、ラベル2は、対象物1に装着されている。
【0040】
図22は、装着ホイール72の回転角度265°の時点での状態を示す。対象物ガイド部材41a,41bが外側に移動し、その結果、当接部46がラベル2の外面から離れている。
【0041】
図23は、装着ホイール72の回転角度283°の時点での状態を示す。クランパ装置4が下降したことによって、対象物ガイド部材41aの上端が、対象物1の上端より低い位置にある。
【0042】
図24は、装着ホイール72の回転角度300°の時点での状態を示す。クランパ装置4がさらに下降した結果、対象物ガイド部材41bの上端が対象物1の下端よりも下側に位置している。この時点においても、対象物ガイド部材41aの上端は、対象物1の下端よりも上側に位置している。この状態においては、対象物ガイド部材41aの上部は、対象物1が
図24における左側に倒れないように支える役割を果たしている。
【0043】
図25は、装着ホイール72の回転角度320°の時点での状態を示す。対象物1はガイド部材76,77に挟まれるようにして案内されており、搬出ホイール73が対象物1に接している。このあと、対象物1は、搬出ホイール73に乗り移ることによって、装着ホイール72から離脱する。
【0044】
図26は、装着ホイール72の回転角度340°の時点での状態を示す。対象物1は既に搬出ホイール73に乗り移ったので、載置部51の上には何も載っていない。このあと、装着ホイール72の回転角度は360°となり、その時点で、回転角度0°の状態、すなわち、
図7に示した状態に戻る。こうして、装着ホイール72は回転を繰返す。
【0045】
なお、
図7~
図26を参照しながら言及した装着ホイール72の回転角度は、説明の便宜のために一例として示したものであって、この通りの角度に限るものではない。
【0046】
(作用・効果)
本実施の形態では、ストレッチャ装置3とクランパ装置4が連携して動作することによって、対象物1へのラベル2の装着を円滑に行なうことができる。クランパ装置4は対象物ガイド部材41を備えており、これによって対象物1が倒れないように支えた状態で、搬出ホイール73に対象物1を引き渡すことができるので、ラベル2を装着した後の対象物1をラベル2越しに把持して持ち上げるなどの作業は不要となるので、ラベル2の仕上がり状態を悪化させることを避けることができる。すなわち、本実施の形態によれば、ラベルの仕上がり状態を良好に得ることができる。また、従来、対象物1としての容器を保持する役割を果たす容器ガイドが用いられていたが、本実施の形態では、このような容器ガイドも不要となる。本実施の形態におけるクランパ装置4は、従来技術における容器ガイドとクランパとの2種類の役割を果たしている。
【0047】
従来技術において用いられていた容器ガイドは、対象物1としての容器の径が変わった場合には、容器の径に合わせて交換する必要があった。しかし、本実施の形態では、モータ44の動作により対象物ガイド部材41の半径方向の位置を適宜変更することができるので、異なる径の容器に対応するための部品交換は不要であり、異なる径の容器に容易に対応することができる。したがって、本実施の形態では、従来技術に比べてコスト低減に貢献することができる。
【0048】
前記3以上の対象物ガイド部材41は、第1群と第2群とを含み、前記第1群の上端より前記第2群の上端は低い位置にあることが好ましい。本実施の形態では、対象物ガイド部材41のうち第1群に属するものが対象物ガイド部材41aであり、第2群に属するものが対象物ガイド部材41bである。この構成を採用することにより、第1群に属する対象物ガイド部材41aによって対象物1を倒れないように支えつつ、第2群に属する対象物ガイド部材41bを、対象物1の側方への移動の妨げとならないように退避させることができる。
【0049】
なお、対象物ガイド部材41の総数は、たとえば6であってよい。この場合、たとえば第1群に属する対象物ガイド部材41aの数が4であって、第2群に属する対象物ガイド部材41bの数が2であってもよい。あるいは、たとえば第1群に属する対象物ガイド部材41aの数が3であって、第2群に属する対象物ガイド部材41bの数が3であってもよい。対象物ガイド部材41の総数は、6以外であってもよい。
【0050】
前記3以上のラベル拡開部材31と、前記3以上の対象物ガイド部材41とは、同一の円周に沿って、交互に配置されていることが好ましい。この構成を採用することにより、ラベル2の押し広げ、および、装着後のラベル2への押圧を、なるべく均等にしつつ、ラベル拡開部材31と対象物ガイド部材41とのすれ違いを円滑に行なうことができる。本実施の形態で示したストレッチラベル装着装置101では、ラベル拡開部材31と対象物ガイド部材41とは、交互に配置されている。
【0051】
本実施の形態で示したストレッチラベル装着システム801では、回転可能な円形装置としての装着ホイール72と、前記円形装置の外周部に配列された、これまでに述べたストレッチラベル装着装置101と、前記円形装置に備わる前記ストレッチラベル装着装置101に対象物1を引き渡す搬入装置としての搬入ホイール71と、前記円形装置に備わるストレッチラベル装着装置101からラベル2を装着し終えた状態の対象物1を引き取る搬出装置としての搬出ホイール73とを備え、ストレッチラベル装着装置101は、対象物1が前記搬入装置の位置から前記搬出装置の位置まで前記円形装置の外周に沿って移動していく間にラベル2の装着を完了する。この構成を採用することにより、ラベルの仕上がり状態を良好に得ることができる。
【0052】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0053】
1 対象物、2 ラベル、3 ストレッチャ装置、3a 開口部、4 クランパ装置、4a 開口部、5 載置台、6 レール、10 (対象物の)中心線、31 ラベル拡開部材、32,42 摺動部、33,43 ベース部、34,44 モータ、41,41a,41b 対象物ガイド部材、36,46 当接部、51 載置部、52 支柱、61,62,63,64 スライダ、71 搬入ホイール、72 装着ホイール、73 搬出ホイール、74,75,76,77 ガイド部材、90,91,92,93,94,95 矢印、101 ストレッチラベル装着装置、801 ストレッチラベル装着システム。