IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社木村技研の特許一覧

<>
  • 特開-洗浄装置 図1
  • 特開-洗浄装置 図2
  • 特開-洗浄装置 図3
  • 特開-洗浄装置 図4
  • 特開-洗浄装置 図5
  • 特開-洗浄装置 図6
  • 特開-洗浄装置 図7
  • 特開-洗浄装置 図8
  • 特開-洗浄装置 図9
  • 特開-洗浄装置 図10
  • 特開-洗浄装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064717
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20220419BHJP
   E03D 1/14 20060101ALI20220419BHJP
   E03D 1/20 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
E03D11/00 Z
E03D1/14
E03D1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173512
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AA03
2D039AC02
2D039BA00
2D039BA01
2D039BA07
2D039CB01
2D039CB02
2D039DA04
2D039EA01
(57)【要約】
【課題】貯水タンクのメンテナンスを容易にする技術を提供する。
【解決手段】貯水タンクの架台が、便器の放水経路に放水する洗浄水を貯める貯水タンクの架台であって、取付面に固定される基体部と、前記貯水タンクを保持する保持部と、前記保持部の一端を前記基体部に連結し、他端を前記取付面から離すように回動させる回動部とを備える。また、前記回動部の回動軸が、前記取付面と平行に設けられ、前記回動部が、前記保持部に保持される前記貯水タンクを壁に沿わせた起立状態と、前記貯水タンクを壁から離した倒伏状態とすることが可能に、前記保持部を回動させてもよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の放水経路に放水する洗浄水を貯める貯水タンクの架台であって、
取付面に固定される基体部と、
前記貯水タンクを保持する保持部と、
前記保持部の一端を前記基体部に連結し、他端を前記取付面から離すように回動させる回動部と、
を備える貯水タンクの架台。
【請求項2】
前記回動部の回動軸が、前記取付面と平行に設けられ、
前記回動部が、前記保持部に保持される前記貯水タンクを壁に沿わせた起立状態と、前記貯水タンクを壁から離した倒伏状態とすることが可能に、前記保持部を回動させる請求項1に記載の架台。
【請求項3】
前記起立状態時の前記貯水タンクの奥行が、幅に対して所定割合以下である請求項1又は2に記載の架台。
【請求項4】
前記取付面に対する前記保持部の回動を所定の位置で止める倒れ止め部を更に備える請求項1~3の何れか1項に記載の架台。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の架台と、
前記貯水タンクとを備える洗浄装置。
【請求項6】
前記貯水タンクから放水された前記洗浄水を前記便器の放水経路へ通す洗浄水配管を更に備え、
前記洗浄水配管は、上流側端部が前記貯水タンクと接続される第一配管と、下流側端部が前記便器と接続される第二配管と、前記第一配管の下流側端部と前記第二配管の上流側端部とを連結し、前記第二配管に対して前記第一配管を前記回動部と同軸に回動させる連結部とを備える請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記貯水タンクが、前記便器を洗浄するための前記洗浄水を貯める第一貯水槽と、前記便器に接続された排水管及び前記便器を洗浄するための前記洗浄水を貯める第二貯水槽とを有し、
前記第一貯水槽と前記第二貯水槽との間に設けられ、開状態で前記第一貯水槽と前記第二貯水槽とを連通する連通弁と、
前記第一貯水槽に設けられ、前記放水経路に前記洗浄水を放水するための洗浄弁と、
前記連通弁及び前記洗浄弁の開閉を制御する弁制御部と、
を備え、
