(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064632
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】超音波シール装置及び超音波シール方法
(51)【国際特許分類】
B31B 50/84 20170101AFI20220419BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B31B50/84
B29C65/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173367
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【テーマコード(参考)】
3E075
4F211
【Fターム(参考)】
3E075AA09
3E075AA12
3E075BA04
3E075BB22
3E075DE03
3E075GA05
4F211AD05
4F211AD06
4F211AG07
4F211AH57
4F211TA01
4F211TC03
4F211TC15
4F211TD11
4F211TN23
4F211TQ05
(57)【要約】
【課題】スパウトの紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供を課題とする。
【解決手段】スパウトを、紙容器に装着する超音波シール装置であって、受台と、超音波を発するするホーンと、スパウトの根本部分を支持する下支え部分とから構成され、フランジに容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を有しており、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分が設けてあり、円筒形の端面もしくはフランジに接する部分の、どちらか一方が受台となり、もう一方が超音波を発するホーンであって、円筒形の端面と下支え部分とのクリアランスをC
1、円筒形の端面とリング状の凸形状の部分の頂点とのクリアランスをC
2としたとき、0mm≦(C
1-C
2)≦0.2mmであることを特徴とする、超音波シール装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックからなるスパウトを、紙容器に装着する超音波シール装置であって、
紙容器は、紙を基材として少なくとも容器内側となる面にプラスチック層を有する、積層体から形成され、
スパウトは紙容器から外側に突出する円筒形の注ぎ口と、スパウトの根本部分にフランジを有した形状であって、
スパウトはフランジの容器外側に向ける面を、紙容器内側のプラスチック層にシールして装着するものであって、
超音波シール装置は、受台と、超音波を発するするホーンと、スパウトの根本部分を支持する下支え部分とから構成され、
受台とホーンとで、フランジと紙容器の積層体とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、
挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面であって、フランジを紙容器の積層体を介して、フラットに抑えることができ、
他方のフランジに容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を1または2有しており、
また、リング状の凸形状の部分の内側には、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分が設けてあり、
円筒形の端面もしくはフランジに接する部分の、どちらか一方が受台となり、もう一方が超音波を発するホーンであって、
円筒形の端面と下支え部分とのクリアランスをC1、円筒形の端面とリング状の凸形状の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項2】
前記リング状の凸形状が2ある場合に、内側のリング状の凸形状の頂点と、円盤状の下支え部分の端部とが連続して、これらが一体に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波シール装置。
【請求項3】
請求項1、または請求項2のいずれかに記載の超音波シール装置を用いて、
プラスチック製のスパウトの根本部分のフランジと、紙を基材として少なくとも容器内側となる面にプラスチック層を有する積層体を、フランジの容器外側に向ける面と、紙容器内側のプラスチック層とを対向させて重ねた状態で、受台とホーンとで挟み込んで加圧し、超音波シールを行うことを特徴とする、超音波シール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波シール装置および超音波シール方法に関するものである。例えば、紙を基材として表面、裏面がプラスチック層で覆われた積層体からなる液体紙容器に、注ぎ出し口となるプラスチック製のスパウトを取り付けるための、超音波シール装置及び超音波シール方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体用の容器としては、古くからガラス瓶や陶器製のものが使われてきた。1960年代になって、紙への液体の浸透性を低くする技術が進み、1970年代になってさらに浸透性を小さくした紙パックが開発され、アルコール飲料等にも用いられるようになり、スーパーやコンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0003】
液体用紙容器が広範に用いられるようになった背景には、液体用紙容器にはたとえば下記のような特徴、利便性があることがあげられる。
・軽量であり、折りたたみも可能で輸送コストが少ない。
・表面に各種印刷が可能であり、意匠性向上、内容液に関する情報表示が容易である。
・耐衝撃性を有し、持ち運びにも便利である。
・植物もしくは木材由来の素材であり、廃棄に際して減容性、焼却性に優れ、環境適合型である。
【0004】
一方で、液体用紙容器として、要求品質も内容液や用途に対応して多岐にわたっており、たとえば、下記のような機能が求められている。
・液漏れがしない。
・微生物からの保護、密封性に優れる。
・保存性の向上を目的とした、遮光性、ガスバリア性を有する。
・内容液の外力からの保護を目的とした剛性や強靭性を有する。
などである。
【0005】
一般に液体用紙容器の、接液面側はポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層を有して、耐水性を付与して、またヒートシール性にも優れて、製函を可能にするが、このときプラスチックの成型品からなるスパウトを紙容器にシールして取り付け、またキャップなどと組み合わせて開閉可能な注ぎ口とすることが行われている。
【0006】
