(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064878
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】脊髄硬膜内の欠陥を修復するための外科インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168862
(22)【出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/198,368
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/499,844
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521452876
【氏名又は名称】ジェンキンス ニューロスパイン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アーサー エル ジェンキンス ザ サード
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC02
4C097CC11
4C097DD05
4C097EE19
4C097MM04
(57)【要約】
【課題】脊髄硬膜内の欠陥を修復するための外科インプラントを提供する。
【解決手段】欠陥を修復するための外科インプラント。インプラントは、第1の層及び第2の層を有する。各層は、可撓性かつ平面である。第1の層は、周囲から遠隔の内側部分と、周囲と内側部分間の外側部分とを有する。第2の層も、周囲から遠隔の内側部分と、周囲と内側部分間の外側部分とを有する。第1の層のその内側部分に近い底面は、上層の内側部分が第2の層の内側部分に対して固定され、かつ第1の層の外側部分が第2の層の外側部分に対して移動可能であるように、第2の層のその内側部分に近い上面に接続される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥を修復するための外科インプラントであって、
上面及び底面を有する第1の層であって、該第1の層が可撓性かつ平面であり、該第1の層が、該第1の層の周囲の周りで該第1の層の該上面と該第1の層の該底面の間を延びる縁部を有し、該第1の層が、該第1の層の該周囲から遠隔の内側部分を有し、該第1の層が、該第1の層の該周囲と第1の層の該内側部分の間に外側部分を有する前記第1の層と、
上面及び底面を有する第2の層であって、該第2の層が、可撓性かつ平面であり、該第2の層が、該第2の層の周囲の周りで該第2の層の該上面と該第2の層の該底面の間を延びる縁部を有し、該第2の層が、該第2の層の該周囲から遠隔の内側部分を有し、該第2の層が、該第2の層の該周囲と該第2の層の該内側部分の間に外側部分を有する前記第2の層と、を含み、
前記第1の層のその前記内側部分に近接する前記底面は、該上層の該内側部分が前記第2の層の前記内側部分に対して固定され、かつ該第1の層の前記外側部分が該第2の層の前記外側部分に対して移動可能であるように、該第2の層のその該内側部分に近接する前記上面に接続されている、
ことを特徴とする外科インプラント。
【請求項2】
前記第1の層は、コラーゲンベースのグラフト材料を含み、
前記第2の層も、コラーゲンベースのグラフト材料を含む、
請求項1に記載の外科インプラント。
【請求項3】
前記第1の層の前記底面と前記第2の層の前記上面の間の前記接続の区域が、前記欠陥の区域よりも小さいか又はそれに等しい、
請求項2に記載の外科インプラント。
【請求項4】
前記欠陥は、脊髄硬膜にあり、
前記第1の層のその前記外側部分に近接する前記底面は、外科インプラントが前記欠陥に受け入れられた時に前記脊髄硬膜のそこにある該欠陥に近接する外面に隣接し、
前記第2の層のその前記外側部分に近接する前記上面は、外科インプラントが前記欠陥に受け入れられた時に前記脊髄硬膜のそこにある該欠陥に近接する内面に隣接する、
請求項3に記載の外科インプラント。
【請求項5】
前記第2の層の前記縁部は、外科インプラントが前記脊髄硬膜内の前記欠陥に受け入れられた時に、該第2の層の前記外側部分が前記第1の層の前記外側部分及び該硬膜の縫合から生じる該硬膜の下のくも膜への損傷を抑制するように少なくとも該第1の層の前記縁部まで延びる、
請求項4に記載の外科インプラント。
【請求項6】
インプラントの前記第1の層の外側部分が、前記第1の層の前記外側部分と前記欠陥に近接する前記脊髄硬膜との間で縫合糸を用いて該脊髄硬膜に対して固定される、
請求項5に記載の外科インプラント。
【請求項7】
前記第2の層は、引込み位置と拡張位置の間で付勢可能であり、
前記引込み位置では、前記第2の層のその前記周囲の周りの前記縁部は、該第2の層の前記内側部分の下に一緒に引き込まれ、それによって前記欠陥を通した該第2の層の受け入れを容易にし、
前記拡張位置では、前記第2の層は、前記欠陥にほぼ平行である平面内を延びる、
請求項5に記載の外科インプラント。
【請求項8】
前記第2の層のその前記周囲の周りの前記外側部分に受け入れられた外科用の糸を更に含み、
前記第2の層が前記引込み位置にある時に、前記外科用の糸は、該第2の層を前記引込み状態に維持するように引張され、
前記第2の層は、前記引張が前記外科用の糸から解除された時に前記拡張位置に付勢可能である、
請求項7に記載の外科インプラント。
【請求項9】
前記外科用の糸は、その移植後に身体内で溶解可能である、
請求項8に記載の外科インプラント。
【請求項10】
上面及び底面を有し、可撓性かつ平面であり、前記第1の層と前記第2の層の間に配置され、該第1の層と該第2の層の間に少なくとも部分的に前記接続を形成する第3の層を更に含む、
