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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064535
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】工作システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20220419BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B25J9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173235
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐野 巌根
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正輝
(72)【発明者】
【氏名】松浦 稔
【テーマコード(参考)】
3C033
3C707
【Fターム(参考)】
3C033HH17
3C707AS05
3C707BS10
3C707CS04
3C707CV08
3C707CW08
(57)【要約】
【課題】アームの走行方向を容易に調整することができる工作システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る工作システム1は、ワークを加工する工作機械2、該工作機械2を覆い、開口31を有する壁3、及び前記開口31を通して前記ワークを交換するワーク交換装置4を備える工作システム1において、前記ワーク交換装置4は、前記工作機械2とは別体である基台41、前記水平に平行に往復走行可能な走行体46、該走行体46に一体的に設けてあり、前記開口31を通して前記ワークを交換するアーム47、前記基台41に設けてあり、前記走行体46の走行方向に平行に延び、前記走行体46と共に前記水平に垂直な枢軸43周りに揺動可能な揺動部材42、及び前記基台41に着脱可能であり、装着時に前記揺動部材42の揺動を防止するストッパ(ボルト44)を有することを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する工作機械、
該工作機械を覆い、開口を有する壁、及び
前記開口を通して前記ワークを交換するワーク交換装置
を備える工作システムにおいて、
前記ワーク交換装置は、
前記工作機械とは別体である基台、
水平面に平行に往復走行可能な走行体、
該走行体に一体的に設けてあり、前記開口を通して前記ワークを交換するアーム、
前記基台に設けてあり、前記走行体の走行方向に平行に延び、前記走行体と共に前記水平面に垂直な枢軸周りに揺動可能な揺動部材、及び
前記基台に着脱可能であり、装着時に前記揺動部材の揺動を防止するストッパ
を有することを特徴とする工作システム。
【請求項2】
前記揺動部材は両面を上下に向けて前記基台の上面に配してある板材であり、
前記枢軸は前記揺動部材の長さ方向の一端部に設けてあり、
前記ストッパは前記揺動部材を上下に貫通して前記基台にネジ留め固定するボルトであり、
前記走行体を往復走行可能に支持する支持部が前記揺動部材の上面に固定してあることを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項3】
穴を有する第一治具、
前記穴の深さ方向が前記走行方向に沿い前記水平面に平行な所定の方向に向くようにして、前記所定の方向に垂直且つ前記水平面に平行な方向に移動可能に前記第一治具を支持し、前記工作機械に取り付ける支持具、及び
前記走行方向に平行に前記アームに取り付け、前記穴に嵌合可能な柱状の第二治具
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作システム。
【請求項4】
前記アームは前記走行方向に垂直且つ前記水平面に平行な方向に伸縮可能な構成を有し、
穴を有する第一治具、
前記穴の深さ方向が前記走行方向に交差する前記水平面に平行な所定の方向に向くようにして、前記所定の方向に垂直且つ前記水平面に平行な方向に移動可能に前記第一治具を支持し、前記工作機械に取り付ける支持具、及び
前記アームの伸縮方向に平行に前記アームに取り付け、前記穴に嵌合可能な柱状の第二治具
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作システム。
【請求項5】
前記工作機械の所定位置に位置合わせするための目印が前記アームに設けてあり、
前記揺動部材の揺動方向の両側に配してある二本のボルトを前記揺動部材に向けて進退可能に保持する二つの保持部が前記基台に設けてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを加工する工作機械が用いられている。ワークの加工によって生じる切削屑の飛散、作動中の工作機械に使用者が接触すること等を防止するために、壁が工作機械を覆う。壁は開口を有し、壁の開口を扉が開閉可能に覆う。
特許文献1に記載のワーク交換装置はアームを備える。アームは先端部にあるハンドでワークを把持する。アームは壁の外側から壁の開口を通して壁の内側に進入し、ワーク交換位置でワークを交換する。ワーク交換装置を使用する時、作業者が壁の内側に進入してワークを交換する時よりも安全である。
【0003】
