(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064824
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】粒子分離装置システム、材料、および使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20220419BHJP
G01N 15/14 20060101ALI20220419BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220419BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20220419BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01N1/04 M
G01N1/04 H
G01N15/14 A
G01N37/00 101
G01N37/00 103
G01N15/14 C
C12M1/26
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021093815
(22)【出願日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】63/086,033
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521242749
【氏名又は名称】レビタス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Levitas,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】フェイサー,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】デ・グルート,テオドラス エバン
(72)【発明者】
【氏名】トラバース,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー,レスリー スザンヌ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】概して細胞や生体分子などの微粒子を含むサンプルの濃縮に関し、濃縮は、媒体内のそのような粒子を分離したり、粒子が枯渇した媒体を分離したりすること。
【解決手段】本発明は、磁力浮上を分離に利用した、細胞および粒子分離のシステム、材料、および方法。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルイディックサンプル処理装置であって、
前記装置は、
(i)処理チャネルと、
(ii)入口チャネルと、
(iii)前記入口チャネルを前記処理チャネルに接続する入口接続領域と、
(iv)処理チャネルの上側および下側で処理チャネルのX軸に沿って配置された複数の磁気コンポーネントと、
(v)複数の出口チャネルと、
(vi)前記処理チャネルを前記出口チャネルに接続する出口接続領域と、
(vii)出口接続領域で前記処理チャネルの上部領域と流体連通する第1の出口チャネルと、
(viii)出口接続領域で前記処理チャネルの下部領域と流体連通する第2の出口チャネルと、(ix)前記第1の出口チャネルと関連する第1の流量調節器および前記第2の出口チャネルと関連する第2の流量調節器と、を含む、装置。
【請求項2】
前記出口接続領域が流れスプリッタ部分をさらに含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流れスプリッタ部分が前記処理チャネル内に突出し、流れを前記出口チャネル内の別の流れに分離するように構成および配置されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の出口チャネルと関連する第1の流量センサおよび前記第2の出口チャネルと関連する第2の流量センサと、をさらに含む、
請求項1-3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
流量センサが流量調節器に動作可能に連結されている、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
光学センサをさらに含む、
請求項1-5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記光学センサに対向して、または角度的に隣接して構成された照明源をさらに含む、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記照明源が紫外線を放出する、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
センサを含み、
前記センサは、光検出器、マルチピクセル画像検出器、磁場検出器、電気化学検出器、光位相検出器、散乱検出器、ホールセンサ、磁気抵抗センサ、ボロメトリックセンサ、表面弾性波センサ、バイオセンサ、容量性センサ、導電性センサ、熱センサ、流量センサ、超音波センサ、重力センサ、磁場センサ、またはそれらの組み合わせである、
請求項1-8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
複数の流量調節器に動作可能に連結されているコントローラをさらに含む、
請求項1-9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
平面基板を含むフローセルカートリッジであって、
前記平面基板は、
(i)上面および下面と、
(ii)撮像面を形成する第1の長手方向側面と、
(iii)照明面を形成する第2の長手方向側面と、
(iv)第1および第2の横方向側面と、
(v)上面に設けられた入口ウェルと、
(vi)入口チャネルと、
(vii)前記入口チャネルと流体連通し、長手方向側面に実質的に平行に配置されたサンプル処理チャネルと、
(viii)処理チャネル内のサンプルスプリッタと、
(ix)前記処理チャネルと流体連通した複数の出口チャネルと、
(x)前記複数の出口チャネルのそれぞれと流体連通した複数の収集ウェルと、を含み、
基板は、任意に光学的に透明な材料を含み、
前記処理チャネルは、前記基板の平面内でオフセットされて前記撮像面に対して空間的に偏っている、
フローセルカートリッジ。
【請求項12】
平面基板を含むフローセルカートリッジであって、
前記平面基板は、
(i)上面に設けられた入口ウェルと、
(ii)入口チャネルと、
(iii)サンプル処理チャネルと、
(iv)処理チャネル内のサンプルスプリッタと、
(v)前記処理チャネルと流体連通した複数の出口チャネルと、
(vi)前記複数の出口チャネルのそれぞれと流体連通した複数の収集ウェルと、を含み、
基板は、任意に光学的に透明な材料を含み、
前記複数の出口チャネルのそれぞれの総容積は、前記処理チャネルの容積よりも大きい、
フローセルカートリッジ。
【請求項13】
前記出口チャネルが圧縮された経路をたどる、
例えば、前記出口チャネルが蛇行チャネルである、
請求項11または12に記載のフローセルカートリッジ。
【請求項14】
細胞分離システムであって、
フローセルカートリッジを保持するための受入ブロックと、
光学センサ、レンズ、および照明源を含む光学システムと、
複数の流量調節コンポーネントとを備え、
前記受入ブロックは、前記フローセルカートリッジを光学システムと光学的に整列するように取り外し可能に配置し、フローセルの処理チャネルに隣接する磁気コンポーネントを取り外し可能に係合させ、フローセルカートリッジの複数の出口チャネルを複数の流量調節コンポーネントと流体連通するように取り外し可能に配置する、
細胞分離システム。
【請求項15】
生細胞と死細胞の混合物を分離する方法であって、
前記方法は、
処理チャネルと、複数の出口チャネルとを含むフローセルカートリッジを提供するステップを含み、フローセルカートリッジの前記出口チャネルが前記処理チャネルよりも大きい容積を有し、
前記方法はまた、
生細胞および死細胞と常磁性化合物とを含むサンプル溶液を前記処理チャネルに流すステップと、
前記フローセルカートリッジを処理チャネルと実質的に平行に整列した磁場内に置くステップと、
前記処理チャネルおよびその中に含まれるサンプル全体を、前記処理チャネル内の垂直方向の距離によって生細胞と死細胞を分離するのに十分な時間、流れを止めた状態で磁場内に維持するステップと、
生細胞で濃縮されたサンプル画分および死細胞で濃縮されたサンプル画分を同時に前記出口チャネルに引き出すステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して細胞や生体分子などの微粒子を含むサンプルの濃縮に関し、濃縮は、媒体内のそのような粒子を分離したり、粒子が枯渇した媒体を分離したりする目的である。
【背景技術】
【0002】
媒体中の粒子を分離することは、多くの化学的および生物学的プロセスにおいて重要なステップである。一部のプロセスでは、粒子の使用や操作を容易にするために、単に粒子を分離することが必要であるが、他のプロセスでは、媒体中に存在する他の粒子から粒子を分別することが必要であり得る。このような粒子の分離および分別を容易にするために、様々な装置が開発されてきた。さらに、粒子の異種混合集団から目的の粒子を分別するために、粒子とその周囲の媒体の磁気特性に依存する装置の開発も試みられている。
【0003】
細胞を扱う際によく必要となるのは、細胞が浮遊している体積を減らして細胞を濃縮することである。細胞を濃縮する最も一般的な方法は、細胞を遠心分離してペレットを形成し、媒体の大部分を取り除くことである。遠心分離とは、遠心力を利用して、粒子の大きさ、形状、密度、媒体の粘性、およびロータの速度に応じて、溶液から粒子を分離することである。しかし、遠心分離が望ましくない場合もあり、遠心分離によって細胞にダメージを与えたり、細胞を活性化させたりする場合である。例えば、T細胞を遠心分離すると、細胞が活性化してしまう。さらに、希少なサンプルや少量のサンプルを扱う場合、遠心分離などのバルク分離技術は余計な無駄や手間がかかり、サンプルの分画(fractionation)を容易に行うことができなくなるかもしれない。また、生体を扱う場合など、分離する粒子が壊れやすい、または不安定な場合、粒子の安定性を高めるための正確な条件を設定することが困難な場合がある。
【0004】
本明細書に記載されている装置および方法は、遠心分離の際に必要とされる高い機械的力に依存しない、粒子を濃縮し、粒子が枯渇した媒体を製造するための代替方法を提供することにより、これらの問題に対処する。
【発明の概要】
【0005】
この発明の概要で提供される進歩性のある実施形態は、例示的なものにすぎず、本明細書で開示される選択的な実施形態の概要を提供することを意図している。本発明の概要は、例示的かつ選択的であるため、いかなる請求項の範囲も限定せず、本明細書に開示または企図された進歩性のある実施形態の全範囲を提供するものではなく、本開示または請求された進歩性のある実施形態の範囲を限定または制約するものと解釈されるべきではない。
【0006】
ここでは、入口チャネル、処理チャネル、および少なくとも2つの出力チャネルを含む流体濃縮装置と、濃縮装置内で粒子を含むサンプルを移動させるためのポンプとを提供する。濃縮装置は、バルブまたは機能的に類似した分流技術によって制御されて、粒子濃縮流または粒子枯渇流の全てまたは画分(fraction)を収集することができる別個の分流チャネルを有してもよい。濃縮装置は、自動制御下で動作可能であってもよく、粒子の有無または量、あるいは粒子またはサンプル流の他の物理的または化学的特性を検出するために、処理チャネルまたは入口チャネルの一部の内部に、またはそれに隣接して、1つまたは複数のセンサをさらに含んでもよい。検出器の出力は、濃縮および分画の条件を最適化するために、濃縮器の制御に操作可能にリンクされてもよい。粒子の濃縮/枯渇は、重力沈降、磁気浮上/反発、およびそれらの組み合わせにより、装置によって物理的に達成され得る。入口チャネルと処理チ
ャネルの界面は、処理チャネル内の乱流を低減または除去するように幾何学的に構成されていることが好ましい。処理チャネルと出力チャネルとの間の界面は、層状の流れ、粒子が濃縮された流れ、および粒子が枯渇した流れをそれぞれの出口チャネルに集めるのを容易にするように幾何学的に構成されているのが好ましい。
【0007】
また、ここでは、処理チャネル(X軸)に沿って実質的に直線的に配置され、常磁性(paramagnetic)特性に基づいて処理チャネル内の粒子に磁気的な反発または引力を与える磁気コンポーネントを備えたフルイディック濃縮装置を提供する。磁気コンポーネントは、処理チャネル内の粒子の沈降を誘発または増強するように機能することができる。処理チャネルに沿って磁石コンポーネントを含むフルイディック濃縮装置の追加の用途は、そのような装置が低重力または微小重力環境で動作可能であることである。あるいは、場合によっては、サンプル流体が不均質な粒子混合物である場合に、磁気コンポーネントがサンプル流体中の特定の粒子の沈降を選択的に阻害することもある。入口チャネル内に磁場を提供することは、いくつかの実施形態によれば、入口チャネルから処理チャネルへの粒子の流れの克服可能な阻害を提供することによって、事前濃縮効果を付与することができる。入口チャネルの磁場は、処理チャネルに沿って実質的に直線的な磁石を入口チャネル内に延ばして誘導することができる。あるいは、磁気コンポーネントは、処理チャネルとは独立して、入口チャネルと磁気的に連通して配置されてもよい。ある実施形態によれば、これは棒状の磁石であり、別の実施形態によれば、入口チャネルの全部または一部を囲む環状またはドーナツ型の(toroidal)磁石である。入口チャネルの磁石は、永久磁石、または磁気コントローラの制御下にある電磁石であってもよい。以下に例示するさらなる実施形態によれば、処理チャネルは、処理チャネルに対して実質的に直線上に配置された複数の磁気コンポーネントを有してもよい。そのような実施形態の1つよれば、異なる磁場強度を提供する磁石が、処理チャネルに平行して実質的に直線的に互いに対向して(例えば、上と下)配置される。この実施形態は、事前濃縮ステップまたは装置構成と組み合わせると、不均一な粒子組成を含むサンプルの所定の粒子成分を濃縮するように選択的に作用することができる。処理チャネルの外における粒子の蓄積は、入口チャネル内のサンプルの流量およびサンプル液体媒体中の粒子の移動性に依存する受動的プロセスであり得る。処理チャネル外での粒子の蓄積は、入口チャネル内の磁場を利用して、磁場内の粒子を妨げる能動的なプロセスであり得る。入口チャネルから処理チャネルへの粒子の移動の妨げは、流量または流れのパターンの操作によって克服することができる。例えば、流量を増加させたり、1つ以上のパルスでチャネルの圧力を上昇させたりすることで、入口チャネルでの粒子の移動性を高めることができる。入口チャネルにおける電磁場誘導によって粒子の抑制が達成される場合、入口チャネルから処理チャネルへの粒子の移動性は、入口チャネル磁場の弱化、入口チャネル流量または圧力の変更、または磁場とサンプルの流れ特性の組み合わせによって増加させることができる。
【0008】
さらに、ここでは、フルイディック処理チャネル構造、少なくとも1つの磁気コンポーネント、および少なくとも2つの出力ポートを含む粒子濃縮装置が提供され、フルイディック処理チャネルは、入力ポートと流体連通している先行端および出力ポートと流体連通している尾端を有する実質的に直線的な部分を含む。少なくとも2つの出力ポートは、実質的に直線的に構成される。この実施形態によれば、出力ポートのそれぞれは、少なくとも1つの収集経路を備え、収集経路は、後続の処理ステップに必要な所定の量の材料を含む収集チャンバにつながる。フルイディックチャネル構造は、典型的には微小毛細管チャネルであり、粒子は、自由に、または所望の速度で流れることができる。本装置は、入力ポートからフルイディックチャネル構造を通じて流体を駆動するように構成された1つ以上のポンプをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、装置は、粒子の経路および/または流量を制御するための1つまたは複数のバルブをさらに含む。
【0009】
サンプル濃縮の実施形態
【0010】
本発明の方法の実施形態は、以下の番号付きの実施形態でさらに説明される。番号が付けられた実施形態は、本発明を非限定的に示すものであり、本明細書に記載された更なる要素や代替案を組み込んでもよい。
【0011】
第1の実施形態(1)は、(i)処理チャネル、入口チャネル、および複数の出口チャネルを有する低容量フルイディックデバイスを提供するステップと、(ii)少なくとも粒子富化層および粒子枯渇層を有するサンプル流を生成する条件下で、粒子含有サンプルを入口チャネルを介して処理チャネルに流すステップと、(iii)粒子富化層を第1の出口チャネルに流して、粒子が富化された流れを生成するステップと、(iv)粒子枯渇層を第2の出口チャネルに流して、粒子が枯渇した流れを生成するステップと、(v)出口チャネルの1つまたは複数から流れの1つまたは複数を収集するステップと、を含むサンプル濃縮方法である。