前記弁制御部が、便器洗浄の開始時に前記連通弁を閉状態とし、前記洗浄弁を開状態として、前記第一貯水槽内の前記洗浄水を前記放水経路に放水させ、排水管洗浄の開始時に、前記連通弁及び前記洗浄弁を開状態として、前記連通弁を介して前記第二貯水槽内の前記洗浄水を前記第一貯水槽内へ流入させ、前記第一貯水槽内の前記洗浄水及び前記第二貯水槽内の前記洗浄水を前記放水経路に放水させる請求項5又は6に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク式の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗便器としては、給水管の水圧をそのまま利用するフラッシュバルブ式や、給水管から給水された水を一旦タンクに貯め、タンク内に貯めた水を一気に排出することで洗浄を行うタンク式のものが、挙げられる。フラッシュバルブ式の水洗便器は、給水管の口径が大きく且つ給水の圧力が高い大容量の給水管が要求されるため、主に連続使用が想定される大規模な建物に採用される。一方、タンク式の水洗便器は、要求される給水管の口径や圧力が高くなく、一般家庭や小規模な店舗など、種々の建物で広く採用されている。
【0003】
特許文献1には、便器洗浄用の洗浄水を貯める貯水タンクを備えたタンク式の便器洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-127192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
貯水タンクから放出された洗浄水を勢いよく便器へ流すためには、貯水タンクを高い位置に設置することが望ましい。しかしながら、貯水タンクを高い位置に設けると、貯水タンクのメンテナンスがし難いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、貯水タンクのメンテナンスを容易にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る貯水タンクの架台は、
便器の放水経路に放水する洗浄水を貯める貯水タンクの架台であって、
取付面に固定される基体部と、
前記貯水タンクを保持する保持部と、
前記保持部の一端を前記基体部に連結し、他端を前記取付面から離すように回動させる回動部と、
を備える。
【0008】
前記架台は、前記回動部の回動軸が、前記取付面と平行に設けられ、
前記回動部が、前記保持部に保持される前記貯水タンクを壁に沿わせた起立状態と、前記貯水タンクを壁から離した倒伏状態とすることが可能に、前記保持部を回動させてもよい。
【0009】
前記架台は、前記起立状態時の前記貯水タンクの奥行が、幅に対して所定割合以下であってもよい。
【0010】
前記架台は、前記取付面に対する前記保持部の回動を所定の位置で止める倒れ止め部を更に備えてもよい。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る洗浄装置は、
前記架台と、
前記貯水タンクとを備える。
【0012】
前記洗浄装置は、前記貯水タンクから放水された前記洗浄水を前記便器の放水経路へ通す洗浄水配管を更に備え、
前記洗浄水配管は、上流側端部が前記貯水タンクと接続される第一配管と、下流側端部が前記便器と接続される第二配管と、前記第一配管の下流側端部と前記第二配管の上流側端部とを連結し、前記第二配管に対して前記第一配管を前記回動部と同軸に回動させる連結部とを備えてもよい。
【0013】
前記架台は、前記貯水タンクが、前記便器を洗浄するための前記洗浄水を貯める第一貯水槽と、前記便器に接続された排水管及び前記便器を洗浄するための前記洗浄水を貯める第二貯水槽とを有し、
前記第一貯水槽と前記第二貯水槽との間に設けられ、開状態で前記第一貯水槽と前記第二貯水槽とを連通する連通弁と、
前記第一貯水槽に設けられ、前記放水経路に前記洗浄水を放水するための洗浄弁と、
前記連通弁及び前記洗浄弁の開閉を制御する弁制御部と、
を備え、
前記弁制御部が、便器洗浄の開始時に前記連通弁を閉状態とし、前記洗浄弁を開状態として、前記第一貯水槽内の前記洗浄水を前記放水経路に放水させ、排水管洗浄の開始時に、前記連通弁及び前記洗浄弁を開状態として、前記連通弁を介して前記第二貯水槽内の前記洗浄水を前記第一貯水槽内へ流入させ、前記第一貯水槽内の前記洗浄水及び前記第二貯水槽内の前記洗浄水を前記放水経路に放水させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯水タンクのメンテナンスを容易にする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係るトイレの構成を示す正面図である。
