(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064637
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ケア支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20220419BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173372
(22)【出願日】2020-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】319004216
【氏名又は名称】株式会社シェルパ
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】 経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランの作成又はケアの実施を行うことができるケア支援システムを提供する。
【解決手段】 ケア支援装置100は、ケア対象者の基礎情報を入力し、入力した基礎情報に対応する希望の推奨候補を表示し、表示した希望からいずれかを入力し、入力した希望を実現するための目標の候補を表示し、表示した目標からいずれかを入力し、入力した目標を達成する上での1又は複数の課題を表示し、表示した課題からいずれかを入力し、入力した課題を解決するために必要な1又は複数の実施事項を表示し、表示した実施事項からいずれかを入力し、ケア対象者の氏名、入力した希望、目標、課題及び実施事項を含むケア管理情報を記憶装置42に登録する。そして、記憶装置42のケア管理情報に基づいて、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題及び実施事項を表示する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケア実施者がケア対象者をケアすることを支援するケア支援システムであって、
第1ケア対象者の属性を示す対象者属性情報を取得する属性情報取得手段と、
前記ケア対象者の1又は複数の希望を示す希望情報を、当該ケア対象者の属性と対応付けて記憶する希望情報記憶手段から、前記属性情報取得手段で取得した対象者属性情報に基づいて、前記第1ケア対象者と同一の又は所定関係を有する属性に対応する1又は複数の前記希望情報を取得し、取得した希望情報に基づいて、前記第1ケア対象者について推奨される1又は複数の希望を提示する推奨希望提示手段と、
前記推奨希望提示手段で提示した希望からいずれかを入力する希望入力手段と、
前記第1ケア対象者を識別するための識別情報を入力する識別情報入力手段と、
前記識別情報入力手段で入力した識別情報及び前記希望入力手段で入力した希望を含むケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録するケア管理情報登録手段と、
前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記識別情報及び前記希望を提示するケア管理情報提示手段と、を備えることを特徴とするケア支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケア対象者の希望と対応づけて、当該希望を実現するための1又は複数の目標を示す目標情報を記憶する目標情報記憶手段の前記目標情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための1又は複数の目標を提示する目標提示手段と、
前記目標提示手段で提示した目標からいずれかを入力する目標入力手段と、
前記目標情報に係る目標と対応づけて、当該目標を達成する上での1又は複数の課題を示す課題情報を記憶する課題情報記憶手段の課題情報に基づいて、前記目標入力手段で入力した目標を達成する上での1又は複数の課題を提示する課題提示手段と、
前記課題提示手段で提示した課題からいずれかを入力する課題入力手段と、を備え、
前記ケア管理情報登録手段は、前記目標入力手段で入力した目標及び前記課題入力手段で入力した課題をさらに含む前記ケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録し、
ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記目標及び前記課題をさらに提示することを特徴とするケア支援システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記ケア対象者の希望と対応づけて、当該希望を実現するための1又は複数の目標を示す目標情報を記憶する目標情報記憶手段の前記目標情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための1又は複数の目標を提示する目標提示手段と、
前記目標提示手段で提示した目標からいずれかを入力する目標入力手段と、
前記目標情報に係る目標と対応づけて、当該目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を示す実施事項情報を記憶する実施事項情報記憶手段の前記実施事項情報に基づいて、前記目標入力手段で入力した目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を提示する実施事項提示手段と、
前記実施事項提示手段で提示した実施事項からいずれかを入力する実施事項入力手段と、を備え、
前記ケア管理情報登録手段は、前記目標入力手段で入力した目標及び前記実施事項入力手段で入力した実施事項をさらに含む前記ケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録し、
前記ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記目標及び前記実施事項をさらに提示することを特徴とするケア支援システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記目標情報に係る目標と対応づけて、当該目標を達成する上での1又は複数の課題を示す課題情報を記憶する課題情報記憶手段の前記課題情報に基づいて、前記目標入力手段で入力した目標を達成する上での1又は複数の課題を提示する課題提示手段と、
前記課題提示手段で提示した課題からいずれかを入力する課題入力手段とを備え、
前記ケア管理情報登録手段は、前記課題入力手段で入力した課題をさらに含む前記ケア管理情報を前記ケア管理情報記憶手段に登録し、
前記ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記課題をさらに提示することを特徴とするケア支援システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記希望と対応づけて、当該希望を実現するための目標を達成する上での1又は複数の課題を示す課題情報を記憶する課題情報記憶手段の前記課題情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための目標を達成する上での1又は複数の課題を提示する課題提示手段と、
前記課題提示手段で提示した課題からいずれかを入力する課題入力手段と、
前記希望と対応づけて、当該希望を実現するための目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を示す実施事項情報を記憶する実施事項情報記憶手段の前記実施事項情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を提示する実施事項提示手段と、
前記実施事項提示手段で提示した実施事項からいずれかを入力する実施事項入力手段と、を備え、
前記ケア管理情報登録手段は、前記課題入力手段で入力した課題及び前記実施事項入力手段で入力した実施事項をさらに含む前記ケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録し、
前記ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記課題及び前記実施事項をさらに提示することを特徴とするケア支援システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記対象者属性情報は、前記第1ケア対象者の性別、年齢、血液型、要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル及び薬剤の使用状況の情報のうちいずれか1又は複数を含むことを特徴とするケア支援システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記対象者属性情報は、前記第1ケア対象者の要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル及び薬剤の使用状況の情報のうち、当該対象者属性情報に含まれるいずれか1又は複数を前記第1ケア対象者の自立度として数値化した数値情報を含み、
