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特開2022-64880重なり合うボンドワイヤのループ高さの測定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064880
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】重なり合うボンドワイヤのループ高さの測定
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
H01L21/60 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021169139
(22)【出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10202010193R
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】521453378
【氏名又は名称】イメージ イクイップメント プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EMAGE EQUIPMENT PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ソン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルトプラホフ ビクトル
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044AA02
5F044AA18
5F044BB00
5F044DD00
5F044DD20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重なり合うボンドワイヤのループ高さの測定ができる装置及び方法を提供する。
【解決手段】ダイ或いはプラスチック又はシリコン材料で作られた基板20上に適切に積層された複数のダイ25及び30を有するシリコンチップのパッドと基板のパッドとを相互接続する重なり合うボンディングされたワイヤのループ高さを測定するための装置及び方法であって、さまざまな合焦平面Z1~Znにおいて、重なり合うボンドワイヤを含むボンドワイヤ40、42、44、46、52、54、56の複数の点に合焦するステップと、所定の合焦点の各々においてボンドワイヤの画像を取り込むステップと、基準面に対するワイヤの各点の高さを計算するステップと、X、Y及びZ座標を使用して高さデータを表にするステップを行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多積層ダイまたは同様の物品上にボンディングされたワイヤのZ高さおよびプロファイルを検査するための装置であって、
高分解能のエンコーダに結合したX、Y、およびZ軸において移動することができる手段に取り付けられ、異なる平面におけるボンディングワイヤ上の合焦点の画像ならびに前記合焦点のそれぞれのX、Y、およびZ位置を取り込む撮像装置であって、所定の焦点深度を有するレンズに光学的に結合している撮像装置と、
照明されたボンディングされたワイヤの画像の取り込みを可能にして、密接して位置するボンディングされたワイヤの画像ノイズを排除するために、所定の角度を有しているストロボ照明手段と、
検査対象の物体を照明して、バックライト画像の取り込みを可能にするために、台座に取り付けられた第2の照明手段と
を備える装置。
【請求項2】
前記撮像装置によって眺められる関心領域の背後に暗領域を生成する第3の照明手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像取り込み装置に結合した高速な合焦を可能にするための液体レンズをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
2つ以上の積層された半導体チップのパッドと基板のパッドとの間にボンディングされたワイヤのZ高さおよびプロファイルを測定するための方法であって、
画像取り込みシステムをX、Y、およびZ方向に移動させて、前記ボンディングされたワイヤ上の予め設定された複数の点へと前記画像取り込みシステムの焦点を合わせるステップと、
ストロボ照明を使用して、複数のZ軸平面において、前記所望のボンディングワイヤ上の前記複数の点の画像を取り込むステップと、
前記一組のボンディングワイヤ上の各点のエンコーダ位置を読み取り、それらのそれぞれのX、Y、およびZ点を表にするステップと、
積層ダイ半導体チップの全体を巡って前記ボンディングワイヤの前記表にされたすべての点の高さおよび横変位を計算し、各点をそれらの隣接する点へと線形補間して、すべてのボンディングワイヤの角度プロファイルを形成するステップと、
前記表にされた点を使用して3Dグラフをプロットするステップと、