工作機械において、ワークを加工する工具はワークに対して相対的にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動する。ここで、X軸方向とY軸方向は夫々水平面に平行、且つ互いに垂直である。Z軸方向は鉛直である。ワーク交換装置のアームは、Y軸方向に平行に走行することによってワーク交換位置に相対する。アームがX軸方向に平行に伸縮することにより、ハンドが初期位置とワーク交換位置の間で往復する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-177287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のワーク交換装置においてはアームを走行可能に支持する基台が工作機械の基台と兼用である。従ってワークの加工中に工作機械の振動がワーク交換装置に直接的に伝わり、ワーク交換装置の振動が工作機械に直接的に伝わるので、ワークの加工精度が悪化する虞がある。
【0006】
ワーク交換装置が工作機械とは別体ならばワーク交換装置の振動は工作機械に伝わりにくい。ところが例えばワークの加工中の振動により工作機械が位置ずれした時、特許文献1に記載のワーク交換装置は工作機械と一体なので両者の相対的な位置は変化しない。しかしながらワーク交換装置が工作機械と別体ならば両者の相対的な位置が変化し、アームの走行方向がY軸方向に対して傾斜する虞がある。ワーク交換装置の位置ずれの度にアームの走行方向がY軸方向に平行になるようワーク交換装置を設置し直す作業は煩雑である。
【0007】
本開示の目的は、アームの走行方向を容易に調整することができる工作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る工作システムは、ワークを加工する工作機械、該工作機械を覆い、開口を有する壁、及び前記開口を通して前記ワークを交換するワーク交換装置を備える工作システムにおいて、前記ワーク交換装置は、前記工作機械とは別体である基台、水平面に平行に往復走行可能な走行体、該走行体に一体的に設けてあり、前記開口を通して前記ワークを交換するアーム、前記基台に設けてあり、前記走行体の走行方向に平行に延び、前記走行体と共に前記水平面に垂直な枢軸周りに揺動可能な揺動部材、及び前記基台に着脱可能であり、装着時に前記揺動部材の揺動を防止するストッパを有することを特徴とする。
【0009】
本開示にあっては、作業者がワーク交換装置の基台を例えば水平な床面に載置する。この時、作業者は揺動部材の長さ方向が所定の方向(例えばY軸方向)に概ね沿うようにする。
走行体は水平面に平行に往復走行する。アームは走行体に一体的に設けてあるので、走行体と共に水平面に平行に往復走行する。
【0010】
ワーク交換装置の基台に揺動部材が設けてある。揺動部材の長さ方向は走行体の往復走行方向に平行である。鉛直な枢軸を中心に揺動部材が揺動する時、走行体は揺動部材と共に揺動する。揺動部材の長さ方向が所定の方向に平行である時、走行体の走行方向は所定の方向に平行である。即ち揺動部材の長さ方向を調整すればワーク交換装置全体の位置を調整することなくアームの走行方向を容易に調整することができる。
【0011】
アームの走行方向の調整後、作業者はストッパを基台に装着することにより、揺動部材の揺動を防止するので、調整後にアームの走行方向が基台に対して位置ずれすることを防止することができる。
基台が位置ずれした時、作業者はストッパを外してアームの走行方向を調整する。
ワーク交換装置の基台が工作機械とは別体なので、ワークの加工中にワーク交換装置が振動したとしても、ワーク交換装置の振動が工作機械に直接的に伝わる虞はない。
【0012】
本開示に係る工作システムは、前記揺動部材は両面を上下に向けて前記基台の上面に配してある板材であり、前記枢軸は前記揺動部材の長さ方向の一端部に設けてあり、前記ストッパは前記揺動部材を上下に貫通して前記基台にネジ留め固定するボルトであり、前記走行体を往復走行可能に支持する支持部が前記揺動部材の上面に固定してあることを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、板状の揺動部材の上面に支持部が固定してある。支持部は走行体を往復走行可能に支持する。走行体は支持部を介して揺動部材に取り付けてあるので揺動部材と共に揺動する。
ストッパはボルトであり、揺動部材を上下に貫通して基台にネジ留め固定するので、揺動部材の揺動だけでなく揺動部材の上下方向の位置ずれも防止することができる。この結果、揺動部材を介して支持部を基台に固定することができる。
【0014】
枢軸は揺動部材の長さ方向の一端部を上下に貫通するので、揺動部材が揺動する角度が小さくても揺動部材の長さ方向の他端部が揺動する長さは大きい。故に揺動部材の揺動量が目測しやすいので、アームの走行方向を調整手動で調整する時に特に好適である。
【0015】
本開示に係る工作システムは、穴を有する第一治具、前記穴の深さ方向が前記走行方向に沿い前記水平面に平行な所定の方向に向くようにして、前記所定の方向に垂直且つ前記水平面に平行な方向に移動可能に前記第一治具を支持し、前記工作機械に取り付ける支持具、及び前記走行方向に平行に前記アームに取り付け、前記穴に嵌合可能な柱状の第二治具を更に備えることを特徴とする。
【0016】
本開示にあっては、工作システムが第一治具、第二治具、支持具を備える。
第一治具は穴を有する。第二治具は第一治具の穴に嵌合可能な柱状をなし、走行体の走行方向に平行にアームに取り付けてある。
支持具は第一治具を移動可能に支持する。支持具は、第一治具の穴の深さ方向が走行体の走行方向に沿い、且つ水平面に平行な所定の方向(例えばY軸方向)に向くようにして工作機械に取り付けてある。この時、第一治具の移動方向は、所定の方向に垂直且つ水平面に平行な方向(例えばX軸方向)である。