前記希望情報記憶手段は、前記ケア対象者の1又は複数の希望を示す希望情報を、当該ケア対象者の前記数値情報に基づく情報と対応付けて記憶し、
前記推奨希望提示手段は、前記属性情報取得手段で取得した前記第1ケア対象者の対象者属性情報に含まれる前記数値情報に基づいて、当該数値情報に基づく情報と同一の情報又は所定関係を有する情報に対応する1又は複数の前記希望情報を取得し、取得した希望情報に基づいて、前記第1ケア対象者について推奨される1又は複数の希望を提示することを特徴とするケア支援システム。
【請求項8】
ケア実施者がケア対象者をケアすることを支援するケア支援システムであって、
ケア対象者の属性を示す対象者属性情報を入力する属性情報入力手段と、
前記ケア対象者の属性と当該ケア対象者の希望とが対応付けられた学習情報に基づいて学習を行った学習済みモデルを用いて、前記属性情報入力手段で入力した前記対象者属性情報から、当該学習済みモデルの学習の基となった1又は複数の前記希望を推定する推定手段と、
前記推定手段で推定した1又は複数の希望を提示する提示手段と、を備えることを特徴とするケア支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケア実施者がケア対象者をケアすることを支援するシステムに係り、特に、経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランの作成又はケアの実施を行うことができるケア支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケアマネージャ等のケア実施者が高齢者等のケア対象者をケアすることを支援する技術としては、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。
特許文献1記載の技術は、組み合わせマスタと、問題点特定条件マスタと、問題点特定マスタとを予め登録しておき、ケア対象者個人のフェースシートとアセスメントテーブルを作成し、問題点特定条件マスタ上の判定期間と判定条件に該当するアセスメント値をアセスメントテーブルから取り出し、そのアセスメント値に該当する問題条件の問題点コードを組み合わせマスタから取り出し、その問題点コードに該当する問題領域と問題点項目と重みとケア目標と問題点とを問題点特定マスタの内容から特定して、順次作表するという順序で処理を行うように構成されている。これにより、いつでも必要のある時にアセスメント表の作成をすることができ、問題領域・問題点・ケースを特定し、ケアプランの作成をすることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、ケア実施者側が設定した問題点や目標をもとにケアプランが作成されるので、ケア実施の結果がケア対象者の希望に沿わないこともあった。例えば、施設で生活するのではなく家に帰りたいという希望がケア対象者にある場合、理想的には、その希望が実現できるようにケアプランが作成されるべきところ、特許文献1〔0016〕~〔0019〕に記載されているようにケア対象者の身体機能やその問題にだけ着目して画一的なケアプランを作成しては希望の実現から遠のくし、ケア対象者やその家族の満足度が低下することにつながってしまう。
【0005】
一方で、そうはいっても、ケア対象者の希望を実現するためのケアプランを作成するには、上記のとおり単純に身体機能やその問題だけに着目すればよいものではなく、ケア実施者に豊富な経験が必要とされることから、経験が少ないケア実施者では作成が難しい。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランの作成又はケアの実施を行うことができるケア支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のケア支援システムは、ケア実施者がケア対象者をケアすることを支援するケア支援システムであって、第1ケア対象者の属性を示す対象者属性情報を取得する属性情報取得手段と、前記ケア対象者の1又は複数の希望を示す希望情報を、当該ケア対象者の属性と対応付けて記憶する希望情報記憶手段から、前記属性情報取得手段で取得した対象者属性情報に基づいて、前記第1ケア対象者と同一の又は所定関係を有する属性に対応する1又は複数の前記希望情報を取得し、取得した希望情報に基づいて、前記第1ケア対象者について推奨される1又は複数の希望を提示する推奨希望提示手段と、前記推奨希望提示手段で提示した希望からいずれかを入力する希望入力手段と、前記第1ケア対象者を識別するための識別情報を入力する識別情報入力手段と、前記識別情報入力手段で入力した識別情報及び前記希望入力手段で入力した希望を含むケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録するケア管理情報登録手段と、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記識別情報及び前記希望を提示するケア管理情報提示手段とを備える。
【0007】
ここで、希望情報記憶手段は、希望情報をあらゆる手段で且つあらゆる時期に記憶するものであり、希望情報を予め記憶してあるものであってもよいし、希望情報を予め記憶することなく、本システムの動作時に外部からの入力等によって希望情報を記憶するようになっていてもよい。このことは他の記憶手段についても同様である。
【0008】
また、希望情報を属性と対応づけて記憶することとしては、例えば、(1)希望情報及び属性を同一のレコードに登録するなど直接対応づけて記憶すること、(2)希望情報及び中間情報を対応づけて登録するテーブルと、属性及び中間情報を対応づけて登録するテーブルを設けるなど、中間に1又は複数の情報を介して記憶することが含まれる。すなわち、属性から希望情報を辿ることができる態様であれば、あらゆるデータ構造を採用することができる。以下、情報を対応づけて記憶する概念については同様である。
【0009】
また、本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。以下、発明2、3及び5のケア支援システムにおいて同じである。
【0010】
〔発明2〕 さらに、発明2のケア支援システムは、発明1のケア支援システムにおいて、前記ケア対象者の希望と対応づけて、当該希望を実現するための1又は複数の目標を示す目標情報を記憶する目標情報記憶手段の前記目標情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための1又は複数の目標を提示する目標提示手段と、前記目標提示手段で提示した目標からいずれかを入力する目標入力手段と、前記目標情報に係る目標と対応づけて、当該目標を達成する上での1又は複数の課題を示す課題情報を記憶する課題情報記憶手段の課題情報に基づいて、前記目標入力手段で入力した目標を達成する上での1又は複数の課題を提示する課題提示手段と、前記課題提示手段で提示した課題からいずれかを入力する課題入力手段と、を備え、前記ケア管理情報登録手段は、前記目標入力手段で入力した目標及び前記課題入力手段で入力した課題をさらに含むケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録し、ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記目標及び前記課題をさらに提示する。
【0011】
〔発明3〕 さらに、発明3のケア支援システムは、発明1のケア支援システムにおいて、前記ケア対象者の希望と対応づけて、当該希望を実現するための1又は複数の目標を示す目標情報を記憶する目標情報記憶手段の前記目標情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための1又は複数の目標を提示する目標提示手段と、前記目標提示手段で提示した目標からいずれかを入力する目標入力手段と、前記目標情報に係る目標と対応づけて、当該目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を示す実施事項情報を記憶する実施事項情報記憶手段の前記実施事項情報に基づいて、前記目標入力手段で入力した目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を提示する実施事項提示手段と、前記実施事項提示手段で提示した実施事項からいずれかを入力する実施事項入力手段と、を備え、前記ケア管理情報登録手段は、前記目標入力手段で入力した目標及び前記実施事項入力手段で入力した実施事項をさらに含むケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録し、前記ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記目標及び前記実施事項をさらに提示する。
【0012】
