(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065011
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】光学的な探査及び検知に基づくバイオセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
G01N21/17 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016817
(22)【出願日】2022-02-07
(62)【分割の表示】P 2020184236の分割
【原出願日】2009-10-27
(31)【優先権主張番号】61/108,862
(32)【優先日】2008-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511106112
【氏名又は名称】ジェナリーテ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(72)【発明者】
【氏名】ガン ザ・サード,ローレンス キャリー
(72)【発明者】
【氏名】イクバル,ムザミル
(72)【発明者】
【氏名】スパウグ,ブラド
(72)【発明者】
【氏名】タイボー,フランク
(57)【要約】
【課題】センサチップ上の光学センサを使用して物質を光学的に検知するための装置、センサチップ、及び方法を提供する。
【解決手段】ファイバ光学システム100は、光学サブシステムの一実装形態であり、該サブシステムは、オンチップバイオセンサを光学的に調査するためにバイオセンサチップ206に送られるプローブ光を生成するための波長可変レーザ101と、レーザの波長がスイープされるときにプローブ光の波長の値を較正及び測定する波長参照部103と、オンチップ位置付け参照を提供するためのオンチップ光学識別マーカの空間登録部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンシングシステムで使用される光学チップであって、
基板と、
前記基板上に設けられ、屈折率を有する下方被覆層と、
前記下方被覆層上に設けられ、前記下方被覆層の屈折率よりも高い屈折率を有する光学共振器と、
前記下方被覆層上で、前記光学共振器の近傍に設けられ、前記下方被覆層の屈折率よりも高い屈折率を有する光導波路と、
前記光導波路の少なくとも一部の上で、前記光学共振器の少なくとも一部の上に設けられた流路に隣接して設けられ、前記光導波路の屈折率よりも低い屈折率を有し、フルオロポリマ又はペルフルオロポリマを含む上方被覆層と、
を含む光学チップ。
【請求項2】
前記光導波路及び前記光学共振器は、シリコンを含む、
請求項1に記載の光学チップ。
【請求項3】
前記光学共振器は、リング共振器を含む、
請求項1に記載の光学チップ。
【請求項4】
前記上方被覆層は、約1.33の屈折率を有する、
請求項1に記載の光学チップ。
【請求項5】
前記上方被覆層は疎水性であり、前記流路は親水性である、
請求項1に記載の光学チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張及び関連の特許出願]
本特許文献は、「BIOSENSORS BASED ON OPTICAL PROBING AND SENSING(光学的な探査
及び検知に基づくバイオセンサ)」と題された2008年10月27日出願の米国仮出願第61/108,862号の利益及び優先権を主張する。該仮出願は、参照によって本文献の一部として組み込まれるものとする。
【0002】
[背景]
本文献は、生物物質及び化学物質を含む物質の光学的検知に関する。
【背景技術】
【0003】
光共振器及び光導波路などの特定の光学素子の光学的性質は、このような光学素子に添付された物質を検出するために使用することができる。測定対象となる物質が存在する光学素子の中又は近くの領域へプローブ光が方向付けられ、物質を検出するためにこのような光学素子において光学的測定が実施される。
【発明の概要】
【0004】
[概要]
本文献は、センサチップ上の光学センサを使用して物質を光学的に検知するための装置、センサチップ、及び技術を説明する。
【0005】
一態様では、光学的な探査及び検知に基づくセンサ装置は、プローブ光のレーザビームを生成し、プローブ光の波長を様々な波長にわたってチューニングする働きをする波長可変レーザと、測定対象である1つ又は複数のセンサチップを保持するチッププラットフォームとを含む。各センサチップは、基板と、該基板上に形成された1つ又は複数の光学センサと、基板上に形成され、プローブ光を受信し、対応する光学センサへ方向付ける入力光カプラと、基板上に形成され、対応する光学センサからの光を戻りプローブ光として基板外へ結合するための出力光カプラとを含む。センサチップ上の光学センサを光学的に調査するためにチッププラットフォームの上にプローブ光を投影及び走査する光学システムが提供される。該光学システムは、センサチップからのプローブ光の鏡面反射を対物レンズの光学開口から外れさせるために及びセンサチップからの戻りプローブ光をセンサチップからのプローブ光の鏡面反射と異なる方向で受信するためにチッププラットフォームに対して角度をなして向けられた対物レンズを含む。この装置は、波長可変レーザの様々な波長にわたって戻りプローブ光の一部分を受信するために及びセンサチップ上の各光学センサの応答を検出するために光学システムと連絡している光学検出器を含む。
【0006】
別の態様では、光学的な探査及び検知のためのセンサチップであって、基板と、該基板上の様々な位置に形成された光学センサと、それぞれ基板上に形成され、光学センサに光学的に結合された光導波路とを含むチップが提供される。各光導波路は、光を、対応する光学センサ内へ結合し、対応する光学センサ外へ結合する。このチップは、それぞれ基板上に形成され、光導波路に結合された入力光カプラを含み、各入力光カプラは、空気から基板上へ入射するプローブ光を受信し、該受信されたプローブ光を、対応する光学センサに結合された対応する光導波路内へ方向付ける。出力光カプラは、それぞれ基板上に形成され、光導波路に結合される。各出力光カプラは、対応する光学センサから対応する光導波路によって誘導される光を戻りプローブ光内へ結合して空気中へ方向付ける。このチップは、対応する光学センサに各自一意に関連付けられるようにそれぞれ基板上において光カプラに隣接する位置に形成された光学識別マーカを含む。各光学識別マーカは、対応す
る光学センサを識別するための一意のコードを有するように及びプローブ光と光学的に相互作用してそのコードを運ぶ、戻り識別光を生成するように構成される。
【0007】
別の態様では、光学的な探査及び検知に基づくセンサ装置であって、プローブ光のレーザビームを生成し、プローブ光の波長を様々な波長にわたってチューニングする働きをする波長可変レーザと、測定対象である1つ又は複数のセンサチップを保持するチッププラットフォームと、を含む装置が提供される。各センサチップは、基板と、該基板上の様々な位置に形成され、プローブ光を受信し、戻りプローブ光を生成する光学センサと、基板上において各自を対応する光学センサに一意に関連付ける位置に形成され、対応する光学センサを識別するための一意のコードを有するように及びプローブ光と光学的に相互作用してそのコードを運ぶ、戻り識別光を生成するように構成された光学識別マーカとを含む。この装置内の光学システムは、センサチップ上の光学センサを光学的に調査するためにチッププラットフォームの上にプローブ光を投影及び走査し、センサチップからの戻りプローブ光を受信する。光学システムは、戻りプローブ光を第1の部分と第2の部分とに分割するビーム分割器を含む。この装置は、波長可変レーザの様々な波長にわたって戻りプローブ光の第1の部分を受信するために及びセンサチップ上の各光学センサの応答を検出するために光学システムと連絡している第1の光学検出器と、戻りプローブ光の第2の部分を受信するために及び様々な光学識別マーカの少なくとも識別コードを検出するために光学システムと連絡している第2の光学検出器とを含む。
