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特開2022-64457ウレタンマスク及び立体マスク製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064457
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ウレタンマスク及び立体マスク製造方法。
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173096
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】503460921
【氏名又は名称】伊藤忠リーテイルリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】上塚 知一
(57)【要約】
【課題】マスク本体を右半体と左半体とに二分することなく、耳掛けループと一体に成形された平坦なマスク本体を立体形状に形作ることができ、その立体形状を保持することができるウレタンマスク及びウレタンマスクのマスク製造方法を提供する。
【解決手段】ウレタンマスクは、肌当接面及び肌非当接面を有する所定面積のマスク本体と記マスク本体の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループとを有し、マスク本体及び耳掛けループが該マスク本体を幅方向へ二分する縦中心線に対して対称形に成形されている。マスク本体は、上下方向上方へ凸となる上端エリアと、上下方向下方へ凸となる下端エリアと、上端エリア及び下端エリアの間に延びる中央エリアと有する。マスク本体では、縦中心線を含むその近傍においてマスク本体が二分されることなく一連に繋がった状態で熱プレス加工が施され、縦中心線近傍が前後方向前方へ凸となるように弧を画き、マスク本体が前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエーテル系ポリウレタン又は柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエステル系ポリウレタンから作られたウレタンマスクにおいて、
前記ウレタンマスクが、肌当接面及び肌非当接面を有する所定面積のマスク本体と、前記マスク本体の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループとを有し、前記マスク本体及び前記耳掛けループが該マスク本体を幅方向へ二分する縦中心線に対して対称形に成形され、前記マスク本体が、上下方向上方へ凸となる上端エリアと、上下方向下方へ凸となる下端エリアと、前記上端エリア及び前記下端エリアの間に延びる中央エリアと有し、
前記マスク本体では、前記縦中心線を含むその近傍において該マスク本体が二分されることなく一連に繋がった状態で熱プレス加工が施され、該縦中心線近傍が前後方向前方へ凸となるように弧を画き、該マスク本体の中央エリアが前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られていることを特徴とするウレタンマスク。
【請求項2】
前記マスク本体の上端エリアが、前後方向前方へ凸となるように山折りされて立体形状に形作られ、前記マスク本体の下端エリアが、前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られている請求項1に記載のウレタンマスク。
【請求項3】
前記ウレタンマスクが、前記中央エリアの幅方向両側に位置して耳掛けループが一連に連接された両側エリアを含み、前記中央エリアの厚み寸法が、前記上下端エリア及び前記両側エリアのそれよりも大きい請求項1又は請求項2に記載のウレタンマスク。
【請求項4】
前記マスク本体の上端エリアが、該上端エリアの上端縁を含むその近傍であって前記縦中心線近傍の上端縁近傍中央部位と、前記上端縁近傍中央部位の幅方向両側に位置する上端縁近傍両側部位とに区分されたときに、前記上端縁近傍両側部位の厚み寸法が、前記上端縁近傍中央部位の厚み寸法よりも大きいとともに、該上端縁近傍中央部位及び該上端縁近傍両側部位を除く前記上端エリアの残余部位の厚み寸法よりも大きい請求項1ないし請求項3いずれかに記載のウレタンマスク。
【請求項5】
前記マスク本体の中央エリアの厚み寸法と前記上端縁近傍両側部位の厚み寸法とが、4~10mmの範囲にあり、前記マスク本体の下端エリアの厚み寸法と前記両側エリアの厚み寸法と前記上端縁近傍中央部位の厚み寸法と前記上端エリアの残余部位の厚み寸法とが、2~3.5mmの範囲にある請求項4に記載のウレタンマスク。
【請求項6】
柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエーテル系ポリウレタン又は柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエステル系ポリウレタンから作られるウレタンマスクのマスク製造方法において、
前記マスク製造方法が、前記所定厚み及び所定面積を有するポリエーテル系ポリウレタンのウレタンシート又は該所定厚み及び所定面積を有するポリエステル系ポリウレタンのウレタンシートと、厚み方向へ凸となるパンチを備えた雄金型と、厚み方向へ凹むダイを備えた雌金型とを使用し、前記雄金型と前記雌金型との間に前記ウレタンシートを位置決めした状態で配置するウレタンシート第1配置工程と、前記ウレタンシート第1配置工程によって前記雄金型及び前記雌金型の間に配置されたウレタンシートを該雄金型のパンチと該雌金型のダイとによって加熱・圧縮し、前記ウレタンシートにその肌当接面から肌非当接面に向かって厚み方向へ凸となる立体形状のマスク本体を成形する熱プレス工程と、前記熱プレス工程によって成形されたマスク本体と該マスク本体の両側に一連に繋がる一対の耳掛けループとを前記ウレタンシートから分離し、前記マスク本体と前記一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形するマスク成形工程とを有することを特徴とするマスク製造方法。
【請求項7】
前記マスク製造方法が、所定面積のベースプレートと、前記マスク本体及び前記耳掛けループを打ち抜く刃を取り付けたブレードプレートとを使用し、前記熱プレス工程の後に前記ウレタンシートを前記ベースプレートと前記ブレードプレートとの間に位置決めした状態で配置するウレタンシート第2配置工程を含み、前記マスク成形工程が、前記ウレタンシート第2配置工程によって前記ベースプレート及び前記ブレードプレートの間に配置されたウレタンシートをそれらプレートによって打ち抜き、前記立体形状のマスク本体と前記マスク本体の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形する請求項6に記載のマスク製造方法。
【請求項8】
前記ベースプレートの前記ブレードプレートに対向する対向面には、該ベースプレートの厚み方向へ凹み、前記立体形状のマスク本体を収容する凹部が形成され、前記ウレタンシート第2配置工程では、前記マスク本体が前記凹部に収容される請求項7に記載のマスク製造方法。
【請求項9】
前記パンチが、その周縁に位置してマスク本体の上端エリアを成形する第1上端部と、前記第1上端部の反対側であって該パンチの周縁に位置してマスク本体の下端エリアを成形する第1下端部と、前記第1上端部及び前記第1下端部の間であって該パンチの周縁に位置してマスク本体の両側エリアを成形する一対の第1両側部と、前記第1上下端部及び前記第1両側部の間に位置してマスク本体の中央エリアを成形する第1中央部とを有し、前記ダイが、その周縁に位置してマスク本体の上端エリアを成形する第2上端部と、前記第2上端部の反対側であって該ダイの周縁に位置してマスク本体の下端エリアを成形する第2下端部と、前記第2上端部及び前記第2下端部の間であって該ダイの周縁に位置してマスク本体の両側エリアを成形する一対の第2両側部と、前記第2上下端部及び前記第2両側部の間に位置してマスク本体の中央エリアを成形する第2中央部とを有し、前記マスク製造方法では、前記熱プレス工程によって前記ウレタンシートを加熱・圧縮するときの前記パンチの第1中央部の対向面と前記ダイの第2中央部の対向面とのクリアランスが該パンチの第1上下端部及び第1両側部の対向面と該ダイの第2上下端部及び第2両側部の対向面とのクリアランスよりも大きくなる請求項6ないし請求項8いずれかに記載のマスク製造方法。
【請求項10】
前記パンチの第1上端部が、前記パンチを二分する中心線近傍に位置する第1上端中心線近傍部位と、前記第1上端中心線近傍部位を挟んでその両側に位置する第1上端両側部位とに区分され、前記ダイの第2上端部が、前記ダイを二分する中心線近傍に位置する第2上端中心線近傍部位と、前記第2上端中心線近傍部位を挟んでその両側に位置する第2上端両側部位とに区分され、前記マスク製造方法では、前記熱プレス工程によって前記ウレタンシートを加熱・圧縮するときの前記第1上端両側部位の対向面と前記第2上端両側部位の対向面とのクリアランスが、前記第1上端中心線近傍部位の対向面と前記第2上端中心線近傍部位の対向面とのクリアランスよりも大きくなるとともに、前記第1上端両側部位及び前記第1上端中心線近傍部位を除く該第1上端部の第1残余部位の対向面と前記第2上端部両側部位及び前記第2上端中心線近傍部位を除く該第2上端部の第2残余部位の対向面とのクリアランスよりも大きくなる請求項9に記載のマスク製造方法。
