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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064714
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】販売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220419BHJP
【FI】
G06Q30/06 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173508
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】515324671
【氏名又は名称】株式会社フリックフィット
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 博仁
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB66
(57)【要約】
【課題】購入したい靴を探しやすく、靴の詳細な確認が可能であり、かつ、顧客の足のサイズにマッチングした靴の購入を簡潔に行うことが可能な販売システムを提供する。
【解決手段】販売ボックス1と三次元形状測定装置12とディスプレイ装置13とコントロール端末15と店舗サーバ2とを備え、制御系は、以下の処理を実行する販売システムとした。ディスプレイ装置13の表示画面13aに靴を表示して紹介する。コントロール端末画面151の操作に応じ、三次元形状測定装置12により測定した足FTの外周の三次元形状と靴の内周の三次元形状とに基づいて靴の各サイズのフィッティング度合いを判定し、靴の最適サイズを表示する。決済を誘導する決済用コード100を表示させる。顧客端末3による決済用コード100の入力に応じ、店舗サーバ2において靴の注文を受け付け、顧客の靴の購入に対する決済を行う。決済を終えた靴の配送手続きを行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が出入り可能なボックスと、
前記ボックス内に設置され、足の三次元形状を測定可能な三次元形状測定装置と、
前記ボックス内に設置されたディスプレイ装置と、
前記顧客による入力操作が可能な入力手段を備え、前記三次元形状測定装置および前記ディスプレイ装置の作動を制御可能なコントローラと、
前記顧客が所有する顧客端末と通信ネットワークを介して接続可能であり、前記顧客による靴の注文の受付と決済とが可能な店舗サーバと、
を備えた販売システムであって、
前記コントローラおよび前記店舗サーバを含む制御系は、
前記ディスプレイ装置の表示画面に販売対象の前記靴を表示して紹介する処理と、
前記顧客による前記入力手段の操作に応じ、前記三次元形状測定装置により測定した前記足の外周の三次元形状と、予め入力された前記靴の内周の三次元形状とに基づいて前記靴の各サイズのフィッティング度合いを判定し、前記顧客の足に対する前記靴の最適サイズを表示する処理と、
前記入力手段による前記顧客の購入手続きの入力に応じ、前記店舗サーバにおける前記靴の購入の決済を誘導する決済情報を、前記ディスプレイ装置および前記コントローラの表示部の少なくとも一方に表示させる処理と、
前記顧客端末による前記決済情報の入力に応じ、前記店舗サーバにおいて前記靴の注文を受け付けるとともに、前記顧客の前記靴の購入に対する前記決済を行う処理と、
前記決済を終えた前記靴の配送手続きを行う処理と、
を実行する販売システム。
【請求項2】
請求項1に記載の販売システムにおいて、
前記コントローラは、前記顧客の足元を撮像可能なカメラを備え、
前記制御系は、前記入力手段による複数の靴の中からの試着用の靴の選択操作に応じ、前記カメラにより撮影されて前記表示画面に表示された前記顧客の足元の画像に、前記選択された靴の画像を重ね合わせる仮想試着処理をさらに実行する販売システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の販売システムにおいて、
前記制御系は、前記靴の最適サイズを表示する処理では、前記足の外周に対する前記靴の内周の接触圧の強さを併せて表示する販売システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の販売システムにおいて、
前記コントローラは、販売員により操作される販売員端末と接続可能であり、
前記制御系は、
前記販売員端末と前記コントローラとにより、前記販売員による前記顧客との接客を可能とするとともに、前記ディスプレイ装置により前記販売員による前記靴の情報提供を可能とする販売システム。
【請求項5】
顧客が出入り可能なボックスと、
前記ボックス内に設置され、前記ボックス内の顧客の身体の三次元形状を測定可能な三次元形状測定装置と、
前記ボックス内に設置されたディスプレイ装置と、
前記顧客による入力操作が可能な入力手段を備え、前記三次元形状測定装置および前記ディスプレイ装置の作動を制御可能なコントローラと、
前記顧客が所有する顧客端末と通信ネットワークを介して接続可能であり、前記顧客が体に装着する商品の注文の受付と決済とが可能な店舗サーバと、
を備えた商品販売システムであって、
前記コントローラおよび前記店舗サーバを含む制御系は、
前記ディスプレイ装置の表示画面に販売対象の前記商品を表示して紹介する処理と、
前記顧客による前記入力手段の操作に応じ、前記三次元形状測定装置により測定した前記身体の三次元形状と、予め入力された前記商品の三次元形状とに基づいて前記商品の各サイズのフィッティング度合いを判定し、前記顧客の身体に対する前記商品の最適サイズを表示する処理と、
前記入力手段による前記顧客の購入手続きの入力に応じ、前記店舗サーバにおける前記商品の購入の決済を誘導する決済情報を、前記ディスプレイ装置および前記コントローラの表示部の少なくとも一方に表示させる処理と、