図2】第一実施形態に係るトイレ1の構成を示す側面図である。
図3】洗浄装置の詳細図である。
図4】洗浄装置の側面図である。
図5】架台の分解斜視図である。
図6】連結部の構成を示す模式断面図である。
図7】第二実施形態に係る洗浄装置の説明図である。
図8】連通弁の開閉機構を及び水量の調整機構示す図である。
図9】水量調整動作の説明図である。
図10】便器洗浄時の動作を説明する図である。
図11】排水管洗浄時の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈第一実施形態〉
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態は本発明の一例であり、本発明の構成は以下の例には限られない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るトイレ1の構成を示す正面図、図2は、本実施形態に係るトイレ1の構成を示す側面図、図3は、洗浄装置の詳細図である。トイレ1は、正面側の51と、左右の側壁52、背面側の壁53とによって囲繞されている。正面側の壁51は、その少なくとも一部が開閉可能なドア(出入り口)となっている。
【0018】
図1図2に示すように、トイレ1は、便器10や、洗浄装置20を備えている。図1図2の便器10は、使用者が上面の便座11に座って排便する洋式便器の例を示している。なお、便器10は、洋式に限らず、和式便器であってもよい。便器10は、トイレ1の床又は壁に埋設された排水管8と接続可能な位置に配置され、ボルト等で固定される。
【0019】
便器10は、陶製の本体12の上部に椀形状のボール部13が設けられ、このボール部13の上縁に洗浄水の流路を形成するリム部14が設けられている。また、ボール部13の上には、便座11が開閉可能に取り付けられている。
【0020】
便器10の上側後部には、洗浄水配管と接続する受水口15が設けられ、この受水口15と連通した吐出口がリム部14の後部に設けられている。受水口15から洗浄水が流入すると、洗浄水が吐水口からリム部14に沿ってボール部13内に放出され、ボール部13の前側に回り込みつつボール部13の内壁に沿って落下し、汚物を押し流すように洗浄する。
【0021】
また、便器10は、ボール部13の排出口16と接続された排水トラップ17や、排水トラップ17と排水管8とを接続する排水流路18を備えている。本実施形態では、これら受水口15、リム部14、ボール部13、排水トラップ17、排水流路18が、便器10の放水経路である。
【0022】
図3に示すように、洗浄装置20は、便器10の放水経路に洗浄水を放水する装置であり、貯水タンク200や、洗浄弁23、弁制御部25、洗浄水配管26、操作部27、ボールタップ28、流量計29、架台30等を備えている。
【0023】
貯水タンク200は、トイレ1内の高い位置に設置され、給水管から供給された洗浄水を所定量貯めておくタンクである。貯水タンク200の容量は、例えば5L(リットル)である。この容量は、必要な洗浄水の量に応じて任意に設定でき、3L~10Lであってもよい。また、本実施形態の貯水タンク200は、起立状態時の奥行が、幅に対して所定割合以下である。即ち、貯水タンク200は、奥行の狭い薄型のタンクである。
【0024】
洗浄弁23は、貯水タンク200の底部に設けられ、開状態で放水経路に洗浄水を放水し、閉状態で洗浄水の放水を止める。
【0025】
弁制御部25は、洗浄弁23の開閉を制御する。弁制御部25は、本体部250や、水位センサ251、フロート253、連動部255を有している。また、本体部250は、制御回路256や洗浄弁駆動部257等を有している。
【0026】
フロート253は、洗浄水に浮いた状態で上下動可能に水位センサ251に取り付けられている。即ち、フロート253は、貯水タンク200の水位に応じて上下する。水位センサ251は、このフロート253の位置、即ち貯水タンク200の水位を検知して信号を出力する。例えば、水位センサ251は、貯水タンク200の水位が下限に達した場合、即ち洗浄水を放出しきった場合に信号を出力する。
【0027】
操作部27は、トイレの使用者に操作された場合に、洗浄の開始を示す信号(以下、洗浄信号とも称す)を出力する。操作部27は、例えば、押しボタンや、使用者が手をかざしたことを検知するセンサであってもよい。使用者が、例えば排便を終えて、操作部27としての押しボタンを押した場合、又は操作部27に手を場合に、洗浄信号を出力する。
