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▶ 沖本 哲典の特許一覧

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  • 特開-ジョイントルアー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064570
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ジョイントルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/18 20060101AFI20220419BHJP
   A01K 85/16 20060101ALI20220419BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A01K85/18
A01K85/16
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173278
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】520400209
【氏名又は名称】沖本 哲典
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖本 哲典
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】魚体として揺動の可動域の調整を行えるジョイントルアーを提供する。
【解決手段】複数の分割体11、12及び13により魚体を模した本体10を構成する。連結部材20により、分割体11、12及び13を揺動可能に連結する。また、芯材30の一端を、連結される一方の分割体の対向面に装着し、他端を、連結される他方の分割体の対向面に装着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割体により魚体を模した本体を構成するジョイントルアーであって、
前記分割体を揺動可能に連結する連結部材と、
一端が、前記連結される一方の分割体の対向面に装着され、他端が、前記連結される他方の分割体の対向面に装着される芯材と、
を有することを特徴とするジョイントルアー。
【請求項2】
請求項1に記載のジョイントルアーにおいて、
前記分割体の対向面の、前記芯材が装着される部分に孔部を設け、前記孔部に前記芯材の端部を収容して装着することを特徴とするジョイントルアー。
【請求項3】
請求項2に記載のジョイントルアーにおいて、
前記孔部内に、スリーブを装着することを特徴とするジョイントルアー。
【請求項4】
請求項2及び3のいずれか1項に記載のジョイントルアーにおいて、
前記芯材は、複数本の耐食性ワイヤーを束ねたワイヤーロープであることを特徴とするジョイントルアー。
【請求項5】
請求項1、2、3及び4のいずれか1項に記載のジョイントルアーにおいて、
前記連結部材は、前記一方の分割体に固定される軸体と、前記他方の分割体に装着される軸受体とを備え、
前記軸受体は、前記軸体が挿通される軸受部を有し、
前記軸体は、前記軸受部に挿通した状態で前記分割体に装着されること
を特徴とするジョイントルアー。
【請求項6】
請求項1、2、3及び4のいずれか1項に記載のジョイントルアーにおいて、
前記連結部材は、前記一方の分割体に固定される軸体と、前記他方の分割体に装着される軸受体とを備え、
前記軸受体は、前記軸体が挿通される軸受部を有し、
前記一方の分割体の前記対向面には、前記軸受部を収容する収容部を設け、
前記軸体は、前記収容部内において前記軸受部に挿通した状態で前記分割体に装着されること
を特徴とするジョイントルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに使用するルアーに係り、特に、本体を複数に分割した分割体を隣接面で揺動可能に連結して構成されるジョイントルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
魚の形状に似せたルアー本体を、対象魚が好む餌の動きに似せるため、擬餌である魚体を揺動させるジョイントルアーが知られている。例えば、ルアー本体を頭部と尾部とに分割し、頭部と尾部とをスクリューアイのような連結部材で連結して、頭部に対して尾部が揺動するようにしたジョイントルアーが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-229910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すようなジョイントルアーの場合、所定形状の連結部材で頭部と尾部を相互に連結する構造であるため、頭部に対して尾部が揺動する範囲、すなわち可動域も予め決まる。そのため、状況に応じて可動域を大きくしたり小さくしたり調整することができない。
【0005】
本発明は、模擬魚体として揺動の可動域の調整を行えるジョイントルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、複数の分割体により魚体を模した本体を構成するジョイントルアーに係る多様な解決手段を示す。一形態としては、分割体を揺動可能に連結する連結部材と、一端が、連結される一方の分割体の対向面に装着され、他端が、連結される他方の分割体の対向面に装着される芯材と、を有することを特徴とするジョイントルアーを開示する。
