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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064408
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220419BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220419BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/00 K
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173020
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 慎司
(72)【発明者】
【氏名】林 紀佳
(72)【発明者】
【氏名】三宅 圭二
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
(72)【発明者】
【氏名】前 伸一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA05
5G503BB01
5G503BB02
5G503DA04
5G503EA09
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA02
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF42
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、隣り合う二次電池の間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子のうち、開放故障している直列接続用素子を特定する。
【解決手段】2つの二次電池B1、B2を直列接続するための故障チェック経路L1に含まれる故障チェック対象の直列接続用素子S31を導通させているとき、故障チェック経路L1に流れる電流が閾値Ic1以下である場合、故障チェック対象の直列接続用素子S31が開放故障していると判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
前記複数の二次電池の正極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第1出力部スイッチと、
前記複数の二次電池の負極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第2出力部スイッチと、
隣り合う前記二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子と、
前記複数の二次電池を互いに直列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを遮断させるとともに前記複数の直列接続用素子を導通させ、前記複数の二次電池を互いに並列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを導通させるとともに前記複数の直列接続用素子を遮断させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、2つの前記二次電池を直列接続するための故障チェック経路に含まれる故障チェック対象の前記直列接続用素子を導通させているとき、前記故障チェック経路に流れる電流が第1の閾値以下である場合、前記故障チェック対象の直列接続用素子が開放故障していると判断する
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記故障チェック対象の直列接続用素子が開放故障していないと判断した場合、他の直列接続用素子を前記故障チェック対象として選択する
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、すべての前記直列接続用素子を前記故障チェック対象とした後、開放故障している前記直列接続用素子に接続される二次電池以外の各二次電池を順次互いに直列接続させて、すべての前記二次電池を充電する
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池を互いに直列接続させているときに前記複数の二次電池に流れる電流が第2の閾値以下である場合、前記故障チェック経路に流れる電流が前記第1の閾値以下であるか否かを判断する
ことを特徴とする二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池システムとして、それぞれの一方端子が各二次電池の正極端子に接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第1出力部スイッチと、それぞれの一方端子が各二次電池の負極端子に接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第2出力部スイッチと、隣り合う二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子とを備えるものがある。上記二次電池システムでは、各二次電池を互いに直列接続させる場合、各第1出力部スイッチ及び各第2出力部スイッチを遮断させるとともに各直列接続用素子を導通させ、各二次電池を互いに並列接続させる場合、各第1出力部スイッチ及び各第2出力部スイッチを導通させるとともに各直列接続用素子を遮断させる。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