【0017】
アームに取り付けてある第二治具が第一治具の穴に向かい合い、第二治具が第一治具の穴に進入するようにアームが走行する。
アームの走行方向がY軸方向に平行である時、第二治具は真っ直ぐに第一治具の穴に嵌合する。
【0018】
アームの走行方向がY軸方向に非平行である時、アームの走行に伴って第二治具が第一治具の穴に進入し、穴の周面に当接する。第一治具はX軸方向に移動可能なので、第二治具から第一治具への外力は主にX軸方向に伝わる。これにより第一治具が移動する。第一治具がX軸方向に移動すると、第一治具から第二治具へ外力が加わる。第一治具から第二治具への外力が第二治具からアームと走行体を介して揺動部材に伝わり、揺動部材が揺動する。故に第二治具の向きがY方向に平行な向きに近づき、第二治具が第一治具の穴に更に進入する。以上の結果、第二治具が第一治具の穴に嵌合し、アームの走行方向がY軸方向に平行になる。
【0019】
本開示に係る工作システムは、前記アームは前記走行方向に垂直且つ前記水平面に平行な方向に伸縮可能な構成を有し、穴を有する第一治具、前記穴の深さ方向が前記走行方向に交差する前記水平面に平行な所定の方向に向くようにして、前記所定の方向に垂直且つ前記水平面に平行な方向に移動可能に前記第一治具を支持し、前記工作機械に取り付ける支持具、及び前記アームの伸縮方向に平行に前記アームに取り付け、前記穴に嵌合可能な柱状の第二治具を更に備えることを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、走行体の走行方向に垂直且つ水平面に平行な方向にアームが伸縮する。
工作システムは第一治具、第二治具、支持具を備える。
第一治具は穴を有する。第二治具は第一治具の穴に嵌合可能な柱状をなし、アームの伸縮方向に平行にアームに取り付けてある。
【0021】
支持具は第一治具を移動可能に支持する。支持具は、第一治具の穴の深さ方向が走行体の走行方向に交差し、且つ水平面に平行な所定の方向(例えばX軸方向)に向くようにして工作機械に取り付けてある。この時、第一治具の移動方向は、所定の方向に垂直且つ水平面に平行な方向(例えばY軸方向)である。
【0022】
アームに取り付けてある第二治具が第一治具の穴に向かい合い、第二治具が第一治具の穴に進入するようにアームが伸長する。
アームの走行方向がY軸方向に平行である時、第二治具は真っ直ぐに第一治具の穴に嵌合する。
【0023】
アームの走行方向がY軸方向に非平行である時、アームの伸長に伴って第二治具が第一治具の穴に進入し、穴の周面に当接する。第一治具はY軸方向に移動可能なので、第二治具から第一治具への外力は主にY軸方向に伝わる。これにより第一治具が移動する。第一治具がY軸方向に移動すると、第一治具から第二治具へ外力が加わる。第一治具から第二治具への外力が第二治具からアームと走行体を介して揺動部材に伝わり、揺動部材が揺動する。故に第二治具の向きがX方向に平行な向きに近づき、第二治具が第一治具の穴に更に進入する。以上の結果、第二治具が第一治具の穴に嵌合し、アームの走行方向がY軸方向に平行になる。
【0024】
本開示に係る工作システムは、前記工作機械の所定位置に位置合わせするための目印が前記アームに設けてあり、前記揺動部材の揺動方向の両側に配してある二本のボルトを前記揺動部材に向けて進退可能に保持する二つの保持部が前記基台に設けてあることを特徴とする。
【0025】
本開示にあっては、アームに目印が設けてある。
作業者はアームの目印を工作機械の所定位置に位置合わせする。ここで、工作機械の所定位置とは、アームの走行方向がY軸方向に平行である時にアームの目印が一致する位置である。作業者は、アームの目印が工作機械の所定位置に一致するまで揺動部材に外力を加える。
【0026】
基台に二つの保持部が設けてある。二つの保持部は二本のボルトを保持する。二本のボルトは揺動部材の揺動方向の両側に配してあり、揺動部材に向けて進退可能である。一方のボルトが揺動部材から退避し、他方のボルトが揺動部材へ進出すれば、揺動部材は退避したボルトに近づく方向に揺動する。作業者が例えばレンチを用いて二本のボルト夫々を適切に回すことにより、揺動部材が容易に揺動することができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示の工作システムによれば、アームの走行方向を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施の形態1に係る工作システムの斜視図である。
図2】工作システムの側面図である。
図3】ワーク交換装置の斜視図である。
図4】ワーク交換装置の平面図である。
図5図2におけるV-V線によるワーク交換装置の断面図である。
図6】アームが壁の内側に進入した状態の斜視図である。
図7】アームが壁の内側に進入した状態の正面図である。
図8図7におけるVIII-VIII線による断面図である。
図9】A方向の調整手順の説明図である。
図10】A方向の調整手順の説明図である。
図11】実施の形態2に係る工作システムの模式図である。
図12】A方向の調整手順の説明図である。
図13】実施の形態3に係る工作システムの模式図である。
図14】A方向の調整手順の説明図である。
図15】ワーク交換装置の斜視図である。
図16】ワーク交換装置の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、左右を使用する。
【0030】
実施の形態 1.