【0007】
さらに、本願は、上述したジョイントルアーにおいて、連結部材は、一方の分割体端部に固定される軸体と、他方の分割体に装着される軸受体とを有し、軸体が、軸受体の軸受部に挿通した状態で分割体に装着される構造であるジョイントルアーを開示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、連結部材により揺動可能に連結されると共に、芯材も装着されるため、模擬魚体として揺動の可動域の調整を行えるジョイントルアーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るジョイントルアーの外観を示す正面図である。
図2図2は、本体を構成する分割体の連結部分の外観を示す上面図である。
図3図3は、分割体(頭部)と分割体(胴部)との対向する連結部分を示し、図3Aは頭部の右側面図、図3Bは胴部の左側面図である。
図4図4は、分割体(頭部)と分割体(胴部)との対向する連結部分を示し、図4Aは頭部の部分断面図、図4Bは胴部の部分断面図である。
図5図5は、分割体(頭部)と分割体(胴部)との連結状態を示す部分断面図である。
図6図6は、連結部分に用いられる連結部材の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るジョイントルアーの外観を正面から見た状態を示す。また、図2は、本体を構成する分割体の連結部分の外観を上面から見た状態を示す。本実施形態のジョイントルアーは、複数の分割体11、12及び13により魚体を模した本体10を構成する。また、本実施形態のジョイントルアーは、分割体11、12及び13を揺動可能に連結する連結部材20と、一端が、連結される一方の分割体の対向面に装着され、他端が、連結される他方の分割体の対向面に装着される芯材30と、を有する。なお、3個の分割体11、12及び13について、説明の便宜上、頭部11、胴部12及び尾部13と称することとする。
【0012】
頭部11、胴部12及び尾部13は、順次並べることにより、全体として餌となる魚体を模している。本体10は、本実施形態では、3分割しているが、分割数は限定されない。例えば、2分割、4分割としてもよい。また、図2に示すように、頭部11と胴部12とは、対向面14aと対向面14bとが対向する。一方、胴部12と尾部13とは、対向面15aと対向面15bとが対向する。対向面14b、15a及び15bは、外側に凸の湾曲面に形成してある。対向面14aは、この実施形態では、波形に形成してある。これにより、連結部での水流の乱れの差が生じ、頭部11側と尾部13側での揺動の態様に差異が生じることが期待できる。もちろん、対向面14aも、外側に凸の湾曲面に形成してもよい。
【0013】
頭部11、胴部12及び尾部13は、本実施形態では木製品である。材料は、これに限られない。外観には、餌の魚体を模した着色、模様を施すことができる。また、頭部11、胴部12及び尾部13には、図1に示すように、釣り糸等を結ぶためのアイ19が設けてある。針を取り付けてもよい。
【0014】
本体10は、用途に応じて様々な形態、大きさとすることができる。本実施形態では、連結した状態で、例えば、アイ19を除き、全長27cm程度の大きさとしてある。
【0015】
次に、頭部11と胴部12との連結部分の構造について、さらに、図3A図3B図4A及び図4Bを参照して説明する。なお、胴部12と尾部13との連結部分については、図2に示すように、同様の構造であるため、説明を省略する。
【0016】
図3Aに示すように、頭部11の胴部12との対向面14aに、軸受体21が上下に2箇所設けられる。ここで用いる軸受体21は、例えば、図6に示すような構造のものを用いることができる。軸受体21は、軸受部22と一体に設けられるネジ部24とにより構成される。軸受部22には、後述する軸体25が貫通する貫通孔23が設けられている。貫通孔23は、軸体25を貫通することができる直径を有する。なお、軸受体21としては、図6に示す構造のものに限らず、軸体25を軸として回動可能な部材であればよい。例えば、スクリューアイ、U字金具等を用いることができる。
【0017】
この軸受体21は、頭部11の対向面14aにネジ部24をねじ込むことにより固定される。対向面14aから軸受部22が突出する状態となる。図3Aでは、軸受部22が見えている状態である。なお、軸受体21は、軸体25を挿通することができるように、貫通孔23の軸が、対向面14aの上下方向に揃うように固定する。
【0018】
対向面14aの中央には、孔部18を設けている。この孔部18には、芯材30を装着する。孔部18は、例えば、円筒形状に形成される。もちろん、形状はこれに限定されない。また、この孔部18には、スリーブ35を、圧入等により装着してある。孔部18の開口部にテーパーを設けてもよい。
【0019】
スリーブ35は、例えば、底部を湾曲させた有底金属円筒により構成される。具体的には、耐食性、耐摩耗性の優れた材料、例えば、ステンレスにより形成される。本実施形態の場合、1.5cm程度の深さとしてある。スリーブ35の形状、大きさ等は、これに限定されない。例えば、底部の形状を湾曲させずに平底としてもよい。また、スリーブ35は開口部分にフランジを設けてもよい。スリーブ35を装着することにより、芯材30の動きにより分割体が削られることを防いでいる。