特許文献1には、紙を材料として、天面にスパウトを装着する構造の包装容器が提案されているが、包装容器本体の折り畳みの工夫がなされているものの、スパウトの装着については特段の考慮がなされたものではなく、この包装容器を実現するためには、スパウトの装着装置及び具体的な手段を確立する必要がある。
【0007】
液体用紙容器とスパウトとのシールは、受台となるアンビルと、超音波を伝えるホーンの間で、紙容器の積層体とスパウトのフランジ部を重ね合わせて両側から挟んでシールする方法が考案されているが、シールした表面にリング状のシール跡が残ったり、あるいはリング状のシール跡がなくてもスパウトのフランジが容器側に引き込まれて、紙容器からの飛び出し量がばらついたり、そのほかスパウトが部分的に破壊されピンホールが発生するなどの問題がある。
【0008】
特にリング状のシール跡が残り窪みとなる場合には、外観不良だけにとどまらず、汚れや水分の残留によるカビの発生などを引き起こす恐れもある。したがって、これらを解決
することのできる、超音波シール装置及び超音波シール方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、スパウトの紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックからなるスパウトを、紙容器に装着する超音波シール装置であって、
紙容器は、紙を基材として少なくとも容器内側となる面にプラスチック層を有する、積層体から形成され、
スパウトは紙容器から外側に突出する円筒形の注ぎ口と、スパウトの根本部分にフランジを有した形状であって、
スパウトはフランジの容器外側に向ける面を、紙容器内側のプラスチック層にシールして装着するものであって、
超音波シール装置は、受台と、超音波を発するするホーンと、スパウトの根本部分を支持する下支え部分とから構成され、
受台とホーンとで、フランジと紙容器の積層体とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、
挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面であって、フランジを紙容器の積層体を介して、フラットに抑えることができ、
他方のフランジに容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を1または2有しており、
また、リング状の凸形状の部分の内側には、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分が設けてあり、
円筒形の端面もしくはフランジに接する部分の、どちらか一方が受台となり、もう一方が超音波を発するホーンであって、
円筒形の端面と下支え部分とのクリアランスをC1、円筒形の端面とリング状の凸形状の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることを特徴とする、超音波シール装置である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、
前記リング状の凸形状が2ある場合に、内側のリング状の凸形状の頂点と、円盤状の下支え部分の端部とが連続して、これらが一体に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波シール装置である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、
請求項1、または請求項2のいずれかに記載の超音波シール装置を用いて、
プラスチック製のスパウトの根本部分のフランジと、紙を基材として少なくとも容器内側となる面にプラスチック層を有する積層体を、フランジの容器外側に向ける面と、紙容器内側のプラスチック層とを対向させて重ねた状態で、受台とホーンとで挟み込んで加圧し、超音波シールを行うことを特徴とする、超音波シール方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スパウトの紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能である。
【0015】
まず、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面であって、フランジを紙容器の積層体を介して、フラットに抑えることができることが特徴のひとつであって、これによって超音波シールによる、紙容器表面の窪みの発生をなくすことができる、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能である。
【0016】
また、フランジに容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を1または2有していることによって、挟み込んで加圧する際に超音波の振動を効果的に伝えることができる。その結果、ピンホールの発生など外観を損ねることを防止することができる、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能である。
【0017】
またリング状の凸形状の部分の内側には、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分が設けてあることによって、積層体を支えながら挟み込みを行ないことができるため、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能である。
【0018】
加えて本発明においては、円筒形の端面もしくはフランジに接する部分の、どちらか一方が受台となり、もう一方が超音波を発するホーンであればよく、装置設計上の自由度が増すことに効果的である。
【0019】
さらに、円筒形の端面と下支え部分とのクリアランスをC1、円筒形の端面とリング状の凸形状の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることによって、スパウトへの大きな変形やひずみを与えることなく、スパウトの紙容器への装着を行うことができる。その結果、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能である。
【0020】