前記顧客端末による前記決済情報の入力に応じ、前記店舗サーバにおいて前記商品の注文を受け付けるとともに、前記顧客の前記商品の購入に対する前記決済を行う処理と、
前記決済を終えた前記商品の配送手続きを行う処理と、
を実行する販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、靴などの販売システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、靴の販売において、実際の店舗による販売や、ECサイト(electronic commerce site)によるインターネット上での販売が知られている。
【0003】
前者の実際の店舗での販売では、顧客が実物を手に取って、試着して履き心地を確認して購入することができる。しかしながら、このような店舗販売にあっては、1つの商品に対し、複数のサイズおよび色を揃える必要がある。このため、店舗に、大きな在庫スペースや、店員が在庫確認を行う動線を確保する必要があり、店舗の大型化を招くとともに、多くの店員も必要となる。
【0004】
後者のECサイトによる販売では、大きな店舗や多くの店員は不要であるが、顧客がECサイト内において、購入したい靴を販売する店舗を見つけるのに手間を要し、ECサイトによる販売促進が望まれる。また、顧客は、ECサイトの店舗を見つけたとしても、多くの商品の中から、気に入った商品を見つける必要があり、限られた大きさの画面での操作は手間がかかる。加えて、顧客は、靴を試着できないため、購入した靴が顧客の足に合わない場合も生じる。
【0005】
そこで、顧客の足のサイズを測定した上で、顧客の足のサイズに適した靴の注文が可能な販売支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、顧客は、測定装置のボックス内に設けられた測定部を用いて、顧客の足の三次元形状を測定し、顧客の足のサイズに関連された管理番号が発行されるようになっている。そして、顧客は、靴を購入する場合、顧客が所有する端末を用いて、靴を販売するウェブサイトを立ち上げ、管理番号を情報処理装置へ出力すると、情報処理装置は、管理番号に対応する測定データにマッチングする靴の品番を、顧客の端末へ出力するようになっている。したがって、靴を販売する販売者は、大型店舗を不要としつつ、顧客の足に適した靴を提供できる可能性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-57108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の従来技術では、ボックス内では足の形状を測定し、測定データに管理番号を付与するだけである。そして、顧客が靴を購入する際には、顧客は、自分が所有する端末を用いて、店舗のウェブサイトを立ち上げた後、管理番号を入力し、自分のサイズに合った靴が端末に表示されるようになっている。
【0008】
したがって、顧客の足にマッチングした靴を購入することは可能であるものの、わざわざ、ボックスまで出向いても、靴の購入はできない。そして、店舗のウェブサイトでは、自分の足のサイズに合った靴は知ることができるが、多くの靴の中から購入したい靴が直ぐに見つかるとは限らず、購入したい靴を見つけるのに手間を要する。特に、携帯電話のような小さな端末では、購入したい靴を探すのに手間を要し、かつ、靴の質感などの詳細を確認するのが難しい。
【0009】
本開示は、この従来の問題に着目して成されたもので、購入したい靴を探しやすいとともに、靴の材質などの詳細な確認が可能であり、かつ、顧客の足のサイズにマッチングした靴の購入を簡潔に行うことが可能な販売システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、この開示の販売システムは、顧客が出入り可能なボックスと、前記ボックス内に設置され、足の三次元形状を測定可能な三次元形状測定装置と、前記ボックス内に設置されたディスプレイ装置と、前記顧客による入力操作が可能な入力手段を備え、前記三次元形状測定装置およびディスプレイ装置の作動を制御可能なコントローラと、前記顧客が所有する顧客端末と通信ネットワークを介して接続可能であり、前記顧客による靴の注文の受付と決済とが可能な店舗サーバと、を備えた販売システムである。
【0011】
そして、前記コントローラおよび前記店舗サーバを含む制御系は、以下に列挙する処理を実行する。前記ディスプレイ装置の表示画面に販売対象の前記靴を表示して紹介する処理。前記顧客による前記入力手段の操作に応じ、前記三次元形状測定装置により測定した前記足の外周の三次元形状と、予め入力された前記靴の内周の三次元形状とに基づいて前記靴の各サイズのフィッティング度合いを判定し、前記顧客の足に対する前記靴の最適サイズを表示する処理。前記入力手段による前記顧客の購入手続きの入力に応じ、前記店舗サーバにおける前記靴の購入の決済を誘導する決済情報を、前記ディスプレイ装置および前記コントローラの表示部の少なくとも一方に表示させる処理。前記顧客端末による前記決済情報の入力に応じ、前記店舗サーバにおいて前記靴の注文を受け付けるとともに、前記顧客の前記靴の購入に対する決済を行う処理。前記決済を終えた前記靴の配送手続きを行う処理。
【発明の効果】
【0012】
本開示の販売システムでは、販売ボックス内のディスプレイ装置の表示画面で靴を表示し案内するため、携帯電話のような小さな端末により靴を探すのと比較して、顧客が靴を探すのが容易な大きさの表示画面を用いることができる。また、これにより靴の材質などの詳細の確認も可能とすることができる。そして、販売ボックス内で購入する靴の決定まで行い、かつ、決済情報まで得ることができるため、顧客の足のサイズにマッチングした靴の購入を簡潔に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態1の販売システムを示す全体概略図である。
図2】実施の形態1の販売システムで用いる販売ボックスを示す斜視図である。
図3A】実施の形態1の販売システムの制御系の処理の流れを示すフローチャートである。
