(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064728
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】生体情報測定機器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20220419BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20220419BHJP
G01K 1/024 20210101ALI20220419BHJP
G01K 13/25 20210101ALI20220419BHJP
G01K 13/20 20210101ALI20220419BHJP
【FI】
A61B5/01 100
G01K1/14 E
G01K1/024
G01K13/25
G01K13/20 341D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173525
(22)【出願日】2020-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179534
【氏名又は名称】関口 かおる
(72)【発明者】
【氏名】小俣 景子
【テーマコード(参考)】
2F056
4C117
【Fターム(参考)】
2F056AE01
2F056AE05
2F056AE07
2F056CA03
2F056CA14
2F056CE01
2F056HD01
2F056HD02
2F056HD03
2F056HD07
4C117XC15
4C117XE23
(57)【要約】
【課題】肌着に何らの加工を施すことなく容易に装着して体温を正確に計測できるようにした、汎用性の高い生体情報測定機器を提供する。
【解決手段】身体と接触する裏面側に体温を計測可能な体温センサ11と計測された体温を外部に送信可能な通信手段とを有する機器本体2と、機器本体2の表面側に装着され、体温センサ11を露出させた状態で機器本体2を着脱可能な保持具3とを備え、保持具3は、肌着の布地を表面側から挟持可能な挟持手段7を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌着に装着して使用され、就寝中に体温を計測する生体情報測定機器であって、
身体と接触する裏面側に体温を計測可能な体温センサと計測された体温を外部に送信可能な通信手段とを有する機器本体と、
前記機器本体の表面側に装着され、前記体温センサを露出させた状態で前記機器本体を着脱可能な保持具と、を備え、
前記保持具は、前記肌着の布地を前記表面側から挟持可能な挟持手段を有することを特徴とする生体情報測定機器。
【請求項2】
前記保持具の裏面側には、前記機器本体を係止可能な係止部が前記機器本体の外縁形状に沿うように対向状に形成され、前記保持具における前記係止部に囲まれた裏面の開口部及び前記機器本体の裏面に形成された貫通孔より前記体温センサを露出させていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定機器。
【請求項3】
前記機器本体における少なくとも前記裏面側を被覆する繊維状カバーを有し、前記カバーは、前記機器本体と保持具とを裏面側と表面側から被覆可能な袋状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報測定機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば就寝用ブラジャー等の肌着に装着して使用され、就寝中に体温等の生体情報を計測する生体情報測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、女性の基礎体温を所定の時間帯にて継続的に測定し、所定期間計測した基礎体温情報の数値や傾向に基づいてホルモンバランスを把握することにより、生理日や排卵日等を予測することが行われている。このような基礎体温の測定は口中計測が一般的であり、毎朝一定時間に起床し、活動を始める前に口中舌下に体温計のプローブを差し込み、口を閉じたまま一定時間横臥した状態で計測される。このような計測方法では、測定者が能動的に行う以外になく、継続的な計測は測定者に非常な苦痛と煩わしさを強いるものであり、また、計測をし忘れることもあり、計測された体温データが不完全となれば、基礎体温の管理を正確に行うことができない。
【0003】
