IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ WADE株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-釣り用仕掛け 図1
  • 特開-釣り用仕掛け 図2
  • 特開-釣り用仕掛け 図3
  • 特開-釣り用仕掛け 図4
  • 特開-釣り用仕掛け 図5
  • 特開-釣り用仕掛け 図6
  • 特開-釣り用仕掛け 図7
  • 特開-釣り用仕掛け 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064676
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】釣り用仕掛け
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/06 20060101AFI20220419BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20220419BHJP
   A01K 85/16 20060101ALI20220419BHJP
   A01K 95/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A01K91/06
A01K85/00 B
A01K85/16
A01K95/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173438
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】518179243
【氏名又は名称】WADE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】山本 エミ
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA35
2B307BA46
2B307BA70
2B307JA21
(57)【要約】
【課題】釣り用仕掛け自体のおもりの重量を重くした場合や釣り用仕掛けに装着されるおもりの重量を重くした場合でも、釣り用仕掛けが水中で漂流する時間を長くすることができ、魚に対するアピール効果を向上させること。
【解決手段】本実施形態に係る釣り用仕掛け1は、水中に沈めて使用されるものである。釣り用仕掛け1は、仕掛け本体2と、仕掛け本体2が水中を沈降する沈降速度を抑制するために仕掛け本体2に設けられる沈降速度抑制翼3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に沈めて使用される釣り用仕掛けにおいて、
仕掛け本体と、
前記仕掛け本体が水中を沈降する沈降速度を抑制するために前記仕掛け本体に設けられる沈降速度抑制翼と、を備える釣り用仕掛け。
【請求項2】
前記沈降速度抑制翼は、前記仕掛け本体が前記水中を下方に向かって自由落下する際に屈曲又は湾曲せずに、前記沈降速度抑制翼が水の抵抗を受けることで前記仕掛け本体の沈降速度を抑制するように機能し、前記仕掛け本体を前記沈降速度よりも速い速度で前記水中を上方に向かって引き上げることにより屈曲又は湾曲し、前記沈降速度抑制翼が受ける水の抵抗を低減するように機能するように、所定の負荷がかかった際に屈曲または湾曲するように構成される、請求項1記載の釣り用仕掛け。
【請求項3】
前記沈降速度抑制翼は、翼本体と前記翼本体を着脱自在に支持する翼支持部材とを有し、前記翼支持部材は前記仕掛け本体に設けられる、請求項1又は2に記載の釣り用仕掛け。
【請求項4】
前記翼本体は一対であり、
前記翼支持部材は、中央が括れたボウタイ形状の板材であり、その中央において前記仕掛け本体に取り付けられ、その両端部において前記翼本体が取り付けられる、請求項3記載の釣り用仕掛け。
【請求項5】
前記翼支持部材は、所定の負荷がかかった際に湾曲するように弾性樹脂で形成されている、請求項3又は4に記載の釣り用仕掛け。
【請求項6】
前記翼支持部材の両端面において前記翼本体を挿し込み可能なスリットが形成されている、請求項4又は5に記載の釣り用仕掛け。
【請求項7】
前記沈降速度抑制翼は、翼本体と翼支持部材とを有し、前記翼支持部材は前記仕掛け本体に設けられ、前記翼本体は前記翼支持部材に対してヒンジを介して屈曲自在に接続されている、請求項1又は2に記載の釣り用仕掛け。
【請求項8】