【0012】
第2の実施形態(2)は、第1の実施形態において、粒子を含むサンプルを、サンプル粒子の粒子濃縮流への沈降を誘発するのに十分な流動条件にさらすステップをさらに含むものである。第3の実施形態(3)は、第1の実施形態(1)において、処理チャネルの上部から、処理チャネルのX軸と整列した磁場を提供し、サンプル中の粒子を粒子濃縮流に反発させるステップをさらに含むものである。第4の実施形態(4)は、実施形態第3または第4において、(i)入口チャネル内に磁場を誘発させて、入口チャネルから処理チャネルへの粒子の移動を妨げて、入口チャネル内にサンプル流の粒子濃縮部分を形成するステップと、(ii)サンプル流の粒子濃縮部分を処理チャネル内に移動させるステップと、(iii)粒子濃縮流を生成するステップと、(iv)粒子濃縮流を出口チャネル内に流すステップと、(v)粒子濃縮流を捕捉するステップと、をさらに含むものである。
【0013】
第5の実施形態(5)は、第2または第3の実施形態(2~3)の方法において、(i)入口チャネル内に磁場を誘発させて、入口チャネルから処理チャネルへの粒子の移動を妨げて、入口チャネル内にサンプル流の粒子集中セグメントを形成するステップと、(ii)サンプル流の妨げられていない部分を処理チャネルに移動させるステップと、(iii)粒子枯渇流を生成するステップと、(iv)粒子枯渇流を出口チャネル内に流すステップと、(v)粒子枯渇流を捕捉するステップと、をさらに含むものである。
【0014】
第6の実施形態(6)は、第1から第4(1~4)の実施形態において、処理チャネル内の粒子富化層の粒子を測定して、相対的な粒子濃度または位置を決定するステップと、処理チャネル内の粒子の高い相対的な粒子濃度または位置に基づいて、粒子富化層の一部を収集するステップと、をさらに含むものである。第7の実施形態(7)は、第1から第3の実施形態(1~3)または第5の実施形態(5)において、処理チャネル内の粒子枯渇層の粒子を測定して相対的な粒子濃度を決定するステップと、低い相対的な粒子濃度に基づいて粒子枯渇層の一部を収集するステップと、をさらに含むものである。
【0015】
第8の実施形態(8)は、実施形態第5(5)であって、処理チャネルの上部から生成され、処理チャネルのX軸に沿って整列した磁場と連続する磁場を入口チャネル内に提供するステップをさらに含むものである。第9の実施形態(9)は、実施形態第5(5)であって、入口チャネルを取り囲むドーナツ型磁場を生成するステップをさらに含むものである。第10の実施形態(10)は、実施形態第9(9)の方法であって、入口チャネル内の粒子濃縮セグメントの処理チャネルへの移動を容易にするために、入口チャネル内の磁場を調節するステップをさらに含むものである。
【0016】
第11の実施形態(11)は、実施形態第1~第10(1~10)の方法であって、処理チャネル内の粒子特性を検出するステップと、サンプル流量を調節して粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するステップと、をさらに含むものである。実施形態第12(12)は、実施形態第11(11)であって、粒子濃縮された流れ内の粒子特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するためにサンプル流量を調節するステップと、をさらに含むものである。実施形態第13(13)は、実施形態第10または第12(10または12)の方法であって、処理チャネル内の粒子特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するために入口チャネル内の磁場を調節するステップと、をさらに含むものである。
【0017】
第14の実施形態(14)は、実施形態第13(13)の方法であって、粒子濃縮された流れの中の粒子の特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れの中の粒子の濃度を操作するために入口チャネル内の磁場を調節するステップと、をさらに含むものである。
【0018】
第15の実施形態(15)は、実施形態第1~第10(1~10)の方法であって、入口チャネル内の粒子特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するためにサンプル流量を調節するステップとをさらに含むものである。第16の実施形態(16)は、実施形態第10(10)の方法であって、入口チャネル内の粒子特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するために入口チャネル内の磁場を調節するステップと、をさらに含むものである。第17の実施形態(17)は、第11から第16の実施形態(11~16)による方法であって、相対的な粒子濃度または粒子密度を検出するステップをさらに含むものである。第18の実施形態(18)は、第10から第17までの実施形態(10~17)による方法であって、処理チャネル内の化学的特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するためにサンプル流量を調節するステップとをさらに含むものである。第19の実施形態(19)は、第10から第17までの実施形態(10~17)による方法であって、粒子濃縮された流れ内の化学的性質を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するためにサンプル流量を調節するステップと、をさらに含むものである。
【0019】
第20の実施形態(20)は、第10から第17の実施形態(10~17)に記載の方法であって、処理チャネル内の化学的特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するために入口チャネル内の磁場を調節するステップと、をさらに含むものである。第21の実施形態(21)は、第20の実施形態(20)の方法であって、粒子濃縮された流れの中の化学的特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れの中の粒子の濃度を操作するために入口チャネル内の磁場を調節するステップと、をさらに含むものである。第22の実施形態(22)は、実施形態第1~第21(1~21)の方法であって、入口チャネル内の化学的特性を検出するステップと、粒子濃縮された流れ内の粒子の濃度を操作するためにサンプル流量を調節するステップと、をさらに含むものである。
【0020】
実施形態第23(23)は、実施形態第10から第22(10~22)による方法であって、入口チャネル内の化学的特性を検出するステップと、入口チャネル内の磁場を調節して、粒子富化流れ内の粒子の濃度を操作するステップと、をさらに含むものである。
【0021】
実施形態第24(24)は、実施形態第18から第23(18~23)による方法であって、特性が、電気化学的特性、光学特性、分光特性、または結合特性であるものである。実施形態第25(25)は、実施形態第1から第24(1~24)に記載の方法であって、粒子枯渇流を収集チャネルに迂回させるステップと、粒子枯渇流の一部を捕捉するステップと、をさらに含むものである。
【0022】
実施形態第26(26)は、実施形態第1~第25(1~25)による方法であって、粒子が濃縮された流れを収集チャネルに迂回させるステップと、粒子が濃縮された流れの一部を捕捉するステップと、をさらに含むものである。
【0023】
実施形態第27(27)は、実施形態第1~第26(1~26)による方法であって、粒子枯渇流の流路と、粒子が濃縮された流れの流路とをそれぞれの収集チャネルに迂回させるステップと、各流れの一部を捕捉するステップと、をさらに含むものである。実施形態第28(28)は、実施形態第27(27)による方法であって、流れの複数の離散的な画分を捕捉するステップをさらに含むものである。実施形態第29(29)は、実施形態第27または第28(27または28)による方法であって、粒子枯渇流と粒子が濃縮された流れから非同時の一部を捕捉するステップをさらに含むものである。
【0024】
実施形態第30(30)は、入口チャネルに導入する前に常磁性化合物をサンプルに添加するステップをさらに含む、実施形態第1から第29による方法である。実施形態第31(31)は、単離された一部に対して後続の反応を行うステップをさらに含む、実施形態第1から第30による方法である。実施形態第32(32)は、後続反応が、結合反応、PCR反応、シークエンスサンプル調製反応、酵素分解反応、または酵素合成反応である、実施形態第31の方法である。実施形態第33(33)は、収集されたサンプルが、細胞培養、蛍光活性化細胞選別、または磁気浮上細胞選別にかけられる、実施形態第31(31)の方法である。
【0025】
実施形態第34(34)は、実施形態第1~第33のいずれかに記載の方法であって、サンプル流体が、最初に処理チャネルに対して実質的に直線的でない角度で流され、その後、処理チャネルに対して実質的に直線的な角度で流される。
【0026】
実施形態第35(35)は、(i)全血サンプルまたは希釈された血液サンプルを提供するステップと、(ii)サンプルを実施形態第1~第34のサンプル濃縮方法に供して、全血サンプルまたは希釈された血液サンプルから血漿および/または血球を分離するステップとを含む、血液サンプルを分画する方法である。第36実施形態(36)は、血液サンプルが、約50μLから約10mLの体積である、第35実施形態(35)の方法である。第37実施形態(37)は、血漿画分が、血液サンプル中の血球の約1%未満を含む、第36実施形態(36)の方法である。第38実施形態(38)は、血漿画分が、血液サンプル中の血液細胞の約0.01%未満を含む、第37実施形態(37)の方法である。第39の実施形態(39)は、血漿画分が血液サンプル中に血液細胞を実質的に含まない、第38の実施形態(38)の方法である。第40の実施形態(40)は、血液サンプルが、末梢血サンプル、臍帯血サンプル、胎児血液サンプル、または動脈血サンプルである、第35から第39の実施形態(35~39)による方法である。第41の実施形態(41)は、単離された画分に対して診断アッセイを行うステップをさらに含む、第35から第40の実施形態(35-40)による方法である。第42実施形態(42)は、アッセイが、酵素免疫アッセイ、化学発光免疫アッセイ、血餅/粒子凝集アッセイ、核酸増幅技術アッセイ、薬物アッセイ、法医学アッセイ、または遺伝形質アッセイである、第41実施形態(41)による方法である。実施形態43(43)は、入口チャネルおよび/または処理チャネル内の粒子または粒子枯渇層の成分に対して行われる反応が、任意に粒子の分離/濃縮と同時に行われる、実施形態第1から第41(1~41)のいずれかの方法による実施形態である。実施形態第44(44)は、反応が結合反応または染色反応である、方法実施形態第43(43)による実施形態である。
【0027】
濃縮装置の実施形態。
【0028】
本発明のデバイスの実施形態は、以下の番号付きの実施形態でさらに説明される。番号を付した実施形態は、本発明を非限定的に示すものであり、本明細書に記載された更なる要素や代替案を組み込んでもよい。
【0029】
第1の実施形態(1)は、(i)処理チャネルと、(ii)入口チャネルと、(iii)入口チャネルを処理チャネルに接続する入口接続領域と、(iv)複数の出口チャネルと、(v)処理チャネルを出口チャネルに接続する出口接続領域と、(vi)出口接続領域で処理チャネルの上部領域と流体連通する第1の出口チャネルと、(vii)出口接続領域で処理チャネルの下部領域と流体連通する第2の出口チャネルと、(viii)処理チャネルの上側または下側のいずれかで処理チャネルのX軸に沿って配置された磁石とを含む、磁性フルイディックサンプル処理装置である。
【0030】
第2の実施形態(2)は、(i)処理チャネルと、(ii)入口チャネルと、(iii)入口チャネルを処理チャネルに接続する入口接続領域と、(iv)複数の出口チャネルと、(v)処理チャネルを出口チャネルに接続する出口接続領域と、(vi)出口接続領域で処理チャネルの上部領域と流体連通する第1の出口チャネルと、(vii)出口接続領域で処理チャネルの下部領域と流体連通する第2の出口チャネルと、(viii)処理チャネルの上側および下側で処理チャネルのX軸に沿って配置された複数の磁気コンポーネントと、を含み、処理装置は、処理チャネルに導入される前に粒子の予備濃縮を行うように構成および配置されている、磁性フルイディックサンプル処理装置である。
【0031】
第3の実施形態(3)は、(i)処理チャネルと、(ii)入口チャネルと、(iii)入口チャネルを処理チャネルに接続する入口接続領域と、(iv)複数の出口チャネルと、(v)処理チャネルを出口チャネルに接続する出口接続領域と、(vi)出口接続領域で処理チャネルの上部領域と流体連通している第1の出口チャネルと、(vii)出口接続領域で処理チャネルの下部領域と流体連通している第2の出口チャネルと、(viii)入口チャネル流量コントローラと、を含むフルイディックサンプル処理装置である。
【0032】
第4の実施形態(4)は、実施形態第2の装置であって、処理チャネルの上側および処理チャネルの下側の磁性コンポーネントが、処理チャネルに異種強度の磁場を与えるように構成および配置されている。
【0033】
第5の実施形態(5)は、入口チャネルが第1の断面積を含み、処理チャネルが第2の断面積を含み、第1の断面積が第2の断面積よりも小さい、実施形態第1~第4(1~4)による装置である。第6の実施形態(6)は、チャネルがマイクロフルイディック(microfluidic)またはキャピラリである、第5の実施形態(5)に記載の装置である。
【0034】
第7の実施形態(7)は、入口接続領域が90度未満の角度でテーパ状になっている、実施形態第1~第6(1~6)に記載の装置である。第8の実施形態(8)よれば、実施形態7(7)の装置が提供され、角度が60度に等しいか、またはそれ未満である。第9の実施形態(9)よれば、実施形態第8(8)に係る装置が、45度に等しいか、またはそれ未満である接触角度を有する。
【0035】
第10の実施形態(10)は、出口接続領域が、流れスプリッタ部分をさらに含む、実施形態第1から第9(1~9)の装置を提供するものである。第11の実施形態(11)は、流れスプリッタ部分が処理チャネル内に突出し、それぞれの流れをその出口チャネルに分離するように構成および配置されている第10の実施形態(10)の装置を提供する。
【0036】
実施形態12(12)は、第1の出口チャネルが、第1の出口収集チャネルおよび第1の出口分流チャネルを構成する、実施形態第1~第11(1~11)の装置である。実施形態第13(13)は、第1の出口チャネルが、第1の出口チャネル内の流れが第1の出口収集チャネルまたは第1の出口分流チャネルと選択可能に流体連通するように構築および配置されたバルブをさらに含む、実施形態第12(12)に記載の装置を提供する。
【0037】
実施形態14(14)は、第2の出口チャネルが、第2の出口収集チャネルおよび第2の出口分流チャネルを含む、実施形態第1~第13(1~13)の装置である。
【0038】
実施形態15(15)は、第2の出口チャネル内の流れが第2の出口収集チャネルまたは第2の出口分流チャネルと選択可能に流体連通するように構築および配置されたバルブを、第2の出口チャネルがさらに含む、実施形態第14(14)の装置である。実施形態第16(16)は、フルイディックデバイス(fluidic device)が、入口チャネルまたは入口領域にゲーティング磁場を生成する磁石をさらに含む、実施形態第1~第15(1~15)に記載のデバイスを提供する。実施形態第17(17)は、ゲーティング磁場を生成する磁石が、入口チャネルまたは入口領域を取り囲む環状またはドーナツ型の磁石である、実施形態第16(16)に記載の装置である。実施形態第18(18)よれば、ゲーティング磁場を生成する磁石が、処理チャネルに整列して隣接しており、入口チャネルのチャネル入口領域まで、またはそれを超えて延びている、実施形態第16(16)に記載の装置が提供される。
【0039】
第19の実施形態(19)では、実施形態第1~第18(1~18)の装置が、光学的に透明な処理チャネルを含む。第20の実施形態では、実施形態第1~第18(1~18)の装置が、光学的に透明である入口チャネルを含む。実施形態第21は、入口チャネル流量コントローラ、第1の出口チャネルコントローラ、第2の出口チャネルコントローラ、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態第1から第20(1~20)の装置を提供する。実施形態第22(22)は、(環状またはドーナツ型磁石に作動的に連結された)磁場コントローラをさらに含む、実施形態第15~第18の装置である。
【0040】
実施形態第23(23)は、フルイディックデバイスが1つまたは複数のセンサを含む、実施形態第1~第22(1~22)のデバイスを提供する。実施形態第24(24)は、センサが、光学センサ、容量性センサ、導電性センサ、熱センサ、流量センサ、超音波センサ、重力センサ、磁場センサ、またはそれらの組み合わせから選択される、実施形態第23(23)の装置である。実施形態第25(25)は、センサが、光検出器、マルチピクセル画像検出器、磁場検出器、電気化学検出器、光位相検出器、散乱検出器、ホールセンサ、磁気抵抗センサ、ボロメトリックセンサ、表面弾性波センサ、バイオセンサ、またはこれらの組み合わせである、実施形態第24(24)の装置である。