請求項3に記載の外科インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般的に外科インプラントに関する。より詳細には、本発明の開示は、脊髄硬膜内の欠陥を修復するための外科インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
脳及び脊髄は、脳脊髄液(CSF)として公知の流体に浸されている。この流体は、脳及び脊髄を取り囲む髄膜と呼ばれる結合組織の層の内側に保持される。軟膜、くも膜、及び硬膜である3つの髄膜層が存在する。duraと呼ばれることもある硬膜は、髄膜の最外側層である。duraは、通常は丈夫な結合組織である。CSFは、くも膜と軟膜層の間でクモ膜下腔内に閉じ込められる。脊髄CSF漏出は、脊髄硬膜が孔又は裂傷を有する時に起こり、CSFがこの封入空間から漏出することを可能にする。これは、頭蓋内低血圧をもたらし、低容積のCSFは、脳及び脊髄の周りに残る。脳及び脊髄の周りのCSFの容積の損失は、一連の症状をもたらす可能性があり、重篤な体位性頭痛が最も一般的である。症状は、軽症から非常に重症までとすることができる。多くの場合に、患者は、直立位置にいる間に機能する能力が非常に限られる場合がある。広範囲の神経徴候及び症状が生じる場合があり、希に認知症、脳卒中、昏睡、及び死亡さえも報告されている。
【0003】
脊椎手術中に、神経を減圧するのに使用する器具、間違って配置されたインプラント又はグラフト、操作、及び虚血(血液供給障害)に起因して傷害が起こる場合がある。外科医が硬くなった脊椎靭帯を通して切断する必要があり処置中に硬膜を損傷するので、脊椎手術中に脊髄損傷又は硬膜裂傷を有するリスクは、年齢と共に増加する。それは、以前の脊椎手術又は既存の脊髄圧迫を有する患者に起こる場合もある。脊椎の背後に対する手術は、それが脊椎靭帯を通して切断する必要があり、これが硬膜又は腱を傷つける場合があるので、脊髄損傷又は硬膜裂傷のより高いリスクを有する。硬膜裂傷又は脊髄傷害を防ぐために手術前、手術中、及び手術後に特別な予防措置が取られる。
【0004】
硬膜裂傷は、顕微鏡及び細針を使用する超微細手術技術を使用して修復される。小さい硬膜裂傷は、縫合されて又はステープル留めで閉じられ、一方でより大きいものは、パッチ又はグラフトを用いて再建される。脂肪又はフィブリン糊は、修復を補強するシーラントとして使用される場合がある。
【0005】
一部の場合に、硬膜内の欠陥を修復するための外科インプラントは、コラーゲン又はコラーゲン状材料で作られる。インプラントが付加される時に、それらは、脳又は脊髄の複合的な面に適合する。パッチは、患者の血液及び血漿滲出液と相互作用し、かつ多くの場合にそれを吸収し、硬膜の裂傷での治癒を促進するように設計される。血液が硬膜パッチに隣接して凝固し始める時に、パッチが作られた材料の性質に応じて、硬膜パッチは、身体の中にゆっくりと再吸収されて患者自身の硬膜組織によって置換されるか、又は他に少なくとも一部の硬膜組織がパッチ材料の面にわたって成長して水密シールを維持するように一体化されるかのいずれかである。同じくそうであるのは、血管パッチであり、これは、生物組織、静脈材料、ウシ心外膜で作られるか、又は血管内皮層に内側を覆わせる機能を有し、修復された血管内の血栓形成を防ぐ滑らかな導管を生成する他の人工材料で作られるかのいずれかである。
【0006】
硬膜パッチは、縫合糸で取り付けられるか又は単に硬膜裂傷上に敷くことができる。臨床診療に現在使用される方法の欠点は、それらが、硬膜パッチが裂傷の上に置かれるか又は単層として欠陥の中に縫い込まれることを可能にするだけであり、従って、最小シールか、又は不均一シールの機会か、又は修復部位からの漏出を遮断する追加の層がないので内容物がより高い圧力を生じる時に縫合線又は縫合孔での漏出を含んで漏れやすくなる初期シールかのいずれかを生成する。そのようなインプラントの更に別の欠点は、それらが、縫合処置の結果として起こる硬膜の下の組織損傷に至る場合があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、硬膜内の欠陥に対処するために改善された外科インプラントに対する必要性が当業技術に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に列挙する必要性、並びに更に別の及び他の必要性及び利点は、以下に説明するソリューション及び利点を例示する本発明の教示によって取り組まれる。
【0009】
従って、欠陥自体よりも大きい材料で両側(内側及び外側)の開口部を覆う硬膜、静脈、動脈裂傷、又は他の生物学的中空構造の中に敷くことができるパッチのような外科インプラントを生成することが本発明の目的である。本発明のこの目的は、硬膜修復中に内部(例えば、神経)要素を定位置に保つこと(外科医が欠陥を果敢に閉じようとして修復を更に遥かに困難にする間に神経を開口部から運び出す可能性がある流体の侵出なしにそれらを密封することにより)、又は修復を行うことを可能にするための親血管の閉塞に対する必要性を低減すると考えられる修復中の血管構造からの能動血液漏出を最小にすることを補助する。これはまた、欠陥のより良好な長期治癒に至ることになる。更に、硬膜パッチの内側部分は、神経を保護することができ、又は血管パッチは、血小板凝集及び血塊/血栓形成を低減し、次に、外側層が縫われて閉じられた状態で内側の内皮化をその後に促進することができると考えられる。
【0010】
本発明の目的は、上層及び底層を有するパッチを提供することである。底層は、弛緩状態及び引張状態である2つの状態の間で変化することができる。弛緩状態では、上層及び底層は、実質的に互いに平行である。引張状態では、底層は、既に締め付けられていることになり、そのためにその長手方向周囲は、層が水平視野からはより厚く見えると考えられるにも関わらずより短い。底層の締め付けられて修正されたより短い長手方向周囲は、上層が構造の外側層の外側に静止してそれが構造の中により深く落下しないように、並びにその後の修復の部位にないようにしながら、底層が流体含有構造内の欠陥の内側に適合することを可能にするように設計される。
