IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社免制震ディバイスの特許一覧

<>
  • 特開-免震装置 図1
  • 特開-免震装置 図2
  • 特開-免震装置 図3
  • 特開-免震装置 図4
  • 特開-免震装置 図5
  • 特開-免震装置 図6
  • 特開-免震装置 図7
  • 特開-免震装置 図8
  • 特開-免震装置 図9
  • 特開-免震装置 図10
  • 特開-免震装置 図11
  • 特開-免震装置 図12
  • 特開-免震装置 図13
  • 特開-免震装置 図14
  • 特開-免震装置 図15
  • 特開-免震装置 図16
  • 特開-免震装置 図17
  • 特開-免震装置 図18
  • 特開-免震装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064464
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/03 20060101AFI20220419BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20220419BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
F16F15/03 G
F16F15/04 P
E04H9/02 331B
E04H9/02 351
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173107
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AB11
2E139AC19
2E139BA10
2E139CA03
2E139CB05
2E139CB15
2E139CC02
3J048AA02
3J048AC08
3J048BA08
3J048CB12
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】 磁石を利用した減衰力をもつ免震装置を提供しようとする。
【解決手段】
従来の免震装置に換えて、前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向に相対移動自在に支持して垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとし、水平減衰力作用機構の前記磁石保持材が複数の永久磁石を支え、永久磁石端面と導電部材端面とを所定の隙間を明けて対向させ、複数の永久磁石に発生する磁束が前記導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき前記導電部材に渦電流を生じるものとした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体と被支持構造体との間に形成される免震層に設けられる免震装置であって、
被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、
前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする垂直距離維持機構と、
前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に水平方向に作用する減衰力である水平減衰力を作用させる水平減衰力作用機構と、
を備え、
前記水平減衰力作用機構が、
N極またはS極の一方の極となる端面である永久磁石端面を各々に形成する複数の永久磁石と、
複数の前記永久磁石を仮想の水平面である仮想水平面に沿って並べ前記永久磁石端面を前記仮想水平面に一致する様に保持する保持部材と、
導電性材料ででき複数の前記永久磁石の前記永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面を形成する導電部材と、を有し、
水平に並ぶ複数の永久磁石に発生する磁束が前記導電部材平面に交差して前記導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生する、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
前記保持部材が複数の前記永久磁石を前記仮想水平面に仮想される上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って並べ上下方向の一方向に向いた前記永久磁石端面を前記仮想水平面に一致する様に保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
複数の前記永久磁石の極が前記永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極とに別れており、
上から見て隣り合う複数の前記永久磁石の隣り合う永久磁石端面の極が異なる、
ことを特徴とする請求項2に記載の免震装置
【請求項4】
前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の極が上下方向にN極とS極とに別れており、
上から見て複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる、
ことを特徴とする請求項3に記載の免震装置
【請求項5】
前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に垂直方向に作用する減衰力である垂直減衰力を作用させる垂直減衰力作用機構と、
を備え、
前記垂直減衰力作用機構が、
N極またはS極の一方の極となる端面であるZ軸永久磁石端面を各々に形成する複数のZ軸永久磁石と
複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の輪郭を持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持するZ軸保持部材と
導電性材料ででき複数の前記Z軸永久磁石の前記Z軸永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して延びる平面であるZ軸導電部材平面を形成するZ軸導電部材と、を有し、
複数のZ軸永久磁石に発生する磁束が前記Z軸導電部材平面に交差して前記Z軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生する、
ことを特徴とする請求項4に記載の免震装置。
【請求項6】
前記Z軸保持部材が複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円を輪郭に持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持する、
ことを特徴とする請求項5に記載の免震装置。
【請求項7】
複数の前記Z軸永久磁石の極が前記Z軸永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極に別れており、
上から見て隣り合う複数の前記Z軸永久磁石の隣り合う前記Z軸永久磁石端面の極が異なる、
ことを特徴とする請求項6に記載の免震装置
【請求項8】
前記磁石仮想円を輪郭にもつ仮想垂直面に沿って配置される複数の前記Z軸永久磁石の極が前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れており、
上から見て複数の前記Z軸永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる、
ことを特徴とする請求項7に記載の免震装置。
【請求項9】
上から見て複数の前記永久磁石が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する様に配置され、
前記水平復元力作用機構が、複数の前記永久磁石と、前記保持部材と、前記導電部材と、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内側輪郭に内側から沿う様に配される内側磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の免震装置。
【請求項10】
上から見て複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ様に配置され、
前記水平復元力作用機構が、複数の前記永久磁石と、前記保持部材と、導電部材と、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される外側磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の免震装置。
【請求項11】
柔軟材料でできる保護材と、
を備え、
前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周を覆い、
前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周の一部を支持する、
ことを特徴とする請求項10に記載の免震装置。
【請求項12】
前記保持部材が上下方向に貫通する貫通穴を形成し、
前記水平減衰力作用機構が、弾塑性材料ででき上下方向に延びる柱状形状を形づくり前記貫通穴を貫通し上端を前記上部基礎構造に支持され下端を前記下部基礎構造に支持されるプラグと、を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の免震装置。
【請求項13】
上下一対の前記基礎構造と、
前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする様に垂直方向に直列に重なるM個(M=2、3・・・)の軸力支承機構を有する前記垂直距離維持機構と、
M個の前記水平減衰力作用機構と、
(M-1)個の接続プレートと、
を備え、
1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平減衰力作用機構とが水平に並ぶ等に配されるものを免震装置ユニットと呼称したとき、
M個の前記免震装置ユニットのうちの2個の前記免震装置ユニットが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配され、
前記上部基礎構造が上端部に支持され、
前記下部基礎構造が下端部を支持する、
ことを特徴とする請求項12に記載の免震装置。
【請求項14】
前記垂直距離維持機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする軸力支承機構であって、
前記軸力支承機構が、複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材と複数の転動体が転動する転動面を形成する上下一対の軸力受材とを有し、
前記転動体保持材が前記保持部材を兼ねる、
ことを特徴とする請求項13に記載の免震装置。
【請求項15】
前記垂直距離維持機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする軸力支承機構であって、
前記軸力支承機構が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる積層ゴム支承を有し、
前記金属板材が前記保持部材を兼ねる、
ことを特徴とする請求項13に記載の免震装置。
【請求項16】
上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成し、
前記軸力支承機構と前記水平減衰力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる、
ことを特徴とする請求項14または請求項15のうちのどちらか一つに記載の免震装置。
【請求項17】
複数の前記永久磁石の極が前記永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極とに別れており、
上から見て隣り合う複数の前記永久磁石の隣り合う永久磁石端面の極が異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項18】
前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の極が上下方向にN極とS極とに別れており、
上から見て複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項19】
支持構造体と被支持構造体との間に形成される免震層に設けられる免震装置であって、
被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、
前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする垂直距離維持機構と、
前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に垂直方向に作用する減衰力である垂直減衰力を作用させる垂直減衰力作用機構と、
を備え、
前記垂直減衰力作用機構が、
N極またはS極の一方の極となる端面であるZ軸永久磁石端面を各々に形成する複数のZ軸永久磁石と
複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の輪郭を持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持するZ軸保持部材と
導電性材料ででき複数の前記Z軸永久磁石の前記Z軸永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して延びる平面であるZ軸導電部材平面を形成するZ軸導電部材と、を有し
複数の前記Z軸永久磁石に発生する磁束が前記Z軸導電部材平面に交差して前記Z軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生する、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項20】
前記Z軸保持部材が複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円を輪郭に持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持する、
ことを特徴とする請求項19に記載の免震装置。
【請求項21】
複数の前記Z軸永久磁石の極が前記Z軸永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極に別れており、
上から見て隣り合う複数の前記Z軸永久磁石の隣り合う前記Z軸永久磁石端面の極が異なる、
ことを特徴とする請求項19に記載の免震装置
【請求項22】
前記磁石仮想円を輪郭にもつ垂直仮想面に沿って配置される複数の前記Z軸永久磁石の極が前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れており、
上から見て複数の前記Z軸永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる、
ことを特徴とする請求項19に記載の免震装置。
【請求項23】
上から見て複数の前記永久磁石が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する様に配置され、
前記水平復元力作用機構が、複数の前記永久磁石と、前記保持部材と、前記導電部材と、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内側輪郭に内側から沿う様に配される内側磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項24】
上から見て複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ様に配置され、
前記水平復元力作用機構が、複数の前記永久磁石と、前記保持部材と、導電部材と、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される外側磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項25】
柔軟材料でできる保護材と、
を備え、
前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周を覆い、
前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周の一部を支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項26】
前記保持部材が上下方向に貫通する貫通穴を形成し、
前記水平減衰力作用機構が、弾塑性材料ででき上下方向に延びる柱状形状を形づくり前記貫通穴を貫通し上端を前記上部基礎構造に支持され下端を前記下部基礎構造に支持されるプラグと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項27】
上下一対の前記基礎構造と、
前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする様に垂直方向に直列に重なるM個(M=2、3・・・)の軸力支承機構を有する前記垂直距離維持機構と、
M個の前記水平減衰力作用機構と、
(M-1)個の接続プレートと、