【0041】
第26の実施形態(26)は、センサが処理チャネルに統合されているか、または処理チャネルに隣接している、実施形態第23から第25(23~25)の装置を提供する。第27の実施形態(27)は、センサが入口チャネルに統合されているか、または隣接している、実施形態第23から第25(23~25)の装置を提供する。第28の実施形態(28)は、センサが1つ以上の出口チャネルに統合されているか、または隣接している、実施形態第23から第25(23~25)の装置を提供する。実施形態第29(29)は、フルイディックデバイスが、処理チャネル内またはそれに隣接する1つまたは複数のセンサ、入口チャネル内またはそれに隣接する1つまたは複数のセンサ、少なくとも1つの出口チャネル内またはそれに隣接する1つまたは複数のセンサ、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態第23から第25(23~25)の装置である。
【0042】
実施形態第30(30)は、入口チャネル流量コントローラをさらに含む実施形態第25から第27(25~27)による装置であって、少なくとも1つのセンサが入口流量コントローラに動作可能に連結されている。実施形態第31(31)は、出口チャネル流量コントローラをさらに含む実施形態第25から第28(25~28)による装置であって、少なくとも1つのセンサが出口流量コントローラに動作可能に連結されている。実施形態第32は、入口チャネルまたは入口領域を囲む環状またはドーナツ型の磁石と、磁場コントローラとをさらに含む実施形態第23から第29(23~29)による装置であって、環状またはドーナツ型の磁石の磁場を制御するためにセンサが磁場コントローラに動作可能に連結されている。
【0043】
実施形態第32(32)は、入口チャネルが、処理チャネルに対して実質的に直線的な部分と、処理チャネルに対して実質的に直線的でない部分が角度θを持って接続する部分とでさらに構成されている、装置実施形態第1から第31(1~31)による装置であって、Y軸またはZ軸に対して相対的に、またはY軸およびZ軸に対して独立して相対的に、θは、θ≠180°であり、θ≧90°、≧100°、≧135°、≧140°、≧165°、>180°、≧205°、≧225°、≧250°、または≦270°である。
【0044】
フローセルカートリッジの実施形態。
【0045】
本発明のフローセルカートリッジの第1の実施形態(1)は、
上面および下面と、
撮像面を形成する第1の長手方向側面と、
照明面を形成する第2の長手方向側面と、
第1および第2の横方向側面と、を含む
平面基板と、
上面に設けられた入口ウェルと、
入口チャネルと、
入口チャネルと流体連通し、長手方向側面に実質的に平行に配置されたサンプル処理チャネルと、
処理チャネル内のサンプルスプリッタと、
処理チャネルと流体連通する複数の出口チャネルと、
複数の出口チャネルのそれぞれと流体連通する複数の収集ウェルと、を含み、
基板は、任意に光学的に透明な材料を含み、
処理チャネルは、撮像面へ空間的にバイアスされて基板の平面内でオフセットされている。
【0046】
本発明のフローセルカートリッジの第2の実施形態(2)は、
上面の入口ウェルと、
入口チャネルと、
サンプル処理チャネルと、
処理チャネル内のサンプルスプリッタと、
処理チャネルと流体連通する複数の出口チャネルと、
複数の出口チャネルのそれぞれと流体連通する複数の収集ウェルと、
を含む平面基板を含み、
基板は光学的に透明な材料を含み、
複数の出口チャネルのそれぞれの体積の合計が処理チャネルの体積よりも大きい。
【0047】
第3の実施形態(3)は、実施形態第1および第2によるフローセルカートリッジであって、出口チャネルが圧縮された経路に沿っており、1つの例示的な構成は、蛇行チャネルである。
【0048】
第4の実施形態(4)は、実施形態第1~第3によるフローセルカートリッジであって、フローセルカートリッジの出口チャネルは、平面基板内の凹部として形成され、第1の出口チャネルは、平面基板の表面上の凹部を含み、第2の出口チャネルは、平面基板の反対側の面上の凹部を含む。実施形態第1~第4では、チャネルは、平面基板をエッチング、機械加工、3Dプリント、または成形することによって形成される。
【0049】
実施形態第4のフローセルカートリッジの第5の実施形態(5)は、囲まれたチャネルを形成するために、平面基板の凹部の上に配置された1つ以上の追加の平面層を含む。
【0050】
第6の実施形態(6)は、実施形態第1~第5のフローセルカートリッジを含み、基板は、非鉄金属、セラミック、ガラス、ポリマ、またはプラスチックで構成され、基板と1つ以上の層を有する実施形態の場合、基板と平面層は、同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。
【0051】
フローセルカートリッジの第7の実施形態(7)は、実施形態第5~第6を含み、1つまたは複数の平面状の層が、圧縮、接着剤による結合、好ましくは生体適合性のある接着剤、より好ましくはシリコーンまたはシリコーンベースの接着剤、溶剤による結合、超音波溶接、熱結合、溶接、または3D印刷によって平面状の基板に取り付けられている。
【0052】
フローセルカートリッジの第8の実施形態(8)は、実施形態第5~第7を含み、平面状の基板と1つ以上の平面状の層が同じ材料で構成されている。
【0053】
フローセルカートリッジの第9の実施形態(9)は、実施形態第1~第8のフローセルカートリッジを含み、平面状の基板がポリマ材料を含む。
【0054】
フローセルカートリッジの第10の実施形態(10)は、実施形態第9のフローセルカートリッジを含み、実施形態第8のポリマ材料が環状オレフィンポリマまたは環状オレフィンコポリマを含む。
【0055】
第11のフローセルカートリッジの実施形態(11)は、実施形態第1~第10を含み、さらに、平面基板上に形成され、出口チャネルの末端部分と流体連通する収集ウェルを含む。
【0056】
収集ウェルが、第1のウェルの高さにある内部チャネル入口と、第2のウェルの高さにある内部出口とをさらに含み、入口がフローセルカートリッジの出口チャネルと流体連通しており、第2のウェルの高さが第1のウェルの高さよりも高い、実施形態第1~第11のフローセルカートリッジの第12の実施形態(12)。
【0057】
フローセルカートリッジの第13の実施形態(13)は、実施形態第11~第12のフローセルカートリッジを含み、収集ウェルが、収集ウェルへの入口の末端開口部から収集ウェルの床への角度のある移行部を提供するステップをさらに含む。
【0058】
フローセルカートリッジの第14の実施形態(14)は、フローセルカートリッジの実施形態第11~第13が、1つ以上の収集ウェルの上部を覆うシールフィルムをさらに含むものである。
【0059】
フローセルカートリッジの第15の実施形態(15)は、フローセルカートリッジの実施形態第11~第14を含み、フローセルカートリッジが、収集ウェルと流体連通する平面基板内の収集ウェル出口チャネルをさらに含む。
【0060】
細胞分離システムの実施形態。
【0061】
本発明の第1の細胞分離システムの実施形態(1)は、フローセルカートリッジを保持するための受入ブロックと、光学センサ、レンズ、および照明源を含む光学システムと、複数の流量調節コンポーネントとを含み、受入ブロックは、フローセルカートリッジを光学系と光学的に整合するように取り外し可能に配置し、フローセルの処理チャネルに隣接する磁気コンポーネントを取り外し可能に係合させ、フローセルカートリッジの複数の出口チャネルを複数の流量調節コンポーネントと流体連通するように取り外し可能に配置する。
【0062】
第2の実施形態(2)では、実施形態1は、平面基板内の処理チャネルを通る光透過を提供するように構成および配置された可視光照明源をさらに含む。
【0063】
第3の実施形態(3)では、実施形態第1~第2のシステムは、受入ブロックに保持された平面基板内の処理チャネルに対してある角度の方向に、任意に約474nmおよび/または560nmの波長の紫外線照明を配置するように構築および配置された1つまたは複数の紫外線照明源をさらに含む。
【0064】
実施形態3を含む細胞分離システムの第4の実施形態(4)では、光学システムは、好ましくは約524nmおよび628nmの波長を中心とするバンドで放出される光線を通過させるデュアルバンドパスフィルタを含む。
【0065】
生細胞と死細胞を分離する方法の実施形態
【0066】
生細胞と死細胞の混合物を分離する方法の第1の実施形態(1)は、処理チャネルと複数の出口チャネルとを含むフローセルカートリッジを提供するステップを含み、フローセルカートリッジの出口チャネルは、処理チャネルよりも大きな体積を有し、第1の実施形態(1)はさらに、生細胞および死細胞と常磁性化合物とを含むサンプル溶液を処理チャネルに流すステップと、フローセルカートリッジを処理チャネルと実質的に平行に配置された磁場内に置くステップと、処理チャネル内で生細胞と死細胞を垂直方向の距離で分離するのに十分な時間、処理チャネルとその中に含まれるサンプルを完全に磁場内で流れを止めた状態に維持するステップと、を含み、同時に生細胞で濃縮されたサンプル画分と死細胞で濃縮されたサンプル画分を出口チャネルに引き出す。
【0067】
実施形態1の方法を含む第2の実施形態(2)は、サンプル溶液の導入前に、液体や常磁性化合物が実質的に存在しないフローセルカートリッジを提供するステップをさらに含む。
【0068】
実施形態第1~第2の方法を含む分離方法の第3の実施形態(3)は、フローセルカートリッジを提供するステップをさらに含み、出口チャネルが処理チャネルの断面積よりも小さい断面積を有し、圧縮された経路をたどるように配置され、1つの例示的な構成は、蛇行チャネルである。
【0069】
第4の実施形態(4)は、実施形態第1~第3の方法を含み、磁場を、処理チャネルの上部垂直面に近接し、さらに処理チャネルの下部垂直面に近接して提供するステップを更に含み、各磁場は、同様の強度と、約0.8テスラから約2.0テスラの間、任意に約0.9テスラから約1.4テスラの間の表面磁場強度を有する。
【0070】
分離方法の第5の実施形態(5)は、実施形態第1~第4の方法を含み、約50mM~約200mM、任意に約65mM~約175mM、さらに任意に約70mM~約150mMの濃度でサンプル溶液中に常磁性化合物を提供するステップをさらに含む。
【0071】
分離方法の第6の実施形態(6)は、実施形態第1~第5の分離方法を含み、約75μL/分~約150μL/分の流量で、任意に約75μL/分、約90μL/分、約100μL/分、約110μL/分、約120μL/分、または約150μL/分の流量で、サンプル画分を出口チャネルに引き出すステップをさらに含む。
【0072】
分離方法の第7の実施形態(7)は、実施形態第1~第6を含み、濃縮された回収サンプル画分が、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の生細胞を含む。
【0073】
分離方法の第8の実施形態は、実施形態第1~第7を含み、濃縮回収サンプル画分における生細胞の歩留りが、サンプルの全生細胞組成の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1A】
図1Aは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の実施形態の断面図である。
【
図1B】
図1Bは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の実施形態の断面図である。
【
図1C】
図1Cは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の実施形態の断面図である。
【
図1D】
図1Dは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の実施形態の断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルを備えた実施形態の断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルを備えた実施形態の断面図である。
【
図2C】
図2Cは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルを備えた実施形態の断面図である。
【
図2D】
図2Dは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルを備えた実施形態の断面図である。
【
図2E】
図2Eは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルを備えた実施形態を示す。
【
図2F】
図2Fは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルを備えた実施形態を示す。
【
図3A】
図3Aは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図3C】
図3Cは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図3D】
図3Dは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図4A】
図4Aは、本願の粒子濃縮および分離装置の、入口チャネルの一部を磁気コンポーネントが囲んだ実施形態の断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本願の粒子濃縮および分離装置の、入口チャネルの一部を磁気コンポーネントが囲んだ実施形態の断面図である。
【
図4C】
図4Cは、本願の粒子濃縮および分離装置の、入口チャネルの一部を磁気コンポーネントが囲んだ実施形態の断面図である。
【
図4D】
図4Dは、本願の粒子濃縮および分離装置の、入口チャネルの一部を磁気コンポーネントが囲んだ実施形態の断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図5B】
図5Bは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図5C】
図5Cは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図5D】
図5Dは、本願の単一磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図6】
図6は、本願の一実施形態に係る単一磁気コンポーネント構成において処理チャネルに付加される磁力線を示す模式図である。
【
図7A】
図7Aは、本願の複数磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本願の複数磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図7C】
図7Cは、本願の複数磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図7D】
図7Dは、本願の複数磁気コンポーネント粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8A】
図8Aは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8B】
図8Bは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8C】
図8Cは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8D】
図8Dは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8E】
図8Eは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8F】
図8Fは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8G】
図8Gは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図8H】
図8Hは、本願の粒子濃縮および分離装置の、角度のある入口チャネルおよび入口磁場コンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図9A】
図9Aは、本願の粒子濃縮および分離装置の、選択可能なバルブおよび入口チャネルポンプコンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図9B】
図9Bは、本願の粒子濃縮および分離装置の、選択可能なバルブおよび入口チャネルポンプコンポーネントを備えた実施形態の断面図である。
【
図10】
図10は、本願の様々な実施形態に係るシステムの統合的な模式図である。
【
図11】
図11は、本願の粒子濃縮および分離装置の単一磁気コンポーネントの実施形態の動作を示す。
