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特開2022-64586易裂性アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法及び包装用フィルム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064586
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】易裂性アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法及び包装用フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20220419BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220419BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220419BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20220419BHJP
   B32B 15/09 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B3/30
B32B15/08 M
B32B15/20
B32B15/09 Z
B32B15/09 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173301
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】391009408
【氏名又は名称】加川 清二
(71)【出願人】
【識別番号】000123631
【氏名又は名称】加川 敦子
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】加川 清二
(72)【発明者】
【氏名】加川 洋一郎
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB51
3E086BB90
3E086CA01
3E086DA08
4F100AB10B
4F100AK42A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100DD05A
4F100DD08A
4F100EH66B
4F100EJ34A
4F100EJ40A
4F100GB15
4F100HB31C
4F100JK03A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】 酸素や湿気等の透過を完全に遮断しつつ、任意の箇所から容易に引き裂くことができ、かつ印刷層を備える包装用フィルムに好適に使用できる易裂性アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法、及び易裂性アルミニウム蒸着フィルムを用いた包装用フィルムを提供する。
【解決手段】 鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムと、プラスチックフィルムの未貫通孔を有する側の面及び未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなるアルミニウム蒸着層とを有する易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなるアルミニウム蒸着層とを有することを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記未貫通孔が前記プラスチックフィルムの厚さの40~80%に相当する平均深さ及び90%以下に相当する最大深さを有することを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記未貫通孔の平均孔径が15~40μmであり、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項4】
請求項3に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面の1 cm×1 cmの任意の領域における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記プラスチックフィルムの厚さが9~25μmであることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、前記アルミニウム蒸着層の平均厚さが40~100 nmであることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記未貫通孔の孔径分布が10~60μmの範囲内であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
各未貫通孔と隣接する最も近い未貫通孔との間の距離が30μm以下であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、前記プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムと、
前記易裂性アルミニウム蒸着フィルムの前記未貫通孔が形成されていない側の面に形成された印刷層と、
前記易裂性アルミニウム蒸着フィルムの前記未貫通孔が形成された側の面に形成されたヒートシール層とを有する包装用フィルム。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムを製造する方法であって、
鋭い角部を有する多数の高硬度微粒子をロール本体の表面にランダムに有するパターンロールと、金属ロールとの隙間にプラスチックフィルムを通過させ、前記高硬度微粒子により前記プラスチックフィルムに多数の未貫通孔を形成し、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してアルミニウム蒸着層を形成することを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記高硬度微粒子のロール面での平均粒径が15~40μmであり、
前記パターンロールのロール面における前記高硬度微粒子の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記パターンロールのロール面の1cm×1cmの任意の領域における前記高硬度微粒子の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記パターンロールの高硬度微粒子の粒径分布が10~60μmの範囲内であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記パターンロールの高硬度微粒子と隣接する最も近い高硬度微粒子との間の距離が30μm以下であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易裂性アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法、及び易裂性アルミニウム蒸着フィルムを用いた包装用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒー、粉ミルク、お茶等の乾燥食品は、酸素や湿気から防ぐためにシール性の良い包装用フィルム等で包装されている。包装用フィルム300は、例えば図16に示すように、強度を確保するためのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム301と、印刷層302と、アルミニウム蒸着層303と、ヒートシール層304とからなる。図17に示すように、包装用フィルムの袋310には引き裂き開始用のノッチ311が形成されていることが多い。
