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特開2022-64574能力トレーニングカード、システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064574
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】能力トレーニングカード、システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 3/02 20060101AFI20220419BHJP
   G09B 1/32 20060101ALI20220419BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20220419BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20220419BHJP
【FI】
G09B3/02
G09B1/32
G09B7/02
A63F13/80 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173284
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】320010848
【氏名又は名称】伊藤 博
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA11
2C028BA05
2C028BB01
2C028BC01
2C028BD02
2C028CA01
2C028CA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】図柄そのものを強く印象づけて、注意力・推論力・記憶力などの基礎的な能力とともに、特に、図面読解力等の技術者の実務遂行能力についても向上させることができる、さらに進化した「間違い探し」のカード、システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】正解図柄13が表示される正解カード2と、相違図柄15a、b、cが表示される複数枚の相違構成カード4a、b、cで構成される相違カード4を備えている。相違構成カード4aの表面に、相違図柄15aが表示されている。相違図柄15aは、正解図柄13に、正解図柄13と異なる図柄である基礎相違パート17aを重ね合わせたものである。相違パート17a、b、cは、相違構成カード4a、b、cごとに逐次増加し、正解図柄13と、相違図柄15a、b、cとを見比べて、相違カードを定められた順番に並べることにより、能力を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正解図柄が表示される正解カードと、
相違図柄が表示される複数枚の相違構成カードで構成される相違カードと、を備え、
前記相違図柄は、前記正解図柄の一部の領域を、前記正解図柄と異なると認識できる相違パートに置き換えた図柄であり、前記相違パートは、前記相違構成カードごとに逐次増加し、
前記正解図柄と、前記相違図柄とを見比べて、前記相違カードを定められた順番に並べることにより、能力を向上させることができることを特徴とする能力トレーニングカード。
【請求項2】
前記正解図柄は、立体形状が認識できる正解斜視図柄、または、前記正解斜視図柄が表示される面の裏面に表示され、前記正解斜視図柄と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解平面図柄であり、
前記相違図柄は、立体形状が認識できる相違斜視図柄、または、前記相違斜視図柄が表示される面の裏面に表示され、前記相違斜視図柄と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違平面図柄であり、
前記正解斜視図柄と、前記相違平面図柄を見比べて、前記相違カードを定められた順番に並べることにより、あるいは、前記正解平面図柄と、前記相違斜視図柄を見比べて前記相違カードを定められた順番に並べることにより能力を向上させることができることを特徴とする請求項1に記載の能力トレーニングカード。
【請求項3】
使用者の能力を向上させることができるトレーニングをするための能力トレーニングシステムであって、
情報処理を行う演算手段と、
図柄データを格納する格納手段と、
前記図柄データの内容を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段に表示させる内容は、
正解図柄と、複数の相違構成図柄で構成される相違図柄とを含み、
前記相違図柄は、前記正解図柄の一部の領域を、前記正解図柄と異なると認識できる相違パートに置き換えた図柄であり、前記相違パートは、前記相違構成図柄ごとに逐次増加し、
前記表示手段に表示された前記相違図柄を所定の領域に移動させる移動手段をさらに備え、
前記表示手段に表示された前記正解図柄と、前記相違図柄を見比べて、前記移動手段からの入力に応答して前記相違図柄を定められた順番に並べることを特徴とする能力トレーニングシステム。
【請求項4】
前記正解図柄は、立体形状が認識できる正解3DCAD図、または前記正解3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解2DCAD図であり、前記相違図柄は、立体形状が認識できる相違3DCAD図、または前記相違3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違2DCAD図であり、