【0028】
ボールタップ28は、弁本体281、吐水口282、及びフロート283を有している。弁本体281は、給水管41と吐水口282との間に接続され、弁が開状態のときに給
水管から給水された洗浄水を吐水口282から吐水させ、弁が開状態のときに洗浄水の吐水を停止させる。弁本体281は、フロート283の浮沈によって弁を開閉するように構成され、フロート283が貯水タンク200内に貯められた洗浄水に浮いて所定の高さ(満水位置)にある場合には弁を閉じ、これよりもフロート283が下がると弁を開く。即ちボールタップ28は、洗浄が行われて貯水タンク200内の水位が下がった場合に給水を開始し、貯水タンク200が満水になった場合に給水を停止する。
【0029】
流量計29は、洗浄水配管26に流れる洗浄水の量、即ち貯水タンク200から放出された洗浄水の量を計測する。流量計29は、計測した洗浄水の量を示す信号(以下、流量信号とも称す)を弁制御部25や保守担当者の端末へ出力してもよい。これにより、弁制御部25や保守担当者の端末は、例えば、流量計29で検出した水量が予め設定した水量と異なる場合に洗浄装置20に故障が発生したと判定し、洗浄弁が閉状態のときに洗浄水の流量が零でなければ、漏水が発生したと判定するなど、水量に基づいて異常が発生したことを判定できる。
【0030】
弁制御部25の制御回路256は、水位センサ251や、洗浄弁駆動部257、連通弁駆動部240、操作部27、流量計29と電気的に接続されている。これにより制御回路256は、操作部27、水位センサ251、又は流量計29からの信号を受け、この信号に応じて洗浄弁駆動部257を動作させることにより、洗浄弁23を開閉させる。
【0031】
洗浄弁駆動部257は、連動部255を上下動させるアクチュエータであり、連動部255を引き上げることで、洗浄弁23を開状態とし、連動部255を下げることで洗浄弁23を閉状態とする。
【0032】
制御回路256は、操作部27から洗浄信号を受けた場合に、洗浄弁23が開状態となるように制御して便器洗浄を開始させ、第一貯水槽21内の洗浄水を便器10の放水経路に放水させる。また、制御回路256は、水位センサ251により水位が下限に達したことを検出した場合に、洗浄弁23が閉状態となるように制御して洗浄を終了させる。
【0033】
《貯水タンクの保持構造》
図4は洗浄装置の側面図、図5は、架台30の分解斜視図である。貯水タンク200は、架台30に保持され、背面側の壁53に取り付けられている。架台30は、トイレ1の入り口側から見て便器10を挟んで奥側に位置する壁、即ち便器10に着座したユーザの背側に位置する壁53の表面を取付面53aとしている。本実施形態では、背面側の壁53に対して、トイレ1の内側に離間して内壁54が設けられ、背面側の壁が二重構造となっている。
【0034】
架台30は、保持部31と、第一基体32と、第二基体33と、回動部34とを備えている。第一基体32と、第二基体33とは、本実施形態における基体部320の一形態である。
【0035】
保持部31は、貯水タンク200を保持する保持枠310と、支持板部315と、固定金具318とを有している。保持枠310は、底板311の四辺に、左右一対の側板312と、後板313と、前板314とが立設されている。底板311、側板312、後板313、及び前板314が囲繞する空間に、貯水タンク200が収められ、これらの部材311~314の何れか(例えば側板312)に貯水タンク200が固定される。
【0036】
底板311の下面には、その左右端部に支持板部315が設けられ、奥側の辺に沿って固定金具318が設けられている。左右の支持板部315は、互いに平行に配置され、その下端付近に、回動軸となる回動部34を通す軸受け孔351が設けられている。また、
左右の支持板部315の少なくとも一方には、保持部31の回動を所定の位置で止める倒れ止め部352が設けられている。固定金具318は、断面がL字となるように板状の部材を折り曲げた形状であり、板状の一部が底板311の下面に固定され、下面から下垂された板状部分に、固定ボルト317を通して、保持部31を第二基体33に対して固定するための固定孔316が設けられている。
【0037】
第一基体32は、壁53に沿って取り付けられる平板部321と、平板部321から前側に突出して設けられた腕部323とを有している。平板部321には、ボルト等を通し、第一基体32を取付面53aに対して取り付けるための取付孔322が、設けられている。また、腕部323は、左右方向に回動部34を通す軸受け孔324が設けられている。