前記沈降速度抑制翼は、前記仕掛け本体に回転自在に設けられる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の釣り用仕掛け。
【請求項9】
前記仕掛け本体に対して釣り用おもりを着脱自在に支持するおもり支持部材をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の釣り用仕掛け。
【請求項10】
前記おもり支持部材は、前記おもりを挿し込むためのピンと、前記ピンを掛け留めるフックと、を有し、
前記フックは前記仕掛け本体に固定され、
前記ピンは、その後端部において前記仕掛け本体に固定され、
前記ピンに前記おもりが挿し込まれ、前記ピンの先端部が前記フックに掛け留められることによって、前記おもりが前記仕掛け本体に装着される、請求項9に記載の釣り用仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り道具、具体的には釣り用仕掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣り用の仕掛けの一つとして、疑似餌である釣り用ルアーが知られている。釣り用ルアーは例えば釣果を上げる等の目的で、様々な工夫を施したものが提案されている。例えば、ルアー本体の頭部側面近傍、小魚の目に相当する部分近くに、ルアー本体側面を該ルアー本体の長軸に対して直角方向に貫く貫通孔を形成したハードルアーが提案されている(特許文献1)。また、魚を模した外観形態を持つように形成されたルアーボディの後端部に、回転可能に接続されたブレードを付設してなる釣り用ルアーが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-136346号公報
【特許文献2】特開2016-21940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のハードルアーは水流抵抗を受けやすいルアーの頭部近傍に貫通孔を設け、ルアー本体に小魚の自然な動きに近い不規則な動きを生じさせ、魚に対するアピール効果を発揮させることを企図したものである。また、特許文献2の釣り用ルアーはブレードを動かすことによって、魚に対するアピール効果を発揮させることを企図したものである。
【0005】
ところで、釣りには、様々な仕掛けを用いた手法がある。例えば、仕掛けとしてルアー(疑似餌)を使用したルアーフィッシング、仕掛けとしておもりと針とが一体化した道具を使用したいわゆるテンヤ釣りなどが代表的なものである。これらの仕掛けを使用して釣りをする場合、海底近傍に生息する魚を狙うためには海底近傍までに仕掛けを沈めることが必要である。そして、海底近傍まで仕掛けを沈めるためには海流の動きに負けないよう仕掛け自体および/または仕掛けとともに使用されるおもりの重量を大きくしなければならない。
【0006】
しかし、従来の魚釣り用の仕掛けは、仕掛け自体および/または仕掛けと共に使用されるおもりの重量を大きくした場合、その重さで仕掛けが速く沈降してしまい、魚が仕掛けに気づき難くなる、即ち魚に対するアピール効果が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、前記のような従来技術が有する課題を解決するものである。すなわち、本発明は、釣り用仕掛け自体および/または仕掛けとともに使用されるおもりの重量を大きくした場合でも仕掛けの水中における漂流時間を長くすることができ、魚に対するアピール効果が高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。そして、従来の釣り用仕掛けでは仕掛けの沈降速度が重量のみで制御されている点が原因であることを見出した。
【0009】
そこで、本発明者は、仕掛け本体に沈降速度抑制翼を取り付け、仕掛けが沈降する際に沈降速度抑制翼の翼面が水の抵抗を受けるようにすることで、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、前記課題は以下に示す本発明によって解決される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣り用の仕掛けは、仕掛け本体と、仕掛け本体の水中における沈降速度を抑制する沈降速度抑制翼と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の釣り用仕掛けによれば、沈降速度抑制翼により漂流時間を調整することができ、魚に対するアピール効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る釣り用仕掛けを上方側から見た斜視図である。