【請求項11】
前記マスク製造方法では、前記パンチの第1中央部に位置したマスク本体の中央エリアの厚み寸法と該パンチの第1上端両側部位に位置したマスク本体の上端縁近傍両側部位の厚み寸法とが4~10mmの範囲に成形され、前記パンチの第1下端部に位置したマスク本体の下端エリアの厚み寸法と該パンチの第1両側部に位置したマスク本体の両側エリアの厚み寸法と該パンチの第1上端中心線近傍部位に位置したマスク本体の上端縁近傍中央部位の厚み寸法と該パンチの第1残余部位に位置したマスク本体の上端エリアの残余部位の厚み寸法とが2~3.5mmの範囲に成形される請求項10に記載のマスク製造方法。
【請求項12】
前記請求項6から前記請求項11に記載されたマスク製造方法のうちの少なくとも該請求項6に記載されたマスク製造方法によって製造されたウレタンマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク本体と一対の耳掛けループとを有するウレタンマスク及びウレタンマスクのマスク製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顔面の少なくとも口及び鼻孔を覆う発泡ポリウレタン製のマスク本体部と、マスク本体部の両端から本体部と継ぎ目なく一体に接続して顔面の耳側へ向けて延びていて耳に掛けられる開口を有する発泡ポリウレタン製の耳掛け部と、マスク本体部と継ぎ目なく一体に接続して顔面の目側に突出し、本体部の顔面側へ折り返し可能であって自身の弾性により顔面に接する発泡ポリウレタン製の突出部とを備え、同一形状に形成された2枚のシート状の右半体及び左半体をマスク本体部の中心で接合(熱融着)することにより作られたウレタンマスクが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-90134
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示のウレタンマスクは、立体裁断された同一形状のシート状右半体とシート状左半体との肌当接面どうしを重ね合わせ、それら左右半体の湾曲する外側縁部どうしを熱融着することでそれら半体が連結され、マスク本体部が前後方向前方へ凸となる立体形状に成形されている。ウレタンマスクのマスク本体を立体形状に成形するには、マスク本体部の外側縁を立体裁断し、立体裁断した外側縁近傍を熱融着する必要があり、熱融着の際に外側縁どうしの位置合わせが難しく、マスクの量産に高価な設備を必要とする。又、熱融着部の柔軟性が失われ、熱融着部のエッジが着用者の肌に接したときに着用者に不快な感触を与える場合があるのみならず、マスク本体部の中央に切れ目やつなぎ目が生じることで、マスクの見場が低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、マスク本体を右半体と左半体とに二分することなく、耳掛けループと一体に成形された平坦(扁平)なマスク本体を立体形状に形作ることができ、その立体形状を保持することができるウレタンマスク及びウレタンマスクのマスク製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、着用者の肌に柔らかな感触を与えることができ、見場を良くすることができるウレタンマスク及びウレタンマスクのマスク製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の第1前提は、柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエーテル系ポリウレタン又は柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエステル系ポリウレタンから作られたウレタンマスクである。
【0007】
前記第1前提における本発明のウレタンマスクの特徴は、ウレタンマスクが、肌当接面及び肌非当接面を有する所定面積のマスク本体と、マスク本体の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループとを有し、マスク本体及び耳掛けループがマスク本体を幅方向へ二分する縦中心線に対して対称形に成形され、マスク本体が、上下方向上方へ凸となる上端エリアと、上下方向下方へ凸となる下端エリアと、上端エリア及び下端エリアの間に延びる中央エリアと有し、マスク本体では、縦中心線を含むその近傍においてマスク本体が二分されることなく一連に繋がった状態で熱プレス加工が施され、縦中心線近傍が前後方向前方へ凸となるように弧を画き、マスク本体の中央エリアが前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られていることにある。
【0008】
本発明のウレタンマスクの一例としては、マスク本体の上端エリアが、前後方向前方へ凸となるように山折りされて立体形状に形作られ、マスク本体の下端エリアが、前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られている。
【0009】
本発明のウレタンマスクの他の一例としては、ウレタンマスクが、中央エリアの幅方向両側に位置して耳掛けループが一連に連接された両側エリアを含み、中央エリアの厚み寸法が、上下端エリア及び前記両側エリアのそれよりも大きい。
【0010】
本発明のウレタンマスクの他の一例としては、マスク本体の上端エリアが、上端エリアの上端縁を含むその近傍であって縦中心線近傍の上端縁近傍中央部位と、上端縁近傍中央部位の幅方向両側に位置する上端縁近傍両側部位とに区分されたときに、上端縁近傍両側部位の厚み寸法が、上端縁近傍中央部位の厚み寸法よりも大きいとともに、上端縁近傍中央部位及び上端縁近傍両側部位を除く上端エリアの残余部位の厚み寸法よりも大きい。
【0011】
本発明のウレタンマスクの他の一例としては、マスク本体の中央エリアの厚み寸法と上端縁近傍両側部位の厚み寸法とが、4~10mmの範囲、好ましくは、4~7mmの範囲にあり、マスク本体の下端エリアの厚み寸法と両側エリアの厚み寸法と上端縁近傍中央部位の厚み寸法と上端エリアの残余部位の厚み寸法とが、2~3.5mmの範囲にある。
【0012】
前記課題を解決するための本発明の第2前提は、柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエーテル系ポリウレタン又は柔軟性及びクッション性並びに伸縮性を有する所定厚みのポリエステル系ポリウレタンから作られるウレタンマスクのマスク製造方法である。
【0013】
前記第2前提における本発明のマスク製造方法の特徴は、マスク製造方法が、所定厚み及び所定面積を有するポリエーテル系ポリウレタンのウレタンシート又は所定厚み及び所定面積を有するポリエステル系ポリウレタンのウレタンシートと、厚み方向へ凸となるパンチを備えた雄金型と、厚み方向へ凹むダイを備えた雌金型とを使用し、雄金型と雌金型との間にウレタンシートを位置決めした状態で配置するウレタンシート第1配置工程と、ウレタンシート第1配置工程によって雄金型及び雌金型の間に配置されたウレタンシートを雄金型のパンチと雌金型のダイとによって加熱・圧縮し、ウレタンシートにその肌当接面から肌非当接面に向かって厚み方向へ凸となる立体形状のマスク本体を成形する熱プレス工程と、熱プレス工程によって成形されたマスク本体とマスク本体の両側に一連に繋がる一対の耳掛けループとをウレタンシートから分離し、マスク本体と一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形するマスク成形工程とを有することにある。
【0014】
本発明のマスク製造方法の一例としては、マスク製造方法が、所定面積のベースプレートと、マスク本体及び耳掛けループを打ち抜く刃を取り付けたブレードプレートとを使用し、熱プレス工程の後にウレタンシートをベースプレートとブレードプレートとの間に位置決めした状態で配置するウレタンシート第2配置工程を含み、マスク成形工程が、ウレタンシート第2配置工程によってベースプレート及びブレードプレートの間に配置されたウレタンシートをそれらプレートによって打ち抜き、立体形状のマスク本体とマスク本体の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形する。
【0015】
本発明のマスク製造方法の他の一例として、ベースプレートのブレードプレートに対向する対向面には、ベースプレートの厚み方向へ凹み、立体形状のマスク本体を収容する凹部が形成され、ウレタンシート第2配置工程では、マスク本体が凹部に収容される。
【0016】
本発明のマスク製造方法の他の一例としては、パンチが、その周縁に位置してマスク本体の上端エリアを成形する第1上端部と、第1上端部の反対側であってパンチの周縁に位置してマスク本体の下端エリアを成形する第1下端部と、第1上端部及び第1下端部の間であってパンチの周縁に位置してマスク本体の両側エリアを成形する一対の第1両側部と、第1上下端部及び第1両側部の間に位置してマスク本体の中央エリアを成形する第1中央部とを有し、ダイが、その周縁に位置してマスク本体の上端エリアを成形する第2上端部と、第2上端部の反対側であってダイの周縁に位置してマスク本体の下端エリアを成形する第2下端部と、第2上端部及び第2下端部の間であってダイの周縁に位置してマスク本体の両側エリアを成形する一対の第2両側部と、第2上下端部及び第2両側部の間に位置してマスク本体の中央エリアを成形する第2中央部とを有し、マスク製造方法では、熱プレス工程によってウレタンシートを加熱・圧縮するときのパンチの第1中央部の対向面とダイの第2中央部の対向面とのクリアランスがパンチの第1上下端部及び第1両側部の対向面とダイの第2上下端部及び第2両側部の対向面とのクリアランスよりも大きくなる。