図1に示すように工作システム1は工作機械2、壁3、ワーク交換装置4を備える。
図1図2の如く工作機械2は基台21を備える。基台21は各複数の脚部211と減衰部212を備える。基台21は各脚部211と床面5の間に減衰部212が介在するようにして水平な床面5に載置してある。工作機械2は基台21の上側にてワークを加工する。
【0031】
基台21は壁3を支持する。壁3は工作機械2を前側と左右両側から覆う。
壁3の右面に開口31が設けてある。開口31を側面扉32が開閉可能に覆う。開口31の開放時に壁3の外側から開口31を通して壁3の内側に進入することが可能である。
図1の如く壁3の前面に開口34が設けてある。開口34を正面扉35が開閉可能に覆う。開口34の開放時に壁3の外側から開口34を通して壁3の内側に進入することが可能である。
【0032】
図1図4の如くワーク交換装置4は基台41を備える。基台41は平面視矩形状をなし、前後方向に長い。基台41は工作機械2とは別体であり、基台41の上面が床面5に平行になるようにして壁3の右側の床面5に載置してある。
【0033】
基台41は部材受け411を備える。部材受け411は前後方向に延びる短冊状の板材であり、両面が上下に向く。部材受け411は基台41の左辺に沿うようにして基台41の上面に固定してある。
【0034】
部材受け411の上面に、揺動部材42が床面5に垂直な枢軸43(図4参照)周りに揺動可能に載置してある。揺動部材42は前後方向に延びる短冊状の板材であり、両面が上下に向く。揺動部材42の上面は床面5に平行である。枢軸43は部材受け411に固定したピンであり、揺動部材42の前端部を上下に貫通する。
以下では、揺動部材42の長さ方向をA方向といい、揺動部材42の幅方向をB方向という(図4参照)。A方向とB方向は何れも床面5に平行であり、互いに垂直である。
【0035】
図4の如く揺動部材42の四隅夫々の近傍に、B方向に長い長穴421が設けてある。各長穴421は揺動部材42を上下に貫通する。基台41の部材受け411に四つのネジ穴412が設けてあり、ネジ穴412は揺動部材42の長穴421の下側にある。ボルト44(図3参照)が揺動部材42の長穴421を貫通してネジ穴412に螺合することにより、作業者は揺動部材42を基台41にネジ留め固定する。基台41にネジ留め固定した揺動部材42は揺動することができない。ボルト44は揺動部材42の揺動を防止するストッパとして機能する。ボルト44は着脱可能である。全てのボルト44が取り外してある時に揺動部材42は揺動する。図1図2におけるボルト44の図示は省略してある。
【0036】
図3図5の如くワーク交換装置4は支持部45を備え、支持部45はリブ451、支持板452、リニアガイド453を備える。
揺動部材42の上面から複数のリブ451が立ち上がっている。複数のリブ451はA方向に並ぶ。複数のリブ451はA方向に長い支持板452を支持する。支持板452の両面はB方向に向く。
図5の如くリブ451は揺動部材42の上面から上向きに延びる第一部分と第一部分の先端から右向きに延びる第二部分を備える。リブ451の第一部分は揺動部材42の上面に固定してあり、リブ451の第二部分の先端に支持板452が固定してある。
【0037】
図2図3図5の如く支持板452の右面に二本のリニアガイド453が固定してある。二本のリニアガイド453は互いに平行であり、夫々A方向に平行に延びる。
二本のリニアガイド453に箱状の走行体46が取り付けてある。走行体46はリニアガイド453に沿ってA方向に平行に往復走行可能である。具体的には各リニアガイド453にスライドブロック461(図5参照)が摺動可能に取り付けてあり、スライドブロック461は走行体46の左面に固定してある。支持部45及び走行体46は揺動部材42と共に揺動する。
支持板452の右面において、二本のリニアガイド453の間にラック454が固定してある。ラック454はA方向に平行である。
【0038】
図5の如く走行体46にモータ462が収容してある。モータ462の出力軸はB方向に平行である。モータ462の出力軸に、走行体46の左面を貫通する減速機463を介してピニオン464が連結してある。モータ462の回転に伴い、ピニオン464がラック454に噛合しつつ回転することにより、走行体46が走行する。
【0039】
図1図3図4の如く走行体46に一体的にアーム47が設けてある。アーム47は走行体46と共にA方向に往復走行する。走行体46が揺動部材と共に揺動した時、アーム47も共に揺動する。
アーム47は第一アーム471、第二アーム472、ハンド473を備える。走行体46は走行体46の上面から上向きに延びるアーム支持体465を備え、アーム支持体465の上端部に第一回転軸466(図5参照)が設けてある。第一回転軸466はA方向に平行である。第一アーム471の基端部は第一回転軸466に連結してある。第一アーム471は第一回転軸466を中心に揺動可能である。