図2図1に示す釣り用仕掛けの沈降速度抑制翼を脱着した状態を示す斜視図である。
図3図1に示す釣り用仕掛けを下方側から見た斜視図である。
図4図1に示す釣り用仕掛けの側面図である。
図5】沈降中の図1に示す釣り用仕掛けを示す正面図である。
図6】浮上中の図1に示す釣り用仕掛けを示す正面図である。
図7】第2実施形態に係る釣り用仕掛けが水中を沈降する状態を示す正面図である。
図8】第2実施形態に係る釣り用仕掛けが水中を浮上する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1、第2実施形態に係る釣り用仕掛けについて、図面を参照しながら説明する。
【0014】
第1、第2実施形態に係る釣り用仕掛け(以下、単に仕掛けと称する)は水中に沈めて使用されるものであり、沈降速度抑制翼を備えることを1つの特徴としている。本発明は、水中に沈めて使用する釣り用の仕掛けであれば、魚の餌を模した形状を有するルアー(疑似餌)、おもりと針とが一体化した道具であるテンヤなどに適用することができる。沈降速度抑制翼を備えることで、仕掛けが水面に着水し、水中を沈降する際に沈降速度抑制翼の翼面が水の抵抗を受け、仕掛けの沈降を遅滞させることができる。これにより、仕掛け本体の重量を重くした場合であっても、又は仕掛け本体に装着されたおもりの重量を重くした場合でも、仕掛けが海底近くに沈むまでの漂流時間を長くすることができる。従って、魚が仕掛けに気づき易くなり、魚に対するアピール効果を高めることができる。
【0015】
(第1実施形態)
(釣り用仕掛け)
以下、図1乃至図6を参照しながら、第1実施形態に係る釣り用仕掛けについて説明する。図1乃至図6に示す釣り用の仕掛け1は、仕掛け本体2と、沈降速度抑制翼3と、を備えている。
【0016】
(仕掛け本体2)
仕掛け本体2は棒状に構成されている。「棒状」とは直線状に延びた細長い形状を指す。仕掛け本体2は両端部が窄まった棒状(紡錘状)に形成されている。但し、仕掛け本体2の形状は棒状に限定されることはない。仕掛け本体2の形状は、例えば、円柱状、角柱状などの幾何学的な任意の形状であってもよいし、小魚、虫などの魚の餌となり得る物を模した形状であってもよい。
【0017】
仕掛け本体2は金属製の線材21に樹脂が肉盛りされ、紡錘状に形成されたものである。そして、線材21は紡錘状の仕掛け本体2の前方、後方、上方に突出しており、各々の端部においてフロントフックを取り付けるためのフロントフックアイ22、リアフックを取り付けるためのリアフックアイ23、釣り糸を取り付けるためのラインアイ24を形成している。仕掛け本体2のようにフロントフックアイ22、リアフックアイ23、ラインアイ24が1本の線材21に繋がっていると、フロントフックアイ22、リアフックアイ23、ラインアイ24に強い力がかかっても仕掛け本体2から抜け落ちることがない点で好ましい。
【0018】
(沈降速度抑制翼3)
沈降速度抑制翼3は、羽根状の部材であり、仕掛け本体2が水中を自由落下するときに仕掛け本体2の沈降速度を抑制し、仕掛け本体2を水中から回収するときに仕掛け本体2の上昇速度を阻害しないように構成される。沈降速度抑制翼3は仕掛け本体2の沈降方向Dと交差する方向に延出されている。「仕掛け本体2の沈降方向と交差する方向」とは、沈降方向D(図1図5及び図7の図面上側から図面下側方向)と平行ではない方向を意味する。沈降速度抑制翼3が仕掛け本体2の沈降方向と同一方向に延出されていなければ、仕掛け本体2の沈降時に翼に対して水の抵抗が生じ、仕掛け本体2の沈降速度を低下させることができるからである。なお、水中において、仕掛け本体2の姿勢は海流などの影響を受けて不安定であるが、釣り糸が取り付けられるラインアイ24に対して仕掛け本体2が設けられた方向を沈降方向Dとして定義することができる。すなわち、沈降速度抑制翼3はラインアイ24に対する仕掛け本体2が配置された方向と交差する方向に延出されている。
【0019】
図1乃至図6に示すように、沈降速度抑制翼3は中央が括れたボウタイ形の板状の部材である。具体的には、沈降速度抑制翼3は、一対の翼本体33,34と、一対の翼本体33,34を着脱自在に支持する翼支持部材31と、を有する。一対の翼本体33,34は略二等辺三角形状に形成されている。翼支持部材31は、ボウタイ形状に形成されている。
【0020】