本発明による超音波シール方法は、本発明による超音波シール装置を用いることにより、スパウトと紙を基材としてプラスチック層を有する積層体をしっかりと挟み込んで、下支えの機構によって、大きなひずみを与えることなく安定して加圧し、超音波シールを行うことができるために、より外観不良がなく、出来栄えの品質に優れた超音波シール方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係る超音波シール装置及び超音波シール方法に関して、その目的とするところの紙容器の一実施態様を説明するための斜視(一部透視)模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る超音波シール装置及び超音波シール方法に関して、その目的とするところの紙容器とスパウトの超音波シール部分を説明するための、部分断面模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る超音波シール装置に関して、一実施態様を示すとともに、実施例1を説明するための部分断面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る超音波シール装置に関して、他の実施態様を示すとともに、実施例2を説明するための部分断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る超音波シール装置に関して、さらに他の実施態様を示すとともに、実施例3を説明するための部分断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る超音波シール装置に関して、その他の実施態様を示すとともに、実施例4を説明するための部分断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る超音波シール装置に関して、比較例1を説明するための部分断面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る超音波シール装置に関して、比較例2を説明するための部分断面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る超音波シール装置に関して、比較例3を説明するための部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0023】
図1は、本発明に係る超音波シール装置及び超音波シール方法に関して、その目的とするところの紙容器の一実施態様を説明するための斜視(一部透視)模式図である。
【0024】
本発明は、超音波シール装置及び超音波シール方法に関するものであって、これは例えば液体用紙容器(1)において、スパウト(10)を有して内容物の液体の注ぎ出しを、このスパウト(10)を通じて行うことができる形態の液体用紙容器(1)を作成する際に、スパウト(10)の液体用紙容器(1)への装着に用いることができる。
【0025】
図1に示す例においては、市販の牛乳パックの例であって、紙を基材として表裏両面にプラスチック層を有する積層体を組み立ててなる液体用紙容器(1)に、スパウト(10)を装着してその内容物の注ぎ出しに利便性を図ったものである。このスパウト(10)に、たとえばキャップ(2)を装着する場合には、繰り返しの開閉、注ぎ出しが可能になる。
【0026】
一般にスパウト(10)はプラスチックの成型品を用い、開閉には例えば螺合式のキャップ(2)を用いることができる。スパウト(10)と液体用紙容器(1)は、紙容器内側に設けられたプラスチック層とスパウト(10)に連続するフランジ(5)のシールによって装着、固定されており、シールには超音波シールを用いることが可能である。
図1において、破線で示されたフランジ(5)は紙容器内側にあって、液体用紙容器(1)外側からは不可視である。
【0027】
図2は、本発明に係る超音波シール装置及び超音波シール方法に関して、その目的とするところの紙容器とスパウトの超音波シール部分を説明するための、部分断面模式図である。
【0028】
スパウト(10)は一般にプラスチックの成型品であって、プラスチックには熱可塑性樹脂を用いることができる。
図2に示す例のスパウト(10)には円筒形の外側に螺子溝(3)が設けてあり、別部材のキャップを螺合することが可能であり、その場合には繰り返しの開閉、注ぎ出しが可能であって、液体用紙容器(1)としての利便性を高めることができる。
【0029】
すなわち、本発明はプラスチックの成型品からなるスパウト(10)を、紙容器に装着する超音波シール装置及び超音波シール方法であって、液体用紙容器(1)は、紙を基材として少なくとも紙容器内側(6)となる面にプラスチック層(8)を有する積層体(7)から形成され、スパウト(10)は液体用紙容器(1)から外側に突出する円筒形の注ぎ口(4)と、スパウト(10)の根本部分(11)にフランジ(5)を有した形状である。フランジ(5)はスパウト(10)の根本部分(11)の周縁を囲んで円環状に形成することができる。
【0030】
プラスチック層(8)の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、例えば低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0031】
プラスチック層(8)は、本発明が目指すところのプラスチック成型品であるスパウト(5)とのシールを可能にするとともに、紙基材に耐水性を付与することができるため、液体用紙容器(1)として用いることが可能になる。
【0032】
また、プラスチック層(8)は、さらに紙容器外側になる面にも設けることができ、表裏両面にプラスチック層が設けられる場合には、積層体(7)同士のシールが可能になり、例えば箱型や円筒形の紙容器の組み立てが可能である。この紙容器組み立てのためのシールは、例えばヒートシールによって行うことが可能である。
【0033】
スパウト(2)はフランジ(5)の容器外側に向ける面を、紙容器内側(6)のプラスチック層(8)にシール部(9)でシールされて装着されている。キャップの螺合でスパウト(10)の注ぎ口(4)を覆った場合には、液体用紙容器(1)は密封される。本発明はこのシール部(9)の超音波シールを行うための、超音波シール装置及び超音波シール方法である。
【0034】
図3は、本発明に係る超音波シール装置に関して、一実施態様を示すとともに、実施例1を説明するための部分断面模式図である。
【0035】
本発明は、プラスチックの成型品からなるスパウト(10)を、紙容器に装着する超音波シール装置(100)及びシール方法である。
【0036】
本発明による超音波シール装置(100)は、受台(21)と、超音波を発するするホーン(31)と、スパウト(10)の根本部分(11)を支持する下支え部分(41)とから構成される。
【0037】
図3に示す例においては、円筒形の受台(21)が上方から、円筒形のホーン(31)が下方から挟み込む例であって、受台(21)、およびその円筒形の端面(22)、ホーン(31)の先端部のリング状の凸形状(32)、その内側に円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0038】
すなわち、受台(21)とホーン(31)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面(22)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0039】
一方、フランジ(5)に容器内側から接するホーン(31)は、リング状の凸形状(32)を有して下方から接するのであり、このリング状の凸形状(32)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が設けてある。この下支え部分(41)が設けてあることによって、スパウト(10)が下方から保持され、安定した超音波シールが可能になる。