【0011】
底層は、底層の外側を通して縫われた縫合糸又は考案される場合がある他の機構を使用して締め付けることができる。縫合糸の場合に、それが内側層から解除されて除去された状態で、底層は、弛緩状態に戻って緩められる又は拡張し、上層の反対側の硬膜又は血管又は組織に適合することになる。これは、単に硬膜又は組織の上に単層を静止させる又は単層を欠陥の中に又はその上に縫い付けることよりも欠陥に対してより有効なシールをもたらす。縫合糸は、パッチの内側層の穿刺をより容易にする予め作られた孔、予め作られた窪み内で底層を通して縫う又はいずれの正式な誘導もなしに縫い進めることができる。
【0012】
パッチは、硬膜、血管、又は組織に対する有機シールを可能にするコラーゲンで作ることができる。パッチのコラーゲン母材は、血液及び血漿がそれに接着してフィブリン糊を形成して一時的に修復をサポートすることを可能にする。コラーゲン母材は、次に、身体が正常な硬膜又は内皮及び血管組織を有する組織を修復して覆う時に身体の中に無害に再吸収することができる。
【0013】
設計での可能な変形である第3の層は、外側及び内側層間の空間が引かれて緊張する時に元の組織の集群を引き起こさないように、修復されている流体充填構造(例えば、動脈、静脈、又は硬膜)の厚みに適合するように設計された2つの層の間の特定の間隙を提供すると考えられる。
【0014】
本発明は、脊髄硬膜内の欠陥を修復するための外科インプラントに一態様では属する。インプラントは、上面及び底面を有する第1の層を含む。第1の層は、可撓性かつ平面である。第1の層は、第1の層の周囲の周りで第1の層の上面と第1の層の底面の間を延びる縁部を有する。第1の層は、第1の層の周囲から遠隔の内側部分を有する。第1の層は、第1の層の周囲と第1の層の内側部分との間に外側部分を有する。外科インプラントは、上面及び底面を有する第2の層を含む。第2の層は、可撓性かつ平面である。第2の層は、第2の層の周囲の周りで第2の層の上面と第2の層の底面の間を延びる縁部を有する。第2の層は、第2の層の周囲から遠隔の内側部分を有する。第2の層は、第2の層の周囲と第2の層の内側部分との間に外側部分を有する。第1の層のその内側部分に近接する底面は、上層の内側部分が第2の層の内側部分に対して固定され、かつ第1の層の外側部分が第2の層の外側部分に対して移動可能であるように、第2の層のその内側部分に近接する上面に接続される。
【0015】
本発明の更に別の実施形態では、第1の層は、コラーゲンベースの硬膜グラフト材料を含み、第2の層も、コラーゲンベースの硬膜グラフト材料を含む。
【0016】
本発明の更に別の実施形態では、脊髄硬膜は、欠陥区域を有し、第1の層の底面と第2の層の上面の間の接続の区域は、欠陥区域よりも小さいか又はそれに等しい。
【0017】
本発明の更に別の実施形態では、第1の層のその外側部分に近接する底面は、外科インプラントが欠陥に受け入れられた時に脊髄硬膜のそこにある欠陥に近接する外面に隣接する。第2の層のその外側部分に近接する上面は、外科インプラントが欠陥に受け入れられた時に脊髄硬膜のそこにある欠陥に近接する内面に隣接する。
【0018】
本発明の更に別の実施形態では、第2の層の縁部は、第2の層の外側部分が第1の層の外側部分及び硬膜の縫合から生じる硬膜の下のくも膜への損傷を抑制するように、外科インプラントが脊髄硬膜内の欠陥に受け入れられた時に少なくとも第1の層の縁部まで延びる。
【0019】
本発明の更に別の実施形態では、インプラントの第1の層の外側部分は、第1の層の外側部分と欠陥に近接する脊髄硬膜の間で縫合糸を用いて脊髄硬膜に対して固定される。
【0020】
本発明の更に別の実施形態では、第2の層は、引込み位置と拡張位置の間で付勢可能である。引込み位置では、第2の層のその周囲の周りの縁部は、第2の層の内側部分の下に一緒に引き込まれ、それによって脊髄硬膜内の欠陥を通した第2の層の受け入れを容易にする。拡張位置では、第2の層は、硬膜の面に対してほぼ平行である平面内を延びる。
【0021】
本発明の更に別の実施形態では、外科用の糸は、第2の層のその周囲の周りの外側部分に受け入れられる。第2の層が引込み位置にある時に、外科用の糸は、第2の層を引込み状態に維持するように引張される。第2の層は、引張が外科用の糸から解除された時に拡張位置に付勢可能である。
【0022】
本発明の更に別の実施形態では、外科用の糸は、その移植後に身体内で溶解可能である。
【0023】
本発明の更に別の実施形態では、外科インプラントは、上面及び底面を有する第3の層を含み、第3の層は、可撓性かつ平面であり、第3の層は、第1の層と第2の層の間に配置され、第3の層は、第1の層と第2の層の間に少なくとも部分的に接続部を形成する。
【0024】
本発明は、患者の脊髄硬膜内の欠陥を修復する方法に更に別の態様では属する。本方法は、脊髄硬膜内の欠陥に外科インプラントを適用する段階を含む。インプラントは、上面及び底面を有する第1の層を含む。第1の層は、可撓性かつ平面である。第1の層は、第1の層の周囲の周りで第1の層の上面と第1の層の底面の間を延びる縁部を有する。第1の層は、第1の層の周囲から遠隔の内側部分を有する。第1の層は、第1の層の周囲と第1の層の内側部分との間に外側部分を有する。外科インプラントは、上面及び底面を有する第2の層を含む。第2の層は、可撓性かつ平面である。第2の層は、第2の層の周囲の周りで第2の層の上面と第2の層の底面の間を延びる縁部を有する。第2の層は、第2の層の周囲から遠隔の内側部分を有する。第2の層は、第2の層の周囲と第2の層の内側部分との間に外側部分を有する。第1の層のその内側部分に近接する底面は、上層の内側部分が第2の層の内側部分に対して固定され、かつ第1の層の外側部分が第2の層の外側部分に対して移動可能であるように、第2の層のその内側部分に近接する上面に接続される。