【0008】
別の態様では、光学的検知のための方法であって、自由空間を通じて波長可変レーザからセンサチップ上へプローブ光を方向付けることを含む方法が提供される。このセンサチップは、基板と、基板上の様々な位置に形成された光学センサと、基板上に形成され、プローブ光を受信し、対応する光学センサへ方向付けるための入力光カプラと、基板上に形成され、対応する光学センサからの光を戻りプローブ光として、センサチップによって生成されるプローブ光の鏡面反射と異なる方向で基板外へ結合するための出力光カプラとを含む。この方法では、センサチップからのプローブ光の鏡面反射を拒絶しつつ、センサチップからの戻りプローブ光が収集され、プローブ光は、波長可変センサの様々な波長にわたって波長可変センサをチューニングしつつセンサチップ上の様々な光学センサを一度に1つずつ光学的にアドレスして各光学センサから応答を得るために空間的に走査され、光学センサに添付された1つ又は複数の物質を測定するために波長可変センサの様々な波長にわたって各光学センサからの応答が処理される。
【0009】
別の態様では、光学的な探査及び検知に基づくセンサ装置は、基板、該基板上に形成されたミクロ構造、並びにそれぞれ基板上に形成され、プローブ光を受信するための及び受信されたプローブ光をミクロ構造へ方向付けるための入力光カプラを含むチップと、該チップの外側に配され、プローブ光のビームを生成し、プローブ光の波長をチューニングする働きをする波長可変レーザと、波長可変レーザとチップとの間においてプローブ光の光路内に配され、波長可変レーザからのプローブ光をチップ上へ方向付けるための光結合モジュールとを含む。
【0010】
別の態様では、光学的な探査及び検知に基づくセンサ装置であって、プローブ光のレーザビームを生成し、プローブ光の波長を様々な波長にわたってチューニングする働きをする波長可変レーザと、測定対象である1つ又は複数のセンサチップを保持するチッププラットフォームとを含む装置が提供される。各センサチップは、基板と、該基板上の様々な位置に形成され、プローブ光を受信し、戻りプローブ光を生成する光学センサとを含む。センサチップ上の光学センサを光学的に調査するためにチッププラットフォームの上にプローブ光を投影する光学システムが含まれる。光学システムは、走査時に一度に1つずつそれぞれ別の時間に光学センサへプローブ光を方向付けるためにセンサチップの上にプローブ光を走査する1つ又は複数の走査ミラーと、1つ又は複数の走査ミラーからの走査プ
ローブ光を受信し、該走査プローブ光をセンサチップ上へ方向付ける対物レンズとを含む。装置は、波長可変レーザの様々な波長にわたって戻りプローブ光の一部分を受信するために及びセンサチップ上の各光学センサの応答を検出するために光学システムと連絡している光学検出器を含む。
【0011】
別の態様では、光キャビティの共振周波数及び/又は共振線形状を決定するための光学波長走査システムが提供され、該システムは、エタロン又はガスセルを含む波長参照システムへ一部、そして共振キャビティへ一部送信される可変波長源を含み、各経路の光学出力は、時間的に同期化されたフォト受信器ペアの一方へ方向付けられる。
【0012】
別の態様では、バイオセンサチップを調査するための光学システムであって、入力信号及び戻り信号は、全光路の一部分を反対方向に伝送され、入力信号及び戻り信号は、ともに、センサチップの法線に対して角度をなしており、センサチップからの鏡面反射信号は、光学システムの開口数から外れる、光学システムが提供される。
【0013】
別の態様では、バイオセンサチップを調査するための光学システムであって、入力信号及び戻り信号は、全光路の一部分を反対方向に伝送され、ピンホールなどの空間フィルタが、戻り信号を除く全ての光をフォト受信器に入らないように遮断するために使用される、光学システムが提供される。
【0014】
別の態様では、バイオセンサチップを操作するための光学システムであって、操縦ミラーを含み、該操縦ミラーは、その角度を変化させることによって出力ビームの位置が変わる間に、出力ビームの主光線が一定に維持されるように、対物レンズの前方焦点距離に配される、光学システムが提供される。
【0015】
別の態様では、システムは、光学システム内に配された1つのミラーが主として出力ビームの主光線をチューニングする一方で、第2のミラーがビーム位置を制御するために使用されるように設計される。
【0016】
別の態様では、光学システムの逆進経路から取り出された出力を使用して、バイオセンサチップ表面上の再帰反射性画像を形成するためにビームの位置付けと相関させることができる光強度の時変測定値を生成するための技術が提供される。
【0017】
別の態様では、光ファイバファブリーペローエタロンなどの波長参照部の支援によって、波長スイープに伴う及び波長スイープ間におけるレーザ速度の変動を補正するために使用される連続走査時におけるセンサ共振ピーク位置の相対的変化を計算するための手段が提供される。
【0018】
別の態様では、個々のピーク測定に存在するノイズを軽減するために合わせて平均化されるセンサスペクトル中の2つ以上の共振ピーク位置を捕えるための方法が提供される。
【0019】
別の態様では、シリコン導波路からリング共振器が形成され、これは、薄い二酸化シリコン層の表面上に形成され、該二酸化シリコン層は、シリコン導波路のエバネッセント場と比べて薄く、二酸化シリコン層には、シラン結合分子の層が共有結合される。
【0020】
別の態様では、2つ又は3つ以上のリングがテスト流体に曝され、そのうちの少なくとも1つのリングは、エバネッセント場の長さを大幅に上回る厚さの材料で被覆され、少なくとも1つのリングは、テスト流体に曝され、これら2種類のリング間の相対的変化が、システムの出力信号として使用される。
【0021】
別の態様では、格子カプラ及び光学センサを含むバイオセンサチップであって、格子カプラは、特定の距離だけ光学センサからオフセットされており、格子カプラが、走査システムから光学的に可視であるように配置される一方で、光学センサは、横方向にずらされ且つ光学的にアクセス可能である必要がない流路内に埋め込まれる、バイオセンサチップが提供される。
【0022】
別の態様では、隣接するパターンを復号化することによって各リングを一意に識別することができるように、一意に識別可能なパターンが格子カプラに接近して配される。
【0023】
別の態様では、流路下にある領域の光導波路上に上方被覆材料を配することによって流路下に光導波路を通らせるための手段が提供される。
【0024】
別の態様では、光リング共振器を取り巻く領域に疎水性の膜を配し、リング表面を二酸化シリコンなどの親水性材料でコーティングして、水滴を捕捉する領域を提供することによって、リング共振器の生物スポットを局在させるための手段が提供される。
【0025】
別の態様では、被覆導波路と非被覆導波路との間に、非被覆導波路が水でコーティングされ被覆がCYTOPで構成された移行部が提供される。
【0026】
別の態様では、水と屈折率が一致すると同時に水中成分との化学的活性に対して耐性がある被覆が光導波路上に設けられ、導波路の被覆部分と非被覆部分との間には、非被覆部分が水溶液でコーティングされ且つ水溶液中の成分に対して反応性の表面化学剤を含む移行部がある。