【0040】
第一アーム471の先端部にA方向に平行な不図示の第二回転軸が設けてあり、この第二回転軸に第二アーム472の基端部が連結してある。第二アーム472は第二回転軸を中心に揺動可能である。
第二アーム472の先端部にA方向に平行な不図示の第三回転軸が設けてあり、この第三回転軸にハンド473が連結してある。ハンド473は第三回転軸を中心に揺動可能である。
ハンド473には不図示の二つのワーク把持部が設けてある。
【0041】
第一アーム471の初期位置は、先端部が上向きになる位置である。第二アーム472の初期位置は、先端部が下向きになる位置である。
アーム47はB方向に平行に伸縮可能である。初期位置にある第一アーム471と第二アーム472夫々が左側に揺動することによってアーム47はB方向に平行に左向きに伸長する(後述する図6図8参照)。アーム47の伸長時に第一アーム471と第二アーム472夫々が初期位置に向けて右側に揺動することによってアーム47はB方向に平行に右向きに収縮する。
【0042】
アーム47は、壁3の側面扉32が開いている時に左向きに伸長することにより、壁3の内側に進入する。
アーム47は初期位置から右向きに伸長し、初期位置に向けて左向きに収縮することも可能である。
【0043】
図6図7においては側面扉32と正面扉35(図1参照)が開いている。
図8における壁3の図示は省略してある。
【0044】
図7図8の如く工作機械2はテーブル22を備える。テーブル22は基台21の上部に設けてある。テーブル22の上面に、ワークを保持する不図示の治具を嵌め込むための嵌め込み溝221が設けてある。複数の嵌め込み溝221が後述するX軸方向又はY軸方向に平行に延びる。
【0045】
図8の如く工作機械2は主軸23を備える。主軸23は上下方向に延びる。主軸23の下端部は不図示の工具を保持する。主軸23はテーブル22に対して相対的にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動する。例えばテーブル22がX軸方向とY軸方向夫々に移動可能に設けてあり、主軸23がZ軸方向に移動可能に設けてある。ここで、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、左右方向、前後方向、上下方向に平行である。図8におけるZ軸方向は紙面に直交する。
【0046】
図7の如くワーク交換装置4の右側にはワーク載置台6が隣り合う。ワーク載置台6には未加工のワークW1が載置してある。工作機械2のテーブル22には加工済みのワークW2が載置してある。加工終了後にテーブル22が移動することにより、加工済みのワークW2は加工位置からワーク交換位置に移動する。ワーク交換装置4はワーク交換位置にある加工済みのワークW2を未加工のワークW1と交換する。
ワーク交換装置4は、後述するようにしてA方向がY軸方向に平行になるように予め調整してある。A方向がY軸方向に平行ならばB方向はX軸方向に平行である。
【0047】
ワーク交換の際、ワーク交換装置4のハンド473は一方のワーク把持部にて未加工のワークW1を把持する。ハンド473の他方のワーク把持部はワークを把持しない。
走行体46が走行することより、アーム47はY軸方向に平行に走行する。走行体46が停止することより、アーム47はハンド473がワーク交換位置に右側からX軸方向に平行に相対する位置にて停止する。
側面扉32が開いて壁3の開口31を開放する。側面扉32の開閉方法は限定しない。
【0048】
アーム47はX軸方向に平行に左向きに伸長することによって開口31を通り、壁3の内側に進入する。壁3の内側に進入したアーム47は、ハンド473で加工済みのワークW2を把持し、未加工のワークW1をテーブル22に載置する。未加工のワークW1をテーブル22に載置し終えたアーム47はX軸方向に平行に右向きに収縮することによって壁3の内側から壁3の外側に退出する。アーム47は加工済みのワークW2をワーク載置台6に載置してから初期位置に戻る。
ワーク交換装置4を使用する時、作業者が壁3の内側に進入してワークを交換する時よりも安全である。
【0049】
ワークの交換後、工作機械2はテーブル22に載置してある未加工のワークW1を主軸23が保持した工具で加工する。
基台21の減衰部212により、ワークの加工に伴う工作機械2の振動が減衰するので工作機械2の振動が床面5に伝わりにくい。しかもワーク交換装置4の基台41は工作機械2とは別体である。故にワークの加工中にワーク交換装置4が振動することを抑制することができる。ワーク交換装置4が振動したとしても、ワーク交換装置4の振動が工作機械2に直接的に伝わる虞はない。