このような問題を解決しうるものとして、例えば特許文献1には、温度検出手段を有する体温測定装置を就寝用ブラジャーの内部のポケットに収納し、就寝中に基礎体温を自動的に計測するとともに、計測された基礎体温データを情報伝達手段により外部の情報表示装置に送信するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-164405号公報(第4頁、第1図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている体温測定装置は、就寝用ブラジャーの内部に設けられたポケットに収納して使用されるものであるので、就寝中にポケットから装置が脱落し、基礎体温を正確に計測できなくなるおそれがある。また、就寝用ブラジャーにポケットの加工を施す必要があり、ポケットのない一般的な就寝用ブラジャーには体温測定装置を装着することができないため、体温測定装置の汎用性が低くなるという問題もある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、肌着に何らの加工を施すことなく容易に装着して体温を正確に計測できるようにした、汎用性の高い生体情報測定機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の生体情報測定機器は、
肌着に装着して使用され、就寝中に体温を計測する生体情報測定機器であって、
身体と接触する裏面側に体温を計測可能な体温センサと計測された体温を外部に送信可能な通信手段とを有する機器本体と、
前記機器本体の表面側に装着され、前記体温センサを露出させた状態で前記機器本体を着脱可能な保持具と、を備え、
前記保持具は、前記肌着の布地を前記表面側から挟持可能な挟持手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、肌着には何らの加工を施す必要がなく、単に肌着の布地を挟持手段により挟持するだけで生体情報測定機器を肌着に容易に装着することができるので、生体情報測定機器の汎用性が高まる。また、体温センサが身体側を向くように生体情報測定機器を肌着に装着するだけで、就寝中の所定の時間帯に体温を自動的に、かつ継続的に容易、確実に計測することができるとともに、計測した体温情報を外部に送信して確認することができるため、基礎体温の管理を簡単かつ正確に行うことができる。さらに、機器本体を保持具から取り外すことができるので、皮膚に接触するものでも手入れが容易であり、かつ体温センサ等のメンテナンス作業も容易となる。
【0008】
前記保持具の裏面側には、前記機器本体を係止可能な係止部が前記機器本体の外縁形状に沿うように対向状に形成され、前記保持具における前記係止部に囲まれた裏面の開口部及び前記機器本体の裏面に形成された貫通孔より前記体温センサを露出させていることを特徴としている。
この特徴によれば、保持具の係止部に機器本体の対向する外周縁部を係止するだけで、機器本体を保持具の裏面側に着脱可能に容易に装着することができる。また、保持具の裏面側の大きな開口部と機器本体の貫通孔を介して体温センサを容易に露出させることができる。さらに、保持具の裏面側には大きな開口部が形成されるので、保持具及び生体情報測定機器全体の軽量化が図れる。
【0009】
前記機器本体における少なくとも前記裏面側を被覆する繊維状カバーを有し、前記カバーは、前記機器本体と保持具とを裏面側と表面側から被覆可能な袋状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、皮膚に機器本体が直接接触するのが防止されるので、蒸れや皮膚疾患等を起こすのを防止することができる。また、カバーを容易に装着できるとともに、カバーの表面側が挟持手段により挟持されるので、ずれたり外れたりすることがなく、肌着への装着時や不使用時に生体情報測定機器と一体となる。また、カバーを簡単に取り外して洗うことができるので、清潔感が保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係る生体情報測定機器を裏面側から見た斜視図である。
【
図2】同じく生体情報測定機器を表面側から見た斜視図である。
【
図3】同じく生体情報測定機器の保持具を裏面側から見た斜視図である。
【
図5】生体情報測定機器が装着された就寝用ブラジャーを裏面側から見た斜視図である。
【
図6】生体情報測定機器が装着された就寝用ブラジャーを表面側から見た斜視図である。
【
図7】生体情報測定機器装着部の就寝用ブラジャーの縦断面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る生体情報測定機器を裏面側から見た斜視図である。
【
図9】同じく生体情報測定機器を表面側から見た斜視図である。
【
図11】本発明の実施例3に係る生体情報測定機器における挟持手段不使用時の状態を表面側から見た図である。
【