【0027】
別の態様では、複数の流路に跨って複数のリング共振器を分散されたチップを含むバイオセンサプラットフォームが提供され、上記リングは、操縦ミラーを使用して順次アドレスされるとともに、波長可変レーザ及び外部波長参照システムによって順次調査され、該参照システムは、各センサの相対的な周波数偏移を決定するために及び定期的な間隔でリングを制御するために使用される。
【0028】
別の態様では、高角度表面(単純に反射された信号は光学システムに戻らないような表面)の一部分に焦点を合わせるための方法であって、視野の上にレーザビームをラスタすること、格子カプラループ又は再帰反射格子格子を含む再帰反射構造の画像を再構築すること、及びこれを再帰反射信号が最大になるまで様々な焦点距離において繰り返すことによってなされる方法が提供される。
【0029】
別の態様では、特定の格子カプラループを識別するための方法であって、格子カプラに接近して再帰反射格子を配することによってなされ、格子カプラの配列のなかから特定の格子カプラを一意に識別するために再帰反射格子の特有パターンを使用することができる方法が提供される。
【0030】
別の態様では、ラスタシステムによって保持されている光学スポットの位置付けの配列と格子カプラの配列との整合を維持するための方法であって、特定の格子カプラに対する各後続訪問(visit)においてスポットの位置を所定のパターンで意図的にオフセットさせること、及び各後続訪問によって作成されるパターン間に見られる電源変動を使用し、その個別スポットの位置の再決定に使用される整合の方向を計算することによってなされる方法が提供される。
【0031】
更に別の態様では、走査システムの主光線をチューニングするための方法であって、主として主光線に作用するように設計された1つのミラーの設定を変更すること、主として
スポット位置に作用するように設計された第2のミラーによって走査を完了すること、及びバイオセンサ結合の光学効率が最適化されるまでこの行為を繰り返し実施することによってなされる方法が提供される。
【0032】
これらの及びその他の態様と、それらの実装形態とが、図面、説明、及び特許請求の範囲において詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】光学的な探査及び検知に基づくバイオセンサ装置の典型的な一実装形態を示している。
【
図4】
図1のバイオセンサチップの典型的な特徴を示している。
【
図5】
図1のバイオセンサチップの典型的な特徴を示している。
【
図6】
図1のバイオセンサチップの典型的な特徴を示している。
【
図7a】
図1のバイオセンサチップの典型的な特徴を示している。
【
図7b】
図1のバイオセンサチップの典型的な特徴を示している。
【
図8】
図1の装置の焦点合わせ動作を図解している。
【
図9】
図1の装置においてバイオセンサチップ上にプローブビームの焦点を合わせるための典型的なプロセスを示している。
【
図10】
図1の装置においてバイオセンサチップ上のオンチップバイオセンサを登録するための典型的なプロセスを示している。
【
図11】
図1の装置においてバイオセンサチップ上の様々なバイオセンサを識別するためのオンチップ識別マーカの動作を図解している。
【
図12】
図1の装置においてバイオセンサチップ上の様々なバイオセンサを識別するためのオンチップ識別マーカの動作を図解している。
【
図13】
図1の装置においてバイオセンサチップ上の様々なバイオセンサを識別するためのオンチップ識別マーカの動作を図解している。
【
図14】
図1の装置においてバイオセンサチップ上のバイオセンサの登録を調整するための典型的なプロセスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本文献において説明される、センサチップ上の光学センサを使用して物質を光学的に検知するための装置、センサチップ、及び技術は、センサチップ上へプローブ光を方向付けるために自由空間を使用するとともに、更なる検出及び処理のために自由空間を通じてセンサチップからの戻りプローブ光を受信する。本明細書で説明されるセンサ装置の例は、基板又は例えばシリコンチップなどのチップを作成した共振キャビティ光学バイオセンサを識別する及びスペクトル的に調査するために使用することができる。装置の一実装形態では、狭線幅の波長可変レーザからの光は、光学ファイバシステムを通じて自由空間光学システムへ調達され、該光学システムは、ビームを成形し、誘導し、バイオセンサチップ上へ集束させる。装置は、自由空間ビームと、例えば格子カプラなどのオンチップの入力光カプラ及び出力光カプラとの間において高速で且つ効率的なモード整合を実施するように構成することができ、これらの光カプラは、バイオセンサチップ上の光導波路内へ及び光導波路外へ光を結合する。本文献における例では、光カプラの典型的な実装形態として格子カプラが記載されているが、エッジ結合、テーパ結合、又はプリズム結合を含むその他の光結合メカニズムもまた、センサチップ上における入力光結合及び出力光結合として使用することができる。光は、これらの導波路を通じてオンチップの光学バイオセンサへ送られる。各オンチップバイオセンサは、関連の生体分子の存在に起因する周囲の光学的性質の変化に反応又は応答する。センサ応答は、一スペクトル領域の様々な波長にわたってレーザ波長をスイープ又はチューニングする波長可変レーザの波長スイープによって調
査すること、及びセンサを通って伝播された後の光を捕えることによって得られる。なお、リング共振器センサの場合、光は、共振外のときはセンサに対して主に弱く結合され、共振状態のときはセンサ内を強く通り抜けることに留意せよ。
【0035】
自由空間光学システムは、同時伝播する前進光路及び逆進光路を含むように実装することができる。前進経路は、ビームを成形してそのビームをオンチップ光入力カプラを通じてチップ上へ集束させる複数の光学素子を通してビームを伝播させる。レーザは、次いで、バイオセンサの周波数応答を測定するために波長スイープを実施するように動作される。波長スイープの幅は、少なくとも1つの共振周波数を跨ぐ。その他の選択肢として、センサの少なくとも1つの自由スペクトル領域にわたる、又はより多数の共振を跨ぐなどがある。チップ上のバイオセンサ上における生体分子の存在は、堆積された分子の物理的特性及び化学的組成に基づいて、スペクトルスイープに応じるバイオセンサの光学応答を、生体分子不在時におけるバイオセンサの光学応答と比べて変化させる。この応答は、センサを通り抜ける、波長の関数としての光の強度の変化として現れ、逆進光路の終端にあるフォト検出器において捕えられる。光は、両端に配された入力格子カプラ及び出力格子カプラを終端とする光導波路を通じてセンサに対して出入りするように送られる。格子カプラは、平面伝播モードを自由空間光ビームへ、又はその逆へ変換する。
【0036】
光ファイバシステムは、単一モードのすなわち偏波保持(PM)式の光ファイバと、光ファイバ分割器と、波長参照システムと、チップ上のバイオセンサを突き止めるために使用される逆結像システムとを含む。
【0037】
チップ上におけるセンサの位置を識別するために、機器の前進経路から現れ出る光ビームは、チップ上の様々な位置におけるチップからの光学応答の空間地図すなわち画像を測定するためにチップ表面をラスタするように設定される。チップのこの地図すなわち画像は、表面からの反射をフォト検出器において捕えることによって形成される。カプラの位置に関する知識があれば、これらの位置へ連続的に戻ることによって複数のセンサが高速で調査される。