【0040】
すなわち本発明においては、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧する部分の、一方がアンビルとも呼ばれる受台(21)となり、もう一方が超音波を発するホーン(31)であればよく、受台(21)とホーン(31)は、形状および位置関係は
図3のままで、機能、役割が入れ替わるのでも構わない。この機能、役割が入れ替わった状態の実施態様については、
図4~
図6を用いて後述する。
【0041】
また、本発明においては、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることとする。
これは我々が本発明を鋭意検討する過程で見出したものである。
【0042】
すなわち、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)を備えて、クリアランスC1とクリアランスC2の関係がこの範囲にあるとき、スパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0043】
具体的には、超音波シール後の、積層体(7)表面の窪みがなく、シール部分のピンホールの発生がなく、紙容器からのスパウト(10)の飛び出しのばらつきの少ない、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0044】
図4は、本発明に係る超音波シール装置に関して、他の実施態様を示すとともに、実施例2を説明するための部分断面模式図である。
【0045】
本発明は、プラスチックの成型品からなるスパウト(10)を、紙容器に装着する超音波シール装置(100)及びシール方法である。
【0046】
図4に示す例においては、
図3に示す例と異なりホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその円筒形の端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、および円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0047】
ただし、
図4に示す例においては、リング状の凸形状(23)の部分の内側にもう一つのリング状の凸部があって、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する、円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。
【0048】
本発明においては、リング状の凸形状が2ある場合に、内側のリング状の凸形状の頂点と、円盤状の下支え部分の端部とが連続して、これらを一体に形成することが可能である。
【0049】
また、
図4に示す例においては、リング状の凸形状(23)の頂点と、円盤状の下支え部分(41)の高さは同等に設けられている。
【0050】
すなわち、下からの受台(21)と上からのホーン(31)とで、フランジ(5)と紙
容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)によって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0051】
また
図4に示す例においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)を有しており、また、リング状の凸形状(23)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。この部分は
図3において示す例とは異なっている。
【0052】
しかしながら、紙容器外側からのホーン(31)または受け台(21)の円筒形端面によるフラットな抑え込み、ホーン(31)または受け台(21)のリング状の凸形状、下支え部分(41)による構成は共通しているのであって、この超音波シール装置(100)の構造が本発明を特徴づけ、本発明が課題とするところのスパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)及び超音波シール方法の実現を可能にしている。
【0053】
また、本発明においては、ホーンの円筒形の端面(33)と下支え部分(41)とのクリアランスをC
1、ホーンの円筒形の端面(33)とリング状の凸形状(23)の部分の頂点とのクリアランスをC
2としたとき、
0mm≦(C
1-C
2)≦0.2mm
であることとする。
前述のように、これは我々が本発明を鋭意検討する過程で見出したものである。
かつ、
図4に示す例においては、C
1=C
2である。
【0054】
すなわち、この実施態様においても、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)を、リング状の凸形状(23)と一体に備えて、クリアランスC1とクリアランスC2の関係がこの範囲にあるとき、スパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0055】
具体的には、超音波シール後の、表面の窪みがなく、シール部分のピンホールの発生がなく、紙容器からのスパウト(10)の飛び出しのばらつきの少ない、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0056】
図5は、本発明に係る超音波シール装置に関して、さらに他の実施態様を示すとともに、実施例3を説明するための部分断面模式図である。
【0057】
本発明は、プラスチックの成型品からなるスパウト(10)を、紙容器に装着する超音波シール装置(100)及びシール方法である。
【0058】
図5に示す例においては、
図4に示す例と同様にホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、その内側にもうひとつリング状の凸形状(24)、および円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0059】
また、
図5に示す例においては、リング状の凸形状(24)の部分の内側に、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が、
連続して一体に形成されている。
【0060】
すなわち、
図4に示す例と同様に、下からの受台(21)と上からのホーン(31)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0061】
本発明において、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を1または2設けることができ、
図5に示す例においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)、およびリング状の凸形状(24)を同心円状に有している。この部分は