【0025】
開示する方法の更に別の実施形態では、第1の層は、コラーゲンベースの硬膜グラフト材料を含み、第2の層も、コラーゲンベースの硬膜グラフト材料を含む。
【0026】
開示する方法の更に別の実施形態では、脊髄硬膜内の欠陥は、欠陥区域を有し、第1の層の底面と第2の層の上面の間の接続の区域は、欠陥区域よりも小さいか又はそれに等しい。
【0027】
開示する方法の更に別の実施形態では、第1の層のその外側部分に近接する底面は、インプラントが欠陥に受け入れられた時に脊髄硬膜のそこにある欠陥に近接する外面に隣接する。第2の層のその外側部分に近接する上面は、インプラントが欠陥に受け入れられた時に脊髄硬膜のそこにある欠陥に近接する内面に隣接する。
【0028】
開示する方法の更に別の実施形態では、本方法は、インプラントの第1の層の外側部分を欠陥に近接する脊髄硬膜に縫合する段階を含む。
【0029】
開示する方法の更に別の実施形態では、第2の層の縁部は、第2の層の外側部分が第1の層の外側部分及び硬膜の縫合から生じる硬膜の下のくも膜への損傷を抑制するように、外科インプラントが脊髄硬膜内の欠陥に受け入れられた時に少なくとも第1の層の縁部まで延びる。
【0030】
開示する方法の更に別の実施形態では、第2の層は、引込み位置と拡張位置の間で付勢可能である。引込み位置では、第2の層のその周囲の周りの縁部は、第2の層の内側部分の下に一緒に引き込まれ、それによって脊髄硬膜内の欠陥を通した第2の層の受け入れを容易にする。拡張位置では、第2の層は、硬膜の面に対してほぼ平行である平面内を延びる。
【0031】
開示する方法の更に別の実施形態では、本方法は、第2の層のその周囲の周りの外側部分に受け入れられた外科用の糸を解除する段階を含む。外科用の糸を解除する段階は、第2の層を引込み位置から拡張位置に付勢させる。
【0032】
開示する方法の更に別の実施形態では、外科用の糸は、その移植後に身体内で溶解可能である。
【0033】
開示する方法の更に別の実施形態では、インプラントは、上面及び底面を有する第3の層を更に含む。第3の層は、可撓性かつ平面であり、第3の層は、第1の層と第2の層の間に配置される。第3の層は、第1の層と第2の層の間に少なくとも部分的に接続部を形成する。
【0034】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に提供する図面及び詳細説明に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1B】
図1Aに示すような脊髄の平面1B-1Bに沿った断面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による外科インプラントの側面図である。
【
図3A】本発明の別の実施形態による外科インプラントの側面図である。
【
図4A】第2の層が拡張位置にある
図2Aに示す外科インプラントの等角投影図である。
【
図4B】第2の層が引込み位置にある
図2Aに示す外科インプラントの等角投影図である。
【
図5A】第2の層が拡張位置にある
図2Aに示す外科インプラントの側面図である。
【
図5B】第2の層が引込み位置にある
図2Aに示す外科インプラントの側面図である。
【
図6】第2の層が引込み位置にある本発明の一実施形態による外科インプラントを設置する方法を示す図である。
【
図7】第2の層が拡張位置にあって硬膜内の欠陥に受け入れられる本発明の一実施形態による外科インプラントを設置する方法を示す図である。
【
図8A】硬膜内の欠陥に受け入れられた外科インプラントの図である。
【
図8B】硬膜内の欠陥に受け入れられた外科インプラントの平面8B-8Bを通る断面図である。
【
図9A】インプラントの第1の層が硬膜に縫合された
図8Aの硬膜内の欠陥に受け入れられた外科インプラントの図である。
【
図9B】インプラントの第1の層が硬膜に縫合された硬膜内の欠陥に受け入れられた外科インプラントの平面9B-9Bを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付図面を参照して本発明の教示を以下により完全に説明する。以下の説明は、例示的な目的でのみ提示するものであり、本発明の教示をこれらの実施形態に限定すべきではない。
【0037】
法律に従って、本発明の教示は、構造的及び方法論的特徴に関して多かれ少なかれ特定の言語で説明される。しかし、本明細書に開示するシステム及び方法が本発明の教示を有効にする好ましい形態を含むので、本発明の教示は、図示して説明する特定の特徴に限定されないことは理解されるものとする。
【0038】
限定ではなく説明の目的に対して、徹底的な理解を提供するために特定のアーキテクチャ、インタフェース、技術などのような具体的な詳細を列挙する。他の事例では、公知のデバイス、回路、及び方法の詳細説明は、不要な詳細で説明を曖昧にしないように省略される。
【0039】
一般的に、特許請求の範囲に使用する全ての用語は、本明細書で明示的に他を定めない限り、技術分野でのそれらの通常の意味に従って解釈されるものとする。要素、装置、構成要素、手段、段階などに対する全ての参照は、明示的に他を述べない限り、要素、装置、構成要素、手段、段階などの少なくとも1つの事例を参照する時に制限なく解釈されるものとする。本明細書に開示するいずれの方法の段階も、明示的に述べない限り、開示する通りの順序で実行される必要はない。本発明の開示の異なる特徴/構成要素に対する「第1」、「第2」などの使用は、特徴/構成要素を他の類似の特徴/構成要素と区別し、特徴/構成要素に対していずれの順序又は階層も付与しないことを単に意図している。