前記3Dグラフを分析して、X、Y、またはZ位置において密接に近接するボンディングワイヤを検出し、予め設定されたパラメータと比較して、前記ボンディングされた多積層ダイを不合格または合格にするステップと、
その結果および分析されたパラメータを外部インターフェースへと通信するステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記3Dグラフを分析して、前記共通のボンディング平面が前記ボンディングワイヤの両端において同じであると判断するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップのパッドとプラスチック基板(例えば、BGA基板)または金属基板(例えば、リードフレーム)であってよい基板のパッドとの間のボンディングされたワイヤの高さ、その後のボンディングプロファイルを決定するためのループ高さ検査装置に関する。本発明は、密接に重なり合うボンディングワイヤを含むボンディングワイヤループのプロファイルを決定するためにとくに有用であるが、これに限られるわけではない。
【背景技術】
【0002】
ワイヤボンディングは、半導体組立プロセスにおいて、半導体チップと基板(リードフレームおよびプリント回路基板など)との間の電気的相互接続を形成する手段として使用される。金、アルミニウム、および銅から作られたワイヤが、一般的に使用される。相互接続プロセスは自動化されており、ボンディングされたワイヤが、隣接する電気接続パッドの間で最小限の高さ、長さ、および距離を含む特定のプロファイルを維持することを保証することが重要である。ワイヤボンディングの高さは、一般に、ループ高さと呼ばれる。ボンドワイヤのループの最高点が、シリコンチップおよびその周囲の接続部の領域を封止して覆うプラスチック成形体の厚さを決定する際に主要な役割を果たす。したがって、シリコンチップの周囲のすべてのボンディングワイヤについて正確な高さを維持するだけでなく、ボンディングワイヤのループの高さを可能な限り低くなるように最小化することで、薄くて軽量なパッケージの実現を助け、したがってさまざまな種類のスリムなガジェットの設計を助けることも重要である。例えば、スリムな携帯電話機、医療機器、宇宙探査衛星、などである。
【0003】
バックエンドの半導体技術および技法の改善により、細いワイヤによる低いループ高さのワイヤボンディングが可能である。シリコンチップの相互接続パッドの高密度および種々の他の要因ゆえに、機械によって生成されるワイヤボンディングのループが、ときには最適なプログラムされたループ高さよりもわずかに低く、または高くなることが一般的である。相互接続パッドの密度は、複数の積み重ねられたダイを含む最新の設計においてさらに増加している。そのような場合、ワイヤボンディングプロセスは、性能に影響を与えることなく、より多くのワイヤを収容するために、複数の高さでワイヤボンディングを実行するようにプログラムされる。このような状況は、高密度のメモリの設計において一般的である。そのような設計におけるループ高さの誤差の検出は、ボンドワイヤが重なり合って密に配置されているがゆえに、きわめて複雑である。先行技術は、そのような状況におけるループ高さの測定を開示していない。
【0004】
ワイヤループの高さを測定するために先行技術において使用されるさまざまな方法が存在する。一例は、「ワイヤループの高さ測定装置および方法(Wire loop height measurement apparatus and Method)」に関する米国特許第7,145,162号明細書である。この開示においては、ワイヤループから入射する反射光を、入射光に対するずれを測定する高さゲージに結合させて、高さを計算している。この装置および方法は、頻繁な較正を必要とし、かさばっており、制御および設定が面倒である。さらに、装置のコストが高いため、設計が複雑になり、拡張が困難である。精度および信頼性を向上させるために、より高い分解能の高さゲージを使用しなければならず、それらの再構成が柔軟性を欠くことになる。
【0005】
先行技術の別の例は、「ボンディングワイヤの検出方法(Bonding Wire Detection Method)」に関する米国特許第5,576,828号明細書である。この開示においては、半導体チップとリードフレームとの間にボンディングされたワイヤの高さが、低角度の照明装置を用いて決定される。照明の角度は、一定の範囲内に設定され、光学装置の焦点深度は、浅くなるように設計されている。光学系の焦点において、ワイヤの中央部分に暗部が現れる。光学装置は、光学系の高さに対するワイヤの高さを決定するために、暗部の合焦画像を得るように上下に動かされ、単一平面のボンディングワイヤに適用される。この考え方は、重なり合うボンドワイヤには適用不可能である。この装置における別の問題は、撮像システムがかさばり、検査の速度が低下することである。
【0006】