【0020】
図3Bに示すように、胴部12の頭部11との対向面14bの、対向面14aの孔部18に対応する位置に、同様の構造の孔部18を設けている。この孔部18にも、スリーブ35を装着する。この孔部18に、芯材30の他端側が装着される(図5参照)。これにより、芯材30が頭部11と胴部12とに装着される。同様にして、胴部12と尾部13についても、芯材30を装着する。
【0021】
芯材30は、耐食性、弾性、剛性の優れた素材、例えば、ステンレスの複数本のワイヤーを束ねたワイヤーロープを用いる。芯材30は、1本のワイヤーを用いてもよい。芯材30は、分割体を連結した状態で、両端がスリーブ35内に装着できる長さとする。本実施形態では、3cmの長さとしている。また、本実施形態では、分割体を連結した状態で、対向するスリーブ35の底部間の距離(1.5cm+対向面間の距離d+1.5cm)は、芯材30の長さ(3cm)よりも長く、遊びを持たせてある。これにより、芯材30の両端部がスリーブ35の底部に干渉して連結部材20の回動が過度に妨げられないようにしている。もちろん、これに限定されない。また、芯材30については、必要に応じて、本数、長さ、太さ、弾性、剛性等を変更することができる。
【0022】
また、図3Bに示すように、対向面14bの、対向面14aの軸受体21に対応する位置に、軸受部22を収容する収容部17を設けている。この収容部17は、図2及び図5に示すように、対向面14bにおいて開口し、軸受部22を回動可能に収容できる幅、高さ及び奥行きを有する空間として構成してある。
【0023】
胴部12の上面側及び下面側において、それぞれ収容部17を貫いて、軸孔16を設けている。軸孔16には、軸体25の軸部27が挿通される。軸部27の先端側はネジ部28が設けてある。図5に示すように、軸孔16に軸部27を挿通し、ネジ部28により軸孔16に固定する。固定時には、ネジ頭部26をドライバにより回転させて締め付ける。
【0024】
分割体を連結部材20により連結する際、上に述べたように、頭部11と胴部12とに、及び、胴部12と尾部13とに、芯材30をそれぞれ装着しておく。また、軸体25を軸孔16に挿通する際には、図5において示すように、予め、軸受体21の軸受部22を収容部17に挿入しておく。ここで、貫通孔23と軸孔16とが同軸となるように、位置決めしておく。この状態で、胴部12の上部側に示すように、軸孔16に軸体25の軸部27を挿通する。図5では差し込んだ段階を示す。一方、胴部12の下部側に示すように、貫通孔23に、軸部27の先端側を挿通させて、ネジ部28により固定する。このようにして連結したものが、図1に示すような本体10となる。
【0025】
本実施形態のジョイントルアーは、使用時に、アイ19に釣り糸、釣り針等を取り付けて、水中に投下することにより、擬餌として働く。水中では、頭部11、胴部12、尾部13のそれぞれに水流が作用する。その際、例えば、頭部11と胴部12とへの水流の作用の違いにより、頭部11に装着した軸受体21の軸受部22が、胴部12の収容部17において、軸体25を中心として回動して、本体10を揺動する。
【0026】
この際、頭部11と胴部12とにわたって設けられている芯材30が、頭部11に対する胴部12の揺動を抑制するように作用する。すなわち、連結部材20の揺動の可動域の範囲内で、芯材30によって揺動の可動域が制限される。また、芯材30の本数、長さ、太さ、弾性、剛性等を変更することで、揺動の可動域や、揺動の態様(例えばアクションの柔軟性、俊敏性など)を自由に調整することができる。胴部12に対する尾部13の揺動についても同様である。
【0027】
また、本実施形態では、胴部12及び尾部13内に収容されている軸体25を中心として、軸受体21が回動する構成となっている。そのため、回動の半径を小さくすることができている。これも、過大な揺動を抑制することに貢献している。
【0028】
本願において開示される解決手段としては、以上に述べた実施形態に限られない。多様な形態に展開可能である。以下、例示する。
【0029】
上記実施形態では、分割体間で連結部材20を2本用いているが、1本でもよい。また、頭部11と胴部12との間では、連結部材20を2本、胴部12と尾部13との間では、連結部材20を1本のように、部位によって連結部材20の設置本数を変えてもよい。また、芯材の材質、本数、束ね方等の構成を変更してよい。
【0030】
また、上記実施形態では、それぞれ連結部材に対応させて、個別に軸体25を用いている。しかし、これに限定されない。例えば、軸孔16を胴部12の上面から下面まで貫通させて、軸孔16に軸体25を貫通させて、ナットで固定する構成としてもよい。一本の軸体25で、2ないし複数本の連結部材20の回動の軸として作用する構成としてもよい。
【0031】
さらに、上記実施形態では、芯材30を分割体間で1本用いているが、孔部18を複数設けて、芯材30を複数本としてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…本体、11…分割体(頭部)、12…分割体(胴部)、13…分割体(尾部)、16…軸孔、
17…収容部、18…孔部、
20…連結部材、21…軸受体、22…軸受部、23…貫通孔、24…ネジ部、25…軸体、
26…ネジ頭部、27…軸部、28…ネジ部、
30…芯材、35…スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6