(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064928
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】カメラヘッド
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20220419BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/24 B
G02B23/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007278
(22)【出願日】2022-01-20
(62)【分割の表示】P 2017563521の分割
【原出願日】2016-06-09
(31)【優先権主張番号】239386
(32)【優先日】2015-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(71)【出願人】
【識別番号】502338177
【氏名又は名称】メディガス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴヴリン アミル
(72)【発明者】
【氏名】ゾンネンシャイン ミネル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療用内視鏡、腹腔鏡、工業用内視鏡などの小径カメラヘッドに関する。直径を縮小するうえでの障害は、カメラヘッドのセンサおよび他の部品が取り付けられる可撓性のPCB基板と、さまざまな電子部品を電気的に接続する内部配線であり、組立てが難しく、量産製造に適さないことである。本発明は、上述した障害に対処するカメラヘッドを提供する。
【解決手段】平行な平面内に配置されている少なくとも2枚の剛性のプリント基板(PCB)を備えたビデオカメラヘッド。これら少なくとも2枚のPCBは、導電性材料からなるピンによって、互いに上下に機械的に支持されており、ピンは、下側PCBから、別のPCBに取り付けられている電子部品または照明手段に電力を伝え、かつ、少なくとも2枚のPCBのうちの別のPCBのうちの1枚のPCBに取り付けられている固体センサチップからの信号を下側PCBに伝える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な平面内に配置されている少なくとも2枚の剛性のプリント基板(PCB)を備えたビデオカメラヘッドであって、
a)前記ビデオカメラヘッドは、固定イメージセンサチップと、対物レンズシステムと、照明手段と、電子部品とを含み、それらのすべてが、前記少なくとも2つの剛性のプリント基板上に支持されており、
b)前記少なくとも2枚の剛性のプリント基板は、その上に支持される前記ビデオカメラヘッドの前記電子部品に対して、スペースを提供するように十分離れて、間隔を空けて配置されており、
前記ビデオカメラヘッドは、
i)下側PCB以外の前記少なくとも2枚のPCBのすべてが、ピンによって前記下側PCBの上方に互いに上下に機械的に支持されており、
ii)前記ピンは、導電性材料で作られており、
iii)前記ピンの少なくともいくつかは、前記下側PCBから、前記少なくとも2枚のPCBのうちの別のPCBに取り付けられている電子部品または照明手段に電力を伝え、
iv)前記ピンのいくつかは、前記少なくとも2枚のPCBのうちの前記別のPCBのうちの1枚のPCBに取り付けられている固体センサチップからの信号を前記下側PCBに伝え、
v)前記ピンのすべては、前記PCBのそれぞれの面内に配置され、前記PCBに形成された貫通路を通り、
vi)前記ピンの少なくともいくつかは、短く、2つの隣接するPCBの間に位置する、
ビデオカメラヘッド。
【請求項2】
前記照明手段が、少なくとも1個のLEDを備えている、請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項3】
前記照明手段が、LEDの環状アレイを備えている、請求項2のビデオカメラヘッド。
【請求項4】
3枚のPCBを備え、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、前記下側PCBに取り付けられており、固体センサチップが中間PCBに取り付けられており、対物光学系および照明手段が上側PCBに取り付けられており、導電性材料からなるピンが、(a)前記下側PCBの上方に前記中間PCBおよび前記上側PCBを機械的に支持しており、(b)前記下側PCBから前記中間PCBおよび前記上側PCBに電力を伝え、(c)前記中間PCB上の前記センサチップからの信号を前記下側PCBに伝える、請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項5】