図4において示す例とは異なっている。
【0062】
また、リング状の凸形状(24)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。この部分は
図4において示す例と同様である。
【0063】
本発明においては、リング状の凸形状が2ある場合に、内側のリング状の凸形状の頂点と、円盤状の下支え部分の端部とが連続して、これらを一体に形成することが可能である。
【0064】
しかしながら、紙容器外側からのホーン(31)または受け台(21)の円筒形端面によるフラットな抑え込み、ホーン(31)または受け台(21)のリング状の凸形状、下支え部分(41)による構成は共通しているのであって、この超音波シール装置(100)の構造が本発明を特徴づけ、本発明が課題とするところの、スパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)及び超音波シール方法の実現を可能にしている。
【0065】
また、本発明においては、ホーンの円筒形の端面(33)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、ホーンの円筒形の端面(33)とリング状の凸形状(23)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることとする。
前述のように、これは我々が本発明を鋭意検討する過程で見出したものである。
【0066】
すなわち、この実施態様においても、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)を、リング状の凸形状(23)と連続して一体に備えて、クリアランスC1とクリアランスC2の関係がこの範囲にあるとき、スパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0067】
具体的には、超音波シール後の、表面の窪みがなく、シール部分のピンホールの発生がなく、紙容器からのスパウト(10)の飛び出しのばらつきの少ない、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0068】
図6は、本発明に係る超音波シール装置に関して、その他の実施態様を示すとともに、実施例4を説明するための部分断面模式図である。
【0069】
本発明は、プラスチックの成型品からなるスパウト(10)を、紙容器に装着する超音波シール装置(100)及びシール方法である。
【0070】
図6に示す例においては、
図4および
図5に示す例と同様に、ホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその円筒形の端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、および円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0071】
ただし、
図6に示す例においては、リング状の凸形状(23)の部分の内側にもう一つのリング状の凸部があって、スパウト(5)の根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。この構造は、
図4に示す例と同様である。
【0072】
図6に示す例においても、
図4および
図5に示す例と同様に、下からの受台(21)と上からのホーン(31)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0073】
また
図6に示す例においては、
図4に示す例と同様に、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)を有しており、また、リング状の凸形状(23)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する、円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。
【0074】
但し
図6に示す例においては、リング状の凸形状(23)の頂点に比べて、円盤状の下支え部分(41)のほうが低く形成されている。また、下支え部分(41)は、その円盤状の端部の立ち上がりは、
図4に示す例が垂直に立ち上がっているのに対し、
図6に示す例においては、勾配を有して立ち上がっている。これら部分は
図4に示す例とは異なっている。
【0075】
しかしながら、紙容器外側からのホーン(31)または受け台(21)の円筒形端面によるフラットな抑え込み、ホーン(31)または受け台(21)のリング状の凸形状、下支え部分(41)による構成は共通しているのであって、この超音波シール装置(100)の構造が本発明を特徴づけ、本発明が課題とするところの、スパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)及び超音波シール方法の実現を可能にしている。
【0076】
また、本発明においては、ホーンの円筒形の端面(33)と下支え部分(41)とのクリアランスをC
1、ホーンの円筒形の端面(33)とリング状の凸形状(23)の部分の頂点とのクリアランスをC
2としたとき、
0mm≦(C
1-C
2)≦0.2mm
であることとする。
前述のように、これは我々が本発明を鋭意検討する過程で見出したものである。
かつ、
図6に示す例においては、C
1>C
2である。
【0077】
すなわち、この実施態様においても、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)を、リング状の凸形状(23)と連続して一体に備えて、クリアランスC1とクリアランスC2の関係がこの範囲にあるとき、スパウト
(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0078】
具体的には、超音波シール後の、表面の窪みがなく、シール部分のピンホールの発生がなく、紙容器からのスパウト(10)の飛び出しのばらつきの少ない、超音波シール装置(100)とすることができる。
【0079】
また、このような超音波シール装置(100)を用いて、プラスチック製のスパウト(10)の根本部分のフランジ(5)と、紙を基材として少なくとも容器内側となる面にプラスチック層(8)を有する積層体を、フランジ(5)の容器外側に向ける面と、紙容器内側のプラスチック層(8)とを対向させて重ねた状態で、受台(21)とホーン(31)とで挟み込んで加圧し、超音波シールを行うことによる、安定した超音波シール方法を提供することが可能である。
【0080】
したがって、本発明によってスパウト(10)の紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置(100)及び超音波シール方法の提供が可能であって、超音波シール後の、表面の窪みがなく、シール部分のピンホールの発生がなく、紙容器からのスパウト(10)の飛び出しのばらつきの少ない、液体用紙容器(1)の実現が可能である。