図3B】実施の形態1の販売システムの制御系の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】実施の形態1の販売システムにおいて用いる靴が届くまでの流れを説明する概略説明画像を示す図である。
図5】実施の形態1の販売システムにおいて用いる試着選択操作画像を示す図である。
図6】実施の形態1の販売システムにより表示される仮想試着の画像の一例を示す図である。
図7】実施の形態1の販売システムにおいて用いる商品情報、購入手続き選択画面の一例を示す図である。
図8】実施の形態1の販売システムにおける最適サイズの靴およびフィッティング度合いの表示例を示す図である。
図9】実施の形態1の販売システムにおいて用いる決済コードの一例を示す図である。
図10】実施の形態2の販売システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態1の販売システムを図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の販売システムAの構成について説明する。
この販売システムAは、実施の形態1の販売システムAを示す全体概略図である図1に示すように、販売ボックス1と、店舗サーバ2とを備える。
【0015】
販売ボックス1は、例えば、駅、空港、地下街など、人の通行が多い箇所に設置するのが好ましい。そして、販売ボックス1は、ドア11(図2参照)を開閉してボックス内へ出入り可能となっており、ボックス内には、三次元形状測定装置12と、ディスプレイ装置13と、コントローラとしてのコントロール端末15とが設置されている。また、店舗サーバ2は、通信ネットワークNEを介して、顧客が所有する顧客端末3と接続可能となっており、顧客を顧客端末3から店舗サイト(ECサイト)に誘導して決済を行うことを可能としている。なお、コントロール端末15も通信ネットワークNEを介して店舗サーバ2と接続可能としてデータなどの送受信を行うようにしてもよい。
【0016】
ここで、販売システムAの全体の構成および処理の流れを簡単に説明すると、三次元形状測定装置12により、顧客の足FT(図6参照)の三次元形状を測定可能となっている。顧客は、ディスプレイ装置13の表示画面13aにおける表示に従って、コントロール端末15のコントロール端末画面151(図2参照)を操作し、靴の仮想試着と、三次元形状測定装置12による足FTの三次元形状の測定とを行う。さらに、足FTの外周形状の三次元データと、靴の内周形状の三次元データとに基づいて、足FTに最適な靴を選択するマッチングを行う。そして、顧客が、靴の購入を決定すると、顧客端末3を店舗サーバ2に接続し購入手続きを行うための決済用コード100(決済情報:図9参照)をディスプレイ装置13の表示画面13aおよびコントロール端末15のコントロール端末画面151により出力する。したがって、顧客は、決済用コード100を顧客端末3のカメラ31により読み込み、顧客端末3を用いて店舗サーバ2において顧客が希望する決済手段を用いて靴の購入手続きを行うことができる。また、購入した靴は、顧客が希望する住所や、配達ボックスなどに配送するための配送手続きを行うようになっている。
【0017】
以下に、販売システムAの詳細について説明する。
まず、販売ボックス1およびその内部の構成について説明する。
販売ボックス1は、3m程度の広さに形成され、顧客は、図2に示す2枚のドア11、11のいずれかからボックス内に出入り可能となっている。また、販売ボックス1は、ドア11,11から離れた奥側の半分程度のスペースにおいて、床部分に、三次元形状測定装置12が設置され、壁部部分にディスプレイ装置13が設置されている。そして、ディスプレイ装置13の表示画面13aの正面であって、顧客の腰の高さ程度となる位置にタブレット型のコントロール端末15が設置されている。
【0018】
以下に、三次元形状測定装置12、ディスプレイ装置13、コントロール端末15について説明する。
【0019】
三次元形状測定装置12は、床に設置されたベース121と、ベース121を囲んで周方向に略等間隔で配置された4つのセンサユニット122を備える。この三次元形状測定装置12としては、例えば、特開2019-060609号公報に記載されたものと同様のものを用いることができるもので、その構成を簡単に説明する。
【0020】
ベース121は、ディスプレイ装置13の表示画面13aの方向に足先に向けた左右の足型マーク121aが設けられている。
【0021】
センサユニット122は、それぞれ、上部に、足型マーク121aの方向を向けて不図示のIRプロジェクタ、IRカメラ、RGBカメラを備える。さらに、三次元形状測定装置12は、不図示の演算回路を備える。演算回路は、ベース121の下部などに設置され、4つのセンサユニット122のそれぞれから取得したグレー画像、カラー画像、深度画像に基づいて、ベース121の上に配置された左右の足FTの三次元形状の測定を行う。この三次元形状の測定は、4つのセンサユニット122で得られた足FTの画像の点群を1つに統合し、足FTの全周に亘る形状を示す三次元の点群のデータを作成する。そして、統合した点群データを、面形状化し、足FTの外形表面の形状に沿った面形状を示す足の三次元データを作成する。
【0022】
コントロール端末15は、タッチパネル機能を備えたコントロール端末画面151と、カメラ152(図1参照)とマイク153とスピーカ154とを備え、さらに、内部に演算処理を行う制御部14を備える。そして、コントロール端末15は、図2に示すように、三次元形状測定装置12とディスプレイ装置13との間であって、コントロール端末画面151が、三次元形状測定装置12のベース121の上に起立した顧客の方向を向くように設置されている。また、コントロール端末15のカメラ152(図1参照)は、足型マーク121aに向いて設置され、ベース121の上に起立した顧客の足元を撮影可能としている。
【0023】
(制御系の処理の流れ)
