(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064515
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】車両用警告装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20220419BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20220419BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20220419BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20220419BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20220419BHJP
F21S 43/236 20180101ALI20220419BHJP
F21W 103/25 20180101ALN20220419BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220419BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
G09F13/18 N
B60Q1/50 Z
B60Q1/00 G
F21S43/249
F21S43/236
F21W103:25
F21Y101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173197
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社石▲崎▼本店
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新酒 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴行
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸志
【テーマコード(参考)】
3K339
5C096
【Fターム(参考)】
3K339AA22
3K339AA31
3K339BA02
3K339BA22
3K339CA21
3K339GB13
3K339HA01
3K339HA02
3K339HA08
5C096AA01
5C096BA04
5C096CA06
5C096CA15
5C096CB02
5C096CC06
5C096CD05
5C096CD22
5C096CD33
5C096FA03
5C096FA11
5C096FA19
(57)【要約】
【課題】警告表示部の全体を均一に高輝度化して視認性を向上させる。
【解決手段】車両用警告装置は、光源から照射された光が入射する光入射面と、入射した光を出射する光出射面40aとを有する導光部材4と、光出射面40aの車両後側に配置される後方視認用ミラーの一部領域に設けられ、光出射面40aから出射された光を車両後側へ透過させて所定の警告表示を行う警告表示部とを備えている。導光部材4には、入射した光を拡散させる配光面40b、40cが設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下及び車両の左右方向に延びる後方視認用ミラーを有するとともに車両に取り付けられるミラーユニットに組み込まれる車両用警告装置において、
前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられ、電力の供給によって光を照射する光源と、
前記光源から照射された光が入射する光入射面と、入射した光を出射する光出射面とを有するとともに、前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられる導光部材と、
前記光出射面の車両後側に配置される前記後方視認用ミラーの一部領域に設けられ、前記光出射面から出射された光を車両後側へ透過させて所定の警告表示を行う警告表示部とを備え、
前記導光部材における前記光入射面と前記光出射面との間には、前記光入射面に入射した光を拡散させるとともに配光する配光面が設けられていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用警告装置において、
前記導光部材は、前記光源と前記後方視認用ミラーの車両前面との間に設けられていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用警告装置において、
前記光入射面は、前記導光部材の車両前面における車両左右方向一方側に設けられ、