【0038】
図1は、光学的な探査及び検知に基づくバイオセンサ装置の典型的な一実装形態を示している。この装置は、光学調査器(100,200)と、測定対象となる1つ又は複数のバイオセンサチップ(206)を保持するためのチッププラットフォーム(215)とを含む。光学調査器は、バイオセンサチップ(206)へのプローブ光の方向付け並びにバイオセンサチップ(206)からの戻りプローブ光の収集及び測定を共同で行うファイバ光学システム(100)と自由空間光学システム(200)とを含む。チッププラットフォームと光学調査器との間の相対的な位置付けは、例えば1つ又は複数の運動アクチュエータを有する機械的位置決めステージなどの位置決めシステムを使用して制御及び調整することができる。
【0039】
ファイバ光学システム(100)は、光学サブシステムの一実装形態であり、該サブシステムは、オンチップバイオセンサを光学的に調査するためにバイオセンサチップ(206)に送られるプローブ光を生成するための波長可変レーザ(101)と、レーザ(101)の波長がスイープされるときにプローブ光の波長の値を較正及び測定する波長参照部と、オンチップ位置付け参照を提供するためのオンチップ光学識別マーカの空間登録部とを提供する。この光学サブシステム(100)は、個別の光学素子を使用して、又は個別の光学素子とファイバ光学との組み合わせを使用して実装することもできる。例えば、ファイバエタロンを自由空間エタロンで置き換えることができる。別の例では、対応するファイバ素子を排除するために自由空間レーザ及び自由空間分割器を使用することができる。
【0040】
図1に示された具体例では、ファイバ光学システム(100)は、バイオセンサチップ(206)の光学的調査用及び波長参照部への提供用にプローブ光を方向付けるために、並びにオンチップ識別マーカの空間登録用にバイオセンサチップ(206)からの戻りプローブ光を方向付けるために、2×2光ファイバビーム分割器を使用する。2×2光ファイバビーム分割器(102)は、ファイバを通じて光を方向付けるために、4つの分割器ポート、すなわちポート1(102A)、ポート2(102B)、ポート3(102C)、及びポート4(102D)を含む。波長可変レーザ(101)からビーム分割器(102)への光は、分割器ポート1(102A)を通して調達され、該ポート1は、引き続き、2本の経路に分かれる、すなわち、ポート2(102B)を通じて自由空間光学システム(200)のコリメータ(201)への供給を行うファイバコリメータ106に到る第1の経路と、ポート4(102D)を通じて波長参照システム(103)及び波長参照光学検出器(105)に到る第2の経路とに分かれる。ポート2(102B)は、プローブ光を自由空間光学システム(200)及びバイオセンサチップ(206)へ方向付けることに加えて、自由光学システム(200)を通じてバイオセンサチップ(206)からの戻りプローブ光を収集するためにも使用される。収集された戻りプローブ光は、ポート3(102C)に送られ、オンチップ識別マーカの画像を含むバイオセンサチップ(206)画像を作成するためにフォト検出器(104)によって受信される。
【0041】
自由空間光学システム(200)では、ファイバ光学システム(100)のコリメータ106からのプローブ光のコリメートビームが、自由空間コリメータ201によって受信され、自由空間ビーム分割器(202)を通って伝播され、第1の電動のtip-tilt(先が上向き反った)走査ミラー(203)にぶつかる。走査ミラー(203)は、コリメートビームを第2のtip-tilt走査ミラー(204)へ反射して対物レンズ(205)に到達させ、該対物レンズは、バイオセンサチップ(206)を置かれた焦点面上へビームを集束させる。一実装形態では、2つの走査ミラー(203,204)は、それぞれ、2つの制御電圧のもとでミラーを傾かせて2本の直交軸X及びYを中心に回転させるために、少なくとも1つのアクチュエータによって制御することができる。2つの走査ミラー(203,204)上の制御電圧は、バイオセンサチップ(206)の表面上におけるビームの位置付け及び主光線角度を表わすように較正することができる。
【0042】
図解されるように、対物レンズ(205)、走査ミラー(203,204)、及びビーム分割器(202)は、バイオセンサチップ(206)からの戻り光の収集も行う。ビーム分割器(202)は、バイオセンサチップ(206)からの収集された戻り光を、バイオセンサチップ(206)の原画像を生成するためにファイバ光学システム(100)のフォト検出器(104)に戻るように方向付けられる第1の収集光信号と、バイオセンサチップ(206)上のバイオセンサにある生体分子を測定するためにセンサ光信号の受信及び検出を行う自由光学システム(200)内の光学検出器(211)を有した光学的検知モジュール内へ方向付けられるセンサ光信号としての第2の収集光信号とに分割する。
【0043】
図2は、バイオセンサチップ(206)上へのプローブ光の結合及びバイオセンサチップ(206)からの光の収集を図解するために、自由光学システム(200)のバイオセンサチップ(206)及び対物レンズ(205)の一部を示している。バイオセンサチップ(206)は、対物レンズ(205)からのプローブ光をバイオセンサチップ(206)内へ結合する1つ又は複数の光学入力結合構造(306)と、バイオセンサチップ(206)外へ光を結合する1つ又は複数の出力結合構造(308)とを有する。光学入力カプラ(306)は、自由空間ビームからのプローブ光を、プローブ光を1つ又は複数のオンチップバイオセンサに送るオンチップ光導波路(307)に通される誘導波に変換する。光学出力カプラ(308)は、オンチップ導波路(307)内の光を、入力カプラからの入力ビームの鏡面反射の方向と異なる方向の自由空間ビーム(309)に変換することによって、光の逆変換を実施する。例えば、各光学出力結合構造(308)は、チップか
ら現れ出る光を前進経路の入射角と一致する角度にするように構成することができる。この構成下では、チップから現れ出る光は、逆進経路をたどって自由空間ビーム分割器に到達する。
【0044】
チップからの光を入力光の鏡面反射と異なる方向に結合する上記の設計は、生体分子の測定のためにセンサ光信号の受信及び検出を行う自由光学システム(200)内の光学検出器(211)に鏡面反射が入るのを阻止するために、チップ表面における入力光の鏡面反射と、1つ又は複数の光学出力結合構造(308)によって生成される出力光との分離を可能にする。これを実現するために、チップ(206)及び自由空間光学システム(200)は、鏡面反射された光の大半が対物レンズ(205)の集光開口から外れるように、互いに対して角度をなして搭載される。
図2において、対物レンズ(205)は、チップ(206)の表面法線(303)に対して角度(302)をなして搭載される。対物レンズ(205)は、出力結合構造(308)からの出力光を受信するように位置決めされ、チップ(206)からの鏡面反射(304)は、対物レンズ(205)の開口数を免れることが示される。結合構造(306,308)は、様々な構成で実装することができる。後述される例では、入力結合構造(306)及び出力結合構造(308)を実装するために、格子カプラが使用される。一部の実装形態では、入力結合構造が出力結合構造としても機能することができるが、これは、空間フィルタ(209)の再位置決めを必要とするであろう。
【0045】