しかしながら、上記二次電池システムでは、各二次電池を互いに直列接続させた状態において、各二次電池に電流が流れなかった場合、少なくとも1つの直列接続用素子が開放故障していると判断することができるが、開放故障している直列接続用素子を特定することができないという懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-054677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面に係る目的は、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、隣り合う二次電池の間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子のうち、開放故障している直列接続用素子を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一つの形態である二次電池システムは、複数の二次電池と、前記複数の二次電池の正極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第1出力部スイッチと、前記複数の二次電池の負極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第2出力部スイッチと、隣り合う前記二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子と、前記複数の二次電池を互いに直列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを遮断させるとともに前記複数の直列接続用素子を導通させ、前記複数の二次電池を互いに並列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを導通させるとともに前記複数の直列接続用素子を遮断させる制御部とを備える。
【0007】
前記制御部は、2つの前記二次電池を互いに直列接続するための故障チェック経路に含まれる故障チェック対象の前記直列接続用素子を導通させているとき、前記故障チェック経路に流れる電流が第1の閾値以下である場合、前記故障チェック対象の直列接続用素子が開放故障していると判断する。
【0008】
これにより、すべての直列接続用素子を故障チェック対象とすることにより、開放故障している直列接続用素子を特定することができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記故障チェック対象の直列接続用素子が開放故障していないと判断した場合、他の直列接続用素子を前記故障チェック対象として選択するように構成してもよい。
【0010】
また、前記制御部は、すべての前記直列接続用素子を前記故障チェック対象とした後、開放故障している前記直列接続用素子に接続される二次電池以外の各二次電池を順次互いに直列接続させて、すべての前記二次電池を充電するように構成してもよい。
【0011】
これにより、各二次電池を互いに並列接続させて各二次電池を充電する場合に比べて、充電時間を短くすることができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記複数の二次電池を互いに直列接続させているときに前記複数の二次電池に流れる電流が第2の閾値以下である場合、前記故障チェック経路に流れる電流が前記第1の閾値以下であるか否かを判断するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、隣り合う二次電池の間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子のうち、開放故障している直列接続用素子を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
図2】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】実施形態の二次電池システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0016】
図1は、実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
【0017】
図1に示す二次電池システム1は、フォークリフトやトーイングトラクタなどの産業車両Veに搭載される。なお、産業車両Veは、二次電池システム1の他に、走行用モータなどの負荷Loを備える。
【0018】
また、二次電池システム1は、負荷Loに電力を供給し、外部の充電器Chから電力が供給される。なお、充電器Chは、産業車両Veの内部に設けられていてもよい。
【0019】
また、二次電池システム1は、二次電池B1~B3と、正極側充電端子Tipと、負極側充電端子Tinと、正極側放電端子Topと、負極側放電端子Tonと、第1出力部スイッチS11~S13と、第2出力部スイッチS21~S23と、直列接続用素子S31、S32と、ヒューズF1~F3と、電流計Si1~Si3と、制御部2とを備える。
【0020】
また、二次電池B1~B3を特に区別しない場合、単に、二次電池Bとする。また、第1出力部スイッチS11~S13を特に区別しない場合、単に、第1出力部スイッチS1とする。また、第2出力部スイッチS21~S23を特に区別しない場合、単に、第2出力部スイッチS2とする。また、直列接続用素子S31、S32を特に区別しない場合、単に、直列接続用素子S3とする。また、ヒューズF1~F3を特に区別しない場合、単に、ヒューズFとする。電流計Si1~Si3を特に区別しない場合、単に、電流計Siとする。
【0021】
また、二次電池B、第1出力部スイッチS1、及び第2出力部スイッチS2のそれぞれの数は3つに限定されない。また、直列接続用素子S3の数は2つに限定されない。例えば、二次電池B、第1出力部スイッチS1、及び第2出力部スイッチS2のそれぞれの数を2つとし、直列接続用素子S3を1つとする場合、二次電池システム1は、二次電池B1、B2と、第1出力部スイッチS11、S12と、第2出力部スイッチS21、S22と、直列接続用素子S31とを備える。このように構成する場合、負極側充電端子Tinは、二次電池B2の負極端子に接続されるとともに第2出力部スイッチS22に接続されるものとする。
【0022】
二次電池Bは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの1つ以上の充放電可能な電池(モジュール)により構成される。
【0023】
第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は、それぞれ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチまたは機械式スイッチ(電磁式リレー)により構成される。なお、直列接続用素子S3は、ダイオードにより構成されてもよい。
【0024】
ヒューズF1は、二次電池B1に流れる電流が定格電流より大きくなると溶断し、許容電流を超える電流が二次電池B1に流れることを防止する。また、ヒューズF2は、二次電池B2に流れる電流が定格電流より大きくなると溶断し、許容電流を超える電流が二次電池B2に流れることを防止する。また、ヒューズF3は、二次電池B3に流れる電流が定格電流より大きくなると溶断し、許容電流を超える電流が二次電池B3に流れることを防止する。