ここで、実施事項は、目標を達成するために必要な事項であって、目標を達成する上での課題を解決するために必要な事項を含む。このため、実施事項情報を目標又は課題と対応づけて記憶することが想定される。具体的には、例えば、(1)実施事項情報及び目標を同一のレコードに登録するなど直接対応づけて記憶すること、(2)実施事項情報及び課題を同一のレコードに登録するなど直接対応づけて記憶すること、(3)実施事項情報及び中間情報を対応づけて登録するテーブルと、目標及び中間情報(例えば、課題を示す課題情報)を対応づけて登録するテーブルを設けるなど、中間に1又は複数の情報を介して記憶すること、(4)実施事項情報及び中間情報を対応づけて登録するテーブルと、課題及び中間情報を対応づけて登録するテーブルを設けるなど、中間に1又は複数の情報を介して記憶することが含まれる。すなわち、目標又は課題から実施事項情報を辿ることができる態様であれば、あらゆるデータ構造を採用することができる。以下、実施事項については同様である。
【0013】
〔発明4〕 さらに、発明4のケア支援システムは、発明3のケア支援システムにおいて、前記目標情報に係る目標と対応づけて、当該目標を達成する上での1又は複数の課題を示す課題情報を記憶する課題情報記憶手段の前記課題情報に基づいて、前記目標入力手段で入力した目標を達成する上での1又は複数の課題を提示する課題提示手段と、前記課題提示手段で提示した課題からいずれかを入力する課題入力手段とを備え、前記ケア管理情報登録手段は、前記課題入力手段で入力した課題をさらに含む前記ケア管理情報を前記ケア管理情報記憶手段に登録し、前記ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記課題をさらに提示する。
【0014】
〔発明5〕 さらに、発明5のケア支援システムは、発明1のケア支援システムにおいて、前記希望と対応づけて、当該希望を実現するための目標を達成する上での1又は複数の課題を示す課題情報を記憶する課題情報記憶手段の前記課題情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための目標を達成する上での1又は複数の課題を提示する課題提示手段と、前記課題提示手段で提示した課題からいずれかを入力する課題入力手段と、前記希望と対応づけて、当該希望を実現するための目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を示す実施事項情報を記憶する実施事項情報記憶手段の前記実施事項情報に基づいて、前記希望入力手段で入力した希望を実現するための目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項を提示する実施事項提示手段と、前記実施事項提示手段で提示した実施事項からいずれかを入力する実施事項入力手段と、を備え、前記ケア管理情報登録手段は、前記課題入力手段で入力した課題及び前記実施事項入力手段で入力した実施事項をさらに含むケア管理情報をケア管理情報記憶手段に登録し、前記ケア管理情報提示手段は、前記ケア管理情報記憶手段のケア管理情報に基づいて、前記ケア対象者ごとに、前記課題及び前記実施事項をさらに提示する。
【0015】
〔発明6〕 さらに、発明6のケア支援システムは、発明1乃至5のいずれか1のケア支援システムにおいて、前記対象者属性情報は、前記第1ケア対象者の性別、年齢、要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル及び薬剤の使用状況の情報のうちいずれか1又は複数を含む。
【0016】
〔発明7〕 さらに、発明7のケア支援システムは、発明6のケア支援システムにおいて、前記対象者属性情報は、前記第1ケア対象者の要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル及び薬剤の使用状況の情報のうち、当該対象者属性情報に含まれるいずれか1又は複数を前記第1ケア対象者の自立度として数値化した数値情報を含み、前記希望情報記憶手段は、前記ケア対象者の1又は複数の希望を示す希望情報を、当該ケア対象者の前記数値情報に基づく情報と対応付けて記憶し、前記推奨希望提示手段は、前記属性情報取得手段で取得した前記第1ケア対象者の対象者属性情報に含まれる前記数値情報に基づいて、当該数値情報に基づく情報と同一の情報又は所定関係を有する情報に対応する1又は複数の前記希望情報を取得し、取得した希望情報に基づいて、前記第1ケア対象者について推奨される1又は複数の希望を提示する。
【0017】
〔発明8〕 一方、上記目的を達成するために、発明8のケア支援システムは、ケア実施者がケア対象者をケアすることを支援するケア支援システムであって、ケア対象者の属性を示す対象者属性情報を入力する属性情報入力手段と、前記ケア対象者の属性と当該ケア対象者の希望とが対応付けられた学習情報に基づいて学習を行った学習済みモデルを用いて、前記属性情報入力手段で入力した前記対象者属性情報から、当該学習済みモデルの学習の基となった1又は複数の前記希望を推定する推定手段と、前記推定手段で推定した1又は複数の希望を提示する提示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、発明1のケア支援システムによれば、ケア対象者は、自身の属性情報に基づいて推奨された1又は複数の希望が提示され、そのなかから所望の希望を選択することができるので、従来に比して、自身の属性情報に対して適切な(例えば実現可能な)希望を容易に設定することができる。また、ケア対象者ごとに、識別情報及び希望を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
【0019】
さらに、発明2のケア支援システムによれば、ケア実施者は、ケア対象者の希望を実現するための1又は複数の目標が提示され、そのなかから目標を選択すればよく、さらに、選択した目標を達成する上での1又は複数の課題が提示され、そのなかから課題を選択すればよいので、従来に比して、経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランを作成することができる。また、ケア対象者ごとに、識別情報、希望、目標及び課題を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
【0020】
さらに、発明3のケア支援システムによれば、ケア実施者は、ケア対象者又はその家族の希望を実現するための1又は複数の目標が提示され、そのなかから目標を選択すればよく、さらに、選択した目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項が提示され、そのなかから実施事項を選択すればよいので、従来に比して、経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランを作成することができる。また、ケア対象者ごとに、識別情報、希望、目標及び実施事項を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
【0021】
さらに、発明4のケア支援システムによれば、ケア対象者ごとに、識別情報、希望、目標、課題及び実施事項を把握することができるので、ケア対象者又はその家族の希望を実現するためのケアを実施することができる。
さらに、発明5のケア支援システムによれば、ケア実施者は、ケア対象者の希望を実現するための目標を達成する上での1又は複数の課題が提示され、そのなかから課題を選択すればよく、さらに、ケア対象者の希望を実現するための目標を達成するために必要な1又は複数の実施事項が提示され、そのなかから実施事項を選択すればよいので、従来に比して、経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランを作成することができる。また、ケア対象者ごとに、識別情報、希望、課題及び実施事項を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
【0022】
さらに、発明6のケア支援システムによれば、ケア対象者は、自身の性別、年齢、要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル及び薬剤の使用状況の情報のうちいずれか1又は複数に基づいて推奨された1又は複数の希望の推奨候補のなかから所望の希望を選択することができるので、従来に比して、これらの属性情報のうち1又は複数の情報に対して適切な希望を容易に設定することができる。
【0023】
さらに、発明7のケア支援システムによれば、ケア対象者は、自身の自立度を数値化した情報に基づいて推奨された1又は複数の希望が提示され、そのなかから所望の希望を選択することができるので、従来に比して、自身の自立度に対して適切な(例えば実現可能な)希望を容易に設定することができる。
【0024】
さらに、発明8のケア支援システムによれば、ケア対象者は、自身の属性情報に基づいて学習済みモデルで推定された1又は複数の希望が提示され、そのなかから所望の希望を選択することができるので、従来に比して、自身の属性情報に対して適切な(例えば実現可能な)希望を容易に設定することができる。また、ケア対象者ごとに、識別情報及び希望を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ケア支援装置100のハードウェア構成を示す図である。
【
図2】各テーブル400~460のデータの結合関係を示す概念図である。
【
図3】希望情報テーブル400のデータ構造を示す図である。