【0038】
第二基体33は、壁53に沿って取り付けられる平板状の部材であり、ボルト等を通して第二基体33を取付面53aに対して取り付けるための取付孔332と、保持部31を第二基体33に対して固定するための固定孔331が設けられている。
【0039】
回動部34は、棒状の部材であり、保持部31の軸受け孔351と第一基体32の軸受け孔324とに挿入され、保持部31を第一基体32に対して回動可能に連結している。即ち、回動部34と、保持部31の軸受け孔351が設けられた部分と、第一基体32の軸受け孔324が設けられた部分とが、本実施形態における回動機構を構成している。
【0040】
洗浄水配管26は、貯水タンク200と便器10とに接続され、貯水タンク200から放水された洗浄水を便器10の放水経路へ流入させる。洗浄水配管26は、上流側端部が貯水タンク200と接続される第一配管261と、下流側端部が便器10と接続される第二配管262と、この第一配管261の下流側端部と第二配管262の上流側端部とを連結する連結部260とを備えている。第一配管261は、流量計29を含み、貯水タンク200から放出される洗浄水の流量が計測される。なお、貯水タンク200からオーバーフローした洗浄水が流量計29の上流側で第一配管261に流入するようにオーバーフロー管が接続されてもよい。第一配管261は、貯水タンク200に接続された上流側部分が貯水タンク200から垂直に下方へ延伸し、下流側部分が回動部34と同じ高さで幅方向へ横行するように屈曲している。第二配管262は、上流側部分が連結部260を介して第一配管261と接続し、回動部34と同じ高さで横行し、途中部で下方へ屈曲して、便器10との接続位置へ垂直に下降している。
【0041】
図6は、連結部260の構成を示す模式断面図である。図6に示すように、第一配管261の下流側端部にはフランジ部266が設けられ、更にこのフランジ部266の下流側端面と反対側からフランジ部266を覆うように袋ナット265が設けられている。そして、第二配管262の上流側端部264に対して、リング状のパッキン267を挟んで第一配管261のフランジ部266を突き当て、袋ナット265を第二配管262の外周面に設けられているネジ部263に螺合させることで、第一配管261と第二配管262とを水密に連結している。
【0042】
このように本実施形態では、第一配管261のフランジ部266と、袋ナット265と、第二配管262の上流側端部264とネジ部263とが、連結部260を構成している。ここで、袋ナット265とネジ部263とを螺合させるときの回転中心、及び第一配管261と第二配管262の横行部分の中心軸26Xが、回動部の回動軸と同軸に配置されている。このため、メンテナンス時に袋ナット265を緩めると、第二配管262に対して第一配管261を回動させることができる。
【0043】
《洗浄動作》
ユーザが排便後に操作部27の洗浄ボタンを押し、弁制御部25が、操作部27から洗浄信号を受けた場合、洗浄弁23を開状態として、第一貯水槽21から洗浄水の放出を開始させる。
【0044】
この放水が開始されると、貯水タンク200内の洗浄水が伴って貯水タンク200内の水位が下がり、この水位が下限に達したことを水位センサ251で検出して、信号(低水位信号)が出力されると、弁制御部25の制御回路256は、洗浄弁23を閉状態とする。なお、水位が低下すると、ボールタップ28のフロート283が下がり吐水口282から給水が行われる。
【0045】
そして、貯水タンク200の水位が、満水の位置まで上昇すると、これに伴ってボールタップ28のフロート283も上昇し、ボールタップ28からの給水が止まり、給水動作が完了する。
【0046】
《メンテナンス動作》
本実施形態では、メンテナンスに際し、先ず内壁54のメンテナンス用ハッチ54aを空けて洗浄装置20を露出させる。洗浄装置20は、給水を止め、貯水タンク200内の洗浄水を排出した状態で、固定ボルト317を外し、洗浄水配管26の袋ナット265を緩めると、図4に示すように、保持部31が回動部34を中心として壁から離れる方向(手前側)へ回動し、倒伏状態となる。このとき、保持部31の倒れ止め部352が腕部323の上面に突当たることで、保持部31の回動が所定の角度で止まり、保持部31に保持された貯水タンク200の上部開口が手前側に向けられたメンテナンスに適した姿勢となる。洗浄水配管26は、連結部260が回動部34と同軸に設けられているため、第一配管261が保持部31と共に回動するので、第一配管261を分解して取り外すことなく、貯水タンク200を倒伏状態にすることができる。また、給水管41は、フレキシブル管を用いたことで、分解することなく倒伏状態をとることができる。