【0025】
電流計Si1は、二次電池B1に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部2に送る。また、電流計Si2は、二次電池B2に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部2に送る。また、電流計Si3は、二次電池B3に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部2に送る。
【0026】
すなわち、第1出力部スイッチS11の一方端子が二次電池B1の正極端子に接続されているとともに正極側充電端子Tipを介して充電器Chの正極端子に接続され、第1出力部スイッチS12の一方端子が二次電池B2の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS13の一方端子が二次電池B3の正極端子に接続されている。また、第1出力部スイッチS11~S13のそれぞれの他方端子が互いに接続されているとともに正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に接続されている。また、第2出力部スイッチS21の一方端子がヒューズF1及び電流計Si1を介して二次電池B1の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS22の一方端子がヒューズF2及び電流計Si2を介して二次電池B2の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS23の一方端子がヒューズF3及び電流計Si3を介して二次電池B3の負極端子に接続されている。また、第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの他方端子が互いに接続されているとともに負極側放電端子Tonを介して負荷Loの負極端子に接続されている。また、直列接続用素子S31の一方端子が隣り合う二次電池B1、B2のうちの二次電池B2の正極端子に接続され、直列接続用素子S31の他方端子がヒューズF1及び電流計Si1を介して二次電池B1の負極端子に接続されている。また、直列接続用素子S32の一方端子が隣り合う二次電池B2、B3のうちの二次電池B3の正極端子に接続され、直列接続用素子S32の他方端子がヒューズF2及び電流計Si2を介して二次電池B2の負極端子に接続されている。なお、直列接続用素子S31、S32をダイオードにより構成する場合、直列接続用素子S31、S32のそれぞれの一方端子がカソード端子に対応し、直列接続用素子S31、S32のそれぞれの他方端子がアノード端子に対応する。
【0027】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、二次電池B1~B3の充電または放電に応じて、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31、S32のそれぞれの動作を制御する。直列接続用素子S31、S32がダイオードにより構成される場合、直列接続用素子S31、S32が半導体スイッチまたは機械式スイッチにより構成される場合に比べて、直列接続用素子S31、S32の動作を制御する必要がない分、制御部2にかかる負荷を軽減することができる。
【0028】
<二次電池B1~B3の充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0029】
制御部2は、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させるとともに直列接続用素子S31、S32を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1~B3が充電される。このように、二次電池B1~B3を充電させる場合、二次電池B1~B3を互いに直列接続させることにより、二次電池B1~B3全体にかかる電圧を比較的高くすることができるため、二次電池B1~B3に流れる電流を低減することができる。そのため、充電器Chと産業車両Veとを互いにつなぐ充電ケーブルを小型化することができるため、充電作業性を向上させることができる。
【0030】
<二次電池B1~B3のうちの一部の二次電池Bの充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0031】
制御部2は、二次電池B1を充電させるとともに二次電池B2、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS22、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S23を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1のみが充電される。
【0032】
制御部2は、二次電池B2を充電させるとともに二次電池B1、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び第2出力部スイッチS22、S23を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2のみが充電される。
【0033】
制御部2は、二次電池B3を充電させるとともに二次電池B1、B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B3のみが充電される。
【0034】
また、制御部2は、二次電池B1、B2を充電させるとともに二次電池B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS22、S23及び直列接続用素子S31を導通させる。これにより、二次電池B1、B2を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B2のみが充電される。
【0035】
また、制御部2は、二次電池B2、B3を充電させるとともに二次電池B1を充電させない場合、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び直列接続用素子S32を導通させる。これにより、二次電池B2、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2、B3のみが充電される。
【0036】