を備え、
1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平減衰力作用機構とが水平に並ぶ等に配されるものを免震装置ユニットと呼称したとき、
M個の前記免震装置ユニットのうちの2個の前記免震装置ユニットが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配され、
前記上部基礎構造が上端部に支持され、
前記下部基礎構造が下端部を支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項28】
前記垂直距離維持機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする軸力支承機構であって、
前記軸力支承機構が、複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材と複数の転動体が転動する転動面を形成する上下一対の軸力受材とを有し、
前記転動体保持材が前記保持部材を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項29】
前記垂直距離維持機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする軸力支承機構であって、
前記軸力支承機構が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる積層ゴム支承を有し、
前記金属板材が前記保持部材を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項30】
上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成し、
前記軸力支承機構と前記水平減衰力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる、
ことを特徴とする請求項28または請求項29のうちのどちらか一つに記載の免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体と被支持構造との間に形成される免震層に設けられる免震装置とその免震装置を用いた免震システムに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、建物等を地震から守る等の目的で免震装置が用いられる。
免震システムは、複数の免震装置を組み合わせてできている。
例えば、地震が発生すると、免震装置が建物等に入力される加速度を低下させて、建物等を守る。
例えば、免震装置には、複数のゴム板と鉄板を積層した構造である積層ゴム支承、リニアガイドをXY状に交差させた転がり支承、滑りを利用した滑り支承、他が採用される。
また、建物等の基礎に引き抜き力が作用するとき、皿バネやゴム材にによる浮き上がり機構が採用される。
免震システムは、複数の構造をもつ免震装置が組み合わされることもある。
【0003】
免震装置に要求される主な機能は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能、減衰機能である。さらに、対引き抜き力に対して引き抜き地からや浮き上がり機能が要求されることがある。
例えば、鉛入り積層ゴム支承は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能、減衰機能を一つの機構に組み込んでいる。転がりすべり支承は、軸力保持機能、水平変形性能を一つの機構に組み込んでいる。鉛入り積層ゴム支承はや浮き上がり機能を発揮する構造を組み合わせて使用することがある。
【0004】
永久磁石と硬球を持ちいた免震装置は、先行文献1、先行文献2に開示される。
また、ボールベアリングと永久磁石を用いた免震装置が、先行文献3に開示される。
永久磁石を用いて減衰力を発生する免震装置は、先行文献3、先行文献4に開示される。
【0005】
発明者は、磁石を利用した減衰力をもつ免震装置の構造を検討し、本願の発明を考案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、磁石を利用した減衰力をもつ免震装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る支持構造体と被支持構造体との間に形成される免震層に設けられる免震装置を、被支持構造体を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする垂直距離維持機構と、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に水平方向に作用する減衰力である水平減衰力を作用させる水平減衰力作用機構と、を備え、前記水平減衰力作用機構が、N極またはS極の一方の極となる端面である永久磁石端面を各々に形成する複数の永久磁石と複数の前記永久磁石を仮想の水平面である仮想水平面に沿って並べ前記永久磁石端面を前記仮想水平面に一致する様に保持する保持部材と導電性材料ででき複数の前記永久磁石の前記永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面を形成する導電部材と、を有し、水平に並べて保持される複数の永久磁石に発生する磁束が前記導電部材平面に交差して前記導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生する、ものとした。
【0008】
上記本発明の構成により、上下一対の基礎構造は、被支持構造体を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する。垂直距離維持機構は、前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする。前記水平減衰力作用機構が、複数の永久磁石と保持部材と導電部材と、を有し、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に水平方向に作用する減衰力である水平減衰力を作用させる。複数の永久磁石は、N極またはS極の一方の極となる端面である永久磁石端面を各々に形成する。保持部材は、複数の前記永久磁石を仮想の水平面である仮想水平面に沿って並べ前記永久磁石端面を前記仮想水平面に一致する様に保持する。導電部材は、導電性材料ででき複数の前記永久磁石の前記永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面を形成する。水平に並べて保持される複数の永久磁石に発生する磁束が前記導電部材平面に交差して前記導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生する。
その結果、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、発生したローレンツ力が減衰力として作用する。
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0010】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記保持部材が複数の前記永久磁石を前記仮想水平面に仮想される上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って水平に並べ前記永久磁石端面を前記仮想水平面に一致する様に保持する。
上記の実施形態の構成により、前記保持部材が複数の前記永久磁石を前記仮想水平面に仮想される上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って水平に並べ前記永久磁石端面を仮想仮想水平面に一致する様に保持する。
その結果、前記磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0011】
本発明の実施形態に係る免震装置は、複数の前記永久磁石の極が前記永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極とに別れており、上から見て隣り合う複数の前記永久磁石の隣り合う永久磁石端面の極が異なる。
上記の実施形態の構成により、複数の前記永久磁石の極が前記永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極とに別れる。上から見て隣り合う複数の前記永久磁石の隣り合う永久磁石端面の極が異なる。
その結果、隣り合う永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき前記導電部材に渦電流が発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0012】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の極が上下方向にN極とS極とに別れており、上から見て複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる。
上記の実施形態の構成により、前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の極が上下方向にN極とS極とに別れる。上から見て複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる。
その結果、前記磁石仮想円に沿って隣り合う永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0013】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に垂直方向に作用する減衰力である垂直減衰力を作用させる垂直減衰力作用機構と、を備え、前記垂直減衰力作用機構が、N極またはS極の一方の極となる端面であるZ軸永久磁石端面を各々に形成する複数のZ軸永久磁石と、複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の輪郭を持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持するZ軸保持部材と、導電性材料ででき複数の前記Z軸永久磁石の前記Z軸永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して垂直および水平に延びる平面であるZ軸導電部材平面を形成するZ軸導電部材と、を有し、複数のZ軸永久磁石に発生する磁束が前記Z軸導電部材平面に交差して前記Z軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生ずるとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生する。
上記の実施形態の構成により、垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石とZ軸保持部材とZ軸導電部材とを有し、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に垂直方向に作用する減衰力である垂直減衰力を作用させる。複数のZ軸永久磁石は、N極またはS極の一方の極となる端面であるZ軸永久磁石端面を各々に形成する。Z軸保持部材は、複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の輪郭を持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持する。Z軸導電部材は、導電性材料ででき複数の前記Z軸永久磁石の前記Z軸永久磁石端面との間に所定の隙間を設けて対向して垂直および水平に延びる平面であるZ軸導電部材平面を形成する。複数の前記Z軸永久磁石に発生する磁束が前記Z軸導電部材平面に交差して前記Z軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生ずるとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生する。
その結果、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0014】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記Z軸保持部材が複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円を輪郭に持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持する。
上記の実施形態の構成により、前記Z軸保持部材が複数の前記Z軸永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円を輪郭にもち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ前記永久磁石端面を前記仮想垂直面に一致する様に保持する。
その結果、前記磁石仮想円に沿って並ぶ複数のZ軸永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束がZ軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0015】
本発明の実施形態に係る免震装置は、複数の前記Z軸永久磁石の極が前記Z軸永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極に別れており、上から見て隣り合う複数の前記Z軸永久磁石の隣り合う前記Z軸永久磁石端面の極が異なる。
上記の実施形態の構成により、複数の前記Z軸永久磁石の極が前記Z軸永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極に別れる。上から見て隣り合う複数の前記Z軸永久磁石の隣り合う前記Z軸永久磁石端面の極が異なる、
その結果、隣り合う複数の前記Z軸永久磁石のN極とS極とに発生する磁束がZ軸導電部材に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0016】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記磁石仮想円を輪郭に持つ仮想垂直面に沿って配置される複数の前記Z軸永久磁石の極が前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れており、上から見て複数の前記Z軸永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる。
上記の実施形態の構成により、前記磁石仮想円を輪郭にもつ仮想垂直面に沿って配置される複数の前記Z軸永久磁石の極が前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れる。上から見て複数の前記Z軸永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる。
その結果、複数の前記Z軸永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束がZ軸導電部材を通過し、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0017】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見て複数の前記永久磁石が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する様に配置され、前記水平復元力作用機構が、複数の前記永久磁石と、前記保持部材と、導電部材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内側輪郭に内側から沿う様に配される内側磁極ブロックと、を有する、
上記の実施形態の構成により、上から見て複数の前記永久磁石が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する様に配置される。内側磁極ブロックは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内側輪郭に内側から沿う様に配される。
その結果、前記永久磁石のN極とS極と内側磁極ブロックを通過する磁束が導電部材に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0018】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見て複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ様に配置され、前記水平復元力作用機構が、複数の前記永久磁石と、前記保持部材と、導電部材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される外側磁極ブロックと、を有する、
上記の実施形態の構成により、上から見て複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ様に配置される。外側磁極ブロックは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される。
その結果、前記永久磁石のN極とS極と外側磁極ブロックを通過する磁束が導電部材に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