【
図12】
図12は、本願の粒子濃縮および分離装置の角度のある入口チャネルの実施形態の動作を示す。
【
図13】
図13は、本願の粒子濃縮および分離装置の動作実施形態に係る、粒子を含むサンプルの、流れにより可能となった画分を示す。
【
図14】
図14は、本願の粒子濃縮および分離装置の実施形態に係る、入口チャネル磁力補佐によるサンプル濃縮を示す。
【
図15】
図15は、本願の粒子濃縮および分離装置の実施形態に係る、入口チャネル磁力補佐によるサンプル濃縮を示す。
【
図16】
図16は、本願の粒子濃縮および分離装置の動作実施形態に係る、粒子を含むサンプルの、メニスカスにより容易となった濃縮を示す。
【
図17】
図17は、本願の粒子濃縮および分離装置の実施形態において実行された血液サンプルからの血球の分離の顕微鏡写真である。
【
図18】
図18は、本願の粒子濃縮および分離装置の実施形態の斜視図である。
【
図19A】
図19Aは、フローセルカートリッジの例を示し、長手方向側面上の撮像面と第2の長手方向側面上の照明面が見える。
【
図19B】
図19Bは、フローセルカートリッジの例を示し、長手方向側面上の撮像面と第2の長手方向側面上の照明面が見える。
【
図20A】
図20Aは、フローセルカートリッジの例を示す詳細図であり、平面基板の上面が見える。
【
図20B】
図20Bは、フローセルカートリッジの例を示す詳細図であり、平面基板の下面が見える。
【
図22A】
図22Aは、システムの受入ブロックの例と、複数の磁気コンポーネントに対する例示的フローセルの向きを示す。
【
図22B】
図22Bは、システムの受入ブロックの例と、複数の磁気コンポーネントに対する例示的フローセルの向きを示す。
【
図23】
図23は、光学システムの例の、受入ブロックの例に対する向きを示す。
【
図24】
図24は、粒子分離と、出口チャネル圧力の安定性を示す画像である。
【
図26A】
図26Aは、様々な細胞タイプについて収集された生細胞の純度と歩留まりの例を示す。
【
図26B】
図26Bは、様々な細胞タイプについて収集された生細胞の純度と歩留まりの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
I.定義/用語用法
以下の定義は、本発明の理解を助けるために提供されている。特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語、表記、およびその他の科学的または工学的な用語または専門用語は、当業者が一般的に理解している意味を持つことを意図している。場合によっては、一般的に理解されている意味を持つ用語が、明確にするため、および/または、すぐに参照できるように、本明細書で定義されることもあるが、このような定義を本明細書に含めることは、当技術分野で一般的に理解されていることに対する実質的な違いを表すものと考えるべきではなく、そのような一般的な理解を補完することを意図している。本明細書の定義が当該技術分野で一般的に理解されていることと矛盾する場合、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に記載されている定義と当該技術分野で一般的に理解されていることの両方が、代替的な実施形態として本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0076】
本明細書では、特に別途指示のない限り、「含む」、「構成する」、「~から成る」、などの広義な用語は、「含まれ得る」ことを意味する。
【0077】
本明細書のいくつかの実施形態は、数値範囲を企図する。数値範囲が提供される場合、その範囲は、別途指示がない限り、範囲の端点を含む。別途指示がない限り、数値範囲は、明示的に書き出されているかのように、そこにあるすべての値およびサブレンジを含む。
【0078】
別途明確に指示がない限り、単数表現は複数の場合も含み得る。
【0079】
本明細書のいくつかの数値は、「約」という用語で修飾されている。いくつかの例では、参照される数値に対する用語「約」は、その数値からプラスまたはマイナス10%の値の範囲を含み得る。例えば、「約10」という量は、9から11までの量を含み得る。他の実施形態によれば、参照される数値に対する用語「約」は、その数値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の値の範囲を含み得る。一連の値の前に「約」という用語がある場合、その用語は一連の値に含まれる各値を修正することを意図している。
【0080】
本明細書で使用されるにあたり、磁場に関して「非対称」という用語は、関連するフルイディックチャネルの領域における磁場が、フルイディックチャネルの中心を通る1つ以上の平面に関して対称ではないことを意味し、好ましい実施形態によれば、水平面に関して対称ではないことを意味する。
【0081】
本明細書では、「キャピラリ」または「キャピラリチューブ」という用語は、本明細書で定義されたチャネルを有するチューブを意味する。
【0082】
本明細書では、「チャネル」、「流路」、「流体チャネル」、「フルイディックチャネル」という用語は互換的に使用され、流体が流れることができるフルイディックデバイス上の経路を意味する。チャネルには、最大高さ寸法が約100mm、約50mm、約30mm、約25mm、約20mm、約15mm、約10mm、約5mm、約3mm、約2mm、約1mm、または約0.5mmの経路が含まれる。磁石間のチャネルは、約30mm×0.5mm、約25mm×1mm、約20mm×2mm、約15mm×3mm、約10mm×5mm、約5mm×3mm、約3mm×2mm、約2mm×1mm、または約1mm×0.5mmの寸法を有している。例えば、磁石の間のチャネルは、約2mm×1mmの寸法を有している。チャネルの内部の高さは、その断面にわたって均一でなくてもよく、幾何学的には、断面は、円形、正方形、楕円形、長方形、または六角形を含む任意の形状であってもよい。「チャネル」という用語には、マイクロチャネルおよびナノチャネルが含まれるが、これらに限定されるものではなく、本明細書でチャネルに言及する場合、そのようなチャネルはマイクロチャネルまたはナノチャネルを含み得る。
【0083】
本明細書では、「濃度」という用語は、第2成分内に含まれる第1成分の量を意味し、単位体積あたりの粒子数、単位体積あたりのモル量、単位体積あたりの重量、または両成分の総体積中の第1成分の体積に基づいていてもよい。
【0084】
本明細書では、「流体的に結合」または「流体的な連通」という用語は、そのように結合または連通している2つの構成要素の間で流体が流れ得ることを意味する。
【0085】
本明細書では、「隔離する」、「分離する」、「単離する」という用語は互換的に使用されており、これらの用語は、ある成分に関連して、そのような成分を他の成分から分離することを意味し、溶液内の成分の濃度を増加させること、溶液内の他の成分から成分を分離すること、または、溶液内の成分の濃度を増加させることと、そのような成分を溶液内の他の成分から分離することの両方の組み合わせを含む。溶液内の粒子は、溶液内の他の粒子から分離されている場合、および/または溶液の定義された部分内に配置されている場合、「分離されている」とみなされる。また、溶液を処理した後に、そのような粒子または成分の濃度が少なくとも約100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、3:1、または2:1の比率で増加した場合、溶液内の粒子または成分は「分離された」とみなされる。他の粒子を含む溶液中の目的の粒子は、そのような溶液を処理した後に、そのような目的の粒子の濃度とそのような他の粒子の濃度との比が増加した場合、「分離された」とみなされる。または、そのような他の粒子の濃度に対する目的の粒子の濃度の比が、少なくとも約100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、もしくは1000%増加した場合、または、そのような他の成分の濃度が約20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、もしくは0.5%未満まで減少した場合、「分離された」とみなされる。
【0086】
本明細書では、「フルイディック」という用語は、本明細書で定義された少なくとも1つの「チャネル」を含み、流体サンプルを処理、加工、排出、および/または分析するためのシステム、デバイス、または要素を意味する。「フルイディック」という用語は、マイクロフルイディックおよびナノフルイディックを含むが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書では、「フルイディック機能」という用語は、フルイディックシステム内の流体またはサンプルに対して実行または表現されるあらゆる操作、機能、プロセスを指し、ろ過、ポンピング、流体の流れの調整、流体の流れの制御などが含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書では、「粒子」という用語は、原子、化学元素、分子、化合物、生体分子、細胞、壊死細胞、アポトーシス細胞、がん細胞、がんまたは腫瘍の循環細胞、血液、血漿、タンパク質、脂質、体液、核酸、ヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、抗体、抗原、炭水化物、微生物、バクテリア、ウイルス、真菌、精子、配偶子、卵、胚、または、これらに限定されないあらゆる物質を指し、任意の方向の最大寸法が約3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、100μm、75μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μm、2μm、1μm、または0.1μmであり得る。粒子は、任意の方向の最大寸法が、約0.001ミクロンから約3mm、約0.1ミクロンから約2mm、約0.5ミクロンから約1.5mm、約10ミクロンから約1mm、または約20ミクロンから約100ミクロンであり得る。
【0089】
本明細書では、「ポート」という用語は、例えばフルイディックチャネルを使用して2つの要素間で流体連通を提供するための構造を指す。また、「入口ポート」、「入口開口部」、「入力開口部」、「入力チャネル」という用語は互換的に使用され、これらは本明細書に記載された装置にサンプル流体が注入される開口部を意味する。
【0090】
本明細書では、「濃縮」という用語は、水、水性または非水性の媒体または他の物質を除去することによって、媒体中の物質の個体密度を増加させる、または純度を増加させることを意味する。物質は、本明細書に記載されているようなタイプの粒子または粒子の混合物である。典型的には、本明細書に記載の濃縮とは、媒体中の粒子または粒子の混合物の沈降を促進し、それによって粒子または混合物を特定の領域に導くことに関連する。代わりに、濃縮には、粒子の混合物から特定の種類の粒子を分離し、その特定の種類の粒子を、典型的には事前に決定された体積の液体媒体を有する収集チャネルに収集することが含まれる場合がある。粒子を濃縮させるために、バルクサンプルをスピンまたは回転させることを含む必要はない。本発明による濃縮では、粒子に大きな損傷、溶解、またはせん断を与えることなく、粒子を分離することを可能とする。さらに、特定の動作条件の下で、本発明は、動作中のサンプル内の凝集または結晶化、および凝集または結晶化したサンプル粒子の分離を提供する。
【0091】
本明細書に記載されている方法およびステップにおいて、特定のイベントが特定の順序で発生することが示されていても、当業者であれば、特定のステップの順序を変更してもよく、そのような変更は本発明の変形例に従ったものであることを認識するであろう。さらに、特定のステップは、順次実行するだけでなく、可能な場合は並列プロセスで同時に実行してもよい。
【0092】
II.磁場
本開示は、処理チャネルまたは入口チャネル内の磁場を使用して濃縮するための方法および装置を提供する。磁場とサンプル流体内の粒子の常磁性特性との相互作用は、分離または濃縮を促進するために、粒子に斥力効果または引力効果を提供し得る。
【0093】
一実施形態によれば、磁石は永久磁石または電磁石である。一実施形態によれば、磁石の最大エネルギー積は、約1メガガウス・エルステッドから約1000メガガウス・エルステッドの範囲であり、より好ましくは、約10メガガウス・エルステッドから約100メガガウス・エルステッドの範囲である。一実施形態によれば、磁石の表面磁場強度は、約0.1テスラから約100テスラの範囲であり、より好ましくは約1テスラから約10テスラの範囲である。一実施形態によれば、磁石の残留磁気は、約0.5テスラから約5テスラの範囲であり、より好ましくは約1テスラから約3テスラの範囲である。
【0094】
好ましい実施形態によれば、磁石は、鉄およびホウ素を含むネオジム合金、ネオジム、アルミニウムとニッケルとの合金、鉄を含むネオジム合金、アルミニウムおよびコバルトと鉄との合金、サマリウム-コバルト、その他の希土類元素と鉄との合金、希土類合金とニッケルとの合金、フェライト、またはこれらの組み合わせからなる材料から作られる。複数の磁石を含む一実施形態によれば、磁石は同じ材料から作られるか、または異なる材料から作られる。
【0095】
一実施形態によれば、非対称磁場は、フルイディックチャネルの一方の側に強い磁性材料を使用し、フルイディックチャネルの反対側に弱い磁性材料を使用することによって達成される。好ましい一実施形態によれば、非対称の磁場は、フルイディックチャネルの一方の側に磁性材料を使用し、フルイディックチャネルの反対側に実質的に類似した磁性材料を使用することによって達成される。そのような実施形態によれば、上部磁石と下部磁石は、実質的に同じサイズであってもよい。そのような実施形態によれば、上部磁石はネオジムを含んでもよく、下部磁石はサマリウム-コバルトを含んでもよく、両方の磁石が実質的に同じサイズであってもよい。あるいは、上部磁石がサマリウム-コバルトを含んでもよく、下部磁石がネオジムを含んでもよく、両方の磁石が実質的に同じ大きさであってもよい。
【0096】
一実施形態によれば、代替の磁石構成を使用してもよい。参照すると、本発明に係る装置は、フルイディックチャネルの周りに配置された複数の上部磁石および複数の下部磁石を含んでもよい。上部磁石は、前側上部磁石、中央上部磁石、および後側上部磁石を含んでもよい。下部磁石は、前側下部磁石、中央下部磁石、および後側下部磁石を含んでもよい。
【0097】
別の磁石構成によれば、装置は、前側上部磁石、後側上部磁石、前側下部磁石、および後側下部磁石を含んでもよく、これらの磁石はフルイディックチャネルの周りに配置される。前側上部磁石と後側下部磁石は、磁気反発方向に配置されている。例示的なNdFeB磁気コンポーネントの寸法には、下部磁石コンポーネントの場合、約50×15×2mm(15mm軸を介して磁化される)、上部磁石コンポーネントの場合、50×5×2mm(5mm軸を介して磁化される)が含まれる。その他の磁石部品の実施形態としては、60×15×2mm、60×5×2mm、75×20×3mm、25×15×2mmなどがある。
図6は、処理チャネル104の底部にX軸に沿って実質的に整列した長方形の磁石を有する実施形態を示しており、処理チャネル内の磁力線および磁気力を示している。さらなる好ましい磁石コンポーネントの実施形態は、約75×20×3.2mmの寸法を有する上部および下部磁石を含み、上部および下部磁石の間の間隔として、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約2.9mm、約、3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、または約2.72mm、約2.88mm、約2.98mm、約3.18mm、約3.20mm、または約3.37mmがある。
【0098】
好ましい一実施形態によれば、装置は上部磁石と下部磁石を有し、下部磁石は入口チャネル内に延びる。下部磁石の寸法は、約50mm~約100mm×約10mm~約30mm×約2mm~約4mmでもよい。好ましい実施形態としては、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、約93mm、または約95mm×約15mm、約18mm、約20mm、約23mm、および約25mm×約2mm、約2.3mm、約2.5mm、約2.7mm、約3mm、約3.18mm、および約3.5mmが含まれる。上部磁石と下部磁石の間の磁石間隔は、好ましくは、2~4.3mm、約2.5mm、約4.0mm、約3.5mm、約2.9mm、約、3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、または、約2.72mm、約2.88mm、約2.98mm、約3.18mm、約3.20mm、約3.37mm、約3.5mm、約3.7mm、または、約4mmである。
【0099】
図7A-Dには、上および下に平行な磁石コンポーネントを組み込み、処理チャネルのX軸に沿って実質的に整列させたフルイディック濃縮装置の実施形態が示されている。
【0100】
III.常磁性媒体