【0081】
すなわち本発明によれば、本発明が課題とするところの、スパウトの紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供を実現することが可能である。
【実施例0082】
以下本発明を、実施例1~実施例4、及び比較例1~比較例3によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0083】
液体用紙容器(1)とスパウト(10)を超音波シールするための、超音波シール装置(100)を作成し、作成した超音波シール装置(100)を用いて、紙容器に対して注ぎ口となるスパウト(10)の装着を実施して、シール部分の外観について、その出来栄えを評価した。
【0084】
なお紙容器として、紙を基材として熱可塑性樹脂層を有する積層体からなる、キューブパック(登録商標・凸版印刷株式会社製)を用いた。
【0085】
評価項目および評価基準は下記のとおりである。
1.(表面窪み):
窪みありを×評価とした。 窪みなしを〇評価とした。
【0086】
2.(ピンホールの発生):
スパウトが部分的に破壊され、ピンホールが1%以上発生したものを×評価とした。
【0087】
3.(スパウトの飛び出し量のばらつき)(n=20 最大値-最小値):
0.5mm以下を〇評価 0.5mmを超えるものを×評価とした。
【0088】
4.(総合評価):
上記表面窪み、ピンホールの発生、スパウトの飛び出し量のばらつきの、三項目の評価項目すべてが〇評価である場合に、総合評価を〇評価、それ以外を×評価とした。
【0089】
<実施例1>
図3は、本発明に係る超音波シール装置に関して、その実施態様のひとつである実施例1を説明するための部分断面模式図である。
【0090】
実施例1において超音波シール装置(100)の構成は、受台(21)が上方から、ホーン(31)が下方から挟み込む例であって、受台(21)、およびその端面(22)、ホーン(31)の先端部のリング状の凸形状(32)、その内側に円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0091】
すなわち、受台(21)とホーンとで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面(22)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0092】
また実施例1において、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、リング状の凸形状(32)を有しており、また、リング状の凸形状(32)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が独立して設けてある。
【0093】
また、本発明においては、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることとするが、実施例1では、この範囲内の下限である0mmとした。
【0094】
<実施例2>
図4は、本発明に係る超音波シール装置に関して、その実施態様のひとつである実施例2を説明するための部分断面模式図である。
【0095】
実施例2において超音波シール装置(100)の構成は、実施例1と異なりホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその円筒形の端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、および円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0096】
ただし、実施例2においては、リング状の凸形状(23)の部分の内側に、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体となって形成されている。
【0097】
すなわち、下からの受台(21)と上からのホーン(31)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0098】
また実施例2においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)を有しており、また、リング状の凸形状(23)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。この部分は実施例1とは異なっている。
【0099】
また、本発明においては、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることとするが、実施例2では、この範囲内の下限である0mmとした。
【0100】
<実施例3>
図5は、本発明に係る超音波シール装置に関して、その実施態様のひとつである実施例3を説明するための部分断面模式図である。
【0101】
実施例3において超音波シール装置(100)の構成は、実施例1に示す例と異なりホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、その内側にもうひとつリング状の凸形状(24)、および円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0102】
また、
図5に示す例においては、リング状の凸形状(24)の部分の内側に、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が一体となって形成されている。
【0103】
すなわち、下からの受台(21)と上からのホーン(31)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0104】
本発明において、フランジに容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を1または2設けることができ、
図5に示す例においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)、およびリング状の凸形状(24)を有している。この部分は実施例2とは異なっている。
【0105】
また、リング状の凸形状(24)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体に形成されて設けてある。この部分は実施例1とは異なっている。
【0106】
また、本発明においては、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることとするが、実施例3では、この範囲内の上限である0.2mmとした。
【0107】
<実施例4>
図6は、本発明に係る超音波シール装置に関して、その実施態様のひとつである実施例4を説明するための部分断面模式図である。
【0108】