【0003】
しかし、PETフィルムに設けられたアルミニウム蒸着層、ヒートシール層及び印刷層のために、ノッチ311があってもアルミニウム蒸着フィルムを引き裂くのは容易でないことが多い。特に、ヒートシール部312では厚さが二倍であるので、ヒートシール部312の外側に設けられたノッチからの引き裂きはヒートシール部で止められることが多い。
【0004】
特開平7-165256号(特許文献1)は、平均開口径が0.5~100μmの貫通孔または未貫通孔が1000個/cm2以上の密度で全面に形成されたポリエステル、ナイロンまたは配向性ポリプロピレンからなる多孔質フィルムの片面に熱融着性高分子フィルムを積層した易裂性プラスチックフィルムを開示している。しかし、この易裂性プラスチックフィルムは貫通孔を有することがあるので、酸素や湿気の透過を完全に遮断しなければならないような用途には利用できないという問題がある。
【0005】
未貫通孔を形成したプラスチックフィルムとして、特開平10-193454号(特許文献2)は、無機フィラーを配合したポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚さ5~150μmのチューブラーフィルムの内面及び外面のいずれか一方又は両方に、コロナ放電処理を施し、かつ前記チューブラーフィルムの少なくとも一部にエンボス加工を施した機能性ポリオレフィン系チューブラーフィルムを開示している。エンボス深さ(JIS B0601に準拠して測定)はフィルム厚さの1/2~1/10であり、エンボスの紋の大きさは通常0.5~300 mmである。しかし、このエンボスは大きすぎるので、プラスチックフィルムの外観を損ねる。また、微細なエンボスを形成しようとすると、微細な突起を多数有するエンボスロールを作製しなければならないが、そのようなエンボスロールは非常に高価であるので、形成されるエンボスフィルムは高価にならざるを得ない。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明者は先に特開2018-118781号(特許文献3)により、図18に示すように、鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧によりプラスチックフィルム400の一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔200aを有し、未貫通孔200aがプラスチックフィルム400の厚さの40~80%に相当する平均深さ及び90%以下に相当する最大深さを有し、未貫通孔200aの平均孔径が20~100μmであり、未貫通孔200aの分布密度が500~40,000個/cm2である易裂性プラスチックフィルム401を提案している。
【0007】
特許文献3はさらに、図19に示すように、易裂性プラスチックフィルム401の背面(未貫通孔200aが形成されていない側)に印刷層302、ガスバリア層303及びヒートシール層304を形成した積層フィルムを開示しているが、多数の未貫通孔200aを有する易裂性プラスチックフィルム401が印刷層302の外表面に配置されるため、印刷物の視認性が悪くなる恐れがある。またガスバリア層303はガスバリア性及び薄膜化の観点からアルミニウム蒸着層が望ましいが、印刷層302の上にガスバリア層303を設けているため、アルミニウム蒸着により印刷層302が劣化する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-165256号公報
【特許文献2】特開平10-193454号公報
【特許文献3】特開2018-118781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、酸素や湿気等の透過を完全に遮断しつつ、任意の箇所から容易に引き裂くことができ、かつ印刷層を備える包装用フィルムに好適に使用できる易裂性アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法、及び易裂性アルミニウム蒸着フィルムを用いた包装用フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムの未貫通孔を有する側の面及び未貫通孔の内側面にアルミニウム蒸着層を設けることにより、酸素や湿気等の透過を完全に遮断しつつ、任意の箇所から容易に引き裂くことができ、かつ印刷層を備える包装用フィルムに好適に使用できる易裂性アルミニウム蒸着フィルムが得られることを発見し、本発明に想到した。
【0011】
すなわち、本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムは、鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなるアルミニウム蒸着層とを有することを特徴とする。
【0012】
前記未貫通孔が前記プラスチックフィルムの厚さの40~80%に相当する平均深さ及び90%以下に相当する最大深さを有するのが好ましい。
【0013】
前記未貫通孔の平均孔径が15~40μmであり、前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm2であるのが好ましい。
【0014】
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面の1 cm×1 cmの任意の領域における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm2であるのがより好ましい。
【0015】
前記プラスチックフィルムの厚さが9~25μmであるのが好ましい。
【0016】
前記アルミニウム蒸着層の平均厚さが40~100 nmであるのが好ましい。
【0017】
前記未貫通孔の孔径分布が10~60μmの範囲内であるのが好ましい。
【0018】
各未貫通孔と隣接する最も近い未貫通孔との間の距離が30μm以下であるのが好ましい。
【0019】
前記プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであるのが好ましい。
【0020】
本発明の包装用フィルムは、上記の易裂性アルミニウム蒸着フィルムと、
前記易裂性アルミニウム蒸着フィルムの前記未貫通孔が形成されていない側の面に形成された印刷層と、
前記易裂性アルミニウム蒸着フィルムの前記未貫通孔が形成された側の面に形成されたヒートシール層とを有することを特徴とする。
【0021】
上記の易裂性アルミニウム蒸着フィルムを製造する本発明の方法は、
鋭い角部を有する多数の高硬度微粒子をロール本体の表面にランダムに有するパターンロールと、金属ロールとの隙間にプラスチックフィルムを通過させ、前記高硬度微粒子により前記プラスチックフィルムに多数の未貫通孔を形成し、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してアルミニウム蒸着層を形成することを特徴とする。