次に、コントロール端末15の制御部14および店舗サーバ2の制御系の処理の流れを、図3A図3Bのフローチャートに基づいて説明する。なお、実施の形態1では、販売ボックス1において、例えば、キャンペーン中の新製品のように限られた種類の靴を販売する場合を説明する。このようにキャンペーンに用いる場合、複数の販売ボックス1を並べて設置し、人の注目を集めるとともに、多数の顧客が、同時に購入を行えるようにするのが好ましい。
【0024】
また、このように販売対象の靴の種類が少ない場合には、以下に説明する決済用コード100を出力するまでの処理は、コントロール端末15により行うことができるが、販売対象の靴の種類が多い場合などには、以下に説明する処理を店舗サーバ2において行い、処理データをコントロール端末15で受け取り、表示などを行うようにしてもよい。
【0025】
最初のステップS101では、ディスプレイ装置13を用いて商品説明を行う。なお、この処理の開始は、電源が入れられたら開始するようにしてもよいし、あるいは、人を検出するセンサや、ドア11が開かれたことを検出するセンサなどにより、人(顧客)がボックス内に入ったことを検出して実行を開始するようにしてもよい。したがって、前者の場合、ステップS101の商品説明は、常時行う。一方、後者の場合は、人(顧客)がボックス内に入ったことを検出して開始する。また、本実施の形態1では、限られた種類の靴の販売を行うため、商品説明は、制御部14に記憶されたデータに基づいて行うことができる。
【0026】
そして、ステップS101において行う商品説明としては、ディスプレイ装置13に、キャンペーン中の靴の特徴などを表示する。この靴の特徴としては、例えば、対象となる靴が軽量である場合、その重量を表示するなど軽いことを説明する。また、材質や履き心地に特徴がある場合などは、その特徴(例えば、伸縮性に富む、洗濯機で洗濯可能、通気性に富む、保温性に富む、高級な履き心地など)を表示する。
【0027】
次のステップS102では、制御部14によりディスプレイ装置13を用いて靴が届くまでの流れを、概略説明画像の表示および音声案内により行う。概略説明画像は、例えば、図4に示すように、「試す(仮想試着)」、「買う」、「届く」の行程を経て靴が顧客に届くことを視覚的に表示する。なお、ステップS101からステップS102の移行は、顧客がコントロール端末15を操作して行うものとする。
【0028】
ステップS102の説明を終えると、次のステップS103に進む。このステップS103では、コントロール端末15のコントロール端末画面151に、図5に示す試着選択操作画像の表示を行う。この試着選択操作画像の表示の際には、同時に顧客に靴を脱いで三次元形状測定装置12のベース121の足型マーク121aの上に立つことをスピーカ154から音声出力により案内する。この試着選択操作画像では、靴の種類別に選択可能な色の靴を表示する。すなわち、顧客は、コントロール端末画面151に表示された複数の靴の中から試着したい靴をタッチすることで試着する靴を選択することができる。また、このとき、同時に、ディスプレイ装置13の表示画面13aにも、同様の画像を表示してもよい。
【0029】
そして、顧客によりコントロール端末画面151の選択操作(コントロール端末画面151の靴画像のタップ操作など)が行われたか否かを判定し(ステップS104)、選択操作が行われると、ステップS105に進んで仮想試着処理を行う。
【0030】
この仮想試着処理では、コントロール端末15のカメラ152により撮影した顧客の足の画像の上に、ステップS104において選択された種類、色の靴の画像を重ね合わせ、ディスプレイ装置13の表示画面13aに表示する。図6は、この仮想試着処理により、表示画面13aにおいて顧客の足FTの画像の上に、靴の画像SPを重ねた状態の一例を示している。なお、この表示例では、仮想試着している靴の拡大画像も同時に表示している。
【0031】
ここで、仮想試着について簡単に説明すると、靴の外観の三次元データは制御部14に予め入力されており、カメラ152で撮像された足FTの画像の大きさ、向きに応じて、靴の三次元データの大きさおよび向きを調節した上で重ね合わせる。なお、この画像の重ね合わせの段階では、靴の色合いや素材感を確認できればよいため、簡単なマッチングでよく、既存の技術を用いて画像を重ね合わせればよい(例えば、特開2002-297971公報、特開2010-152556公報、特開2019-144890公報に記載の技術など)。
【0032】
また、仮想試着の際に、その背景は、カメラ152で撮影した画像以外の背景画像を用いるようにしてもよい。その場合、試着する靴を履く状況に応じた背景の画像(例えば、山歩き用の靴であれば、山や高原の風景の画像、ビジネスシューズであれば、都会や社内の風景の画像、スポーツ競技用であれば、その競技を行う場所の画像など)を用いるようにしてもよい。
【0033】
さらに、この仮想試着時の画像を、顧客端末3に保存可能としてもよい。この場合、コントロール端末画面151に保存操作を行う画像を表示し、そのタップ操作により、画像データを、顧客端末3に送信するようにする。
【0034】
ディスプレイ装置13の表示画面13aに仮想試着画像を表示したら、制御部14は、コントロール端末15のコントロール端末画面151に、図7に示す商品情報、購入手続き選択画面を表示する(ステップS106)。ここで、商品情報としては、例えば、素材に関する情報や、商品のスナップショットや、他の顧客によるレビューなどが含まれる。そして、制御部14は、顧客により図7に示す各商品情報に関する選択操作が行われた場合、その選択に応じてディスプレイ装置13に商品情報を表示し、必要に応じて音声による説明を実行する(ステップS107、S108)。なお、上述したステップS105の仮想試着処理や、ステップS106により表示された画面の操作に応じた情報の提供は、店舗サーバ2により行うようにしてもよい。
【0035】
また、図7に示す商品情報、購入手続き選択画面において、顧客により購入手続きの選択が行われた場合(S109)、コントロール端末15は、ステップS110以降の顧客の足FTにフィットするサイズの靴を決定する処理に進む。
【0036】