【0047】
なお、倒れ止め部352は、この構成に限らず、図5に示すように、壁と保持部31とを所定の長さのチェーン39で繋ぎ、このチェーン39によって保持部31の回動を止める構成であってもよい。また、この倒れ止め部352とチェーン39とを両方備えるようにしてもよい。この場合、例えば、保持部31の回動を止める角度をチェーン39より倒れ止め部352で大きく設定しておき、メンテナンス時に保持部31を倒伏させた際、先ずチェーン39によって所定の角度で回動が止まり、チェーン39を外すことで倒れ止め部352が腕部323に突き当たるまで更に大きく倒れる構成としてもよい。
【0048】
《実施形態の効果》
以上のように、本実施形態によれば、貯水タンク200を保持する架台30が、回動部34を備えることで、メンテナンス時に貯水タンク200を手前側へ倒伏させることができ、メンテナンスを容易にできる。
【0049】
特に本実施形態では、二重にした壁の間に貯水タンク200を配置するため、薄型の貯水タンク200を採用している。このように薄型の貯水タンク200の場合、上部開口が狭くなるので、従来のように貯水タンク200が高い位置で起立した状態で固定されていると、メンテナンスがし難いという問題があった。これに対し、本実施形態では、メンテナンス時に貯水タンク200の開口を手前側に向けて倒伏させることができるので、薄型の貯水タンクを採用した場合でもメンテナンスを容易にできる。
【0050】
〈第二実施形態〉
図7は、第二実施形態に係る洗浄装置の説明図である。本実施形態の洗浄装置20は、前述の第一実施形態と比べて、貯水タンク200を二槽式としたことが異なり、その他の
構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0051】
本実施形態の貯水タンク200は、便器洗浄用の洗浄水を貯める第一貯水槽21と、便器10に接続された排水管(横引き管等)を洗浄する排水管洗浄用の洗浄水を貯める第二貯水槽22を有する二槽式のタンクである。貯水タンク200は、図7に示すように、少なくとも内側下部の空間が、仕切り壁210によって左右に二分され、その空間の一方を第一貯水槽21とし、他方を第二貯水槽22としている。本実施形態における第一貯水槽21の容量は、4.8L(リットル)、第二貯水槽22の容量は、15Lである。なお、この容量は、必要な洗浄水の量に応じて任意に設定でき、例えば、第一貯水槽21の容量を3L~6L、第二貯水槽22の容量を10L~20Lとしてもよい。
【0052】
洗浄弁23は、第一貯水槽21に設けられ、開状態で放水経路に洗浄水を放水し、閉状態で洗浄水の放水を止める。
【0053】
連通弁24は、第一貯水槽21と第二貯水槽22との間に設けられ、開状態で第一貯水槽21と第二貯水槽とを連通させ、閉状態で第一貯水槽21と第二貯水槽との洗浄水の流通を途絶させる。
【0054】
弁制御部25は、連通弁24及び洗浄弁23の開閉を制御する。弁制御部25は、本体部250や、水位センサ251,252、フロート253,254、連動部255、連通弁駆動部240を有している。また、本体部250は、制御回路256や洗浄弁駆動部257等を有している。
【0055】
フロート253,254は、洗浄水に浮いた状態で上下動可能に水位センサ251,252に取り付けられている。即ち、フロート253,254は、第一貯水槽21の水位に応じて上下する。水位センサ251,252は、このフロート253,254の位置、即ち第一貯水槽21の水位を検知して信号を出力する。例えば、水位センサ251は、第一貯水槽21の水位が下限に達した場合、即ち洗浄水を放出しきった場合に信号を出力する。また、水位センサ252は、第一貯水槽21の水位が連通弁24を制御するための所定位置に達した場合に信号を出力する。
【0056】
弁制御部25の制御回路256は、水位センサ251,252や、洗浄弁駆動部257、連通弁駆動部240、操作部27、流量計29と電気的に接続されている。これにより制御回路256は、操作部27、水位センサ251,252、又は流量計29からの信号を受け、この信号に応じて洗浄弁駆動部257又は連通弁駆動部240を動作させることにより、洗浄弁23又は連通弁24を開閉させる。