【
図4】目標情報テーブル420のデータ構造を示す図である。
【
図5】課題情報テーブル440のデータ構造を示す図である。
【
図6】実施事項情報テーブル460のデータ構造を示す図である。
【
図7】対象者基礎情報を数値化(スコア化)する際のスコアと対象者基礎情報のケアに係る特定の6項目の状態との対応関係の一例を示す図である。
【
図8】スコア対応希望情報テーブル470のデータ構造を示す図である。
【
図9】推奨希望情報テーブル480のデータ構造を示す図である。
【
図10】ケア支援処理を示すフローチャートである。
【
図11】複数の推奨候補から希望を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
【
図12】複数の候補から希望を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
【
図13】複数の候補から目標を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
【
図14】複数の候補から課題を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
【
図15】複数の候補から実施事項を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
【
図16】各テーブル400、420、460のデータの結合関係を示す概念図である。
【
図17】各テーブル400、440、460のデータの結合関係を示す概念図である。
【
図18】各テーブル400、420、440のデータの結合関係を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至
図15は、本実施の形態を示す図である。
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1は、ケア支援装置100のハードウェア構成を示す図である。
ケア支援装置100は、
図1に示すように、制御プログラムに基づいて演算及びシステム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)30と、所定領域に予めCPU30の制御プログラム等を格納しているROM(Read Only Memory)32と、ROM32等から読み出したデータやCPU30の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)34と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(InterFace)38とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス39で相互に且つデータ授受可能に接続されている。
【0027】
I/F38には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置40と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置42と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置44とが接続されている。
【0028】
次に、記憶装置42のデータ構造を説明する。
図2は、各テーブル400~460のデータの結合関係を示す概念図である。
経験豊富なケア実施者を中心にケア実施者は、(1)ケア対象者の希望、(2)希望を実現するための目標の候補、(3)目標を達成する上での課題(問題点や改善すべき点)の候補、(4)目標を達成するために必要な実施事項(ケア実施者がケア対象者に対し実施する事項)の候補を予めリストアップする。
【0029】
1つの希望に対しては、
図2に示すように、これを実現するための1又は複数の目標を設定することができる。
図2の例では、希望1に対し目標1-1、目標1-2その他の目標が設定され、希望2に対し目標2-1、目標2-2その他の目標が設定されている。希望ごとに設定すべき目標が対応するので、目標1-1、1-2、2-1、2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0030】
次に、1つの目標に対しては、これを達成する上での1又は複数の課題を設定することができる。
図2の例では、目標1-1に対し課題1-1-1、課題1-1-2その他の課題が設定され、目標1-2に対し課題1-2-1、課題1-2-2その他の課題が設定され、目標2-1に対し課題2-1-1、課題2-1-2その他の課題が設定され、目標2-2に対し課題2-2-1、課題2-2-2その他の課題が設定されている。目標ごとに設定すべき課題が対応するので、課題1-1-1、1-1-2、1-2-1、1-2-2、2-1-1、2-1-2、2-2-1、2-2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0031】
次に、1つの課題に対しては、これを解決するために必要な1又は複数の実施事項を設定することができる。
図2の例では、課題1-1-1に対し実施事項1-1-1-1、実施事項1-1-1-2その他の実施事項が設定され、課題1-1-2に対し実施事項1-1-2-1、実施事項1-1-2-2その他の実施事項が設定され、課題1-2-1に対し実施事項1-2-1-1、実施事項1-2-1-2その他の実施事項が設定され、課題1-2-2に対し実施事項1-2-2-1、実施事項1-2-2-2その他の実施事項が設定されている。また、課題2-1-1に対し実施事項2-1-1-1、実施事項2-1-1-2その他の実施事項が設定され、課題2-1-2に対し実施事項2-1-2-1、実施事項2-1-2-2その他の実施事項が設定され、課題2-2-1に対し実施事項2-2-1-1、実施事項2-2-1-2その他の実施事項が設定され、課題2-2-2に対し実施事項2-2-2-1、実施事項2-2-2-2その他の実施事項が設定されている。課題ごとに設定すべき実施事項が対応するので、実施事項1-1-1-1、1-1-1-2、1-1-2-1、1-1-2-2、1-2-1-1、1-2-1-2、1-2-2-1、1-2-2-2、2-1-1-1、2-1-1-2、2-1-2-1、2-1-2-2、2-2-1-1、2-2-1-2、2-2-2-1、2-2-2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0032】
このデータ構造は、希望情報テーブル400、目標情報テーブル420、課題情報テーブル440及び実施事項情報テーブル460で実現している。
図3は、希望情報テーブル400のデータ構造を示す図である。
記憶装置42は、
図3に示すように、希望情報テーブル400を記憶している。
【0033】
希望情報テーブル400には、希望ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、希望を識別するための希望IDを登録するフィールド402と、希望(テキスト)を登録するフィールド404とを含んで構成されている。
図3の例では、第1行目のレコードには、希望IDとして「001」が、希望として「家に帰りたい」がそれぞれ登録されている。これは、希望ID「001」により識別される希望が「家に帰りたい」であることを示している。
【0034】
図4は、目標情報テーブル420のデータ構造を示す図である。
記憶装置42は、
図4に示すように、目標情報テーブル420を記憶している。
目標情報テーブル420には、目標ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、目標を識別するための目標IDを登録するフィールド422と、その目標の達成で実現しようとする希望の希望IDを登録するフィールド424と、目標(テキスト)を登録するフィールド426とを含んで構成されている。
図4の例では、第1行目のレコードには、目標IDとして「001」が、希望IDとして「001」が、目標として「生活リハビリをする」がそれぞれ登録されている。これは、目標ID「001」により識別される目標が「生活リハビリをする」であり、希望ID「001」の希望「家に帰りたい」を実現するための目標として設定されていることを示している。
【0035】
図5は、課題情報テーブル440のデータ構造を示す図である。
記憶装置42は、
図5に示すように、課題情報テーブル440を記憶している。
課題情報テーブル440には、課題ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、課題を識別するための課題IDを登録するフィールド442と、その課題の解決で達成しようとする目標の目標IDを登録するフィールド444と、課題(テキスト)を登録するフィールド446とを含んで構成されている。
図5の例では、第1行目のレコードには、課題IDとして「001」が、目標IDとして「001」が、課題として「水分量が足りない」がそれぞれ登録されている。これは、課題ID「001」により識別される課題が「水分量が足りない」であり、目標ID「001」の目標「生活リハビリをする」を達成する上での課題として設定されていることを示している。