上述の先行技術において、ワイヤループの高さは、単一の平面上のボンディングされたワイヤのプロファイルについて測定される。ますます複雑になるシリコンチップの設計に適合するように、ワイヤボンディングの密度が増加し、ボンディングワイヤが互いに重なり合うにつれて、2つ以上の平面において生じるボンディングされたワイヤのループ高さを測定する必要性が業界において存在する。先行技術は、この必要性に対処していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,145,162号明細書
【特許文献2】米国特許第5,576,828号明細書
【発明の概要】
【0008】
そこで、本発明の目的は、単一の平面またはボンディングワイヤの重なり合いに起因する複数の平面においてボンドワイヤのループ高さを確実に測定することができるボンディングワイヤ検査方法を提供することである。以下の説明において「X、Y、およびZ座標」と「データ点」とが互換的に使用されることに留意することが重要である。
【0009】
本発明の目的は、半導体チップのパッドとリードフレームまたは基板のリードとの間にボンディングされたワイヤを検査する独自の方法であって、最初に光学手段の焦点がボンディングされたワイヤである検査の対象の所望の地点へともたらされ、次いで視覚システムに一体化されたX、Y、およびZモータを使用して、最良の合焦平面、すなわち点P1、Pi、およびPnにおけるZ1、Zi、およびZnにおいて複数の画像が取り込まれる、方法によって達成され、ここで1≦i≦nである。ボンドワイヤに沿った各点Pi(1≦i≦n)は、最良の合焦平面座標(Xi(幅)、Yi(長さ)、Zi(高さ))を有し、ここで位置Ziは、Zモータのエンコーダから読み取られ、座標(Xi、Yi)は、視野(FOV)内のシリコンチップの全体の処理された画像から計算され、シリコンチップがFOVよりも大きい場合には、水平X位置および水平Y位置に関するより細かくてより正確な位置座標が、XおよびYモータエンコーダからさらに取得される。したがって、実際には、FOVよりも大きいシリコンチップに関しては、正確なXおよびY位置に到達するために2つの位置座標が各々のPi(ボンドワイヤ上の点)について組み合わせられ、一方の位置座標は、シリコンチップの全体の処理された画像によって決定されるエンコーダからのXおよびY位置であり、第2の位置座標は、シリコンチップのより小さい領域の画像の処理後にエンコーダからのXおよびY位置から読み取られる位置である。この方法は、きわめて高い精度および一貫性で関心点の位置を特定することを可能にする。続いて、X、Y、およびZ座標は表にされ、グラフ上にプロットされる。このプロセスが、Z方向に複数の平面について繰り返され、異なる平面内の1つ1つのボンディングされたワイヤごとの複数の表およびグラフが生成される。
【0010】
本発明の別の目的は、半導体チップのパッドならびにリードフレームまたは基板のリードにボンディングされたワイヤが、光学システムを介して撮像装置を使用してワイヤの画像を取り込むために、所定の角度、好ましくは小さい角度を有する照明手段によってワイヤを照明することによって検出されるワイヤ検出方法を使用して達成され、本発明によって採用される独特なやり方は、光学システムの所定の焦点深度をきわめて小さくなるように設定して、低角度の照明手段によってワイヤを照明することで、背景に暗領域を生成して、焦点にあるボンドワイヤの周囲のすべての背景ノイズまたは情報を排除し、正確かつ一貫した高さの測定を可能にすることである。
【0011】
本発明の別の目的は、シリコンチップ位置決め台座をエンコーダ付きの別のモータ(図示せず)と一体化して、より迅速な合焦と、必要であればより精密な配置のために、異なる高さに位置させることを可能にすることによって達成される。シリコンチップ台座を、長さおよび幅をきわめて高い正確性および再現性で測定するためにシリコンチップのバックライト画像を取得すべく必要に応じて利用することができるバックライト付きの第2の照明モジュール(図示せず)と一体化させることができる。これは、とりわけ積層ダイ設計の場合におけるエポキシオーバーフローまたはエッジにおけるチップ損傷などの欠陥の検出にも役立つことができる。
【0012】
本発明の別の目的は、別のボンドワイヤの下方に位置したボンドワイヤが、ループのプロファイルおよびボンドワイヤループの最高点を確実に計算するためにボンドワイヤ上の関連の点のX、Y、およびZ座標を補間することによって下方の照明されたボンドワイヤの経路をトレースすることによって検出されるワイヤ検出方法を使用して達成される。これは、重なり合うボンドワイヤによって遮られるすべてのボンドワイヤに当てはまる。本発明のこの重要な特徴は、ボンドワイヤが積層ダイの周りの複数の平面にわたって異なる点で互いに交差する積層ダイシリコンチップにとってとくに重要である。
【0013】