【0022】
前記高硬度微粒子のロール面での平均粒径が15~40μmであり、前記パターンロールのロール面における前記高硬度微粒子の分布密度が10,000~50,000個/cm2であるのが好ましい。
【0023】
前記パターンロールのロール面の1cm×1cmの任意の領域における前記高硬度微粒子の分布密度が10,000~50,000個/cm2であるのが好ましい。
【0024】
前記パターンロールの高硬度微粒子の粒径分布が10~60μmの範囲内であるのが好ましい。
【0025】
前記パターンロールの高硬度微粒子と隣接する最も近い高硬度微粒子との間の距離が30μm以下であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムは、鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムの未貫通孔を有する側の面及び未貫通孔の内側面にアルミニウム蒸着層を設けることにより、酸素や湿気等の透過を完全に遮断しつつ、任意の箇所から容易に引き裂くことができ、かつ印刷層を備える包装用フィルムに好適に使用できる。このような特徴を有する本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムは、酸素や湿気等を嫌う乾燥食品等の包装用フィルム用等に広範に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムを示す部分断面図である。
図2】本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムを含む包装用フィルムを示す部分断面図である。
図3(a)】相対的に傾斜するパターンロール及び金属ロールを示す斜視図である。
図3(b)】相対的に傾斜するパターンロール及び金属ロールを示す平面図である。
図4】穿孔プラスチックフィルムの製造装置の主要部を示す正面図である。
図5】穿孔プラスチックフィルムの製造装置の右側面図である。
図6】土台に固定した円弧状ガイドレールを示す平面図である。
図7】円弧状ガイドレールと左右一対の可動フレームとの関係を示す部分省略平面図である。
図8】円弧状ガイドレールに沿って移動自在な可動フレームの構造を示す分解側面図である。
図9図4から金属ロール及び第二の駆動手段を省略した正面図である。
図10(a)】穿孔プラスチックフィルムの製造装置に設けられた歪み取りロール及び第五の駆動手段を示す背面図である。
図10(b)】穿孔プラスチックフィルムの製造装置に設けられた歪み取りロールが上下方向に傾斜した状態を示す背面図である。
図11】パターンロールの一例を示す断面図である。
図12(a)】金属ロールがパターンロールに平行なときの左右一対の可動フレームと一対の円弧状ガイドレールとの関係を示す平面図である。
図12(b)】金属ロールがパターンロールに対して水平面内で反時計方向に傾斜したときの左右一対の可動フレームと一対の円弧状ガイドレールとの関係を示す平面図である。
図12(c)】金属ロールがパターンロールに対して水平面内で時計方向に傾斜したときの左右一対の可動フレームと一対の円弧状ガイドレールとの関係を示す平面図である。
図13】パターンロールと平坦なロール面を有する金属ロールとの組合せによりプラスチックフィルムを穿孔する様子を示す断面図である。
図14】穿孔プラスチックフィルムの表面を示す顕微鏡写真である。
図15】穿孔プラスチックフィルムの表面を示す顕微鏡写真である。
図16】包装用フィルムの層構成の一例を示す部分断面図である。
図17】包装用フィルムの袋の一例を示す正面図である。
図18】プラスチックフィルムの一例を示す部分断面図である。
図19図18のプラスチックフィルムを用いた積層フィルムの一例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明するが、特に断りがなければ一つの実施形態に関する説明は他の実施形態にも適用される。また下記説明は限定的ではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更を施しても良い。
【0029】
[1] 易裂性アルミニウム蒸着フィルム
図1に示すように、本発明の一実施態様による易裂性アルミニウム蒸着フィルム1は、一方の側の全面に多数の未貫通孔2aを有するプラスチックフィルム2と、プラスチックフィルム2の未貫通孔2aが形成されている側の面21及び未貫通孔2aの内側面21aにアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなるアルミニウム蒸着層3とを有する。
【0030】
後述するように、未貫通孔2aは、パターンロール表面にランダムに付着した種々の大きさ及び高さを有する多数の高硬度微粒子により形成されるので、種々の大きさ及び深さを有する。酸素や湿気等の透過を完全に遮断しつつ、任意の箇所から容易に引き裂くことができるために、未貫通孔2aはプラスチックフィルム2の厚さTの40~80%に相当する平均深さDav及び90%以下に相当する最大深さDmaxを有するのが好ましい。
【0031】
未貫通孔2aの平均深さDavが40%未満では、プラスチックフィルム2の未貫通孔2aが形成されている側の面21及び未貫通孔2aの内側面21aにアルミニウム蒸着層3を有する易裂性アルミニウム蒸着フィルム1に十分な易裂性を付与するのが困難である。一方、平均深さDavが80%超では、全ての孔を未貫通孔とするのが困難である。未貫通孔2aの平均深さDavは好ましくはプラスチックフィルムの厚さTの45~65%であり、より好ましくは50~70%である。
【0032】
未貫通孔2aの最大深さDmaxが90%超では、全ての孔を未貫通孔とするのが困難である。未貫通孔2aの最大深さDmaxは好ましくはプラスチックフィルムの厚さTの85%以下であり、より好ましくは80%以下である。
【0033】
未貫通孔2aの平均孔径Pavは15~40μmであるのが好ましい。未貫通孔2aの平均孔径Pavが15μm未満であると、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1に十分な易裂性を付与することができない。一方、未貫通孔2aの平均孔径Pavが40μmを超えると、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の強度が不十分になる上に、未貫通孔2a内の内側面21aに形成されるアルミニウム蒸着層3にピンホールが発生しやすくなる。未貫通孔2aの平均孔径Pavは好ましくは15~30μmであり、より好ましくは15~25μmである。
【0034】
平均深さDav、最大深さDmax及び平均孔径Pavを有する未貫通孔2aの深さ分布及び孔径分布はできるだけ狭い方が好ましい。そのためには、後述するパターンロールの高硬度微粒子の粒径分布をできるだけ狭くするのが好ましい。未貫通孔2aの孔径分布が10~60μmの範囲内であるのが好ましく、10~50μmの範囲内であるのがより好ましく、10~40μmの範囲内であるのがさらに好ましい。
【0035】