2枚のPCBを備え、
固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、前記下側PCBの下面に取り付けられており、固体センサチップが前記下側PCBの上面に取り付けられており、対物光学系および照明手段が上側PCBに取り付けられており、
導電性材料からなるピンが、前記下側PCBの上方に前記上側PCBを機械的に支持しており、かつ、前記下側PCBから前記上側PCBに電力を伝え、
前記下側PCBの下面から前記上面に電力を伝え、かつ、前記上面の前記センサチップからの信号を前記下側PCBの前記下面に伝えるため、貫通路が使用されている、
請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項6】
4枚のPCBを備え、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、第1の(下側)PCBおよび第2のPCBに取り付けられており、固体センサチップが第3のPCBに取り付けられており、対物光学系および照明手段が第4の(上側)PCBに取り付けられており、導電性材料からなるピンが、(a)前記第1のPCBの上方に前記第2のPCB、前記第3のPCB、および前記第4のPCBを機械的に支持しており、(b)前記第1のPCBから、前記第2のPCB、前記第3のPCB、および前記第4のPCBに電力を伝え、(c)前記第3のPCB上の前記センサチップからの信号を前記第1のPCBに伝える、請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項7】
平行な平面内に配置されている少なくとも2枚の剛性のプリント基板(PCB)を備えたビデオカメラヘッドであって、対物光学系および照明手段が、前記カメラヘッドのハウジングの遠位端部に取り付けられており、固体センサチップが、前記対物光学系の下方のPCBに取り付けられており、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、前記少なくとも2枚のPCBのうちの少なくとも1枚のPCBに取り付けられており、前記カメラハウジングの前記遠位端部に支持されている前記照明手段が、光ファイバの出力カプラ、または導光体の遠位端部であり、
a)前記ビデオカメラヘッドは、固定イメージセンサチップと、対物レンズシステムと、照明手段と、電子部品とを含み、それらのすべてが、前記少なくとも2つの剛性のプリント基板上に支持されており、
b)前記少なくとも2枚の剛性のプリント基板は、その上に支持される前記ビデオカメラヘッドの前記電子部品に対して、スペースを提供するように十分離れて、間隔を空けて配置されており、
前記ビデオカメラヘッドは、
i)前記少なくとも2枚のPCBが、導電性のピンによって、互いに上下に機械的に支持されており、
ii)前記ピンの少なくともいくつかは、前記下側PCBから、前記少なくとも2枚のPCBのうちの別のPCBに取り付けられている電子部品または照明手段に電力を伝え、
iii)前記ピンのいくつかは、前記少なくとも2枚のPCBのうちの前記別のPCBのうちの1枚のPCBに取り付けられている固体センサチップからの信号を前記下側PCBに伝え、
iv)前記ピンのすべては、前記PCBのそれぞれの面内に配置され、前記PCBに形成された貫通路を通り、前記ピンは、剛性である、
ビデオカメラヘッド。
【請求項8】
前記照明手段のための光源が、内視鏡システムで使用されている従来の任意の光源である、請求項7のビデオカメラヘッド。
【請求項9】
前記光源が、前記カメラヘッドにおける前記少なくとも2枚のPCBのうちの1枚のPCBに、または前記カメラヘッドの近位に取り付けられている少なくとも1個のLEDである、請求項8のビデオカメラヘッド。
【請求項10】
前記少なくとも1個のLEDからの光が、中空の導光体を通じて、前記カメラヘッドのハウジングの遠位端部に伝えられる、請求項9のビデオカメラヘッド。
【請求項11】
前記少なくとも1個のLEDが、前記固体センサチップと一緒にPCBに取り付けられている、請求項9のビデオカメラヘッド。
【請求項12】
前記少なくとも1個のLEDが、前記固体センサチップが取り付けられているPCBの下方のPCBに取り付けられている、請求項9のビデオカメラヘッド。
【請求項13】
前記光源が、前記カメラヘッドから離れて配置されており、光が、前記光源から前記カメラハウジングの前記遠位端部における出力カプラに直接伝えられる、または前記少なくとも2枚のPCBのうちの1枚のPCBに伝えられ、前記1枚のPCBにおいて中空の導光体に入射する、請求項8のビデオカメラヘッド。