前記光源は、前記光入射面の車両前側から後側へ向けて光を照射するように設けられ、
前記光出射面は、前記導光部材の車両後面における車両左右方向他方側に設けられ、
前記配光面は、前記導光部材の車両後面における車両左右方向一方側に設けられるとともに、光を車両左右方向他方側に向けて反射するように形成され、
前記導光部材の車両前面における車両左右方向他方側には、前記配光面で反射された光を前記光出射面へ向けて反射させる反射面が設けられていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用警告装置において、
前記配光面は、車両左右方向一方側へ行くほど車両前側に位置する階段状に形成されていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の車両用警告装置において、
前記光源は、互いに上下方向に間隔をあけて設けられた第1光源と第2光源とを含んでいることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用警告装置において、
前記導光部材には、前記第1光源に対向して配置されるとともに、前記第1光源から照射された光が入射する第1光入射面と、前記第2光源に対向して配置されるとともに、前記第2光源から照射された光が入射する第2光入射面とが互いに上下方向に間隔をあけて設けられ、
前記導光部材には、前記第1光入射面に入射した光を拡散させる第1配光面と、前記第2光入射面に入射した光を拡散させる第2配光面とが設けられていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用警告装置において、
前記第1光入射面及び前記第2光入射面は、凹面で構成されていることを特徴とする車両用警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後続車両が接近していることを運転者に警告する車両用警告装置に関し、特に車両用ミラーユニットに組み込まれる構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の運転支援機能の一つとして、ブラインドスポットモニタリング(以下、BSMと呼ぶ)機能がある。BSMは、自車が走行している車線に隣接する別の車線を走行する他車が自車に接近していることを運転者に警告するためのものであり、この機能を搭載した車両が増えつつある。
【0003】
BSMの構成は、例えばリアバンパー等に設けられた他車検出用のセンサと、当該センサからの出力信号に基づいて他車が自車に接近しているか否かを判定する判定部と、当該判定部によって他車が自車に接近していると判定される場合に警告灯を点灯または点滅させる警告装置を備えている。警告装置は、通常、左右のドアミラーにそれぞれ組み込まれている。そして、警告装置は、ミラーの裏面から光を照射し、当該ミラーの一部を透過させることにより、ミラーの表面に警告マークを光らせて運転者に当該図柄を視認可能にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、BSMは運転支援のために設けられるものであることから、警告すべき状況にあるときにはミラー表面の警告マークを運転者が確実に見えるように高い輝度でもって光らせる必要がある。特に、自動車の場合、日差しの向きによってはミラーに日が差すこともあり、更なる高輝度化が望まれている。また、高輝度化といっても、警告マークはミラー表面のある領域を占めているものなので、その警告マークの全体を均一に高輝度化する必要がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、警告表示部の全体を均一に高輝度化して視認性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、上下及び車両の左右方向に延びる後方視認用ミラーを有するとともに車両に取り付けられるミラーユニットに組み込まれる車両用警告装置において、前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられ、電力の供給によって光を照射する光源と、前記光源から照射された光が入射する光入射面と、入射した光を出射する光出射面とを有するとともに、前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられる導光部材と、前記光出射面の車両後側に配置される前記後方視認用ミラーの一部領域に設けられ、前記光出射面から出射された光を車両後側へ透過させて所定の警告表示を行う警告表示部とを備え、前記導光部材における前記光入射面と前記光出射面との間には、前記光入射面に入射した光を拡散させるとともに配光する配光面が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、光源から光が照射されると、導光部材の光入射面に入射した後、当該導光部材の内部を通って配光面に達する。配光面に達した光は当該配光面によって拡散されるとともに所定の方向に配光される。光出射面から出射される前の光が配光面で拡散することで、光源から照射された光の照射範囲が拡大する。拡散された光は、光出射面から出射されるので、後方視認用ミラーの一部領域に設けられている警告表示部の広い範囲を全体に均一に透過して車両後側へ照射される。光が警告表示部を透過する際に、運転者は警告表示部が光るように見えるので、警告を認識することができる。
