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  • 特開-肉様食品の製造方法 図1
  • 特開-肉様食品の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064541
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】肉様食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20220419BHJP
【FI】
A23L13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173244
(22)【出願日】2020-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】598008592
【氏名又は名称】日乃食工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 一志
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC10
4B042AD36
4B042AK09
4B042AK11
4B042AK13
4B042AP02
4B042AP20
4B042AP21
4B042AP30
(57)【要約】
【課題】冷凍後解凍しても、離水が発生しにくくより肉らしい食感を持つ肉様食品を提供する。
【解決手段】もやしから胚軸を取り出す取出工程T1と、もやしをプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材に封入し、その内部を真空にした後、加圧しつつ加熱するレトルト釜工程T2と、もやしをほぐして繊維状にする潰し工程T3及び撹拌工程T4と、もやしを脱水する撹拌工程T4とを備えているもやしの加工工程を行う。その加工後のもやしと、おからと、こんにゃく粉等の原料とを混合し、その混合物を凝固剤を使用して凝固させる凝固工程と、凝固工程後の混合物をプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材に封入し、その内部を真空にした後、レトルト釜で加圧しつつ加熱して雑菌を滅菌するレトルト工程と、レトルト工程後の混合物を冷凍庫で冷凍する冷凍工程とを行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
もやしを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後のもやしをほぐして繊維状にすると共に脱水する繊維化・脱水工程と、
おからと、こんにゃく粉と、前記繊維化・脱水工程後のもやしとを混合し、凝固剤を使用して凝固させる凝固工程とを備えている肉様食品の製造方法。
【請求項2】
前記加熱工程において、もやしを包装材に封入し、当該包装材の内部を真空にして、レトルト釜で加圧しつつ加熱することを特徴とする請求項1に記載の肉様食品の製造方法。
【請求項3】
前記繊維化・脱水工程において、回転式の撹拌部材を設けた撹拌装置を使用してもやしをほぐすことを特徴とする請求項1又は2に記載の肉様食品の製造方法。
【請求項4】
前記加熱工程前に、もやしから胚軸を取り出す取出工程を備えており、
前記取出工程で取り出された胚軸が前記加熱工程以降の工程におけるもやしとして用いられ、
前記繊維化・脱水工程において、前記取出工程前のもやしの45~55%の重量となるようにもやしを脱水することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の肉様食品の製造方法。
【請求項5】
前記凝固工程後の混合物を包装材に封入し、当該包装材の内部を真空にする真空工程を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の肉様食品の製造方法。
【請求項6】
前記真空工程後の混合物を冷凍する冷凍工程を備えていることを特徴とする請求項5に記載の肉様食品の製造方法。
【請求項7】
前記凝固工程後の混合物をブロック状、ミンチ状、又は板状にする切断工程を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の肉様食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉様食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