ラスタによってチップの画像が作成されるときは、専用の再帰反射格子からの光が入射角と同じ角度で反射される。この光は、対物レンズ(205)によって収集され、自由空間光学システム(200)内において逆進経路をたどり、ファイバ光ビーム分割器のコリメート端に戻り、ポート3(102C)に現れる。フォト検出器(104)は、ポート3(102C)から出力された光を受信し、適切な機器によって捕えられる電気信号を生成する。収集されたデータは、次いで、2D画像に変換され、自動化ソフトウェアは、結合構造の位置を一意に識別し、所定の再帰反射格子の支援によってカプラを一意に識別する。
【0046】
格子カプラのモードは、単一モード(SM)又は偏波保持(PM)式の光ファイバのそれにおおよそ一致させることができる。自由空間光学システムにおいて使用されるレンズの組み合わせは、自由空間と光ファイバとの間におけるモード一致の要件に見合うように選択される。一実装形態では、第2の走査ミラー(204)は、それがその呼び位置付けから傾いているゆえの軸外入射の場合における主光線角度の逸脱を最小限に抑えるために、対物レンズ(205)の前方焦点距離に搭載される。また、第1の走査ミラー(203)は、素子の変動性によって引き起こされる不整合誤差、機械加工公差、及び組立時に与えられる誤差の補正を可能にする。特に、角度の又は並進の不整合は、主光線角度、波面誤差、スポット直径、スポット空間プロファイルなどをそれらの最適/呼び設定から逸脱させる恐れがあり、このような場合、第1の走査ミラーは、このような誤差の影響を相殺するために、その枢支点を中心に偏倚させることができる。
【0047】
動作にあたり、走査ミラー(203,204)は、自由空間光学システム(200)からチップ(206)上へプローブ光のビームをラスタするために使用される。ビームスポットは、次のカプラ上へ移動するまで、選択されたスペクトル領域を通した波長スイープの期間中ずっと一格子カプラ上にある。
図2は、この動作を図解している。スポット(305)が入力カプラ(306)にくると、自由空間ビームからの光は、誘導波モードに変換され、これは、出力結合構造(308)から現れ出るまで導波路(307)を通じてチップ内を伝播する。出力においては、誘導波モードから自由空間モードへの逆変換がなされる(309)。チップから現れ出るときの光は、角度が前進経路の入射角と一致しており、逆進経路をたどって
図1に示された自由空間ビーム分割器(202)に到達する。
【0048】
図1~3は、自由光学システム(200)内の光学検出器(211)を有した光学的検知モジュールの構造及び動作も図解している。この例の光学的検知モジュールは、ビーム分割器(202)から受信されたビームを結像レンズ(208)を通るように方向付ける折り畳みミラー(207)を含み、結像レンズの焦点面は、ナイフエッジ又はピンホールであり得る空間フィルタ(209)を使用して空間的にフィルタリングされる。このような構成は、出力格子カプラ(308)によって外へ結合された光の方向に沿って光を伝送するとともに、入力カプラ(306)によって回折され対物レンズ(205)によって収集されて検出器(211)におけるノイズに寄与する不要な光を遮断する。ピンホール(209)は、入力カプラ(306)から現れ出る望ましくない回折ビームによって形成されるスポットと、出力カプラから現れ出る信号ビームによって形成されるスポットとの間における空間的な分離に依存する。
図3に図解されるように、スポットサイズの増大を犠牲にしてこの分離を増幅するために、焦点距離の長い低速結像レンズ(208)を使用することができる。軸上回折制限性能を発揮するレンズは、ノイズスポットがピンホール(209)によって成功裏に遮断されるように、2つのスポット(402)と(403)とを十分に分離することができる。信号検出器(211)は、リレーレンズシステム(210)の像面に配される。
【0049】
なお、その他に、光学システム設計の分野の当業者によく知られた様々な空間フィルタメカニズムがあること、及びこれらのフィルタが好ましい実施形態として説明されたピンホール及びリレーレンズシステムの代用にできることに留意せよ。
【0050】
波長スイープにおいて、オンチップバイオセンサの表面上に固定された生体分子は、共振波長を変化させ、その共振波長にレーザがチューニングされたときに波長の関数の形で強度を変化させる。
【0051】
装置は、バイオセンサの波長スイープと、波長参照とを同時に実施する。例えば、オンチップバイオセンサは、リング状にパターン化された導波路によって形成されるなどの共振光キャビティを含むことができ、該キャビティは、格子カプラを両終端とする線形導波路を通してアクセスされる。参照部(103)の実装には、様々な波長参照部を使用することができ、このような例の1つは、自由スペクトル領域(FSR)、フィネス、及び透過性などの既知の光学的性質を持つ光ファイバファブリーペローエタロンである。
【0052】
各波長スイープ時において、センサキャビティの共振位置は、センサの透過スペクトルを観測することによって決定される。スペクトルは、レーザが共振外であるときに最大透過を示し、レーザ波長がキャビティの共振波長に近づくにつれてローレンツ型線形状の下落をたどる。生体分子がセンサに結合する又はセンサから解放されるにつれて、そのスペクトルは変化するので、共振波長は、分子の質量、大きさ、及び立体配座形状の関数として、(結合の場合に)赤方偏移される又は(喪失の場合に)青方偏移される。この偏移は、連続する波長スイープ時に観察され、バイオセンシング装置の基幹となる測定である。したがって、センサ共振ピークの誤移動を引き起こすノイズ源を排除することが重要である。センサピーク位置を正確に測定するために、参照としてエタロンピークが使用される。エタロンを通って伝播する光は、同じ波長スイープを経験し、フォト検出器においてファブリーペローキャビティスペクトルを形成する。センサキャビティ及びエタロンは、ともに、ほぼ同時にアドレス及びサンプル抽出されるので、これらのデバイスからの戻り信号は、時間及び波長を良く整合されている。
【0053】
図1では、検出器104、105、及び211から信号を受信し、それらの信号を処理するために、検出処理ユニットが提供される。検出処理ユニットは、センサキャビティの共振ピークの位置及びエタロンスペクトル中のピークの位置を検出する自動化ソフトウェ
アによってプログラム可能である。上記のように、エタロンのFSRは、既知で且つ制御状態にあり、一定であると想定される。ソフトウェアは、位置、Q値(Q)、消光比(ER)、左右の壁の傾斜、ピーク透過、並びに線形、分裂、非線形などのピークの特性を含む、共振線形状の重要な特質を決定する。検出処理ユニットは、また、エタロンスペクトル中に存在する全てのピークの位置を決定するために使用することもできる。センサ共振ピーク位置の正確な測定を行うために、2つのスペクトル(センサ及びエタロン)が重ね合わされる。検出処理ユニットに加えて、コントローラユニットもまた、各種の素子の動作を制御するために及び各種の素子の動作を連係させるために提供することができる。例えば、センサチップ上へのプローブ光の走査と、波長可変レーザの走査及びその他の制御動作との同期化を、コントローラユニットにおいて実施することができる。一部の実装形態では、コントローラユニットは、検出処理ユニットとは別のユニットであってよく、検出処理ユニットからの出力を受信し、このような出力を制御動作の実施に使用する。その他の実装形態では、コントローラユニットは、検出処理ユニットと統合して1つのユニットにすることができる。コントローラユニットの一部として、コンピュータ又はマイクロプロセッサを使用することができる。
【0054】