実施例4において超音波シール装置(100)の構成は、実施例1と異なりホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、および円盤状の下支え部分(41)が示されている。
【0109】
ただし、実施例4においては、リング状の凸形状(23)の部分の内側に、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して一体となって形成されている。
【0110】
すなわち、下からの受台(21)と上からのホーン(31)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0111】
また実施例4においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)を有しており、また、リング状の凸形状(23)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が一体に形成されて設けてあるが、この部分は実施例2、及び実施例3とは形状が異なっている。
【0112】
また、本発明においては、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、
0mm≦(C1-C2)≦0.2mm
であることとするが、実施例4では、この範囲内の上限である0.2mmとした。
【0113】
<比較例1>
図7は、本発明に係る超音波シール装置に関して、比較例1を説明するための部分断面模式図である。
【0114】
比較例1において超音波シール装置(100)の構成は、ホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)の円筒形の端面には、リング状の凸形状(34)が形成されている。また、受台(21)の表面はフラットであり、スパウトの根本部分(11)を支える下支え部分(41)が示されている。
【0115】
すなわち、ホーン(31)と受台(21)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は、ホーン(31)のリング状の凸形状(34)である。
【0116】
このリング状の凸形状(34)が、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介して抑えることができる。しかしながら、本発明においては、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面としているのであって、それによってフランジ(5)を、紙容器の積層体を介してフラットに抑えることを特徴のひとつとしているのであって、リング状の凸形状(34)による容器外側、すなわち上方からの抑えは本発明を逸脱する部分である。
【0117】
また比較例1において、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、フラットな表面の受台(21)であり、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する下支え部分(41)が連続して一体に形成されている。
【0118】
しかしながら、本発明においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、リング状の凸形状の部分を1または2有しているのであって、フラットな下方からの受台(21)は本発明を逸脱する部分である。
【0119】
<比較例2>
図8は、本発明に係る超音波シール装置に関して、比較例2を説明するための部分断面模式図である。
【0120】
比較例2において超音波シール装置(100)の構成は、受台(21)が上方から、ホーン(31)が下方から挟み込む例であって、受台(21)、およびその端面(22)、ホーン(31)の先端部のリング状の凸形状(32)が示されている。
【0121】
すなわち、受台(21)とホーンとで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面(22)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0122】
また比較例2において、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、リング状の凸形状(32)を有している。
【0123】
しかしながらリング状の凸形状(32)の部分の円形の内側にスパウトの根本部分(11)の下支え部分は設けていない。比較例2はこの点において本発明の規定するところを逸脱するものである。
【0124】
<比較例3>
図9は、本発明に係る超音波シール装置に関して、比較例3を説明するための部分断面模式図である。
【0125】
比較例3において超音波シール装置(100)の構成は、受台(21)が上方から、ホーン(31)が下方から挟み込む例である。スパウト(10)の根本部分(11)の下には、下支え部分(41)が示されている。
【0126】
ただし、比較例3においては、リング状の段差(35)のピークと連続して、その内側に、スパウトの根本部分を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が連続して形成されている。
【0127】
すなわち、下からのホーン(31)と上からの受台(21)とで、フランジ(5)と紙容器の積層体(7)とを重ねた状態で挟み込んで加圧し、超音波によるシールを行なうものであって、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は受台の円筒形の端面(22)であって、フランジ(5)を、紙容器の積層体(7)を介してフラットに抑えることができる。
【0128】
また比較例3においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、ホーン(31)のリング状の段差(35)が形成されている。
【0129】
しかしながら、リング状の凸形状(32)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が、リング状の段差(35)の高さと同じ高さに連続して設けてある。すなわちピークが形成されているとは言えないのであって、比較例3が本発明の規定する範囲を逸脱する部分である。
【0130】
評価結果を表1に示す。
【0131】
【0132】
表1に示す結果から明らかなように、本発明による実施例1~実施例4の超音波シール装置(100)においては、表面窪み、ピンホールの発生、スパウトの飛び出し量のばらつき、のすべての評価項目において〇評価であり、したがって総合評価において〇評価である。
【0133】
それに対し、本発明を逸脱するところのある比較例1~比較例3の超音波シール装置(100)においては、評価項目のいずれかに×評価があって、その結果総合評価が×評価となっている。
【0134】
すなわち、本発明によればスパウトの紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能であることを示している。