【0009】
第2の発明は、前記導光部材は、前記光源と前記後方視認用ミラーの車両前面との間に設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、前記光入射面は、前記導光部材の車両前面における車両左右方向一方側に設けられ、前記光源は、前記光入射面の車両前側から後側へ向けて光を照射するように設けられ、前記光出射面は、前記導光部材の車両後面における車両左右方向他方側に設けられ、前記配光面は、前記導光部材の車両後面における車両左右方向一方側に設けられるとともに、光を車両左右方向他方側に向けて反射するように形成され、前記導光部材の車両前面における車両左右方向他方側には、前記配光面で反射された光を前記光出射面へ向けて反射させる反射面が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、光源から照射されて光入射面に入射した光が導光部材の内部を車両後側へ通った後、配光面によって拡散されてから、反射面によって車両後側へ反射される。反射された光は光出射面から出射される。このように、光を前側から入射させて拡散させるとともに左右方向に反射させた後、後側へ向けて反射させることで、導光部材の車両前後方向の寸法拡大を抑制しながら、配光面による拡散効果を得ることができる。
【0012】
第4の発明は、前記配光面は、車両左右方向一方側へ行くほど車両前側に位置する階段状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、階段状の配光面とすることで、配光面に入射した光を確実に拡散させることができる。
【0014】
第5の発明は、前記光源は、互いに上下方向に間隔をあけて設けられた第1光源と第2光源とを含んでいることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第1光源から照射された光と、第2光源から照射された光とが共に拡散された状態で出射するので、より一層広い範囲の輝度を高めることができる。
【0016】
第6の発明は、前記導光部材には、前記第1光源に対向して配置されるとともに、前記第1光源から照射された光が入射する第1光入射面と、前記第2光源に対向して配置されるとともに、前記第2光源から照射された光が入射する第2光入射面とが互いに上下方向に間隔をあけて設けられ、前記導光部材には、前記第1光入射面に入射した光を拡散させる第1配光面と、前記第2光入射面に入射した光を拡散させる第2配光面とが設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、第1光源から第1光入射面に入射した光を第1配光面によって拡散させることができ、また、第2光源から第2光入射面に入射した光を第2配光面によって拡散させることができる。そして、第1配光面と第2配光面とが別になっているので、拡散した光を互いに異なる領域へ向けて反射させることができる。これにより、例えば警告表示部が上下方向や左右方向に長い形状であっても警告表示部の全体の輝度を高めることができる。
【0018】
第7の発明は、前記第1光入射面及び前記第2光入射面は、凹面で構成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1光源から照射された光を第1光入射面によって集光でき、また、第2光源から照射された光を第2光入射面によって集光できるので、各光源の光をそれぞれ有効に利用して警告表示部の輝度をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光出射面から出射される前の光を配光面で拡散させて所定方向に配光することができるので、警告表示部の全体を均一に高輝度化して視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用警告装置を備えた車両用ドアミラーユニットを車両後側から見た図である。
【
図2】車両用警告装置が取り付けられた後方視認用ミラーを車両前側から見た図である。
【
図3】車両用警告装置を車両後方から見た図である。
【
図4】フィルムを省略した車両用警告装置を車両後方から見た図である。