【0036】
図6は、実施事項情報テーブル460のデータ構造を示す図である。
記憶装置42は、
図6に示すように、実施事項情報テーブル460を記憶している。
実施事項情報テーブル460には、実施事項ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、実施事項を識別するための実施事項IDを登録するフィールド462と、その実施事項で解決しようとする課題の課題IDを登録するフィールド464と、実施事項(テキスト)を登録するフィールド466とを含んで構成されている。
図6の例では、第1行目のレコードには、実施事項IDとして「001」が、課題IDとして「001」が、実施事項として「定期的な受診」がそれぞれ登録されている。これは、実施事項ID「001」により識別される実施事項が「定期的な受診」であり、課題ID「001」の課題「水分量が足りない」を解決するために必要な実施事項として設定されていることを示している。なお、課題は目標と対応づけられているので、実施事項は、目標又は希望とも間接的に対応づけられている。
【0037】
図7は、対象者基礎情報を数値化(スコア化)する際のスコアと対象者基礎情報のケアに係る特定の6項目の状態との対応関係の一例を示す図である。
ケア実施者は、ケア対象者をケアするにあたって、事前にケア対象者のケアに係る基礎情報(以下、「対象者基礎情報」と称す)を取得するようになっている。この対象者基礎情報としては、例えば、性別、年齢、血液型、要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル、薬剤の使用状態の情報等が含まれる。
【0038】
対象者基礎情報は、上記項目ごとに、その状態を示す情報が登録される。対象者基礎情報の各状態の取得は、各項目ごとに選択肢があり、そのなかからいずれかを選択することで取得するようになっている。具体例を挙げると、病名であれば、例えば、主病名について、「認知症」、「脳疾患」、「心疾患」、「腎疾患」、「肺疾患」、「精神疾患」、「糖尿病」、「癌」、「骨折」、「その他」の選択肢のうちから選択する。また、認知機能の程度(レベル)であれば、例えば、医者からの認知症の診断について、「あり」、「なし」、認知症の度合いについて、「特になし」、「軽度」、「中度」、「中重度」、「重度」などの選択肢のうちから選択する。また、身体レベルであれば、例えば、移動について、「独歩」、「杖」、「手引き歩行」、「歩行器」、「車椅子」などの選択肢から選択する。また、排泄の状況であれば、例えば、排泄方法について、「トイレ」、「リハビリパンツ」、「パット」、「オムツ」、「尿瓶」などの選択肢から選択する。また、食事の状況であれば、例えば、食形態について、「常食」、「一口大」、「キザミ」、「軟飯」、「ペースト」などの選択肢から選択する。また、経済レベルであれば、例えば、金銭管理について、「自己管理」、「家族管理」、「安心センター」、「成年後見」、「管理者なし」などの選択肢から選択する。また、薬剤の使用状態であれば、例えば、1日の服薬数について、「0~4個」、「5~9個」、「10~14個」、「15~19個」、「20個以上」などの選択肢から選択する。
【0039】
また、対象者基礎情報のケアに係る特定の項目としては、
図7に示すように、ケア対象者の認知機能の状態に係る「認知」、ケア対象者の歩行状態に係る「身体」、ケア対象者の排泄状態に係る「排泄」、ケア対象者の食事状態に係る「食事」、ケア対象者の経済状態に係る「経済」及びケア対象者の薬剤の使用状態に係る「薬数」が含まれている。
【0040】
例えば、「認知」については、上記取得した状態に対応して、「なし」、「軽度」、「中度」、「中重度」及び「重度」の5つの状態がある。これらの状態に対するスコアとして、「なし」に「5」、「軽度」に「4」、「中度」に「3」、中重度に「2」、重度に「1」がそれぞれ設定されている。ここで、各スコアは、数値が大きいほどケア対象者の自立度が高いことを示している。他の項目についても、各状態に対して同様にスコアが設定されている。
【0041】
本実施の形態では、取得したケア対象者の対象者基礎情報と、
図7に示す各項目とスコアとの対応関係の情報とに基づいて、
図7に示す特定の6項目についてスコア化している。
図8は、スコア対応希望情報テーブル470のデータ構造を示す図である。
記憶装置42は、
図8に示すように、スコア対応希望情報テーブル470を記憶している。
【0042】
スコア対応希望情報テーブル470には、ケア対象者IDごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、ケア対象者を識別するためのケア対象者IDを登録するフィールド471と、このケア対象者について、「認知」の項目に対するスコアを登録するフィールド472、「身体」の項目に対するスコアを登録するフィールド473、「排泄」の項目に対するスコアを登録するフィールド474、「経済」の項目に対するスコアを登録するフィールド475及び「薬数」の項目に対するスコアを登録するフィールド477と、これら6項目のスコアの合計値を登録するフィールド478と、このケア対象者に対して設定した希望に対応する希望IDを登録するフィールド479とを含んで構成されている。
図8の例では、第1行目のレコードには、ケア対象者IDとして「0001」が、「認知」のスコアとして「3」が、「身体」のスコアとして「2」が、「排泄」のスコアとして「3」が、「食事」のスコアとして「4」が、「経済」のスコアとして「5」が、「薬数」のスコアとして「3」が、合計スコアとして「20」が、希望IDとして「002」がそれぞれ登録されている。これは、ケア対象者ID「0001」により識別されるケア対象者について、各項目のスコアと、これらのスコアの合計値と、このケア対象者が実際にケアを受けた際に設定した希望ID「002」の希望「家での生活を続けたい」が登録されていることを示している。
【0043】
図9は、推奨希望情報テーブル480のデータ構造を示す図である。
記憶装置42は、
図9に示すように、推奨希望情報テーブル480を記憶している。推奨希望情報テーブル480は、スコア対応希望情報テーブル470の登録情報に基づいて生成されるテーブルである。
【0044】
推奨希望情報テーブル480には、上記6つの項目のスコアの合計値の各数値範囲ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、合計スコア範囲を登録するフィールド481と、合計スコア範囲に対応するケア対象者の選択した希望のうち設定数の多い順に第1位の希望を登録するフィールド482と、同様に第2位の希望を登録するフィールド483と、同様に第3位の希望を登録するフィールド484とを含んで構成されている。
図9の例では、第1行目のレコードには、合計スコア範囲として「6~11」が、第1位の希望の希望IDとして「003」が、第2位の希望の希望IDとして「001」が、第3位の希望の希望IDとして「002」がそれぞれ登録されている。これは、合計スコアが「6~11」の範囲に含まれるケア対象者に対して設定した希望として、希望ID「003」の希望「歩けるようになりたい」が最も設定数が多く、希望ID「001」の希望「家に帰りたい」が次に多く、希望ID「002」の希望「家での生活を続けたい」がその次に多いことを示している。即ち、上位3位までに入る希望が登録されている。
【0045】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
CPU30は、MPU(Micro-Processing Unit)等からなり、ROM32の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、
図10のフローチャートに示すケア支援処理を実行する。
図10は、ケア支援処理を示すフローチャートである。
【0046】
ケア支援処理は、所定周期で繰り返し実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図10に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、ケア対象者の氏名の入力が要求されると、ケア対象者の氏名が入力装置40から入力される。
【0047】
図11は、複数の推奨候補から希望を入力する場合のケア管理表を示す画面であり、
図12は、複数の候補から希望を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
次いで、ステップS102に移行して、対象者基礎情報の入力が要求されると、事前に取得した対象者基礎情報に基づいて計算された各スコアが入力装置40から入力される。
【0048】
次いで、ステップS104に移行して、ケア対象者の希望の入力が要求されると、推奨希望情報テーブル480からケア対象者の合計スコアに対応する第1位から第3位までの希望が読み出され、
図11に示すように、ケア対象者(
図11の例では鈴木太郎)に推奨する希望の候補(第1位~第3位)が表示装置44に表示される。
図11の例では、ケア対象者に推奨する希望の候補として1位の「自分の好きなことをしたい」、2位の「家での生活を続けたい」、3位の「家に帰りたい」が上から順に表示される。さらに、ケア対象者の望む希望が無い場合の選択肢として「他の希望がよい」が一番下に表示される。