図1の設計の一実装形態では、エタロンのFSRをセンサキャビティのFSRよりも小さく設定することができ、これは、数個のセンサピークに多数個のエタロンピークを重ならせる。アルゴリズムは、エタロンピーク間の距離が一定であると想定し、左又は右のいずれかの周辺ピークからの比例距離が計算されるように共振ピークを周辺エタロンピークの基準にする。続いて、最初の1つから左の共振ピークに隣接する1つまでエタロンピークの数がカウントされ、エタロンFSRに乗算される。これらの2つの数量は、センサピークの厳密な位置を生成するために加算される。この方法は、レーザスイープ速度の変動によって引き起こされる不正確さを排除する。波長ピーク位置の測定精度を更に高めるには、複数のセンサ共振を内包する広い波長スイープを使用することができる。各ピーク位置は、上述された方式で識別され、次いで、ノイズの少ない結果を得るために平均化される。
【0055】
図1のバイオセンサ装置を実装するにあたり、バイオセンサチップ(206)上のバイオセンサは、各種の構成で実装することができる。一具体例として、
図1のバイオセンサチップ(206)上のオンチップバイオセンサとしてリング共振器を実装することができる。
【0056】
図4は、導波路502によってアドレスされるリング共振器503を含むバイオセンサチップ(206)の一例を示している。光は、格子カプラ501を使用してチップ内/外へ結合される。この例のチップは、チップを横断して流れるように流体を方向付ける複数の流路601を有するように設計される。1つの選択肢は、流路601を切り抜かれたガスケット600を構築することである。流体は、ポート602を通じて流路に出入りすることができる。
【0057】
チップ表面は、導波路502とガスケット又は流体若しくは流体中の成分との接触を望まれる場所を除く大部分を、そのような接触を阻止する働きをする被覆材料でコーティングされる。例えば、格子カプラに最も近い流路の下を通って遠い方の流路へ向かう導波路は、近い方の流路内の流体とはいかなる相互作用も有さないことが望ましく、したがって、この領域は、被覆されるべきである。また、ガスケット材料は、導波路と相互作用することがあるので、ガスケットの設置場所の真下の導波路もまた、被覆されるべきである。リング上の全域又は一部などのように、流体又は流体中の成分と導波路との間に相互作用があることが望ましい場所では、リソグラフィプロセスなどによって、リング共振器106における被覆材料を取り除き、リング共振器106の全域又は一部を相互作用のために露出させることができる。また、必ずしも全てのリングが被覆を取り除かれる必要がある
とは限らないことに留意せよ。特定のリングは、センサ出力から温度などの影響を排除してシステムを較正する制御のために、稼働バイオセンサとしてではなく参照リング共振器として使用され得るように、手つかずのままで被覆を有することができる。
【0058】
また、各リングの識別を明確に決定することも求められる。チップは、複数のバイオセンサを含んでよく、各格子カプラの近くには、光学システムによって走査可能であるように構成された一意の識別子504が配されてよい。この一意の識別子は、描写されたようなバイナリコードであってもよいし、又はその他の任意のタイプの物理的コード体系であってもよい。この例では、各リング共振器503は、対応する導波路502に光学的に結合され、該導波路502の両端には、2つの格子カプラ501が結合される。対応する隣接する格子カプラ501の位置識別を提供するために、対応する格子カプラ501に隣接して光学的識別マーク504が形成される。
【0059】
より効率良く格子カプラ内へ結合するため及び反射を阻止するためには、
図4に示された回転軸を中心に角度をなしてチップ内へ結合することが求められる。
【0060】
図5は、流路601を含むガスケット600をチップ206と流体マニホールド700との間に配された、発明の典型的な一実施形態の断面を示している。流体マニホールド700は、流体を流路601に出入りさせることができる送路702を内包する。チップ206とマニホールド700との間に圧縮力を配することによって、ガスケットによるシールがなされる。なお、光学システムが干渉を受けることなく格子カプラを調査することができるように、ガスケット600及びマニホールド700は、ともに、格子カプラに重なる領域からは排除されている、すなわちそのような領域には達していないことに留意せよ。
【0061】
代替の一実施形態として、ガスケットとマニホールドとの間に上方シールを形成するのに圧縮が不要であるように、ガスケット内に流路を一体的に構築する、又はガスケットをマニホールドに永久的に接合することが考えられる。
【0062】
図6は、リングセンサ503及び入力導波路502の断面を示している。被覆507は、入力導波路502を覆っているが、リングセンサ503にかぶる領域506からは取り除かれている。この例では、リングセンサ503の中心に、中央分離帯507aが随意に形成されている。適切な光導波動作を維持するために、上方被覆507及び下方被覆508は、ともに、導波路502の屈折率よりも小さい屈折率を有する。このための材料体系の一例として、導波路をシリコンで構築し、下方被覆をシリコンオンインシュレータウエハの埋め込み酸化物から形成することが挙げられる。この例では、基板509は、シリコンハンドルウエハである。なお、光は、導波路を下るにつれて、上方被覆が存在する場所から上方被覆を取り除かれた場所へと境界を通過することに留意せよ。この境界に関連する反射を軽減又は排除する1つの方法は、上方被覆107と、センサに導入される流体との間において屈折率を一致させることである。被覆材料は、流体を構成している検知対象材料に対してほぼ非反応性であることが望ましい。特定の状況では、センサチップの大部分を疎水性にしつつ、露出領域506内に親水性の区域を作成することが有利であろう。これらを全て考慮に入れると、上方被覆507として最適な材料選択は、多くの場合、フルオロポリマ又はペルフルオロポリマを含むポリマ類からである。フッ素の存在は、屈折率を、約1.33である水の屈折率と同程度まで下げるために使用することができ、また、主として非反応性の疎水性表面を形成する働きをする。このようなポリマとして特に優れた例は、CYTOPであり、これは、屈折率1.33を有し、不活性で且つ疎水性であり、リソグラフィエッチングプロセスを通じて容易にパターン化される。
【0063】
図6a及び
図6bは、プローブ分子をセンサ表面に取り付けるための方法を示している
。リング503内にシリコン導波路502が形成され、薄い二酸化シリコン層510でコーティングされる。この薄い二酸化シリコン層510は、エバネッセント場が、上に配された任意の化学物質と強く反応しつつも、ガラスと共有結合するシランとして知られるクラスの分子を通じた表面結合を開始させるよくあるやり式としても機能することを可能にする。2つの異なるタイプの一般的な導波路が図示されており、
図7aには、下方被覆508を露出させた完全にエッチングされた導波路502が、
図7bには、下方被覆508が露呈していない部分的にエッチングされた導波路502が、それぞれ示されている。
【0064】
図8は、
図1における焦点合わせ光学を含む自由空間光学システム(200)の光場800にチップ206が配された図を示している。ビームの主光線801は、チップ206の表面の法線ではない。この例では、焦点面803は、チップ206のチップ表面全体を含まない。チップ206は、
図4に示された軸を中心に回転された状態で示されている。このように、格子カプラ501及び識別マーク504を、全て、システムの一定の焦点設定で見ることができるようにチップ表面上に一列に配することが重要である。
【0065】
図1及び