【
図6】後方視認用ミラーに取り付けられた車両用警告装置の
図4に相当するVI-VI線断面図である。
【
図7】後方視認用ミラーに取り付けられた車両用警告装置の
図4に相当するVII-VII線断面図である。
【
図8】導光部材及び基板を後側斜め上から見た斜視図である。
【
図9】導光部材及び基板を真上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用警告装置1を備えた車両用ドアミラーユニット100を車両後側から見た図である。車両用ドアミラーユニット100は、図示しないが、例えば自動車の側部に配設されるドアの前端部に取り付けられて主に後方確認用として使用される、いわゆるサイドミラーユニットである。この実施形態では、車両の右側に設けられる車両用ドアミラーユニット100について説明するが、図示しない左側に設けられる車両用ドアミラーユニットは、右側のものと左右対称構造であることから説明を省略する。尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車幅方向左側を単に「左」といい、車幅方向右側を単に「右」というものとする。また、ミラーユニットは、車両のドア以外の部分に取り付けられていてもよい。
【0024】
車両用ドアミラーユニット100は、車両用警告装置1の他に、車両に取り付けられるミラーベース101と、後方視認用ミラー102と、後方視認用ミラー102を保持するミラーホルダー103と、ミラーホルダー103が取り付けられるバイザー104とを備えている。また、図示しないが、車両用ドアミラーユニット100は、後方視認用ミラー102の角度を調整する角度調整ユニットと、電動または手動の格納装置とを備えている。後方視認用ミラー102は、上下方向及び左右方向に延びている。後方視認用ミラー102の一部領域には、警告表示部102aが設けられている。警告表示部102aは、後述する光源30(
図5等に示す)から照射された光を後方視認用ミラー102の前側から後側へ透過させて所定の警告表示を行う部分であり、車両用警告装置1の一構成要素である。警告表示部102aは、例えばハーフミラーを形成する膜を後方視認用ミラー102の一部領域に形成しておき、警告表示を行わない時にはミラーとして利用することができる一方、光が前側から照射されると、警告表示部102aを透過する際に、運転者は警告表示部102aが光るように見える部分である。
【0025】
警告表示部102aは、後方視認用ミラー102の車幅方向外側に設けられており、この実施形態では後方視認用ミラー102の右端部近傍である。警告表示部102aの形状の一例としては例えば自車と他車とを模式的に示した形状等を挙げることができるが、これに限られるものではなく、三角形等であってもよい。自車と他車とを模式的に示した形状の一例としては、
図1や
図3に示しているが、上下方向に所定の長さを有する形状となっている。
【0026】
車両用警告装置1は、車両用ドアミラーユニット100に組み込まれている。具体的には、
図2に示すように後方視認用ミラー102の前側に配置されており、バイザー104の内部の右側に収容されている。このため、車両用警告装置1が後方視認の邪魔になることはない。
【0027】
この実施形態では、車両用警告装置1がブラインドスポットモニタリング(以下、BSMと呼ぶ)のための装置である。BSMは、自車が走行している車線に隣接する別の車線を走行する他車が自車に接近していることを運転者に警告するためのものであり、その構成例としては、図示しないが、例えばリアバンパー等に設けられた他車検出用のセンサと、当該センサからの出力信号に基づいて他車が自車に接近しているか否かを判定する判定部と、上記車両用警告装置1とを備えている。車両用警告装置1は、判定部によって他車が自車に接近していると判定される場合に警告表示部102aを点灯または点滅させる。尚、上記センサや判定部の構成は従来から周知であるため、詳細な説明は省略する。また、車両用警告装置1は、左右のドアミラーユニット100に設けられており、右方向から接近する他車が存在する場合には右側の車両用警告装置1を作動させ、左方向から接近する他車が存在する場合には左側の車両用警告装置1を作動させるように構成されている。警告表示部102aの点灯または点滅と同時に警告音を発するように構成することもできる。
【0028】
図5に示すように、車両用警告装置1は、ケーシング2と、基板3と、導光部材4と、フィルム5とを備えている。ケーシング2は、例えば樹脂材等で構成されており、基板3及び導光部材4を収容する部材である。ケーシング2は、上下方向に延びる前壁部20と、前壁部20の周縁部から後側へ延びる周壁部21とを備えており、前壁部20及び周壁部21は一体成形されている。周壁部21の下部には、上下方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。周壁部21の上部及び下部は、左右方向に略平行に延びている。また、周壁部21の左側部及び右側部は、上下方向に略平行に延びている。さらに、周壁部21の後端部には、フランジ部22が一体成形されている。