本発明による磁気促進濃縮によって処理されたサンプルは、典型的には、追加された常磁性成分または追加された反磁性コンポーネントを有する。本発明の方法によれば、目的の粒子を含む物質を常磁性媒体と組み合わせて処理溶液を作成する。常磁性媒体は、常磁性物質と溶媒を含む。好ましい実施形態によれば、常磁性媒体は生体適合性であり、すなわち、細胞の生存率に影響を与えず、または細胞の挙動に影響を与えず、例えば遺伝子発現に影響を与えることなく、生細胞と混合することができる。常磁性材料は、ガドリニウム、チタン、バナジウム、ジスプロシウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ガリウム、とそれらのイオン、およびそれらの組み合わせを含むグループから選択することができる。一実施形態によれば、常磁性材料は、チタン(III)イオン、ガドリニウム(III)イオン、バナジウム(I)イオン、ニッケル(II)イオン、クロム(III)イオン、バナジウム(III)イオン、ジスプロシウム(III)イオン、コバルト(II)イオン、およびガリウム(III)イオンを含むグループから選択される。好ましい実施形態によれば、常磁性材料は、キレート化合物を含む。好ましい実施形態によれば、常磁性材料は、ガドリニウムキレート、ジスプロシウムキレート、またはマンガンキレートを含む。一実施形態によれば、常磁性媒体は、常磁性材料、常磁性塩、および細胞の完全性を維持するように機能する他の添加物を含む。本発明の一実施形態によれば、常磁性材料は、参照により本明細書に援用される米国特許出願番号14/407,736明細書に記載されているとおり、[Aliq]2[MnC14]、[Aliq]3[GdCl6]、[Aliq]3[HoCl6]、[Aliq]3[HoBr6]、[BMIM]3[HoCl6]、[BMIM][FeCl4]、[BMIM]2[MnCl4]、[BMIM]3[DyCl6]、[BDMIM]3[DyCl6]、[AlaC1][FeC14]、[AlaCl]2[MnCl4]、[AlaCl]3[GdCl6]、[AlaCl]3[HoCl6]、[AlaCl]3[DyCl6]、[GlyC2][FeC14]でもよい。
【0101】
一実施形態によれば、常磁性材料は、少なくとも約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、150mM、200mM、250mM、300mM、500mM、または1Mの濃度で常磁性媒体中に存在してもよい。一実施形態によれば、常磁性材料は、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、約50mM~約100mM、約100mM~約150mM、約150mM~約200mM、約200mM~約250mM、約250mM~約300mM、約300mM~約500mM、または約500mM~約1Mの濃度で常磁性媒体中に存在してもよい。
【0102】
一実施形態によれば、常磁性材料はガドリニウムを含み、少なくとも約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、または100mMの濃度で常磁性媒体中に存在する。一実施形態によれば、常磁性材料はガドリニウムを含み、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、または約50mM~約100mMの濃度で常磁性媒体中に存在する。
【0103】
IV.装置構成
図1~
図5、および
図7~
図10を参照すると、粒子を濃縮および分離するための本発明の粒子濃縮装置の様々な実施形態が示されており、装置の入口チャネル、処理チャネル、および出口チャネル部分が、相互に接続された別々の個別の構成要素を含む。処理チャネルは、好ましくは、処理チャネル内の流れの層(この意味での「層」は、Y軸に沿った小さな範囲の位置を示す)内に粒子が集中するのに必要な滞留時間に基づいて、またシステムからの所望の処理能力(throughput)に基づいて、目的の粒子を含む流体を処理するのに十分な時間を可能にするX軸に沿った十分な長さを有する細長いフルイディックチャネルである。いくつかの実施形態によれば、処理チャネルはフルイディックチャネルであり、その高さは、約200μm~約30mm、約200μm~約20mm、約200μm~約15mm、約200μm~約10mm、約200μm~約5mm、約200μm~約2mm、約200μm~約1mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約2mm、約0.5mm~約3mm、約1mm~約2mm、約1mm~約3mm、または約1.5mm~約2mmである。一実施形態によれば、処理チャネルは、約20mm~約200mm、約20mm~約150mm、約20mm~約100mm、約20mm~約50mm、約40mm~約100mm、約40mm~約90mm、または約40mm~約80mmの長さを有する。いくつかの実施形態によれば、チャネルの深さ(Z方向)は、約100μm~約5mm、約500μm~約3mm、約1mm~約2.5mm、または約1.5mm~約2mmである。チャネルの長さの実施形態は、40、45、50、60、70mmの長さであってもよい。例示的な処理チャネルの寸法には、高さ(Y軸、画像の垂直方向)1mmおよび1.9mm×深さ(Z軸)0.8または1.0または1.5または2.0mmが含まれ、長さ(X軸)は40~70mmである。処理チャネルの好ましい実施形態は、例示的な処理チャネルの寸法が、約2mmの高さ(Y軸、画像では垂直)×約2.0mmの深さ(Z軸)を含み、長さ(X軸)が約50~70mmである。さらに好ましい処理チャネルの実施形態は、約55mm、約56mm、約57mm、約58mm、約59mm、約60mm、約61mm、約62mm、約63mm、約64mm、約65mm、または約66mmの長さを有する。
【0104】
処理チャネルは、任意の断面幾何学的構成を有していてもよく、正方形、長方形、円形または楕円形の断面幾何学的構成を有していてもよい。本明細書に記載された処理チャネルの幾何学的特性は、本発明の構成要素の構成を参照して上述した入口、出口、およびその他の任意のフルイディックチャネルにも同様に適用可能である。
【0105】
入口チャネルの断面積(チャネルが円形の場合、チャネルの内径の半径をrとすると、πr2となる)は、処理チャネルの断面積よりもかなり小さい。ここでは、「直径」は特徴的な断面寸法を説明するために使用されており、チャネルは断面が円形でなくてもよい。様々な実施形態によれば、入口チャネルの断面積は、処理チャネルの断面積よりも、少なくとも100倍、80倍、50倍、40倍、20倍、10倍、8倍、6倍、4倍、または2倍小さい。いくつかの実施形態によれば、入口チャネルの断面積は、処理チャネルの断面積よりも少なくとも10倍小さい。いくつかの実施形態によれば、入口チャネルの断面積は、処理チャネルの断面積よりも少なくとも5倍小さい。いくつかの実施形態によれば、入口チャネルの断面積は、最大で0.2mm2、最大で0.8mm2、最大で3.1mm2、最大で7.1mm2、最大で12.6mm2、最大で19.6mm2、最大で28.3mm2、最大で38.5mm2、最大で50.3mm2、最大で78.5mm2、最大で176.7mm2、または最大で314.2mm2である。出口チャネルは、典型的には、入口チャネルと同様の寸法特性を有するが、以下に説明するように、様々な断面積を有してもよい。
【0106】
粒子濃縮装置の実施形態は、処理チャネル(103)へのテーパ状の入口部分を含み、本発明の粒子分離装置は、渦によって引き起こされる乱流を低減し、したがって、異なる断面積のフルイディックチャネルの接続に関連するせん断力を低減するために、テーパ状の入口ポートをさらに含む。これらの渦は、細胞やその他の粒子が装置内を流れるのではなく、循環経路内に捕捉される場所を提供することにより、サンプルの処理効率または速度を低下させる可能性がある。また、渦の流れは、細胞などの粒子にせん断応力を誘発する可能性がある。テーパの角度は、約10°~約70°、好ましくは約20°~約60°、約30°~約45°、またはいくつかの実施形態では約30°であってもよい。
【0107】
装置の出口部分は、処理チャネル内のサンプル流の一部を分離またはさらなる処理のために個別の流れに転換するのを助けるスプリッタを含んでいてもよい。スプリッタは、好ましくは、処理チャネル内に配置されるが、処理チャネルの後端付近に配置され、処理チャネルに流体を通すことによって達成された粒子の分離が、流体が装置を出るときに維持されるようにする。スプリッタは、出口チャネルから処理チャネルの後端に延びる1つ以上の水平な仕切り板を含んでいてもよい。スプリッタは、X軸に沿って実質的に整列した磁石が処理チャネルの反対側にある実施形態においては、磁石間の距離の0.5~3.5倍、1~3倍、1.5~2.5倍、1~2倍の間、または2倍の長さで処理チャネルに延びてもよい。粒子集中装置の単一磁石の実施形態においては、スプリッタは、Z軸方向の単一磁石コンポーネントの厚さの1~5倍、1.5~5倍、1.5~4倍、2~4倍、3~4倍、または4倍の長さで処理チャネル内に延びてもよい。処理チャネルのX軸に沿って整列した磁石部品がない実施形態においては、スプリッタは、処理チャネル長の5~40%、5~30%、5~25%、10~30%、10~20%、または10~15%の間で延びてもよく、延びの長さは5%より大きいことが好ましく、35%より小さいことが好ましい。スプリッタは、処理チャネル内の末端を指すように先細りになっている。テーパの角度は、約5°~約45°、好ましくは約10°~約30°、約15°~約25°、または、いくつかの実施形態では約20°である。処理チャネルは、スプリッタを用いて水平方向に分割されてもよい。加えて、スプリッタは、1つ以上の垂直方向の仕切りを含んでいてもよく、それによって、流体連通した排水流体出口開口部の水平方向および垂直方向のグリッドが形成され、複数の出口チャネルにつながる。本実施形態によれば、処理チャネルの後端付近にある複数の出口チャネルは、出口ポートを介して、収集チューブまたはエッペンドルフ(Eppendorf)チューブなどの複数の収集チャンバにつながる。スプリッタ(複数)は、複数の出口チャネルを定義する。一実施形態によれば、本発明の粒子濃縮装置は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の出口チャネルを定義するスプリッタを含む。一実施形態によれば、本発明の粒子濃縮装置は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の出口チャネルを定義するスプリッタを含む。一実施形態によれば、本発明の粒子集中装置は、2~4、5~7、または8~10の出口チャネルを定義するスプリッタを含む。本明細書に記載のスプリッタ、およびその結果としての様々な出口チャネルは、本発明の構成要素の構成を参照して、上述の処理チャネルに組み込まれてもよい。
【0108】
複数の出口チャネルは、処理チャネルから対応する複数の出口ポートまで延びる。複数の出口チャネルは、処理チャネルからそれぞれの流出チャネルを通ってそれぞれの出口ポートに至る流れの量を制御する、ポンプまたは出力弁などのフルイディック流量調整器を含んでもよい。サンプル溶液の各流出画分への分割は、分割の比率を変更できるように、個々の流出口に向かう流体の流れを増加または減少させることによって達成され得る。一実施形態によれば、比率は最大50%まで変更することができる。例えば、スプリッタが同じ断面を持つ2つのチャネルで構成されている場合、幾何学的な分割比は1:1となる。他の画分に適用されるものよりも大きな(または小さな)ポンプ速度を適用して、より大きな(または小さな)量の流体を1つの画分に引き出すことによって、分割の比率は、例えば、約3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1に変更することができる。好ましい一実施形態によれば、そのような幾何学的比の分割は、約2:1から約1:2の範囲内である。さらに好ましい実施形態によれば、そのような幾何学的比の分割は、約10:1から約1:10の範囲内である。この分割は、約1:10、約1:9.5、約1:9、約1:8.5、約1:8、約1:7.5、約1:7、約1:6.5、約1:6、約1:5.5、約1:5、約1:4.5、約1:4、約1:3.5、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.5:1、約6:1、約6.5:1、約7:1、約7.5:1、約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1の各比率で、上側の出口チャネルの流量と下側のチャネルの流量を比較することができる。
【0109】
図1Aは、処理チャネル(104)、入口チャネル(102)および入口接続領域(103)、複数の出口チャネル(106)および流れのスプリッタ部分(105)の上部X軸に沿って実質的に整列した単一の磁石コンポーネント(101)を有する装置を示す。
図1Bは、101が処理チャネルの底面に沿って整列した同様の構成を示す図である。
図1Cは、処理チャネルを越えて入口部分に延在する追加の磁石部品または部分(107)を有する1Aの構成を示す。
図1Dは、処理チャネルの底部のX軸に沿って実質的に整列し、入口部分に延在する磁石コンポーネントを有するこのタイプの構成を示す。一実施形態によれば、上部磁石と下部磁石の一方または両方がシステム内に移動可能に取り付けられており、フルイディックチャネルに対する磁石の垂直方向の位置を制御して、チャネル内の磁場強度を調整することができる。本発明の特定の実施形態によれば、入口チャネルの形状と入口チャネルの磁場を使用して、処理チャネル内の粒子濃度を調節する。処理チャネルの入口またはその近くに粒子を蓄積することにより、特定の実施形態によれば、粒子の相対的な濃縮度が異なる流れの部分を作成する能力を提供する。例えば、処理チャネルの入口またはその近くに粒子を蓄積することで、処理チャネル内の流れ内の粒子の量が瞬時に枯渇することがある。粒子の拘束力、堆積力、磁気力、またはそれらの組み合わせを解放または克服することにより、処理チャネル内の流れ内の粒子濃度が増加する。時間的には、これにより、処理チャネル内の流れの粒子濃縮層内の粒子濃縮のレベルが変化する可能性がある。この選択的プロセスは、一面では、特に富化された(濃縮された)または特に枯渇した流れ画分を識別して利用することができる本発明の装置および方法のユーザにとって、特に関心のある流れ画分を作成するのに有用である。
【0110】
図2A-Dは、処理チャネルに実質的に直線的に整列した部分と、角度θで傾斜した部分で接続する処理チャネルに直線的に整列していない部分とを有する入口チャネル部分(203)をさらに含む、単一の磁石コンポーネント構成を示す。非直線的な入口部分は、1つ以上の交差するチャネル(201)を含んでいてもよく、直線的な入口部分は、1つ以上の交差するチャネル(202)を含んでいてもよい。入口チャネルへの交差するチャネルは、液体、懸濁液、または気体の導入または除去を提供する。交差するチャネルは、常磁性媒体、緩衝剤、凝集剤、サンプル前処理試薬または反応剤やその類似物などの試薬のサンプル流路への導入を提供することができる。加えて、交差チャネルは、入口チャネル内または処理チャネル内のサンプル媒体の粒子または他の構成要素との反応のために、反応物試薬をサンプル媒体に導入するために使用することができる。例えば、細胞染色反応またはリガンド結合反応を、分離の前に入口チャネル内で行うことができる。加えて、いくつかの実施形態によれば、沈殿、凝集、または結晶化反応の場合のように、必要または所望に応じて、処理チャネルで反応を実行または継続することができる。また、1つ以上の交差するチャネルを、分離チャネルから反発された粒子、またはその他の方法で分離チャネルに入るのを阻止された粒子を収集する出力として使用することもできる。
図2Aは、処理チャネルの上部にX軸に沿って実質的に整列した磁石成分を有するフルイディック濃縮装置を示す。入口チャネルの非直線的部分は、入口チャネルの実質的に直線的な部分に対して約90°の位置にある。
図2Bは、処理チャネルの底部で磁石成分が実質的に直線的に整列し、入口チャネルの非直線的部分が、入口チャネルの実質的に直線的な部分に対して約270°になっている同様の実施形態を示す。
図2Cは、
図2Aと同様の実施形態を示し、磁石成分が処理チャネルの底部に沿って整列している。
図2Dは、
図2Bと同様の実施形態を示し、磁石コンポーネントが処理チャネルの底部に沿って整列している。
図2A-Dの実施形態によれば、非直線的に整列した入口チャネル部分は、入口チャネルの実質的に直線的な部分に対して、約90°(
図2B、2D)または約270°(
図2A、2C)のいずれかであり、角度θは、デバイスの要件によって決定することができ、X軸に対して、θ≠0°、θ≠180°であり、θ≧30°、θ≧45°、θ≧70°、θ≧90°、100°以上、135°以上、140°以上、165°以上、180°以上、205°以上、225°以上、250°以上、280°以上、300°以上、または330°以下であり、および/またはY軸とZ軸に対して相対的に独立して任意の角度であり得る。例えば、
図2Eは、θ(x)=90°、θ(y)=180°、θ(z)=0°の平面図を示している。
図2Fは、θ(x)=90°、θ(y)=225°、θ(z)=0°とした場合の平面図である。