ステップS110では、ディスプレイ装置13に顧客の足FTの三次元形状の測定を行うことを表示し、顧客に知らせる。さらに、ディスプレイ装置13に、足FTの三次元形状の測定にあたり、顧客が靴を脱いでベース121の足型マーク121aの位置に足を載せて立つこと、および、顧客がスラックスを履くなどして足FTが衣服などにより隠れている場合に、裾を上げるなどして足首よりも下の足FTを撮影可能に露出させることを促す表示や音声案内を行う。
【0037】
そして、制御部14は、三次元形状測定装置12により足FTの三次元形状の測定を行う(ステップS111)。なお、足FTの三次元形状の測定は、前述の本願出願人による特開2019-60709号公報に記載の技術を用いて測定することができる。また、この三次元形状測定装置12による足FTの三次元形状の測定中は、測定中であることを、ディスプレイ装置13およびコントロール端末15のコントロール端末画面151に表示する。
【0038】
次に、制御部14は、顧客が選択した靴と顧客の足FTとのフィッティング度合いを求める処理を行う(S112)。このフィッティング度合いは、顧客の足FTの外周の三次元形状データと、ステップS103の選択画面で選択された各サイズの靴の内周の三次元形状データとを重ね、両者の当たりの強さを求めることで判定する。そして、このフィッティング度合い(当たりの強さ)により最適なサイズの靴を選択する。
【0039】
なお、靴の内周の形状は、本願出願人による特許第6423984号による三次元形状測定装置を用いて検出することができる。また、足FTの外周と靴の内周とのフィッティング度合い(当たりの強さ)は、本願出願人による特許第6666741号に記載の発明を用いて求めることができる。また、当たりの強さの判定の際に、靴の素材を判定要素に加えるのが好ましい。例えば、足FTの外周と靴の内周とのフィッティング度合いは、基本的には、両者の形状の差分の大きさに対して与えるが、さらに、靴の素材を考慮するようにしてもよい。例えば、靴の素材が硬ければ、当たりが強く、靴の素材が柔らかければ、当たりが弱くなるように、差分に素材に応じた係数を乗じるなどして素材の違いを考慮してフィッティング度合いを求めることができる。
【0040】
そして、制御部14は、各サイズの靴のフィッティング度合いに基づいて、フィッティング度合いが最適なサイズを決定する(S113)。そして、制御部14は、ディスプレイ装置13の表示画面13aに、選択した最適サイズの靴の表示を行う(S114)。
【0041】
この最適サイズの靴の表示は、最適サイズの靴の表示と、その靴を履いた場合のフィッティング度合いの表示とを行う。すなわち、図8に示すように、靴およびサイズ表示部131により、適正サイズの靴の画像の表示と、その足長寸法の表示とを行う。なお、寸法の表示は、靴の足長(前後長)に加え、足囲を表示するようにしてもよい。
【0042】
また、フィッティング度合いの表示は、足型表示部132により、足FTの各部位の当たりの強さを着色表示する。これにより、顧客は、足FTの各部位の当たりの強さを知ることができる。また、横軸表示部133は、横方向の中央が、フィッティング度合いが最適であることを示し、左側に寄る程当たりが強いことを示し、右側に寄る程当たりが弱いことを示す。この横軸表示部133を用いて、サイズ表示部131に表示した靴のフィッティング度合いを表示する。なお、図8では、フィッティング度合いが最適の中央であることを表示している。
【0043】
また、制御部14は、ステップS114の処理と並行して、コントロール端末画面151において、購入決定操作を行う画面を表示する。なお、この購入決定操作を行う画面は、「購入」という文字を表示するだけであるので図示は省略する。そして、顧客により、この「購入」の文字をタップ操作するなどの購入選択操作が行われると(S106)、制御部14は、ディスプレイ装置13と、コントロール端末15のコントロール端末画面151とに、決済用コード100を表示する(S117)。この決済用コード100は、図9に示すQRコード(登録商標)やバーコードなどを用いることができる。
【0044】
制御部14による制御は、以上で終了する。
【0045】
次に、顧客は、顧客端末3のカメラ31を用いて、決済用コード100を撮影する。顧客端末3は、予め入力されている顧客端末3のアプリケーションに基づいて、通信ネットワークNEを介して店舗サーバ2の決済画面に誘導される。
【0046】
すなわち、店舗サーバ2では、顧客が選択した靴を購入するための決済方法の選択画面を、顧客端末3の携帯端末画面32に表示させ、顧客が選択した決済方法により決済を行う。なお、決済に必要な顧客を特定する情報は、予め、店舗サイトに入力されていてもよいし、この決済の際に、顧客の情報と決済方法とを関連付けるようにしてもよい。
【0047】
また、店舗サーバ2では、決済を行う前に、靴の配送先の入力や選択画面を顧客端末3の携帯端末画面32に表示させ、顧客が決定した配送先に配送を行うための手続きを実行する。なお、この配送先は、予め登録された顧客の住所であってもよいし、所定の配送受け取りロッカーなどを用いるようにしてもよい。したがって、購入した靴は、配送業者などにより、店舗から、顧客が希望する住所に配送される。
【0048】
(実施の形態1の作用)
以下に、顧客が靴を購入する場合の操作を、順を追って説明する。
顧客は、まず、販売ボックス1の設置箇所に出向き、ドア11を開いて中に入る。販売ボックス1は、店舗と比較すると極めて小さく、駅や空港などに容易に設置することができる。よって、顧客は、店舗で購入する場合よりも容易に購入に出向くことができる。
【0049】
顧客は、販売ボックス1の中に入ると、ディスプレイ装置13の表示画面13aに商品説明が表示される(S101)ことで、商品の重さや材質やなど詳細に確認できる。また、この表示画面13aは、図2に示すように、販売ボックス1の内部において、壁面の上部から下部に亘る大きさを有し、携帯電話のような顧客端末3の携帯端末画面32と比較して大きな画面であるため、靴の材質感など、詳細に把握することができ、また、同時に多数の商品を確認することができる。さらに、顧客は、図4に示す概略説明画像を見て、靴が届くまでの流れを知ることができる(S102)。顧客は、このような流れを把握することにより、注文から配達まで円滑に進むことが把握でき、顧客は、安心して購買を進めることができる。