前記正解3DCAD図と前記正解2DCAD図の表示を切り替えるかまたは、前記相違3DCAD図と前記相違2DCAD図の表示を切り替える切替手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の能力トレーニングシステム。
【請求項5】
前記格納手段に、前記定められた順番を示した正解データをさらに格納させ、前記演算手段は、前記正解データに基づいて、前記相違図柄の移動の正否を判断し、前記正否を出力することを特徴とする請求項3または4に記載の能力トレーニングシステム。
【請求項6】
使用者の能力を向上させることができるトレーニングをコンピュータに実行させるための能力トレーニングプログラムであって、
演算手段によって情報処理を行う演算ステップと、
図柄データを格納手段に格納する格納ステップと、
図柄データの内容を表示手段に表示させる表示ステップと、を備え、
前記表示手段に表示させる内容は、正解図柄と、複数の相違構成図柄で構成される相違図柄とを含み、
前記相違図柄は、前記正解図柄の一部の領域を、前記正解図柄と異なると認識できる相違パートに置き換えた図柄であり、前記相違パートは、前記相違構成図柄ごとに逐次増加し、
前記表示手段に表示された前記相違図柄を移動手段によって所定の領域に移動させる移動ステップをさらに備え、
前記表示手段に表示された前記正解図柄と、前記相違図柄を見比べて、前記移動手段からの入力に応答して前記相違図柄を定められた順番に並べることを特徴とする能力トレーニングプログラム。
【請求項7】
前記正解図柄は、立体形状が認識できる正解3DCAD図、または前記正解3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解2DCAD図であり、前記相違図柄は、立体形状が認識できる相違3DCAD図、または前記相違3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違2DCAD図であり、
前記正解3DCAD図と前記正解2DCAD図の表示を切り替えるかまたは、前記相違3DCAD図と前記相違2DCAD図の表示を切り替える切替ステップを備えることを特徴とする請求項6に記載の能力トレーニングプログラム。
【請求項8】
前記格納ステップは、さらに、前記格納手段に、前記定められた順番を示した正解データを格納させるステップを備え、
さらに、前記正解データに基づいて、前記相違図柄の移動の正否を判断する判断ステップと、
前記正否を出力する出力ステップを備えることを特徴とする請求項6または7に記載の能力トレーニングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能力トレーニングをするためのカード、システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳のトレーニングを行うと、学習能力が向上するといわれている。具体的な効果として、子供の能力向上、脳の老化予防、認知症予防が期待できる。研究機関で実施した調査によると、脳のトレーニングができるパズル、例えばクロスワードパズルや数独に定期的に取り組んでいる人ほど、注意力・推論力・記憶力が優れているとの結果が出ている。
【0003】
幼児教育の現場では、2つの図柄を見比べて違うところを見つけるいわゆる「間違い探し」が、幅広い年齢のクラスで取り入れられており、多くの書籍が出版され、またアプリも数多く存在する。「間違い探し」は、記憶能力、集中力、情報処理能力などの様々な能力を向上させることができるという期待からである。さらに、脳の老化予防、認知症予防の効果を期待して高齢者向けの書籍についても出版されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-941号公報
【特許文献2】特開2003-210829号公報
【特許文献3】特開2004-121501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、「間違い探し」では、2つの図柄を見比べて違うところを見つけることのみに集中する傾向にあり、図柄そのものについては、さほど注目されず、強く印象づけられることは少ないと考えられる。また、2つの図柄を見比べて違うところを見つけるという比較的単純な動作のみで完了することから、長くやっていると飽きてしまうという問題があった。また、注意力・推論力・記憶力などの基本的な能力の向上を目指すものであることから、図面読解力等の実務的な能力を向上させることは考慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、前述した従来の問題を解決するものであり、図柄そのものを強く印象づけて、注意力・推論力・記憶力などの基礎的な能力とともに、特に、図面読解力等の技術者等の実務遂行能力についても向上させることができる、さらに進化した能力トレーニングのカード、システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、能力トレーニングカードであって、正解図柄が表示される正解カードと、相違図柄が表示される複数枚の相違構成カードで構成される相違カードを備え、相違図柄は、正解図柄の一部の領域を、正解図柄と異なると認識できる相違パートに置き換えた図柄であり、相違パートは、相違構成カードごとに逐次増加し、正解図柄と、相違図柄とを見比べて、相違カードを定められた順番に並べることにより、能力を向上させることができることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、正解カードと、相違カードを見比べて、相違構成カードのそれぞれについて相違パートを発見することを要することから、図柄そのものを強く印象づけることができる。