【0057】
洗浄弁駆動部257は、連動部255を上下動させるアクチュエータであり、連動部255を引き上げることで、洗浄弁23を開状態とし、連動部255を下げることで洗浄弁23を閉状態とする。
【0058】
制御回路256は、操作部27から洗浄信号を受けた場合に便器洗浄を開始させ、この便器洗浄の開始時に連通弁24が閉状態、洗浄弁23が開状態となるように制御し、第一貯水槽21内の洗浄水を便器10の放水経路に放水させる。また、制御回路256は、排水管洗浄の開始時に、連通弁24及び洗浄弁23を開状態として、連通弁を介して第二貯水槽22内の洗浄水を第一貯水槽21内へ流入させ、第一貯水槽21内の洗浄水及び第一貯水槽21内の洗浄水を前記放水経路に放水させる。
【0059】
図8は、連通弁24の開閉機構を及び水量の調整機構示す図である。連通弁24は、外
形が略円盤状であり、弁体24Aと弁座24Bとを備えている。弁体24Aは、風車のように扇形の部材を放射状に複数備え、この扇形の部材の間は切欠き部となっている。弁座24Bは、弁体24Aと同様の形状で仕切り壁210に対して固定されている。弁体24Aと弁座24Bとは、同軸に重ねて設けられ、弁体24Aが弁座24Bに対して回転可能に保持されている。
【0060】
連通弁駆動部240は、アクチュエータ241、リンク242、カム243を備えている。リンク242は、一端がカム243に接続され、他端が連通弁24の弁体24Aに接続されている。これによりアクチュエータ241が、カム243を回転させると、リンク242を介して弁体24Aが回転され、この回転駆動によって連通弁24が開閉される。
【0061】
図8(A)は、連通弁24を開いた状態、図8(B)は、連通弁24を閉じた状態を示している。連通弁駆動部240が、連通弁24の弁体24Aを回転させ、図8(A)のように弁体24Aと弁座24Bの切欠き部を重ね、連通弁24を開状態とすると、この切欠き部分(図8中のハッチング部分)を介して第一貯水槽21と第二貯水槽22とを連通させ、第一貯水槽21と第二貯水槽22との洗浄水の流通を可能にさせる。
【0062】
一方、図8(B)のように、図8(A)の状態に対して弁体24Aを45度回転させると、弁体24Aの扇形部材が、弁座24Bの切欠き部分を塞ぐことで、連通弁24を閉状態とし、第一貯水槽21と第二貯水槽22との洗浄水の流通を途絶させる。
【0063】
また、仕切り壁210には、第一貯水槽21と第二貯水槽22とを連通する開口211を備えており、この開口211に対して水量調整ブロック212を着脱できるように構成されている。即ち、この水量調整ブロック212を取り付けた高さによって、第一貯水槽21と第二貯水槽22とを仕切る高さを変えることができる。
【0064】
図9は、水量調整動作の説明図である。図9(A)では、水量調整ブロック212を4つ取り付けて仕切り壁210の高さをH1とし、図9(B)では、水量調整ブロック212を2つ取り付けて仕切り壁210の高さをH2としている。
【0065】
便器洗浄時に洗浄弁23が開状態となると、第一貯水槽21内の洗浄水が放出されるが、このとき仕切り壁210を超えて貯水された洗浄水も第一貯水槽21を介して放出される。このため、図9(A)の場合、第一貯水槽21内の洗浄水に加えて、満水位置H0と高さH1の差分W1の洗浄水が放水される。一方、図9(B)の場合、第一貯水槽21内の洗浄水に加えて、満水位置H0と高さH2の差分W2の洗浄水が放水される。このように水量調整ブロック212によって仕切り壁210の高さが変えられ、便器洗浄時に放出される洗浄水の量が変わるため、この高さによって便器洗浄時の水量を適切に設定できる。
【0066】
図10は、便器洗浄時の動作を説明する図である。工程A1は、洗浄弁23及び連通弁24が閉じて満水の状態、即ち洗浄前の初期状態を示している。
【0067】
弁制御部25は、操作部27から洗浄信号を受けた場合に洗浄弁23を開状態として、第一貯水槽21から洗浄水の放出を開始させる(工程A2)。
【0068】
工程A3は、洗浄中の状態を示しており、連通弁24が閉じた状態であるので、第一貯水槽21からのみ洗浄水が放出され、この放出に伴って第一貯水槽21の水位が下がる。なお、仕切り壁210を超えて貯水タンク200内に貯められた洗浄水も第一貯水槽21を介して放出される。即ち、便器洗浄時に放出される洗浄水の量は、第一貯水槽21の4.8Lに、仕切り壁210を超えて貯められた洗浄水を加えたものであり、本例では5.