また、二次電池B1、B3を充電させるとともに二次電池B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、S13及び直列接続用素子S31を導通させる。これにより、二次電池B1、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、第1出力部スイッチS12、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B3のみが充電される。
【0037】
または、二次電池B1、B3を充電させるとともに二次電池B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S22及び直列接続用素子S32を導通させる。これにより、二次電池B1、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B3のみが充電される。
【0038】
<二次電池B1~B3の放電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0039】
制御部2は、直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに並列接続させることができる。そして、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、第2出力部スイッチS21、ヒューズF1、電流計Si1、二次電池B1、第1出力部スイッチS11、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、第2出力部スイッチS22、ヒューズF2、電流計Si2、二次電池B2、第1出力部スイッチS12、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、第2出力部スイッチS23、ヒューズF3、電流計Si3、二次電池B3、第1出力部スイッチS13、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が放電される。このように、二次電池B1~B3を放電させる場合、二次電池B1~B3を並列接続することにより、二次電池B1~B3の全体の容量を増加させることができる。
【0040】
<故障チェック経路の形成時>
制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S31を選択する場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS22、S23及び直列接続用素子S31を導通させることにより、正極側充電端子Tipと、二次電池B1と、電流計Si1と、ヒューズF1と、直列接続用素子S31と、二次電池B2と、電流計Si2と、ヒューズF2と、第2出力部スイッチS22と、第2出力部スイッチS23と、負極側充電端子Tinと、充電器Chの負極端子とを含む故障チェック経路L11を形成する。
【0041】
または、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S31を選択する場合、第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、S13及び直列接続用素子S31を導通させることにより、正極側充電端子Tipと、二次電池B1と、電流計Si1と、ヒューズF1と、直列接続用素子S31と、第1出力部スイッチS12、第1出力部スイッチS13、二次電池B3と、電流計Si3と、ヒューズF3と、負極側充電端子Tinと、充電器Chの負極端子とを含む故障チェック経路L12を形成する。
【0042】
また、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S32を選択する場合、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び直列接続用素子S32を導通させることにより、正極側充電端子Tipと、第1出力部スイッチS11と、第1出力部スイッチS12と、二次電池B2と、電流計Si2と、ヒューズF2と、直列接続用素子S32と、二次電池B3と、電流計Si3と、ヒューズF3と、負極側充電端子Tinと、充電器Chの負極端子とを含む故障チェック経路L21を形成する。
【0043】
または、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S32を選択する場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S22及び直列接続用素子S32を導通させることにより、正極側充電端子Tipと、二次電池B1と、電流計Si1と、ヒューズF1と、第2出力部スイッチS21と、第2出力部スイッチS22と、直列接続用素子S32と、二次電池B3と、電流計Si3と、ヒューズF3と、負極側充電端子Tinと、充電器Chの負極端子とを含む故障チェック経路L22を形成する。
【0044】
<直列接続用素子S3の故障判断時>
制御部2は、故障チェック経路L11に含まれる電流計Si1、Si2により計測される電流が閾値Ith11以下である場合、直列接続用素子S31が開放故障(オープン故障)していると判断する。なお、開放故障とは、直列接続用素子S3の抵抗値が増大することで直列接続用素子S3に電流が流れない状態とする。また、閾値Ith11は、直列接続用素子S31が遮断しているときに故障チェック経路L11に流れる電流の最大値とする。
【0045】
または、制御部2は、故障チェック経路L12に含まれる電流計Si1、Si3により計測される電流が閾値Ith12以下である場合、直列接続用素子S31が開放故障していると判断する。なお閾値Ith12は、直列接続用素子S31が遮断しているときに故障チェック経路L12に流れる電流の最大値とする。
【0046】
また、制御部2は、故障チェック経路L21に含まれる電流計Si2、Si3により計測される電流が閾値Ith21以下である場合、直列接続用素子S32が開放故障していると判断する。なお、閾値Ith21は、直列接続用素子S32が遮断しているときに故障チェック経路L21に流れる電流の最大値とする。
【0047】
または、制御部2は、故障チェック経路L22に含まれる電流計Si1、Si3により計測される電流が閾値Ith22以下である場合、直列接続用素子S32が開放故障していると判断する。なお、閾値Ith22は、直列接続用素子S32が遮断しているときに故障チェック経路L22に流れる電流の最大値とする。