【0050】
しかしながら工作機械2から床面5を介してワーク交換装置4に伝わる振動を完全に打ち消すことはできないので、この振動によりワーク交換装置4が工作機械2に対して位置ずれすることがある。また、ワークの加工中の振動により工作機械2がワーク交換装置4に対して位置ずれすることがある。工作機械2又はワーク交換装置4の位置ずれの結果、A方向がY軸方向に対して非平行になる虞がある。故にワーク交換装置4の位置ずれ時にA方向がY軸方向に平行になるようA方向を調整する必要がある。また、ワーク交換装置4の設置時にもA方向を調整する必要がある。
なおワーク交換装置4は作業者が操作する図示しない操作部を備える。工作機械2の操作部がワーク交換装置4の操作部と兼用でもよい。
【0051】
図9図10には工作機械2のテーブル22とワーク交換装置4の基台41、揺動部材42、走行体46、アーム47の模式的な平面図が示してある。
ワーク交換装置4の設置時に、作業者はA方向が前後に向き、B方向が左右に向き、揺動部材42の枢軸43側が前側になるようにしてワーク交換装置4の基台41を床面5に設置する。ワーク交換装置4の位置ずれは微小なのでワーク交換装置4の位置ずれが起きてもワーク交換装置4はA方向が前後に向きB方向が左右に向いた状態のままである。
A方向の調整時、テーブル22の上面は床面5に平行である。
【0052】
支持具10は箱状をなす。支持具10の上面に案内レール101が設けてある。テーブル22の嵌め込み溝221に係合する不図示の係合部が支持具10の下面に設けてある。作業者は、案内レール101の長さ方向を左右に向けて、テーブル22に支持具10を載置する。X軸方向に延びる嵌め込み溝221に支持具10の係合部が係合することにより、案内レール101の長さ方向がX軸方向に平行になるように支持具10を正確に位置決めすることができる。
【0053】
支持具10は第一治具11を支持する。第一治具11は案内レール101に沿ってX軸方向に平行に移動可能なブロックである。第一治具11の前面には穴111が設けてある。穴111は例えば丸穴である。穴111の開口周縁部には穴111の内径が深さ方向に短くなるようにテーパが設けてある。支持具10を前述のようにテーブル22に載置した時、穴111の深さ方向はY軸方向に平行になる。
【0054】
作業者はワーク交換装置4のアーム47に第二治具12を取り付ける。第二治具12は第一治具11の穴111に嵌合可能な柱状をなす。第一治具11の穴111が丸穴である時、第二治具12は円柱であり、穴111の内径より僅かに小さい外径を有する。例えばハンド473に、第二治具12を保持する不図示の保持具が設けてある。第二治具12を前後に向け、アーム47の保持具に第二治具12の前端部を取り付けることにより、第二治具12を正確に位置決めすることができる。この時、第二治具12は、第二治具12の軸長方向がA方向に平行になるようにして第二治具12がアーム47から後ろ向きに突出する。
なお第二治具12の保持具は第二アーム472に設けてあってもよい。アーム47に保持具を設けることなく、ハンド473のワーク把持部が第二治具12を把持してもよい。
【0055】
図9の如く作業者は走行体46の走行及びアーム47の伸長により、第二治具12の後端部を第一治具11の開口に配する。次に、作業者はボルト44(図6参照)を全て外して揺動部材42を揺動可能にする。その後、作業者の操作により走行体46が後向きに(枢軸43から離れる方向に)走行する。すると第二治具12の前端部が穴111に進入する。穴111の開口周縁部に設けてあるテーパにより、第二治具12の穴111への進入は滑らかである。なお走行体46の走行中にアーム47の伸長が伸長することはない。
A方向がY軸方向に平行である時、第二治具12は真っ直ぐに第一治具11の穴111に嵌合する。
【0056】
しかしながらA方向がY軸方向に非平行である時、第一治具11の穴に進入した第二治具12が穴111の周面に当接する。第一治具11はX軸方向に移動可能なので、第二治具12から第一治具11への外力は主にX軸方向に伝わる。これにより第一治具11が移動する。第一治具11がX軸方向に移動すると、第一治具11から第二治具12へ外力が加わる。第一治具11から第二治具12への外力が第二治具12からアーム47、走行体46、支持部45を介して揺動部材42に伝わり、揺動部材42が揺動する。故に第二治具12の向きがY方向に平行な向きに近づき、第二治具12が第一治具11の穴111に更に進入する。以上の結果、図10の如く第二治具12が第一治具11の穴111に嵌合する。
【0057】