未貫通孔2aの分布密度Dsは10,000~50,000個/cm2であるのが好ましい。未貫通孔2aの分布密度Dsが10,000個/cm2未満であると、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1に十分な易裂性を付与することが困難である。一方、分布密度Dsが50,000個/cm2を超えると、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の強度が不十分になる。平均孔径Pavが15~40μmと比較的小さい未貫通孔2aを、10,000~50,000個/cm2と多く形成することにより、アルミニウム蒸着層3へのピンホールの発生を抑制しつつ、優れた易裂性を有するアルミニウム蒸着フィルム1が得られる。未貫通孔2aの分布密度Dsはより好ましくは20,000~50,000個/cm2であり、さらに好ましくは30,000~50,000個/cm2である。分布密度Dsを求める際、孔径が10μm未満の微小な未貫通孔は易裂性にあまり貢献しないため、孔径が10μm以上の未貫通孔2aのみをカウントするのが望ましい。
【0036】
任意の箇所からあらゆる方向に容易に引き裂くことができるように、未貫通孔2aはプラスチックフィルム2の表面21の全体にまんべんなく分布しているのが望ましい。すなわち、プラスチックフィルム2の未貫通孔2aを有する側の面21の1cm×1cmの任意の領域において、未貫通孔2aの分布密度が10,000~50,000個/cm2であるのが好ましく、20,000~50,000個/cm2であるのがより好ましく、30,000~50,000個/cm2であるのがさらに好ましい。
【0037】
さらに、各未貫通孔2aと隣接する最も近い未貫通孔2aとの間の距離が30μm以下であるのが好ましい。隣接する未貫通孔同士の最も近い距離が30μm以下であると、あらゆる方向に容易に引き裂くことができる。各未貫通孔2aと隣接する最も近い未貫通孔2aとの間の距離は25μm以下であるのがより好ましく、20μm以下であるのがさらに好ましい。
【0038】
プラスチックフィルム2を形成するプラスチックは、十分な引張強度、表面硬度、可撓性、ガスバリア性、耐水性及び耐熱性を有する限り特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル類、延伸ポリプロピレン(OPP)等のポリオレフィン類、ナイロン(Ny)等のポリアミド類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリスチレン類等の熱可塑性可撓性ポリマーが好ましい。中でも、PET及びOPPが好ましく、特にPETが好ましい。PETフィルムの場合、厚さTは9~25μmが好ましい。PETフィルムの厚さTが9μm未満であると、十分な引張強度を有さない。一方、PETフィルムの厚さTが25μmを超えると、可撓性が低下し、乾燥食品等の包装用フィルムに適さなくなる。PETフィルムの厚さTは10~20μmが好ましく、10~15μmがより好ましい。
【0039】
未貫通孔2aの平均深さDavが4~15μmであるのが好ましい。未貫通孔2aの平均深さDavが4μm未満では、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1に十分な易裂性を付与するのが困難である。平均深さDavが15μmを超えると、未貫通孔2aの底部からプラスチックフィルム2を貫通する亀裂が生じる恐れがある。未貫通孔2aの平均深さDavは好ましくはプラスチックフィルムの厚さTの4~10μmであり、より好ましくは4~6μmである。
【0040】
アルミニウム蒸着層3はプラスチックフィルム2の未貫通孔2aが形成されている側の面21及び未貫通孔2aの内側面21aに全体的に形成されており、酸素や湿気等の透過を完全に遮断している。アルミニウム蒸着層3はプラスチックフィルム2の表面21及び未貫通孔2aの内側面21aに蒸着法によりほぼ一定の膜厚で形成されているのが望ましく、アルミニウム蒸着層の平均厚さは40~100 nmであるのが好ましい。アルミニウム蒸着層の平均厚さが40 nm未満では、ピンホールが発生したり、酸素や湿気等の透過の遮断が不完全になる恐れがある。一方、アルミニウム蒸着層の平均厚さが100 nmを超えると、ガスバリア性にほとんど変化しなくなるのでコストの観点から意味がない上に、易裂性が劣化する。アルミニウム蒸着層の平均厚さは50~90 nmであるのがより好ましく、60~80 nmであるのがより好ましい。
【0041】
アルミニウム蒸着層3はアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなる。アルミニウムは純度99.9%以上のものが好ましい。アルミニウム合金は一般的に蒸着材料として利用されているものであれば特に限定されず、マンガン、銅、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、ニッケル等を含む合金が挙げられる。
【0042】
[2] 包装用フィルム
本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルム1を用いた乾燥食品等の包装用フィルム300は、図2に示すように、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の背面(未貫通孔2aが形成されていない側)22に印刷層302を形成し、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の表面(未貫通孔2a及びアルミニウム蒸着層3が形成されている側)21にヒートシール層304を形成する。ヒートシール層304は、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1からなる袋を密封するのに必要であり、低密度ポリエチレン(LDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等により形成することができる。ヒートシール層304の厚さは20~60μm程度で良い。
【0043】
本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルム1を用いた包装用フィルム300は、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の背面22が外表面側を向いており、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の背面22の上に印刷層302が設けられているので、未貫通孔2aにより印刷物の視認性が悪化する恐れがない。また易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の表面21にヒートシール層304が設けられているので、アルミニウム蒸着による印刷層の劣化を防止できる。さらに、ヒートシール層304を熱溶着する際に、軟化・半溶解したヒートシール層304の一部が未貫通孔2a内に入り込み、その状態で冷却すると、易裂性アルミニウム蒸着フィルム1の表面21とヒートシール層304との密着力が向上する。
【0044】
印刷層302の上にさらに表面保護層を設けても良い。また包装用フィルム300を無地袋とする場合、印刷層302を省略しても良い。本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムは、上記の包装用フィルム300に限らず、種々の用途に用いることができる。例えば、ラベル、シール、蓋材等に用いることもできる。