おからは満腹感を生じやすかったり、低カロリーであったりして、肥満防止につながり、成人病予防等の観点からも注目されている食材である。そのおからとこんにゃく粉を利用して、特許文献1に記載されている加工品のような肉様食品が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-49079公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる肉様食品を冷凍し解凍すると、肉様食品が離水してしまい、ぱさぱさとした食感の肉様食品となってしまう。
【0005】
本発明の目的は、冷凍後解凍しても、離水が発生しにくくより肉らしい食感を持つ肉様食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の肉様食品の製造方法は、もやしを加熱する加熱工程と、前記加熱工程後のもやしをほぐして繊維状にすると共に脱水する繊維化・脱水工程と、おからと、こんにゃく粉と、前記繊維化・脱水工程後のもやしとを混合し、凝固剤を使用して凝固させる凝固工程とを備えている。
【0007】
本発明の肉様食品の製造方法によると、加熱することでもやしを軟化させることができる。その後、ほぐして繊維状にしたもやしに、おから等の原料が絡まり、肉様食品からおから等が漏れにくくなる。また、おからと繊維状にしたもやしが各原料から出た水分を吸収し、水分を保つ。よって、おから等に絡みついた繊維状のもやしが肉様食品としてのまとまりを持たせつつ離水が発生しにくくなり、肉様食品のぱさつきが軽減されて弾力も確保される。また、繊維状のもやしは、肉の筋原線維のような食感を生じさせ、肉様食品に「肉らしい噛み応え」を与える。
【0008】
また、本発明においては、前記加熱工程において、もやしを包装材に封入し、当該包装材の内部を真空にして、レトルト釜で加圧しつつ加熱することが好ましい。これによると、もやしを封入した包装材の内部を真空にして、加圧しつつ加熱することで、もやしをむらなく加熱してもやしの水分の分離を促すことができる。
【0009】
また、本発明においては、前記繊維化・脱水工程において、回転式の撹拌部材を設けた撹拌装置を使用してもやしをほぐすことが好ましい。これによると、撹拌装置を用いて適切にもやしを繊維状にほぐすことができる。
【0010】
また、本発明においては、前記加熱工程前に、もやしから胚軸を取り出す取出工程を備えており、前記取出工程で取り出された胚軸が前記加熱工程以降の工程におけるもやしとして用いられ、前記繊維化・脱水工程において、前記取出工程前のもやしの45~55%の重量となるようにもやしを脱水することが好ましい。これによると、もやしを繊維状に加工して肉様食品の製造に使用することができる。また、繊維化・脱水工程において、取出工程前のもやしの45~55%の重量となるようにもやしを脱水することで、肉様食品の離水防止により効果的な網目構造の繊維を取得することができる。さらに、もやし由来の水分が抑えられるので、離水が発生しにくい。
【0011】
また、本発明においては、前記凝固工程後の混合物を包装材に封入し、当該包装材の内部を真空にする真空工程を備えていることが好ましい。これによると、内部を真空にすることで圧力がかかり、原料同士の隙間がなくなって、原料から滲出した水分がおからに吸収される。また、繊維状のもやしにおからが押し付けられ、よりおからが原料に絡まりやすくなることにより、より弾力のある肉様の食感を有する肉様食品を製造することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記真空工程後の混合物を冷凍する冷凍工程を備えていることが好ましい。これによると、混合物を冷凍することで、繊維状のもやしにおからが押し付けられ、よりおからが原料に絡まりやすくなることにより、より弾力のある肉様の食感を生じ、離水も抑制するという上記効果がさらに促進される。
【0013】
また、本発明においては、前記凝固工程後の混合物をブロック状、ミンチ状、又は板状にする切断工程を備えていることが好ましい。これによると、混合物をブロック状にすることで唐揚げ等、ミンチ状にすることでハンバーグ等のミンチ肉と同様の料理、板状にすることで薄くスライスして焼肉、厚くスライスしてステーキ等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る肉様食品の製造方法における一連の工程を示すフロー図である。