図2を参照すると、自由空間光学システム200からのプローブ光は、空気中を通ってチップ上のリング共振器用の格子カプラ上に到るように方向付けられる。光が格子カプラ内へ効率良く結合されるためには、光のスポットサイズが格子カプラとおおよそ同サイズであることが求められる。適切なスポットサイズを実現するために、自由空間光学システム200は、ビームの焦点をチップ表面上に合わせるように設計される。光学調査器内部の光路は、全て、固定経路長を有するので、光学調査器とチップ表面との間の経路を調整することによって、ビームの焦点をチップ表面上に望ましい形で合わせることができる。
【0066】
光学調査器とチップ表面との間の距離は、焦点高さと呼ぶことができる。一実装形態では、焦点高さの調整は、機械的ステージを通じて実現される。ステージは、自動化(ソフトウェア制御された)アクチュエータを通じて移動される。光のスポットは、格子カプラの近くに位置決めされ、チップ上における格子カプラの画像を形成するためにチップ上の様々な場所にある様々な格子カプラに対してラスタされる。ラスタ時には、出力格子カプラから出てくる光の最大強度が測定され、メモリに保存される。1回のラスタが完了し、出力カプラから放射された光の強度が記録されたら、作動ステージは「X」ミクロンだけ移動され、プロセスは繰り返される。もし測定された放射光が前の繰り返しよりも大きいならば、方向及び振幅は実質的に変わらないまま、ステージは再び同じ量だけ移動され、プロセスは繰り返される。もし測定された光応答が前の繰り返しよりも小さいならば、作動ステージの移動はおおよそ半分に減らされ、方向は逆転され、プロセスは繰り返される。このプロセスは、run-to-run変動が特定の割合未満又は閾値未満に収束されるまで繰り返される。
図9は、上記の焦点調整を示したフローチャートである。
【0067】
代替の一実施形態として、単純なステップの代わりに二分検索などのその他のアルゴリズムを使用して、そのアルゴリズムを上述のように繰り返すことが考えられる。
【0068】
設計によって、チップ上のセンサは、全て、概ね同じ焦点距離を有する。したがって、1つのセンサを選び、その特定のセンサ上にビームの焦点を合わせれば、その他の全てのセンサにも焦点が合う。システム設計に固有なもう1つの事実は、格子カプラに焦点が合えば、それに隣接する再帰反射格子にも焦点が合うということである。光学調査器の焦点に合うように配されたチップは、次のステップであるセンサ登録に進む準備が整う。
【0069】
図1のバイオセンサ装置を使用した各種のセンシング応用では、チップ上の各センサは、テストにおいて独自の役割を有することができ、チップ上の異なるセンサは、異なる測定を実施するために使用される。このような応用では、チップ上の異なるセンサは、各セ
ンサに一意の識別子を割り振ることによって分離及び識別する必要がある。各センサに一意の識別子を割り振るには、センサから実際の測定値を得るためのセンシングラスタ走査が実施される前に、光学調査器によって、チップに対して登録のための光学ラスタ走査を実施してチップを「登録」すればよい。
【0070】
図10は、チップ上の各個別センサに識別番号を割り振るためのチップ登録プロセスの一例を示している。
図4の例に示されるように、ID番号は、チップ上において、対応するオンチップセンサの隣に、再帰反射格子などの光学識別マーク504の形態でエッチングすることができる。再帰反射格子は、2進数列の形にパターン化された反射構造であり、再帰反射格子504の各セットは、その対応するセンサの一意の識別番号である2進数を含む。「登録」のプロセスは、チップの「写真」を撮影し、各センサを見つけ、次いで、対応するその再帰反射格子構造を読み取ることによってなされる。チップの「写真」撮影は、チップ表面全体を「ラスタ」することによってなされる。ラスタは、焦点を合わされたスポットによってチップ表面全体を往復して走査することを言う。ラスタは、自動化された2軸ミラーを駆動し、チップの上でスポットを操縦することによって達成される。ラスタステップにおいて、反射された/放射された光は、フォト検出器及びアナログデジタル変換器(ADC)セットを通じて光学調査器内の2つの異なる場所で収集される。これらの信号のサンプル抽出は、生成されたミラー操縦DAC信号と時間的に同期される。収集された信号は、チップの2D画像を作成するために再構築することができる。
【0071】
収集された2つの信号の1つ目は、フォト検出器211によって収集され、登録時のみならず機器使用の焦点合わせ段階及び測定段階でも使用される「センサ」信号である。登録及びセンサ識別との関連では、この信号は、各センサがチップ上のどこにあるかを突き止めるために使用される。各センサの位置は、その特定のセンサに関連付けられた入力格子カプラの上にスポットを移動させるために必要とされるミラー電圧によって定められる。これらのセンサ位置電圧は、信号検出器が生成した再構築写真のルックアップを行うことによって見出される。信号検出器によって生成されたチップの写真は、夜空の星に似ている。画像の大半は暗いが、センサが存在するところにだけ明るい点がある。
図11は、検出器211によって得られたこのようなチップ上の識別マークの画像の一例を示している。明るい点のサンプル数は既知であり、センサ信号検出器のサンプル抽出はミラー駆動信号と時間的に同期されているので、ミラーをそのセンサに持ってきたミラー駆動電圧は推測することが可能である。登録プロセスのこの時点において、スポットを各センサ入力格子カプラへ駆動するミラー電圧は既知である。これらは、再帰反射格子信号をどこに設置するべきかを判断するために後ほど使用される。
【0072】
収集された2つの信号の2つ目は、ファイバ光学システム100のフォト検出器104によって収集され、登録時に使用される「再帰」信号である。この信号は、再帰反射格子が存在するチップの写真を構築することができる。検出器211において収集されるセンサ信号は、センサのみが立ち現れるように、1回目はチップ205からの鏡面反射を最小限に抑えるための対物レンズ205とチップ206との相対的な位置決めによって、2回目は空間フィルタ209によって、2回の空間フィルタリングを経ている。検出器104によって収集される再帰信号は、未修正であり、チップ表面からのあらゆる反射を示す。その一例が、
図12に示されている。再帰反射格子特徴は、チップ表面のそれ以外の部分よりも大幅に明るい反射をなすように設計され、したがって、センサ信号上においてセンサが立ち現れるのとほぼ同様に、再帰信号上においても際立つ。再帰反射格子の物理的寸法及びチップ表面を調査している光の角度は、再帰反射格子構造の照射において重要である。焦点を合わされたビームがチップ表面の上にラスタされる間、再帰信号は、ミラー駆動信号及びセンサ信号とともに同期的にサンプル抽出される。センサ信号と同様に、再帰信号もまた、チップ表面の写真を描画するために再構築することができる。
【0073】
なお、再帰反射格子信号が、ファイバシステムの戻り経路上に設けられた再帰フォト検出器104を使用して一意に観測可能である一方で、自由空間システム内の(分割器207の別のアーム上に設けられた)随意のフォト検出器によって測定される再帰反射信号は、格子カプラ信号及び再帰反射格子信号の両方を含むことに留意せよ。代替の実施形態として、これらの信号のいずれか一方又は両方を用いることが考えられる。
【0074】
ラスタ及び信号獲得が完了すると、再帰信号及びセンサ信号から生成された画像は、各センサを一意に識別するために併せて使用することができる。センサ位置及び再帰反射格子信号が異なる走査で生成される場合は、相対的な位置付けは正確に決定されない。生成された2つの画像間には、画素オフセットがある。これらの画素オフセットは、ラスタADCサンプル抽出域において時間オフセットに転換される。焦点を合わされたスポットがセンサ入力を渡った時間に基づいて、スポットが再帰反射格子セットを渡った時間を推定することができ、そうして、各センサに関連付けられた再帰反射格子セットを決定することができる。