【0019】
本発明の実施形態に係る免震装置は、柔軟材料でできる保護材と、を備え、前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周を覆い、前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周の一部を支持する。
上記の実施形態の構成により、前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周を覆う。前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周の一部を支持する。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の動きを抑制できる。
【0020】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記保持部材が上下方向に貫通する貫通穴を形成し、前記水平減衰力作用機構が、弾塑性材料ででき上下方向に延びる柱状形状を形づくり前記貫通穴を貫通し上端を前記上部基礎構造に支持され下端を前記下部基礎構造に支持されるプラグと、を有する。
上記の実施形態の構成により、前記保持部材が上下方向に貫通する貫通穴を形成する。プラグは、弾塑性材料ででき上下方向に延びる柱状形状を形づくり前記貫通穴を貫通し上端を前記上部基礎構造に支持され下端を前記下部基礎構造に支持される。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグが剪断変形して、水平方向の相対変位に応答する水平方向に抵抗力を発生する。
【0021】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上下一対の前記基礎構造と、前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする様に垂直方向に直列に重なるM個(M=2、3・・・)の軸力支承機構を有する前記垂直距離維持機構と、M個の前記水平復元力作用機構と、(M-1)個の接続プレートと、を備え、1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平に並ぶ様に配されるものを免震装置ユニットと呼称したとき、M個の前記免震装置ユニットのうちの2個の前記免震装置ユニットが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配され、前記上部基礎構造が上端部に支持され、前記下部基礎構造が下端部を支持する。
上記の実施形態の構成により、前記垂直距離維持機構が、前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする様に直列に重なるM個(M=2、3・・・)の軸力支承機構を有する。1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平方向に配されるものを免震装置ユニットと呼称する。M個の前記免震装置ユニットUのうちの2個の前記免震装置ユニットUが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配される。前記上部基礎構造が上端部の上に配される。前記下部基礎構造が下端部の下に配される。前記免震装置ユニットは1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平に並ぶ様に配される。
その結果、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、多段に重なるM個の免震装置ユニットが水平方向への相対移動を許しながら減衰力を作用させる。
【0022】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記垂直距離維持機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする軸力支承機構であって、前記軸力支承機構が、複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有し、前記転動体保持材が前記保持部材を兼ねる。
上記の実施形態の構成により、軸力支承機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする。前記軸力支承機構のM個の軸受ユニットの転動体保持材が複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する。前記転動体保持材が前記保持部材を兼ねる。
その結果、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、軸受ユニットが水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
【0023】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記垂直距離維持機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする軸力支承機構であって、前記軸力支承機構が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる積層ゴム支承を有し、前記金属板材が前記保持部材を兼ねる。
上記の実施形態の構成により、軸力支承機構が前記下部基礎構造を基礎として前記上部基礎構造に作用する軸力を支持して前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする。前記軸力支承機構の積層ゴム支承が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる。前記金属板材が前記保持部材を兼ねる。
その結果、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、積層ゴム支承が水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
【0024】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成し、前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる。
上記の実施形態の構成により、上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成する。前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる。
その結果、前記永久磁石を用いた減衰力をもつコンパクトな免震装置を提供できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
前記下部基礎構造と前記上部基礎構造との水平方向に相対移動自在に支持して垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとし、前記保持部材が複数の永久磁石を仮想水平面に沿って並べ、永久磁石端面と導電部材平面とを所定の隙間を明けて対向させ、複数の永久磁石に発生する磁束が前記導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき前記導電部材に渦電流を生じる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、前記保持部材が複数の前記永久磁石を仮想水平面に仮想される上から見て前記磁石仮想円に沿って並べ前記永久磁石面を前記仮想水平面に一致する様に保持する様にしたので、前記磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、複数の前記永久磁石のN極とS極とが上下方向に別れ、上から見て隣り合う複数の前記永久磁石の隣り合う永久磁石端面の極が異なる様にしたので、隣り合う永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の極が上下方向にN極とS極とに別れ、上から見て複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様にしたので、
前記磁石仮想円に沿って隣り合う永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、前記Z軸保持部材が複数のZ軸永久磁石を支え、Z軸永久磁石端面とZ軸導電部材平面とを所定の隙間を明けて対向させ、複数のZ軸永久磁石に発生する磁束が前記Z軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき前記Z軸導電部材に渦電流を生じる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、前記Z軸保持部材が複数の前記Z軸永久磁石を上から見て前記磁石仮想円を輪郭にもつ仮想垂直面に沿って並べ前記Z軸永久磁石面を仮想垂直面に一致する様に保持する様にしたので、前記磁石仮想円に沿って並ぶ複数のZ軸永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束がZ軸導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が前記Z軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、複数の前記Z軸永久磁石の極が前記Z軸永久磁石端面に直交する向きに沿ってN極とS極に別れ、隣り合う前記Z軸永久磁石端面の極が異なる様にしたので、隣り合う複数の前記Z軸永久磁石のN極とS極とに発生する磁束がZ軸誘導部材に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、前記仮想垂直面に沿って配置される複数の前記Z軸永久磁石の極が前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れ、前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様にしたので、前記放射方向に沿った複数の前記Z軸永久磁石のN極とS極とをつないで発生する磁束がZ軸導電部材を通過し、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、内側磁極ブロックが上から見て複数の前記永久磁石の中心部の空隙を囲う前記内側輪郭に内側から沿う様に配される様にしたので、前記永久磁石のN極とS極と内側磁極ブロックを通過する磁束が導電部材に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、外側磁極ブロックが上から見て複数の前記永久磁石の外周を囲う外側輪郭に外側から沿う様に配される様にしたので、前記永久磁石のN極とS極と外側磁極ブロックを通過する磁束が導電部材に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、前記保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の外周を覆う様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材が前記垂直距離維持機構また前記水平復元力作用機構若しくは前記垂直復元力作用機構の動きを抑制できる。
また、弾塑性材料でできるプラグが上端を前記上部基礎構造に下端を前記下部基礎構造に水平方向の相対位相不能に支持される様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグが剪断変形して、水平方向の相対変位に応答する水平方向に抵抗力を発生する。
また、免震装置ユニットが、1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが上下方向に沿って各に並列に配され、M個の免震装置ユニットと(M-1)個の前記中間基礎構造とが上下方向に交互に配される様にしたので、
上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、多段に重なるM個の免震装置ユニットが水平方向への相対移動を許しながら減衰力を作用させる。
また、軸受ユニットの複数の軸受が被支持構造を支える様にしたので、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、軸受ユニットが水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、積層ゴム支承が被支持構造を支える様にしたので、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、積層ゴム支承が水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、前記軸力支承機構または前記水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力作用機構のどちらか他方が、上から見て一方の中心部に形成される中空空間に収まる様にしたので、前記永久磁石を用いた減衰力をもつコンパクトな免震装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る免震システムの概念図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。
図7】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図8】本発明の第四の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図9】本発明の第四の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。
図10】本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図11】本発明の第六の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図12】本発明の第六の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。
図13】本発明の第六の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
図14】本発明の第七の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図15】本発明の第八の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図16】本発明の第九の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図17】本発明の第十の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図18】本発明の第十の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図19】本発明の実施形態に係る免震装置の原理説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る免震システムの概念図である。
図1は、本発明の実施形態に係る複数の免震装置10が建物Sと地盤Gとの間の免震層MEに設置される様子を示す。
図1(A)は、建物Sを支持する免震システムの正面図である。
図1(B)は、建物Sを支持する免震システムのI-I断面図である。
ボルト(図示せず)が免震装置10と建物Sとを締結する。
免震層MEは、図1に示すものと異なり、建物Sの中間層にあってもよい。
【0028】
複数の免震装置10が、碁盤目状に配されて地盤Gを基礎として建物Sを支持する。
複数の免震装置10が、建物Sの荷重を支える。
地震が発生すると、複数の免震装置10が地震の揺れを免震する。
複数の免震装置10は、異なる機構をもつ免震装置10が組み合わされてもよい。
複数の免震装置10は、本発明の実施形態に係る免震装置と他の構造の免震装置を組み合わされてもよい。
以下では、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。
【0029】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、支持構造体と被支持構造との間に形成される免震層MEに設けられる装置である。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、建物Sと地盤Gとの間に形成される免震層MEに設けられる装置であってもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、建物Sの中間に形成される免震層MEに設けられる装置であってもよい。このとき、建物Sの免震層MEより上部の構造が被支持構造体に相当し、建物Sの免震層MEより下部の構造が支持構造体に相当する。
【0030】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構若しくは1個の垂直減衰力発生機構とで構成される。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と1個の垂直減衰力作用機構とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構と1個の垂直減衰力作用機構とで構成されてもよい。