【0048】
すなわち、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3を導通させているとき、開放故障チェック経路に流れる電流が閾値Ith以下である場合、開放故障チェック対象の直列接続用素子S3が開放故障していると判断する。
【0049】
<直列接続用素子S3が開放故障している場合における二次電池Bの充電時>
なお、第1出力部スイッチS1及び第2出力部スイッチS2は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0050】
制御部2は、直列接続用素子S31が開放故障していると判断すると、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS22、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S23を導通させる。これにより、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B1のみが充電される。次に、制御部2は、第1出力部スイッチS13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び直列接続用素子S32を導通させることにより二次電池B2、B3を互いに直列接続させる。これにより、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B2、B3のみが充電される。
【0051】
このように、直列接続用素子S31が開放故障している場合、二次電池B1を充電した後、互いに直列接続される二次電池B2、B3を充電することにより、互いに並列接続される二次電池B1~B3を充電する場合に比べて、二次電池B1~B3の全体の充電時間を短くすることができる。例えば、充電器Chから二次電池システム1に90[A]の電流を流すことが可能な状態において、二次電池B1~B3にそれぞれ90[A]の電流が1時間流れることで二次電池B1~B3の充電が完了する場合を想定する。このような場合において、上述のように、二次電池B1を充電した後、互いに直列接続される二次電池B2、B3を充電する場合、1時間の充電が2回繰り返されるため、二次電池B1~B3の全体の充電時間は2時間となる。一方、互いに並列接続される二次電池B1~B3を充電する場合、二次電池B1~B3にそれぞれ流れる電流は1/3になるため、二次電池B1~B3の全体の充電時間は3時間になる。
【0052】
また、制御部2は、直列接続用素子S32が開放故障していると判断すると、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21、S22を遮断させるとともに第2出力部スイッチS22、S23及び直列接続用素子S31を導通させることにより二次電池B1、B2を互いに直列接続させる。これにより、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B1、B2のみが充電される。次に、制御部2は、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13を導通させる。これにより、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B3のみが充電される。
【0053】
このように、直列接続用素子S32が開放故障している場合、互いに直列接続される二次電池B1、B2を充電した後、二次電池B3を充電することにより、互いに並列接続される二次電池B1~B3を充電する場合に比べて、二次電池B1~B3の全体の充電時間を短くすることができる。例えば、充電器Chから二次電池システム1に90[A]の電流を流すことが可能な状態において、二次電池B1~B3にそれぞれ90[A]の電流が1時間流れることで二次電池B1~B3の充電が完了する場合を想定する。このような場合において、上述のように、互いに直列接続される二次電池B1、B2を充電した後、二次電池B3を充電する場合、1時間の充電が2回繰り返されるため、二次電池B1~B3の全体の充電時間は2時間となる。一方、互いに並列接続される二次電池B1~B3を充電する場合、二次電池B1~B3にそれぞれ流れる電流は1/3になるため、二次電池B1~B3の全体の充電時間は3時間になる。
【0054】
図2は、充電時の制御部2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
まず、制御部2は、充電指示が入力されると(ステップS1:Yes)、二次電池B1~B3を互いに直列接続させ(ステップS2)、充電電流指示を充電器Chに送ることで充電を開始させる(ステップS3)。
【0056】
次に、制御部2は、電流計Si1~Si3により計測される電流が閾値Ith0(第2の閾値)より大きい場合、すなわち、直列接続用素子S31、S32が開放故障していない場合(ステップS4:No)、二次電池B1~B3の充電が完了するまで二次電池B1~B3の充電を継続し(ステップS5:No)、二次電池B1~B3の充電が完了すると(ステップS5:Yes)、二次電池B1~B3を互いに並列接続させる(ステップS6)。なお、閾値Ith0は、直列接続用素子S31、S32が遮断しているときに電流計Si1~Si3により計測される電流の最大値とする。
【0057】
一方、制御部2は、電流計Si1~Si3により計測される電流が閾値Ith0以下である場合、すなわち、直列接続用素子S31、S32の少なくとも1つが開放故障している場合(ステップS4:Yes)、故障チェック経路を形成する(ステップS7)。
【0058】
次に、制御部2は、故障チェック経路に含まれる電流計Siにより計測される電流が閾値Ith(第1の閾値)以下である場合(ステップS8:Yes)、故障チェック対象の直列接続用素子S3が開放故障していると判断する(ステップS9)。なお、閾値Ithは、上記閾値Ith11、Ith12、Ith21、Ith22の何れかになるものとする。
【0059】
一方、制御部2は、故障チェック経路に含まれる電流計Siにより計測される電流が閾値Ithより大きい場合(ステップS8:No)、ステップS10の処理に進む。
【0060】
次に、制御部2は、すべての直列接続用素子S3を故障チェックしていないと判断した場合(ステップS10:No)、故障チェックしていない次の故障チェック対象の直列接続用素子S3を選択した後(ステップS11)、ステップS7の処理に戻り、ステップS11の処理で選択した故障チェック対象の直列接続用素子S3を含む故障チェック経路を形成する。