図2図1の工程の一部である、もやしの加工部分における一連の工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図1を参照しつつ説明する。まず、粉砕工程S1において、おからを砕く。使用するおからは低水分のものが好ましい。
【0016】
次に、こんにゃく粉混合工程S2において、粉砕工程S1後のおからと、水、つなぎ材、及びこんにゃく粉を合わせたものとを高速撹拌により混合する。つなぎ材は、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉、米澱粉、豆類の澱粉、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉等が使用される。また、複数のつなぎ材が使用されていてもよい。
【0017】
次に、調味工程S3において、こんにゃく粉混合工程S2後の混合物と、香辛料、野菜のペースト液、及び調味料、並びに、必要に応じて色素を合わせたものとを混ぜ合わせる。香辛料としては、クミン、ごま、ホワイトペッパー、ピンクペッパー、ブラックペッパー、ターメリック、ナツメッグ、バジル、パセリ、パプリカパウダー、マスタード、チリパウダー、ローリエ等が使用される。野菜のペースト液としては、人参、たまねぎ、にんにく等が使用される。調味料としては、塩、味噌、糖類、酵母エキス等が使用される。色素は、ベニコウジ色素、カラメル色素等が使用される。香辛料、野菜のペースト液、調味料、食用油脂、色素、及び添加物は、肉様食品の用途、例えば、給食用、病院食用、レストラン用、家庭用等に応じて、適宜選択し使用する。
【0018】
次に、もやし混合工程S4において、調味工程S3後の混合物と、後述する図2の加工方法によって加工が施されたもやしとを高速撹拌により混ぜ合わせる。この際、味噌等の一部の調味料も併せて混合してもよい。
【0019】
油脂混合工程S5において、もやし混合工程S4後の混合物に食用油脂を加えて、高速撹拌により混ぜ合わせる。食用油脂としては、サラダ油、オリーブオイル、ごま油、グレープシードオイル、菜種油等が適宜使用される。
【0020】
次に、凝固工程S6において、油脂混合工程S5後の混合物と、消石灰(本発明でいう、凝固剤)及び水を合わせたものとを高速撹拌により混合させて、混合物を凝固させる。
【0021】
次に、レトルト工程S7において、凝固工程S6後の混合物を真空下で加圧しつつ加熱する。凝固工程S6後の混合物をプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材(本発明でいう、包装材)に封入して、プラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材の内部を真空にする。そのプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材をレトルト釜で加圧しつつ加熱して、雑菌を滅菌する。プラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材の内部を真空にすることで混合物に含まれる原料同士の隙間がなくなり、各原料から滲出した水分がおから及びもやしの繊維に吸収される。また、もやしの繊維におからが押し付けられ、よりおからが絡まりやすくなることにより、より弾力のある肉食感を有する肉様食品を製造することができる。なお、レトルト工程S7における凝固工程S6後の混合物をプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材に封入して真空にする処理が、本発明の真空工程に対応する。
【0022】
次に、冷凍工程S8において、レトルト工程S7後の混合物を冷凍庫で冷凍することで、混合物が肉様食品となる。冷凍することで、肉のような弾力が得られ、離水もほとんどなくすことができる。
【0023】
次に、保存工程S9において、冷凍工程S8後の肉様食品を、冷凍、チルド、又は直射日光を避けた常温において保存する。この場合も、離水もほとんどなく保存できる。
【0024】
次に、切断工程S10において、肉様食品をブロック状、ミンチ状、又は板状にする。肉様食品を通常の肉の塊同様に切断することで、様々な料理に活用することができる。例えば、ブロック状にすることで唐揚げ、シチュー、又は煮物等に、ミンチ状にすることでハンバーグ、餃子、野菜炒め、又はカレー等のミンチ肉と同様の料理に、板状にすることで好みの厚さにスライスして、焼肉、スライス、ステーキ、又はとんかつ風の揚げ物等に利用することができる。