図12】同じく挟持手段使用時の状態を表面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の生体情報測定機器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0012】
実施例1に係る生体情報測定機器につき、
図1から
図7を参照して説明する。なお、以下の説明において、生体情報測定機器を肌着に装着したときに(
図5参照)身体に接触する側を裏面側、その反対側を表面側と定義する。実施例1に係る生体情報測定機器1は、楕円形に形成されている機器本体2と、裏面側と表面側の一部及び上面が開口され、機器本体2の表面側に装着されるケース状の保持具3とを備えている。機器本体2及び保持具3は合成樹脂により形成されている。機器本体2は保持具3内に収容可能な大きさに形成されているとともに、外形が測定者のみぞおち付近に接触可能なほぼ縦形の楕円形に形成されている。
【0013】
保持具3の裏面側には大きな裏面開口部3aが形成され、裏面開口部3aの対向する中央部の側縁部には、円弧状をなす内向きの係止部4、4が、機器本体2の両側部の外縁形状に沿うように対向状に形成されている。保持具3の両側部を外側に弾性変形させつつ機器本体2を保持具3の上面開口部3bの内部に収納することにより、機器本体2を保持具3に装着することができる。装着後の機器本体2は、その両側の外縁部が係止部4、4により係止されて抜け止めされる。機器本体2を装着すると、保持具3の上面開口部3bが機器本体2の上面により閉塞され、これによって生体情報測定機器1全体の外形がほぼ縦形の楕円形を呈するようになる。
【0014】
保持具3の下端には平坦部3cが形成され、この平坦部3cには、平面視コ字状の切欠き5が形成されている。切欠き5と対向する機器本体2の下面には、機器本体2内の後記する蓄電池16を充電する充電用USBコネクタ等(図示略)を挿し込むための挿し込み口6が形成されている。
【0015】
保持具3の表面側には、挟持手段としての弾性変形可能な挟持片7が上向きに設けられている。この挟持片7は、保持具3の表面開口部3dと対向するようにして下端部が平坦部3cと一体的に形成されている。挟持片7は、下端部から上方に向かって裏面側に斜めに傾斜しており、上端部には、表面側に向かって斜め上向きに傾斜する把持部7aが連設されている。挟持片7の上端部は、肌着の布地を表面側から押圧して挟持しうるように表面開口部3dの内方に若干入り込んでおり、保持具3の表面よりも裏面側に位置している。挟持片7における把持部7aの直下の裏面には、滑り止め用の横方向を向く複数の突条7bが形成されている。
【0016】
挟持片7の中央部には、縦長の孔8、8が横方向に離間して設けられている。これは、機器本体2の表面側に配置されているLED(図示略)の光を視覚的に確認するためのものである。LEDは機器本体2の異常や充電状況等を判別するためのものである。
【0017】
図4に示すように、機器本体2の内部の奥面には電装基板10が取付けられ、この電装基板10の中央部の下方寄りの裏面側には、先端部にサーミスタ等の熱接触型温度検出素子を有する体温センサ11が取り付けられている。この体温センサ11の先端部は、
図1に示すように、機器本体2の裏面の中央下部に設けられた貫通孔12より突出し、露出している。また、体温センサ11の斜め上方の電装基板10の表面側には、体温センサ11と同様の素子を有する外気温センサ13が取り付けられている。この外気温センサ13の先端は、
図2に示すように、機器本体2の筐体面よりも内側に配置されている。筐体面よりも突出してしまうと、衣類に接触し衣類がこすられ傷つくことがあるためである。また、外気温センサ13の先端は、完全に筐体で覆われてしまうと測定感度に影響が出る可能性があるため、表出させている。
【0018】
電装基板10の下端部に形成されたL字状折曲部10aの下面には、充電用USBコネクタ等を挿し込むための充電用端子15が、機器本体2の挿し込み口6と対向するようにして取り付けられている。また、折曲部10aの上面には、充電用端子15に接続されたリチウムイオン電池等の蓄電池16が設けられている。
【0019】
電装基板10の上部の表面側には、蓄電池16から電源が供給されるコントローラ17が取り付けられている。このコントローラ17は、体温センサ11及び外気温センサ13のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、変換されたデジタル信号(温度データ)を一時的に記憶する記憶手段、計測開始時刻及び計測時間等が記憶された記憶手段、計測された温度データを外部のスマートフォン等の携帯端末に送信する通信手段、外気温データに基づいて体温データを補正する補正手段等(いずれも図示略)からなる制御装置(CPU)を備えている。