【0040】
図1A及び
図1Bは、人間の脊髄10の一部分を表す図である。脊髄10は、硬膜20によって覆われている。硬膜は、脳及び脊髄を取り囲む密な不規則結合組織で作られた厚い膜である。それは、中枢神経系を保護する髄膜と呼ばれる膜の3つの層の最も外側である。他の2つの髄膜層は、くも膜及び軟膜である。硬膜は、そこに欠陥30を有する。
図1Aでは、欠陥は、硬膜20内の裂傷である。裂傷30は、自然に又はいくつかの異なる医学的関与によって引き起こされる場合がある。裂傷30は、第1の側32及び第2の側34を有する。裂傷30は、第1の点から第2の点まで軸線に沿って延びる。欠陥30の形状は変化する場合があり、
図1A及び
図1Bは例示的な目的で提供されることは本発明の開示に精通する当業者には理解されるであろう。硬膜20の裂傷30は、硬膜の下の層、すなわち、くも膜及び軟膜を露出する。これらの副層は、その外面を指定する参照番号42及び40によって示されている。裂傷に近接する硬膜の外面は、参照番号22によって示されている。裂傷に近接する硬膜の内面は、参照番号24によって示されている。本発明は硬膜裂傷の修復に関して開示するが、本発明はこれに関して限定されないことは当業者には理解されるであろう。本発明によるインプラントは、静脈及び動脈の欠陥の修復にも使用される場合がある。
【0041】
図2A-
図2Cは、本発明の実施形態による外科インプラント200を示している。外科インプラント200は、第1の層220、第2の層240、及び第1の層と第2の層の間に配置された第3の層260を有する。第1の層220は、第3の層260を超えて延びる周囲230を有する。底層240は、第3の層260を超えて延びる周囲250を有する。
【0042】
第1の層220は、上面222及び底面224を有する。第1の層220は可撓性である。第1の層220は平面内を延びる。第1の層220は、上面222と底面224の間に縁部226を有する。縁部226は、第1の層220の周囲230に沿って延びる。
図2Bを参照すると、第1の層220の周囲230は、平坦面内で楕円を定める。本発明は、この点に関して限定されないことを理解しなければならない。例えば、第1の層220は、円形、矩形、又は組織内の欠陥に対処するのに有用であるあらゆる他の形状を形成することができる。本発明の一部の実施形態では、外科インプラントの層は、外科医が適切なサイズを選択して特定の欠陥に使用することを可能にするように複数の異なるサイズで提供される。本発明の更に他の実施形態では、層は、層をその使用前に切り取ることによって特定の欠陥に対してカスタマイズすることができる標準サイズで提供される。
【0043】
第1の層220は、第1の層の周囲230から遠隔の内側部分を有する。内側部分及びその区域は、本発明の異なる実施形態では変化する場合がある。
図3Bに示す実施形態を参照すると、第1の層の内側部分は、隠線によって示されている。第1の層220は、第1の層220の周囲230と第1の層の内側部分との間に外側部分を有する。一部の実施形態では、外側部分は、第1の層220の平面内で楕円形環帯を定め、環帯の外側範囲は周囲230である。環帯の内側区域は、第1の層220の内側部分である。
【0044】
第2の層240は、上面242及び底面244を有する。第2の層240は可撓性である。第2の層240は平面内を延びる。第2の層240は、上面242と底面244の間に縁部246を有する。縁部246は、第2の層240の周囲250に沿って延びる。
図2Bを参照すると、第2の層240の周囲250は、平坦面内で楕円を定める。本発明は、この点に関して限定されないことを理解しなければならない。例えば、第2の層は、円形、矩形、又は組織内の欠陥に対処するのに有用であるあらゆる他の形状を形成することができる。本発明の一部の実施形態では、外科インプラントの層は、外科医が適切なサイズを選択して特定の欠陥に使用することを可能にするように複数の異なるサイズで提供される。本発明の更に他の実施形態では、層は、層をその使用前に切り取ることによって特定の欠陥にカスタマイズすることができる標準サイズで提供される。
【0045】
第2の層240は、第2の層の周囲250から遠隔の内側部分を有する。内側部分及びその区域は、本発明の異なる実施形態では変化する場合がある。第2の層240は、第2の層240の周囲250と第2の層の内側部分との間に外側部分を有する。一部の実施形態では、外側部分は、第2の層220の平面内に楕円形環帯を定め、環帯の外側範囲は周囲250である。環帯の内側区域は、第2の層220の内側部分である。
【0046】
第1の層220のその内側の部分に近接する底面224は、第1の層の内側部分が第2の層の内側部分に対して固定され、第1の層の外側部分が第2の層の外側部分に対して移動可能であるように、第2の層240のその内側部分に近接する上面242に接続される。
図2A-2Cに開示する実施形態では、第1の層220と第2の層の間の接続部は、第3の層260を含む。第3の層260は、可撓性かつ平面である。
図2A-
図2Cに開示する実施形態では、第3の層260の区域は、第1の層220の内側部分の区域及び第2の層240の内側部分の区域と範囲が同等である。第1の層220のその内側部分に近接する底面224は、第3の層260の上面に接続される。第2の層240のその内側部分に近接する上面242は、第3の層260の底面に接続される。
【0047】
図2A-
図2Cを参照すると、第1の層220及び第2の層240の外側部分は、第1の層220と第2の層240の間の接続部の範囲を越えて延びる。このようにして、第1の層220の外側部分及び第2の層240の外側部分は、層の可撓性の性質に起因して互いに対して移動可能である。同時に、第1の層220の内側部分及び第2の層240の内側部分は、互いに対して固定される。本発明者は、この構成が組織の欠陥への外科インプラントの適用をサポートすることを見出している。
