(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006439
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】衝立
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108658
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】593172326
【氏名又は名称】川島商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 将之
(57)【要約】
【課題】 持ち運びが可能で、布地が洗濯できる衝立を提供する。
【解決手段】 この衝立は、囲繞材2と芯材4とよりなる。囲繞材2は、長方形の4個の布帛製袋体1,1,1,1が並列に連設されている。布帛製袋体1,1,1,1は、心材4が挿入される口3,3,3,3を上部に具えている。隣り合う布帛製袋体1,1は、縫着によって連設されており、縫着線を軸として略360°の範囲で回動可能である。したがって、布帛製袋体1,1間を回動させて、直立させることができる。また、布帛製袋体1,1間を折り畳むことができ、持ち運びが容易である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の複数個の布帛製袋体が、その口を同一方向にして、並列に連設されてなる囲繞材と、
前記布帛製袋体の口に挿入される芯材とよりなり、
隣り合う前記布帛製袋体は、前記芯材を挿入した状態で回動可能であって、直立させ且つ折り畳むことのできる衝立。
【請求項2】
囲繞材が一枚の布帛で構成され、複数個の布帛製袋体が縫着線によって連設されてなる請求項1記載の衝立。
【請求項3】
布帛製袋体の口が面ファスナーによって閉じられる請求項1記載の衝立。
【請求項4】
芯材が、段ボール紙、プラスチックダンボール、発泡板及びコルク板よりなる群から選ばれたものである請求項1記載の衝立。
【請求項5】
芯材が二分割され、分割芯材間が可撓性材を介して連結されており、隣り合う布帛製袋体間の回動方向とは直交する方向に回動可能である請求項1記載の衝立。
【請求項6】
矩形の布帛を折り返し、両側部を縫着すると共に、該両側部と平行に縫着して長方形の複数個の布帛製袋体を得る請求項1記載の囲繞材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染防止のため、又はプライベート空間を形成するために用いる衝立に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、空間を仕切るために衝立が用いられている。最近、新型コロナウイルスの感染を防止するため、透明なアクリル板よりなる衝立が用いられている。しかしながら、アクリル板よりなる衝立は、重量が重く、持ち運びすることができない。
【0003】
持ち運び可能な衝立として、複数のパネルを連結したものが知られている(特許文献1)。この衝立は、磁石を設けた枠に布地を展張してなるパネルよりなり、複数のパネルを磁石で連結するというものである。しかしながら、このパネルは、枠と布地が一体化しているため、布地を洗濯しにくいということがあった。また、枠に磁石が設けられているので、ノート型パソコンやUSBメモリーと一緒に鞄に入れて持ち運ぶと、メモリーが破壊される恐れがあった。
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、持ち運びが可能で、布地が洗濯できる衝立を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長方形の複数個の布帛製袋体が、その口を同一方向にして、並列に連設されてなる囲繞材と、前記布帛製袋体の口に挿入される芯材とよりなり、隣り合う前記布帛製袋体は、前記芯材を挿入した状態で回動可能であって、直立させ且つ折り畳むことのできる衝立に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る衝立は、囲繞材が布帛製であるため、芯材を布帛製袋体の口から抜去すれば、囲繞材を容易に洗濯することができる。また、隣り合う布帛製袋体は芯材を挿入した状態で、回動可能であるため、隣り合う布帛製袋体を適宜の角度にして、直立させ衝立とすることができると共に、折り畳むこともできるので持ち運びが容易である。さらに、本発明に係る衝立の囲繞材が表面に凹凸のある布帛製であるため、この布帛に新型コロナウイルスが付着した場合、アクリル板等の表面の平滑なプラスチック製のものに付着した場合に比べて、新型コロナウイルスの生存期間が短く、新型コロナウイルスの感染をより効果的に防止しうるという効果も奏する
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一例に係る衝立を直立させた状態の写真である。
【
図2】
図1の衝立が有している一つの布帛製袋体から、芯材を部分的に抜去した状態の写真である。
【
図3】
図1の衝立が有している布帛製袋体を折り畳んだ状態の写真である。
【
図4】本発明の他の例に係る衝立を直立させた状態の写真である。
【
図5】
図4の衝立が有している一つの布帛製袋体から、芯材を部分的に抜去した状態の写真である。
【
図6】