【0029】
ケーシング2の後側は略全体が開放されている。ケーシング2の後側の開放部分から基板3及び導光部材4を当該ケーシング2の内部に入れることができるようになっている。ケーシング2の後側の開放部分は、フィルム5によって塞がれる。このフィルム5は、例えば樹脂材等で構成されており、ケーシング2の周壁部21の後端部の外形状に対応した外形状を有している。フィルム5の前面の周縁部をフランジ部22の後面に接着することにより、フィルム5がケーシング2に取り付けられている。
【0030】
図2に示すように、フィルム5の後面は、後方視認用ミラー102の前面に貼り付けられている。
図6や
図7に示すように、貼り付けられた状態にあるフィルム5の位置は後方視認用ミラー102の警告表示部102aを覆うように設定されている。フィルム5の上側には、後述する光源30A、30Bから照射された光を後側へ透過させる光透過部5aが設けられている。光透過部5aは、後方視認用ミラー102の警告表示部102aの前側に重なるように配置されており、後述する光源30A、30Bから照射された光は、光透過部5aを透過した後、警告表示部102aに入射するようになっている。
【0031】
図5に示すように、基板3は、第1光源30A及び第2光源30Bを含む光源と、定電流回路(図示せず)と、コネクタ部31とを備えている。基板3は、上下方向に延びる姿勢とされ、
図6及び
図7に示すようにケーシング2の内部における前部近傍に収容された状態でケーシング2に固定されている。基板3のケーシング2への固定構造は、特に限定されるものではないが、例えば基板3とケーシング2の一方に設けた爪を他方に係合させる構造、基板3をケーシング2に対してネジ等で締結する構造等を挙げることができる。
【0032】
基板3の左右方向の寸法は上下方向の寸法に比べて短く設定されており、ケーシング2の前壁部20と同様に上下方向に長い略矩形となっている。基板3の後面に第1光源30A及び第2光源30Bが実装されている。第1光源30A及び第2光源30Bの光の照射方向は、共に後側とされている。
【0033】
第1光源30Aは、基板3の後面における左右方向中央部よりも右側で上部近傍に位置しており、基板3の後面から後方へ突出している。第2光源30Bは、第1光源30Aから下方に離れるとともに、第1光源30Aよりも右寄りに位置しており、基板3の後面から後方へ突出している。このような第1光源30A及び第2光源30Bの配置により、第1光源30Aの光照射面の中心と、第2光源30Bの光照射面の中心とが上下方向に離れるとともに、左右方向にも離れることになる。尚、第1光源30A及び第2光源30Bを上下方向に離して配置しているのは、後方視認用ミラー102の警告表示部102aが上下方向に所定の長さを有しているためであり、第1光源30Aから照射された光が警告表示部102aの略上半部に照射され、第2光源30Bから照射された光が警告表示部102aの略下半部に照射される。尚、警告表示部102aの上下方向の寸法が短い場合には、光源が1つであってもよい。第1光源30A及び第2光源30Bは、例えば発光ダイオード(LED)等で構成されている。
【0034】
コネクタ部31は、基板3の左右方向中央部近傍から後側へ突出するように配設されている。
図7に示すように、コネクタ部31は、ケーシング2の下部に形成されている貫通孔21aの直上方に位置付けられている。コネクタ部31には、車両側から延びるハーネス(図示せず)が接続される。このハーネスから供給された電力は定電流回路を経て第1光源30A及び第2光源30Bに供給される。これにより、第1光源30A及び第2光源30Bが光を照射する。第1光源30A及び第2光源30Bは、警告が必要な間、点灯状態で維持してもよいし、点滅させてもよい。定電流回路を組み込むことで、意図しない過電圧を受けた場合に電流をカットして破損を防止できる。
【0035】
図8及び
図9に示すように、導光部材4は、全体が無色透明な樹脂材で構成されており、第1光源30A及び第2光源30Bと、後方視認用ミラー102の車両前面との間に設けられている。導光部材4は、上下方向及び左右方向に延びる板状部40と、板状部40の左端部から前側へ延出する左板部41と、板状部40の右端部から前側へ突出する突出部42とを備えている。板状部40、左板部41及び突出部42は一体成形されている。
【0036】