また、相違カードを定められた順番に並べることを要することから、従来の間違い探しに比べて、より高度で複雑な手順となっており、記憶能力、集中力、情報処理能力などについて、より一層の能力向上が期待できる。さらに、複雑な手順を踏むので、容易に飽きることはない。ここで、「定められた順番に並べる」は、予め定められた規則に従って、順番に並べること、例えば、相違パートの数に応じて順番に並べること等、具体的には、相違パートの数が多い順番、または少ない順番に並べること等をいう。また、「能力」とは、「頭脳の力」、「学習能力」、「技術力などの実務遂行能力」を含むものである。
【0009】
好ましくは、正解図柄は、立体形状が認識できる正解斜視図柄、または、正解斜視図柄が表示される面の裏面に表示され、正解斜視図柄と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解平面図柄であり、相違図柄は、立体形状が認識できる相違斜視図柄、または、相違斜視図柄が表示される面の裏面に表示され、相違斜視図柄と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違平面図柄であり、正解斜視図柄と、相違平面図柄を見比べて、相違カードを定められた順番に並べることにより、あるいは、正解平面図柄と、相違斜視図柄を見比べて相違カードを定められた順番に並べることにより能力を向上させることができることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、正解カードには、立体形状が認識できる正解斜視図柄と、正解斜視図柄が表示される面の裏面に、正解斜視図柄と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解平面図柄が表示されている。また、相違カードは、立体形状が認識できる相違斜視図柄と、相違斜視図柄が表示される面の裏面に、相違斜視図柄と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違平面図柄が表示されている。正解斜視図柄と、相違平面図柄を見比べることで、また、正解平面図柄と、相違斜視図柄を見比べることで、平面図から立体形状を想起できるとともに、斜視図から平面図を想起できる能力が向上する。
【0011】
上記課題を解決するための他の態様の発明は、使用者の能力を向上させることができるトレーニングをするためのシステムであって、情報処理を行う演算手段と、図柄データを格納する格納手段と、図柄データの内容を表示する表示手段を備え、表示手段に表示させる内容は、正解図柄と、複数の相違構成図柄で構成される相違図柄とを含み、相違図柄は、正解図柄の一部の領域を、正解図柄と異なると認識できる相違パートに置き換えた図柄であり、相違パートは、相違構成図柄ごとに逐次増加し、表示手段に表示された相違図柄を所定の領域に移動させる移動手段をさらに備え、表示手段に表示された正解図柄と、相違図柄を見比べて、移動手段からの入力に応答して相違図柄を移動手段で定められた順番に並べることにより能力を向上させることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、前述した能力トレーニングカードの効果を、コンピュータを用いて実現できる。
【0013】
好ましくは、正解図柄は、立体形状が認識できる正解3DCAD図、または正解3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解2DCAD図であり、相違図柄は、立体形状が認識できる相違3DCAD図、または相違3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違2DCAD図であり、正解3DCAD図と正解2DCAD図の表示を切り替えるかまたは、相違3DCAD図と相違2DCAD図の表示を切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、正解3DCAD図と相違2DCAD図を見比べることにより、あるいは正解2DCAD図と相違3DCAD図とを見比べることによって相違箇所を発見することにより、複雑な立体形状の対象物を平面図で表す能力とともに、平面図からより複雑な立体形状を想起する能力を習得できる。
【0015】
好ましくは、格納手段に、定められた順番を示した正解データをさらに格納させ、演算手段は、正解データに基づいて、相違図柄の移動の正否を判断し、正否を出力することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、答え合わせの利便性が高まる。
【0017】