本発明の別の目的は、ボンドワイヤのプロファイルの測定の速度が、基板パッドおよびダイ上のボンドパッドにおける相互接続、中間点領域、およびボンディングワイヤの最高点の周りの領域などの重要な領域においてボンドワイヤのより多くのデータ点を検出および測定することによって高められるワイヤ検出方法を使用して達成される。複数のボンドワイヤプロファイルが、X、Y、およびZ座標を使用してプロットされ、基準面からの最高点は、ボンドワイヤごとの高さに到達するように選択される。基準面は、基板または第1のダイが搭載される表面の平面である。ボンドワイヤの非重要領域が測定の際に除外されるため、ボンドワイヤ高さを測定する速度が、とりわけボンドワイヤがより長い場合に、ボンドプロファイルの測定に影響を及ぼすことなく何倍も向上する。
【0014】
照明されたボンディングされたワイヤの合焦画像とボンディングされたワイヤの実際の高さとの間に一定の関係が存在することが、実験から示されている。したがって、比較的高いコントラストで鮮明な合焦画像を検出し、関心領域の周りの他の不明瞭な画像と比較することで、ワイヤの特定の点の高さを、より高速で容易かつ確実に測定することができる。ボンドワイヤのプロファイルを生成するためのデータ点の検出に適用される手法のいくつかは、これらに限られるわけではないが、統合された合焦および非合焦の分析、空間分析、内挿/外挿マッピングを含む。分析方法の詳細は、本発明の範囲外であるため、説明されない。
【0015】
以下で、本発明を、本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照することによって、さらに詳細に説明することが好都合であろう。図面および関連の説明の詳細事項を、特許請求の範囲に定義される本発明の広範な識別の一般性を奪うものと理解してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
次に、本発明による方法および装置の一例を、添付の図面を参照して説明する。
図1】カメラ、照明、光学系、ならびにX、Y、およびZ位置決め機構を備える画像取得システムの図である。
図2】シリコンダイが積層された基板の等角図であり、ダイと基板との間に形成されたループ状のワイヤボンディングの二重の層を示している。
図3図2の領域A1の拡大等角図であり、基板と積層されたダイとの間のボンドワイヤを示している。
図4】2つのボンドワイヤのループプロファイルを説明するための図3の側面図である。
図5図3における相互接続のボンドワイヤプロファイルをプロットした三次元図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下で、添付の図面を説明するときに、ボンドワイヤ、ボンディングワイヤ、相互接続ワイヤ、および相互接続は、互換的に使用される。より分かりやすくするために、異なる図面において、同一または類似の部材および部品には同じ参照番号が与えられていることに、留意することが重要である。
【0018】
図1に示されるように、撮像システムは、照明モジュール12に一体化された光学レンズ10が適切に取り付けられた撮像装置8を備える。XYポジショナ16が、X軸およびY軸における画像取得システムの位置決めを可能にし、Z軸における撮像システムの上下移動18を可能にするためにZポジショナ14に一体化され、あるいは逆も可能である。XYZポジショナを、シリコンチップの全体にわたってボンドワイヤの最大合焦画像を達成すべく迅速な位置決めを可能にするように同期して動作させることができることに留意されたい。撮像システムは、ボンドワイヤおよびシリコンチップ基板の材料特性に適合するように、輝度、ストロボパルス幅、照明のさまざまな波長、および照明角度などの異なる照明条件下で、異なる位置における高解像度画像を取り込むことができる。光学システムは、関心領域(AOI)を歪める可能性がある背景画像ノイズを除去するために、きわめて浅い焦点深度用に設計されている。光学システム12は、複数のレンズを用いて設計されてもよく、あるいはアセンブリにおける機械的な可動部品を最小限にし、結果として画像の取り込みの速度を高めて、検査時間の短縮をもたらすべく、複数のZ軸平面における高速な合焦を可能にするために液体レンズと一体化されてもよい。
【0019】
図2に、ダイあるいはプラスチックまたはシリコン材料で作られた基板であってよい20上に適切に積層された複数のダイ25および30を有するシリコンチップの等角図が示されている。シリコンチップを保持する固定具が、きわめて正確なZ軸における上下移動のために、エンコーダと一体化された適切な位置決め機構に一体化されてもよい。図1の撮像システムによる暗視野画像の取り込みを可能にするために、保持固定具(図示せず)を、第2の照明手段を使用してバックライト照明をもたらすように適切に設計することができる。各々のダイ20、25、および30上のパッドは、マルチチップのシリコンチップのさまざまな点およびさまざまな平面において互いに重なって生じてよく、あるいは(上方から見て)互いに交差して生じてよい一連のボンディングワイヤによって互いに相互接続される。本発明は、一例として、領域A1(視野またはFOV)にとくに関連する。ボンディングワイヤは、第1のダイまたは基板20の表面である基準面と、第2のダイ25の上面と、第2のダイ30の上面との間で相互接続される。