第1光源30Aは、板状部40の右側上部に対向するように位置付けられている。板状部40の前面における右側(車両左右方向一方側)には、前側へ突出する上側円柱状部43が形成されている。上側円柱状部43の前端部に対向するように第1光源30Aの光出射面が位置付けられており、上側円柱状部43の中心線の延長線上に第1光源30Aの光出射面の中心部が位置するように、第1光源30Aと導光部材4との相対的な位置関係が設定されている。
【0037】
また、第2光源30Bは、板状部40の右側の上下方向中間部に対向するように位置付けられている。板状部40の前面における右側(車両左右方向一方側)には、上側円柱上部43よりも下側に、前側へ突出する下側円柱状部44が形成されている。下側円柱状部44の前端部に対向するように第2光源30Bの光出射面が位置付けられており、下側円柱状部44の中心線の延長線上に第2光源30Bの光出射面の中心部が位置するように、第2光源30Bと導光部材4との相対的な位置関係が設定されている。
【0038】
図6に示すように、上側円柱状部43の前端面には、第1光源30Aから後側へ向けて照射された光が入射する上側光入射面43aが形成されている。上側光入射面43aは、後側、即ち第1光源30Aから離れる方向に凹んだ球状面で構成されている。上側光入射面43aは、完全な球面の一部(円弧状の面)で構成されていてもよいし、球面に近似可能な面で構成されていてもよい。上側光入射面43aが凹んでいるので、上側光入射面43aを凹面と呼ぶこともできる。上側光入射面43aの中心部は、第1光源30Aの光出射面の中心部の真正面に位置している。したがって、第1光源30Aから照射された光は、上側光入射面43aから上側円柱状部43の内部に入射して板状部40の後へ向けて進む。
【0039】
また、下側円柱状部44の前端面には、第2光源30Bから後側へ向けて照射された光が入射する下側光入射面44a(
図4に破線で示す)が形成されている。下側光入射面44aも上側光入射面43aと同様な凹面で構成されている。下側光入射面44aの中心部は、第2光源30Bの光出射面の中心部の真正面に位置している。したがって、第2光源30Bから照射された光は、下側光入射面44aから下側円柱状部44の内部に入射して板状部40の後へ向けて進む。つまり、第1光源30Aから入射した光は板状部40の右側部分の上側を通って後へ進む一方、第2光源30Bから入射した光は板状部40の右側部分の下側を通って後へ進むことになる。
【0040】
この実施形態では、上側光入射面43a及び下側光入射面44aを球状面にしているので、第1光源30A及び第2光源30Bから照射された光を上側光入射面43a及び下側光入射面44aで効率よく集光できる。上側光入射面43a及び下側光入射面44aは、球状面以外の形状であってもよい。
【0041】
図8や
図9に示すように、導光部材4の後面における左側には、上側光入射面43a及び下側光入射面44aから入射した光を出射する光出射面40aが設けられている。光出射面40aは、上下方向及び左右方向に延びており、後方視認用ミラー102の前面と略平行に延びる平坦面で構成されている。光出射面40aは、板状部40の後面の上端部から下端部まで連続するとともに、板状部40の後面の左端部から左右方向中間部まで連続している。光出射面40aの右端部は、板状部40の後面の左右方向中央部よりも右寄りに位置している。光出射面40aは、矩形状の面で構成することができる。
【0042】
図8に示すように、導光部材4における第1、第2光入射面43a、44aと光出射面40aとの間には、第1、第2光入射面43a、44aに入射した光をそれぞれ拡散させる第1配光面40b及び第2配光面40cが設けられている。第1配光面40b及び第2配光面40cは、板状部40の後面における右側に位置している。具体的には、第1配光面40bは、板状部40の後面における光出射面40aよりも右側の領域において略上半部に位置している。また、第2配光面40cは、板状部40の後面における光出射面40aよりも右側の領域において略下半部に位置しており、従って、第1配光面40bと第2配光面40cとは上下方向に並んでいる。
【0043】
第1光入射面43aに入射して後側へ直線状に進んだ光は、第1配光面40bに入射する。第1配光面40bは、入射した光を拡散させるとともに、拡散した光を所定方向に配光するべく反射させる面であり、板状部40における空気との界面で光が全反射する性質を利用したものであってもよいし、ミラー層によって構成されたものであってもよい。第1配光面40bによる光の反射方向は左方向である。第1配光面40bの形状としては、例えば階段状を挙げることができ、複数の段部を左右方向に連続させた形状とすることや、複数の凸部を左右方向に連続させた形状、複数の凹部を左右方向に連続させた形状等とすることができる。第1配光面40bを階段状等の形状とすることで、入射した光を拡散させることができるとともに、拡散した光を所望の方向へ反射させることができる。第1配光面40bは、右側へ行くほど前側に位置する階段形状であり、このような階段形状によって拡散した光を左方向へ反射させることができる。凸部や凹部で第1配光面40bを構成する場合も同様に、右側へ行くほど前側に位置するように形成することができる。