【0111】
図3A-Dは、
図2A-Dと同様の実施形態を示しており、磁石コンポーネント107が入口領域に延びる。
【0112】
図4A-Dは、入口チャネルを囲む環状またはドーナツ型の磁石部品(リング磁石)であるさらなる部品(401)を備えたフルイディック濃縮装置の実施形態を示している。リング磁石は、磁極に対して反発する向きに配置された1つ以上の磁石で構成され、それにより、入口チャネルのX軸に沿って対称的な磁力が得られる。ある実施形態によれば、リング磁石は、個々の反発場が入口チャネル内で整列するように入口の周りに構成された複数の長方形の磁石を含む。リング磁石からの力は、粒子の常磁性に反発力を与えることで、粒子の流速を遅くする。リング磁石は、処理チャネルの上部のX軸に沿って磁石成分が実質的に整列している
図4Aに示されるように、および処理チャネルの下部のX軸に沿って磁石成分が実質的に整列している
図4Bに示されるように、入口チャネルの実質的に直線部分に構成することができる。
図4Cは、処理チャネルを超えて入口部分に延びる追加の磁石部品または部分(107)を有する
図4Aの構成を示す。
図4Dは、処理チャネルの軸に沿って整列した磁石構成要素がない、フルイディック濃縮装置の入口部分を囲むように構成されたリング磁石を示す図である。
図4A~Dでは、入口チャネルの直線的部分を囲む401として図示されているが、これらの実施形態は非限定的であり、リング磁石は、他の実施形態によれば、入口チャネルの非直線的に整列した部分を含む入口チャネルに沿ってどこにでも配置することができる。
【0113】
図5A-Dは、リング磁石401および非直線的に整列した入口チャネル部分と交差チャネルをさらに含む処理チャネルのX軸の上部または下部に沿って実質的に整列した単一の磁石コンポーネントを有する実施形態を示す。交差するチャネルの1つ以上は、分離チャネルに入るのを反発された粒子、または他の方法で阻止された粒子を収集するための出力としても使用できる。
【0114】
粒子濃縮装置の実施形態の多くは、処理チャネルのX軸の上部または下部のいずれかに沿って実質的に整列した単一の磁石コンポーネントを含む。本明細書に記載の他の実施形態は、処理チャネルの実質的な部分に沿って整列した磁石コンポーネントを有しない。他の実施形態によれば、装置は、処理チャネルのX軸の上部および下部に沿って実質的に整列した複数の磁石コンポーネントを含んでいてもよい。そのような実施形態は、チャネル内の常磁性粒子の磁気浮上を提供し、その結果、処理チャネル内の異質な粒子の分離を提供する。一実施形態によれば、浮上装置は、係合している(すなわち、フルイディックチャネルの処理部全体に磁場を能動的に形成している)磁石の数を制御し、それによって磁場の大きさおよび勾配プロファイルを制御することができるように、移動可能に取り付けられた複数の磁石を含む上部磁石または下部磁石を含む。磁場を時間の関数として制御することで、実験やアッセイの最中にいつでも変更できる、より複雑なプロトコルが可能になる。静的なシステムに比べた利点には、サンプルの柔軟な分割、粒子のより高精度の分離能力、流体経路をパージ、プライム、処理する、より柔軟な方法、実験やアッセイの実行時に分離パラメータを最適化または変更するためのフィードバックが可能となることが含まれる。
【0115】
一実施形態によれば、上部磁石および下部磁石は、細長い長方形の磁石(好ましくは棒磁石)を含み、その寸法は、高さ(Y軸(縦軸))が約2mmから約25mmまで、幅(X軸)が約30mmから約80mmまで、または約95mmまで、深さ(Z軸)が約0.5mmから約7mmまでの範囲である。好ましくは、上部磁石および下部磁石は、高さ(Y軸)が約4mmから約20mmまで、幅(X軸)が約40mmから約60mmまで、深さ(Z軸)が約1mmから約3mmまでの範囲の寸法を有する。本明細書に記載されている好ましい磁石のサイズは、1つの磁石によって達成されてもよいし、複数の磁石を組み合わせることによって達成されてもよい。一実施形態によれば、上部磁石と下部磁石の深さと幅は実質的に同じである。一実施形態によれば、上部磁石の高さは、下部磁石の高さよりも少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%大きい。一実施形態によれば、上部磁石の高さは、下部磁石の高さよりも、約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%大きい。一実施形態によれば、下部磁石の高さは、上部磁石の高さよりも少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%大きい。一実施形態によれば、下部磁石の高さは上部磁石の高さよりも約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%大きい。
【0116】
一実施形態によれば、上下の磁石とフルイディックチャネル、キャピラリ、または中央処理部との間の垂直軸に沿った距離は、少なくとも約1ミクロン、10ミクロン、50ミクロン、または100ミクロンであり、および/または、約500ミクロン、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mm以下である。一実施形態によれば、磁石のいずれかとフルイディック処理チャネルとの間の距離は、垂直軸に沿って約1ミクロンから約5mmの間であり、好ましくは約10ミクロンから約2mmの間である。
【0117】
一実施形態によれば、上部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離は、下部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離よりも、少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%大きい。一実施形態によれば、上部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離は、下部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離よりも、少なくとも約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%大きい。
【0118】
一実施形態によれば、下部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離は、上部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離よりも、少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%大きい。一実施形態によれば、下部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離は、上部磁石とフルイディック処理チャネルとの間の垂直方向の距離よりも、少なくとも約25%から約100%、約100%から約200%、約200%から約300%、約300%から約400%、約400%から約500%、または約500%から約600%大きい。
【0119】
一実施形態によれば、上部磁石および下部磁石は、永久磁石または電磁石である。実施形態によれば、上部磁石と下部磁石の最大エネルギー積は、約1メガガウス・エルステッドから約1000メガガウス・エルステッドの範囲であり、より好ましくは、約10メガガウス・エルステッドから約100メガガウス・エルステッドの範囲である。一実施形態によれば、上部および下部磁石の表面磁場強度は、約0.1テスラから約100テスラの範囲であり、より好ましくは約1テスラから約10テスラの範囲である。一実施形態によれば、上部および下部磁石の残留応力は、約0.5テスラから約5テスラの範囲であり、より好ましくは約1テスラから約3テスラの範囲である。
【0120】
好ましい実施形態によれば、非対称磁場は、処理チャネルの一方の側により強い磁性材料を使用し、処理チャネルの反対側により弱い磁性材料を使用することによって達成される。好ましい実施形態によれば、非対称の磁場は、フルイディックチャネルの一方の側に磁性材料を使用し、フルイディックチャネルの反対側に実質的に類似した磁性材料を使用することによって達成される。そのような実施形態によれば、上部磁石と下部磁石は、実質的に同じサイズであってもよい。かかる実施形態によれば、上部磁石はネオジムと鉄の合金を含んでもよく、下部磁石はサマリウム-コバルトを含んでもよく、両磁石が実質的に同じサイズである。代わりに、上側の磁石がサマリウム-コバルトを含んでもよく、下側の磁石がネオジムを含んでもよく、両磁石が実質的に同じ大きさである。
【0121】
一実施形態によれば、替わりの磁石構成を使用することができる。すなわち、本発明に係る装置は、フルイディックチャネルの周囲に配置された複数の上部磁石および複数の下部磁石を含んでもよい。上部磁石は、前側上部磁石、中央上部磁石、および後側上部磁石を含んでもよい。下部磁石は、前部下部磁石、中央下部磁石、および後側下部磁石を含んでもよい。
【0122】
別の磁石構成によれば、装置は、前側上部磁石、後側上部磁石、前側下部磁石、および後側下部磁石を含み、これらの磁石はフルイディックチャネルの周りに配置される。前側上部磁石および後側下部磁石は、磁気的に反発する向きに配置される。非対称磁気浮上装置の説明は、参照により本明細書に援用される国際特許出願PCT/US19/24138にさらに記載されている。
【0123】
図7A-Dは、任意のリング磁石401および任意の入口チャネル部分、201、202、203を例示的な方向に配置した二重磁石コンポーネント粒子濃縮装置の実施形態を示す。
【0124】
本明細書に記載の粒子濃縮装置の特定の実施形態では、処理チャネルのかなりの部分について、チャネルに沿って整列した磁石コンポーネントがない。粒子濃縮は、沈降と、任意に、入口チャネル内の粒子の克服可能な磁気反発による、および入口チャネル形状によって任意に強化され得る流れに媒介される予備濃縮による、予備濃縮との組み合わせによって達成される。
図8A-Dは、装置構成の実施形態を示す。
図8E-Hは、任意の交差するチャネルへの流体の移動を制御する入口チャネル弁(801、802、803)が組み込まれていることを示す。ポンプ(804)は、入口チャネル、入口交差チャネル、出口チャネル、迂回チャネルなどの任意のチャネルに関連してもよい。本明細書でさらに説明されるポンプは、様々な実施形態において、対応するチャネル内の流体を駆動するために必要な正圧または負圧を提供するように構成されてもよく、流体連通するチャネルに関連付けられた複数のポンプで動作する場合には、累積流れを提供するように構成されてもよい。
図8Hは、入口交差チャネル805および806を有する粒子濃縮装置を示す。
図8Hに示すように、入口チャネル、交差チャネルは、リング磁石の上流、下流、または両方であってよい。一実施形態によれば、交差チャネル(806)は、リング磁石の上流にある処理チャネルに実質的に直線的な入口チャネルの部分にのみ設けられる。
【0125】
図9は、単一磁石コンポーネント粒子濃縮装置の実施形態を示す。
図9Aは、入口チャネルから処理チャネルに流れを駆動するポンプ(804)を有する粒子濃縮装置を示す。
図9Bは、出口チャネルの流量を個別に制御する複数のポンプ(804)を有する粒子濃縮装置を示す。総流量は、処理チャネルおよび入口チャネルの流量の和である。流量は、粘度や粒子濃度などのサンプル流体の特性や、入口チャネル、処理チャネル、および出口チャネルの寸法や構成に応じて、毎分0.1μLから1mLの範囲になる。好ましい実施形態によれば、処理チャネルおよび出口チャネルの流量は、約0.2μL/分~約200μL/分、または約0.5μL/分~約40μL/分となる。濃縮は、「フロー停止・フロー」(stop-flow)操作または「断続的フロー・フロー」(intermittent-flow)操作の下で行うこともできる。バルブ(902)は、出口チャネルを出口ポート(903)または(904)に迂回させるように作動させることができる。いくつかの実施形態によれば、入口チャネルポンプおよび出口チャネルポンプは、処理チャネルに対して、それぞれ正圧または負圧の構成で採用される。フロー停止・フロー条件では、サンプルの分離が行われ、処理チャネル内の流れを再開することで、サンプルが別々の出口チャネルに取り出される。
【0126】
本発明によれば、装置は、装置内に流体を駆動するための1つまたは複数のポンプを含んでもよい。「ポンプ」の用語は、装置内の異なる場所の間に圧力の差を付加する任意の装置を指すために使用される。ポンプは、システムの入口側(液体を出口に向かって押し出す)、出口側(液体を入口から引き抜く)のいずれか、または両方の組み合わせに配置することができる。圧力の差は正でも負でもよい。圧力差は、複数の出口または入口に共通して適用されてもよいし、各出口または入口が直接適用された圧力差を持つように配置されてもよい。圧力差は、いくつかの実施形態によれば、入口チャネル内で、粒子予備濃縮力、磁気力、堆積力、またはこれらの力の組み合わせに打ち勝つために適用されてもよい。ポンプは、適用される圧力差の制御を可能にするために可変であってもよい。ポンプの種類には、シリンジポンプなどの正の排水(positive displacement)ポンプ、蠕動(peristaltic)ポンプ、ダイアフラムポンプ、調整された静圧源、液体の体積を上昇または下降させるなどの重力制御された圧力源、およびプラスチックまたは箔のブリスターなどの手動の圧力源が含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、ポンプは、チャネル構造を通して流体を駆動するために入口ラインに含まれてもよく、また、指示された出口ラインを通して流体を駆動するために、特定の出口チャネルまたはポートに含まれてもよい。例えば、ポンプは、対象となる1つまたは複数の粒子の粒子富化層または粒子欠乏層の高さに関連する1つまたは複数の出口ラインに含まれてもよい。加えて、すべての出口ラインは、対象の1つまたは複数の粒子の予想される流れの高さに基づいて活性化または非活性化される可変ポンプを含んでもよい。同様に、外部ポンプは、可変圧力差を提供するように制御されてもよい。実施形態は、1つ以上の出口収集管を保持するためのレセプタクル、1つ以上の入力管を保持するためのレセプタクル、温度制御された1つ以上の管のためのレセプタクルを構成するコンポーネント、例えば、摂氏4度に近い温度で1つ以上の出口管を保存するコールドプレート、またはマイクロプレート内のウェルに入口または出口を結合するための位置決め手段を含むことができるマイクロプレートホルダを含む追加のコンポーネントをさらに含んでもよい。一実施形態によれば、出口チャネルまたはポートがピペッティングロボットに流体的に結合されている。ピペッティングロボットは、濃縮された粒子集団の分割量(aliquots)または画分を、処理チャネルから選択的に分配し(dispense)、代替的に、または追加的に、粒子が枯渇した流出物の分割量または画分を処理チャネルから分配するために、粒子濃縮装置と統合されてもよい。本装置は、本装置を通る流体および/または粒子の流れと分離を記録、分析、および/または制御するようにプログラムされたマイクロプロセッサまたはコンピュータと統合されてもよい。
【0128】
図10は、例示的な粒子濃縮装置を含む粒子濃縮システムを示す。この装置は、1つまたは複数のセンサをさらに含んでもよい。例えば、処理チャネルセンサ(1001)および入口チャネルセンサ(1002)をシステムに実装することができる。システムインテグレータ(1003)は、センサ(1001)および(1002)から信号を受け取り、事前にプログラムされたまたはプログラム可能なコマンドを通じて、入口ポンプ(804)または出口チャネルポンプ、リング磁石(201)または他の電磁コンポーネントの磁場、バルブまたは他のインターフェーシングデバイスまたはコンポーネントなどの他のコンポーネントを制御する信号プロセッサを構成することができる。センサは、光学センサ、容量性センサ、導電性センサ、熱センサ、流量センサ、超音波センサ、重力センサ、磁場センサ、またはそれらの組み合わせから選択される。実施形態において、センサは、光検出器、マルチピクセル画像検出器、磁場検出器、電気化学検出器、光位相検出器、散乱検出器、ホールセンサ、磁気抵抗センサ、ボロメトリックセンサ、表面音響波センサ、バイオセンサ、またはこれらの組み合わせである。センサは、粒子の有無や量、または粒子やサンプル流れの他の物理的または化学的特性を検出するために、処理チャネルまたは入口チャネルの一部の内部に、またはそれに隣接する1つまたは複数のセンサをさらに含んでいてもよい。
【0129】
図18の粒子濃縮装置の平面図に示されているように、装置は、視覚化コンポーネントまたは撮像センサ、センサ照明器、およびセンサ光学系をさらに備えてもよい。可視化コンポーネントは、粒子が処理チャネルを通過するときにリアルタイムで見ることおよび/または記録する能力を可能にするかまたは強化する任意のデバイスで構成されてもよく、それによって、粒子の分離の範囲および/または粒子の分離の速度を含む、粒子の分離の観察および/または測定を可能にする。視覚化には、サンプルの粒子および/または他の構成要素のサイズ、形状、または他の特性の分析も含まれてもよい。一実施形態によれば、処理チャネルを取り囲み、それによって処理チャネルを画定するために使用される材料は、処理チャネルの少なくとも一部分に沿って透明または透過性であり、そこを通過する粒子の観察を容易にする。可視化システムは、明視野照明、暗視野照明、および/またはサンプル成分の蛍光検出を可能にする光学系を採用することができる。