【0049】
次いでステップS106に移行して、ケア実施者は、表示された推奨候補のうち、ケア対象者が望む希望があった場合(ステップS106のYES)は、表示された推奨候補からケア対象者の望む希望を選択する。
一方、ケア実施者は、表示された候補に、ケア対象者の望む希望が無い場合(ステップS106のNO)は、「他の希望がよい」を選択する。「他の希望がよい」が選択されると、ステップS108に移行して、希望情報テーブル400から1又は複数の希望が読み出され、
図12に示すように、推奨候補として表示した希望を除いたケア対象者の希望の候補が表示装置44に表示される。このとき、例えば、推奨候補の第4位以降も推奨希望情報テーブル480に登録しておき、第4位以降の希望を表示する構成としてもよい。
図12の例では、希望の候補として「歩けるようになりたい」「走れるようになりたい」「自活できるようになりたい」が表示され、ケア実施者は、これらのうちから、ケア対象者の望む希望を選択する。
【0050】
ここでは、推奨候補のなかにケア対象者の望む希望があったとして、ケア実施者は、例えば「家に帰りたい」を選択するものとする。希望が選択されると、ステップS110に移行して、選択された希望が入力装置40から入力される。
図13は、複数の候補から目標を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
【0051】
次いで、ステップS112に移行して、目標の入力が要求されると、ステップS110で入力された希望の希望IDに対応する1又は複数の目標が目標情報テーブル420から読み出され、
図13に示すように、希望を実現するための目標の候補が表示装置44に表示される。ここで、ケア実施者は、表示された候補からいずれかを選択する。
図13の例では、目標の候補として「生活リハビリをする」「施設で不安なく過ごす」「家族の介護負担を軽減させる」「トイレに行けるようになる」が表示され、ケア実施者は、このうち例えば「生活リハビリをする」を選択するものとする。目標が選択されると、ステップS114に移行して、選択された目標が入力装置40から入力される。
【0052】
図14は、複数の候補から課題を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
次いで、ステップS116に移行して、課題の入力が要求されると、ステップS114で入力された目標の目標IDに対応する1又は複数の課題が課題情報テーブル440から読み出され、
図14に示すように、目標を達成する上での課題の候補が表示装置44に表示される。ここで、ケア実施者は、表示された候補からいずれかを選択する。
図14の例では、課題の候補として「水分量が足りない」「食事摂取量が少ない」「排便コントロールができていない」が表示され、ケア実施者は、このうち例えば「水分量が足りない」を選択するものとする。課題が選択されると、ステップS118に移行して、選択された課題が入力装置40から入力される。
【0053】
図15は、複数の候補から実施事項を入力する場合のケア管理表を示す画面である。
次いで、ステップS120に移行して、実施事項の入力が要求されると、ステップS118で入力された課題の課題IDに対応する1又は複数の実施事項が実施事項情報テーブル460から読み出され、
図15に示すように、課題を解決するために必要な実施事項の候補が表示装置44に表示される。ここで、ケア実施者は、表示された候補からいずれかを選択する。
図15の例では、実施事項の候補として「定期的な受診」「服薬管理」「病状に合わせた食事の提供」が表示され、ケア実施者は、このうち例えば「定期的な受診」を選択するものとする。実施事項が選択されると、ステップS122に移行して、選択された実施事項が入力装置40から入力される。
【0054】
次いで、ステップS124に移行して、達成期限の入力が要求されると、目標を達成する達成期限が入力装置40から入力される。
次いで、ステップS126に移行して、更新内容の入力が要求されると、前回の入力に対する更新内容が入力装置40から入力される。
【0055】
次いで、ステップS128に移行して、達成率の入力が要求されると、目標の達成率(パーセンテージ)が入力装置40から入力される。
次いで、ステップS130に移行して、実現率の入力が要求されると、希望の実現率(パーセンテージ)が入力装置40から入力される。実現率は、ケア対象者の回答に基づいて入力する。
【0056】
次いで、ステップS132に移行して、希望実現履歴の入力が要求されると、希望が実現した日付けを含む希望実現履歴が入力装置40から入力される。希望実現履歴は、ケア対象者からの回答に基づいて入力する。
次いで、ステップS134に移行して、目標達成履歴の入力が要求されると、目標が達成した日付けを含む目標達成履歴が入力装置40から入力される。
【0057】
次いで、ステップS136に移行して、ステップS100、S102、S110、S114、S118、S122、S124~S134で入力された氏名、対象者基礎情報、ケア対象者の希望、目標、課題、実施事項、達成期限、更新内容、達成率、実現率、希望実現履歴及び目標達成履歴を含むケア管理情報を記憶装置42に登録する。ケア管理情報はケア対象者ごとに登録される。
【0058】
そして、ステップS138に移行して、記憶装置42のケア管理情報に基づいて、ケア対象者ごとに、氏名、ケア対象者の希望、家族の希望、目標、課題、実施事項、達成期限、更新内容、達成率、実現率、希望実現履歴及び目標達成履歴が表示装置44に表示される。例えば、
図11乃至
図15のケア管理表の各項目欄に、ケア管理情報の対応する各事項が表示される。
【0059】
〔実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、ケア対象者の対象者基礎情報として、認知、身体、排泄、食事、経済及び薬数の各項目に対するスコア及びこれらスコアの合計値を入力し、推奨希望情報テーブル480に基づいて、入力したスコア合計値に対応する希望の推奨候補を表示し、表示した希望の推奨候補からいずれかを入力するか、または、推奨候補にケア対象者の望む希望が存在しない場合に、希望情報テーブル400に基づいて、推奨候補に無い希望の候補を表示し、表示した希望の候補からいずれかを入力する。ケア対象者の希望を入力すると、目標情報テーブル420に基づいて、入力した希望を実現するための目標の候補を表示し、表示した目標からいずれかを入力し、課題情報テーブル440に基づいて、入力した目標を達成する上での1又は複数の課題を表示し、表示した課題からいずれかを入力し、ケア対象者の氏名、入力した希望、目標及び課題を含むケア管理情報を記憶装置42に登録し、記憶装置42のケア管理情報に基づいて、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標及び課題を表示する。
【0060】
これにより、ケア対象者は、自身の基礎情報に基づいて推奨された1又は複数の希望の推奨候補のなかから所望の希望を選択することができるので、従来に比して、自身の基礎情報に対して適切な希望を容易に設定することができる。さらに、ケア実施者は、設定したケア対象者の希望を実現するための1又は複数の目標が表示され、そのなかから目標を選択すればよく、さらに、選択した目標を達成する上での1又は複数の課題が表示され、そのなかから課題を選択すればよいので、従来に比して、経験が少ないケア実施者であってもケア対象者の希望を実現するためのケアプランを作成することができる。また、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標及び課題を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、実施事項情報テーブル460に基づいて、入力した課題を解決するために必要な1又は複数の実施事項を表示し、表示した実施事項からいずれかを入力し、ケア対象者の氏名、入力した希望、目標、課題及び実施事項を含むケア管理情報を記憶装置42に登録し、記憶装置42のケア管理情報に基づいて、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題及び実施事項を表示する。
【0062】
これにより、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題及び実施事項を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアを実施することができる。
さらに、本実施の形態では、入力した目標の達成率を入力し、入力した希望の実現率を入力し、ケア対象者の氏名、入力した希望、目標、課題、実施事項、達成率及び実現率を含むケア管理情報を記憶装置42に登録し、記憶装置42のケア管理情報に基づいて、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題、実施事項、達成率及び実現率を表示する。
【0063】