【請求項14】
前記ピンが、剛性または可撓性の一方である、請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項15】
前記PCBが、対称的または非対称的な任意の形状である、請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項16】
カメラヘッドにおける前記少なくとも2枚のPCBのうちのいくつかまたはすべてのPCBの形状および寸法が、前記カメラヘッドにおける別のPCBの形状および寸法とは異なる、請求項1のビデオカメラヘッド。
【請求項17】
i)第一基板と、
ii)前記第一基板から下方に離隔して設けられた第二基板と、
iii)前記第一基板の上面に設けられた対物光学系と、
iv)前記第一基板又は前記第二基板の上面に設けられた電気製品と、
を備えるビデオカメラヘッドであって、
前記第一基板と前記第二基板は、その上に支持される前記ビデオカメラヘッドの部品に対して、スペースを提供するように十分離れて、間隔を空けて配置されており、導電性材料から作られたピンが前記第一基板と前記第二基板を分離し、
前記ビデオカメラヘッドは、
前記第二基板を貫通して、前記第二基板の上方に前記第一基板を支持し、前記電気製品に電気的に接続する導電性のピンと、
を備える、
ビデオカメラヘッド。
【請求項18】
前記電気製品が光源である、請求項17のビデオカメラヘッド。
【請求項19】
前記光源が、前記対物光学系の周囲に配置されている、請求項18のビデオカメラヘッド。
【請求項20】
前記光源の光を前記対物光学系の周囲へ伝える導光体を、さらに備えている、請求項18のビデオカメラヘッド。
【請求項21】
前記電気製品がセンサチップである、請求項17のビデオカメラヘッド。
【請求項22】
i)第一基板と、
ii)前記第一基板から下方に離隔して設けられた第二基板と、
iii)前記第一基板の上面に設けられた対物光学系と、
iv)前記第二基板の上面に設けられた電気製品と、
を備えるビデオカメラヘッドであって、
前記第一基板と前記第二基板は、その上に支持される前記ビデオカメラヘッドの部品に対して、スペースを提供するように十分離れて、間隔を空けて配置されており、
前記第一基板を前記第二基板の上方に前記第一基板の面内で支持し、前記電気製品と電気的に接続する導電性のピンと、
を備え、
前記ピンが剛性であり、前記ピンが前記第一基板と第二基板との間に空間を作る、
ビデオカメラヘッド。
【請求項23】
前記第二基板から下方に離隔して設けられた第三基板と、
前記第三基板の上面に設けられた光源と、
前記光源の光を前記対物光学系の周囲へ伝える導光体と、をさらに備えている、請求項22のビデオカメラヘッド。
【請求項24】
前記電気製品がセンサチップである、請求項22又は23のビデオカメラヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラの分野のものである。具体的には、本発明は、医療用内視鏡、腹腔鏡、工業用内視鏡などの用途において使用するための小径カメラヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用内視鏡、腹腔鏡、および工業用内視鏡が最初に使用されて以来、ますます小さい直径の開口部を通じてアクセスできるようにする目的でこれらの器具の直径を縮小することは、器具の設計者の目標であり続けている。
【0003】
直径の縮小を達成する方法は、例えば特許文献1に記載されており、この文書の中で本発明の出願人は、1.4mm以下の外径を有するカメラヘッドを説明している。
【0004】
直径をさらに縮小するうえでの障害のうちの2つは、一般的にカメラヘッドのセンサおよび他の部品が取り付けられる可撓性のPCB基板と、さまざまな電子部品を電気的に接続する内部配線である。特許文献1に記載されているものなどの小径カメラヘッドに関連する第3の障害は、組立て(特に内部配線の接続)が難しく、量産製造に適さないことである。
【0005】
第4の障害は、上述した装置に照明を組み込む必要性と、カメラ・照明アセンブリの極小の寸法を維持しながら十分な量の電流を伝えることの難しさとに関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述した障害に対処するカメラヘッドを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的および利点は、説明を読み進めるにつれて明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様においては、本発明は、平行な平面内に配置されている少なくとも2枚の剛性のプリント基板(PCB)を備えたビデオカメラヘッドである。これらのPCBは、導電性材料からなるピンによって、互いに上下に機械的に支持されている。ピンは、下側PCBから、少なくとも2枚のPCBのうちの別のPCBに取り付けられている電子部品および/または照明手段に電力を伝え、かつ、少なくとも2枚のPCBのうちの別のPCBのうちの1枚のPCBに取り付けられているセンサチップからの信号を下側PCBに伝える。