【0048】
各層は、各々が異なる組織又は材料特性(密度、可撓性、又は多孔性のような)を有する異なる材料で作ることができ、又は各層は、ターゲット修復組織の内側及び外側の異なる環境に固有の治癒の異なるタスクを実行するように異なる物質で染み込ませる又は含浸させることができる。これに加えて、内側及び外側の層は、サイズ、形状、又は厚みが同一である又はそうでない場合がある。
【0049】
多数の材料が層を形成することは公知である。選択された材料は、硬膜の連続性を回復すべきであり、感染を最小にしながらCSF漏出を防ぎ、縫合を容易にし、自然な硬膜の柔軟性を模倣し、局所組織の炎症を最小にし、かつ細胞及び血管系の浸潤を容易にして繊維症又は接着を誘導することなく自然な硬膜を再建する。例は、以下に限定されないが、自己グラフト、同種グラフト、異種グラフト、及び非生物学的合成材料である。自家移植の頭蓋骨膜、ウシの心膜、死体の硬膜、自家移植の大腿筋膜、筋肉のような硬膜代用品は、頭蓋手術で広く使用されているが、脊椎手術は、一般的に動物由来又は合成代用品を使用することに依存している。一部の例は、以下に限定されないが、Durasis、DuraGen又はDuraMatrix、Durepair、DuraGuard、Alloderm、Preclude、及びNeuro-Patchを含む。更に、Surgicelは、一部の硬膜修復を増強するのに時々使用される。
【0050】
層材料は、コラーゲンベースの異種グラフト、すなわち、DuraGen、DuraMatrix、及びDurepairを含む。DuraGen(Integra Neuroscience,Plainsboro,NJ)及びDuraMatrix(Stryker,Kalamazoo,MI)は、ウシのアキレス腱から作られたタイプIのコラーゲン母材から構成される合成代用品である。DuraGenは、DuraMatrixよりも20%大きい適合性を有し、一方でDuraMatrixは、DuraGenよりも50倍低い液体透過率を有する。DuraGenは、脊椎手術の硬膜代用品として恐らく現在最も広く使用されている。DuraGenの多孔性は、血小板が母材に浸透し、フィブリン塊形成を促進し、並びに繊維芽細胞が、天然コラーゲン繊維に入って横たわってCSF漏出を防ぎ、かつ硬膜修復処置を開始することを可能にする。人間では、移植されたDuraGenは、1年以内に(多くの場合、より早期に)完全に再吸収されて浸透維芽細胞から生じる宿主のコラーゲンによって置換される。本発明は、これに関して限定されず、他の生体適合性物質も本発明により使用されることは当業者には理解されなければならない。追加の材料又は層を必要に応じて生成物の耐久性又は剛性を高めるために外科インプラントに追加することができることも理解しなければならない。
【0051】
層220、240、260を物理的に接合するための技術の例は、押圧、真空の有無に関わらずオーブン内でのような加熱、加熱要素又は加熱空気への材料の露出、又は超音波によるスポット溶接を含む。層は、コラーゲン材料の処理中に接合することができる。本発明の一部の実施形態では、層は、縫合糸を使用して接合することができる。このようにして、層状インプラントは、外科医によって調製することができる。本発明の一部の実施形態では、外科インプラントは、周囲に沿ってその後に切開を受けるコラーゲンのような生成物の均一層から形成され、それによってそれぞれのセクション、すなわち、外科インプラントの層を定める。本発明の一部の実施形態では、層の内側部分は、接着剤又はシーラントで接続される。本発明の開示に従って層を接着するあらゆる公知の方法を使用することができ、本発明は、この点に関して限定されないことを理解しなければならない。
【0052】
図3A-
図3Cを参照すると、第1の層320が第2の層340に直接に接続される本発明の実施形態300が示されている。第1の層320は、上面322及び底面324を有する。第1の層320は可撓性である。第1の層320は平面内を延びる。第1の層320は、上面322と底面324の間に縁部326を有する。縁部326は、第1の層の周囲330に沿って延びる。
図3Cを参照すると、第1の層320の周囲330は、平坦面内で楕円を定める。本発明は、これに関して限定されないことを理解しなければならない。例えば、第1の層320は、円形、矩形、又は組織内の欠陥に対処するのに有用であるあらゆる他の形状を形成することができる。本発明の一部の実施形態では、外科インプラントの層は、外科医が適切なサイズを選択して特定の欠陥に使用することを可能にするように複数の異なるサイズで提供される。本発明の更に他の実施形態では、層は、層をその使用前に切り取ることによって特定の欠陥にカスタマイズすることができる標準サイズで提供される。
【0053】
第1の層320は、第1の層の周囲330から遠隔の内側部分323を有する。内側部分及びその区域は、本発明の異なる実施形態では変化する場合がある。第1の層320は、第1の層320の周囲330と第1の層の内側部分323の間に外側部分325を有する。一部の実施形態では、外側部分325は、第1の層320の平面に楕円形環帯を形成し、環帯の外側範囲は周囲330である。環帯の内側区域は、第1の層320の内側部分323である。
【0054】
第2の層340は、上面342及び底面344を有する。第2の層340は可撓性である。第2の層340は平面内を延びる。第2の層340は、上面342と底面344の間に縁部346を有する。縁部346は、第2の層340の周囲350に沿って延びる。