【0031】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構若しくは1個の垂直減衰力発生機構と保護材6とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構と保護材6とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の垂直減衰力作用機構と保護材6とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構と1個の垂直減衰力作用機構と保護材6とで構成されてもよい。
【0032】
垂直距離維持機構は、上下一対の基礎構造である下部基礎構造と上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする機構である。
垂直距離維持機構は、水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力作用機構と別個独立して設けられてもよい。
垂直距離維持機構は、水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力作用機構と隣合って設けられてもよい。
垂直距離維持機構は、水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力作用機構に内蔵されてもよい。
【0033】
垂直距離維持機構は、軸力支承機構で構成されてもよい。
垂直距離維持機構は、1個の軸力支承機構で構成されてもよい。
垂直距離維持機構は、複数の軸力支承機構で構成されてもよい。
垂直距離維持機構は、M個の軸力支承機構で構成されてもよい。
例えば、M個の軸力支承機構は、垂直方向に直列に重なり、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造に作用する軸力を支持して、下部基礎構造と上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする。
【0034】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造とM(M=2、3・・・)個の軸力支承機構とM個の水平減衰力力作用機構若しくは垂直減衰力発生機構と(M-1)個の接続プレート12とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造とM(M=2、3・・・)個の軸力支承機構とM個の水平減衰力力作用機構若しくは垂直減衰力発生機構と(M-1)個の接続プレート12と保護材6とで構成されてもよい。
【0035】
上下一対の基礎構造は、被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とで構成される。
例えば、上下一対の基礎構造は、被支持構造を支持するフランジプレート4と支持構造体に支持されるフランジプレート4とで構成される。
【0036】
1個の軸力支承機構と1個の水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力発生機構とが水平に並ぶ様に配されるものを免震装置ユニットUと呼称するとき、M個の免震装置ユニットUのうちの2個の免震装置ユニットUが上端部と下端部に各々に配される様にM個の免震装置ユニットUと(M-1)個の接続プレート12とが上下方向に沿ってに交互に配されてもよい。
上部基礎構造が上端部に支持される。
上部基礎構造が上端部の上に固定され上端部に支持されてもよい。
下部基礎構造が下端部を支持する。
下部基礎構造が下端部に固定され下端部を支持してもよい。
【0037】
上から見て軸力支承機構と水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力発生機構のどちらか一方が中心部に中空空間Hを形成し、軸力支承機構と水平減衰力作用機構のどちらか他方が中空空間Hに収まってもよい。
例えば、上から見て軸力支承機構が中心部に中空空間Hを形成し、水平復元力作用機構若しくは垂直減衰力発生機構が中空空間Hに収まる。
例えば、上から見て水平復元力作用機構若しくは垂直減衰力発生機構が中心部に中空空間Hを形成し、軸力支承機構とが中空空間Hに収まってもよい。
【0038】
軸力支承機構は、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造に作用する軸力を支持する。
軸力支承機構は、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造に作用する軸力を支持し下部基礎構造と上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にしてもよい。
軸力支承機構は、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造に作用する軸力を支持し下部基礎構造と上部基礎構造との上下方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとしてもよい。
【0039】
軸力支承機構は、軸受ユニットで構成されてもよい。
軸受ユニットは、複数の転動体Oと転動体保持材Pと上下一対の軸力受材3とで構成される。
転動体Oは、球体の構造材である。
転動体Oは、磁性体製の球体の構造材であってもよい。
例えば、転動体Oは、軸受様の鉄球である。
転動体保持材Pは、複数の転動体Oを上から見て転動体仮想円ROに沿って配置され回転自在になる様に保持する。
転動体保持材Pは、複数の転動体Oを転動体仮想円ROに沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持してもよい。
転動体保持材Pは、複数の転動体Oを上から見て複数の転動体仮想円ROに沿って配置され回転自在になる様に保持してもよい。
転動体保持材Pは、複数の転動体Oを上から見て複数の転動体仮想円ROに沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持してもよい。
転動体保持材Pは、軸受においてリテーナーと呼称されるものである。
複数の転動体Oは、上から見て転動体仮想円ROに沿って直列に配置されてもよい。
複数の転動体Oは、上から見て転動体仮想円ROに沿って千鳥状に配置されてもよい。
複数の転動体Oは、上から見て転動体仮想円ROに沿ってその他の規則に従って配置されてもよい。
【0040】
転動体保持材Pが、後述する永久磁石1を保持してもよい。
転動体保持材Pが、後述する複数の永久磁石1を保持する保持部材2cを兼ねていてもよい。
保持部材2cについては、本発明の実施形態に係る免震装置で説明する。
【0041】
ここで、
転動体仮想垂直軸ZOは、仮想の垂直軸である。
転動体仮想垂直軸ZOは、水平面に直交する仮想の垂直軸である。
転動体仮想円ROは、転動体仮想垂直軸ZOを中心とする仮想の円である。
複数の転動体仮想円ROは、転動体仮想垂直軸ZOを中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0042】
軸力支承機構は、積層ゴム支承で構成されてもよい。
積層ゴム支承は、複数の弾塑性板材RPと複数の金属板材SPとが上下方向に重なる構造をもつ。
弾塑性板材RPは、弾塑性材でできた板材である。
金属板材SPは、金属製の板材である。
【0043】
金属板材SPが、永久磁石1を保持してもよい。
金属板材SPが、後述する複数の永久磁石1を保持する保持部材2cを兼ねていてもよい。
保持部材2cについては、本発明の実施形態に係る免震装置で説明する。
【0044】
軸力支承機構は、水平減衰力作用機構とは別個独立に設けられてもよい。
例えば、軸力支承機構は、水平減衰力作用機構とは離れた位置に設けられ、支持構造体と被支持構造体との水平方向の相対移動を自在にし支持構造体と被支持構造体との垂直方向の相対距離を一定値に維持使用としてもよい。
その結果、軸力支承機構は、下部基礎構造と上部基礎構造とを水平方向の相対移動を自在にして垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする。
【0045】
垂直距離維持機構は、水平減衰力作用機構に内蔵されてもよい。
例えば、垂直距離維持機構は、後述する保持部材2aを介して下部基礎構造に支持され、後述する保持部材2bを介して上部基礎構造を水平方向の相対移動を自在にして垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする構造を採用する。
例えば、垂直距離維持機構は、後述する保持部材2aを介して下部基礎構造に支持され、後述する保持部材2bを介して上部基礎構造を転送体の転がり運動により水平方向の相対移動を自在にして垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする構造を採用する。
例えば、垂直距離維持機構は、後述する保持部材2aを介して下部基礎構造に支持され、後述する保持部材2bを介して上部基礎構造を摩擦材による滑り運動により水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする構造を採用する。
【0046】
水平減衰力作用機構は、下部基礎構造に支持され上部基礎構造に水平方向に作用する減衰力である水平減衰力を作用させる機構である。
水平減衰力は、免震装置が地震のないときの姿勢である原点姿勢から水平方向に相対変位したときに相対変位する移動方向の逆方向に作用する力である。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9とで構成されてもよい。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9と磁極ブロック11とで構成されてもよい。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9とプラグ13とで構成されてもよい。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9とプラグ13と磁極ブロック11とで構成されてもよい。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9とプラグ13と磁極ブロック11とで構成されてもよい。
【0047】
磁極ブロック11は、内側磁極ブロック11aで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、外側磁極ブロック11bで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、内側磁極ブロック11aと外側磁極ブロック11bとで構成されてもよい。
【0048】
保持部材2は、保持部材2aで構成されてもよい。
例えば、下側に配置される保持部材2aがその上側に永久磁石1を保持する。
例えば、上側に配置される保持部材2aがその下側に永久磁石1を保持する。
【0049】
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bとで構成されてもよい。
例えば、下側に配置される保持部材2aがその上側に永久磁石1を保持し、上側に配置される保持部材2bがその下側に導電部材9を保持する。
例えば、上側に配置される保持部材2aがその下側に永久磁石1を保持し、下側に配置される保持部材2bがその上側に導電部材9を保持する。
【0050】
導電性をもつ保持部材2bに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
【0051】
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bと中間に配置される保持部材cとで構成されてもよい。
例えば、下側に配置される保持部材2aが上側に永久磁石を保持し、上側に配置される保持部材2bが下側に永久磁石1を保持し、保持部材cが導電部材9を保持する。
例えば、上側に配置される保持部材2aが下側に永久磁石1を保持し、下側に配置される保持部材2bが上側に永久磁石1を保持し、保持部材cが導電部材9を保持する。
【0052】
導電性をもつ保持部材2cに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
【0053】
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bと中間に配置される保持部材cとで構成されてもよい。
例えば、下側に配置させる保持部材2aが上側に導電部材9を保持し、上側に配置される保持部材2bが下側に導電部材9を保持し、保持部材2cが永久磁石1を保持する。
例えば、上側に配置させる保持部材2aが下側に導電部材9を保持し、下側に配置される保持部材2bが上側に導電部材9を保持し、保持部材2cが永久磁石1を保持する。
【0054】
導電性をもつ保持部材2aに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
導電性をもつ保持部材2bに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
【0055】
永久磁石1は、N極またはS極の一方の極となる端面である永久磁石端面S1を形成する永久磁石である。
永久磁石1は、N極またはS極の一方の極となる端面である上下一対の永久磁石端面S1である永久磁石上端面と永久磁石下端面とを形成する永久磁石であってもよい。
永久磁石上端面と永久磁石下端面は、互いに反対の側を向き平行であってもよい。
永久磁石上端面がN極またはS極の一方の極であるとき、永久磁石下端面はN極またはS極の他方の極である。
【0056】
複数の永久磁石1の極が永久磁石端面S1に直交する向きに沿ってN極とS極とに別れており、上から見て隣り合う複数の永久磁石1の隣り合う永久磁石端面S1の極が異なる。
【0057】
磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石1の極が上下方向にN極とS極とに別れており、上から見て複数の永久磁石1の上方の極が磁石仮想円R1に沿って交互にN極とS極とになってもよい。
仮想水平面に仮想される磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石1の極が上下方向にN極とS極とに別れており、上から見て複数の永久磁石1の上方の極が磁石仮想円R1に沿って交互にN極とS極とになってもよい。
【0058】
保持部材2aは、複数の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ、永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持するものである。
保持部材2aは、複数の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ、永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持するものである。
保持部材2aは、複数の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ、上下方向の一方向に向いた永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持するものである。
例えば、保持部材2aは、複数の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ、上方向に向いた永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持するものである。
例えば、保持部材2aは、複数の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ下方向に向いた永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持するものである。
保持部材2aは、複数の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持する板状の部材である板状保持部材をもっていてもよい。
仮想水平面は仮想の水平面である。
【0059】
保持部材2aが、複数の永久磁石1を仮想水平面に仮想される上から見て磁石仮想円に沿って水平に並べ永久磁石端面S1を仮想の水平面である仮想水平面に一致する様に保持する。
保持部材2aが、複数の永久磁石1を仮想水平面に仮想される上から見て磁石仮想円に沿って水平方向に所定の間隔で並べ永久磁石端面S1を仮想の水平面である仮想水平面に一致する様に保持してもよい。
保持部材2aが、複数の永久磁石1を仮想水平面に仮想される上から見て複数の磁石仮想円に沿って水平に並べ永久磁石端面S1を仮想の水平面である仮想水平面に一致する様に保持してもよい。
保持部材2aが、複数の永久磁石1を仮想水平面に仮想される上から見て複数の磁石仮想円に沿って水平方向に所定の間隔で並べ永久磁石端面S1を仮想の水平面である仮想水平面に一致する様に保持してもよい。
【0060】
ここで、
磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸Z1を中心とする仮想の円である。