【0045】
[2] 易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法
本発明の一実施態様による易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法は、鋭い角部を有する多数の高硬度微粒子をロール本体の表面にランダムに有するパターンロールと、金属ロールとの隙間にプラスチックフィルム2を通過させ、高硬度微粒子によりプラスチックフィルム2に多数の未貫通孔2aを形成し、プラスチックフィルム2の未貫通孔2aを有する側の面21及び未貫通孔2aの内側面21aにアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してアルミニウム蒸着層3を形成する。
【0046】
(a) プラスチックフィルムの製造方法
プラスチックフィルム2に多数の未貫通孔2aを形成する工程には、特開2018-118781号や特許6386201号に記載の製造装置を用いることができる。図3(a) 及び図3(b) に示すように、撓んだパターンロール10及び金属ロール20を、それらの中心軸線が微小な角度θだけ傾斜した状態で接触させると、僅かに湾曲したパターンロール10及び金属ロール20は螺旋状に等しい圧力で線接触し、幅広のプラスチックフィルム2に対しても、多数の未貫通孔を幅方向に均一に形成することができる。プラスチックフィルム2の製造装置の一例を図4及び図5に示す。プラスチックフィルム2の製造装置は、プラスチックフィルム2に未貫通孔2aを形成するために対向して設けられたパターンロール10及び平坦なロール面を有する金属ロール20と、パターンロール10の一対の軸受11,11を支持する門形の固定フレーム30,30と、金属ロール20の一対の軸受21,21を支持する左右一対の可動フレーム40,40と、各可動フレーム40,40が固定された可動プレート61,61と、可動プレート61,61に固定された水平プレート60,60と、水平プレート60,60を回転させるために土台50の上面に固定された第一の駆動手段70と、各可動フレーム40,40に沿って金属ロール20の各軸受21,21を上下動させる第二の駆動手段80,80と、パターンロール10を回転させるための第三の駆動手段90と、金属ロール20を回転させるための第四の駆動手段100と、プラスチックフィルム2が巻回された第一のリール151と、多数の未貫通孔2aを形成したプラスチックフィルム(穿孔プラスチックフィルム)2’を巻回するための第二のリール152と、プラスチックフィルム2及び穿孔プラスチックフィルム2’を案内する複数のガイドロール及びニップロールとを具備する。パターンロール10と金属ロール20の隙間Gの下流に、穿孔プラスチックフィルム2’と接触する歪み取りロール120と、歪み取りロール120の両端を回転自在に支持する軸受121,121の高さを変更する一対の第五の駆動手段130,130とを配置する。
【0047】
(1) 固定部
図5に示すように、縦フレーム111と、縦フレーム111の上端部に水平に固定された横フレーム112とからなるフレーム構造体110は土台50に固定されており、左右一対の横フレーム112の各々に固定フレーム30が垂下するように固定されている。図4に示すように、各固定フレーム30にパターンロール10の軸受11が回転自在に固定されており、パターンロール10は固定フレーム30に対して昇降することなく、所定の位置で回転する。また図6に示すように、土台50の上面に左右一対の平板51,51が固定されており、各平板51の上面に円弧状ガイドレール52がボルトで固定されている。土台50の中央部に、第一の駆動手段70を支持するフレーム74が固定される平板77が固定されている。
【0048】
(2) 可動部
図4及び図7から明らかなように、各固定フレーム30の下に可動フレーム40が位置し、各可動フレーム40は可動プレート61の上面に固定されている。図8に示すように、各可動プレート61の底面に、円弧状ガイドレール52が摺動自在に係合するガイド溝62aを有するガイドブロック62がボルトで固定されている。両可動プレート61,61は水平プレート60の両端にボルトで固定されている。
【0049】
水平プレート60に連結している第一の駆動手段70は、モータ71と、モータ71の軸72に連結した減速機73と、減速機73を支持するフレーム74と、軸72に固定されたコネクタプレート75とを具備する。フレーム74は土台50上の平板77に固定されている。また、コネクタプレート75はボルト76で水平プレート60に固定されている。
【0050】
各可動フレーム40のブラケット41に第二の駆動手段80が固定されている。各第二の駆動手段80は、可動フレーム40に固定されたブラケット41に支持された歯車装置81と、歯車装置81に減速機82を介して連結したモータ83と、歯車装置81に取り付けられたスクリュージャッキ84と、スクリュージャッキ84から突出する雄ねじ部材85とを有する。金属ロール20の各軸受21は、弾性手段86を介してスクリュージャッキ84の雄ねじ部材85に支持されている。弾性手段86はコイルバネ等の弾性部材及びロードセンサを具備し、金属ロール20の軸受21に過大な衝撃がかかるのを防止する。図5及び図9に示すように、各可動フレーム40の前方側面には金属ロール20の軸受21の背面のガイド部材22が係合する垂直ガイドレール44が設けられているので、金属ロール20の両軸受21,21は可動フレーム40,40の垂直ガイドレール44,44に沿って昇降自在である。
【0051】
(3) パターンロールの駆動手段
図4に示すように、パターンロール10を駆動する第三の駆動手段90は、モータ91と、モータ91の回転軸にチェーン92を介して連結した減速機93と、減速機93の回転軸に連結したカップリング装置94とを具備し、カップリング装置94から延在するシャフト95はパターンロール10の軸受11に連結している。
【0052】
(4) 金属ロールの駆動手段
図4に示すように、金属ロール20を駆動する第四の駆動手段100は可動フレーム40に固定されたブラケット42に固定されている。第四の駆動手段100は、モータ101と、モータ101の回転軸にチェーン102を介して連結した減速機103と、減速機53の回転軸に連結したカップリング装置104とを具備し、カップリング装置104から延在するシャフト105は金属ロール20の軸受21に連結している。
【0053】
(5) 歪み取りロール
相対的に傾斜したパターンロール10と金属ロール20との隙間Gを通過して穿孔プラスチックフィルム2’には歪みが生じているので、そのまま巻き取ると破断等の不具合が生じるおそれがある。そのため、図5に示すように、パターンロール10と金属ロール20との隙間Gのすぐ下流の位置に、歪み取りロール120を設けるのが好ましい。図10(a) に示すように、歪み取りロール120の両端を回転自在に支持する軸受121,121は、それぞれ一対の固定フレーム30,30にブラケット31,31を介して固定された第五の駆動手段130,130により上下動される。図示の例では、各第五の駆動手段130は、固定フレーム30に固定されたブラケット31に支持されたエアシリンダ131と、エアシリンダ131のピストンロッド132とからなり、ピストンロッド132の先端にユニバーサルジョイント133を介して歪み取りロール120の軸受121が取り付けられている。従って、図10(b) に示すように、第五の駆動手段130,130を独立に駆動することにより歪み取りロール120の両端の高さを変更することができる。すなわち、歪み取りロール120を水平軸(パターンロール10の中心軸線と平行)に対して所望の角度δで傾斜させることができる。