【0017】
本発明のマスク製造方法の他の一例としては、パンチの第1上端部が、パンチを二分する中心線近傍に位置する第1上端中心線近傍部位と、第1上端中心線近傍部位を挟んでその両側に位置する第1上端両側部位とに区分され、ダイの第2上端部が、ダイを二分する中心線近傍に位置する第2上端中心線近傍部位と、第2上端中心線近傍部位を挟んでその両側に位置する第2上端両側部位とに区分され、マスク製造方法では、熱プレス工程によってウレタンシートを加熱・圧縮するときの第1上端両側部位の対向面と第2上端両側部位の対向面とのクリアランスが、第1上端中心線近傍部位の対向面と第2上端中心線近傍部位の対向面とのクリアランスよりも大きくなるとともに、第1上端両側部位及び第1上端中心線近傍部位を除く第1上端部の第1残余部位の対向面と第2上端部両側部位及び第2上端中心線近傍部位を除く第2上端部の第2残余部位の対向面とのクリアランスよりも大きくなる。
【0018】
本発明のマスク製造方法の他の一例として、マスク製造方法では、パンチの第1中央部に位置したマスク本体の中央エリアの厚み寸法とパンチの第1上端両側部位に位置したマスク本体の上端縁近傍両側部位の厚み寸法とが4~10mmの範囲、好ましくは、4~7mmの範囲に成形され、パンチの第1下端部に位置したマスク本体の下端エリアの厚み寸法とパンチの第1両側部に位置したマスク本体の両側エリアの厚み寸法とパンチの第1上端中心線近傍部位に位置したマスク本体の上端縁近傍中央部位の厚み寸法とパンチの第1残余部位に位置したマスク本体の上端エリアの残余部位の厚み寸法とが2~3.5mmの範囲に成形される。
【0019】
本発明のマスク製造方法の他の一例としては、請求項6から請求項11に記載されたマスク製造方法のうちの少なくとも請求項6に記載されたマスク製造方法によって製造されたウレタンマスクである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るウレタンマスクによれば、縦中心線を含むその近傍においてマスク本体が二分されることなく一連に繋がった状態で熱プレス加工が施され、縦中心線近傍が前後方向前方へ凸となるように弧を画き、マスク本体の中央エリアが前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られているから、マスク本体を右半体と左半体とに二分することなく、一対の耳掛けループと一体に成形された平坦(扁平)なマスク本体の中央エリアを立体形状に形作ることができ、マスク本体の中央エリアの立体形状を保持することができる。ウレタンマスクは、立体形状に形作られたマスク本体の中央エリアが着用者の顔面の立体形状にフィットし、マスク本体の中央エリアと着用者の顔面との間に隙間が生じることはなく、マスク本体のフィルタ機能を有効に利用することができ、マスク本体が細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)を捕集し、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができる。ウレタンマスクは、マスク本体の中央(縦中心線を含むその近傍)に切れ目やつなぎ目がなく、マスクの見場を良くすることができるとともに、マスク本体の中央エリアが着用者の顔面にフィットするから、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、着用者の肌に柔らかな感触を与えることができる。
【0021】
マスク本体の上端エリアが前後方向前方へ凸となるように山折りされて立体形状に形作られ、マスク本体の下端エリアが前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られているウレタンマスクは、一対の耳掛けループと一体に成形された平坦(扁平)なマスク本体の中央エリア及び上端エリア並びに下端エリアを立体形状に形作ることができ、マスク本体の中央エリアや上端エリア、下端エリアの立体形状を保持することができる。ウレタンマスクは、立体形状に形作られたマスク本体の中央エリアや上端エリア、下端エリアが着用者の顔面の立体形状にフィットし、マスク本体の中央エリアや上端エリア、下端エリアと着用者の顔面との間に隙間が生じることはなく、マスク本体のフィルタ機能を有効に利用することができ、マスク本体が細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)を捕集し、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができる。ウレタンマスクは、マスク本体の中央(縦中心線を含むその近傍)に切れ目やつなぎ目がなく、マスクの見場を良くすることができるとともに、マスク本体の中央エリアや上端エリア、下端エリアが着用者の顔面にフィットするから、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、着用者の肌に柔らかな感触を与えることができる。
【0022】
ウレタンマスクの中央エリアの幅方向両側に位置して耳掛けループが一連に連接された両側エリアを含み、中央エリアの厚み寸法が上下端エリア及び両側エリアのそれよりも大きいウレタンマスクは、中央エリアの厚み寸法が上下端エリア及び両側エリアのそれよりも大きいから、中央エリアのフィルタ機能が向上し、マスク本体の中央エリアのフィルタ機能を利用することで、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができる。ウレタンマスクは、上下端エリア及び両側エリアの厚み寸法が中央エリアのそれよりも小さいから、上下端エリアや両側エリアが着用者の肌に柔らかく接触し、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、ウレタンマスクの着用感や使用感を良くすることができる。
【0023】
マスク本体の上端エリアが上端エリアの上端縁を含むその近傍であって縦中心線近傍の上端縁近傍中央部位と上端縁近傍中央部位の幅方向両側に位置する上端縁近傍両側部位とに区分されたときに、上端縁近傍両側部位の厚み寸法が上端縁近傍中央部位の厚み寸法よりも大きいとともに、上端縁近傍中央部位及び上端縁近傍両側部位を除く上端エリアの残余部位の厚み寸法よりも大きいウレタンマスクは、上端縁近傍両側部位の厚み寸法を上端縁近傍中央部位の厚み寸法よりも大きくするとともに、上端縁近傍中央部位及び上端縁近傍両側部位を除く上端エリアの残余部位の厚み寸法よりも大きくすることで、上端縁近傍両側部位から着用者の眼に向かって呼気が排気され難くなり、着用者の呼気の上端縁近傍両側部位からの排気を減少させることができ、着用者の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができるとともに、着用者の視界を良好に保持することができる。
【0024】
マスク本体の中央エリアの厚み寸法と上端縁近傍両側部位の厚み寸法とが4~10mmの範囲にあり、マスク本体の下端エリアの厚み寸法と両側エリアの厚み寸法と上端縁近傍中央部位の厚み寸法と上端エリアの残余部位の厚み寸法とが2~3.5mmの範囲にあるウレタンマスクは、中央エリアの厚み寸法を前記範囲にすることで、中央エリアのフィルタ機能が向上し、マスク本体の中央エリアのフィルタ機能を利用することで、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができるとともに、中央エリアの通気性が最適になり、ウレタンマスクを着用した着用者が楽に呼吸することができる。ウレタンマスクは、上端縁近傍両側部位の厚み寸法を上記範囲にすることで、上端縁近傍両側部位から着用者の眼に向かって呼気が排気され難くなり、着用者の呼気の上端縁近傍両側部位から排気を減少させることができ、着用者の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができるとともに、着用者の視界を良好に保持することができる。ウレタンマスクは、マスク本体の下端エリアや両側エリア、上端縁近傍中央部位、上端エリアの残余部位の厚み寸法を前記範囲にすることで、下端エリアや両側エリア、上端縁近傍中央部位、上端エリアの残余部位の強度を高くすることができ、ウレタンマスクの繰り返しの使用が可能になる。更に、下端エリアや両側エリア、上端縁近傍中央部位、上端エリアの残余部位が着用者の肌に柔らかく接触し、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、ウレタンマスクの着用感や使用感を良くすることができる。
【0025】