複数の磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0061】
保持部材2aは、板状である板状保持部材で構成されてもよい。
板状保持部材は、永久磁石1を保持する面の反対側の面に空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
板状保持部材は、永久磁石1を保持する面の反対側の面に縁部を残し空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
【0062】
導電部材9は、導電性材料ででき複数の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面S9を形成する部材である。
導電部材9は、導電性材料ででき水平に並ぶ複数の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面S9を形成する部材であってもよい。
導電部材9は、導電性材料ででき水平に並ぶ複数の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に非磁性物質で満たされた所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面S9を形成する部材である。
例えば、非磁性物質は空気である。
例えば、非磁性物質は液体である。
例えば、非磁性物質はオイルである。
【0063】
導電部材9は、導電性をもつ板状部材であってもよい。
導電部材9は、導電部材9を保持する保持部材2の表面に保持される導電性の板状部材であってもよい。
例えば、導電部材9は、保持部材2の表面に保持される導電性の板状部材である。
導電部材9は、導電部材を保持する磁石保持の表面に銅メッキなどで覆われたコーティングであってもよい。
例えば、導電部材9は、保持部材2bの表面に銅メッキなどで覆われたコーティングである。
導電部材9は、保持部材2に保持されてもよい。
導電部材9は、導電部材を保持する保持部材2と電気的に絶縁されていてもよい。
例えば、導電部材9は、保持部材2と電気的に絶縁されている。
導電部材9は、導電部材9を保持する導電性の保持部材と電気的に接続されていてもよい。
例えば、導電部材9は、導電性の保持部材2と電気的に接続される。
保持部材2が、導電性をもっていてもよい。
板状保持部材が、導電性をもっていてもよい。
【0064】
導電性をもつ保持部材2bに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
導電性をもつ保持部材2cに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
【0065】
保持部材2bが、基礎構造に支持され、導電部材9を保持してもよい。
例えば、保持部材2bが、上部基礎構造に支持され、導電部材9を保持する。
例えば、保持部材2bが、下部基礎構造に支持され、導電部材9を保持する。
保持部材2bは、導電部材9を保持し、導電部材平面S9を複数の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に所定の隙間を設けて対向させる部材である。
保持部材2bは、導電部材9を保持し、導電部材平面S9を水平に並ぶ複数の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に所定の隙間を設けて対向させる部材である。
【0066】
保持部材2bは、板状の部材である板状保持部材で構成されてもよい。
板状保持部材は、導電部材9を保持する面の反対側の面に空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
板状保持部材は、導電部材9を保持する面の反対側の面に縁部を残し空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
【0067】
水平に並べて保持される複数の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面S9に交差して導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生する。
水平に並べて保持される複数の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面S9に直交して導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生してもよい。
【0068】
水平に並べて保持される複数の永久磁石1に発生する磁束が導電部材を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
減衰力は上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位による変位方向に逆らう方向に作用する。
【0069】
上から見て複数の永久磁石1が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成してもよい。
内側磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
複数の内側磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
【0070】
上から見て複数の永久磁石1が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもっていてもよい。
外側磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
複数の外側磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
軸力支承機構の磁性体でできる部分が、外側磁極ブロック11bを兼ねてもよい。
【0071】
保護材6は、柔軟材料でできるものであって、軸力支承機構また水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力作用機構の外周を覆う。
保護材6は、柔軟材料でできるものであって、免震装置ユニットUの外周を覆ってもよい。
保護材6が、軸力支承機構また水平復元力作用機構および垂直減衰力作用機構の外周の一部を支持してもよい。
例えば、保護材6は、ゴム製である。
例えば、保護材6は、エラストマー製である。
【0072】
プラグ13は、弾塑性材料ででき、上下に延びる柱状形状を形作り、上端を上部基礎構造に下端を下部基礎構造に支持されるものである。
プラグ13は、軟金属製ででき上下に延びる柱状形状を形作るものであってもよい。
例えば、保持部材2a、2bが上下方向に貫通する貫通穴を形成し、プラグ6aはその貫通穴を貫通する。
【0073】
垂直減衰力作用機構は、下部基礎構造に支持され上部基礎構造に垂直方向に作用する減衰力である垂直減衰力を作用させる機構である。
垂直減衰力は、免震装置が地震のないときの姿勢である原点姿勢から垂直方向に相対変位したときに相対変位の移動方向の逆方向に作用する力である。
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1zとZ軸保持部材2zとZ軸導電部材9zとで構成されてもよい。
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1とZ軸保持部材2zとZ軸導電部材9zとZ軸磁極ブロック11zとで構成されてもよい。
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1とZ軸保持部材2zとZ軸導電部材9zとZ軸磁極ブロック11zとZ軸磁極ブロック11zとで構成されてもよい。
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1zとZ軸保持部材2zとZ軸導電部材9zとプラグ13とで構成されてもよい。
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1zとZ軸保持部材2zとZ軸導電部材9zとプラグ13とZ軸磁極ブロック11zとで構成されてもよい。
【0074】
Z軸保持部材2zが、Z軸保持部材2azで構成される。
Z軸保持部材2azがZ軸永久磁石1zを保持する。
例えば、Z軸保持部材2azがその外側でZ軸永久磁石1zを保持する。
例えば、Z軸保持部材2azがその内側でZ軸永久磁石1zを保持する。
【0075】
Z軸保持部材2zが、Z軸保持部材2azとZ軸保持部材2bzで構成されてもよい。
Z軸保持部材2azがZ軸永久磁石1zを保持し、Z軸保持部材2bzがZ軸導電部材9zを保持してもよい。
例えば、上から見てZ軸保持部材2azがZ軸保持部材2bzの内周に配置されるとき、Z軸保持部材2azがその外側でZ軸永久磁石1zを保持し、Z軸保持部材2bzがその内側でZ軸導電部材9zを保持する。
例えば、例えば、上から見てZ軸保持部材2azがZ軸保持部材2bzの外周に配置されるとき、Z軸保持部材2azがその内側でZ軸永久磁石1zを保持し、Z軸保持部材2bzがその外側でZ軸導電部材9zを保持する。
【0076】
導電性をもつZ軸保持部材2bzに相当する部分とZ軸導電部材9zに相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものをZ軸導電部材9zと呼称する。
【0077】
Z軸磁極ブロック11zが、Z軸保持部材2bzを兼ねてもよい。
導電性をもつZ軸磁極ブロック11zに相当する部分とZ軸導電部材9zに相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものをZ軸導電部材9zと呼称する。
【0078】
Z軸永久磁石1zは、N極またはS極の一方の極となる端面であるZ軸永久磁石端面S1zを形成する永久磁石である。
Z軸永久磁石1zは、N極またはS極の一方の極となる端面であるである一対のZ軸永久磁石端面S1zを形成する永久磁石であってもよい。
一対のZ軸永久磁石端面S1zが互いに反対方向を向き平行であってもよい。
一対のZ軸永久磁石端面S1zの一方がS極であるとき、一対のZ軸永久磁石端面S1zの他方はN極である。
【0079】
複数のZ軸永久磁石1zの極がZ軸永久磁石端面S1zに直交する向きに沿ってN極とS極とに別れており、上から見て隣り合う複数のZ軸永久磁石1zの隣り合う永久磁石端面の極が異なる。
【0080】
磁石仮想円R1を輪郭にもる仮想垂直面に沿って配置される複数のZ軸永久磁石1zの極がZ軸永久磁石端面S1zに直交する向きN極とS極とに別れており、上から見て複数のZ軸永久磁石1zの外側の極が磁石仮想円R1に沿って交互にN極とS極とになってもよい。
【0081】
Z軸保持部材2azは、複数のZ軸永久磁石1zを仮想垂直面に沿って並べ、Z軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に垂直に保持するものである。
Z軸保持部材2azは、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て仮想の輪郭を持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って垂直および水平に並べ、Z軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に垂直に保持するものであってもよい。
【0082】
Z軸保持部材2azが、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て磁石仮想円R1を輪郭にもち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ、Z軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持する。
Z軸保持部材2azが、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て磁石仮想円R1を輪郭に持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って垂直と水平とに所定の間隔で並べ、Z軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持してもよい。
Z軸保持部材2azが、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て複数の磁石仮想円R1を輪郭にもち垂直に延びる仮想垂直面に沿って垂直と水平とに所定の間隔で並べZ軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持してもよい。
【0083】
ここで、
磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸Z1を中心とする仮想の円である。
複数の磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0084】
Z軸保持部材2azは、板状の部材である板状保持部材で構成されてもよい。
外側磁極ブロック11bが、Z軸保持部材2azを兼ねてもよい。
板状保持部材は、Z軸永久磁石1zを保持する面の反対側の面に空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
板状保持部材は、Z軸永久磁石1zを保持する面の反対側の面に縁部を残し空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
【0085】
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に所定の隙間を設けて対向し延びる平面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する部材である。
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に所定の隙間を設けて対向して垂直に延びる平面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する部材である。
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき垂直に並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に所定の隙間を設けて対向して垂直および水平に延びる平面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する部材である。
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき垂直および水平に並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に非磁性物質で満たされた所定の隙間を設けて対向して垂直に延びる平面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する部材である。
例えば、非磁性物質は空気である。
例えば、非磁性物質は液体である。
例えば、非磁性物質はオイルである。
【0086】
Z軸保持部材2bzがZ軸導電部材9zを保持してもよい。
Z軸保持部材2bzがZ軸導電部材9zを保持し、Z軸導電部材平面S9zを垂直および水平に並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に所定の隙間を設けて対向させてもよい。
Z軸保持部材1bzがZ軸導電部材9zを保持し、Z軸導電部材平面S9zを垂直および水平に並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に非磁性物質で満たされた所定の隙間を設けて対向させてもよい。
【0087】
Z軸磁極ブロック11zが、Z軸保持部材2bzを兼ねてもよい。
導電性をもつZ軸磁極ブロック11zに相当する部分とZ軸導電部材9zに相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものをZ軸導電部材9zと呼称する。
【0088】
Z軸磁極ブロック11zは、板状の保持部材で構成されてもよい。
板状の保持部材は、Z軸導電部材9zを保持する面の反対側の面に空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
板状の保持部材は、Z軸導電部材9zを保持する面の反対側の面に縁部を残し空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
【0089】
複数のZ軸永久磁石1zに発生する磁束が、Z軸導電部材平面S9zに交差してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生する。
仮想垂直面に沿って保持される複数のZ軸永久磁石1zに発生する磁束が、Z軸導電部材平面S9zに直交してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生してもよい。
【0090】
仮想垂直面に沿って保持される複数のZ軸永久磁石1zのN極とS極とに発生する磁束が、Z軸導電部材平面S9zに交差してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