【0054】
歪み取りロール120の下流にガイドロール140があるので、穿孔プラスチックフィルム2’は、パターンロール10と金属ロール20との隙間Gとガイドロール140との間で、傾斜した歪み取りロール120により左右で異なる張力を受け、歪みが低減する。例えば、穿孔プラスチックフィルム2’の進行方向左側が右側より前方に出るように金属ロール20を傾斜させた場合、歪み取りロール120の左側端部が右側端部より高くなるように、一対の第五の駆動手段130,130のピストンロッド132,132のストロークを調整すると、相対的に傾斜したパターンロール10及び金属ロール20により未貫通孔を形成してなる穿孔プラスチックフィルム2’から歪みが十分に除去され、巻き取り工程中に破断や皺等の不具合が生じるおそれが小さくなる。
【0055】
(6) パターンロール
図11に示すように、パターンロール10は、金属製ロール本体10aのロール面10bに多数の高硬度微粒子10cをニッケルめっき等のめっき層10dによりランダムに固着したロールが好ましい。このようなパターンロール10の具体例は、例えば特開平5-131557号、特開平9-57860号及び特開2002-59487号に記載されている。
【0056】
高硬度微粒子10cは鋭い角部を有するとともに、5以上のモース硬度を有するのが好ましい。鋭い角部を有する高硬度微粒子10cはダイヤモンド微粒子であるのが好ましく、特にダイヤモンドの粉砕微粒子が好ましい。高硬度微粒子10cは3以下のアスペクト比を有するのが好ましい。アスペクト比が3以下であることにより、高硬度微粒子10cは球体に近い多角体形状を有する。高硬度微粒子10cのアスペクト比は2以下がより好ましく、1.5以下が最も好ましい。
【0057】
高硬度微粒子10cの約1/3~2/3はめっき層10dに埋設されており、めっき層10dの表面(ロール面)から突出する高硬度微粒子10cは、プラスチックフィルム2の厚さTの40~80%に相当する平均深さDav及び90%以下に相当する最大深さDmaxの未貫通孔2aをプラスチックフィルム2に形成し得る平均高さ及び最大高さを有する必要がある。ロール面から突出する高硬度微粒子10cの平均高さはプラスチックフィルム2の厚さTの40~80%であるのが好ましく、45~65%であるのがより好ましく、50~70%であるのが最も好ましい。また、ロール面から突出する高硬度微粒子10cの最大高さはプラスチックフィルム2の厚さTの90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が最も好ましい。パターンロール10のロール面における高硬度微粒子10cの平均粒径は15~40μmであるのが好ましく、15~30μmであるのがより好ましく、15~25μmであるのが最も好ましい。
【0058】
パターンロール10のロール面における高硬度微粒子10cの分布密度は10,000~50,000個/cm2であるのが好ましく、20,000~50,000個/cm2であるのがより好ましく、30,000~50,000個/cm2であるのが最も好ましい。分布密度を求める際、粒径が10μm未満の微小な高硬度微粒子は易裂性にあまり貢献しないため、孔径が10μm以上の高硬度微粒子10cのみをカウントするのが望ましい。高硬度微粒子10cはパターンロール10のロール面の全体にまんべんなく分布しているのが望ましい。すなわち、パターンロール10のロール面における1cm×1cmの任意の領域において、高硬度微粒子10cの分布密度が10,000~50,000個/cm2であるのが好ましく、20,000~50,000個/cm2であるのがより好ましく、30,000~50,000個/cm2であるのがさらに好ましい。
【0059】
パターンロール10のロール面における高硬度微粒子10cと隣接する最も近い高硬度微粒子10cとの間の距離が30μm以下であるのが好ましく、25μm以下であるのがより好ましく、20μm以下であるのがさらに好ましい。
【0060】
上記分布の高硬度微粒子10cを有するパターンロール10により、高硬度微粒子10cの形状が転写された未貫通孔2aがプラスチックフィルム2に形成されることになる。上記条件を満たす高硬度微粒子10cを有するパターンロール10を得るには、高硬度微粒子10cをめっき層10dに埋設した後、パターンロール10をグラインダー等で表面研摩し、全ての高硬度微粒子10cが所定の高さを超えないようにするのが好ましい。
【0061】
プラスチックフィルム2の穿孔中にパターンロール10が撓むのを防止するために、パターンロール10のロール本体10aは硬質金属により形成するのが好ましい。硬質金属としては、SKD11のようなダイス鋼が挙げられる。
【0062】
(7) 金属ロール
パターンロール10と組合せる金属ロール20は、パターンロール10の高硬度微粒子10cがプラスチックフィルム2を貫通しないようにするために、平坦なロール面を有する必要がある。ロール面は鏡面状であるのが好ましい。また、穿孔工程での負荷に対して十分な耐変形性を発揮するために、金属ロール20を高強度で硬質の金属[例えば、高強度の耐食性ステンレススチール(SUS440C,SUS304等)]により形成するのが好ましい。また、金属ロール20を、ダイス鋼のような硬質金属の内層と、SUS304のような高強度の耐食性ステンレススチールからなる外層との二層構造にしても良い。外層の厚さは実用的には20~60 mm程度で良い。
【0063】
ロール面10aに多数の高硬度微粒子10cを有するパターンロール10と平坦なロール面20aを有する金属ロール20との間を通るプラスチックフィルム2に、高硬度微粒子10cが進入する。パターンロール10のロール面から突出する高硬度微粒子10cの平均高さ及び最大高さはプラスチックフィルム2の厚さTより十分に小さいので、高硬度微粒子10cがプラスチックフィルム2を貫通することはない。従って、プラスチックフィルム2に未貫通孔2aのみが形成される。
【0064】
(8) センサ
パターンロール10と金属ロール20との隙間Gの下流に、隙間Gから出る穿孔プラスチックフィルム2’の性状(未貫通孔の孔径分布及び開口率、フィルムの皺等)を観察するためのセンサ145を設けるのが好ましい。本発明の装置はまた、センサ145の信号を入力する制御装置(図示せず)を具備する。制御装置は、センサ145の出力信号に応じて、所望の穿孔プラスチックフィルム2’を得るためのパターンロール10と金属ロール20との隙間、パターンロール10の中心軸線に対する金属ロール20の中心軸線の水平方向傾斜角θ、及び歪み取りロール120の上下方向傾斜角δを調節する信号を生成する。
【0065】
(b) 穿孔プラスチックフィルムの形成
金属ロール20が下降位置でパターンロール10と平行の状態にある(パターンロール10の中心軸線に対する金属ロール20の中心軸線の水平方向傾斜角θが0°である)ときに、パターンロール10及び金属ロール20を回転させる第三及び第四の駆動手段90,100を作動させながら、第一のリール151から巻き戻されたプラスチックフィルム2を、パターンロール10と金属ロール20との大きな隙間Gに通し、歪み取りロール120、ガイドロール140、及び複数のガイドロール及びニップロールを経て、第二のリール152に巻き取る。