本発明に係るマスク製造方法によれば、雄金型と雌金型との間にウレタンシートを位置決めした状態で配置し、ウレタンシートを雄金型のパンチと雌金型のダイとによって加熱・圧縮し、ウレタンシートにその肌当接面から肌非当接面に向かって厚み方向へ凸となる立体形状のマスク本体を成形するとともに、マスク本体とマスク本体の両側に一連に繋がる一対の耳掛けループとをウレタンシートから分離し、マスク本体と一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形するから、マスク本体を右半体と左半体とに二分することなく、一対の耳掛けループと一体に成形された平坦(扁平)なマスク本体を立体形状に形作ったウレタンマスクを作ることができ、マスク本体の立体形状を保持することが可能なウレタンマスクを作ることができる。マスク製造方法は、立体形状に形作られたマスク本体が着用者の顔面の立体形状にフィットし、マスク本体と着用者の顔面との間に隙間が生じることはなく、マスク本体のフィルタ機能を有効に利用することができ、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことが可能なウレタンマスクを作ることができる。マスク製造方法は、マスク本体の中央(縦中心線を含むその近傍)に切れ目やつなぎ目がなく、マスクの見場を良くすることができるとともに、マスク本体が着用者の顔面にフィットするから、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、着用者の肌に柔らかな感触を与えることが可能なウレタンマスクを作ることができる。
【0026】
所定面積のベースプレートと、マスク本体及び耳掛けループを打ち抜く刃を取り付けたブレードプレートとを使用し、熱プレス工程の後にウレタンシートをベースプレートとブレードプレートとの間に位置決めした状態で配置し、マスク成形工程において、ベースプレート及びブレードプレートの間に配置されたウレタンシートをそれらプレートによって打ち抜き、立体形状のマスク本体とマスク本体の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形するマスク製造方法は、ベースプレートとブレードプレートとを利用した打ち抜き加工によって立体形状のマスク本体と一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクに成形するから、マスク本体部の外側縁を立体裁断しつつ外側縁どうしの位置合わせを行う必要はなく、打ち抜き加工の設備を設置すればよく、立体形状のマスク本体と一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクを量産することができ、そのウレタンマスクを廉価に製造することができる。
【0027】
ベースプレートの厚み方向へ凹み、立体形状のマスク本体を収容する凹部がベースプレートのブレードプレートに対向する対向面に形成され、ウレタンシート第2配置工程において、マスク本体が凹部に収容されるマスク製造方法は、マスク本体をベースプレートの凹部に収容した状態で、ベースプレート及びブレードプレートによって打ち抜き加工を行うから、打ち抜き加工時にウレタンシートがずれ動くことはなく、ベースプレート及びブレードプレートを利用した打ち抜き加工によって立体形状のマスク本体と一対の耳掛けループとを備えたウレタンマスクを製造することができ、同形同大のウレタンマスクを量産することができる。
【0028】
パンチがその周縁に位置してマスク本体の上端エリアを成形する第1上端部と、第1上端部の反対側であってパンチの周縁に位置してマスク本体の下端エリアを成形する第1下端部と、第1上端部及び第1下端部の間であってパンチの周縁に位置してマスク本体の両側エリアを成形する一対の第1両側部と、第1上下端部及び第1両側部の間に位置してマスク本体の中央エリアを成形する第1中央部とを有し、ダイがその周縁に位置してマスク本体の上端エリアを成形する第2上端部と、第2上端部の反対側であってダイの周縁に位置してマスク本体の下端エリアを成形する第2下端部と、第2上端部及び第2下端部の間であってダイの周縁に位置してマスク本体の両側エリアを成形する一対の第2両側部と、第2上下端部及び第2両側部の間に位置してマスク本体の中央エリアを成形する第2中央部とを有し、熱プレス工程によってウレタンシートを加熱・圧縮するときのパンチの第1中央部の対向面とダイの第2中央部の対向面とのクリアランスがパンチの第1上下端部及び第1両側部の対向面とダイの第2上下端部及び第2両側部の対向面とクリアランスよりも大きくなるマスク製造方法は、熱プレス工程によってウレタンシートを加熱・圧縮するときにパンチの第1中央部の対向面とダイの第2中央部の対向面とのクリアランスをパンチの第1上下端部及び第1両側部の対向面とダイの第2上下端部及び第2両側部の対向面とのクリアランスよりも大きくすることで、マスク本体の上下端エリア及び両側エリアがパンチ及びダイによって強く圧縮され、マスク本体の中央エリアがパンチ及びダイによって弱く圧縮されるから、中央エリアの厚み寸法が上下端エリア及び両側エリアのそれよりも大きいウレタンマスクを製造することができる。マスク製造方法は、中央エリアの厚み寸法を上下端エリア及び両側エリアのそれよりも大きくすることができ、中央エリアのフィルタ機能が向上し、マスク本体の中央エリアのフィルタ機能を十分に利用することができるとともに、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことが可能なウレタンマスクを作ることができる。マスク製造方法は、上下端エリア及び両側エリアの厚み寸法を中央エリアのそれよりも小さくすることができ、上下端エリアや両側エリアが着用者の肌に柔らかく接触し、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、着用感や使用感を向上させたウレタンマスクを作ることができる。
【0029】
パンチの第1上端部がパンチを二分する中心線近傍に位置する第1上端中心線近傍部位と、第1上端中心線近傍部位を挟んでその両側に位置する第1上端両側部位とに区分され、ダイの第2上端部がダイを二分する中心線近傍に位置する第2上端中心線近傍部位と、第2上端中心線近傍部位を挟んでその両側に位置する第2上端両側部位とに区分され、熱プレス工程によってウレタンシートを加熱・圧縮するときの第1上端両側部位の対向面と第2上端両側部位の対向面とのクリアランスが第1上端中心線近傍部位の対向面と第2上端中心線近傍部位の対向面とのクリアランスよりも大きくなるとともに、第1上端両側部位及び第1上端中心線近傍部位を除く第1上端部の第1残余部位の対向面と第2上端部両側部位及び第2上端中心線近傍部位を除く第2上端部の第2残余部位の対向面とのクリアランスよりも大きくなるマスク製造方法は、熱プレス工程によってウレタンシートを加熱・圧縮するときにパンチの第1上端両側部位の対向面とダイの第2上端両側部位の対向面とのクリアランスをパンチの第1上端中心線近傍部位の対向面とダイの第2上端中心線近傍部位の対向面とのクリアランスよりも大きくするとともに、パンチの第1上端両側部位及び第1上端中心線近傍部位を除く第1上端部の第1残余部位の対向面とダイの第2上端部両側部位及び第2上端中心線近傍部位を除く第2上端部の第2残余部位の対向面とのクリアランスよりも大きくすることで、マスク本体の上端縁近傍中央部位及び上端縁近傍両側部位を除く上端エリアの残余部位がパンチ及びダイによって強く圧縮され、マスク本体の上端縁近傍両側部位がパンチ及びダイによって弱く圧縮されるから、上端縁近傍両側部位の厚み寸法が上端縁近傍中央部位の厚み寸法よりも大きいとともにマスク本体の上端縁近傍中央部位及び上端縁近傍両側部位を除く上端エリアの残余部位の厚み寸法よりも大きいウレタンマスクを作ることができる。マスク製造方法は、マスク本体の上端縁近傍両側部位の厚み寸法を上端縁近傍中央部位の厚み寸法よりも大きくするとともに、上端縁近傍中央部位及び上端縁近傍両側部位を除く上端エリアの残余部位の厚み寸法よりも大きくすることで、上端縁近傍両側部位から着用者の眼に向かって呼気が排気され難くなるから、着用者の呼気の上端縁近傍両側部位からの排気を減少させることができ、着用者の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができるとともに、着用者の視界を良好に保持することが可能なウレタンマスクを作ることができる。
【0030】
パンチの第1中央部に位置したマスク本体の中央エリアの厚み寸法とパンチの第1上端両側部位に位置したマスク本体の上端縁近傍両側部位の厚み寸法とが4~10mmの範囲に成形され、パンチの第1下端部に位置したマスク本体の下端エリアの厚み寸法とパンチの第1両側部に位置したマスク本体の両側エリアの厚み寸法とパンチの第1上端中心線近傍部位に位置したマスク本体の上端縁近傍中央部位の厚み寸法とパンチの第1残余部位に位置したマスク本体の上端エリアの残余部位の厚み寸法とが2~3.5mmの範囲に成形されるマスク製造方法は、中央エリアの厚み寸法を前記範囲に成形することで、中央エリアのフィルタ機能を向上させることができ、マスク本体の中央エリアのフィルタ機能を利用することで、着用者の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことが可能なウレタンマスクを作ることができる。マスク製造方法は、上端縁近傍両側部位の厚み寸法を上記範囲に成形することで、上端縁近傍両側部位から着用者の眼に向かって呼気が排気され難くなり、着用者の呼気の上端縁近傍両側部位から排気を減少させることができ、着用者の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができるとともに、着用者の視界を良好に保持することが可能なウレタンマスクを作ることができる。マスク製造方法は、マスク本体の下端エリアや両側エリア、上端縁近傍中央部位、上端エリアの残余部位の厚み寸法を前記範囲に成形することで、下端エリアや両側エリア、上端縁近傍中央部位、上端エリアの残余部位の強度を高くすることができ、繰り返しの使用が可能なウレタンマスクを作ることができる。更に、下端エリアや両側エリア、上端縁近傍中央部位、上端エリアの残余部位が着用者の肌に柔らかく接触し、着用者の肌に不快な感触を与えることはなく、ウレタンマスクの着用感や使用感を良くすることが可能なウレタンマスクを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一例として示すウレタンマスクの正面斜視図。