【0010】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、照明手段は、少なくとも1個のLED(例えばLEDの環状アレイ)を備えている。
【0011】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態は、対物光学系を備えている。
【0012】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、3枚のPCBを備え、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する部品が、下側PCBに取り付けられており、固体センサチップが中間PCBに取り付けられており、対物光学系および照明手段が上側PCBに取り付けられている。導電性材料からなるピンは、(a)下側PCBの上方に中間PCBおよび上側PCBを機械的に支持しており、(b)下側PCBから中間PCBおよび上側PCBに電力を伝え、(c)中間PCB上のセンサチップからの信号を下側PCBに伝える。
【0013】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、2枚のPCBを備え、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、下側PCBの下面に取り付けられており、固体センサチップが下側PCBの上面に取り付けられており、対物光学系および照明手段が上側PCBに取り付けられている。導電性材料からなるピンは、下側PCBの上方に上側PCBを機械的に支持しており、下側PCBから上側PCBに電力を伝える。下側PCBの下面から上面に電力を伝え、かつ、上面におけるセンサチップからの信号を下側PCBの下面に伝えるため、貫通路(through via)が設けられている。
【0014】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、4枚のPCBを備え、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、第1の(下側)PCBおよび第2のPCBに取り付けられており、固体センサチップが第3のPCBに取り付けられており、対物光学系および照明手段が第4の(上側)PCBに取り付けられている。導電性材料からなるピンは、(a)第1のPCBの上方に第2のPCB、第3のPCB、および第4の(上側)PCBを機械的に支持しており、(b)第1のPCBから、第2のPCB、第3のPCB、および第4の(上側)PCBに電力を伝え、(c)第3のPCB上のセンサチップからの信号を第1のPCBに伝える。
【0015】
第2の態様においては、本発明は、平行な平面内に配置されている少なくとも2枚の剛性のプリント基板(PCB)を備えたビデオカメラヘッドである。この態様のカメラヘッドにおいては、対物光学系および照明手段が、カメラヘッドのハウジングの遠位端部に取り付けられており、固体センサチップが、対物光学系の下方のPCBに取り付けられており、固体センサからの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品が、PCBのうちの少なくとも1枚のPCBに取り付けられており、少なくとも2枚のPCBが、導電性のピンによって、互いに上下に機械的に支持されており、カメラハウジングの遠位端部に支持されている照明手段が、光ファイバの出力カプラ(output coupler)、または導光体(light guide)の遠位端部である。
【0016】
本発明の第2の態様のビデオカメラヘッドの照明手段のための光源は、内視鏡システムで使用されている従来の任意の光源とすることができる。これらの実施形態では、LEDからの光が、中空の導光体を通じてカメラヘッドのハウジングの遠位端部に伝えられる。
【0017】
本発明の第2の態様のビデオカメラヘッドの実施形態においては、光源は、カメラヘッドにおけるPCBのうちの1枚のPCBに、またはカメラヘッドより近位側に取り付けられているLEDである。LEDは、固体センサチップと一緒にPCBに取り付けることができる。別の実施形態では、LEDは、固体センサチップが取り付けられているPCBの下方のPCBに取り付けられている。