【0025】
以下、図1に示すもやし混合工程S4において用いられるもやしの加工方法について図2を参照しつつ説明する。まず、取出工程T1において、流水でもやしを繰り返し洗浄し、雑菌を除去する。その際に、もやしの目にあったざるを使用し、異物を取り除くと共に、もやしから胚軸を取り出して、以後の工程で胚軸を使用するもやしから胚軸以外の不要部を取り除くことで、もやしを繊維状に加工して肉様食品の製造に使用することができる。なお、ハサミや包丁等で、不要部を取り除いてもよい。
【0026】
次に、レトルト釜工程T2において、取出工程T1後のもやしを真空になるよう封入して、加圧しつつ加熱する。もやしをプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材(本発明でいう、包装材)に封入する。そのプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材の内部を真空にしたものをレトルト釜で所定時間、加圧しつつ加熱処理し、その後、少し温度・圧力を上げ、より長い時間、加圧しつつ加熱処理する。これにより、もやしの殺菌も行なわれる。最後に、加圧しつつ冷却する。加熱は100℃前後又は100℃以上で行う。加圧は、レトルト釜内を大気圧より高い圧力にすることでなされる。もやしを封入したプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材の内部を真空にして、加圧しつつ加熱処理することで、むらなく加熱して水分の分離を促すことができる。なお、レトルト釜工程T2における取出工程T1後のもやしを加熱する処理が、本発明における加熱工程に対応する。
【0027】
次に、潰し工程T3において、もやしを粗い繊維状にする。もやしが封入されたプラスチックパウチ又はアルミパウチ包装材をたたいたり、その包装材にローラーをかけたりすることでもやしを潰して、粗い繊維状にほぐされたもやしを取得する。
【0028】
次に、撹拌工程T4において、ナイロン包装袋から取り出したもやしをさらにほぐす。本工程では、回転式の特殊カッター(本発明でいう、撹拌部材)が設けられた撹拌装置が用いられる。特殊カッターは、サイレントカッターのような一般の切断装置に用いられるものと比べて刃がもやしを切断しにくいように特殊な加工が施されている。この装置を用いて、カッターを回転させる時間と速さを調整しつつもやしを撹拌することにより、もやしを適切に繊維状にすることができる。また、上記のような特殊カッターを用いることで、もやしの繊維が必要以上に短くなりにくい。撹拌装置による撹拌後、もやしを脱水する。具体的には、撹拌装置による撹拌後のもやしを脱水用の袋体に入れ、袋体を食品用の脱水装置に設置する。そして、脱水装置を作動させ、袋体内のもやしを脱水する。本工程において、取出工程T1前のもやしの45~55%程度の重量となるようにもやしを脱水する。なお、潰し工程T3及び撹拌工程T4におけるもやしをほぐして繊維状にする処理が、本発明の繊維化・脱水工程における繊維化工程に対応する。また、撹拌工程T4におけるもやしを脱水する処理が、本発明の繊維化・脱水工程における脱水処理に対応する。
【0029】
取出工程T1前のもやしの45~55%の重量となるようにもやしを脱水することで、肉様食品の離水防止に対してより効果的な網目構造の繊維状のもやしを取得することができる。つまり、細かくなったもやしの繊維が、おからともやしを混合した際に、和紙のように均一におからに絡まり、繊維からおからが漏れにくくなる。さらに、もやし由来の水分が抑えられるので、離水が発生しにくい。
【0030】
本実施形態に係る以上の工程においては、原料合計1000質量部に対し、おから150~250質量部、こんにゃく粉15~25質量部、図2の加工を施したもやし120~200質量部、水420~540質量部、糖類25~35質量部、食用油脂25~35質量部を使用することが好ましい。その他、つなぎ材として澱粉を用いる場合は38~52質量部、野菜のペースト液として人参を用いる場合は27~37質量部をそれぞれ使用することが好ましい。
【0031】