【0066】
第二の駆動手段80,80を作動させることにより金属ロール20を上昇させた状態で、点Oを中心として第一の駆動手段70を作動(回転)させる。第一の駆動手段70により水平プレート60が左右に回転すると、一対の可動プレート61,61は円弧状ガイドレール52,52に沿って摺動(回動)するので、可動フレーム40,40に両軸受21,21が固定された金属ロール20は、パターンロール10と平行な状態[図12(a)]から、水平面内で反時計方向に傾斜した状態[図12(b)]又は時計方向に傾斜した状態[図12(c)]まで回動することができる。その結果、金属ロール20はパターンロール10に対して水平面内で角度θだけ傾斜し、パターンロール10と金属ロール20の隙間Gを通るプラスチックフィルム2にかかる応力は横手方向に均一化される。図13はパターンロール10の高硬度微粒子10cによりプラスチックフィルム2に未貫通孔2aが形成される様子を示す。
【0067】
隙間Gから出るプラスチックフィルム2(穿孔開始後は穿孔プラスチックフィルム2’)の性状をセンサ145により観察し、センサ145の信号を制御装置(図示せず)に出力し、制御装置でパターンロール10の中心軸線に対する金属ロール20の中心軸線の水平方向傾斜角θ、及び歪み取りロール120の上下方向傾斜角δを調節する信号を生成する。それらの信号に応じて、第一の駆動手段70の回転を制御し、パターンロール10の中心軸線に対する金属ロール20の中心軸線の水平方向傾斜角θを最適化するとともに、第五の駆動手段130を制御し、歪み取りロール120の上下方向傾斜角δを最適化する。この状態で、プラスチックフィルム2を穿孔して、所望の穿孔プラスチックフィルム2’を形成し、第二のリール152に巻き取る。
【0068】
(c) アルミニウム蒸着層の形成
アルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、又はプラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法等の化学気相蒸着法)により蒸着して、プラスチックフィルム2の表面21及び未貫通孔2aの内側面21aにアルミニウム蒸着層3を形成する。コストの観点から、真空蒸着法が好ましい。
【0069】
真空蒸着法は、一般的に半連続式(フィルムの送り出し、蒸着及び巻取りを真空中で行う方法)又は連続式(フィルムの送り出しと巻取りは大気中で、蒸着のみを真空中で行う方法)により行い、10-2 Pa程度の高真空下で、金属を高周波誘導加熱方式又は抵抗加熱方式(輻射)により加熱・蒸発させ、その蒸気を樹脂フィルムに凝縮させ、金属層を形成する。
【0070】
化学気相蒸着法(CVD法)で行う場合は、低温で薄膜を形成できるプラズマCVD法により行うのが好ましい。プラズマCVD法は、対向する電極間もしくはコイルに高周波電力を印加して低圧反応ガスのプラズマを発生させて金属蒸着層を形成するか、又は減圧下で反応ガスの高周波グロー放電分解により金属蒸着層を形成する方法である。出発原料としてハロゲン化金属、有機金属、有機金属錯体、金属アルコラート等を用い、さらに窒素、アンモニア、一酸化二窒素、酸素、一酸化炭素、メタン、水素等の反応性ガスをヘリウム、アルゴン等のキャリアガスとともに用いる。
【0071】
例えばアルミニウム蒸着層は、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)を用いて、プラズマパワー密度0.03~0.06 W/cm3において、
式(1):2 Al(CH3)3 + H2 → 2 Al(CH3)2 + 2CH4・・・(1)、及び
式(2):Al(CH3)2 + H2 → Al + 2CH4 ・・・(2)
により表される反応を選択的に生じさせることにより形成することができる。なお式(1) はプラズマ中で起こる反応を表し、式(2) はフィルム表面で起こる反応を表す。
【0072】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0073】
実施例1
図4図13に示す装置を用いて、幅1000 mmのPETフィルム(厚さ12μm)の表面を穿孔し、図14及び図15に示す穿孔フィルムを作製した。パターンロール10の中心軸線に対する金属ロール20の中心軸線の水平面内での傾斜角は、0.415~0.83°の範囲内で調整した。穿孔フィルムから切り出した長さ50 cmのサンプルを幅方向に100 mmずつの長さに切断し、得られた10枚の試験片PT1を白色紙の上に載置して、黒色の油性マーカー(マジックインキ)で5 cm×1 cmの領域を塗りつぶした。各試験片PT1の下の白色紙をチェックした結果、いずれも油性マーカーが付着していなかった。そのため、形成された孔は全て未貫通孔であることが確認された。
【0074】
上記と同様にして得られた試験片PT2の断面の顕微鏡写真により未貫通孔の平均深さDav、最大深さDmax、及び平均孔径Pavを測定した。また、平面の顕微鏡写真により、未貫通孔の分布密度Dsを測定した。測定結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

注:(1) 未貫通孔の平均深さDav及びプラスチックフィルムの厚さTに対する比率。
(2) 未貫通孔の最大深さDmax及びプラスチックフィルムの厚さTに対する比率。
【0076】
PETフィルムの一方の面(表面)に、真空蒸着法により約80 nmの厚さのアルミニウム蒸着層を形成し、易裂性アルミニウム蒸着フィルムを作製した。実施例1の易裂性アルミニウム蒸着フィルムについて酸素透過量および水蒸気透過量を測定した。酸素透過量は日本分光社製商品名;ガスパームを用いて前記積層フィルムから切り出した直径10 cmのサンプルを酸素濃度100%、25℃、65%R.Hで5 kg/cm2に加圧した条件下で測定した。水蒸気透過量はスイスDr.Lyssy社製商品名;L80-4000型を用いて前記積層フィルムから切り出した直径10 cmのサンプルをJIS K7129Aに準じて40℃、90%R.Hの条件下で測定した。酸素透過量は0.8 cc/m2/24時間であり、水蒸気透過量は0.9 cc/m2/24時間であり、優れた酸素遮断性及び水蒸気遮断性を有する易裂性アルミニウム蒸着フィルムが得られた。
【0077】
得られた実施例1の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの表面に厚さ10μmの接着層を介して、厚さ30μmのヒートシール層(低密度ポリエチレン)を付着し、サンプル1を作製した。サンプル1について、両手の指で引張って易裂性を調べた。その結果、穿孔PETフィルムの多数の未貫通孔が引裂きの起点として作用、さらに引裂き方向に位置する多数の未貫通孔が順次引裂き点として作用した。このため、極めて容易に引き裂くことができるとともに、優れた直進カット性を示した。
【符号の説明】
【0078】
1・・・易裂性アルミニウム蒸着フィルム
2’・・・穿孔プラスチックフィルム
2・・・プラスチックフィルム
2a・・・未貫通孔
10・・・パターンロール
10a・・・ロール本体
10b・・・ロール面
10c・・・高硬度微粒子
10d・・・めっき層
11・・・軸受
20・・・金属ロール
20a・・・ロール本体
21・・・軸受
30・・・固定フレーム
31,36・・・ブラケット
34・・・垂直ガイドレール