仮想垂直面に沿って保持される複数のZ軸永久磁石1zのN極とS極とに発生する磁束がZ軸導電部材平面S9zに直交してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用してもよい。
垂直減衰力は上下一対の基礎構造の垂直方向の相対変位の変位方向に逆らう方向に作用する。
【0091】
以下に、本発明の第一乃至八の実施形態に係る免震装置を、図を基に、それぞれ説明する。
【0092】
最初に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10を、図を基に説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置10は、前述した垂直減衰力作用機構と磁極ブロックとプラグ13とを備えない、単段の免震装置ユニットをもつものである。
【0093】
本発明の第一実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と1個の垂直距離維持機構と1個の水平減衰力作用機構と被覆材6とで構成される。
垂直距離維持機構は、積層ゴム支承を採用している軸力支承機構である。
積層ゴム支承は、ゴムRPと鋼板SPとが積層した構造と、フランジプレート4、建物と締結する接続ボルト穴5および保護材6で構成される。
例えば、保護材6の材質はゴムである。
【0094】
図2に示す事例では、建物Sの重量は積層されたゴムRPと鋼板SPとで支える構造となっている。ゴムRPと鋼板SPとはフランジプレート4とボルトで締結される。
図2(A)は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10の部分断面を示す。
免震装置10は、永久磁石1、保持部材2、保持体接続プレート3、鋼板SPとゴムRPとが積層された積層ゴム体、プランジプレート4、建物と緊結する接続ボルト穴5、導電部材9および保護材6で構成される。
例えば、永久磁石1の材質はネオジム磁石、保持部材2は強磁性体(鋼材)、保護材6は天然ゴムである。例えば、鋼板SPとゴムRPは加硫接着で接着されている。導電部材9は保持部材2の表面に貼り付けられている。例えば、材質は銅板である。また、導電部材9は、保持部材2bの表面に銅メッキなどで覆われたコーティングであってもよい。
保持部材2bまたは導電部材9と永久磁石1との間には隙間をもって空いている。例えば隙間は、1.0mmである。
図2(B)はII-II位置での断面を示す。この事例では、永久磁石1が円周上に8個配置されている。隣り合う永久磁石1の磁極は異なる極になる様に配置される。ここでは、永久磁石の形状は円筒系だが、6面体などその他の形状でもよい。
【0095】
図3(A)は、円周方向の磁気回路を示す。
図3(B)は、III-III位置での断面を示す。
磁界は、N極からS極へ向かって形成されている。永久磁石1のN極から出た磁束は隙間をもって対向する保持部材2bを通って隣り合う永久磁石1のS極に到達する。円周方向にまた、永久磁石1のN極からでた磁束は、隣り合う永久磁石1のS極に到達する。また、永久磁石1の下部ではN極からでた磁束が保持部材2aを通って、隣り合う永久磁石1のS極に到達している。
【0096】
図4(A)は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置が免震層MEの基礎FBに設置されている様子を示す。
免震装置10は、基礎FBとアンカーボルトABまたはスタッドボルトで定着されている。
図4(B)は、地震時の作用を説明する図である。地震が作用し積層ゴム体が水平方向に変形すると、磁界を妨げるように相対速度が永久磁石1と保持部材2bとのい間で発生する。そのため、磁界と速度の相互作用により磁石保持体2bの表面に渦電流が発生する。さらに新たに形成された磁界と渦電流の相互作用によりローレンツ力が作用する。このローレンツ力は地震によって生じる水平変形を抑制する方向に作用するため、建物の揺れを抑えることができる。
【0097】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置10は、垂直距離維持機構と水平減衰力作用機構と保護材6とで構成される。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置10は水平減衰力作用機構が上から見て軸力支承機構の中央に設けられた中空空間に収まり、保護材6が軸力支承機構の外周を覆う形態をもつ。
垂直距離維持機構は、積層ゴム支承で構成される軸力支承機構である。
積層ゴム支承は、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる構造を有する。
【0098】
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9と保持部材2bとで構成される。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9と保持部材2bと上下一対の保持材接続プレート3とで構成されてもよい。
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bとで構成される。
図2には、水平減衰力作用機構が8個の永久磁石1と保持部材2aと保持部材2bと導電部材9と上下一対の保持材接続プレート3とで構成される様子が示される。
【0099】
下側に配置される保持部材2aがその上側に8個の永久磁石1を保持し、上側に配置される保持部材2bがその下側に導電部材9を保持する。
【0100】
永久磁石1は、N極またはS極の一方の極となる端面である永久磁石端面S1を形成する。
永久磁石1は、N極またはS極のなる端面である一対の永久磁石端面S1を形成してもよい。
保持部材2aは、8個の永久磁石1を仮想水平面に沿って並べ、上方向に向いた永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持する板状の部材である板状保持部材をもつ。
図2には、上から見て、保持部材2aが、8個の永久磁石1を仮想水平面に仮想される磁石仮想円R1に沿って水平方向に所定の間隔で並べ永久磁石端面S1を仮想の水平面である仮想水平面に一致する様に保持する様子が示される。
ここで、磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である。
【0101】
導電部材9は、導電性材料ででき、8個の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に所定の隙間を設けて対向して広がる平面である導電部材平面S9を形成する。
導電部材9は、導電性材料ででき、8個の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面S9を形成する。
導電部材9は、導電性材料ででき、8個の永久磁石1の永久磁石端面S1との間に非磁性物質である空気層で満たされた所定の隙間を設けて対向して水平に広がる平面である導電部材平面S9を形成する。
導電部材9は、導電性材料でできた板材であってもよい。
導電部材9は、保持部材2bの下面にコーティングされた金属層であってもよい。
【0102】
保持部材2bは、導電部材9を支持し、導電部材平面S9を下方に向ける様に保持する。
【0103】
上下一対の保持材接続プレート3は、上側保持材接続プレートと下側保持材接続プレートとで構成される。
上側保持材接続プレートは、保持部材2bの上面に固定され、上側のフランジプレート4に支持される。
下側保持材接続プレートは、保持部材2aの下面に固定され、下側のフランジプレート4に支持される。
図2では、上側保持材接続プレートの外周が軸力支承機構と上側のフランジプレート4とに挟まれてボルト止めされ、下側保持材接続プレートの外周が軸力支承機構と下側のフランジプレート4とに挟まれてボルト止めされる様子が示される。
【0104】
8個の永久磁石1の極が永久磁石端面S1に直交する向きに沿ってN極とS極とに別れており、上から見て隣り合う8個の永久磁石1の隣り合う永久磁石端面S1の極が異なる。
図3には、磁石仮想円R1に沿って配置される8個の永久磁石1の極が上下方向にN極とS極とに別れており、上から見て8個の永久磁石1の上方の極が磁石仮想円R1に沿って交互にN極とS極とになる様子が示される。
【0105】
仮想水平面に並べて保持される8個の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面9に交差して導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生する。
仮想水平面に並べて保持される8個の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面9に直行して導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生してもよい。
その結果、ローレンツ力による水平減衰力が上下一対の基礎構造に作用する。
【0106】
次に、本発明の第二の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図5は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。図6は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。
【0107】
図5(A)は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置との断面を示す。図5(B)は、IV-IV位置での断面を示す。
本発明の第二の実施形態にかかる免震装置は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置と異なり、永久磁石1の円周方向の内側と外側とに磁極ブロック11a、11bを備える。
磁極ブロック11a、11bと保持部材2bとは隙間を持って形成される。磁極ブロック11a、11bの材質は例えば強磁性体(鋼材)である。
【0108】
図6(A)は、円周方向と半径方向の磁気回路を示す、図6(B)は、V-V位置での断面を示す。磁界は、N極からS極へ向かって形成されている。本発明の第二の実施形態に係る免震装置では、本発明の第一の実施形態に係る免震装置で説明した円周方向の磁界に加えて、永久磁石1のN極から出た磁束が、内側または外側に配置された磁極ブロック11a、11bを通って隣り合う永久磁石のS極に到達する半径方向に延びる磁界が形成される。この様に磁極ブロック11a、11bを配置することで、磁束の強さを大きくすることができる。
ここでは、永久磁石1を利用して減衰力を発生する水平減衰力作用機構を積層ゴム支承の中空空間に収めた例で説明したが、他の形式の軸力支承機構と組み合わせても良い。例えば、軸力支承機構が永久磁石とスラスト軸受を重ねた積層体であってもよい。例えば、軸力支承機構が軸力受材とスラスト軸受とを組み合わせた積層体であってもよい。例えば、復元力を発生する軸力受材とスラスト軸受とを組み合わせた積層体であってもよい。
【0109】
本発明の第二の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と水平減衰力作用機構と保護材6とで構成される。
本発明の第二の実施形態に係る免震装置10では、水平減衰力作用機構が上から見て軸力支承機構の中央に設けられた中空空間に収まり、保護材6が軸力支承機構の外周を覆う形態をもつ。
垂直距離維持機構は、積層ゴム支承で構成される軸力支承機構である。
積層ゴム支承は、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる構造を有する。
【0110】
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9と磁極ブロックとで構成される。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9と上下一対の保持材接続プレート3と磁極ブロックとで構成されてもよい。
保持部材2は、保持部材2aと保持無勢2bとで構成される。
図2には、水平減衰力作用機構が8個の永久磁石1と1個の保持部材2aと1個の保持部材2bと1個の導電部材9と上下一対の保持材接続プレート3と磁極ブロックとで構成される様子が示される。
【0111】
下側に配置される保持部材2aがその上側に8個の永久磁石1を保持し、上側に配置される保持部材2bがその下側に導電部材9を保持する。
【0112】
磁極ブロックは、内側磁極ブロック11a又は外側磁極ブロック11bである。
磁極ブロックは、単数の内側磁極ブロック11aであってもよい。
磁極ブロックは、複数の内側磁極ブロック11aであってもよい。
磁極ブロックは、単数の外側磁極ブロック11bであってもよい。
磁極ブロックは、複数の外側磁極ブロック11bであってもよい。
磁極ブロックは、単数または複数の内側磁極ブロック11aと単数または複数の外側磁極ブロック11bとであってもよい。
【0113】
図5には、水平減衰力作用機構が8個の永久磁石1と1個の保持部材2aと導電部材9と1個の保持部材2bと上下一対の保持材接続プレート3と内側磁極ブロック11aと外側磁極ブロック11bとで構成される様子が示される。
永久磁石1と1個の保持部材2aと導電部材9と保持部材2bと上下一対の保持材接続プレート3の構成は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置のものと同じなので、説明を省略し、異なる点を説明する。
【0114】
内側磁極ブロック11aは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配される。
ここで、上から見て複数の永久磁石1が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する様に配置される。
図5には、1個の内側磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできる円柱状のブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配される様子を示される。
複数の内側磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできる6面体のブロックである複数の磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
【0115】
外側磁極ブロック11bは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配される。
ここで、上から見て複数の永久磁石1が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ様に配置される。
図5には、1個の外側磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできるリング状のブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配される様子を示される。
複数の外側磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできる6面体のブロックである複数の磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
【0116】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図7は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置は、垂直距離維持機構を持たない。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置は、別途の軸力支承機構と組み合わせて用いられる。
【0117】
別途の軸力支承機構は、軸力を支持し、且つ、上下の基礎FBの間の離間距離を一定に保つ。
その結果、別途の軸力支承機構は、垂直距離維持機構として作用する。
【0118】
図7(A)は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の断面を示す。
図7(B)は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置のVI-VI断面を示す。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置は、水平減衰力のみを免震層に作用させるためのものである。
この場合は、保持部材2aが基礎側に、保持部材2bが建物側に設置する。外部に磁束が漏れるのを防止するため、少なくとも外側磁極ブロック11bを備えるのが好ましい。
【0119】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置10は、水平減衰力作用機構と保護材6と上下一対のフランジプレート4とで構成される。
【0120】
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と導電部材9と磁極ブロックとで構成される。
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bとで構成される。
【0121】
磁極ブロック11は、内側磁極ブロック11a又は外側磁極ブロック11bである。
磁極ブロックは、単数の内側磁極ブロック11aであってもよい。
磁極ブロックは、複数の内側磁極ブロック11aであってもよい。
磁極ブロックは、単数の外側磁極ブロック11bであってもよい。