【0050】
そして、顧客は、気に入った商品が存在する場合、コントロール端末15の操作により選択した靴の仮想試着を行うことができる。この場合、図5の試着選択操作画像に示すように、コントロール端末15のコントロール端末画面151に表示された複数の靴の中から、試着したい靴の画像をタップ操作などの操作を行うことで仮想試着が開始される(S104、S105)。
【0051】
この靴の仮想試着では、スピーカ154からの音声出力による案内に従って、顧客が、靴を脱いで三次元形状測定装置12の足型マーク121aの上に起立すると、ディスプレイ装置13の表示画面13aに、図6に示す仮想試着の画像が表示される。すなわち、コントロール端末15のカメラ152により撮影した顧客の足FTの上に、顧客が選択した種類、色の靴の画像SPを重ね合わせた画像が表示される。
【0052】
したがって、顧客は、実際に店舗に行って、販売員に試着を頼まなくても、実際に靴を履いた状態の外観を把握することができる。すなわち、外観についての実際の試着と同様の感想を得ることができる。
【0053】
さらに、顧客は、商品の詳細を知りたい場合には、コントロール端末15のコントロール端末画面151に表示された商品情報、購入手続き選択画面(図7)を操作して、靴の素材や、商品のスナップショットや、他の顧客によるレビューなどを把握することができる。
【0054】
また、顧客は、試着した靴を購入したい場合には、商品情報、購入手続き選択画面(図7)を操作して、さらに購入手続きを進めることができる。この購入手続きでは、靴の購入をする前に、顧客の足FTにフィットする靴のサイズおよび足FTの各部位に対する接触圧の強さを知ることができる。すなわち、接触圧が高い箇所の範囲は、赤や黄色の暖色の表示により知ることができ、接触圧が低い箇所の範囲は、青や緑の寒色の表示により知ることができる。
【0055】
すなわち、商品情報、購入手続き選択画面において、顧客により購入手続きの選択が行われた場合、ディスプレイ装置13の表示画面13aに、最適サイズの靴が表示され、同時に、フィッティング度合いも知ることができる。よって、顧客は、フィッティング度合いを視覚的に確認し、最適サイズの靴を購入することができる。
【0056】
そして、顧客は、靴を購入する場合は、コントロール端末画面151に表示された購入決定操作用の画面を操作すると、ディスプレイ装置13の表示画面13aと、コントロール端末画面151とに、決済用コード100が表示される。そこで、顧客は、顧客端末3のカメラ31により決済用コード100を撮影すると、通信ネットワークNEを介して店舗サーバ2の決済画面に誘導され、任意の決済手段により決済を行って、靴を購入することができる。この購入した靴は、顧客が希望する住所に配送され、顧客が受け取ることができる。以上のように、顧客は、販売ボックス1において、販売員と非接触のままで購入までの手続きを円滑に行うことができる。
【0057】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の販売システムAの効果を列挙する。
【0058】
(1)実施の形態1の販売システムAは、販売ボックス1と三次元形状測定装置12とディスプレイ装置13とコントローラとしてのコントロール端末15と店舗サーバ2とを備える。販売ボックス1は、顧客が出入り可能なボックスである。三次元形状測定装置12は、販売ボックス1内に設置され、足の三次元形状を測定可能である。ディスプレイ装置13は、販売ボックス1内に設置されている。コントロール端末15は、顧客による入力操作が可能な入力手段としてのコントロール端末画面151を備え、三次元形状測定装置12およびディスプレイ装置13の作動を制御可能である。店舗サーバ2は、顧客が所有する顧客端末3と通信ネットワークNEを介して接続可能であり、顧客による靴の注文の受付と決済とが可能である。
【0059】
そして、コントロール端末15および店舗サーバ2を含む制御系は、以下に列挙する処理を実行する。ディスプレイ装置13の表示画面13aに販売対象の靴を表示して紹介する処理(S101)。顧客による入力手段としてのコントロール端末画面151の操作による手続き進行の入力(S109)に応じ、三次元形状測定装置12により、顧客の足FTの外周の三次元形状を測定する処理(S111)および測定した足FTの外周の三次元形状と、予め入力された靴の内周の三次元形状とに基づいて靴の各サイズのフィッティング度合いを判定し、顧客の足FTに対する靴の最適サイズを表示する処理(S114)。コントロール端末画面151による顧客の購入手続きの入力(S116)に応じ、店舗サーバ2における靴の購入の決済を誘導する決済情報としての決済用コード100を、ディスプレイ装置13およびコントロール端末15のコントロール端末画面151に表示させる処理(S117)。顧客端末3による決済用コード100の入力に応じ、店舗サーバ2において靴の注文を受け付けるとともに、顧客の靴の購入に対する決済を行う処理。決済を終えた靴の配送手続きを行う処理。
【0060】
したがって、実施の形態1の販売システムAでは、販売ボックス1内のディスプレイ装置13の表示画面13aにより靴を表示し購入の案内を行う。このため、顧客は、携帯電話のような小さな顧客端末3により靴を探すのと比較して、表示画面13aを大型化し多数の靴を並列表示でき、顧客は容易に靴を探すことができる。また、大きな表示画面13aを用いることで、顧客端末3により表示するのと比較して、靴を大きく表示でき、靴の材質、質感、縫い目などの詳細な確認も可能となり、より正確な購入の判断を行うことができる。そして、販売ボックス1内において、購入する靴を決定するまでの行程を実施し、かつ、決済に用いる決済用コード100を得ることができるため、靴の購入を、販売員と非接触状態で簡潔に行うことができる。
【0061】