【0018】
本発明の第2の態様のビデオカメラヘッドの実施形態においては、光源は、カメラヘッドから遠くに位置しており、光は、光源からカメラハウジングの遠位端部における出力カプラに直接伝えられる、またはPCBのうちの1枚のPCBに伝えられ、そのPCBにおいて中空の導光体に入射する。
【0019】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、ピンは、剛性または可撓性のいずれかとすることができる。
【0020】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、PCBは円形ではなく、対称的または非対称的な任意の形状を有することができる。
【0021】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、カメラヘッドにおけるPCBのうちのいくつかまたはすべてのPCBが、カメラヘッドにおける別のPCBの形状および寸法とは異なっていることができる。
【0022】
本発明のビデオカメラヘッドの実施形態においては、対物光学系の部品のいくつかまたはすべてを、カメラヘッドのハウジングに取り付けることができる。
【0023】
以下では、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら実例を通じて説明する(ただし本発明は以下の説明によって制限されない)。本発明の上記および他のすべての特徴および利点は、以下の説明を通じてさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明のカメラヘッドの一実施形態の構造を概略的に示している。
【
図2】本発明のカメラヘッドの第2の実施形態を概略的に示している。
【
図3】本発明のカメラヘッドの第2の実施形態を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明のカメラヘッド(10)の一実施形態の構造を概略的に示している。本発明のカメラヘッドのこの実施形態は、3枚の剛性のPCB(12a,12b,12c)を備えている。これら3枚のPCBは、3つの平行な平面内に互いに上下に配置されている。(なお便宜上、カメラヘッドは、その中心軸線が垂直な向きにあると想定して説明してある。これにより、本明細書で使用されている上側および下側などの相対的な方向が定義される。)
【0026】
中間PCB(12b)は、6本の短いピン(14)によって下側PCB(12c)の上方に機械的に支持されており、上側PCB(12a)は、PCB(12b)における貫通路を通る2本の長いピン(16)によって、下側PCB(12c)の上方に機械的に支持されている。なお、カメラヘッド(10)の実施形態は、6本よりも多いまたは6本よりも少ないピン(14)と、2本よりも多いピン(16)を備えていてもよいことに留意されたい。
【0027】
下側PCB(12c)の表面に金属被覆(18)(metallization)が形成されており、固体撮像素子(例えばCMOS)からの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品(20)が、この金属被覆に電気的に接続されている。カメラヘッドに電力を伝え、かつカメラヘッドからの映像信号を遠隔の信号プロセッサに伝えるカメラケーブル(30)は、貫通路に通されることによってPCB(12c)の上面の金属被覆パターンに接続されている。
【0028】
中間PCB(12b)は、固体センサチップ(22)を支持している。
【0029】
上側PCB(12a)は、ハウジング(26)の内側の対物光学系(24)と、照明手段(例えばハウジング(26)を囲む少なくとも1個のLED(28)、またはLED(28)の環状アレイ)を支持している。
【0030】
ピン(14)および(16)は、導電性材料からなる。したがって、これらのピンは、上側の2枚のPCBを機械的に支持するという目的と、センサチップ(22)に電力を伝え、センサチップ(22)からの信号を伝え、かつLED 28に電力を伝えるという目的の2つを果たす。
【0031】
したがって、カメラヘッド(10)の内部構造は、本出願の背景技術のセクションで説明した4つの障害すべてに対処している。第一に、可撓性のPCBの代わりに剛性のPCBを使用することによって、通常ではカメラヘッドの直径を増大させる可撓性PCBの曲げ半径が排除される。第二に、導電性のピンを使用することによって、照明源のための十分な量の電流を伝えることができる。第三および第四に、電気的に接続するピンを使用することによって、内部配線接続を形成するうえでの困難のほとんどが排除され、したがって組立工程が大幅に単純化され、これによってカメラヘッド(10)が、量産製造に極めて適する装置になる。