これにより、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題、実施事項、達成率及び実現率を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアをさらに的確に実施することができる。
さらに、本実施の形態では、入力した目標を達成する達成期限を入力し、前回の入力に対する更新内容を入力し、入力した希望が実現した日付けを含む希望実現履歴を入力し、入力した目標が達成した日付けを含む目標達成履歴を入力し、ケア対象者の氏名、入力した希望、目標、課題、実施事項、達成率、実現率、達成期限、更新内容、希望実現履歴及び目標達成履歴を含むケア管理情報を記憶装置42に登録し、記憶装置42のケア管理情報に基づいて、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題、実施事項、達成率、実現率、達成期限、更新内容、希望実現履歴及び目標達成履歴を表示する。
【0064】
これにより、ケア対象者ごとに、氏名、希望、目標、課題、実施事項、達成率、実現率、達成期限、更新内容、希望実現履歴及び目標達成履歴を把握することができるので、ケア対象者の希望を実現するためのケアをさらに的確に実施することができる。
〔対応関係〕
本実施の形態において、記憶装置42は、発明1及び7の希望情報記憶手段、発明2及び3の目標情報記憶手段、発明2、4及び5の課題情報記憶手段、発明3及び5の実施事項情報記憶手段、又は発明1乃至5のケア管理情報記憶手段に対応し、ステップS100は、発明1の識別情報入力手段に対応している。
【0065】
また、本実施の形態において、ステップS102は、発明1及び7の属性情報取得手段に対応し、ステップS104は、発明1及び7の推奨希望提示手段に対応し、ステップS110は、発明1、2、3及び5の希望入力手段に対応し、ステップS112は、発明2及び3の目標提示手段に対応し、ステップS114は、発明2乃至4の目標入力手段に対応している。
【0066】
また、本実施の形態において、ステップS116は、発明2、4及び5の課題提示手段に対応し、ステップS118は、発明2、4及び5の課題入力手段に対応し、ステップS120は、発明3及び5の実施事項提示手段に対応し、ステップS122は、発明3及び5の実施事項入力手段に対応している。
【0067】
また、本実施の形態において、ステップS136は、発明1乃至5のケア管理情報登録手段に対応し、ステップS138は、発明1乃至5のケア管理情報提示手段に対応し、対象者基礎情報は、発明1、6及び7の対象者属性情報に対応している。
〔変形例〕
なお、上記実施の形態の変形例として、次の構成を採用することができる。
【0068】
上記実施の形態は、AI(Artificial Intelligence)により希望の推奨を行うように構成することもできる。AIを用いた構成として、例えば、次の構成を採用することができる。
〔構成1〕 この構成は、AIにより希望を提示する構成である。例えば、AIは、対象者基礎情報及び希望が対応づけられた学習データに基づいて学習を行う。学習したAIは、対象者基礎情報を入力し、入力した対象者基礎情報に適合する1又は複数の希望を出力する。ここで、適合とは、例えば、学習結果からみて、入力した対象者基礎情報に対応するケア対象者が実現するための妥当な希望(例えば、学習された複数の希望のうち入力した対象者基礎情報に応じて分類される目標をいう。)が挙げられる。そして、AIが出力した希望を提示する。
【0069】
なお、学習及び入力する対象者基礎情報としては、例えば、上記実施の形態のスコア対応希望情報テーブル470の構成では、取得した対象者基礎情報の複数の項目のうちケア対象者のケアに係る特定の複数の項目(例えば、認知、身体、排泄、食事、経済、薬数など)をケア対象者の自立度に対応させてスコア化した各スコアの組み合わせ、又はこれらスコアを合計したスコア合計値のいずれか一方を採用することができる。また、ケア対象者の自立度に限らず、他の基準でスコア化した情報を用いてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、
図7に示す6項目(認知、身体、排泄、食事、経済、薬数)についてスコア化する構成としたが、この構成に限らず、希望の推奨を行うのに十分であればこれらのうち5項目以下の項目をスコア化する構成としてもよいし、希望の推奨に必要であれば新たな項目を追加して7項目以上の項目をスコア化する構成としてもよい。また、
図7に示す6項目に限らず、対象者基礎情報として取得した項目のうち、これらの6項目の少なくとも一部を他の項目に変更した別の6項目、これら6項目に新たな項目を追加した7項目以上の項目、又は前記別の6項目にさらに新たな項目を追加した7項目以上の項目等をスコア化する構成としてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、対象者基礎情報をスコア化したスコアをそのまま用いる構成としたが、この構成に限らず、例えば、各項目のスコアを重みwにより重み付けした重み付けスコアを用いる構成としてもよい。重みwは、例えば、対象者基礎情報の各項目に基づいて設定することができる。例えば、年齢であれば、年齢の範囲を区分して、各区分ごとに異なる重みwを設定する。また、性別であれば、男性と女性とで異なる重みwを設定する。このように、各項目に基づいて重みwを設定し、設定した重みwで重み付けを行うことで、ケア対象者の基礎情報をより適切に反映した提案を行うことができる。なお、複数の項目に重みwを設定した場合に、どの項目の重みwを採用したスコアを用いるのかを選別する際は、例えば、各重みでスコアを重み付けした場合のスコア合計値の大きい方又は小さい方を選択する、同じ希望を設定しているケア対象者の人数がより多いものを採用するといった選別を行うことができる。後者の場合は、サンプル数が増えるためより統計的な提案を行うことができる。
【0072】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、各項目の5つの状態を1~5点でスコア化する構成としたが、この構成に限らず、4つ以下又は6つ以上の状態をスコア化する構成としてもよいし、スコア化する点数も1~5点の範囲に限らず他の点数範囲を用いる構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、希望を推奨する際に使用する対象者基礎情報として、要介護度、居住環境、病名、認知機能の程度、認知機能に係る症状の詳細、身体レベル、排泄の状況、食事の状況、経済レベル、薬剤の使用状態の情報を取得する構成とした。この構成に限らず、他の項目をさらに取得したり、取得する内容を一部変更したりするなど他の構成としてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、各項目のスコアの合計値の範囲について、この範囲に対応する希望の設定数の多さで順位付けを行い、範囲ごとに第1位~第3位までの希望を推奨する構成とした。この構成に限らず、もっと狭い範囲又は広い範囲で希望の順位付けを行う構成としてもよいし、範囲ではなく各合計値についてそれぞれ希望の順位付けを行う構成としてもよいし、合計値ではなく、複数の項目(上記実施形態では特定の6項目)の同じ数値の組み合わせごとにそれぞれ希望の順位付けを行う構成としてもよい。また、スコア対応希望情報テーブル470に、スコアだけでなく、例えば、実際にケアを実施したときの希望の実現率も登録する構成として、スコアだけによる推奨だけでなく、実現率も考慮した推奨を行う構成としてもよい。例えば、設定数が所定値以上の希望について、実現率の平均値が高いものから順に優先して推奨する。
【0075】
また、上記実施の形態及びその変形例において、スコア対応希望情報テーブル470に登録されているケア対象者の各項目のスコアを統計処理して、各項目の基準となるスコアを算出し、この基準スコアと各ケア対象者のスコアとを比較して希望を選択するアドバイスをする構成としてもよい。例えば、登録されたケア対象者の項目ごとのスコアの平均値や中央値などを基準値として基準スコアを求め、この基準スコアとケア対象者のスコアとを比較して、推奨候補の中からさらにお奨めの希望を提示したり、提示した推奨希望ごとにそれぞれについてテキストによるアドバイスを表示したりする。アドバイスとしては、例えば、身体レベルのスコアが基準値より低いのに、「走れるようになりたい」といった希望が推奨されたときに、その希望が選択された際に「まずは歩けるようになることを目指しましょう」等のテキストを表示する。
【0076】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、希望、目標、課題及び実施事項の4つの項目の情報を登録するように構成したが、これに限らず、これら項目のうち希望を含む1又は複数の項目の情報を登録するように構成することもできる。
また、上記実施の形態及びその変形例においては、希望、目標、課題及び実施事項の4つの項目の情報を選択的に入力するように構成したが、これに限らず、これら項目のうち希望を含む1又は複数の項目の情報を選択的に入力するように構成することもできる。例えば、次の構成を採用することができる。
【0077】
図16は、各テーブル400、420、460のデータの結合関係を示す概念図である。
図16の例は、希望、目標及び実施事項を選択的に入力する構成である。