【0020】
図3の図が、図2の領域A1の拡大図である。領域A1内のボンディングされたワイヤは、ダイ20、25、および30上の導電パッドを相互接続する40、42、44、46、52、54、および56である。Z1とZnとの間の位置が、Z軸において画像が取り込まれる位置である。ボンドワイヤプロファイルの分析時間を最小化し、高速な検査をもたらすために、ボンドワイヤの座標が2つの近隣の点または座標間の補間によって決定されるボンドワイヤの領域に応じて、種々の位置の間のギャップをプログラムすることができる。Znは、ボンドワイヤプロファイルの分析を実行する前に分析されるべき最大合焦平面の数を決定するプログラム可能な数である。決定すべき位置点または座標の数が多いほど、検査時間が長くなり、検査速度が遅くなるという事実を、当業者であれば、理解できるであろう。これは、X、Y、およびZ座標の数が多いほど、ボンドワイヤプロファイルがより正確でより滑らかになることも意味する。
【0021】
図4には、図3のシリコンチップの一部分の側面斜視図が示されている。典型的なボンドワイヤのループの構成が、一例として、ボンドワイヤ46および55、ならびにダイ20、25、および30のパッド間のそれらのそれぞれの相互接続に示されている。ボンドワイヤ46は、48におけるボールボンドおよびステッチ62によって、ダイ25および20のパッド間に相互接続されている。ボンドワイヤ55は、58におけるボールボンドおよびステッチ60によって、ダイ30および20のパッド間に相互接続されている。55および46と同様のボンドワイヤが、接触することなく互いに重なり合い、あるいは交差する場合があり得ることに、留意することが重要である。ワイヤ42、44、および54の交差が、図3に示されている。分かりやすくする目的で、図4には2つのボンドワイヤ55および46のみが示されている。ボンドワイヤ55および46の各々の特有のプロファイル、ならびにそれらのそれぞれの最高点66および68は、品質管理担当者がさらなる処理に先立ってループが適切に形成されているかどうかを評価することを可能にするがゆえに、ワイヤボンディングプロセスにおいて、とくに関心の対象である。本発明の好ましい実施形態において、すべてのボンディングワイヤのプロファイル、とりわけその最高点の位置および/または高さを決定することが強調される。本発明は、とくには、積層ダイにおけるワイヤボンディングのプロセスにおいて、互いに重なり合い、あるいは互いに交差して位置するボンドワイヤのループ高さの測定を可能にする必要性に対処する。上側および下側の両方のボンドワイヤ(図4の例55および46)のボンドワイヤループ高さは、きわめて近接して配置されたボンドワイヤがモールドフロープロセスの最中に短絡をもたらす可能性があるため、モールド材料のモールド温度および粘度の決定においてきわめて重要である。上記の問題がシリコンチップ内のあらゆる場所で発生する可能性があり、ボンディングの方向および位置次第で、2組以上のボンドワイヤに影響を及ぼす可能性があることを、当業者であれば、理解できるであろう。
【0022】
さらに、図4は、取り込まれた画像内の焦点を使用してボンドワイヤのループの高さを決定する方法の側面図による表現を示している。撮像システムに組み合わせられたプロセッサが、所定のZ高さにおいて取り込まれた合焦平面の撮像画像を分析し、異なるZ位置において取り込まれた複数の画像のコントラスト(シャープネス)を測定することによって最良の焦点を発見し、ボンドワイヤ46および55の各々に沿った位置または座標を、ボンドワイヤ46については62から始まって48までの全長にわたり、ボンドワイヤ55については60から始まって58までのボンドワイヤ55の全長にわたって計算する。例えば、図5を参照すると、ボンドワイヤに沿ったボンドワイヤ42上の各点Pi(1≦i≦n)は、座標(Xi、Yi、Zi)を含み、Ziは、図1のモータ14のエンコーダからの合焦平面(Z高さ)からもたらされ、座標(Xi、Yi)は、各々のFOV内の画像処理によって計算され、さらには、検査対象の物体がFOVよりも大きい場合には、水平X距離からおよび水平Y距離(XおよびY位置)が、図1のモータ16のエンコーダから記録および記憶される。ここで、ユニットZnがプログラム可能な数を表すこと、また所与のボンドワイヤのループ高さおよびループプロファイルを計算するプロセスを改善するために、ボンドワイヤPn上の点ならびにその関連のX、Y、およびZの位置座標がいくつ必要とされるかに応じて変更できることを、理解すべきである。XYおよびZ座標によってそれぞれ表されるデータ点Pnは、所与のボンドワイヤの所定の関心部分を取り込むことによって計算される。例えば、図4を参照すると、重要な関心領域のいくつかは、例えば、一般にステッチと呼ばれるダイ20上のボンドワイヤ55の位置60およびボンドワイヤ46の位置62を含むことができる。別の重要な関心領域は、例えば、一般にボールボンドと呼ばれるダイ25上の48およびダイ30上の58である。さらに、別の重要かつ最も大切な関心領域は、ワイヤボンダ装置のボンディングプロファイルの設定および構成の際に決定されるボンドワイヤ55および46の最高点が位置する可能性が高い部分66および68を含む。