図2】ウレタンマスクの正面図。
図3図2のA-A線矢視断面図。
図4図2のB-B線矢視断面図。
図5図2のC-C線矢視断面図。
図6】着用状態で示すウレタンマスクの側面図
図7】着用状態で示すウレタンマスクの上面図。
図8】マスク製造方法のウレタンシート作成工程を説明する図。
図9】マスク製造方法のウレタンシート第1配置工程を説明する図。
図10】雄金型及び雌金型の一例を示すそれら金型の斜視図。
図11】マスク製造方法の熱プレス工程を説明する図。
図12図11のD-D線端面図。
図13図11のE-E線端面図。
図14】マスク製造方法のウレタンシート第2配置工程を説明する図。
図15】マスク製造方法のマスク成形工程を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一例として示すウレタンマスク10の正面斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るウレタンマスク及びマスク製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、図2は、ウレタンマスク10の正面図であり、図3は、図2のA-A線矢視断面図である。図4は、図2のB-B線矢視断面図であり、図5は、図2のC-C線矢視断面図である。図1では、上下方向を矢印X、前後方向を矢印Yで示し、幅方向を矢印Zで示す。
【0033】
図1に示すウレタンマスク10は、後記するウレタンシート11(マスク原反)に熱プレス加工を施すことによって立体形状に形作られる(成形される)ことから作られている。ウレタンマスク10を作るウレタンシート11は、多数の気泡が形成された所定厚みを有するポリエーテル系ポリウレタン(ポリエーテル系軟質ポリウレタンフォーム)から作られ、又は、多数の気泡が形成された所定厚みを有するポリエステル系ポリウレタン(ポリエステル系軟質ポリウレタンフォーム)から作られている。
【0034】
ポリエーテル系ポリウレタン(ポリエーテル系軟質ポリウレタンフォーム)やポリエステル系ポリウレタン(ポリエーテル系軟質ポリウレタンフォーム)は、発泡倍率が約60~10倍、見かけ密度が約16~100kb/mのプラスチック発泡体であり、優れたクッション性及び優れた柔軟性を有し、上下方向(縦方向)及び幅方向並びに斜め方向への伸縮性を有するとともに、優れたフィルタ機能を有する。従って、ウレタンマスク10を作るウレタンシート11(マスク原反)が優れたクッション性及び優れた柔軟性を有し、上下方向(縦方向)及び幅方向並びに斜め方向への伸縮性を有するとともに、優れたフィルタ機能を有する。ウレタンシート11(マスク原反)の前後方向の厚み寸法N1は、5~8mmの範囲にある。
【0035】
ウレタンマスク10は、着用者25の鼻27、口28、顎29、頬30を覆う所定面積のマスク本体12と、マスク本体12の両側に一つながりになって着用者25の両耳26に引っ掛ける一対の耳掛けループ13(耳掛け紐)とを有し、マスク本体12とそれら耳掛けループ13とが一体になっている(マスク本体12の両側に耳掛けループ13が切れ目なく一体に繋がっている)。尚、ウレタンマスク10のマスク本体12も右半分と左半分とに分離されることなく切れ目なく一体に繋がっている。マスク本体12と耳掛けループ13とは、マスク本体12を幅方向へ二分する縦中心線L(図2参照)に対して対称形に成形され、右側部位と左側部位とが同形同大である。耳掛けループ13は、その厚み寸法が5~8mmの範囲にある。
【0036】
マスク本体12は、ウレタンマスク10を着用した着用者25の肌に当接する肌当接面14と、肌当接面14の反対側に位置する肌非当接面15とを有する。マスク本体12は、上下方向上方へ凸となるように円弧を画く所定面積の上端エリア16と、上端エリア16の反対側に位置して上下方向下方へ凸となるように円弧を画く所定面積の下端エリア18と、上端エリア16及び下端エリア18の間に延びる所定面積の中央エリア17と、中央エリア17の幅方向両側に位置して耳掛けループ13が一連に連接された両側エリア19とを有する。マスク本体12は、縦中心線Lを含むその近傍において二分(分割)されることなく一連に繋がっている。
【0037】
マスク本体12では、上端エリア16の上端縁20が上下方向上方へ凸となるように円弧を画き、下端エリア18の下端縁21が上下方向下方へ凸となるように円弧を画いている。マスク本体12では、上端エリア16の上下方向上方への延出寸法が下端エリア18の上下方向下方への延出寸法よりも大きく、上端エリア16が上下方向上方へ大きく延出している。尚、上端エリア16の上下方向上方への延出寸法は、4~5cmの範囲にあり、下端エリア18の上下方向下方への延出寸法は、2~3cmの範囲にある。
【0038】
上端エリア16の上下方向上方への延出寸法が4cm未満では、着用者25がウレタンマスク10を着用したときに、着用者25の鼻をマスク本体12によって十分に包被することができない場合がある。下端エリア18の上下方向下方への延出寸法が2cm未満では、着用者25がウレタンマスク10を着用したときに、着用者25の顎をマスク本体12によって十分に包被することができない場合がある。上端エリア16の上下方向上方への延出寸法が前記範囲にあり、下端エリア18の上下方向下方への延出寸法が前記範囲にあるから、着用者25がウレタンマスク10を着用したときに、着用者25の鼻及び顎をマスク本体12によって確実に包被することができる。
【0039】
マスク本体12は、肌当接面14から肌非当接面15に向かって前後方向前方へ熱プレス加工が施され、マスク本体12の縦中心線L近傍が前後方向前方へ凸となるように円弧(弧)を画き、マスク本体12の中央エリア17が前後方向前方へ凸(山型)となる立体形状に形作られている。更に、マスク本体12の上端エリア16が前後方向前方へ凸となるように山折りされて立体形状に形作られ、マスク本体10の両側エリア19及び下端エリア18が前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られている。マスク本体12は、中央エリア17の中心を頂点とした山型に成形されている。
【0040】
マスク本体12の上端エリア16は、上端エリア16の上端縁20を含むその近傍であって縦中心線L近傍の上端縁近傍中央部位22と、上端縁近傍中央部位22の幅方向両側に位置する上端縁近傍両側部位23とに区分されている。マスク本体12では、上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2が上端縁近傍中央部位22の厚み寸法N3よりも大きいとともに、上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2が上端縁近傍中央部位22及び上端縁近傍両側部位23を除く上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4よりも大きい。更に、マスク本体12の中央エリア17の厚み寸法N5が下端エリア18及び両側エリア19の厚み寸法N6,N7よりも大きいとともに、中央エリア17の厚み寸法N5が上端縁近傍中央部位22の厚み寸法N3及び上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4よりも大きい。
【0041】
ウレタンマスク10は、マスク本体12の中央エリア17の厚み寸法N5と上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2とが4~10mmの範囲、好ましくは、4~7mmの範囲にあり、マスク本体12の下端エリア18の厚み寸法N6と両側エリア19の厚み寸法N7と上端縁近傍中央部位22の厚み寸法N3と上端エリア20の残余部位24の厚み寸法N4とが2~3.5mmの範囲にある。マスク本体12の中央エリア17の厚み寸法N5が4mm未満では、中央エリア17のフィルタ機能が低下し、ウレタンマスク10を着用した着用者25の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができない場合がある。中央エリア17の厚み寸法N5が10mmを超過すると、中央エリア17の通気性が低下し、ウレタンマスク10を着用した着用者25がスムーズな呼吸をしづらくなる場合がある。ウレタンマスク10は、中央エリア17の厚み寸法N5を前記範囲にすることで、中央エリア17のフィルタ機能が向上し、マスク本体12の中央エリア17のフィルタ機能を利用することで、着用者25の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができるとともに、中央エリア17の通気性が最適になり、ウレタンマスク10を着用した着用者25が楽に呼吸することができる。