翼支持部材31の中央には、仕掛け本体2の線材21を挿通可能な大きさの貫通孔があけられている。翼支持部材31は、仕掛け本体2とラインアイ24との間に露出する線材21に挿通され、翼支持部材31が線材21に対して回転しないように翼支持部材31と線材との間の隙間に、弾性樹脂製の係止リングが嵌め込まれている。
【0021】
翼支持部材31の両端面には、それぞれスリット311,312が形成されている。翼本体33,34は、翼支持部材31のスリット311,312に挿し込むことで、翼支持部材31に装着することができる。翼本体33,34が翼支持部材31のスリット311,312から抜け出にくくするために、翼本体33,34の板面に係合突起を形成し、スリット311,312の内面に、係合受け部としての窪みを設けるようにしてもよい。
【0022】
翼本体33,34は金属で形成され、翼支持部材31は弾性樹脂で形成されている。また、翼支持部材31は、翼本体33,34に所定の負荷がかかったときに湾曲するように、その形状、厚み、弾性樹脂の種類が決められている。所定の負荷とは、仕掛け1が水中を自由落下するときに、沈降速度抑制翼3の翼面にかかる水の抵抗による上向きの負荷よりもわずかに大きい負荷である。
【0023】
このように構成することで、図5に示すように、水中の狙った位置に仕掛け1を仕掛けるために、仕掛け1を沈降方向Dに沿って自由落下させている間、沈降速度抑制翼3の翼面には水の抵抗により上向きの負荷がかかるが、沈降速度抑制翼3は上方向に湾曲することなく開いた状態で維持することができ、仕掛け本体2の沈降速度を落とすブレーキ部材として機能する。
【0024】
一方、沈降速度抑制翼3の翼面に所定の負荷以上の負荷をかけることで、翼支持部材31を湾曲させることができる。したがって、図6に示すように、釣り糸をリールで巻き取り、仕掛け1を浮上方向Eに沿って引っ張り、回収する際に、ある程度の速さで釣り糸を巻き取ることで、沈降速度抑制翼3の翼面には水の抵抗による下向きの強い負荷がかかり、それにより翼支持部材31は下方に湾曲され、沈降速度抑制翼3を閉じた状態にすることができる。沈降速度抑制翼3が閉じることで、水の抵抗により沈降速度抑制翼3の全体にかかる下向きの負荷を低減することができ、沈降速度抑制翼3を装備することによる、仕掛け1を回収する際のユーザ負荷の増加を抑えられる。
【0025】
なお、翼本体33,34を光の反射率の高い金属で形成することにより、以下のような効果を奏する。すなわち、仕掛け1が水中を沈降するときに、翼本体33,34が水中の光を反射し、キラキラと光るように見えるため、集魚灯として機能させることができる。それにより、光に集まる習性を有する魚などに対して仕掛け1のアピール効果を向上させることができる。もちろん、翼本体33,34を反射率の高い素材で形成するのではなく、翼本体33,34及び翼支持部材31の少なくとも一方に反射率の高い塗料を添付するようにしてもよい。
【0026】
翼本体33,34を翼支持部材31に着脱する構造としてスリット構造を採用し、翼支持部材31を弾性樹脂で形成することにより、以下のような効果を奏する。すなわち、翼支持部材31を弾性樹脂で形成することで、翼本体33,34を挿し込んだ際に翼本体33,34との密着性や形状追従性が増し、翼本体33,34が翼支持部材31のスリット311,312から脱落し難くなる。一方で、翼支持部材31のスリット311,312は弾性変形可能であるため、水中において、スリット311,312は、水圧によりその幅が狭くなるように上下から押圧される。それにより、水中における翼本体33,34と翼支持部材31との結合が強められる。上記のように構成された沈降速度抑制翼3は、陸上における翼本体33,34の翼支持部材31への着脱の容易さと、水中における翼本体33,34の翼支持部材31からの脱落のし難さとを両立している。
【0027】
翼本体33,34を翼支持部材31に抜き差しすることができるのであれば、その構造は上記に限定されることはない。例えば、翼支持部材31に係合用の受け部として凹部や複数の孔などを形成し、翼本体33,34に翼支持部材31の係合用の受け部に整合する係合用の凸部を形成してもよい。もちろん、翼支持部材31に係合用の受け部を設け、翼本体33,34に係合用の突起を設けるようにしてもよい。
【0028】
翼本体33,34を翼支持部材31に着脱することができるのであれば、その構造は上記に限定されることはない。例えば、翼支持部材31の表面又は裏面に幅方向に沿って溝を形成し、翼本体33,34の表面又は裏面に溝に係合する線条突起を設け、翼支持部材31の溝に翼本体33,34の線条突起を位置合わせし、スライドさせることによって、翼本体33,34を翼支持部材31に装着するスライド構造を採用してもよい。また、着脱可能であるという観点だけであれば、ネジ、ボルト等の締結具によって、翼本体33,34を翼支持部材31に締結するようにしてもよい。