【0020】
次に、実施例1に係る生体情報測定機器1を肌着である就寝用ブラジャー18に装着する例を説明する。なお、就寝用ブラジャー18は、みぞおちより若干下方までを覆う一般的なものである。
図5ないし
図7に示すように、生体情報測定機器1を就寝用ブラジャー18に装着する場合には、測定者の前面を覆う表面側布地18aに生体情報測定機器1を装着する。すなわち、
図7に示すように、表面側に位置させた挟持片7を前方に弾性変形させながら、表面側布地18aの中央部の下方から生体情報測定機器1を上方に差し込み、保持具3と挟持片7とにより表面側布地18aを挟持する。
【0021】
これにより、保持具3に装着された機器本体2が就寝用ブラジャー18の内部に位置するようにして生体情報測定機器1を容易に装着することができる。挟持片7の弾性力により表面側布地18aが前方から押圧されるとともに、挟持片7の上部には滑り止め用の突条7bが形成されているので、装着後の生体情報測定機器1が簡単に脱落するおそれはない。測定者が生体情報測定機器1を装着した就寝用ブラジャー18を身に着け、機器本体2が測定者のみぞおち付近に位置するようにして就寝すると、就寝中の所定時間帯において機器本体2から露出する体温センサ11によりみぞおち付近の体温(基礎体温)を自動的に、かつ継続的に計測することができる。計測された体温情報は、外部の携帯端末等に送信されて確認することができる。
【0022】
以上説明したように、実施例1に係る生体情報測定機器1においては、就寝用ブラジャー18には何らの加工を施す必要がなく、単に就寝用ブラジャー18の表面側布地18aを挟持片7により挟持するだけで生体情報測定機器1を一般的な就寝用ブラジャー18に容易に装着することができるので、生体情報測定機器1の汎用性が高まる。また、体温センサ11が身体側を向くように生体情報測定機器1を就寝用ブラジャー18に装着するだけで、就寝中の所定の時間帯に体温を自動的に、かつ継続的に容易、確実に計測することができるとともに、計測した体温情報を外部の形態端末等に送信して確認することができるため、基礎体温の管理を簡単かつ正確に行うことができる。さらに、機器本体2を保持具3から取り外すことができるので、皮膚に接触するものでも手入れが容易であり、かつ体温センサ11等のメンテナンス作業も容易となる。
【0023】
また、機器本体2の外形が、みぞおち付近に接触可能なほぼ縦形の楕円形に形成され、最小限の大きさとされているので、機器本体2を含む生体情報測定機器1全体が小型化され、みぞおち付近の皮膚に触れる面積が小さくなる。従って、皮膚や肋骨への影響が少なく、不快感がなくなる。
【0024】
保持具3の裏面側に設けた係止部4、4に機器本体2の対向する外周縁部を係止するだけで、機器本体2を保持具3の裏面側に着脱可能に容易に装着することができる。また、保持具3の裏面の両係止部4により囲まれた大きな裏面開口部3aと機器本体2の貫通孔12を介して体温センサ11を容易に露出させることができる。さらに、保持具3は大きな裏面開口部3aを有しているので、保持具3及び生体情報測定機器1全体の軽量化が図れる。
【0025】
機器本体2には、外気温を計測する外気温センサ13が設けられ、計測された外気温に基づいて体温センサ11により計測された体温を補正できるので、基礎体温の正確な算出に有効に活用することができる。また、保持具3には、外気温センサ13を露出させる切欠き開口部14が形成されているので、保持具3の影響を受けずに外気温を正確に計測することができる。
実施例2に係る生体情報測定機器においては、皮膚に機器本体2が直接接触するのが防止されるので、蒸れや皮膚疾患等を起こすのを防止することができる。また、カバーを上方から容易に装着できるとともに、カバー19の表面側が挟持片7により挟持されるので、ずれたり外れたりすることがなく、就寝用ブラジャー18への装着時や不使用時に生体情報測定機器1と一体となる。さらに、カバー19を簡単に取り外して洗うことができるので、清潔感が保たれる。カバー19には、体温センサ11を露出させる開口部20が形成されているので、カバー19の影響を受けることなく体温を正確に計測することができる。なお、カバー19を袋状に形成しないで、皮膚に接触する機器本体2の裏面側のみを被覆可能な形状としてもよい。この際には、面ファスナーやシール等を使用してカバーを機器本体2の裏面に着脱可能に止着すればよい。
なお、カバー19における体温センサ11と外気温センサ13とに対向する部分に、これら体温センサ11と外気温センサ13を露出させる開口部をそれぞれ形成することで、体温に加えて外気温も、カバー19の影響を受けることなく正確に計測することができるようにしてもよい。