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  • 特開-再封可能な包装袋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064634
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】再封可能な包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/22 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B65D33/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173369
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有本 共行
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA30
3E064HN06
3E064HP10
(57)【要約】
【課題】簡略な工程で製造できる再封可能な包装袋を提供すること。
【解決手段】基材フィルム11,21にシーラント層12,22を積層した表裏のフィルムを重ねて、その左側縁部、右側縁部及び天部にシール線a,b,cを設けて包装袋100とする。これら表裏のフィルムのうち、一方のフィルム20の天部側端縁20を越えて、他方のフィルム10が延出しており、この延出領域10に再封用接着剤層30を設ける。この再封用接着剤層30は袋外面の前記基材フィルム21に対して接着と剥離とを繰り返し可能なものである。そして、前記シーラント層12,22としてシール温度に応じてシール強度が異なる性質を有するものを使用し、天部シール線cのシール強度を左右側縁部シール線a,bのシール強度より小さくする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムにシーラント層を積層した表裏のフィルムを重ねて、その左側縁部、右側縁部及び天部にシール線を設けて構成した包装袋であって、
前記表裏のフィルムのうち、一方のフィルムの天部側端縁を越えて、他方のフィルムが延出しており、この延出領域に再封用接着剤層が設けられていると共に、この再封用接着剤層が、袋外面の前記基材フィルムに対して接着と剥離とを繰り返し可能である再封可能な包装袋において、
前記天部シール線を構成するシーラント層と前記左右側縁部シール線を構成するシーラント層とが同一の層であり、かつ、天部シール線のシール強度が左右側縁部シール線のシール強度より小さいことを特徴とする再封可能な包装袋。
【請求項2】
前記シーラント層がシール温度に応じてシール強度が異なる性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記天部シール線が剥離容易なシール強度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
底部が内容物充填用開口部とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記一方のフィルムの天部側端縁と天部シール線との間に摘み片を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再封可能な包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
再封可能な包装袋としては、プラスチックファスナーを装着した包装袋が著名である。しかし、これ以外の包装袋も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の包装袋も、プラスチックファスナーを利用することなく、一旦開封した後再封が可能であり、また、この開封と再封とを繰り返すことを可能としたものである。
【0004】
この特許文献1に第2実施形態として記載の包装袋は、表裏のフィルムを重ねて、その左側縁部、右側縁部及び天部にシール線を設けて構成した包装袋であって、前記表裏のフィルムのうち、一方のフィルムの天部側縁部を越えて、他方のフィルムが延出しており、この延出領域に再封用の粘着剤層を設けたものである。この包装袋は天部シール線が剥離容易に構成されており、この天部シール線で表裏のフィルムを剥離することにより開封することができる。そして、前記他方のフィルムの延出領域を折り返して前記一方のフィルムの外面に重ね、前記粘着剤層で接着することにより再封することができる。こうして粘着剤層で接着して再封した包装袋はもう一度開封することができる。もちろん、この再封と開封とは何度も繰り返すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6246485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、特許文献1に記載の包装袋は、天部シール線で表裏のフィルムを剥離することにより開封するものであるが、このとき、左右の側縁部シール線は剥離してはならない。このため、天部シール線はそのシール強度が小さく、剥離容易に構成されているが、他方、左側縁部シール線と右側縁部シール線との両者はそのシール強度が大きく、剥離困難に構成されている必要がある。
【0007】
このため、特許文献1に記載の包装袋では、天部シール線を構成するシーラント層と左右両側縁部シール線を構成するシーラント層とを別のシーラント層とし、これらをそれぞれパートコートして設けていた。そして、このため、特許文献1に記載の包装袋では、これら2種類のシーラント層を準備する必要があり、また、別個に塗布するという二度手間を要していた。
【0008】