【0042】
上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2が4mm未満では、着用者25の呼気を上端縁近傍両側部位23がブロックできず、ウレタンマスク10を着用者25が着用したときに、着用者25の呼気が端縁近傍両側部位23から着用者25の眼33に向かって呼気が排気され、着用者25の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができず、着用者25の視界を良好に保持することができない。上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2が6mmを超過すると、上端縁近傍両側部位23が嵩張り、ウレタンマスク10を着用した着用者25の肌に上端縁近傍両側部位23が当接したときに着用者25に違和感を与える場合がある。ウレタンマスク10は、上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2を前記範囲にすることで、上端縁近傍両側部位23から着用者25の眼33に向かって呼気が排気され難くなり、着用者25の呼気の上端縁近傍両側部位23から排気を減少させることができ、着用者25の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができるとともに、着用者25の視界を良好に保持することができる。
【0043】
下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N3,N4,N6,N7が2mm未満では、下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24の強度が低下し、ウレタンマスク10が破損し易くなり、ウレタンマスク10の繰り返しの使用が困難になる。下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4が3.5mmを超過すると、下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24が嵩張り、ウレタンマスク10を着用した着用者25の肌に下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24が当接したときに着用者25に違和感を与える場合がある。ウレタンマスク10は、下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4が前記範囲にあるから、下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24の強度を高くすることができ、ウレタンマスク10の繰り返しの使用が可能になる。更に、下端エリア18や両側エリア19、上端縁近傍中央部位22、上端エリア16の残余部位24が着用者25の肌に柔らかく接触し、着用者25の肌に不快な感触を与えることはなく、ウレタンマスク10の着用感や使用感を良くすることができる。
【0044】
ウレタンマスク10は、縦中心線Lを含むその近傍においてマスク本体12が二分されることなく一連に繋がった状態で熱プレス加工が施され、縦中心線L近傍が前後方向前方へ凸となるように弧を画き、マスク本体12の中央エリア17が前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られているとともに、マスク本体12の上端エリア16が前後方向前方へ凸となるように山折りされて立体形状に形作られ、マスク本体12の両側エリア19及び下端エリア18が前後方向前方へ凸となる立体形状に形作られているから、マスク本体12を右半体と左半体とに二分することなく、一対の耳掛けループ13と一体に成形された平坦(扁平)なマスク本体12の中央エリア17や上端エリア16、両側エリア19、下端エリア18を立体形状に形作ることができ、マスク本体12の中央エリア17や上端エリア16、両側エリア18、下端エリア18の立体形状を保持することができる。
【0045】
図6は、着用状態で示すウレタンマスク10の側面図であり、図7は、着用状態で示すウレタンマスク10の上面図である。着用者25が耳掛けループ13を耳26に掛け、ウレタンマスク10を着用すると、マスク本体12の中央エリア17が着用者25の鼻27(鼻翼)及び口28の前方に位置し、中央エリア17が着用者25の鼻27及び口28の全域を包被し、マスク本体12の下端エリア18が着用者25の顎29(上顎、下顎)の前方に位置し、下端エリア18が着用者25の顎29に当接しつつ顎29の全域を包被するとともに、マスク本体12の両側エリア19が着用者25の頬30の前方に位置し、両側エリア19が着用者25の頬33に当接しつつ頬33を包被する。
【0046】
更に、マスク本体12の上端エリア16のうちの上端縁近傍中央部位22が着用者25の鼻根部31の前方に位置し、上端縁近傍中央部位22が着用者25の鼻根部31に当接しつつ鼻根部31を包被し、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23が着用者25の鼻根部31及び目下の頬30の前方に位置し、上端縁近傍両側部位23が着用者25の鼻根部31及び目下の頬30に当接しつつ鼻根部31及び目下の頬30を包被するとともに、上端エリア16の残余部位24が着用者25の鼻27及び頬30の前方に位置し、残余部位24が着用者25の鼻27及び頬30に当接しつつ鼻27及び頬30を包被する。
【0047】
厚み寸法N2(4~10mm、好ましくは、4~7mm)が大きい上端縁近傍両側部位23が着用者25の鼻根部31及び目下の頬30に当接することで、通気抵抗が大きい上端縁近傍両側部位23が着用者25の呼気の排気抵抗となり、呼気が上端縁近傍両側部位23から排気され難くなっている。厚み寸法N5(4~10mm、好ましくは、4~7mm、)が大きい中央エリア17が着用者25の鼻27(鼻翼)及び口28の前方に位置するから、着用者25の呼吸がマスク本体12の中央エリア17を介して行われ、中央エリア17のフィルタ機能によって細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)が中央エリア17に捕集される。
【0048】
ウレタンマスク10は、立体形状に形作られたマスク本体12の中央エリア17や上端エリア16、下端エリア18が着用者25の顔面32の立体形状にフィットし、マスク本体12の中央エリア17や上端エリア16、下端エリア18と着用者25の顔面32との間に隙間が生じることはなく、マスク本体12のフィルタ機能を有効に利用することができ、マスク本体12が細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)を捕集し、着用者25の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことができる。
【0049】
ウレタンマスク10は、マスク本体12の中央(縦中心線Lを含むその近傍)に切れ目やつなぎ目がなく、マスク10の見場を良くすることができるとともに、マスク本体12の中央エリア17や上端エリア16、両側エリア19、下端エリア18が着用者25の顔面32にフィットするから、着用者25の肌に不快な感触を与えることはなく、着用者25の肌に柔らかな感触を与えることができる。ウレタンマスク10は、、耳掛けループ13(耳掛け紐)がポリエーテル系ポリウレタン(ポリエーテル系軟質ポリウレタンフォーム)から作られ、又は、ポリエステル系ポリウレタン(ポリエステル系軟質ポリウレタンフォーム)から作られているから、耳掛けループ13を耳26に掛けた状態で着用者25が長時間ウレタンマスク10を着用したとしても、耳掛けループ13が耳26を強く締め付けることはなく、耳26が痛くなることはない。
【0050】
図8は、マスク製造方法のウレタンシート作成工程を説明する図であり、図9は、マスク製造方法のウレタンシート第1配置工程を説明する図である。図10は、雄金型35及び雌金型36の一例を示すそれら金型35,36の斜視図であり、図11は、マスク製造方法の熱プレス工程を説明する図である。図12は、図11のD-D線端面図であり、図13は、図11のE-E線端面図である。図14は、マスク製造方法のウレタンシート第2配置工程を説明する図であり、図15は、マスク製造方法のマスク成形工程を説明する図である。
【0051】
ウレタンマスク10を製造するマスク製造方法は、所定厚み及び所定面積を有するポリエーテル系ポリウレタンのウレタンシート11又は所定厚み及び所定面積を有するポリエステル系ポリウレタンのウレタンシート11と、厚み方向へ凸となるパンチ34を備えた雄金型35及び厚み方向へ凹むダイ36を備えた雌金型37と、所定面積のベースプレート38及びブレードプレート39を使用し、ウレタンシート作成工程、ウレタンシート第1配置工程、熱プレス工程、ウレタンシート第2配置工程、マスク成形工程(型抜き加工)を実施することでウレタンマスクを製造する。それら工程は、ウレタンシート作成工程→ウレタンシート第1配置工程→熱プレス工程→ウレタンシート第2配置工程→マスク成形工程の順で実施される。
【0052】