磁極ブロックは、複数の外側磁極ブロック11bであってもよい。
磁極ブロックは、単数または複数の内側磁極ブロック11aと単数または複数の外側磁極ブロック11bとであってもよい。
【0122】
図6には、水平減衰力作用機構が12個の永久磁石1と1個の保持部材2aと1個の保持部材2bと導電部材9と磁極ブロック11a、11bとで構成される様子が示される。
永久磁石1と保持部材2aと導電部材9と保持部材2bとの構成は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置のものと同じなので、説明を省略し、異なる点を説明する。
【0123】
内側磁極ブロック11aは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配される。
ここで、上から見て複数の永久磁石1が中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する様に配置される。
図6には、1個の内側磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできるリング状のブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配される様子を示される。
複数の内側磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできる6面体のブロックである複数の磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
【0124】
外側磁極ブロック11bは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配される。
ここで、上から見て複数の永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ様に配置される。
図7には、1個の外側磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできるリング状のブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配される様子を示される。
複数の外側磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできる6面体のブロックである複数の磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
【0125】
次に、本発明の第四の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図8は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の概念図である。図9は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。
本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、垂直距離維持機構を持たない。
本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、別途の免震装置と組み合わせて用いられる。
【0126】
別途の軸力支承機構は、軸力を支持し、且つ、上下の基礎FBの間の離間距離を一定に保つ。
その結果、別途の軸力支承機構は、垂直距離維持機構として作用する。
【0127】
図8(A)は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の断面を示す。図に示す様に、水平減衰力作用機構の外側に縦方向に渦電流が発生する様にZ軸永久磁石1zとZ軸磁極ブロック11zを配置することで、縦方向に垂直変位が生じたときに引き抜き力に対して対応することができる。
図8(B)は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置のVII-VII断面を示す。
【0128】
図9は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置に発生する磁気回路を示す。最外径にあるZ軸磁極ブロック11zと縦方向に配置されたZ軸永久磁石1zにより縦方向にN極からS極へ磁界が生じている様子が示される。
【0129】
本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、上下一対の基礎構造と水平減衰力作用機構と垂直減衰力作用機構と保護材6とで構成される。
上下一対の基礎構造と水平減衰力作用機構と保護材6の主要な構成は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置のものと同じなので、異なる点を説明する。
【0130】
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1zとZ軸保持部材2azとZ軸導電部材9zとで構成される。
垂直減衰力作用機構は、複数のZ軸永久磁石1zとZ軸保持部材2azとZ軸保持部材2bzとZ軸導電部材9zとZ軸磁極ブロック11zとで構成されてもよい。
【0131】
外側磁極ブロック11bが、複数のZ軸永久磁石1zを保持するZ軸保持部材2azを兼ねてもよい。
Z軸磁極ブロック11zが、Z軸導電部材を保持するZ軸保持部材2bzを兼ねてもよい。
図8には、外側磁極ブロック11bが複数のZ軸永久磁石1zを保持するZ軸保持部材2azを兼ね、Z軸磁極ブロック11zがZ軸導電部材9zを保持する保持部材2bzを兼ね、上から見て内側に配置される外側磁極ブロック11bがその外側にZ軸永久磁石1zを保持し、外側に配置されるZ軸磁極ブロック11zがその内側にZ軸導電部材9zを保持する様子が示される。
【0132】
保持部材2aと外側磁極ブロック11bとが一体構造であってもよい。
保持部材2aとZ軸保持部材2azを兼ねる外側磁極ブロック11bとが一体構造であってもよい。
【0133】
Z軸永久磁石1zは、N極またはS極の一方の極となる端面であるZ軸永久磁石端面S1zを各々に形成する。
Z軸永久磁石1zは、N極またはS極となる端面である一対のZ軸永久磁石端面S1zを各々に形成してもよい。
Z軸保持部材2azは、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て仮想の輪郭をもち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ、水平方向に向いたZ軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持する。
Z軸保持部材2azは、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て仮想の輪郭をもち垂直に延びる仮想垂直面に沿って垂直および水平に並べ、水平方向に向いたZ軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持してもよい。
図8には、外側磁極ブロック11bが、Z軸保持部材を兼ねて、複数のZ軸永久磁石1zを仮想垂直面に沿って垂直および水平に並べ、水平方向の磁石仮想軸から延びる仮想放射軸に沿った方向に向いたZ軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持する様子を示す。
図8には、上から見てリング状の垂直面である仮想垂直面が示される。
【0134】
Z軸保持部材2azが、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て磁石仮想円R1を輪郭に持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べ、Z軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持する。
Z軸保持部材2azが、複数のZ軸永久磁石1zを上から見て磁石仮想円R1を輪郭に持ち垂直に延びる仮想垂直面に沿って垂直および水平に並べ、Z軸永久磁石端面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持してもよい。
ここで、磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である。
複数の磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0135】
上から見て、隣り合う複数のZ軸永久磁石1zの隣り合うZ軸永久磁石端面S1zの極が異なる。
ここで、複数のZ軸永久磁石1zの極がZ軸永久磁石端面S1zに直交する向きに沿ってN極とS極に別れる。
【0136】
上から見て、複数のZ軸永久磁石1zの放射方向に沿った外側の極が磁石仮想円R1に沿って交互にN極とS極とになる。
磁石仮想円R1に沿って配置される複数のZ軸永久磁石1zの極が磁石仮想垂直軸Z1から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れる。
【0137】
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき、上から見て仮想の輪郭を持つ仮想垂直面に沿って並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に所定の隙間を設けて対向して垂直に延びる面を持つ端面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する。
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき、上から見て仮想の輪郭を持つ仮想垂直面に沿って水平および垂直に並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に所定の隙間を設けて対向して垂直に延びる面を持つ端面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する。
Z軸導電部材9zは、導電性材料ででき、上から見て仮想の輪郭を持つ仮想垂直面に沿って水平および垂直に並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのZ軸永久磁石端面S1zとの間に非磁性物質で満たされた所定の隙間を設けて対向して垂直に延びる面を持つ端面であるZ軸導電部材平面S9zを形成する。
【0138】
Z軸保持部材2bzが、Z軸導電部材9zを保持する。
保持部材2bが、Z軸保持部材2bzを兼ねるZ軸磁極ブロック11zを介して、Z軸導電部材9zを保持してもよい。
導電性をもつZ軸保持部材2bzとZ軸導電部材9zとが一体構造であってもよい。
【0139】
導電性をもつZ軸磁極ブロック11zに相当する部分とZ軸導電部材9zに相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものをZ軸導電部材9zと呼称する。
【0140】
垂直および水平に並べて保持される複数のZ軸永久磁石1zに発生する磁束がZ軸導電部材平面S9zに交差してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生ずるとき、渦電流がZ軸導電部材9zに発生する。
【0141】
垂直及び水平に並べて保持される複数のZ軸永久磁石1zに発生する磁界がZ軸導電部材平面S9zに交差してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生ずるとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
減衰力は上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位による変位方向に逆らう方向に作用する。
【0142】
次に、本発明の第五の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図10は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の断面を示す。本発明の第五の実施形態に係る免震装置は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置におけるプランジプレート4を除く部分を免震装置ユニットUと呼称したときに、接続プレート12を介して縦方向に重ね合わせて免震装置を形成する。
図10は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の断面を示す。本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、フランジプレートを除く本発明の第一の実施形態に係る免震装置を免震装置ユニットUとし、接続プレート12を介して縦方向に重ね合わせて免震装置を形成した事例である。ここでは、3段重ねた事例を示す。
その他、本発明の第二、第三の実施形態に係る免震装置を多段に重ねてもよいのは勿論のことであるが、この様に多段にすることで水平方向の移動量を大きくすることが簡易になる、大きな免震効果を得ることができる。
図10では、3段に重ねた事例を示す。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置以外の免震装置における免震装置ユニットUを多段に重ねてもよい。
多段に重ねることで水平方向の移動量を大きくすることができ、大きな免震効果を得ることができる。
【0143】
本発明の第五の実施形態に係る免震装置は、上下一対の基礎構造と3個の軸力支承機構と3個の水平減衰力力作用機構と2個の接続部プレート12とで構成される。
免震装置ユニットUが上端部と下端部に配される様に3個の免震装置ユニットUと2個の接続プレートとが上下方向に沿って交互に配される。
上部基礎構造が上端部に支持される。
下部基礎構造が下端部を支持する。
ここで、1個の軸力支承機構と1個の水平復元力作用機構とが水平に並ぶ様に配されるものを免震装置ユニットと呼称する。
図10では、免震装置ユニットUは、上から見て中心部に中空空間Hを形成する1個の軸力支承機構と中空空間Hに収まる1個の水平減衰力作用機構とで構成される様子が示される。
【0144】
次に、本発明の第六の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図11は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の概念図である。図12は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の部分拡大図である。図13は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
本発明の第六の実施形態に係る免震装置は、永久磁石1を保持する構造が異なるほかは、本発明の第一の実施形態に係る免震装置と同じであるので、異なる点のみを説明する。
【0145】
本発明の第六の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と垂直距離維持機構と水平減衰力作用機構と保護材6とで構成される。
本発明の第六の実施形態に係る免震装置10は、水平減衰力作用機構が上から見て軸力支承機構の中央に設けられた中空空間に収まり、保護材6が軸力支承機構の外周を覆う形態をもつ。
垂直距離維持機構は、積層ゴム支承で構成される軸力支承機構である。
積層ゴム支承は、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる構造を有する。
【0146】
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と上下一対の導電部材9とで構成される。
水平減衰力作用機構は、複数の永久磁石1と保持部材2と上下一対の導電部材9と上下一対の保持材接続プレート3とで構成されてもよい。
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bと保持部材2cとで構成される。
図2には、水平減衰力作用機構が8個の永久磁石1と1個の保持部材2cと上下1対の保持部材2a、2bと上下一対の導電部材9と上下一対の保持材接続プレート3とで構成される様子が示される。
【0147】
下側に配置される保持部材2aがその上側に導電部材9を保持し、上側に配置される保持部材2bがその下側に導電部材9を保持し、中間に配置される保持部材2cが永久磁石1を保持する。
【0148】
永久磁石1は、N極またはS極の一方の極となる端面である上下一対の永久磁石端面S1を形成する。
保持部材2cは、8個の永久磁石1を上下一対の仮想水平面に沿って並べ、上下一対の永久磁石端面S1を上下一対の仮想水平面に一致する様に保持する板状の部材である板状保持部材をもつ。
図11には、上から見て、軸力支承機構に支持される保持部材2cが、8個の永久磁石1を仮想水平面に仮想される磁石仮想円R1に沿って水平方向に所定の間隔で並べ上下一対の永久磁石端面S1を仮想水平面に一致する様に保持する様子が示される。
ここで、磁石仮想円R1は、仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である。
【0149】
例えば、軸力支承機構である積層ゴム支承の鋼板SPが保持部材2cを兼ねる。
上の永久磁石端面S1が上方に向き、下の永久磁石端面S1が下方に向く。
【0150】