図2Bを参照すると、第2の層340の周囲350は、平坦面内で楕円を定める。本発明は、この点に関して限定されないことを理解しなければならない。例えば、第2の層は、円形、矩形、又は組織内の欠陥に対処するのに有用であるあらゆる他の形状を形成することができる。本発明の一部の実施形態では、外科インプラントの層は、外科医が適切なサイズを選択して特定の欠陥に使用することを可能にするように複数の異なるサイズで提供される。本発明の更に他の実施形態では、層は、層をその使用前に切り取ることによって特定の欠陥にカスタマイズすることができる標準サイズで提供される。
【0055】
第2の層340は、第2の層の周囲350から遠隔の内側部分を有する。内側部分及びその区域は、本発明の異なる実施形態では変化する場合がある。第2の層340は、第2の層340の周囲350と第2の層の内側部分との間に外側部分を有する。一部の実施形態では、外側部分は、第2の層320の平面に楕円形環帯を形成し、環帯の外側範囲は周囲350である。環帯の内側区域は、第2の層320の内側部分である。
【0056】
第1の層320のその内側の部分に近接する底面324は、第1の層の内側部分が第2の層の内側部分に対して固定され、かつ第1の層の外側部分が第2の層の外側部分に対して移動可能であるように、第2の層340のその内側部分に近接する上面342に接続される。
図3A-
図3Cに開示する実施形態では、第1の層320は、第2の層に直接隣接している。
【0057】
図3A-
図3Cを参照すると、第1の層320及び第2の層340の外側部分は、第1の層320と第2の層340の間の接続部の範囲を越えて延びる。このようにして、第1の層320の外側部分及び第2の層340の外側部分は、層の可撓性の性質に起因して互いに対して移動可能である。同時に、第1の層320の内側部分及び第2の層340の内側部分は、互いに対して固定される。本発明者は、この構成が組織の欠陥への外科インプラントの適用をサポートすることを見出している。
【0058】
図4Aは、弛緩状態にある外科インプラント200の実施形態を示している。展開状態とも呼ばれる弛緩状態では、第1の層220及び第2の層240は、実質的に互いに平行である。本発明の一実施形態では、第2の層240は、外力が第2の層240に印加されない時に弛緩状態に戻ることができる。
【0059】
本発明の一実施形態では、第2の層220は、その外側部分に複数の孔261を含む。孔261は、第2の層240の周囲に沿って延びる。外科用の糸260は、外科用の糸260の長さが外科インプラントの周囲に沿って延びるように孔261を通じて受け入れられる。本発明の一部の実施形態では、外科用の糸は溶解可能である。このようにして、第2の層240は、引込み位置と拡張位置の間で付勢可能である。
図4B、
図5Bで部分的に示して
図6により完全に示す引込み位置では、第2の層240のその周囲の周りの縁部は、第2の層240の内側部分の下に一緒に引き込まれ、それによって欠陥を通した第2の層240の受け入れを容易にする。開示する実施形態では、引込み位置は、外科用の糸を引張することによって達成することができる。拡張位置は、
図4A、
図5A、
図7、
図8A-B、及び
図9A-
図9Bに示されている。拡張位置では、第2の層240は欠陥にほぼ平行な平面内を延びる。用語ほぼ平行は、自然に硬膜の面が例えば脊柱に垂直な平面に凸面の弓形面を有することを示すのに使用される。第2の層240は、欠陥に対してそれがこの面と位置合わせされた時にほぼ平行である。
【0060】
孔161は、孔を通して縫合糸又は他のデバイスを誘導するために層全体3又は開始孔のみを通る場合がある。本発明の一部の目的では、孔は、縫合糸、針、又は他の物体が第2の層を通過した後まで定位置にない場合がある。孔161は、第2の層240の周囲に沿って散乱する場合がある。本発明の1つの目的では、各孔は、第2の層240の縁部から離れる方向に同じ長さとすることができる。別の目的では、孔は、第2の層を通してよりランダムに散乱する場合がある。本発明の1つの目的では、孔161は、上述のように第2の層240を締め付けるのに使用される。
【0061】
図4B、
図5B、及び
図5は、第2の層240が引張状態にあるように第2の層の孔161を通して縫われた縫合糸160を示している。縫合線160が締め付けられると、第2の層全体は、中心に締め付けられる。図に示すように、第2の層の有効な周囲は、縫合糸160がいかに緊張して引かれたかに基づいて短縮されている。
【0062】
開示する実施形態では、上層と底層の間の接続の区域は、組織内の欠陥の区域よりも小さい。このようにして第2の層240を引込ませることにより、本発明は、欠陥内に大きい区域を有する第2の層が欠陥によって定められた開口を通して受け入れられることを可能にする。第2の層240が欠陥30の下に受け入れられた後に、第2の層は、外科用の糸に対する緊張を解除することによって拡張状態に付勢される。
図6を参照すると、欠陥の中にインプラントを挿入する方法が示されており、第2の層は、引込み構成にある。この実施形態は、第2の層240の位置を付勢する外科用の糸160と共に示されているが、本発明は、この点に関して限定されない。例えば、第2の層は、欠陥の中へのその受け入れを容易にするように折り重ねることができる。第2の層220は、その後に、手術機器及びそれによってインプラント及び隣接組織に付与される力を使用して実質的に展開することができる。
図7を参照すると、インプラントは、第2の層220の外側部分が拡張された構成の方向に付勢されて示されている。本発明の一部の実施形態では、外科用の糸が第2の層240から引っ張られると、第2の層の自然適合性質は、第2の層が欠陥の底壁に対してその元の形状に拡張して戻ることを可能にすることになる。修復されている構造の形状に応じて、第2の層は、修復されている組織の下側に対して完全な弛緩状態又は弛緩状態と類似の状態に入ることができる。