さらに、実施の形態1の販売システムAでは、靴の各サイズのフィッティング度合いを判定し、顧客の足FTに対する靴の最適サイズを表示する処理を行うため、顧客は、試着したときの靴のフィッティング度合いを視覚的に体感することができる。これにより、実際に靴を試着したのと同様に、購入の可否の判断を行うことが可能となる。
加えて、販売ボックス1の設置は、実際の店舗を設置するのと比較して、省スペースの設置が可能であり、駅、空港、地下街、スポーツジム、商業施設などにおいて容易に設置が可能であり、かつ、空きスペースの有効利用を図ることが可能である。また、販売ボックス1を、販売する靴のターゲットとなる顧客が多い場所に設置して、販売促進を図ることも可能である。しかも、販売ボックス1の外装も、販売する靴に応じた外装とすることが容易であり、これによっても販売促進を図ることができる。
【0062】
(2)実施の形態1の販売システムAでは、コントロール端末15は、顧客の足元を撮像可能なカメラ152を備える。そして、制御系は、コントロール端末画面151に表示された複数の靴の中から試着用の靴を選択する操作(S104)に応じ、カメラ152により撮影しディスプレイ装置13の表示画面13aに表示した顧客の足元の画像に、試着用に選択された靴の画像を重ね合わせる仮想試着処理(S105)をさらに実行する。
【0063】
したがって、販売ボックス1に靴の実物が存在しなくても、顧客は、画像により靴を試着した画像を確認することができる。よって、顧客は、靴を試着した状態を視覚的に知ることができ、購入するか否かの判断を、より正しく行うことができる。
【0064】
(3)実施の形態1の販売システムAでは、制御系は、靴の最適サイズを表示する処理では、足型表示部132および横軸表示部133により、足の外周に対する靴の内周の接触圧の強さを併せて表示する。
【0065】
したがって、顧客は、実際に試着しなくても、靴のフィッティング度合いを視覚的に、いっそう正確に確認することができる。
【0066】
加えて、実施の形態1では、靴の最適サイズを判定するにあたり、足の外周の三次元形状と、靴の内周の三次元形状とを重ねて、足の各部位の接触圧の強さを求めるようにしている。このため、単に、足と靴との長さや幅を比較するものと比較して、より正確なフィッティング度合い(接触圧)を求めることができる。
【0067】
(他の実施の形態)
次に、他の実施の形態の販売システムについて説明する。
なお、他の実施の形態の説明において、実施の形態どうしで共通する構成には共通する符号を付して説明を省略し相違点のみ説明する。
【0068】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2の販売システムによる処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートには、顧客の行為も流れとして記載している。
【0069】
顧客が販売ボックス1に入り、入店すると(S201)、制御部14は、販売員端末200と接続してオンライン接客(S202)を行う。このオンライン接客の際には、制御部14は、通信ネットワークNEを介して直接販売員端末200と接続してもよいし、店舗サーバ2を介して販売員端末200と接続させてもよい。
【0070】
なお、販売員端末200は、マイク機能とスピーカ機能とディスプレイ機能とを有する。したがって、販売員は、販売員端末200を用いて、コントロール端末15のスピーカ154およびマイク153を用いて、顧客と会話することが可能である。また、販売員は、コントロール端末15において、カメラ152とは別に顧客の顔を撮像可能に設けられた第2のカメラを用いて、顧客の姿を販売員端末200のディスプレイ装置に表示させてビデオ通話を行うことができる。さらに、販売員は、販売員端末200あるいは店舗サーバ2に記憶された靴の画像などをディスプレイ装置13に表示させ、顧客と非接触状態を保ちながら店舗において靴を差し出しながら接客するのと同様の接客であるオンライン接客を行うことができる。
【0071】
したがって、販売員は、顧客と会話をしながら、多数の在庫の靴の中から、顧客が望む種類、素材、色の靴を選択し、ディスプレイ装置13に表示させ、これを実施の形態1と同様の処理により仮想試着を行うことができる(S203)。なお、この試着の後の決済(S204)までの流れは、実施の形態1と同様である。決済を終えると、顧客は、退店、すなわち、販売ボックス1から退出する(S205)。また、顧客が決済手続きを行った靴は、実施の形態1と同様に、顧客が望む住所に配送される(S206)
【0072】
また、店舗サーバ2では、フィードバック処理(S207)を行う。このフィードバック処理では、顧客の個人データ(性別、年齢などの基本情報)および足の外周の三次元形状、服装や靴を購買するまでの特有情報を蓄積し、次回以降の靴の購入時に、そのデータを用いた靴の案内を行う。
【0073】
例えば、靴の購入時に試着した靴の種類や、色の選択順序などの傾向を蓄積し学習する。そして、顧客が、次の販売ボックス1への来店時や、店舗サーバ2による店舗サイトへ直接来店した場合、ステップS101などで表示する靴の種類や、店舗サイトで表示する靴の種類、順序を、学習結果に基づいて決定する。
【0074】
また、フィードバック情報として、顧客による靴の購入後の履き心地に関する感想やレビューなどを、蓄積するようにしてもよい。そして、靴の最適サイズの決定(S113)の際には、足と靴との三次元形状の比較によるフィッティング度合いに、このフィードバック情報を加味してもよい。例えば、過去に最適と決定したサイズに対して、顧客が、当たりが強いと感じたフィードバック情報を有する場合には、過去の最適と決定したサイズよりも少し大きめのサイズを最適と判定する。逆に、過去の最適サイズに対し、顧客が、当たりが緩い(靴が大きい)と感じたフィードバック情報を有する場合には、過去の最適サイズよりも小さめのサイズを最適サイズとして決定する。
【0075】
なお、このようなフィードバック処理は、実施の形態1においても適用可能である。
【0076】
(実施の形態2の効果)