【0061】
一方、制御部2は、すべての直列接続用素子S3を故障チェックしたと判断すると(ステップS10:Yes)、開放故障している直列接続用素子S3に接続される二次電池B以外の各二次電池Bを順次互いに並列接続させ(ステップS12)、二次電池B1~B3の充電が完了すると(ステップS5:Yes)、二次電池B1~B3を互いに並列接続させる(ステップS6)。
【0062】
このように、実施形態の二次電池システム1では、故障チェック対象の直列接続用素子S3を導通させているとき、故障チェック経路に流れる電流が閾値Ith以下である場合、故障チェック対象の直列接続用素子S3が開放故障していると判断することができるため、すべての直列接続用素子S3を故障チェック対象とすることにより、開放故障している直列接続用素子S3を特定することができる。
【0063】
また、実施形態の二次電池システム1では、開放故障している直列接続用素子S3を特定することができるため、その開放故障している直列接続用素子S3に接続される二次電池B以外の各二次電池Bを順次互いに並列接続させて充電することができる。そのため、各二次電池Bを互いに並列接続させて充電する場合に比べて、全体の充電時間を短くすることができる。
【0064】
また、実施形態の二次電池システム1では、開放故障している直列接続用素子S3を特定するために、新たに故障検知回路を設ける必要がないため、製造コストの増大を低減することができる。
【0065】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0066】
<変形例>
図3は、実施形態の二次電池システムの変形例を示す図である。なお、図3に示す二次電池システム1において、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図3に示す二次電池システム1において、図1に示す二次電池システム1と異なる点は、正極側充電端子Tipが第1出力部スイッチS11~S13のそれぞれの他方端子の接続点に接続されている点と、スイッチS41が第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの他方端子の接続点と負極側充電端子Tinとの間に接続されている点と、スイッチS42が第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの他方端子の接続点と負極側放電端子Tonとの間に接続されている点である。なお、スイッチS41、S42は半導体スイッチまたは機械式スイッチにより構成される。
【0068】
<二次電池B1~B3の充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、直列接続用素子S3、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0069】
制御部2は、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS21、S22、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1~B3が充電される。
【0070】
<二次電池B1~B3のうちの一部の二次電池Bの充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、直列接続用素子S3、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0071】
制御部2は、二次電池B1を充電させるとともに二次電池B2、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS22、S23、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21、及びスイッチS41を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1のみが充電される。
【0072】
制御部2は、二次電池B2を充電させるとともに二次電池B1、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S23、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS22、及びスイッチS41を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2のみが充電される。
【0073】
制御部2は、二次電池B3を充電させるとともに二次電池B1、B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、S12、第2出力部スイッチS21、S22、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS23、及びスイッチS41を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B3のみが充電される。
【0074】
また、制御部2は、二次電池B1、B2を充電させるとともに二次電池B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS21、S23、直列接続用素子S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S31、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B1、B2を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B2のみが充電される。
【0075】
また、制御部2は、二次電池B2、B3を充電させるとともに二次電池B1を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S22、直列接続用素子S31、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B2、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2、B3のみが充電される。
【0076】
<二次電池B1~B3の放電時>