【0130】
一実施形態によれば、本装置は、光学的にクリアまたは透明な2つのチャネルセグメントを含み、それぞれがチャネルの反対側にある。本実施形態によれば、可視化コンポーネントは、一方の側に配置され、前記クリアまたは透明なセグメントの1つを通して焦点を当てられ、照明コンポーネントは、反対側に配置され、前記クリアまたは透明なセグメントの2つ目を通して焦点を当てられる。照明コンポーネントは、視覚化コンポーネントによる処理チャネル内の粒子の視覚化を容易にするために十分な光を提供するように構成される。別の実施形態によれば、装置は、チャネルの片側に1つのクリアまたは透明のセグメントを含む。本実施形態によれば、可視化コンポーネントは、一方の側に配置され、前記クリアまたは透明のセグメントを通して焦点を当てられ、照明コンポーネントは、同じ側に配置され、前記クリアまたは透明のセグメントを通して焦点を当てられる。照明コンポーネントは、可視化コンポーネントによる処理チャネル内の粒子の可視化を容易にするために十分な光を提供するように構成されている。
【0131】
好ましい実施形態によれば、照明システムは、可視光または紫外光の光源である。照明源は、処理チャネルを含む光学的に透明な流路内のサンプルを照明するように構成することができ、光は流路内を通って照明源の反対側にある光学センサに送られる。一実施形態によれば、照明源は、光学源からの光が流路内のサンプルから光学センサに反射されるように、光学センサに角度的に隣接している。一実施形態によれば、照明源は紫外線源であり、流路内のサンプルを照明するように構成および配置されており、サンプルに関連する自然蛍光および人工蛍光からの可視光が光学センサによって検出される。
【0132】
V.粒子の分離および濃縮方法
有機または無機の粒子は、本発明の方法によって濃縮され得る。粒子は、細胞、細胞断片、細胞器官(organelles)、クラスタ、組織、組織成分、および細菌、真菌(酵母およびカビ)、ウイルス、原生動物、藻類を含む微生物、およびその断片、細胞器官、クラスタ、その他の成分などの生物体であってもよい。粒子は、高分子、複合体、キレート、コンジュゲート、結晶、非晶質固体、ゲル、凝固物などである。DNA、RNA、タンパク質は、本発明の方法で濃縮可能である。ビーズ、シェル、ナノ粒子、積層体、沈殿物や共沈殿物も同様に濃縮することができる。粒子の分離を必要とする用途は数多くあり、他の粒子からの同種の粒子の分離、粒子の識別、粒子の処理またはその他の操作を必要とする用途を含む。そのような用途には、生細胞と死細胞の分離、循環腫瘍細胞の分離および/または処理、エマルジョンPCR濃縮、血小板リッチプラズマなどの血漿の製造、性別選択などの特定形質のための精子の分離、細菌負荷試験、抗生物質耐性試験、敗血症または血液汚染の識別、免疫細胞の分離、化合物スクリーニング、エクソソームの分離、または細胞外小胞の分離などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の粒子分離方法は、これらの用途のいずれにも利用することができる。
【0133】
サンプル媒体中に存在する粒子は、粒子濃度を実質的に濃縮し、サンプル媒体の層を実質的に枯渇させる条件下で、粒子濃縮装置で濃縮される。不均質な粒子集団を有するサンプル媒体は、サイズ、密度、常磁性の不均質性、および磁力の選択的な方向性と処理チャネルの流量に基づいて選択的に濃縮されてもよい。粒子の異質な集団は、生物学的サンプルに由来するものであってもよい。いくつかのケースでは、生物学的サンプルは、例示的な例として、血液、唾液、尿.精子、血漿.血清、便を含む体液;皮膚、肛門、鼻、膣のスワブ、またはドア取手からの環境スワブを含むスワブ;および涙、肺からの洗浄液、または乳房からの間質組織液を含む近位液(proximal fluid)である。いくつかのケースでは、生物学的サンプルは、例示として、生きた細胞および死んだ細胞、循環する腫瘍細胞、核酸、ヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、抗原、抗体、または免疫細胞(例えば、白血球、T細胞、食細胞)である。いくつかのケースでは、生物学的サンプルは、例示的な例として、生体分子、細胞、タンパク質、脂質、炭水化物、微生物、ウイルス、バイロン(viron)、または細菌である。
【0134】
サンプル媒体中の粒子濃度に対する粒子富化画分の濃縮度は、少なくとも30%、好ましくは40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%である。一実施形態によれば、粒子枯渇画分は、実質的に粒子を含まない。
【0135】
処理チャネルに導入する前に、交差チャネルを含む位置に沿ってサンプル媒体を通過させる前に、それと同時に、またはその後に、試薬流体または気体を流れに導入してもよい。一実施形態によれば、常磁性媒体、緩衝剤、凝集剤、サンプルの前処理試薬または反応物を、処理チャネルにおける濃縮または分離または分析の準備として、サンプル媒体に導入して混合してもよい。
【0136】
粒子は、ある流量で処理チャネルに導入され、処理チャネル内で沈降および/または磁気的な反発および/または引力を受けて、流れの中に粒子が濃縮された層および粒子が枯渇した層を形成する。様々な実施形態によれば、連続流の条件下、停止流の条件下、または断続流の条件下で、流れの中に粒子が濃縮された層と粒子が枯渇した層を形成する。粒子が濃縮された層および/または粒子が枯渇した層の収集は、層が処理チャネルの流れの中で分割されるときに実行される。処理チャネルから出力された、粒子が濃縮された流れおよび/または粒子が枯渇した流れは、分割または分画のために選択的にチャネルされることがある。目的の粒子が処理チャネル内のフロー層で一旦平衡(または平衡に近い)高さに達すると、処理溶液を複数の画分に分割するスプリッタを通過する。目的の粒子は処理液内で幾何学的に分離されているため、特定の幾何学的画分の流出液には目的の粒子が実質的にすべて保持される。次に、目的の粒子を含む幾何学的な流出画分を回収し、目的の粒子が1つ以上の画分に存在する場合は再結合して、目的の粒子を分離することができる。いくつかの実施形態によれば、常磁性媒体から細胞を分離することが必要かもしれない。これは、常磁性媒体からの細胞の分離が望まれる場合、希釈によって行われてもよい。
【0137】
代わりに、サンプル液の各流出画分への分割は、分割の比率を変更することができるように、個々の流出口に向かう流体の流量を増減させることで達成され得る。一実施形態によれば、比率は最大50%まで変更することができる。例えば、スプリッタが同じ断面を持つ2つのチャネルで構成されている場合、幾何学的な分割比は1:1となる。他の画分に適用されるよりも大きな(または小さな)ポンプ速度を適用して、より大きな(または小さな)量の流体を一方の画分に引き出すことによって、分割の比率を、例えば、約3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または10:1に変更することができる。好ましい実施形態によれば、そのような幾何学的比率のための分割は、約2:1から約1:2の範囲内である。さらに好ましい実施形態によれば、そのような幾何学的比のための分割は、約10:1から約1:10の範囲内である。分割は、約1:10、約1:9.5、約1:9、約1:8.5、約1:8、約1:7.5、約1:7、約1:6.5、約1:6、約1:5.5、約1:5、約1:4.5、約1:4、約1:3.5、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5:5、約5.5:1、約6:1、約6.5:1、約7:1、約7.5:1、約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1であり、これらの各比率は、上部出口チャネルの流量と下部チャネルの流量の比率である。
【0138】
一実施形態によれば、濃縮粒子からなるサンプル流体は、処理セグメントの後方端に到達するまで比較的遅い速度でフルイディックチャネルを通過し、そこで流量が少なくとも2倍に増加する。好ましい一実施形態によれば、サンプル流体の流量は、処理セグメントの後方端で少なくとも4倍に増加する。いくつかのケースでは、サンプル流体は、本明細書に記載されているように、磁石リングまたは一対の上部および下部磁石によって作られる磁場にさらされる。場合によっては、サンプル流体は磁場にさらされない。
【0139】
分割量または画分は、チューブやプレートなどの収集チャンバや容器に迂回される。これらの画分または分割量は、さらなる処理、分析、または反応の対象となる。一実施形態によれば、収集用のチャンバ、プレート、ウェル、および/またはチューブは、必要なまたは後続の処理ステップに必要な材料の事前決定された量を含んでおり、ユーザは、細胞を濃縮するだけでなく、1つの媒体から別の媒体に移したり、試薬を追加したりすることができる。例示的な試薬としては、RNA単離、DNA単離、mRNA単離、タンパク質単離、増殖培地、培養液、固定液などの試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。分離された分割量および/または画分は、磁気浮上および分離、化学的または生化学的分析、分画、誘導体化、シークエンスサンプルの準備、質量分析、NMR分析、顕微鏡分析、FACS選別および分析、ならびにX線回折分析を含むさらなる処理に付されてもよい。生物学的な細胞は、自然に採取された状態で診断や治療に使用されることもあれば、遺伝子や生化学的な変更を受けて使用されることもある。
【0140】
入口チャネル、処理チャネル、または出口チャネル内での滞留中、粒子は、速度、密度、生物学的、化学的、遺伝的、分類学的、構成、生存率、濃度、または配向を含む特性についてデータ収集(interrogate)されてもよい。データ収集は、入口、処理、出口チャネル、またはそれらの組み合わせ、および収集チャンバ、ウェル、プレート、またはチューブの中にある、隣接した、または通信可能に(interrogatively)リンクされた1つまたは複数のセンサまたはセンサのアレイを用いて実行されてもよい。検出された特性は、独立した分析に使用することができ、また、システムコントローラコンポーネントによって利用され、システムの動作を制御または自動化することができる。制御対象となるシステムコンポーネントおよびパラメータには、サンプル媒体の流量、磁場の強さ、および、分流、収集、分画、およびその後の反応条件のためのバルブの作動が含まれる。一実施形態によれば、入口チャネル内のサンプル流に試薬液またはガスを自動導入することができるように、入口チャネル内のセンサがシステムコントローラと作動的にリンクして統合されている。
【0141】
図11は、入口チャネルを通るサンプル媒体の装置を利用した粒子の濃縮を示している。沈降力および/または磁気反発力により、流れの下層で粒子が濃縮され、濃縮された粒子は下側の出口チャネルで回収される。粒子が枯渇した層は、上部出口チャネルを介して収集される。この方法は、(i)処理チャネル、入口チャネル、および複数の出口チャネルを備えた低容量フルイディックデバイスを提供するステップと、(ii)少なくとも粒子が濃縮された層および粒子が枯渇した層を有するサンプル流を生成する条件下で、粒子を含むサンプルを入口チャネルから処理チャネルに流すステップと、(iii)粒子が濃縮された流れを生成するために、粒子が濃縮された層を第1の出口チャネルに流すステップと、(iv)粒子が枯渇した流れを生成するために、粒子が枯渇した層を第2の出口チャネルに流すステップと、(v)出口チャネルの1つまたは複数から流れの1つまたは複数を収集するステップと、を含む。
【0142】
図12は、フローアシスト型の粒子濃縮方法を示し、入口チャネルは、処理チャネルに対して実質的に直線的な部分と、角度θで結ばれた部分で処理チャネルに対して非直線的に整列している部分とでさらに構成される。粒子含有サンプル媒体は、入口チャネル内の粒子を集中させるために、入口チャネルの非直線的に整列した部分内での沈降を可能にするのに十分な流量で、入口チャネルを通って流される。処理チャネルへの粒子含有サンプルの流れは、任意に粒子の磁気反発を伴う沈降を継続または追加するために維持され、流れの粒子濃縮層および粒子枯渇層を形成する。流れのそれぞれの層は、それぞれの出口チャネルで回収される。いずれの理論にも拘束されることなく、粒子の濃縮は、それらが懸濁している液体(例えば、水、溶媒)よりも大きい密度を有する粒子が、重力の存在下で沈降する傾向と、磁場からの反発との組み合わせに起因すると推定される。粒子は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、または少なくとも60分沈降させてもよい。粒子は、少なくとも10秒、少なくとも20秒、少なくとも30秒、少なくとも40秒、少なくとも50秒、少なくとも60秒、少なくとも100秒、または少なくとも200秒沈降させてもよい。いくつかの実施形態によれば、濃縮粒子は、最大で50μL/分(毎分マイクロリットル)、最大で40μL/分、最大で30μL/分、最大で20μL/分、最大で10μL/分、最大で5μL/分、または最大で2μL/分の流量でフルイディックチャネルを通過する。いくつかの実施形態によれば、濃縮された粒子は、約20μL/分の流量でフルイディックチャネルを通過し、これによれば、流れ装置を通過する液体はもたらされるが、粒子は磁場の外側に蓄積される。いくつかの実施形態によれば、濃縮された粒子は、約10μL/分の流量でフルイディックチャネルを通過し、これによれば、流れ装置を通過する液体はもたらされるが、粒子は磁場の外側に蓄積される。フローセルを通過した液体は、収集チャンバにつながっている出口チャネルの1つを通って堆積する。一旦液体の大部分が装置を通過し、粒子がフローセルに入るのが確認されると、浮遊粒子(例えば、浮遊細胞)を含む液体は、より高い流量で第2の出力チャネルに渡されることになり、このチャネルは、目的の粒子を収集するための特定の収集チャンバにつながっている。
【0143】
図13は、処理チャネル内でのフローアシスト型の粒子濃縮画分の形成を示している。濃縮された(粒子が富化した)画分は、下部の出口チャネルを介して収集され、粒子の高度に濃縮された分割量を提供する。流れの中で粒子が濃縮された部分は、処理チャネル内の粒子を観察する撮像センサなどのセンサによって特定されるか、またはサンプルの分画を時間的に収集することを介して、処理チャネル内の分画パターンの特徴から特定される。
【0144】
図14は、処理チャネルに入る前に粒子に磁気反発力を加えることによる入口チャネル内の粒子の予備濃縮を示す。粒子の処理チャネルへの進入は、チャネル内の磁気反発力を中止または低減するか、磁気反発力を克服するために流れを調節するか、または磁気力の低減と流れの調節の組み合わせによって達成される。流れの調節には、サンプル媒体の流れの流量の増加、または粒子の処理チャネルへの導入を提供するため、入口チャネルにパルス状の圧力をかけることなどによる流れの変動が含まれ得る。
【0145】
図15は、処理チャネルのX軸に沿って整列された磁気コンポーネントが、入口チャネル内で磁気反発力を拡張して、処理チャネルへの粒子の進入を抑制する、粒子濃縮の方法を示す。入口チャネル内の粒子集中を提供するために流量が維持される。粒子が十分に予備濃縮されると、磁気反発力が克服され、粒子が処理チャネルに導入される。予備濃縮の度合いは、サンプル媒体の流量によって調整される。処理チャネルに入った粒子は、処理チャネルの流れの粒子濃縮層に沈降する、または磁気的に反発もしくは引きつけられ、出口チャネルで回収される。
【0146】
図16による方法の一実施形態によれば、サンプル媒体の処理チャネルへの進入に続いて、ガスバブルまたは非混和性液滴(1601)が導入される。バブルまたは液滴は、処理チャネル内のサンプル媒体の後方に流されて、残っている粒子富化層および粒子枯渇層を処理チャネルから出口チャネルに実質的に洗い流す。これにより、サンプル画分を実質的に完全に分離することができ、個別のサンプルまたはサンプル画分の処理が可能になる。空気の導入頻度を調整することで、より効率的な処理を行うために、大きな初期サンプル量をより小さな単位に分割することができる。
【0147】
本発明の方法の一実施形態は、全血サンプル(whole blood sample)または希釈された血液サンプルを提供するステップ、そのサンプルを本明細書に記載のサンプル濃縮方法に供するステップ、全血サンプルまたは希釈された血液サンプルから血漿および/または血球を分離するステップを含む、血液サンプルの分画方法である。血液サンプルは、約50μL~約50mL、50μL~約20mL、50μL~約10mL、または約50μL~約5mLの体積を有する、末梢血サンプル、臍帯血サンプル、胎児血液サンプル、または動脈血サンプルからの全血または希釈サンプルであってもよい。本方法によれば、分離された血漿画分は、血液サンプル中の血球を約1%未満~約0.01%未満含むか、または血球を実質的に含まないものであってもよい。分離された血液サンプル画分は、酵素免疫アッセイ、化学発光免疫アッセイ、血餅/粒子凝集アッセイ、核酸増幅技術アッセイ、薬物アッセイ、法医学アッセイ、または遺伝形質アッセイなどの診断アッセイに使用することができる。