40・・・可動フレーム
41,42・・・ブラケット
44・・・垂直ガイドレール
50・・・土台
51・・・平板
52・・・円弧状ガイドレール
60・・・水平プレート
61・・・可動プレート
62・・・ガイドブロック
62a・・・ガイド溝
70・・・第一の駆動手段
71・・・モータ
72・・・モータの軸
73・・・減速機
74・・・フレーム
75・・・コネクタプレート
76・・・ボルト
77・・・平板
80・・・第二の駆動手段
81・・・歯車装置
82・・・減速機
83・・・モータ
84・・・スクリュージャッキ
85・・・雄ねじ部材
86・・・弾性手段
90・・・第三の駆動手段
91・・・モータ
92・・・チェーン
93・・・減速機
94・・・カップリング装置
95・・・シャフト
100・・・第四の駆動手段
101・・・モータ
102・・・チェーン
103・・・減速機
104・・・カップリング装置
105・・・シャフト
110・・・フレーム構造体
111・・・縦フレーム
112・・・横フレーム
113・・・第二の横フレーム
120・・・歪み取りロール
121・・・歪み取りロールの軸受
130・・・第五の駆動手段
131・・・エアシリンダ
132・・・ピストンロッド
133・・・ユニバーサルジョイント
140・・・ガイドロール
145・・・センサ
151・・・プラスチックフィルムを巻回したリール
152・・・穿孔プラスチックフィルムを巻回するリール
160・・・バックアップロール
161・・・軸受
170・・・第六の駆動手段
171・・・モータ
172・・・減速機
173・・・スクリュージャッキ
174・・・雄ねじ部材
175・・・弾性手段
200・・・突き刺し試験装置
201・・・土台
202・・・土台の円柱状空間
203・・・Oリング
204・・・押し板
205・・・突き刺しロッド
300・・・包装用フィルム
301・・・PETフィルム
302・・・印刷層
303・・・アルミニウム蒸着層
304・・・ヒートシール層
310・・・袋
311・・・ノッチ
312・・・ヒートシール部
400・・・プラスチックフィルム
401・・・易裂性プラスチックフィルム
200a・・・未貫通孔
T・・・プラスチックフィルムの厚さ
Dav・・・未貫通孔の平均深さ
Dmax・・・未貫通孔の最大深さ
Pav・・・未貫通孔の平均孔径
G・・・パターンロールと金属ロールの隙間
O・・・第一の駆動手段の回転中心
θ・・・パターンロールの中心軸線に対する金属ロールの中心軸線の水平方向傾斜角
δ・・・歪み取りロールの上下方向傾斜角
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2021-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなるアルミニウム蒸着層とを有し、
前記未貫通孔が前記プラスチックフィルムの厚さの40~80%に相当する平均深さ及び90%以下に相当する最大深さを有し、
前記未貫通孔の平均孔径が15~40μmであり、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm 2 であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面の1 cm×1 cmの任意の領域における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記プラスチックフィルムの厚さが9~25μmであることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、前記アルミニウム蒸着層の平均厚さが40~100 nmであることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
前記未貫通孔の孔径分布が10~60μmの範囲内であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、
各未貫通孔と隣接する最も近い未貫通孔との間の距離が30μm以下であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、前記プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムと、
前記易裂性アルミニウム蒸着フィルムの前記未貫通孔が形成されていない側の面に形成された印刷層と、
前記易裂性アルミニウム蒸着フィルムの前記未貫通孔が形成された側の面に形成されたヒートシール層とを有する包装用フィルム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムを製造する方法であって、
鋭い角部を有する多数の高硬度微粒子をロール本体の表面にランダムに有するパターンロールと、金属ロールとの隙間にプラスチックフィルムを通過させ、前記高硬度微粒子により前記プラスチックフィルムに多数の未貫通孔を形成し、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してアルミニウム蒸着層を形成することを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記高硬度微粒子のロール面での平均粒径が15~40μmであり、
前記パターンロールのロール面における前記高硬度微粒子の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記パターンロールのロール面の1cm×1cmの任意の領域における前記高硬度微粒子の分布密度が10,000~50,000個/cm2であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項12】
請求項911のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記パターンロールの高硬度微粒子の粒径分布が10~60μmの範囲内であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項13】
請求項912のいずれかに記載の易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法において、
前記パターンロールの高硬度微粒子と隣接する最も近い高硬度微粒子との間の距離が30μm以下であることを特徴とする易裂性アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
すなわち、本発明の易裂性アルミニウム蒸着フィルムは、鋭い角部を有する高硬度微粒子の押圧により一方の側の全面にランダムに形成した種々の深さ及び大きさを有する多数の未貫通孔を有するプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面及び前記未貫通孔の内側面にアルミニウム又はアルミニウム合金を蒸着してなるアルミニウム蒸着層とを有し、
前記未貫通孔が前記プラスチックフィルムの厚さの40~80%に相当する平均深さ及び90%以下に相当する最大深さを有し、
前記未貫通孔の平均孔径が15~40μmであり、
前記プラスチックフィルムの前記未貫通孔を有する側の面における前記未貫通孔の分布密度が10,000~50,000個/cm 2 であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】