制御部2は、直列接続用素子S31、S32及びスイッチS41を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21~S23、及びスイッチS42を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに並列接続させることができる。そして、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS21、ヒューズF1、電流計Si1、二次電池B1、第1出力部スイッチS11、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS22、ヒューズF2、電流計Si2、二次電池B2、第1出力部スイッチS12、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS23、ヒューズF3、電流計Si3、二次電池B3、第1出力部スイッチS13、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が放電される。
【0077】
<故障チェック経路の形成時>
制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S31を選択する場合、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS21、S23、直列接続用素子S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S31、及びスイッチS41を導通させることにより、正極側充電端子Tipと、第1出力部スイッチS11と、二次電池B1と、電流計Si1と、ヒューズF1と、直列接続用素子S31と、二次電池B2と、電流計Si2と、ヒューズF2と、第2出力部スイッチS22と、スイッチS41と、負極側充電端子Tinとを含む故障チェック経路L11´を形成する。
【0078】
または、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S32を選択する場合、第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S22、直列接続用素子S31、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を導通させることにより、正極側充電端子Tipと、第1出力部スイッチS12と、二次電池B2と、電流計Si2と、ヒューズF2と、直列接続用素子S32と、二次電池B3と、電流計Si3と、ヒューズF3と、第2出力部スイッチS23と、スイッチS41と、負極側充電端子Tinとを含む故障チェック経路L21´を形成する。
【0079】
<直列接続用素子S3の故障判断時>
制御部2は、故障チェック経路L11´に含まれる電流計Si1、Si2により計測される電流が閾値Ith11´以下である場合、直列接続用素子S31が開放故障していると判断する。また、閾値Ith11´は、直列接続用素子S31が遮断しているときに故障チェック経路L11´に流れる電流の最大値とする。
【0080】
また、制御部2は、故障チェック経路L21´に含まれる電流計Si2、Si3により計測される電流が閾値Ith21´以下である場合、直列接続用素子S32が開放故障していると判断する。なお、閾値Ith21´は、直列接続用素子S32が遮断しているときに故障チェック経路L21´に流れる電流の最大値とする。
【0081】
<直列接続用素子S3が開放故障している場合における二次電池Bの充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0082】
制御部2は、直列接続用素子S31が開放故障していると判断すると、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS22、S23、直列接続用素子S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21、及びスイッチS41を導通させる。次に、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B1のみが充電される。次に、制御部2は、第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S22、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B2、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B2、B3のみが充電される。
【0083】
また、制御部2は、直列接続用素子S32が開放故障していると判断すると、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS21、S23、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S31、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B1、B2を互いに直列接続させることができる。次に、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B1、B2のみが充電される。次に、制御部2は、第1出力部スイッチS11、S12、第2出力部スイッチS21、S22、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS23、及びスイッチS41を導通させる。これにより、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れることで、二次電池B3のみが充電される。
【0084】
このように、変形例の二次電池システム1においても、すべての直列接続用素子S3を故障チェック対象とすることにより、開放故障している直列接続用素子S3を特定することができる。また、各二次電池Bを互いに並列接続させて充電する場合に比べて、全体の充電時間を短くすることができる。また、開放故障している直列接続用素子S3を特定するために、新たに故障検知回路を設ける必要がないため、製造コストの増大を低減することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 二次電池システム
2 制御部
Tip 正極側充電端子
Tin 負極側充電端子
Top 正極側放電端子
Ton 負極側放電端子
S11~S13 第1出力部スイッチ
S21~S23 第2出力部スイッチ
S31、S32 直列接続用素子
S41、S42 スイッチ
B1~B3 二次電池
Lo 負荷
Ch 充電器
図1
図2
図3