下側に配置される保持部材2aが、下方の導電部材9を保持する。
上側に配置される保持部材2bが、上方の導電部材9を保持する。
【0151】
水平に並べて保持される複数の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面S9に交差して上下一対の導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が上下一対の導電部材9に発生する。
【0152】
水平に並べて保持される複数の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面S9に交差して上下一対の導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が上下一対の導電部材9に発生し、ローレンツ力が水平減衰力として上下一対の基礎構造に作用する。
【0153】
次に、本発明の第七の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図14は、本発明の第七の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第七の実施形態に係る免震装置は、垂直距離維持機構が軸受ユニットで構成される軸力支承機構である外は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置と同じである。
【0154】
図14には、上下一対の基礎構造と軸受ユニットを採用する軸力支承機構と水平減衰力発生機構と保護材6とで構成される免震装置が示される。
転動体保持材Pが永久磁石1を保持してもよい。
転動体保持材Pが永久磁石1を保持し、永久磁石1が上下一対の永久磁石端面S1を形成してもよい。
【0155】
次に、本発明の第八の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図15は、本発明の第八の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第八の実施形態に係る免震装置は、水平減衰力発生機構がプラグ13を備える外は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置と同じである。
【0156】
水平減衰力発生機構が、複数の永久磁石1と保持部材2と上下一対の導電部材9とプラグ13とで構成される。
保持部材2は、保持部材2aと保持部材2bと保持部材2cとで構成される。
【0157】
下側に配置される保持部材2aがその上側に導電部材9を保持し、上側に配置される保持部材2bがその下側に導電部材9を保持し、中間に配置される保持部材2cが複数の永久磁石1を保持する。
【0158】
保持部材2a、2bが上下方向に貫通する貫通穴を形成し、
プラグ13が、弾塑性材料ででき上下方向に延びる柱状形状を形づくり貫通穴を貫通し上端を上部基礎構造に支持され下端を下部基礎構造に支持されると、を有する。
保持部材2cがプラグ13の中央部に拘束されていてもよい。
軸力支承機構が軸受ユニットを採用するときに、転動体保持材Pがプラグ13の中央部に拘束されていてもよい。
【0159】
次に、本発明の第九の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図16は、本発明の第九の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第九の実施形態に係る免震装置は、垂直距離維持機構が水平減衰力発生機構に内蔵される外は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置と同じである。
垂直距離維持機構は、保持部材と保持部材との隙間に設けられ、保持部材の上面と保持部材の下面との隙間の距離を一定に保つことにより、下部基礎構造と上部基礎構造との水平方向の相対移動を自在にし垂直方向の相対距離を一定の離間距離に維持しようとする。
例えば、垂直距離維持機構は、外側磁極ブロック11bで実現される。
外側磁極ブロック11bは、保持部材の下面に固定され、保持部材の下面との間が摩擦接触または転がり接触してもよい。
外側磁極ブロック11bは、保持部材の上面に固定され、保持部材の上面との間が摩擦接触または転がり接触してもよい。
本発明の第九の実施形態に係る免震装置は、免震層に設けられ、X軸方向とY軸方向に各々に延びた2本のリンクにより免震層を形成する支持構造体または被支持構造体に連結される。
支持構造体と被支持構造体とに水平方向の相対変位が生ずると、水平方向の相対変位は2本のリンクを通して下部基礎構造または上部基礎構造に伝達される。
図16には、水平方向の減衰力は2本のリンクを通して上部基礎構造に伝達される様子が示される。
その結果、上から見て、周囲360°のどの方向にも減衰力が作用する。
【0160】
本発明の第九の実施形態に係る免震装置は、別途の軸力支承機構と組み合わされて、使用される。
別途の軸力支承機構は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置と異なり、垂直距離維持機能を有する必要がない。
別途の軸力支承機構は、軸力を支持する。
別途の軸力支承機構は、上下の基礎FBの離間距離を一定に保ってもよい。
別途の軸力支承機構は、上下の基礎FBの離間距離を一定に保てなくてもよい。
例えば、別途の軸力支承機構は、空気ばね式の軸力支承機構であってもよい。
空気ばね式の軸力支承機構は、軸力の増減に対応して上下の基礎FBの離間距離を変化させることができる。
【0161】
次に、本発明の第十の実施形態に係る免震装置を、図を基に説明する。
図17は、本発明の第十の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第十の実施形態に係る免震装置は、水平減衰力作用機構が上下一対の複数の永久磁石1と上下一対の複数の永久磁石1に挟まれる導電部材9をもつ他は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置と基本構造が同じである。
第十一の実施形態にかかる免震装置では、第一の実施形態にかかる免震装置において導電性をもつ保持部材2bに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であり、一体のものを導電部材9と呼称する。
【0162】
下側に配置される保持部材2aがその上側に永久磁石1を保持し、上側に配置される保持部材2bがその下側に永久磁石1を保持し、中間に配置される保持部材2cが導電部材9を保持する。
【0163】
導電性をもつ保持部材2cに相当する部分と導電部材9に相当する部分とが境目なく一体であるとき、一体のものを導電部材9と呼称する。
【0164】
次に、本発明の第十一の実施形態に係る免震装置を、図を基に説明する。
図18は、本発明の第十一の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第十一の実施形態に係る免震装置は、水平減衰力作用機構が保持部材2bを持たない他は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置と基本構造が同じである。
【0165】
下側に配置される保持部材2aがその上側に永久磁石1を保持し、上側に導電部材9が配置される。
導電部材9は、直接に上側の保持材接続プレート3に固定される。
【0166】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置の作用原理を、図を基に、説明する。
図19は、本発明の実施形態に係る免震装置の原理説明図である。
図19は、ローレンツ力が水平減衰力若しくは垂直減衰力として作用する原理を説明する。
説明の容易のため、2つの隣り合う2つの磁石を例に説明する。
磁束Bは図19(A)に示す様に永久磁石1のN極から保持部材2bを通過して隣接する永久磁石1のS極へ向かっている。
ここで、図19(A)に示す様に上側の保持部材2bが矢印Vの方向に相対速度Vで移動すると、フレミングの右手の法則として知られる物理現象により起電力E(渦電流)が中心部に向かって発生する。
その結果、図19B)に示す様に、フレミングの左手の法則として知られる物理現象により発生した起電力E(渦電流)と磁束Bの相互作用によりローレンツ力Fが、移動方向とは反対方向に発生する。このローレンツ力が減衰力として建物に作用する。
【0167】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
下部基礎構造に支持される軸力支承構造が上部基礎構造を水平方向に相対移動自在に支持して垂直荷重を支え、保持部材2が複数の永久磁石1を支え、永久磁石端面S1と導電部材平面S9とを所定の隙間を明けて対向させ、複数の永久磁石1に発生する磁束が導電部材平面S9に交差して導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に水平方向の相対変位が生じたとき導電部材9に渦電流を生じる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、保持部材2が複数の永久磁石1を上から見て磁石仮想円R1に沿って並べ永久磁石端面S1を仮想の水平面である仮想水平面に一致する様に保持する様にしたので、磁石仮想円R1に沿って並ぶ複数の永久磁石1のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、複数の永久磁石1のN極とS極とが上下方向に別れ、上から見て隣り合う複数の永久磁石1の隣り合う永久磁石端面S1の極が異なる様にしたので、隣り合う永久磁石1のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石1の極が上下方向にN極とS極とに別れ、上から見て複数の永久磁石1の上方の極が磁石仮想円R1に沿って交互にN極とS極とになる様にしたので、磁石仮想円R1に沿って隣り合う永久磁石1のN極とS極とをつないで発生する磁束が導電部材9を通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、Z軸保持部材2azが複数のZ軸永久磁石1zを支え、Z軸永久磁石端面S1zとZ軸導電部材平面S9zとを所定の隙間を明けて対向させ、複数のZ軸永久磁石1zに発生する磁界がZ軸導電部材平面S9zに交差してZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたときZ軸導電部材9zに渦電流を生じる様にしたので、
下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、Z軸保持部材2azが複数のZ軸永久磁石1zを上から見て磁石仮想円R1を輪郭にもち垂直に延びる仮想垂直面に沿って並べZ軸永久磁石面S1zを仮想垂直面に一致する様に保持する様にしたので、
磁石仮想円R1に沿って並ぶ複数のZ軸永久磁石1zのN極とS極とをつないで発生する磁束がZ軸導電部材9zを通過して、上下一対の基礎構造に垂直方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、複数のZ軸永久磁石1zの極がZ軸永久磁石端面S1zに直交する向きに沿ってN極とS極に別れ、隣り合うZ軸永久磁石端面S1zの極が異なる様にしたので、隣り合う複数のZ軸永久磁石1zのN極とS極とに発生する磁束がZ軸導電部材9zに流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、磁石仮想円R1に沿って配置される複数のZ軸永久磁石1zの極が磁石仮想垂直軸Z1から放射状に延びる方向である放射方向に沿ってN極とS極とに別れ、放射方向に沿った外側の極が磁石仮想円R1に沿って)交互にN極とS極とになる様にしたので、放射方向に沿った複数のZ軸永久磁石1zのN極とS極とをつないで発生する磁束がZ軸導電部材9zを通過し、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流がZ軸導電部材9zに発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、内側磁極ブロック11aが上から見て複数の永久磁石1の中心部の空隙を囲う内側輪郭に内側から沿う様に配される様にしたので、永久磁石1のN極とS極と内側磁極ブロック11aを通過する磁束が導電部材9に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、外側磁極ブロック11bが上から見て複数の永久磁石1の外周を囲う外側輪郭に外側から沿う様に配される様にしたので、
永久磁石1のN極とS極と外側磁極ブロック11bを通過する磁束が導電部材9に流れ、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき渦電流が導電部材9に発生し、ローレンツ力が減衰力として作用する。
また、保護材6が垂直距離維持機構また水平復元力作用機構若しくは垂直復元力作用機構の外周を覆う様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材6が垂直距離維持機構また水平復元力作用機構若しくは垂直復元力作用機構の動きを抑制できる。
また、弾塑性材料でできるプラグ13が上端を上部基礎構造に下端を下部基礎構造に水平方向の相対位相不能に支持される様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグ13が剪断変形して、水平方向の相対変位に応答する水平方向に抵抗力を発生する。
また、免震装置ユニットUが、1個の軸力支承機構と1個の水平復元力作用機構とが上下方向に沿って各に並列に配され、M個の免震装置ユニットと(M-1)個の中間基礎構造とが上下方向に交互に配される様にしたので、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、多段に重なるM個の免震装置ユニットUが水平方向への相対移動を許しながら減衰力を作用させる。
また、軸受ユニットの複数の軸受が被支持構造を支える様にしたので、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、軸受ユニットが水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、積層ゴム支承が被支持構造を支える様にしたので、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、積層ゴム支承が水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、軸力支承機構または水平減衰力作用機構若しくは垂直減衰力作用機構のどちらか他方が、上から見て一方の中心部に形成される中空空間Hに収まる様にしたので、永久磁石を用いた減衰力をもつコンパクトな免震装置を提供できる。
【0168】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
本願発明の実施形態係る免震装置は、1乃至第16の実施形態に係る免震装置に限定されない。例えば、1乃至第16の実施形態に係る免震装置を構成する要素を任意に組み合わせたものであってもよい。
本発明の実施形態の説明では、上から見て水平減衰力発生機構が軸力支承機構の中心部に形成された中空空間Hに収まる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、上から見て軸力支承機構が水平減衰力発生機構の中心部に形成された中空空間Hに収まる構成であってもよい、例えば、軸力支承機構と水平減衰力発生機構とが隣り合って並んでいる構成であってもよい。
軸力支承機構が、軸受ユニット、または積層ゴム支承である例で説明したが、これに限定されない。例えば、軸力支承機構が空気ダンパーであってもよい。例えば、軸力支承機構が上から見てX状に交差されたリニアガイドで構成されてもよい。例えば、軸力支承機構が上下一対の永久磁石1が軸受を真ん中にはさみ、復元力を発生するものであってもよい。
【符号の説明】
【0169】
N 磁石のN極
S 磁石のS極
AB アンカーボルト
SB スタッドボルト
FB 基礎
ME 免震層
O 転動体
P 転動体保持材
Q 軸力保持材
S1 永久磁石端面
S9 導電部材平面
S1z Z軸永久磁石端面
S9z Z軸導電部材平面
RP ゴム
SP 鋼板
V 相対速度
B 磁束
E 電流
F ローレンツ力
U 免震装置ユニット
H 中空空間
G 隙間
1 永久磁石
1z Z軸永久磁石
2 保持部材
2a 保持部材
2b 保持部材
2c 保持部材
2az Z軸保持部材
2bz Z軸保持部材
3 保持材接続プレート
4 フランジプレート
5 接続ボルト穴
6 保護材
7 ボルト
9 導電部材
9z Z軸導電部材
10 免震装置
11a 内側磁極ブロック
11b 外側磁極ブロック
11z Z軸磁極ブロック
12 接続プレート
13 プラグ
X 水平X軸
Y 水平Y軸
Z1 磁石仮想垂直軸
R1 磁石仮想円
ZO 転動体仮想垂直軸
RO 転動体仮想円
Z11磁極ブロック垂直軸
R11磁極ブロック仮想円
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】
【特許文献1】特開2000-304088号
【特許文献2】特開平11-336756号
【特許文献3】特開平5-86496号
【特許文献4】特開2020-20464号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19