(2-1)実施の形態2の販売システムでは、コントロール端末15は、販売員により操作される販売員端末200と接続可能である。そして、制御系は、販売員端末200とコントロール端末15とにより、販売員による顧客との接客を可能とするとともに、ディスプレイ装置13により販売員による靴の情報提供を可能とする。
【0077】
したがって、販売員が不在の販売ボックス1において、顧客の細かな要望に応じた接客が可能である。また、実際の店舗による接客と比較して、少ない販売員による接客が可能となり、接客に必要な人件費を抑えることが可能となる。
【0078】
以上、図面に基づいて実施の形態の販売システムについて説明してきたが、本発明の具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0079】
例えば、実施の形態では、本願請求項において特定した商品を紹介する処理(S101)、フィッティング度合いを判定し、最適サイズを表示する処理(S111~S113)、決済情報を表示する処理(S117)に加えて、下記のa~cの処理を行う例を示した。a.仮想試着を行う処理(S105)。b.顧客の操作に応じて商品説明を行う処
理(S106~S108)。c.フィッティング度合いを表示する処理(図8)。しかしながら、これらa~cの処理は、必須ではなく、これらの処理を行わない場合や、a~cの中の1または2の処理を選択的に行う場合でも所期の効果を得ることはできる。
【0080】
また、実施の形態1では、販売ボックス1内の処理は、コントロール端末15により行う例を示したが、店舗サーバ2で行うようにしてもよい。この場合、コントロール端末15は、タッチパネルとしての機能を有していればよい。
【0081】
また、足の三次元形状を求める処理、靴の内周の三次元形状の求め方、フィッティング度合いを判定する処理は、実施の形態で説明したものに限定されるものではなく、任意の方法を用いることができる。実施の形態では、フィッティング度合いの判定では、足と靴との三次元形状どうしを重ね合わせるようにし、足の各部位における靴の当たりの強さを求めるようにした。この場合、足に対する靴の当たりの強さを詳細に知ることができるが、これに限定されない。例えば、顧客の足の足長、足囲を求め、これをJISサイズなどの靴の足長、足囲と比較して、フィッティング度合いを求めるようにしてもよい。
【0082】
また、実施の形態では、決済情報としては、画像情報である決済用コード100を示したが、これに限定されるものではなく、数字などの文字列などの情報を用いることもできる。
【0083】
また、実施の形態では、販売ボックス内において、各種制御に用いるコントローラとして、販売ボックス内に予め設置されたタブレット型のコントロール端末を用いた例を示したが、これに限定されず、コントローラとして、顧客端末を用いることも可能である。
【0084】
また、以上の説明は、靴の販売を例に挙げたが、販売する商品としては、靴に限らず、衣服などの顧客が身体に着ける商品にも適用することができる。
【0085】
この場合、販売システムは、下記の構成とする。
顧客が出入り可能なボックスと、前記ボックス内に設置され、前記ボックス内の顧客の身体の三次元形状を測定可能な三次元形状測定装置と、前記ボックス内に設置されたディスプレイ装置と、前記顧客による入力操作が可能な入力手段を備え、前記三次元形状測定装置および前記ディスプレイ装置の作動を制御可能なコントローラと、前記顧客が所有する顧客端末と通信ネットワークを介して接続可能であり、前記顧客が体に装着する商品の注文の受付と決済とが可能な店舗サーバと、を備えた販売システムとする。
【0086】
さらに、前記コントローラおよび前記店舗サーバを含む制御系は、前記ディスプレイ装置の表示画面に販売対象の前記商品を表示して紹介する処理と、前記顧客による前記入力手段の操作に応じ、前記三次元形状測定装置により測定した前記身体の三次元形状と、予め入力された前記商品の三次元形状とに基づいて前記商品の各サイズのフィッティング度合いを判定し、前記顧客の身体に対する前記商品の最適サイズを表示する処理と、前記入力手段による前記顧客の購入手続きの入力に応じ、前記店舗サーバにおける前記商品の購入の決済を誘導する決済情報を、前記ディスプレイ装置および前記コントローラの表示部の少なくとも一方に表示させる処理と、前記顧客端末による前記決済情報の入力に応じ、前記店舗サーバにおいて前記商品の注文を受け付けるとともに、前記顧客の前記商品の購入に対する前記決済を行う処理と、前記決済を終えた前記商品の配送手続きを行う処理と、を実行する。
【0087】
ここで、三次元形状測定装置は、足の形状を測定する三次元形状測定装置12に代えて販売ボックス1内の顧客の身体全体を測定可能な装置とする。このような装置としては、顧客の身体全体を撮影可能なカメラや、身体の各部位との距離を測定可能な深度センサを備えた装置とすることで、顧客の身体の外形の特徴点を検出し、体形を測定することができる。なお、この場合、顧客は、体形が分かりやすい衣服を着ていることが望ましい。
【0088】
したがって、この販売システムにあっては、顧客の身体の撮像データに、衣服などの商品の画像を重ねて仮想試着を行ったのち、三次元形状測定装置により測定した顧客の身体の外形データと、予め入力された商品の各サイズのデータとを比較して、フィッティング度合いを求め、最適サイズの決定し表示することができる。
【0089】
そして、顧客は、購入を決定して、その操作を行った場合、実施の形態1と同様に、ディスプレイ装置などに表示された決済用コード(決済用情報)を用いて、購入手続きを行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1 販売ボックス
2 店舗サーバ
3 顧客端末
12 三次元形状測定装置
13 ディスプレイ装置
13a 表示画面
15 コントロール端末(コントローラ)
100 決済用コード(決済情報)
151 コントロール端末画面(入力手段)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10