上記課題を解決するための他の態様の発明は、使用者の能力を向上させることができるトレーニングをコンピュータに実行させるための能力トレーニングプログラムであって、演算手段によって情報処理を行う演算ステップと、図柄データを格納手段に格納する格納ステップと、図柄データの内容を表示手段に表示させる表示ステップと、を備え、表示手段に表示させる内容は、正解図柄と、複数の相違構成図柄で構成される相違図柄とを含み、相違図柄は、正解図柄の一部の領域を、正解図柄と異なると認識できる相違パートに置き換えた図柄であり、相違パートは、相違構成図柄ごとに逐次増加し、表示手段に表示された相違図柄を移動手段によって所定の領域に移動させる移動ステップをさらに備え、表示手段に表示された正解図柄と、相違図柄を見比べて、移動手段からの入力に応答して相違図柄を定められた順番に並べることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、前述した間違い探しカードの効果を、コンピュータを用いて実現できる。
【0019】
好ましくは、正解図柄は、立体形状が認識できる正解3DCAD図、または正解3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した正解2DCAD図であり、相違図柄は、立体形状が認識できる相違3DCAD図、または相違3DCAD図と同一と認められる立体形状を平面図で表した相違2DCAD図であり、正解3DCAD図と正解2DCAD図の表示を切り替えるかまたは、相違3DCAD図と相違2DCAD図の表示を切り替える切替ステップを備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、正解3DCAD図と相違2DCAD図を見比べることにより、あるいは正解2DCAD図と相違3DCAD図とを見比べることによって相違箇所を発見することにより、複雑な立体形状の対象物を平面図で表す能力とともに、平面図からより複雑な立体形状を想起する能力を習得できる。
【0021】
好ましくは、格納ステップは、さらに、格納手段に、定められた順番を示した正解データを格納させるステップを備え、さらに、正解データに基づいて、相違図柄の移動の正否を判断する判断ステップと、正否を出力する出力ステップを備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、答え合わせの利便性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1における、間違い探しカードとそれを利用した間違い探し用具を説明する図である。
図2】同、(a)及び(b)は、正解図柄の具体例である。
図3】実施形態2における、間違い探しカードである。
図4】実施形態3における、間違い探しシステムの概要図である。
図5】同、間違い探しシステムの構成図である。
図6】同、間違い探しシステムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態1について、図1、2を参照して説明する。
【0025】
図1に示す通り、間違い探しゲーム用具100は、間違い探しカード1(能力トレーニングカード)と、升目8を備えている。間違い探しカード1は、正解カード2と、相違カード4を有している。正解カード2には、正解図柄13が描かれている。
なお、正解図柄13は、図1においてはイメージのみを示しており、必ずしも具体例を示すものではない。具体例については図2に示している。
【0026】
正解図柄13は、図2(a)に示すような写真としてもよいし、図2(b)に示すような斜視図としてもよい。さらに、絵画であっても、文章であってもよい。例えば、障害者の方々が描いた絵画を正解図柄13とすることで、障害者の方々への関心が高まり、障害者の方々の置かれた環境をより一層理解できるきっかけを作り得る。
【0027】
相違カード4は、3枚の相違構成カード4a、b、cを有している。相違構成カード4aの表面に、相違図柄15aが表示されている。相違図柄15aは、正解図柄13の一部の領域を、正解図柄13と異なる図柄である基礎相違パート17aに置き換えたものである。本実施形態1の基礎相違パート17aは1カ所であるが、複数個所設定してもよい。また、裏面(図示略)は、基礎相違パート17aを明示するとともに、基礎相違パート17aの個所数「1」を表示することが好ましい。
【0028】
相違構成カード4bは、相違図柄15bが表示されている。相違図柄15bは、正解図柄13の一部の領域を、基礎相違パート17aと、逐次相違パート17bに置き換えたものである。言い換えれば、相違図柄15aに逐次相違パート17bを重ね合わせたものである。裏面(図示略)は、基礎相違パート17a、逐次相違パート17bを明示するとともに、基礎相違パート17aの個所数に逐次相違パート17bの個所数を加算した個所数「2」を表示することが好ましい。
【0029】
相違構成カード4cは、相違構成カード4bとほぼ同じであるため、説明は省略する。相違パート17は、上述した基礎相違パート17aと、相違構成カードごとに増加する逐次相違パート17b、17cを有している。
【0030】
升目8は、相違カード4を載置するためのものであり、2行2列の合計4個の升9で構成されている。一つの升9の大きさは1個の相違カードを載置できる大きさとすることが好ましい。升9は複数行、複数列を有するとともに、数は、相違カード4の数3より多く設定されることが好ましい。
【0031】
間違い探しゲーム用具100を用いた能力トレーニングについて説明する。
【0032】
相違カード4を升目8に順不同に載置する。このとき升目8は、3個の相違カード4が載置された載置升9aと、1つの空升9bが存在する。正解カード2と、相違カード4を見比べて、それぞれの相違カード4について正解カード2と異なる部分の数を把握する。把握した結果に基づいて、相違カード4を空升9bに順次移動させることで、相違カード4の並ぶ順序を、相違パートの数が少ない順に並び替える。また、相違パートの数が少ない順に並び替えてもよい。相違カード4を裏返して正解カード2と相違する部分および個数を確認する。