そこで、本発明は、このような複数のシーラント層を準備する必要がなく、また、二度手間を要することもなく、簡略な工程で製造できる再封可能な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、基材フィルムにシーラント層を積層した表裏のフィルムを重ねて、その左側縁部、右側縁部及び天部にシール線を設けて構成した包装袋であって、
前記表裏のフィルムのうち、一方のフィルムの天部側端縁を越えて、他方のフィルムが延出しており、この延出領域に再封用接着剤層が設けられていると共に、この再封用接着剤層が、袋外面の前記基材フィルムに対して接着と剥離とを繰り返し可能である再封可能な包装袋において、
前記天部シール線を構成するシーラント層と前記左右側縁部シール線を構成するシーラント層とが同一の層であり、かつ、天部シール線のシール強度が左右側縁部シール線のシール強度より小さいことを特徴とする再封可能な包装袋である。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、前記シーラント層がシール温度に応じてシール強度が異なる性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0011】
次に、請求項3に記載の発明は、前記天部シール線が剥離容易なシール強度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装袋である。
【0012】
次に、請求項4に記載の発明は、底部が内容物充填用開口部とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の包装袋である。
【0013】
次に、請求項5に記載の発明は、前記一方のフィルムの天部側端縁と天部シール線との間に摘み片を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、天部シール線を構成するシーラント層と前記左右側縁部シール線を構成するシーラント層とが同一の層であり、この単一のシーラント層によりシール強度が小さい天部シール線とシール強度が大きい両側縁部シール線の両者を形成するため、天部シール線を構成するシーラント層と左右両側縁部シール線を構成するシーラント層とを別のシーラント層とを別個に準備する必要がなく、また、別個にパートコートする必要もない。そして、このため、簡略な工程で製造できるのである。
【0015】
そして、このように天部シール線のシール強度を小さいが、両側縁部シール線のシール強度を大きくしたため、内容物充填用開口部から充填する際の天部シール線の耐性を保持させ、しかも、天部シール線の開封性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の包装袋の具体例に係り、図1(a)はその説明用正面図、図1(b)は説明用分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本開示の具体例を説明する。図1は本発明の包装袋の具体例に係り、図1(a)はその説明用正面図、図1(b)は説明用分解断面図である。
【0018】
これらの図から分かるように、この包装袋100は、表側フィルム10と裏側フィルム20とで構成されており、表側フィルム10は基材フィルム11にシーラント層12を積層して構成されている。同様に、裏側フィルム20も基材フィルム21にシーラント層22を積層して構成されている。なお、これらの図から分かるように、シーラント層12は基材フィルム11の全面に一様に積層されており、同様に、シーラント層22も基材フィルム21の全面に一様に積層されている。
【0019】
これら表側フィルム10と裏側フィルム20とは互いに重ね合わされ、所定の位置にシール線を設けて一体化されている。
【0020】
まず、表側フィルム10と裏側フィルム20とは、いずれも、長方形に形状を有している。その幅、すなわち、短辺方向の長さは同一である。このため、表側フィルム10と裏側フィルム20とを互いに重ね合わせたとき、その両側縁は一致する。そして、この両側縁に沿って両フィルム10,20がヒートシールされ、左側縁部シール線a及び右側縁部シール線bとが構成されている。
【0021】
一方、その高さ、すなわち、長辺方向の長さは、裏側フィルム20より表側フィルム10の方が長い。このため、表側フィルム10の底部側端縁と裏側フィルム20の底部側端縁とが一致するように両フィルム10,20を互いに重ね合わせたとき、裏側フィルム20の天部側端縁20を越えて、表側フィルム10が延出している。図中、10は表側フィルム10の天部側端縁を示し、10はこれら裏側フィルム20の天部側端縁20と表側フィルム10の天部側端縁10との間の領域、すなわち、表側フィルム10の前記延出領域を示している。また、10は両フィルム10,20が重ねられた重畳領域を示している。
【0022】
そして、この重畳領域10の天部近傍で、表側フィルム10と裏側フィルム20とは互いにヒートシールされ、天部シール線cを構成している。なお、天部シール線cは裏側フィルム20の天部側端縁20に接するように配置されていてもよいが、図1(a)に図示のように、天部側端縁20から距離を開けて天部シール線cを配置することが望ましい。天部側端縁20と天部シール線cとの間の領域20は、この天部シール線cで表側フィルム10と裏側フィルム20とを剥離する際の摘み片として有用である。
【0023】
以上のように、表側フィルム10と裏側フィルム20とは、3本のシール線で互にシールされている。これら3本のシール線のうち、天部シール線cはそのシール強度が小さく、包装袋100の開封の際に表裏のフィルム10,20を容易に剥離できるように構成されている。これに対し、左右の両側縁部シール線a,bはそのシール強度が大きく、天部シール線cで表裏のフィルム10,20を互に剥離して開封する際にも、この左右の両側縁部シール線a,bでは剥離しないように構成されている。
【0024】