図9において揺動部材42は枢軸43を中心に右側に傾いているので、走行体46の走行に伴い第一治具11が左向きに移動し、揺動部材42に左向きの外力が加わる。図示はしないが、揺動部材42が枢軸43を中心に左側に傾いている時、走行体46の走行に伴い第一治具11が右向きに移動し、揺動部材42に右向きの外力が加わる。
第二治具12が第一治具11の穴111に嵌合することにより、揺動部材42を高精度に位置決めするので、A方向がY軸方向に平行になる。
【0058】
A方向の調整後、作業者はボルト44で揺動部材42を基台41に固定する。また、作業者はテーブル22から支持具10及び第一治具11を取り外し、アーム47から第二治具12を取り外す。
揺動部材42の固定により、調整後にA方向がずれることを防止することができる。ボルト44は揺動部材42を上下に貫通して基台41にネジ留め固定するので、揺動部材42の揺動だけでなく、揺動部材42の上下方向の位置ずれも防止することができる。この結果、揺動部材42を介して支持部45を基台41に固定することができる。
【0059】
以上のような工作システム1によれば、ワーク交換装置4全体の位置を調整することなくA方向を容易に調整することができる。しかも、A方向を手動で調整する必要がないので、利便性が高い。
A方向の調整後、作業者はワーク交換時に走行体46が停止すべき位置とワーク交換時のアームの伸縮量を夫々調整する。以上の結果、ハンド473をワーク交換位置に高精度に送ることができる。
【0060】
本実施の形態においては枢軸43が揺動部材42の前端部に位置するが、枢軸43が揺動部材42の後端部に位置してもよい。この時、穴111は第一治具11の後面にあり、A方向の調整時に走行体46は前向きに(枢軸43から離れる方向に)走行する。枢軸43は揺動部材42の中央部にあってもよい。
なお枢軸43が揺動部材42を貫通する構成に限定しない。例えば枢軸43は揺動部材42の下面に設けてある止まり穴に挿入してあってもよい。又は枢軸43は揺動部材42の下面から一体に突出してもよい。
走行体46の走行はラック454とピニオン464によるものに限定しない。例えば走行体46の走行はボールねじによるものでもよい。
【0061】
実施の形態 2.
本実施の形態の工作システム1は、A方向の調整の手順を除き、実施の形態1の工作システム1と略同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0062】
図11図12には工作機械2のテーブル22とワーク交換装置4の基台41、揺動部材42、走行体46、アーム47の模式的な平面図が示してある。
【0063】
本実施の形態において、作業者は、案内レール101を前後に向けて、テーブル22に支持具10を載置する。Y軸方向に延びる嵌め込み溝221に支持具10の係合部が係合することにより、案内レール101の長さ方向がY軸方向に平行になるように支持具10を正確に位置決めすることができる。この時、支持具10は第一治具11を案内レール101に沿ってY軸方向に平行に移動可能に支持する。穴111は第一治具11の右面に位置し、穴111の深さ方向はX軸方向に平行である。
【0064】
作業者は第二治具12を左右に向け、ワーク交換装置4のアーム47の保持具に第二治具12の右端部を取り付ける。この時、第二治具12は、第二治具12の軸長方向がB方向に平行になるようにして第二治具12がアーム47から左向きに突出する。
【0065】
図11の如く作業者は走行体46の走行及びアーム47の伸長により、第二治具12の左端部を第一治具11の開口に配する。次に、作業者はボルト44を全て外して揺動部材42を揺動可能にする。その後、作業者の操作によりアーム47が左向きに伸長する。すると第二治具12の左端部が穴111に進入する。なおアーム47の伸長中に走行体46が走行することも第二治具12の上下方向の位置が変化することもない。
A方向がY軸方向に平行である時、第二治具12は真っ直ぐに第一治具11の穴111に嵌合する。
【0066】
しかしながらA方向がY軸方向に非平行である時、第一治具11の穴に進入した第二治具12が穴111の周面に当接する。第一治具11はY軸方向に移動可能なので、第二治具12から第一治具11への外力は主にY軸方向に伝わる。これにより第一治具11が移動する。第一治具11がY軸方向に移動すると、第一治具11から第二治具12へ外力が加わる。第一治具11から第二治具12への外力が第二治具12からアーム47、走行体46、支持部45を介して揺動部材42に伝わり、揺動部材42が揺動する。故に第二治具12の向きがX方向に平行な向きに近づき、第二治具12が第一治具11の穴111に更に進入する。以上の結果、第二治具12が第一治具11の穴111に嵌合し、A方向がX軸方向に平行になる。
【0067】
以上のような工作システム1によれば、実施の形態1の時と同様に、A方向を容易に調整することができる。
【0068】
実施の形態 3.