図4の衝立が有している布帛製袋体を折り畳んだ状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一例に係る衝立を直立させた状態の写真であり、1は布帛製袋体であり、2は囲繞体であり、3は袋体1の口である。長方形の布帛製袋体1は、いずれも口3を上部にして、並列に4個連設されている。布帛製袋体1の個数は複数個であればよく、2~6個程度であればよい。隣り合う布帛製袋体1,1間は、各布帛製袋体1,1の表側の布帛と裏側の布帛を縫製することにより連設されて、囲繞体2となっている。すなわち、囲繞体2は、矩形の布帛を折り返し、両側部を縫製すると共に、該両側部と平行に縫製することにより、複数個の布帛製袋体1が連設することになる。したがって、囲繞材2が一枚の布帛で構成され、複数個の布帛製袋体1が縫製線によって連設されていることになる。なお、布帛としては、織物、編物、不織布又はラミネート布帛或いはコーティング布帛等の合成樹脂と一体化した布帛等の従来公知の布帛が用いられる。
【0010】
図1では、織物である布帛がミシン糸で縫製されているが、線状の接着剤で接着されていてもよい。また、布帛として、熱可塑性合成繊維よりなる布帛を用い、この熱可塑性合成繊維を軟化又は溶融させることにより、線状に融着してもよい。さらに、布帛として、熱可塑性合成樹脂がコーティング又はラミネートされてなる布帛を用い、この熱可塑性合成樹脂を軟化又は溶融させることにより、線状に融着してもよい。なお、本発明で用いている「縫着」という用語は、縫製、接着、融着及び溶着等を含むものであり、何らかの手段で結合させることを意味している。したがって、隣り合う布帛製袋体1,1は、縫着線を軸として、略360°の範囲で回動自在になっている。
【0011】
布帛製袋体1の口3から、芯材4が挿入されている。
図2では、芯材4としてプラスチックダンボールを用いているが、板状のものであれば、どのようなものであってもよい。たとえば、段ボール紙、発泡板、コルク板、繊維ボード、合成樹脂板、木板、金属板又は無機ボード等であってもよい。芯材4は軽量である方が持ち運びしやすいため、特に、段ボール紙、プラスチックダンボール、発泡板又はコルク板を用いるのが好ましい。
【0012】
布帛製袋体1の口3は、芯材4を挿入した後、閉じるのが好ましい。
図1及び
図2の布帛製袋体1の口3は、内側に面ファスナーを設けて閉じているが、口3の縁に線ファスナーを設けて閉じてもよい。また、口3にホックボタンやスナップボタン等の公知のボタンを設けて閉じてもよい。
【0013】
図3は、
図1の衝立の隣り合う布帛製袋体1,1間を、縫製線を軸として折り畳み、4個の布帛製袋体1,1,1,1が重合されている状態を示した写真である。かかる状態に折り畳むことができるので、持ち運びが容易である。
【0014】
図4は、他の例に係る衝立を直立させた状態の写真である。この衝立は、
図5に示したように、段ボール紙よりなる芯材4が二分割されており、分割芯材4aと分割芯材4bの端面突き合わせ箇所に布製粘着テープ5を貼着して、連結されている。分割芯材4aと分割芯材4bの端面は当接せずに、若干の隙間をもって突き合わされているのが好ましい。したがって、分割芯材4aと分割芯材4bとが、布製粘着テープ5を介して連結されていることになる。もちろん、布製粘着テープ5に代え、その他の可撓性材を用いて、分割芯材4a及び4bを連結してもよい。たとえば、分割芯材4a及び4bの端面突き合わせ箇所を糸で縫うことによって連結してもよいし、弾性接着剤で端面突き合わせ箇所を接着して連結してもよい。前者の場合、糸を介して分割芯材4aと分割芯材4bとが連結されていることになり、後者の場合、弾性接着剤を介して分割芯材4aと分割芯材4bとが連結されていることになる。
【0015】
図6は、
図4の衝立を折り畳んだ状態の写真である。
図4の衝立は、芯材4として、可撓性材である布製粘着テープ5を介して連結された分割芯材4a及び4bを用いているので、上下方向に略360℃の範囲で回動自在である。したがって、4個の布帛製袋体1,1,1,1を同時に、分割芯材4a及び4bの端面突き合わせ箇所を軸として、上下方向に二つ折りにし、その後、二つ折りされた隣り合う布帛製袋体1,1,1,1を、縫製線を軸として折り畳むことができる。
図6の写真から明らかなように、この衝立は、
図3の衝立に比べて、コンパクトに折り畳むことができ、持ち運びがより容易になる。
【0016】
図面に示した衝立の寸法は、以下のとおりである。囲繞材2は横が約60cmで縦が約37cm、布帛製袋体1は横が約15cmで縦が約37cmである。芯材4は、布帛製袋体1に挿入しやすいように、布帛製袋体1の寸法よりも若干小さくなっており、横が約13cmで縦が約34cmである。分割芯材4a及び4bは芯材4を縦方向に略均等に二分割したもので、横が約13cmで縦が16.8mmである。分割芯材4a及び4bの縦の合計が、芯材4の縦よりも若干短いのは、分割芯材4a及び4bの端面突き合わせ箇所に隙間を設けて、回動しやすいようにするためである。なお、図面に示した衝立は、本発明に係る衝立の一例にすぎず、寸法は任意に変更可能である。たとえば、新型コロナウイルスの飛沫感染を防止するためには、縦の寸法を50cm以上とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0017】
1 布帛製袋体
2 囲繞材
3 布帛製袋体の口
4 芯材
4a 分割芯材
4b 分割芯材
5 布製粘着テープ