0Lである。
【0069】
放水が終了し、水位が下限に達したことを水位センサ251で検出し、信号(低水位信号)が出力されると、弁制御部25の制御回路256は、洗浄弁23を閉状態とし、連通弁24を開状態とする(工程A4)。これにより第二貯水槽22の洗浄水が連通弁24を介して第一貯水槽21に流入する。
【0070】
第二貯水槽22の洗浄水が第一貯水槽21に移動することで、第一貯水槽21の水位が急速に高まると共に、第二貯水槽22の水位が下がるため、ボールタップ28のフロート283が下がり吐水口282から給水が行われる(工程A5)。
【0071】
第一貯水槽21の水位が、第二貯水槽22の水位と略均衡するように高まり、水位が所定の高さ(連通終了位置)に達したことを水位センサ252で検出して、信号(回復水位信号)が出力されると、弁制御部25の制御回路256は、連通弁24を閉状態とする(工程A6)。この場合、ボールタップ28の吐水口282から給水される洗浄水が、第一貯水槽21に給水されるので、第一貯水槽21の水位のみが上昇する。
【0072】
第一貯水槽21の水位が仕切り壁210の高さに達すると、吐水口282から給水される洗浄水が、仕切り壁210を超えて第二貯水槽22に給水される(工程A7)。この段階で第一貯水槽21が満水になるため、次の便器洗浄が可能になる。
【0073】
第二貯水槽22の水位が、満水の位置まで上昇すると、これに伴ってボールタップ28のフロート283も上昇し、ボールタップ28からの給水が止まり、給水動作が完了して(工程A8)、初期状態に戻る。
【0074】
図11は、排水管洗浄時の動作を説明する図である。排水管が汚れて保守員により洗浄動作を指示された場合や、所定回数便器洗浄を実施した場合に、図11の排水管洗浄を開始する。工程B1は、洗浄弁23及び連通弁24が閉じて満水の状態、即ち洗浄前の初期状態を示している。
【0075】
弁制御部25は、排水管の洗浄を開始する場合、洗浄弁23及び連通弁24を開状態として、第一貯水槽21及び第二貯水槽22から洗浄水の放出を開始させる(工程B2)。
【0076】
工程B3は、洗浄中の状態を示しており、連通弁24が開いた状態であるので、第一貯水槽21と第二貯水槽22とから一気に洗浄水が放出され、第一貯水槽21及び第二貯水槽22の水位が低下する。本例において、排水管洗浄時に放出される洗浄水の量は20.0Lである。第二貯水槽22の水位が低下し、ボールタップ28のフロート283が下がると吐水口282から給水が行われる。
【0077】
放水が終了し、水位が下限に達したことを水位センサ251で検出して信号(低水位信号)が出力されると、弁制御部25の制御回路256は、洗浄弁23及び連通弁24を閉状態とする(工程B4)。
【0078】
工程B5では、連通弁24が閉じた状態であるので、ボールタップ28から給水される洗浄水は第一貯水槽21に給水され、第一貯水槽21の水位のみが上昇する。
【0079】
第一貯水槽21の水位が上昇し、仕切り壁210の高さに達すると、次の便器洗浄が可能になる(工程B6)。
【0080】
第一貯水槽21の水位が仕切り壁210の高さに達すると、吐水口282から給水され
る洗浄水が、仕切り壁210を超えて第二貯水槽22に給水される(工程B7)。第二貯水槽22の水位が、満水の位置まで上昇すると、これに伴ってボールタップ28のフロート283も上昇し、ボールタップ28からの給水が止まり、給水動作が完了して(工程B8)、初期状態に戻る。
【0081】
〈実施形態の効果〉
本実施形態によれば、タンク式の洗浄装置でありながら、便器洗浄時には少量の洗浄水を放出し、排水管洗浄時には、便器洗浄時を超えた必要充分な量の洗浄水を放出でき、節水と排水管の洗浄能力とを両立できる。
【0082】
また、便器洗浄後に連通弁を空けて第二貯水槽内の洗浄水を第一貯水槽へ移動させることにより、次に便器洗浄が可能になるまでのタイムラグを短くすることができる。
【0083】
更に、排水管洗浄後は、第一貯水槽を満たすまで第一貯水槽のみに給水することで、次に便器洗浄が可能になるまでのタイムラグを短くすることができる。
【0084】
仕切り壁の高さを調整することで便器洗浄時の水量を調整でき、適切な水量に設定できる。
【0085】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0086】
1 :トイレ
8 :排水管
10 :便器
11 :便座
12 :本体
13 :ボール部
14 :リム部
15 :受水口
16 :排出口
17 :排水トラップ
18 :排水流路
20 :洗浄装置
21 :第一貯水槽
22 :第二貯水槽
23 :洗浄弁
24 :連通弁
25 :弁制御部
26 :洗浄水配管
27 :操作部
28 :ボールタップ
29 :流量計
200 :貯水タンク
210 :仕切り壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11