【0029】
沈降速度抑制翼3を構成する翼本体33,34、翼支持部材31の素材については、上記に限定されることはない。例えば、仕掛け本体2の沈降速度を抑えるという観点だけであれば、翼本体33,34は弾性樹脂、硬質樹脂、木等で形成されていてもよいし、翼支持部材31は硬質樹脂、金属、木等で形成されていてもよい。
【0030】
また、沈降速度抑制翼3を構成する翼本体の数は2枚に限定されない。仕掛け本体2の沈降速度を抑制することができるのであれば、1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。
【0031】
また、沈降速度抑制翼3において翼本体33,34と翼支持部材31とは別部材で構成したが、一部材で構成してもよい。このとき、翼本体33,34と翼支持部材31とは弾性樹脂で一体成型するのが望ましい。それにより、翼本体33,34だけを交換できないが、翼本体33,34と翼支持部材31とを別部材で構成した場合と同様の効果を奏する。もちろん、仕掛け本体2の沈降速度の抑制するという観点だけであれば、翼本体33,34と翼支持部材31とを、硬質樹脂、金属、木などで一部材として形成してもよい。
【0032】
本実施形態では、翼支持部材31を幅が均一ではないボウタイ形状に形成することで、幅が狭い箇所で湾曲しやすくしているが、翼支持部材31の強度という観点でいえば、翼支持部材31は均一の幅に形成されていることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、沈降速度抑制翼3と仕掛け本体2とは別部品として構成したが、仕掛け本体2の胴体部分の左右両側に翼支持部材31を直接設け、仕掛け本体2の左右両側に設けられた一対の翼支持部材31に一対の翼本体33,34を装着するようにしてもよい。
【0034】
本実施形態では、翼支持部材31を仕掛け本体2に対して係止リングにより固定することで、水中で回転せずに、仕掛け本体2の沈降速度を安定的に遅らせることができた。しかしながら、係止リングを使用せずに、翼支持部材31を仕掛け本体2に対して回転するようにしてもよい。それにより、仕掛け1をより複雑な軌道で水中を漂わすことができ、回転する沈降速度抑制翼3の翼面に光が反射することで、不規則に光らせることができ、魚に対するアピール効果を高めることができる可能性がある。
(おもりを着脱自在に支持する構造4)
仕掛け1は、おもり5を着脱自在に支持する構造4を有する。おもり5を着脱自在に支持する構造4(第2支持部材)は、おもり5を固定するピン41と、ピン41を掛け留めるフック43とからなる。ピン41とフック43は仕掛け本体2に固定されている。より具体的には、ピン41とフック43は仕掛け本体2の芯材となっている線材21に接合されて一体化されている。
【0035】
おもり5にはピン41を挿通可能な貫通孔が形成されている。おもり5は両端部が小径で中央部が大径の略紡錘状に形成されている。但し、おもりの形状は特に限定されず、円柱状、角柱状等であってもよい。底を取り易く、安定感が増すという意味で、三角柱状、断面が台形の四角柱状等とすることも好ましい。仕掛け本体2の沈降速度、根がかりの防止等、様々な観点から検討し、適切な形状のものを選択して用いれば良い。
【0036】
おもり5の重量は例えば軽くて5g、重くて120g程度である。但し、おもりの重量も特に限定されない。例えば3g、10g、20g等、状況に応じて適宜選択して用いれば良い。おもりの材質としては金属を用いることが好ましい。金属種を変更することによって、同一形状で重量を変更することも可能である。但し、仕掛け本体2の重量を調整すれば、必ずしもピン41(第2支持部材)と、ピン41を掛け留めるフック43は必要ではない。
【0037】
仕掛け1においては、おもり5に固定ピン41が挿通され、固定ピン41の先端部がフック43に掛け留められることによって、おもり5が固定されている。フック43は金属製の線材を折り曲げることによって上端に隙間を有するD字状に形成されていて、前記隙間から固定ピン41を差し込み、固定ピン41を掛け留めることができるようになっている。
【0038】