なお、前述のように、シーラント層12及びシーラント層22は、それぞれ、基材フィルム11及び基材フィルム21の全面に一様に積層されているから、シール強度の小さい天部シール線cとシール強度の大きい両側縁部シール線a,bとは、どちらもシーラント層12とシーラント層22との間のヒートシールによって構成されている。
【0025】
このように同一のシーラント層12,22を使用してシール強度の異なる天部シール線cと両側縁部シール線a,bとを形成するためには、これらシーラント層12,22として、シール温度に応じてシール強度が異なる性質を有するシーラント層を使用すればよい。
【0026】
このようなシーラント層としては、例えば、ジェイフィルム(株)製IMX-Aを使用することができる。例えば、厚さ30μmのIMX-Aをシーラント層12,22として、これらシーラント層12,22同士を向かい合わせてヒートシールしたとき、そのシール温度が120℃のときにはシール強度が2N/15mm程度であるが、シール温度の上昇と共にシール強度も上昇し、150℃のシール温度で3N/15mmより大きいシール強度となり、シール温度が170℃のときには4N/15mm程度のシール強度となる。また、厚さ50μmのIMX-Aをシーラント層12,22として、これらシーラント層12,22同士を向かい合わせてヒートシールしたときには、シール温度が120℃のときにはシール強度が3N/15mmより大きく、130℃のシール温度で約4N/15mmのシール強度となり、シール温度が160℃のときには5N/15mm程度のシール強度となる。
【0027】
次に、この包装袋100においては、前記延出領域10に再封用接着剤層30が設けられている。この再封用接着剤層30は、包装袋100を開封した後、再封する際にその機能を発揮するものである。すなわち、裏側フィルム20の天部側端縁20の近傍で表側フィルム10又は表側フィルム10と裏側フィルム20の両者を折り曲げて、この再封用接着剤層30を裏側フィルム20の外面、すなわち、裏側フィルム20の基材フィルム21に接着することにより、包装袋100を再封することができる。なお、こうして基材フィルム21に接着した再封用接着剤層30を剥離することにより、包装袋100を再度開封することができる。もちろん、この接着と剥離とは何度も繰り返すことが可能である。このような再封用接着剤層30は、周知の粘着剤や感圧接着剤を塗布して形成することが可能である。もちろん、この再封用接着剤層30は、その表面に剥離シートを貼り合わせて保護しておくこともできる。
【0028】
次に、この例では、包装袋100の底部は内容物充填用の開口部dとしている。内容物をこの開口部から包装袋100に充填し、次にこの開口部dをシールすることにより、包装袋100を密封することができる。内容物を充填する際、天部シール線aにこれを剥離する応力が働くが、この天部シール線aから延出領域10が延出しているため、この応力を受け止めて天部シール線aが剥離することはない。内容物の充填の際、天部側端縁20の近傍で表側フィルム10又は表側フィルム10と裏側フィルム20の両者を折り曲げてもよい。このように表側フィルム10や両フィルム10,20を折り曲げた状態で内容物を充填することにより、天部シール線aにおける剥離を一層生じ難いものとすることが可能である。
【0029】
以上の説明から明らかなように、この包装袋100は次のように使用することができる。すなわち、まず、開口部dから内容物を収容し、この開口部dをシールして密封した包装体とすることができる。
【0030】
こうして密封した包装体は、表側フィルム10の前記延出領域10と裏側フィルム20の前記摘み片20とをそれぞれ摘まんで反対側に引っ張ることにより、天部シール線cにおいて表裏のフィルム10,20を剥離して開封することができる。そして、一部の内容物を取り出した後、再封する際には、天部側端縁20の近傍で表側フィルム10又は表裏の両フィルム10,20を折り曲げて、この再封用接着剤層30を裏側フィルム20の外面に接着すればよい。このように接着した再封用接着剤層30が剥離できること、この接着と剥離とは何度も繰り返すことができることは、前述のとおりである。
【0031】
次に、表裏の両フィルム10,20の基材フィルム11,21としては、機械的強度や寸法安定性を有するフィルムを好ましく使用できる。例えば、各種二軸延伸フィルムである。その材質としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル、ポリイミド等が例示できる。また、これら各種材質のフィルムを積層し、その他のフィルムを積層した多層構造のフィルムであってもよく、更に、蒸着層や印刷層を設けたフィルムを基材フィルム10,20としてもよい。
【0032】
その他のフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔等の金属箔を例示できる。その層構成中に金属箔を含む基材フィルム11,21は、水蒸気や酸素ガス等のバリア性に優れている。
【0033】
次に、蒸着層としては、アルミニウム等の金属を蒸着して形成した金属蒸着層の他に、無機物を材質とする無機蒸着層を利用することができる。無機物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの
金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。これら金属蒸着層又は無機蒸着層をその層構成中に含む基材フィルム11,21も、水蒸気や酸素ガス等のバリア性に優れている。
【符号の説明】
【0034】
100:包装袋
10:表側フィルム 11:基材フィルム 12:シーラント層
10:重畳領域 10:延出領域 10:天部側端縁
20:裏側フィルム 21:基材フィルム 22:シーラント層
20:重畳領域 20:摘み片 20:天部側端縁
a:左側縁部シール線 b:右側縁部シール線 c:天部シール線 d:開口部
30:再封用接着剤層
図1