【0148】
血球濃縮/血漿分離の一例として、臍帯血サンプルを本発明の粒子濃縮装置および方法で血漿画分と細胞画分に分画した。血液サンプル(10mL)を採取し、ガドブトロールの常磁性媒体を最終濃度100mMになるように添加した。総量500マイクロリットルのサンプルを、単一の磁石コンポーネントが処理チャネルの上部のX軸に沿って実質的に整列しているように構成された処理チャネルの入口チャネル(寸法X×Y×Z:50×1.9×1mm)から導入し、平衡化のために約5分待った後、毎分20マイクロリットルの初期流量で流した。毎分20マイクロリットルの流量は、下部の回収チャネルに毎分10マイクロリットル、上部の回収チャネルに毎分10マイクロリットルを流すことの総量を含む。ライブ撮像で分離の様子を確認した後、流量を50マイクロリットル/分、さらに100マイクロリットル/分と増やしていった。上部収集チャネルと下部収集チャネルへのそれぞれの流量の比率を1:1から4:1に調整し、さらに10:1を超える非対称性(10が下部収集チャネルへ、1が上部収集チャネルへ)にすることで、流体のより高い割合を下部チャネルに引き込み、それによって高い純度を維持した。血球が富化された層の濃縮は、流路の底部の層に起こり、回収は底部の出口チャネルを通して行われた。
図16は、下部の血球層と上部の血漿層の実質的な濃縮と分離を示す、前部領域の処理チャネルとサンプルスプリッタの顕微鏡写真(縮尺:流路の高さは1.9mm)である。
【0149】
VI.フローセルカートリッジ
精密さ、正確さ、そして再現性が科学機器に必要である。さらに、使いやすさや製造のしやすさも考慮しなければならない。本発明のフローセルは、これまで不可能とされてきた、または時間がかかる、および/または複雑で高費用の手順によってのみ達成可能とされてきた科学実験や開発を可能にする、使いやすい装置としての特徴をすべて備えている。
【0150】
本発明のフローセルカートリッジは、
上面および下面、
撮像面を形成する第1の長手方向側面、
照明面を形成する第2の長手方向側面、および
第1および第2の横方向側面を含む
平面基板と、
上面に設けられた入口ウェルと、
入口チャネルと、
入口チャネルと流体連通し、長手方向側面に実質的に平行に配置されたサンプル処理チャネルと、
処理チャネル内のサンプルスプリッタと、
処理チャネルと流体連通した複数の出口チャネルと、
複数の出口チャネルのそれぞれと流体連通した複数の収集ウェルと、を含み、
基板は、任意に光学的に透明な材料を含み、
処理チャネルは、基板の平面内でオフセットされて撮像面に対して空間的に偏っていることを特徴とする。
この平面構成により、必要なフローセル機能をすべてカートリッジに組み込むことができ、実験室または臨床現場での性能と再現性を高めることができる。実用上、性能向上のためには、処理チャネルと出口チャネルへの流れにできるだけ乱れが生じないことが重要である。空気と液体の圧縮率の違いによる影響や、流れを制限したり、サンプル溶液のメニスカス(meniscus)と相互作用したり、その他の方法で乱流を誘発するようなチャネル構造は、粒子分離の性能を低下させる。処理チャネルに入る前のサンプルの流れの状態を最小化することで、サンプルの損失を減らし、フローセルのチャネル内でのサンプルの付着や粒子の凝集の機会を減らすことができ、またサンプルの取り扱いがサンプルの細胞や生物の生存率に与える影響も減らすことができる。本発明の特徴は、これらの影響やその他の影響を最小限に抑え、性能と再現性を向上させる。フローセル内の撮像が望まれる場合、平面基板は光学的に透明な材料で構成される。ガラス、プラスチック、または環状オレフィンポリマ(COP)または環状オレフィンコポリマ(COC)を含むポリマ材料は、この応用要件に適合する。COPやCOPは精密な射出成形で利用できる。その他の材料は、射出成形、エッチング、レーザー加工、機械加工、3Dプリントなどでカートリッジを形成することができる。平面基板の典型的な寸法は、少なくとも長さが50mm、幅が20mm、厚さが少なくとも1.5mmであってもよい。任意の範囲は、少なくとも長さが100mm、幅が35mm、厚さが約2~約6mmである。カートリッジの長手方向の側面は、照明や撮像のためのウェーブガイドとして機能する。そのため、処理チャネルは、基板の平面内でオフセットされており、基板の撮像長手方向側面に平行に隣接している。撮像側壁からの距離は、約0.5mm~約10mm、好ましくは約0.5mm~約5mm、任意に約1mm~約3.5mmであってもよい。一実施形態によれば、撮像側壁からの処理チャネルの間隔は約2mmである。処理チャネルのチャネル寸法は、本明細書で先に説明した実施形態のいずれかとすることができる。処理チャネルの容積は、約10μL~約800μL、好ましくは約50μL~約600μL、任意に100μL~約400μLまたは約150μL~約300μLで構成することができる。いくつかの実施形態によれば、体積は少なくとも約150μL、少なくとも約200μL、少なくとも約250μL、または少なくとも約300μLとなっている。出口チャネルの合計容積は、処理チャネルの容積よりも大きくなければならない。2つの出口チャネル間の流量分割は、1:1分割であるか、または約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲であるか、またはシステムの実施形態で動作しているときに、約50%以下、約40%以下、約30%以下、または約15%以下で1:1から変動することができる。
【0151】
本発明のフローセルは、任意に、平面基板上に収集ウェルを含む。収集ウェルは、出口チャネルと流体連通する入口を備えており、入口は、第1のウェルの高さにあり、入口ポート開口部からウェルの床に移行する段差を有して構成されている。これにより、ウェル内へのサンプル画分の流れに移行面が提供され、出口チャネルへのサンプル画分の逆流や、収集ウェル内での気泡形成を抑制することができる。収集ウェル内の出口チャネルは、入口チャネルの開口部よりも高い、収集ウェルの床からの高さにある開口部を有する。内部の出口は、流量調節器と通信するように配置され、いくつかの例では、流量調節器は、フローセルを通る流れを提供するための個々のポンプである。操作時には、収集ウェルは材料やフィルムの層で密封され、フローセル内にサンプルやサンプル画分を流すことを可能とする密閉されたシステムが提供される。フローセルの層を組み立てる際や接着剤を使用する際には、生体適合性のある接着剤を使用することが重要である。接着剤成分の溶液への溶出、細胞への付着や溶液からの分子の結合、自家蛍光性、表面積を増加させるテクスチャを持つことによる細胞への影響、過度の親水性または疎水性を有すること、などを最小限に抑えるか、または防ぐために、接着剤を正しく選択することが必要である。好ましい接着剤は、シリコーンまたはシリコーンベースの接着剤である。
【0152】
VII.細胞分離システム
本発明の細胞分離システムは、
フローセルカートリッジを保持するための受入ブロックと、
光学センサ、レンズ、および照明源を含む光学システムと、
複数の流量調節コンポーネントと、を備え、
受入ブロックは、フローセルカートリッジを光学システムと光学的に整列するように取り外し可能に配置し、フローセルの処理チャネルに隣接する磁気コンポーネントを取り外し可能に係合させ、フローセルカートリッジの複数の出口チャネルを複数の流量調節コンポーネントと流体連通するように取り外し可能に配置することを特徴とする。光学系は、上述のフローセルカートリッジの処理チャネルの顕微鏡画像を提供するように構成されている。任意に、光学システムは、オプションの紫外線励起器モジュールを用いて、蛍光発光のための撮像を提供するように構成され、配置される。光学システムは、平面基板内の処理チャネルを介した光透過を提供するように構成および配置された可視光照明源を含んでいてもよい。受入ブロックは、撮像光学系が平面カートリッジの撮像側と整列し、可視光エミッタが平面フローセルカートリッジの照明側を照らす向きになるように、平面フローセルカートリッジを光学システムに対して向きを変えて保持するように構成および配置される。任意に、光学システムは、カートリッジの処理チャネル内の蛍光体(fluorophore)を励起するために、任意に約474nmおよび/または560nmの波長の紫外線照明を、平面型カートリッジの撮像側の角度方向に配置するように構築および配置された1つ以上の紫外線照明源をさらに含んでもよい。
【0153】
処理チャネルの内部にある蛍光体の撮像のために、光学システムは任意にデュアルバンドパスフィルタを備えており、約524nmと約628nmの波長を中心としたバンドで放出される光線を通過させることが好ましい。
【0154】
受入ブロックのオプション機能として、フローセルカートリッジの上部または下部にある出口とインターフェイスする一連の流量調節器アダプタがある。このアダプタは、システム内のポンプなどの流量調整器と、収集ウェルの出口チャネルなどのフローセルの出口チャネルとの流体連通を容易にする。一旦フローセルカートリッジが受入ブロックに挿入されると、受入ブロックは機械的に作動してカートリッジを支持し、平面状のカートリッジの照明側と撮像側を光学撮像システムに整列させ、磁気コンポーネントをフローセル処理チャネルの上下に配置し、必要に応じて流量調節器アダプタをフローセルカートリッジの対応する出口チャネルと流体連通させる。
【0155】
本システムの流量調節器は、フローセルカートリッジ内のサンプルおよびサンプル画分に流れを提供する。流量調節器によって提供される流量は、分離時に最低1分あたり1μLから最高1分あたり1mLまでの範囲となる。流量は、毎分約25μL以上、毎分約50μL以上、毎分約100μL以上、毎分約200μL以上、毎分約250μL以上、毎分約300μL以上、または毎分約300μLから毎分約1mLとすることができる。総サンプル量の体積流量は、約50μL/分、約75μL/分、約100μL/分、約150μL/分、約200μL/分、または約300μL/分とすることができる。2つの出口チャネル間の流量分割は、偶数分割であるか、システムの実施形態で動作しているときに、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲であるか、または1:1から約50%以下、または約40%以下、または約30%以下、または約15%以下の範囲で変化することができる。
【0156】
本システムの磁気コンポーネントは、上述のような材料、サイズ、強度で構成されていてもよく、また、上述および後述のような構成で配置されていてもよい。
【0157】
VIII.生細胞と死細胞の分離
生細胞と死細胞の混合物を分離する方法は、
処理チャネルと、フローセルカートリッジの出口チャネルの合計容積が処理チャネルよりも大きい複数の出口チャネルとを含む、上記実施形態のフローセルカートリッジなどのフローセルカートリッジを提供するステップと、
生細胞および死細胞と常磁性化合物とを含むサンプル溶液を処理チャネルに流すステップと、
フローセルカートリッジを処理チャネルと実質的に平行に整列した磁場内に置くステップと、
処理チャネルおよびその中に含まれるサンプル全体を、処理チャネル内の垂直方向の距離によって生細胞と死細胞を分離するのに十分な時間、流れを止めた状態で磁場内に維持するステップと、を含み、
生細胞で濃縮されたサンプル画分および死細胞で濃縮されたサンプル画分を同時に出口チャネルに引き出す。任意に、本方法は、サンプル溶液を導入する前に、液体または常磁性化合物を実質的に含まないフローセルカートリッジを提供するステップを含む。
【0158】
本発明の方法で使用されるフローセルカートリッジは、処理チャネルの断面積よりも小さい断面積を有し、圧縮された経路に沿うように配置された出口チャネルを含んでいてもよく、1つの例示的な構成は、蛇行チャネルである。磁場は、処理チャネルの上部垂直面に近接して、および処理チャネルの下部垂直面に近接して配置され、各磁場は、約0.5テスラと約2.0テスラの間、任意に約0.9テスラと約1テスラの間の同様の強度と表面磁場強度を有する。表面磁場強度は、約0.5テスラ、約0.6テスラ、約0.7テスラ、約0.8テスラ、約0.9テスラ、または約1.0テスラであってもよい。
【0159】
本方法は、常磁性化合物を、約50mM~約200mM、任意に約65mM~約175mM、さらに任意に約70mM~約150mMの濃度でサンプル溶液中に提供することをさらに含んでもよい。濃度は、約70mM、約75mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMであってもよい。
【0160】
本方法は、約75μL/分~約150μL/分、および任意に約75μL/分、約90μL/分、約100μL/分、約110μL/分、約120μL/分、または約150μL/分の流量で、サンプル画分を出口チャネルに引き抜くステップをさらに含んでもよい。
【0161】
この方法では、生細胞画分の卓越した回収率と純度が得られる。濃縮回収サンプル画分は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の生細胞を含み、濃縮回収サンプル画分中の生細胞の歩留まりは、サンプルの全生細胞組成の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%である。
【0162】
生きているジャーカット(Jurkat)細胞と死んだジャーカット細胞を分離する実験を、フローセル構成の異なる装置で行った。死んだジャーカット細胞の集団は、新鮮なジャーカット細胞を70%エタノールで処理して作成した。エタノールを除去し、死細胞を媒体で洗浄した後、死細胞を元の生細胞集団に戻して混合集団を作成した。死んだ細胞の濃度は、この最終的な混合物の中で約20%であった。この混合細胞の分割量を、本明細書に記載のフローセルおよびシステムを用いて、各装置構成に最適化された条件で分離した。
図25Aおよび
図25Bは、本明細書に記載の方法で得られた生細胞画分の生存率および生細胞歩留りを示している。本明細書に記載の方法により、様々な種類の細胞について効率的な生細胞分離を行うことができることが、
図26Aおよび26Bに示されている。生細胞の分離および濃縮は、本明細書に記載されているように、初代細胞(primary cells)、ヒトおよび動物の組織から分離された初代細胞、腫瘍からの解離細胞、培養細胞、およびその他の細胞に対して行われている。
【0163】
IX.開示された実施形態は非限定的である
本発明の様々な実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、そのような実施形態は例示としてのみ提供されていることが強調される。その様々な実施形態における本明細書の発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を行うことができる。具体的には、本明細書で任意の範囲が記載されている場合、他に明確に記載されていない限り、その範囲はその中のすべての値およびその中のすべてのサブレンジを含む。
【0164】
また、より一般的には、本明細書の開示、説明、例、および実施形態によれば、当業者の技術の範囲内で、従来のフルイディック工学、分子生物学、細胞生物学、微生物学、および組換えDNA技術を採用することができる。本明細書で参照することにより組み込まれたリソースは、その中に含まれるそれぞれの内容および教示についてのものである。このような組み込みは、少なくとも、本明細書で参考文献を引用する際に記載される特定の教示および/または他の目的のためのものである。特定の教育および/またはその他の目的がそのように記載されていない場合、出版されたリソースは、その文献のタイトル、抄録、および/または要約の1つまたは複数で示される教育のために特別に組み込まれている。そのような具体的に特定された教示および/または他の目的がそのように関連していない場合は、本発明が関連する技術の状態をより完全に説明するために、および/または、該当する可能性のある、当業者に一般的に知られているような教示を提供するために、公開されたリソースが組み込まれる。ただし、本明細書で公開された資料を引用することは、その資料が本発明の先行技術であることを認めるものではないことを明記する。また、組み込まれた公開リソースの1つまたは複数が、定義された用語、用語の使用法、記載された技術などを含めて、本願と異なるまたは矛盾する場合、本願は好ましい実施形態として制御し、矛盾は代替的な実施形態と見なすことができる。
【0165】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態を示し、説明してきたが、そのような実施形態が例示としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換に当業者は気づくであろう。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明の実施において採用され得ることが理解されるべきである。
【外国語明細書】