このようにおもり5を固定ピン41とフック43によって固定する構造は状況に応じて、極めて容易におもり5を換装可能であることを意味する。即ち、釣り糸を結んだり切ったりすることなく、おもり5を換装可能であり、一瞬のチャンスも逃がすことなく、ターゲットを狙うことができる。
【0039】
また、おもり5を固定ピン41とフック43によって固定する構造は根がかりした際等に強い力がかかると固定ピン41が外れ、おもり5を脱落させることで根がかりを解消することもできる。こうすることで、おもり5以外の部分を回収することができ、仕掛け全体のロストを防止することができる。
【0040】
但し、おもり5を着脱自在に支持する支持構造は上記に限定されない。例えば、おもり5を収容可能な籠が仕掛け本体2に固定されていてもよいし、ラインアイ24のようなリング部を形成し、そのリング部におもり5から延びるワイヤを結ぶようにしてもよい。
【0041】
以上説明した第1実施形態に係る釣り用仕掛け1によれば、以下のような効果を発揮することができる。すなわち、仕掛け1は海流や水流が激しい釣り場においても重量の大きいおもり5と沈降速度抑制翼3を併用することができ、仕掛け1の漂流時間を調整し、魚に対するアピール効果を十分に発揮することができる。
【0042】
また、従来は、仕掛け自体を多く用意しておかないと、状況の変化に細かく対応することができなかった。しかし、仕掛け1は翼本体33,34、おもり5を換装可能な構造であるため、状況に応じて翼本体33,34、おもり5を自由に組み合わせ、少ない部品点数で状況に応じた個性的な釣りを楽しむことができる。即ち、釣り道具を軽量・コンパクトにすることができる。
【0043】
更に、根がかり等をしても、翼本体33,34、おもり5が脱落可能に構成されているため、仕掛け全体のロストを防止することができる。
【0044】
(第2実施形態)
以下、図7図8を参照しながら、第2実施形態に係る釣り用仕掛けについて説明する。第2実施形態に係る釣り用仕掛け7は、仕掛け本体2と、沈降速度抑制翼8と、おもり5を着脱支持する構造4と、を備えている。第2実施形態に係る釣り用仕掛け7は、第1実施形態に係る釣り用仕掛け7の沈降速度抑制翼3において翼本体33,34と翼支持部材31との連結構造が異なるだけであり、それ以外の構成は第1実施形態に係る釣り用仕掛け7と同様である。第2実施形態では、翼本体83,84と翼支持部材81との連結構造のみを説明する。
【0045】
第2実施形態に係る沈降速度抑制翼8において、一方の翼本体83は、ヒンジ85を介して翼支持部材81に屈曲自在に連結されている。同様に、他方の翼本体84は、ヒンジ86を介して翼支持部材82に屈曲自在に連結されている。それにより、翼本体83,84は翼支持部材81に対して水平な姿勢から、上方に向かって屈曲不可であるが、下方に向かって屈曲することができる。
【0046】
上記のように構成された第2実施形態に係る釣り用仕掛け7によれば、第1実施形態に係る釣り用仕掛け7と同様の効果を奏する。すなわち、図7に示すように、仕掛け7を沈降方向Dに沿って自由落下させている間、沈降速度抑制翼8の翼面には水の抵抗により上向きの負荷がかかるため、翼本体83,84は翼支持部材81に対して下方に屈曲した姿勢から水平姿勢となり、水平姿勢から上方に屈曲することなく開いた状態で維持することができ、仕掛け本体2の沈降速度を落とすブレーキ部材として機能する。
【0047】
一方、図8に示すように、釣り糸をリールで巻き取り、仕掛け7を浮上方向Eに沿って引っ張り、回収する際に、沈降速度抑制翼8の翼面には水の抵抗により下向きの負荷がかかるため、翼本体83,84は翼支持部材81に対して水平な姿勢から下方に屈曲した姿勢となり、翼本体83,84を閉じた状態とすることができる。翼本体83,84が閉じることで、水の抵抗により沈降速度抑制翼8の全体にかかる下向きの負荷を低減することができ、沈降速度抑制翼8を装備することによって、仕掛け7を回収する際のユーザ負荷の増加を抑えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の釣り用の仕掛けは、例えば、海流や水流の激しい釣り場において使用する仕掛けとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…仕掛け、2…仕掛け本体、21…線材、22…フロントフックアイ、23…リアフックアイ、24…ラインアイ、3…沈降速度抑制翼、31…翼支持部材、33,34…翼本体、41…固定ピン、43…フック、5…おもり。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8