【0033】
上述した通り、本実施形態1の間違い探しゲーム用具100を用いた能力トレーニングは、相違カード4の間違い箇所を把握するとともに、升目8を利用して相違カード4を正解カード2と異なる部分の数が少ない順に並び替える手順を踏む必要があることから、通常の間違い探しと比較して、正解図柄が何であったかを強く印象付けられる。また、間違い数を正確に覚えなければならないことから、記憶力がより一層高まり、高度のトレーニング効果が期待できる。
【0034】
実施形態2について、図3を参照して説明する。
【0035】
実施形態1の間違い探しカード1と、実施形態2の間違い探しカード201(能力トレーニングカード)には共通点が多いことから主に、相違点について説明する。
【0036】
間違い探しカード201は、正解カード202と相違カード204を有している。正解カード202の表面は、立体形状を表す斜視図である正解斜視図柄213が描かれている。また、裏面は、表面に描かれた斜視図と同一と認識できる立体形状の3面図である正解平面図柄223が描かれている。正解平面図柄223は、正解斜視図柄213の平面図、正面図、側面図の3種類の図が描かれている。本実施形態2では正解平面図柄223は、平面図、正面図、側面図の3面図としているが、複雑な立体形状で、3面図で表現することが困難なときは、正解平面図柄223を6面図とすることが好ましい。
【0037】
正解カード202で認識できる立体形状と、相違カード204で認識できる立体形状の相違は、上方に突設する部分の形状(円柱→四角柱)、下辺の面取りの有無、および左側面の面取りの有無の3カ所である。
【0038】
相違カード204は、3枚の相違構成カード204a、b、cを有している。相違カード204の表面に表示される相違パート217は、基礎相違パート217aと、相違構成カードごとに増加する逐次相違パート217b、217cを有している。また、相違カード204の裏面に表示される平面相違パート227は、基礎平面相違パート227aと、相違構成カードごとに増加する逐次平面相違パート227b、227cを有している。
【0039】
相違構成カード204aの表面は、相違斜視図柄215aが表示されている。相違斜視図柄215aは、正解斜視図柄213に、正解斜視図柄213と異なる図柄である基礎相違パート217aを重ね合わせたものである。
【0040】
相違構成カード204aの裏面は、相違平面図柄225aが表示されている。相違平面図柄225aは、相違斜視図柄215aと同一と認識できる立体形状を3面図で表したものであり、正解平面図柄223に基礎平面相違パート227aを重ね合わせたものである。
【0041】
相違構成カード204bに表示されている相違斜視図柄215bに含まれる逐次相違パート217bおよび相違平面図柄225bに含まれる逐次平面相違パート227b、並びに相違構成カード204cに表示されている相違斜視図柄215cに含まれる逐次相違パート217cおよび相違平面図柄225cに含まれる逐次平面相違パート227cについては、実施形態1の内容とほぼ同じであることから説明は省略する。
【0042】
間違い探しカード201を用いた能力トレーニングについて説明する。
【0043】
正解斜視図柄213が視認できる状態で、正解カード202を所定の場所に載置する。相違平面図柄225が視認できる状態で、相違カード204を正解斜視図柄213が視認できる位置に載置する。相違平面図柄225を視認して、相違平面図柄225と同一と認められる立体形状を想起して、正解斜視図柄213の斜視図で表される立体形状との相違箇所を認識する。相違箇所の少ない順に、相違カード204を並べていく。相違カード204を裏返して、正解カード202と比較する。
【0044】
正解カード202と、相違カード204の裏表を逆にして、相違箇所の少ない順に、相違カード204を並べてもよい。また、実施形態1のように、升目を使用して相違カードを並び替えてもよい。これにより、平面図から立体形状を、また立体形状から平面図を想起する能力を高めることができる。
【0045】
実施形態1、2において、間違い探しカードを用いたトレーニングについて説明したが、このトレーニングは間違い箇所の数を記憶したうえで、相違カードを所定の順番に並べる作業を行うことから、記憶力とともに、集中力や緻密さ、根気強さを高めることができる。また、斜視図と平面図を織り交ぜて間違い箇所を確認することから、図面から立体形状を想起する能力等の実務遂行能力を向上させることができる。
【0046】
実施形態3について、図4~7を参照して説明する。
【0047】
前述した実施形態1、2は、間違い探しカードを用いたトレーニングであり、少なくとも正解に至るまでの手順はコンピュータが不要であった。実施形態3は、コンピュータを用いたトレーニングが可能となる。
【0048】
図4は、コンピュータを用いた間違い探しシステム(能力トレーニングシステム)の一例を示している。間違い探しシステム300は、コンピュータ301に間違い探しプログラムがインストールされている。ディスプレイ302(表示手段)に表示される表示内容は、正解図柄313、相違図柄315および載置部331である。
【0049】
対象とするコンピュータに特に限定はないが、立体形状を表す3DCADデータを図面化して使用するため、CPU(演算手段353)は図面化処理能力・演算処理能力の高いものが好ましい。また、ディスプレイ302は、立体形状の細部が把握できるように、可能な限り大きい表示領域302aが確保できるものが好ましい。