本実施の形態の工作システム1は、支持具10、第一治具11、第二治具12を用いずA方向を調整する点を除き、実施の形態1の工作システム1と略同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0069】
図13には工作機械2のテーブル22とワーク交換装置4のアーム47の模式的な正面図が示してある。
【0070】
アーム47には目印13が設けてある。本実施の形態の目印13は目印部材131に設けてあり、A方向の調整時にアーム47のハンド473が目印部材131を把持する。目印部材131は例えばワーク載置台6に予め載置してある。
目印13と目印部材131の構成は限定しない。例えば目印部材131は円柱であり、ハンド473は目印部材131の軸長方向を上下に向けて目印部材131を把持する。目印部材131の下端面から針状の目印13が下向きに突出する。目印部材131の周面の下端部に目印13の位置を示す指標132が描いてある。
【0071】
作業者は走行体46の走行及びアーム47の伸長により、目印13を工作機械2の所定位置に位置合わせする。本実施の形態では、工作機械2の所定位置としてテーブル22の嵌め込み溝221を例示する。
【0072】
図14には工作機械2のテーブル22とワーク交換装置4の基台41、揺動部材42、走行体46、アーム47の模式的な平面図が示してある。
前述の所定位置はY軸方向に延びる嵌め込み溝221の開口周縁である。
作業者の操作により、走行体46は前側(枢軸43に近い側)に走行し、適宜の位置で停止する。走行体46の停止位置は揺動部材42の前端部に近いほど望ましい。次に作業者は走行体46の走行及びアーム47の伸長により、目印13のX方向の位置を嵌め込み溝221の開口周縁に位置合わせする。
【0073】
その後、作業者の操作により、走行体46が後側(枢軸43から遠い側)に走行し、適宜の位置で停止する。走行体46の停止位置は揺動部材42の後端部に近いほど望ましい。
A方向がY軸方向に平行である時、走行体46の後側への移動後も目印13のX方向の位置は嵌め込み溝221の開口周縁に一致する。
しかしながらA方向がY軸方向に非平行である時、走行体46の後側への移動後、目印13のX方向の位置は嵌め込み溝221の開口周縁から右側又は左側に位置ずれする。
【0074】
走行体46の走行もアーム47の伸縮も停止した状態で、作業者が揺動部材42に外力を加えることにより、目印13のX方向の位置が嵌め込み溝221の開口周縁に一致するまで揺動部材42が揺動する。この結果、A方向がY軸方向に平行になる。
A方向の調整後、アーム47は目印部材131をワーク載置台6に載置する。
【0075】
なお目印部材131はアーム47に設けてある不図示の保持具が保持してもよい。この時、作業者がアーム47に保持具に対して目印部材131を着脱する。又はアーム47に直接的に目印13が設けてあってもよい。目印13はアーム47又は目印部材131に描かれた記号でもよい。
工作機械2の所定位置はY軸方向に延びる嵌め込み溝221の開口周縁に限定しない。工作機械2の所定位置は例えば嵌め込み溝221に嵌められたY軸方向に延びる不図示の治具のエッジでもよい。
【0076】
揺動部材42は支持部45、走行体46、アーム47の重量を受けるので、作業者が揺動部材42に手で直接的に外力を加えても揺動部材42はほとんど揺動しない。
図16は揺動部材42の後端部の近傍を示す。
図15図16の如く基台41の上面に二つの保持部14が設けてある。各保持部14はボルト15を保持する。二本のボルト15は揺動部材42の左右両側に配してあり、揺動部材42に向けて進退可能である。
【0077】
具体的には保持部14は板状をなし、両面をB方向に向けて基台41の上面から立ち上がる。保持部14には保持部14を貫通する丸穴が設けてあり、この丸穴の内周面に雌ネジが設けてある。左側(右側)のボルト15は頭部が保持部14の左側(右側)に位置し脚部が保持部14の右側(左側)から突出するようにして保持部14の雌ネジに螺合する。
【0078】
一方のボルト15が揺動部材42から退避し、他方のボルト15が揺動部材42へ進出すれば、揺動部材42は退避したボルト15に近づく方向に揺動する。
作業者が例えばレンチを用いて二本のボルト15夫々を適切に回すことにより、揺動部材42が揺動するための外力を揺動部材42に容易に加えることができる。
二本のボルト15で揺動部材42を挟持すれば揺動部材42は揺動しないが、揺動部材42の上下方向の振動を防ぐことができないので、実施の形態1,2の場合と同様に、A方向の調整後、ボルト44が揺動部材42を固定する。ボルト44による揺動部材42の固定後、作業者は二本のボルト15を除去してもよい。
【0079】
以上のような工作システム1によれば、ワーク交換装置4全体の位置を調整することなくA方向を容易に調整することができる。
枢軸43が揺動部材42の前端部を上下に貫通するので、揺動部材42が揺動する角度が小さくても揺動部材42の後端部が揺動する長さは大きい。故に揺動部材42の揺動量が目測しやすいので、手動による目印13の位置合わせが容易である。
【0080】
ワーク交換装置4の基台41が工作機械2とは別体なので、ワーク交換装置4の配置の自由度が向上する。例えば実施の形態1~3の何れにおいても作業者はワーク交換装置4を壁3の前側に設置してもよい。この時、ワーク交換装置4は壁3の前面にある開口34を通してワークを交換する。作業者はA方向がX軸方向に平行になるように調整すればよい。
【0081】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 工作システム
10 支持具
11 第一治具
111 穴
12 第二治具
13 目印
14 保持部
15 ボルト
2 工作機械
3 壁
31,34 開口
4 ワーク交換装置
41 基台
42 揺動部材
43 枢軸
44 ボルト(ストッパ)
45 支持部
46 走行体
47 アーム
473 ハンド
5 床面
W1,W2 ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16