【0032】
なお、本発明のカメラヘッドの一実施形態は、2枚のPCBを備えていることができ、その場合、電子部品が下側PCBの下面に位置し、センサチップが下側PCBの上面に位置し、対物レンズ系および照明源が上側PCB上に位置することに留意されたい。別の実施形態は、3枚より多くのPCB、例えば4枚のPCBを備えていることができ、その場合、下側の2枚のPCBが電子部品を支持し、3番目のPCBがセンサチップを支持し、上側PCBが対物光学系および照明手段を支持する。すべての実施形態において、導電性のピンは、PCBを隔てて機械的に支持するという目的と、PCBの間で電力および映像信号を伝えるという目的の2つを果たす。
【0033】
本発明の別の実施形態においては、最も上のPCB上に支持されている照明手段は、光ファイバまたは導光体の出力カプラである。これらの実施形態では、光源は、内視鏡システムで使用されている従来の任意の光源とすることができる(例えば、カメラヘッドにおける下側の複数のPCBの内の1枚に、または、カメラヘッドの近位に、取り付けられるLED)。いくつかの実施形態では、導電性のピンを中空の導光体と組み合わせることができる。
【0034】
図2に概略的に示した一実施形態においては、カメラヘッドは、導電性のピン14,16によって互いに上下に機械的に支持されている3枚のPCBを備えている。下側の2枚のPCB 12b,12cは、固体撮像素子22からの信号を受信しかつ映像信号を出力する電子部品(図には示していない)を支持している。最も上のPCB 12aは、固体センサ22と、センサを囲む1個または複数のLED 28(例えば円形アレイ)とを支持している。この実施形態では、自身のハウジング26に囲まれている対物レンズ系24は、支持構造(例えば、自身の下端部においてPCB 12aに向かって取り付けられている中空管)によって、または、カメラヘッドの内部部品を囲むカメラハウジング34に取り付けられている構造によって、センサ22の上方の所定の位置に保持されている。さらにカメラヘッドは、垂直管状導光体32(vertical tubular light guides)も備えており、この導光体32は、LED 28からの光を、撮像される目標物に面するカメラハウジング34の遠位端部36における対物レンズ24の高さまで伝える。導光体32は、例えばその下端部においてPCB 12aに取り付けられていることによって、またはカメラハウジング34の内側に取り付けられている支持部によって、LED 28の上に支持されている。
【0035】
PCB 12a,12b上に位置している電子部品を、一方のみのPCBに再分配する、および/または、いくつかの電子部品をPCB 12a上に位置させることができ、これにより、カメラヘッドのこの実施形態は、2枚のみのPCBを備えることができる。すべての実施形態において、カメラケーブル30は、下側PCB上の電子部品に接続されている。
【0036】
図3は、
図2に示した実施形態のバリエーションを概略的に示している。
図3に示したカメラヘッドにおいては、電子部品(図示していない)がPCB 12a,12c(いくつかの変形形態ではさらに12b)上に位置しており、LED 28がPCB 12c上であり、導光体32は、LED 28からの光を、撮像される目標物に面するカメラハウジング34の遠位端部36における対物レンズ24の高さまで伝える。
【0037】
別の実施形態においては、光源をカメラヘッドから遠くに位置させることができ、光は、光源からカメラハウジング34の遠位端部36における出力カプラに直接伝えられる、またはこれに代えて、
図2および
図3に示したように、PCBのうちの1枚のPCBに伝えられ、そのPCBにおいて中空の導光体に入射する。
【0038】
ここまで本発明の実施形態を例として説明してきたが、本発明は、請求項の範囲から逸脱することなく、例えば以下のように、多数の変更、修正、適合化を伴って実施することができることを理解されたい。
a) ピンは、剛性または可撓性とすることができる。
b) PCBの形状が円形ではなく、任意の対称的な形状(例えば正方形または長方形)または非対称的な形状とすることができる。
c) カメラヘッドにおけるPCBのうちのいくつかまたはすべてのPCBの形状および寸法を、カメラヘッドにおける別のPCBの形状および寸法とは異なるものとすることができる。
d) カメラヘッドの実施形態においては、対物光学系の部品のいくつかまたはすべてをカメラヘッドのハウジングに取り付けることができる。