経験豊富なケア実施者を中心にケア実施者は、(1)ケア対象者の希望の候補、(2)希望を実現するための目標の候補、(3)目標を達成するために必要な実施事項の候補を予めリストアップする。但し、希望については、対象者基礎情報に基づく推奨候補をリストアップする場合と、推奨希望以外の希望の候補をリストアップする場合との双方を含む。以下の
図17及び
図18の構成についても同様である。
【0078】
1つの希望に対しては、
図16に示すように、これを実現するための1又は複数の目標を設定することができる。
図16の例では、希望1に対し目標1-1、目標1-2その他の目標が設定され、希望2に対し目標2-1、目標2-2その他の目標が設定されている。希望ごとに設定すべき目標が対応するので、目標1-1、1-2、2-1、2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0079】
次に、1つの目標に対しては、これを達成するために必要な1又は複数の実施事項を設定することができる。
図16の例では、目標1-1に対し実施事項1-1-1、実施事項1-1-2その他の実施事項が設定され、目標1-2に対し実施事項1-2-1、実施事項1-2-2その他の実施事項が設定され、目標2-1に対し実施事項2-1-1、実施事項2-1-2その他の実施事項が設定され、目標2-2に対し実施事項2-2-1、実施事項2-2-2その他の実施事項が設定されている。目標ごとに設定すべき実施事項が対応するので、実施事項1-1-1、1-1-2、1-2-1、1-2-2、2-1-1、2-1-2、2-2-1、2-2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0080】
このデータ構造は、希望情報テーブル400、目標情報テーブル420及び実施事項情報テーブル460で実現している。実施事項情報テーブル460では、実施事項ID及び目標IDと対応づけて実施事項を登録する。また、課題情報テーブル440は不要である。
【0081】
図17は、各テーブル400、440、460のデータの結合関係を示す概念図である。
図17の例は、希望、課題及び実施事項を選択的に入力する構成である。
経験豊富なケア実施者を中心にケア実施者は、(1)ケア対象者の希望の候補、(2)希望を実現するための目標を達成する上での課題の候補、(3)課題を解決するために必要な実施事項の候補を予めリストアップする。
【0082】
1つの希望に対しては、
図17に示すように、これを実現するための目標を達成する上での1又は複数の課題を設定することができる。
図17の例では、希望1に対し課題1-1、課題1-2その他の課題が設定され、希望2に対し課題2-1、課題2-2その他の課題が設定されている。希望ごとに設定すべき課題が対応するので、課題1-1、1-2、2-1、2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0083】
次に、1つの課題に対しては、これを解決するために必要な1又は複数の実施事項を設定することができる。
図17の例では、課題1-1に対し実施事項1-1-1、実施事項1-1-2その他の実施事項が設定され、課題1-2に対し実施事項1-2-1、実施事項1-2-2その他の実施事項が設定され、課題2-1に対し実施事項2-1-1、実施事項2-1-2その他の実施事項が設定され、課題2-2に対し実施事項2-2-1、実施事項2-2-2その他の実施事項が設定されている。課題ごとに設定すべき実施事項が対応するので、実施事項1-1-1、1-1-2、1-2-1、1-2-2、2-1-1、2-1-2、2-2-1、2-2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0084】
このデータ構造は、希望情報テーブル400、課題情報テーブル440及び実施事項情報テーブル460で実現している。課題情報テーブル440では、課題ID及び希望IDと対応づけて課題を登録する。また、目標情報テーブル420は不要である。
図18は、各テーブル400、420、440のデータの結合関係を示す概念図である。
【0085】
図18の例は、希望、目標及び課題を選択的に入力する構成である。
経験豊富なケア実施者を中心にケア実施者は、(1)ケア対象者の希望の候補、(2)希望を実現するための目標の候補、(3)目標を達成する上での課題の候補を予めリストアップする。
1つの希望に対しては、
図18に示すように、これを実現するための1又は複数の目標を設定することができる。
図18の例では、希望1に対し目標1-1、目標1-2その他の目標が設定され、希望2に対し目標2-1、目標2-2その他の目標が設定されている。希望ごとに設定すべき目標が対応するので、目標1-1、1-2、2-1、2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0086】
次に、1つの目標に対しては、これを達成する上での1又は複数の課題を設定することができる。
図16の例では、目標1-1に対し課題1-1-1、課題1-1-2その他の課題が設定され、目標1-2に対し課題1-2-1、課題1-2-2その他の課題が設定され、目標2-1に対し課題2-1-1、課題2-1-2その他の課題が設定され、目標2-2に対し課題2-2-1、課題2-2-2その他の課題が設定されている。目標ごとに設定すべき課題が対応するので、課題1-1-1、1-1-2、1-2-1、1-2-2、2-1-1、2-1-2、2-2-1、2-2-2は傾向や内容が共通又は類似する場合はあり得るが基本的にはそれぞれ独立のものである。
【0087】
このデータ構造は、希望情報テーブル400、目標情報テーブル420及び課題情報テーブル440で実現している。実施事項情報テーブル460は不要である。
また、上記実施の形態及びその変形例においては、1つの希望に対し、1又は複数の目標を対応づけて目標情報テーブル420に登録したが、これに限らず、複数の希望に対し、1又は複数の目標を対応づけて登録することもできる。すなわち、対応関係はn対m(n、mは1以上の整数)でよい。目標と課題の対応関係、課題と実施事項の対応関係及び目標と実施事項の対応関係についても同様である。
【0088】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、「目標」及び「課題」と定義したが、これに限らず、「目標」を「長期目標」、「課題」を「短期目標」と定義しても同義である。
また、上記実施の形態及びその変形例においては、「実施事項」と定義したが、これに限らず、「実施事項」を「施策」「サービス」「サービスメニュー」「サービス項目」「サービス内容」等と定義しても同義である。
【0089】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、単一の装置であるケア支援装置100として実現したが、これに限らず、ネットワークシステムとして実現することもできる。インターネット等のネットワークには、ケア支援サーバと、複数のユーザ端末とが接続されている。ケア支援サーバは、ケア支援装置100と同等の機能を有して構成されている。異なるのは、入力装置40による入力に代えてユーザ端末から情報を受信する点と、表示装置44による表示に代えてユーザ端末に情報を送信する点である。
【0090】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、ケア支援装置100が備える記憶装置42を利用するように構成したが、これに限らず、データベースサーバ等の外部の記憶装置を利用するように構成することもできる。
また、上記実施の形態及びその変形例において、
図10のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、ROM32に予め格納されているプログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM34に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0091】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0092】
また、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、介護に限らず、医療(リハビリや治療等)又は福祉(身体、知的、精神等)の分野において、ケア実施者がケア対象者をケア(世話、保護、介護、看護等)することを支援する場合について本発明を適用することができる。この場合、当該分野の項目に対してデータベースを構築すれば、共通のフォーマットに連動することができる。
【符号の説明】
【0093】
100…ケア支援装置、 30…CPU、 32…ROM、 34…RAM、 38…I/F、 40…入力装置、 42…記憶装置、 44…表示装置、 400…希望情報テーブル、 420…目標情報テーブル、 440…課題情報テーブル、 460…実施事項情報テーブル、 470…スコア対応希望情報テーブル、480…推奨希望情報テーブル、 402、404、422~426、442~446、462~466、471~479、481~484…フィールド