【0044】
また、第2光入射面44aに入射して後側へ直線状に進んだ光は、第2配光面40cに入射する。第2配光面40cは、第1配光面40bと同様に、入射した光を拡散させるとともに、拡散した光を所定方向に配光するべく反射させる面であり、第2配光面40cによる光の反射方向は左方向である。第2配光面40cも第1配光面40bと同様に右側へ行くほど前側に位置する階段形状とすることができる。
【0045】
第1配光面40bは全体的に第2配光面40cよりも前に位置している。これにより、第1光源30Aの光照射面から第1配光面40bまでの距離が、第2光源30Bの光照射面から第2配光面40cまでの距離よりも短くなる。また、第1配光面40bの階段形状は、第2配光面40cの階段形状と同じにしてもよいし、第2配光面40cの階段形状に比べてステップ(ピッチともいう)を大きくまたは小さく設定してもよい。つまり、第1配光面40bと第2配光面40cとは互いに異なる形状にして、第1光源30Aから入射した光と、第2光源30Bから入射した光とを異なる方向に反射させることができるとともに、拡散方向や拡散の範囲についても異ならせることができる。
【0046】
導光部材4の前面における左側には、第1配光面40b及び第2配光面40cで反射された光を光出射面40aへ向けて反射させる反射面40dが設けられている。反射面40dは、上側円柱状部43及び下側円柱状部44よりも左側に位置しており、全体として左側へ行くほど後に位置するように傾斜している。反射面40dは、板状部40の後面の上端部から下端部まで連続している。光出射面40aの面積は、第1配光面40bの面積及び第2配光面40cの面積を合計した面積よりも広く設定されている。また、光出射面40aの左右方向の寸法は、第1配光面40b及び第2配光面40cの左右方向の寸法よりも長く設定されている。
【0047】
図7に示すように、反射面40dには、左右方向に延びる複数の凹条部40eが互いに上下方向に間隔をあけて設けられている。凹条部40eの長手方向に直交する方向の断面は円弧状をなしている。また、上下方向に隣合う凹条部40eの間には、左右方向に延びる平坦面40fが設けられている。反射面40dは、板状部40における空気との界面で光が全反射する性質を利用したものであってもよいし、ミラー層によって構成されたものであってもよい。反射面40dの大きさは、警告表示部102aの大きさに合わせて設定すればよい。
【0048】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、光源30A、30Bから光が照射されると、導光部材4の光入射面43a、44aに入射した後、当該導光部材4の内部を通って配光面40b、40cに達する。配光面40b、40c入射した光は当該配光面40b、40cによって拡散されて左方向へ反射され、反射面40dに入射する。反射面40dに入射した光は後側へ反射されて光出射面40aから出射される。光出射面40aから出射される前の光が配光面40b、40cで拡散することで、光源30A、30Bから照射された光の照射範囲が拡大する。拡散された光は、光出射面40aから出射されるので、後方視認用ミラー102の警告表示部102aの広い範囲を全体に均一に透過する。光が警告表示部102aを透過する際に、運転者は警告表示部102aが光るように見えるので、警告を認識することができる。したがって、警告表示部102aの全体を均一に高輝度化して視認性を向上させることができる。
【0049】
また、光源30A、30Bから照射されて光入射面43a、44aに入射した光が導光部材4の内部を後側へ通った後、配光面40b、40cによって拡散されてから、反射面40dによって後側へ反射されて光出射面40aから出射される。このように、光を前側から入射させて拡散させるとともに左右方向に反射させた後、後側へ向けて反射させることで、導光部材4の前後方向の寸法拡大を抑制しながら、配光面40b、40cによる拡散効果を得ることができる。
【0050】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明に係る車両用警告装置は、後続車両が接近していることを運転者に警告するBSMとして使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用警告装置
4 導光部材
30A 第1光源
30B 第2光源
40a 光出射面
40b 第1配光面
40c 第2配光面
40d 反射面
43a 上側光入射面
44a 下側光入射面
100 車両用ドアミラーユニット
102 後方視認用ミラー
102a 警告表示部