以上説明した実施形態によると、図2に示す加工を施したもやしを使用することで、以下の通り、まとまりをもたせつつ離水が発生しにくい、肉らしい噛み応えのある肉様食品が実現する。まず、レトルト釜工程T2において加熱することでもやしを軟化する。その後、潰し工程T3及び撹拌工程T4でほぐして繊維状にしたもやしを、図1のもやし混合工程S4において他の原料と混合する。これにより、おから等の原料が繊維状にしたもやしに絡まり、肉様食品からおから等が漏れにくくなる。また、繊維状にしたもやしとおからが各原料から出た水分を吸収し、繊維状にしたもやしとおからが水分を保つ。よって、おから等にからみついた繊維状のもやしが肉様食品としてのまとまりを持たせつつ離水が発生しにくくなり、肉様食品のぱさつきが軽減されて弾力も確保される。また、繊維状にしたもやしは、肉の筋原線維のような食感を生じさせ、肉様食品に「肉らしい噛み応え」を与える。
【0032】
以下、上述の実施形態に係る実施例について説明する。本実施例では、以下の条件で上述の実施形態に係る製造方法を実施した。図1の粉砕工程S1においては、原料の総重量に対して、19.8%程度のおからを砕く。こんにゃく粉混合工程S2においては、粉砕工程S1後のおからに、原料の総重量に対して、こんにゃく粉、馬鈴薯澱粉、及び水合計50.7%程度を加えて高速撹拌により1分間半程度混ぜ合わせる。調味工程S3においては、こんにゃく粉混合工程S2後の混合物に、原料の総重量に対して、香辛料、野菜のペースト液、及び色素合計8.4%程度を加える。香辛料としては、チリパウダー、ローリエパウダー、ホワイトペッパー、酵母エキス、塩、及び糖類を使用した。野菜のペースト液としては、人参ペースト及びおろしにんにくを使用した。色素としては、ベニコウジ色素及びカラメル色素を使用した。
【0033】
もやし混合工程S4においては、調味工程S3後の混合物に、原料の総重量に対して、加工されたもやし及び味噌合計14.7%程度加えて、高速撹拌により2分間程度混ぜ合わせた。油脂混合工程S5おいては、もやし混合工程S4後の混合物に、原料の総重量に対して、食用油脂3%程度加えて、高速撹拌により2分間程度混ぜ合わせた。凝固工程S6においては、油脂混合工程S5後の混合物に、原料の総重量に対して、消石灰及び水合計3.4%程度を加えて、高速撹拌により2分間半程度混ぜ合わせた。冷凍工程S8後、保存工程S9において、冷凍、チルド、又は直射日光を避けた常温で保存した。
【0034】
また、もやしの脱水の程度を適正化するため、撹拌工程T4において脱水の程度を様々に変更しつつもやしを脱水し、それぞれのもやしについて上述の実施形態に基づき肉様食品を製造した。その結果、不要部を取り除く取出工程T1前のもやしの重量に対し、55%を超える重量のもやしを使用した場合には、冷凍後解凍した肉様食品において、保存状況等に応じ、離水が目立つ場合が発生した。また、取出工程T1前のもやしの重量に対し、45%未満の重量となるもやしを使用した場合には、肉様食品から弾力が失われ、硬質的な素材となりやすかった。したがって、もやしの脱水の程度は、取出工程T1前のもやしの重量に対し、45~55%の範囲内であることが好ましいことが判明した。
【0035】
(変形例)
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。以下、上述の実施形態に係る変形例について説明する。
【0036】
上述の実施形態では、油脂混合工程S5において、もやし混合工程S4後の混合物に食用油脂をいれて高速で混ぜ合わせる。しかし、油脂は使用しなくてもよいし、調味工程S3等の他の工程で、油脂と他の原料とを混合してもよい。
【0037】
上述の実施形態では、保存工程S9後、切断工程S10を行っている。しかし、必要な形状に切断後、保存してもよい。
【0038】
上述の実施形態では、レトルト釜工程T2において、レトルト釜でもやしを加熱しているが、ボイルすることで加熱してもよい。
【0039】
上述の実施形態では、潰し工程T3及び撹拌工程T4において、もやしを繊維状にほぐしている。しかし、もやしをほぐす工程はどちらか一方のみでもよい。
【0040】
上述の実施形態では、撹拌工程T4において、もやしをほぐしつつ脱水する。しかし、もやしをほぐす工程と脱水工程を別に行ってもよい。例えば、潰し工程T3でもやしをほぐし、さらしを使ってもやしを絞ってもよい。また、もやしをほぐす工程と脱水工程のどちらを先に行ってもよい。
【0041】
上述の実施形態では、撹拌工程T4において、取出工程T1前のもやしの45~55%程度の重量となるようにもやしを脱水する。しかし、もやしは、45%未満の重量に脱水してもよい。もやしの脱水の程度が高いほど硬質な肉様食品が実現する。
図1
図2