ブレードプレート39(鋼板)には、ウレタンマスク10のマスク本体12の外形(外周縁)を形作ってマスク本体12を打ち抜く刃40が設置(埋設)されているとともに、耳掛けループ13を形作って耳掛けループ13を打ち抜く刃40が設置(埋設)されている。ベースプレート38(扁平鋼板)のブレードプレート39に対向する対向面には、ベースプレート38の厚み方向へ凹み、立体形状に成形されたマスク本体12を収容する凹部41が形成されている。
【0053】
雄金型35のパンチ34や雌金型37のダイ36は、着用者25の顔面32の立体形状に合わせた形状に成形されている。雄金型35のパンチ34は、図10示すように、その周縁に位置してマスク本体12の上端エリア16を成形する第1上端部42と、第1上端部42の反対側であってパンチ34の周縁に位置してマスク本体12の下端エリア18を成形する第1下端部43と、第1上端部42及び第1下端部43の間であってパンチ34の周縁に位置してマスク本体12の両側エリア19を成形する一対の第1両側部44と、第1上下端部42,43及び第1両側部44の間に位置してマスク本体12の中央エリア17を成形する第1中央部45とを有する。パンチ34の第1上端部4は、パンチ34を二分する中心線M近傍に位置してマスク本体12の上端縁近傍中央部位22を成形する第1上端中心線近傍部位46と、第1上端中心線近傍部位46を挟んでその幅方向両側に位置し、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23を成形する第1上端両側部位47とに区分されている。
【0054】
雌金型35のダイ36は、図10示すように、その周縁に位置してマスク本体12の上端エリア16を成形する第2上端部48と、第2上端部48の反対側であってダイ36の周縁に位置してマスク本体12の下端エリア18を成形する第2下端部49と、第2上端部48及び第2下端部49の間であってダイ36の周縁に位置してマスク本体12の両側エリア19を成形する一対の第2両側部50と、第2上下端部及48,49及び第2両側部50の間に位置してマスク本体12の中央エリア17を成形する第2中央部51とを有する。ダイ36の第2上端部48は、ダイ36を二分する中心線M近傍に位置してマスク本体12の上端縁近傍中央部位22を成形する第2上端中心線近傍部位52と、第2上端中心線近傍部位52を挟んでその幅方向両側に位置し、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23を成形する第2上端両側部位53とに区分されている。
【0055】
ウレタンシート作成工程では、図8に示すように、所定厚み及び所定面積のポリエーテル系ポリウレタンフォーム又は所定厚み及び所定面積のポリエステル系ポリウレタンをスライダー(図示せず)でスライスし、厚み寸法N1が5~8mm及び所定面積のポリエーテル系ポリウレタンのウレタンシート11(マスク原反)又は厚み寸法N1が5~8mm及び所定面積のポリエステル系ポリウレタンのウレタンシート11(マスク原反)を作成する。ウレタンシート11は、複数枚のそれが厚み方向へ重ねられた状態で保管される。
【0056】
ウレタンシート第1配置工程では、図9に示すように、ウレタンシート作成工程によって作成されたウレタンシート11を雄金型35と雌金型37との間に位置決めした状態で配置する。尚、ウレタンシート第1配置工程では、ウレタンシート作成工程によって作成されたウレタンシート11を四方(前後方向及び幅方向並びに斜め方向)へテンションをかけた伸張状態かつ位置決めした状態で雄金型35と雌金型37との間に配置する場合がある。
【0057】
熱プレス工程では、ウレタンシート第1配置工程によって雄金型35及び雌金型37の間に配置されたウレタンシート11を雄金型35のパンチ34と雌金型37のダイ36とによってプレスし(挟み込み)、パンチ34及びダイ36によってウレタンシート11を加熱・圧縮し、ウレタンシート11に肌当接面14から肌非当接面15に向かって厚み方向へ凸となる立体形状のマスク本体12を成形する。熱プレス工程におけるプレス温度は、180~200℃であり、プレス圧力は、15~17Mpsである。尚、熱プレスの方式は、単発型(単発プレス)、順送型(順送プレス)、トランスファー型(トランスファープレス)のいずれであってもよい。又、雄金型35に複数のパンチ34が等間隔離間して形成され、雌金型37に複数のダイ36が等間隔離間して形成されていてもよい。
【0058】
熱プレス工程において雄金型35のパンチ34と雌金型37のダイ36とによってウレタンシート11を加熱・圧縮したときのパンチ34の第1中央部45の対向面とダイ36の第2中央部51の対向面とのクリアランス(間隙)は、パンチ34の第1上下端部42,43及び第1両側部44の対向面とダイ36の第2上下端部48,49及び第2両側部50の対向面とのクリアランスよりも大きくなる。
【0059】
又、熱プレス工程において雄金型35のパンチ34と雌金型37のダイ36とによってウレタンシート11を加熱・圧縮したときのパンチ34の第1上端両側部位47の対向面とダイ36の第2上端両側部位53の対向面とのクリアランスは、パンチ34の第1上端中心線近傍部位46の対向面とダイ36の第2上端中心線近傍部位52の対向面とのクリアランスよりも大きくなるとともに、パンチ34の第1上端両側部位47及び第1上端中心線近傍部位46を除く第1上端部42の第1残余部位54の対向面とダイ36の第2上端部両側部位53及び第2上端中心線近傍部位52を除く第2上端部48の第2残余部位55の対向面とのクリアランスよりも大きくなる。
【0060】
熱プレス工程では、パンチ34の第1下端部43及び第1両側部44の対向面とダイ36の第2下端部49及び第2両側部50の対向面とのクリアランス(間隙)がパンチ34の第1中央部45の対向面とダイ36の第2中央部51の対向面とのクリアランスよりも小さくなることで、パンチ34の第1下端部43及び第1両側部44とダイ36の第2下端部49及び第2両側部59との間に位置するマスク本体12の両側エリア19及び下端エリア18に作用する圧縮力がパンチ34の第1中央部45及びダイ36の第2中央部51の間に位置するマスク本体12の中央エリア17に作用する圧縮力よりも大きくなる。それにより、ウレタンシート11の加熱・圧縮時にパンチ34及びダイ36によってマスク本体12の両側エリア19及び下端エリア18が大きく伸張される(引き延ばされる)。それに対し、マスク本体12の中央エリア17の伸張(引き延ばし)が小さくなり、マスク本体12の中央エリ17アの厚み寸法N5が4~10mmの範囲、好ましくは、4~7mmの範囲に成形され、マスク本体12の下端エリア18及び両側エリア19の厚み寸法N6,N7が2~3.5mmの範囲に成形される。
【0061】
熱プレス工程では、パンチ34の第1上端中心線近傍部位46の対向面とダイ36の第2上端中心線近傍部位52の対向面とのクリアランスがパンチ34の第1上端両側部位47の対向面とダイ36の第2上端両側部位53の対向面とのクリアランスよりも小さくなることで、パンチ34の第1上端中心線近傍部位46の対向面とダイ36の第2上端中心線近傍部位52の対向面との間に位置するマスク本体12の上端縁近傍中央部位22に作用する圧縮力がパンチ34の第1上端両側部位47の対向面とダイ36の第2上端両側部位53の対向面との間に位置するマスク本体12の上端縁近傍両側部位23に作用する圧縮力よりも大きくなる。それにより、ウレタンシート11の加熱・圧縮時にパンチ34及びダイ36によってマスク本体12の上端縁近傍中央部位22が大きく伸張される(引き延ばされる)。それに対し、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23の伸張(引き延ばし)が小さくなり、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2が4~10mmの範囲、好ましくは、4~7mmの範囲に成形され、マスク本体12の上端縁近傍中央部位22の厚み寸法N3と上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4とが2~3.5mmの範囲に成形される。
【0062】
熱プレス工程において加熱・圧縮されたウレタンシート11は、雄金型35及び雌金型37の間から取り出された後、ウレタンシート第2配置工程が実施される。ウレタンシート第2配置工程では、図14に示すように、ウレタンシート11がベースプレート38とブレードプレート39との間に位置決めされた状態で配置される。ウレタンシート第2配置工程では、マスク本体12がベースプレート38の凹部41に収容される。尚、ウレタンシート第2配置工程では、熱プレス工程において加熱・圧縮されたウレタンシート11を四方(前後方向及び幅方向並びに斜め方向)へテンションをかけた伸張状態かつ位置決めした状態でベースプレート38とブレードプレート39との間に配置する場合がある。又、ベースプレート38の凹部41に所定のバキューム手段(空気吸引手段)が設置され、ベースプレート38とブレードプレート39との間にウレタンシート11を位置決めした状態で配置したときに(伸張状態かつ位置決めした状態で配置した場合を含む)、バキューム手段によってマスク本体12が凹部41の表面に吸着されるようにしてもよい。
【0063】