【0075】
好ましい実施形態は、再帰反射信号及び格子カプラ信号の両方を同時にサンプル抽出し、そうして画素整合の問題を回避することである。
【0076】
再帰反射格子セットの画素が計算されたら、それらは、デジタル処理を経て、有用な数に転換することができる(
図13を参照せよ)。このコード体系の例では、再帰反射格子セットの明るい点は、2進値「1」と見なされ、再帰反射格子セットの暗い点は、2進値「0」と見なされる。順次に結合されるとき、これらの1及び0は、各センサを一意に識別するN長の2進数を構成する。2進数の論理閾値は、各再帰反射格子セットについて、収集された信号の強さ及びその特定の再帰反射格子セットのノイズレベルに基づいて動的に計算される。各センサのIDが正確に決定されることを保証するために、誤差補正が適用される。誤差補正は、任意のセンサペアの間隔が、任意の隣り合うセンサペア間の既知の距離の離散倍数であることを保証することによって適用される。隣り合う又は隣り合わない任意のセンサペアのIDについて、IDの絶対差は、2つのセンサ間の距離を、隣り合うセンサペアの既知の距離で割ったものに等しい。先の基準は、センサIDを検証するために、登録時に見出された全てのセンサに対して適用される。
【0077】
もし全てのセンサIDが有効であることがわかったならば、センサ位置及びそれらのIDは、チップ上のセンサの測定を行うために使用することができる。センサの位置は、機器実行の自由空間調査段階において使用される。
【0078】
チップ上のセンサの自由空間調査は、焦点を合わされたスポットを特定のセンサの入力格子カプラ上へ操縦し、次いで、センサの入力格子カプラ上にスポットが固定されている間に光の波長をスイープすることによって達成される。スポットは、自動化(ソフトウェア制御された)2軸ミラーによって操縦される。登録段階では、ミラーを各センサ上へ操縦するために使用される電圧が見出され、メモリに保存される。各センサ入力は、チップ表面上における自身の2D座標を有し、時間及び空間について個別に調査される。
【0079】
測定時において、センサは、総当たり方式で次々に調査され、その一連の手順は繰り返される。一部の実装形態では、調査に関わる全ての物理的構成要素を1つのデジタルトリガ信号に同期させることができる。ミラーは、トリガ信号の立ち下りで移動され、トリガ信号の次の立ち上がり前に定着される。トリガ信号の立ち上りが受信されると、波長可変レーザは、その波長走査を開始させる。波長走査は、センサ調査の主要なポイントである。波長可変レーザがその波長操作を完了させると、トリガ信号はローに切り替えられ、ミラーは次のセンサに移動される。
【0080】
光学調査器とその内部素子の熱的及びその他の効果ゆえに、センサの位置は、時間の経過とともにずれることがある。これは、
図14に示される、較正プロセスにおける「追跡アルゴリズム」の使用を通じて対処することができる。スポットがセンサ入力格子カプラ上で完璧に中心合わせされていないときは、センサ出力格子カプラ上で検出される電力が低下する。これは、スポットをセンサ入力格子カプラと整合させるためのフィードバックが長期にわたって使用されていない場合に問題になる恐れがある。焦点を合わされたスポットをセンサ上で移動させるために使用されるミラー電圧は、システムにおける任意のずれを追跡する手段として意図的に修正することができる。ミラー座標を取り、その周囲にごく小さい円を描き、その円上に離散点を取ることによって、後続調査用の新しいミラー座標を作成することができる。最初の点から僅かに逸脱する傾向があるこれらの点は、スポットを操縦するのにベストな新しい方向を探すために使用することができる。同じセンサを新しい座標で調査し、各スポットについての入力結合効率を記録した後に、新しいベストな座標を選ぶことができる。この新しい座標は、次の放射状テスト点セットの図心として使用することができる。このずれの探索、移動、及び追跡のプロセスは、機器が自由空間調査を通じてセンサを調査し続けるために使用することができる。
【0081】
光学調査器は、
図1の例に示されるように2つのソフトウェア制御式ビーム操縦ミラー203、204を組み入れるように構成することができる。ミラーA(203)の主な機能は、チップ表面への操縦ビームの主光線(入射角とも言う)を制御することである。ミラーB(204)の役割は、チップ表面上におけるビームの位置付けを制御することである。ミラーB(204)は、ビームの入射角を変化させるが、その程度は、ミラーA(203)によるよりも遥かに小さい。ミラーA(203)のためのX及びYコマンド電圧を較正することによって、実験時における結合効率をその最大値にすることができる。これは、信号対ノイズのレベルを高くする。
【0082】
ミラーBのためのX軸及びY軸コマンド電圧の較正は、ミラーAのためのN×NセットのX軸及びY軸コマンド電圧を繰り返しループすることによって達成することができる。各繰り返しにおいて、ミラーBは、チップ表面をラスタし、全てのセンサについて結合効率プロファイルが収集される。2次元検索が完了し、その結果は、どのペアのX,YミラーA電圧が最大結合効率を生じたのかに自動的に解釈することができる。このX,YミラーAコマンド電圧ペアは、機器使用の実験段階時において主光線を設定するために使用される。これらの値は、不揮発性メモリに保存され、機器の電源がオンにされるたびに揮発性メモリに取り込まれる。ミラーAは、初期起動時において較正電圧に達するように指示され、機器の電源がオンである間中その位置付けで維持される。ミラーは、機器が使用されていないときはその呼び位置付けに落ち着くことができる。
【0083】
代替の一実施形態は、適切な主光線の実現を保証するのに十分な機械公差を伴う光学調査システムを構築することである。この筋書きでは、ミラーAを固定ミラーに置き換えて、ミラーBのみをチューニング可能要素として残すことができる。
【0084】
本文献は、多くの詳細を含んでいるが、これらは、特許請求されている又は特許請求され得る発明の範囲に対する制限としてではなく、むしろ、特定の実施形態に特有の特徴の説明と見なされるべきである。本文献において個々の実施形態との関連で説明されている特定の特徴は、組み合わせて1つの実施形態に実装することもできる。反対に、1つの実施形態との関連で説明されている各種の特徴は、複数の実施形態に別々に又は任意の適切な小組み合わせで実装することもできる。更に、特徴は、特定の組み合わせで機能するものとして上述され尚且つ最初はそのように特許請求されているが、場合によっては、特許請求されている組み合わせから1つ又は2つ以上の特徴を切り離すことができ、特許請求されている組み合わせは、1つの小組み合わせ又は1つの小組み合わせのヴァリエーションに関するものであり得る。同様に、動作は、特定の順序で図に示されているが、これは
、このような動作が、所望の結果を得るために、図示されている特定の順序で又は起こった順番で実施される必要があるとも、又は例示されている全ての動作が実施される必要があるとも理解されるべきでない。
【0085】
幾つかの実施例及び実装形態のみが開示されている。開示された内容に基づいて、説明された実施例及び実装形態に対するヴァリエーション、変更、及び強化、並びにその他の実装形態がなされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書または図面に記載の発明。