【0050】
本実施形態3で表示される正解図柄313は、正解3DCAD図である。図示していないが、実施形態2の正解斜視図柄213とほぼ同じ立体形状を表す3DCAD図である。相違図柄315は、相違2DCAD図である。図示していないが、実施形態2の相違平面図柄225とほぼ同じ立体形状を表す2DCAD図である。なお、正解図柄313を正解2DCAD図とし、相違図柄315を相違3DCAD図としてもよい。さらに、正解図柄313、相違図柄315をそれぞれ、正解3DCAD図、相違3DCAD図としても、正解2DCAD図、相違2DCAD図としてもよい。
【0051】
ディスプレイ302に表示される正解3DCAD図と、正解2DCAD図は、マウス303を操作することで切り替えが可能である。また、相違3DCAD図と相違2DCAD図も同様である。
【0052】
正解3DCAD図、相違3DCAD図はマウス303を操作することで、縦・横・斜めに回転可能である。これにより同一と認識できる立体形状を、視点を変えて確認できる。
【0053】
図5に示す通り、演算手段353により各種情報処理が行われる。移動手段354(入力手段、例えば、マウス303、キーボード、携帯画面等)を操作することにより、相違図柄を移動させる。切替手段355(マウス303)を操作することにより、正解3DCAD図と正解2DCAD図の表示を切り替えるとともに、相違3DCAD図と相違2DCAD図の表示を切り替える。表示手段352(ディスプレイ302)に出力結果が出力される。RAM(格納手段356)には、図柄データ357および正解データ358が格納され、ROM(格納手段356)には、プログラムが格納されている。格納手段、演算手段、表示手段、移動手段等を相互に接続する入出力インターフェースも備えている。音声出力装置と接続するようにしてもよい。
【0054】
図6は、間違い探しシステム300のフローチャートを示している。間違い探しシステムは、間違い探しプログラムを実行させて使用される。本実施形態3では、本発明を間違い探しシステムとして説明するが、図6に示したフローチャートの流れは、間違い探しプログラムがコンピュータに実行させる情報処理のステップを含めたものである。したがって、本実施形態3で説明する間違い探しシステムによる情報処理の内容は、間違い探しプログラムがコンピュータに実行させる内容でもある。
【0055】
間違い探しシステム300を用いた能力トレーニングについて説明する。間違い探しシステム300を用いた能力トレーニングは、間違い探しカード201を用いた能力トレーニングとほぼ同じであるので、主に相違点について説明する。
【0056】
使用者は、処理がスタートすると、最初にマウス303の操作により問題を選択する(図6のステップ360)。図4は、問題が表示された状態を示している。具体的には、ディスプレイ302の上端部に正解図柄313、中間部に載置部331、下端部に相違図柄315が配置されている。載置部331は、マウス303の操作によって移動した相違図柄315を載置するためのものである。初期設定では正解図柄313は3DCAD図、相違図柄315は2DCAD図となっているが、マウス303(切替手段)を操作することで適宜変更できる。
【0057】
使用者は、ディスプレイで、正解図柄313と相違図柄315を比較する中で、相違図柄315と同一と認識できる立体形状、または正解図柄313と同一と認識できる平面図を想起する(図6のステップ361)。
【0058】
正解図柄と相違図柄で想起される立体形状の相違箇所を確認し(図6のステップ362)、マウス操作によって相違図柄を相違箇所の少ない順番に載置部331に並べる(図6のステップ363)。並べる順番を適宜変更して完成に至る(図6のステップ364)。相違点を比較、確認する過程において、使用者は平面図の読み方を習得するようになり、図面読解力の向上が図れる。
【0059】
演算手段353が、正解データ358と、相違図柄315が並べられた順番を比較して、順番の正否を判断する(図6のステップ365)。正否判断の結果は、演算手段353により出力されディスプレイ302に表示される(図6のステップ366)。また、マウス303の操作によって、正解図柄313、相違図柄315のいずれかの表示を切り替えることで、3DCAD図または2DCAD図同士で相違点を確認できる。表示が終了すると、処理は終了する。
【0060】
本実施形態1~3は、例示であり、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、インターネットを介してサーバーからプログラム、図柄データ、および正解データをユーザー端末に格納して、ユーザー端末で間違い探しの能力トレーニングを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る間違い探しカード、システムおよびプログラムは、幼児教育、認知症の予防に利用することができる。さらに、図面読解力の向上等の実務遂行能力の向上にも寄与するものである。このように、幅広い利用が可能であることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0062】
1、201:間違い探しカード(能力トレーニングカード)
2、202:正解カード
4、204:相違カード
13、213、223、313:正解図柄
15、215、225、315:相違図柄
300:間違い探しシステム(能力トレーニングシステム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6