ウレタンシート第2配置工程によってウレタンシート11をベースプレート38とブレードプレート39との間に配置した後、マスク成形工程が実施される。マスク成形工程では、図15に示すように、ベースプレート38及びブレードプレート39の間に配置されたウレタンシート11をそれらプレート38,39を利用して打ち抜き、熱プレス工程によって成形されたマスク本体12とマスク本体12の両側に一連に繋がる一対の耳掛けループ13とをウレタンシート11から分離し、立体形状のマスク本体12とマスク本体12の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループ13とを備えたウレタンマスク10に成形し、図1に示すウレタンマスク10が製造される。
【0064】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、雄金型35と雌金型37との間にウレタンシート11を位置決めした状態で配置し、ウレタンシート11を雄金型35のパンチ34と雌金型37のダイ36とによって加熱・圧縮し、ウレタンシート11にその肌当接面14から肌非当接面15に向かって厚み方向へ凸となる立体形状のマスク本体12を成形するとともに、マスク本体12とマスク本体12の両側に一連に繋がる一対の耳掛けループ13とをウレタンシート11から分離し、マスク本体12と一対の耳掛けループ13とを備えたウレタンマスク10に成形するから、マスク本体12を右半体と左半体とに二分することなく、一対の耳掛けループ13と一体に成形された平坦(扁平)なマスク本体12を立体形状に形作ったウレタンマスク10を作ることができ、マスク本体12の立体形状を保持することが可能なウレタンマスク10を作ることができる。
【0065】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、立体形状に形作られたマスク本体12が着用者25の顔面32の立体形状にフィットし、マスク本体12と着用者25の顔面32との間に隙間が生じることはなく、マスク本体12のフィルタ機能を有効に利用することができ、マスク本体12に細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)が捕集され、着用者25の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことが可能なウレタンマスク10を作ることができる。マスク製造方法は、マスク本体12の中央(縦中心線Lを含むその近傍)に切れ目やつなぎ目がなく、マスク10の見場を良くすることができるとともに、マスク本体12が着用者25の顔面32にフィットするから、着用者25の肌に不快な感触を与えることはなく、着用者25の肌に柔らかな感触を与えることが可能なウレタンマスク10を作ることができる。
【0066】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、所定面積のベースプレート38と、マスク本体12及び耳掛けループ13を打ち抜く刃40を取り付けたブレードプレート39とを使用し、熱プレス工程の後にウレタンシート11をベースプレート38とブレードプレート39との間に位置決めした状態で配置し、ベースプレート38及びブレードプレート39の間に配置されたウレタンシート11をそれらプレート38,39を利用して打ち抜き、立体形状のマスク本体12とマスク本体12の両側に一体に繋がる一対の耳掛けループ13とを備えたウレタンマスク10に成形するから、マスク本体の外側縁を立体裁断しつつ外側縁どうしの位置合わせを行う必要はなく、打ち抜き加工の設備を設置すればよく、立体形状のマスク本体12と一対の耳掛けループ14とを備えたウレタンマスク10を量産することができ、そのウレタンマスク10を廉価に製造することができる。
【0067】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、マスク本体12をベースプレート38の凹部41に収容した状態で、ベースプレート38及びブレードプレート39によって打ち抜き加工を行うから、打ち抜き加工時にウレタンシート11がずれ動くことはなく、ベースプレート38及びブレードプレート39を利用した打ち抜き加工によって立体形状のマスク本体12と一対の耳掛けループ13とを備えたウレタンマスク10を製造することができ、同形同大のウレタンマスク10を量産することができる。
【0068】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、熱プレス工程によってウレタンシート11を加熱・圧縮するときにパンチ34の第1中央部45の対向面とダイ36の第2中央部51の対向面とのクリアランスをパンチ34の第1上下端部42,43及び第1両側部44の対向面とダイ36の第2上下端部48,49及び第2両側部50の対向面とのクリアランスよりも大きくすることで、マスク本体12の上下端エリア16,18及び両側エリア19がパンチ34及びダイ36によって強く圧縮され、マスク本体12の中央エリア17がパンチ34及びダイ36によって弱く圧縮されるから、中央エリア17の厚み寸法N5(4~10mm、好ましくは、4~7mm)が上下端エリア16,18及び両側エリア19の厚み寸法N6,N7(2~3.5mm)よりも大きいウレタンマスク10を製造することができる。
【0069】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、中央エリア17の厚み寸法N5を上下端エリア16,18及び両側エリア19のそれよりも大きくすることができ、中央エリア17のフィルタ機能が向上し、マスク本体12の中央エリア17のフィルタ機能を十分に利用することができるとともに、着用者25の口腔への細菌やウイルス飛沫、花粉、塵埃、粒子(微細粒子)の進入を防ぐことが可能なウレタンマスク10を作ることができる。マスク製造方法は、上下端エリア16,18及び両側エリア19の厚み寸法を中央エリア17のそれよりも小さくすることができ、上下端エリア16,18や両側エリア19が着用者25の肌に柔らかく接触し、着用者25の肌に不快な感触を与えることはなく、着用感や使用感を向上させたウレタンマスク10を作ることができる。
【0070】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、熱プレス工程によってウレタンシート11を加熱・圧縮するときにパンチ34の第1上端両側部位47の対向面とダイ36の第2上端両側部位53の対向面とのクリアランスをパンチ34の第1上端中心線近傍部位47の対向面とダイ36の第2上端中心線近傍部位52の対向面とのクリアランスよりも大きくするとともに、パンチ34の第1上端両側部位47及び第1上端中心線近傍部位46を除く第1上端部42の第1残余部位54の対向面とダイ36の第2上端部両側部位53及び第2上端中心線近傍部位52を除く第2上端部48の第2残余部位55の対向面とのクリアランスよりも大きくすることで、マスク本体12の上端縁近傍中央部位22及び上端縁近傍両側部位23を除く上端エリア16の残余部位24がパンチ34及びダイ36によって強く圧縮され、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23がパンチ34及びダイ36によって弱く圧縮されるから、上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2(4~10mm、好ましくは、4~7mm、)が上端縁近傍中央部位22の厚み寸法N3(2~3.5mm)よりも大きいとともにマスク本体12の上端縁近傍中央部位22及び上端縁近傍両側部位23を除く上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4(2~3.5mm)よりも大きいウレタンマスク10を作ることができる。
【0071】
ウレタンマスク10のマスク製造方法は、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2を上端縁近傍中央部位22の厚み寸法N3よりも大きくし、マスク本体12の上端縁近傍両側部位23の厚み寸法N2を上端縁近傍中央部位22及び上端縁近傍両側部位23を除く上端エリア16の残余部位24の厚み寸法N4よりも大きくすることで、上端縁近傍両側部位23から着用者25の眼33に向かって呼気が排気され難くなるから、着用者25の呼気の上端縁近傍両側部位23からの排気を減少させることができ、着用者25の呼気による眼鏡のレンズの曇りを防ぐことができるとともに、着用者25の視界を良好に保持することが可能なウレタンマスク10を作ることができる。
【符号の説明】
【0072】
10 ウレタンマスク
11 ウレタンシート(マスク原反)
12 マスク本体
13 耳掛けループ(耳掛け紐)
14 肌当接面
15 肌非当接面
16 上端エリア
17 中央エリア
18 下端エリア
19 両側エリア
20 上端縁
21 下端縁
22 上端縁近傍中央部位
23 上端縁近傍両側部位
24 残余部位
25 着用者
26 耳
27 鼻
28 口
29 顎
30 頬
31 鼻根部
32 顔面
33 眼
34 パンチ
35 雄金型
36 ダイ
37 雌金型
38 ベースプレート
39 プレードプレート
40 刃
41 凹部
42 第1上端部
43 第1下端部
44 第1両側部
45 第1中央部
46 第1上端中心線近傍部位
47 第1上端両側部位
48 第2上端部
49 第2下端部
50 第2両側部
51 第2中央部
52 第2上端中心線近傍部位
53 第2上端両側部位
54 第1残余部位
55 第2残余部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15