【0135】
以下、さらに本発明による実施例1~実施例4について、それぞれに詳細な考察を加える。
【0136】
実施例1において超音波シール装置の構成は、
図3に示すように受台(21)が上方から、ホーン(31)が下方から挟み込む例であって、受台(21)、およびその端面(22)、ホーン(31)の先端部のリング状の凸形状(32)、その内側に円盤状の下支え部分(41)設けられている。円盤状の下支え(41)は本発明において必須であり、安定した超音波シールに効果的である。
【0137】
すなわち、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分は円筒形の端面(22)であって、フランジ(5)を紙容器の積層体(7)を介して、フラットに抑えることができる。その結果、表面窪みを発生することなく〇評価となっている。
【0138】
また実施例1において、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、リング状の凸形状(32)を有しており、また、リング状の凸形状(32)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が設けてある。
【0139】
これによって、スパウト(10)に歪を与えることなく、安定した超音波シールが可能な装置となり、ピンホールの発生を抑え、スパウト(10)の紙容器からの飛び出し量のばらつきを小さくすることができ、いずれも〇評価となっている。
【0140】
また、実施例1において、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、本発明において規定する、0mm≦(C1-C2)≦0.2mmの範囲内であって、安定した超音波シールが可能な装置の実現に効果的である。
【0141】
実施例2において超音波シール装置の構成は、実施例1と異なりホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、および円盤状の下支え部分(41)が設けられている。円盤状の下支え(41)は本発明において必須であり、安定した超音波シールに効果的である。
【0142】
すなわち、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を紙容器の積層体(7)を介して、フラットに抑えることができる。その結果、表面窪みを発生することなく〇評価となっている。
【0143】
また実施例2においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)を有しており、また、リング状の凸形状(23)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が一体に形成されて設けてある。
【0144】
この部分は実施例1とは形状は異なっているが、これによって、スパウト(10)に歪を与えることなく、安定した超音波シールが可能な装置となり、ピンホールの発生を抑え、スパウトの(10)の紙容器からの飛び出し量のばらつきを小さくすることができ、いずれも〇評価となっている。
【0145】
また、実施例2において、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、本発明において規定する、0mm≦(C1-C2)≦0.2mmの範囲内であって、安定した超音波シールが可能な装置の実現に効果的である。
【0146】
実施例3において超音波シール装置の構成は、実施例2と同様にホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、その内側にもうひとつリング状の凸形状(24)、および円盤状の下支え部分(41)が設けられている。円盤状の下支え(41)は本発明において必須であり、安定した超音波シールに効果的である。
【0147】
すなわち、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を紙容器の積層体(7)を介して、フラットに抑えることができる。その結果、表面窪みを発生することなく〇評価となっている。
【0148】
また、実施例3においては、リング状の凸形状(24)の部分の内側に、円盤状の下支え部分(41)が一体となって形成されて設けてあり、この部分は実施例2の形状とは異なっているものの効果は同様であり、これによって、スパウト(10)に歪を与えることなく、安定した超音波シールが可能な装置となり、ピンホールの発生を抑え、スパウト(10)の紙容器からの飛び出し量のばらつきを小さくすることができ、いずれも〇評価となっている。
【0149】
また、実施例3において、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、本発明において規定する、0mm≦(C1-C2)≦0.2mmの範囲内であって、安定した超音波シールが可能な装置の実現に効果的である。
【0150】
実施例4において超音波シール装置の構成は、実施例2及び実施例3と同様にホーン(31)が上方から、受台(21)が下方から挟み込む例であって、ホーン(31)およびその端面(33)、受台(21)の先端部のリング状の凸形状(23)、および円盤状の下支え部分(41)が設けられている。円盤状の下支え(41)は本発明において必須であり、安定した超音波シールに効果的である。
【0151】
すなわち、挟み込みにおいて、紙容器に容器外側から接する部分はホーン(31)の円筒形の端面(33)であって、フランジ(5)を紙容器の積層体(7)を介して、フラットに抑えることができる。その結果、表面窪みを発生することなく、したがって〇評価と
なっている。
【0152】
また実施例4においては、フランジ(5)に容器内側から接する部分には、受台(21)のリング状の凸形状(23)を有しており、また、リング状の凸形状(23)の部分の円形の内側には、スパウト(10)の根本部分(11)を紙容器内側から支持する円盤状の下支え部分(41)が一体に形成されて設けてある。
【0153】
この部分は実施例1とは形状は異なっているが、これによって、スパウト(10)に歪を与えることなく、安定した超音波シールが可能な装置となり、ピンホールの発生を抑え、スパウト(10)の紙容器からの飛び出し量のばらつきを小さくすることができ、いずれも〇評価となっている。
【0154】
また、実施例4において、円筒形の端面(22)と下支え部分(41)とのクリアランスをC1、円筒形の端面(22)とリング状の凸形状(32)の部分の頂点とのクリアランスをC2としたとき、本発明において規定する、0mm≦(C1-C2)≦0.2mmの範囲内であって、安定した超音波シールが可能な装置の実現に効果的である。
【0155】
このようにして、本発明によればスパウトの紙容器への装着を、表面窪みやピンホールの発生など外観を損ねることなく、安定して超音波シールすることが可能な、超音波シール装置及び超音波シール方法の提供が可能であることを検証することができた。