【0023】
図5に示されるグラフが、図3に示したボンドワイヤ40、42、44、46、52、54、および56のボンドワイヤプロファイルのプロットを示している。3次元プロファイルが、図3のボンドワイヤの各々について、さまざまな合焦平面Z1~Znにおいて取得された画像から計算されたデータ点または座標Pnを使用してプロットされている。図5において、X軸は図3に示されるダイ幅を表し、Y軸は図3に示されるダイ長さを表し、Z軸は図3に示されるダイの高さ(水平な合焦平面)を表す。グラフから明らかなように、積層ダイワイヤボンディングの性質ゆえに、図1のカメラからの眺め(上面図)において互いに交差する複数の高さのボンドワイヤが存在する。例えば、図5のグラフから、ボンドワイヤ44が最も低い高さに位置し、その上方にボンドワイヤ42が位置する。ボンドワイヤ54は、ボンドワイヤ42の上方に位置する。積層ダイボンディングにおけるこのような出来事は一般的であり、したがってデータ点の測定および計算は複雑であり、下方に位置するボンドワイヤのXYおよびZ座標の補間を必要とする。
【0024】
図5には、ボンドワイヤ40、42、44、46、52、54、および56の三次元グラフが、11箇所におけるそれらのそれぞれのXYおよびZ座標によって、例示としてプロットされている。例えば、Z9およびZn-1についてのZ軸高さが、グラフに示されている。点P1~PnのZ軸位置または高さが、Z1~Znとして測定され、記憶される。補間の方法、および場合によっては外挿が、各々のボンドワイヤに関して、決定されたデータ点Pi(1≦i≦n)を使用した滑らかな曲線フィッティングのために採用される。各々のPiが、計算されたX、Y、およびZ座標に関連付けられ、ボンドワイヤプロファイルのプロットを可能にする。曲線フィッティングは、ワイヤボンディングプロセスのステップに通常プログラムされるワイヤループ形成の設定を考慮する。三次元グラフの助けを借りて、線形方程式を適用することによってループ高さを決定することは容易である。しかしながら、例えば、ボンドワイヤ42のグラフのプロット、曲線フィッティング、または線形補間のプロセスに関しては、いくつかの複雑なステップが含まれる。ボンドワイヤ42の場合、ボンドワイヤ44がボンドワイヤ42の上方に位置するため、位置P6およびP7の間のデータ点を計算または決定することができず、したがって、ボンドワイヤ42について決定された最も近いデータ点P6およびP7が、補間を使用して、この領域におけるボンドワイヤ42のプロファイルを決定するために利用されることが明らかであろう。同様に、別のボンドワイヤ54が、ボンドワイヤ42のP8およびP9の間の領域において視界を遮る。遮られた領域においては画像取り込みが不可能であるため、データ点の決定は排除される。ここでも、ボンドワイヤ42について計算された最も近いデータ点P8およびP9が、補間を使用して、この領域におけるボンドワイヤ42のプロファイルを決定するために使用される。ボンドワイヤプロファイルを生成するための補間精度は、データ点の近接度に正比例し、したがってデータ点の近接度が、所与のボンドワイヤのループ高さの測定に影響を及ぼす。したがって、精度および再現性を改善するために、任意の所与のボンドワイヤについてボンドワイヤのループプロファイルのプロットを可能にし、ボンドワイヤの隠れた部分について補間または外挿(必要な場合)を利用するために、できるだけ多くのデータ点Pnを決定することがきわめて重要である。すべてのボンドワイヤについてボンドワイヤプロファイルをプロットすることで、成形時に積層ダイが仕様のとおりに機能するかどうかを分析することができ、最も重要なことには、ボンドワイヤが成形化合物の外部に露出しないことを保証することができ、あるいは成形後のシリコンチップ内で短絡が発生する可能性を分析することができる。
【0025】
本発明を、撮像システムにいかなる追加または修正も行うことなく、ボールボンド径、ボール高さ、およびステッチプロファイルの測定に適用できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0026】
以上、上述した発明について、具体的に説明したもの以外の変形、修正、および/または追加が可能であり、本発明が、上記の説明の趣旨および範囲に含まれるすべてのそのような変形、修正、および/または追加を含むことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】