【0063】
当業者によって理解されるように、締め付けることができる周囲の量は、使用される材料の構造的一体性、並びに底層の縁部からの孔の距離、並びに印加される引張に依存することになる。
【0064】
図8A及び
図8Bを参照すると、外科インプラントは、硬膜内の欠陥30内に展開されて示されている。第1の層220の区域は、欠陥30の区域よりも大きい。第2の層240の区域は、欠陥の区域よりも大きい。このようにして、欠陥30の両側32、34に近接する硬膜の部分は、第1の層及び第2の層の外側部分に近接する第1の層220と第2の層240の間に受け入れられる。この構成は、例えば、
図8Bに示す断面図を参照して示されている。このようにして、本発明者は、本発明による外科インプラントが外科インプラント220を着用した欠陥からのCSFの漏出を抑制することを見出している。第1の層のその外側部分に近接する底面224は、外科インプラント200が欠陥に受け入れられた時に、脊髄硬膜20のそこにある欠陥30に近接する外面に隣接する。第2の層240のその外側部分に近接する上面は、外科インプラントが欠陥に受け入れられた時に、脊髄硬膜20のそこにある欠陥に近接する内面に隣接する。
【0065】
図9A及び
図9Bを参照すると、外科インプラントが縫合糸170を通して硬膜に接続された本発明の更に別の実施形態が示されている。縫合段階は、
図9A及び
図9Bに開示する実施形態との関連で示されているが、本発明は、この点に関して限定されないことを理解しなければならない。例えば、本発明の一部の実施形態では、外科インプラントは、圧力及び摩擦を通して欠陥に保持される。
図9A-
図9Bに開示する実施形態では、インプラント220の第1の層220の外側部分は、第1の層220の外側部分と欠陥30に近接する脊髄硬膜との間で縫合糸を用いて脊髄硬膜に対して固定される。本発明者は、
図9Bに示すような硬膜の下の第2の層240が、その浸透を抑制することによって縫合及び関連の機器から硬膜下層に生じた損傷を抑制するように機能することを見出している。これは、回復の改善及びCSF漏出の抑制をもたらす。第1の層に対する第2の層の区域は変化する場合があることを理解しなければならない。この実施形態では、第2の層の縁部は、第2の層の外側部分が第1の層の外側部分の縫合から生じる硬膜の下のくも膜及び硬膜への損傷を抑制するように、外科インプラントが脊髄硬膜内の欠陥に受け入れられた時に少なくとも第1の層の縁部まで延びる。
【0066】
縫合糸は、外科インプラント200を定位置に保ち、従って、硬膜又は血管は、パッチの上で治癒することができる。本発明の1つの目的では、インプラントは、血液及び血漿がコラーゲン母材に接着することができるようにコラーゲンで作ることができる。本発明の一部の実施形態では、コラーゲン母材は、約6~8週間で組織に再吸収されて一体化されることになる。これは、欠陥を修復する成功裏のグラフトを形成する。
【0067】
縫合糸は、第1の層220を通して及び硬膜を通してループになる。本発明の一実施形態では、粘着性、糊、又はシーラント、又は他に硬膜又は治癒に対する接着を促進する一部のテクスチャを適用することができる。そのような実施形態では、底層3は、それが傷の周囲を超えて周囲まで拡張した時に硬膜パッチの除去に対する抵抗を引き起こす場合がある。
【0068】
本発明は、当業技術で公知のあらゆる縫合材料を使用することができる。硬膜を修復するのに脊椎外科医によって使用される4つの例は、Nurolon(登録商標)(Ethicon,Inc.,Sommerville,NJ)、Prolene(登録商標)(Ethicon,Inc.,Sommerville,NJ)、Gore-Tex(登録商標)(W.L.Gore&Associates,Inc.,Flagstaff,Arizona)、及びSilkである。Nurolonは、Nylon6又はNylon6,6の長鎖脂肪族ポリマーから構成される非吸収性の編組縫合糸である。1年で81%、2年で72%、及び11年で66%の引張強度を有することは注目され、最小限の急性炎症反応を引き出す。Proleneは、ポリプロピレン、合成線状ポリオレフィンのイソタクチック結晶性立体異性体から構成される非吸収性モノフィラメント縫合糸である。この材料は組織に接着せず、生物学的に不活性であり、かつ最小の組織反応を引き出して2年間までにわたって引張強度を維持する。Core-Tex縫合糸は、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で作られた微多孔性の非吸収性モノフィラメントであり、その固有の構造は、糸の直径に近似する針の取り付けを可能にし、従って、針孔全体を充填し、従って、縫合部位でCSF漏出を低減すると考えられる。最終的に、シルク縫合糸は、カイコによって紡がれた生糸で作られ、非吸収性に分類されるが、絹構造は、タンパク質分解によって吸収されるようになり、多くの場合に2年で創傷部位で検出不能である。いくつかの例をここに提供するが、本発明の開示は、この点に関して限定されない。説明する例は、外科インプラントの第2の層を付勢するのに使用される場合もある。
【0069】
本発明の開示は、図面に示す例示的実施形態を参照して本発明の態様を説明するものであるが、本発明の態様は、図面に示す例示的実施形態に限定されない。本発明の態様は、より多くの実施形態を含むことが当業者には明らかであろう。従って、本発明の態様は、図面に示す例示的実施形態の観点からは制限されないものとする。変形及び修正は、本発明の開示の真の範囲から逸脱することなく行うことができることが当業者には同じく明らかであろう。例えば、一部の事例では、一実施形態に関連して開示した1又は2以上の特徴は、単独で又は1又は2以上の他の実施形態の1又は2以上の特徴と組み合わせて使用することができる。
【外国語明細書】