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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065043
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】閉鎖デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018282
(22)【出願日】2022-02-08
(62)【分割の表示】P 2021544454の分割
【原出願日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2020107299
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501185279
【氏名又は名称】ネットビジネスコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 晴敏
(57)【要約】      (修正有)
【課題】閉鎖デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】閉鎖デバイスの製造方法は、組織の孔又は管の形状及び位置に関する情報に基づいて閉鎖デバイスを作製する作製工程を備える。作製工程は、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、第1拡張部の平面形状、厚み及び材料を含む設計情報を出力とする教師データを用いて学習させた学習モデルに、取得した前記組織の孔又は管の形状及び位置を入力して、第1拡張部の設計情報を出力させる第1プレート設計工程を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心疾患に関連する組織の孔又は管を閉鎖するための閉鎖デバイスの製造方法であって、
前記閉鎖デバイスは、前記孔又は管を覆う第1プレートを備え、
前記第1プレートは、第1中央部と、前記第1中央部の周りに広がり、弾性復元性を有する樹脂を含む第1拡張部と、を備え、
前記弾性復元性は、前記第1拡張部の表面の一部分同士が向かい合うように前記第1拡張部が折り曲げられた状態から、前記第1拡張部が前記第1中央部の周りに広がる状態に戻るという特性であり、
前記製造方法は、前記組織の前記孔又は管の形状及び位置に関する情報に基づいて閉鎖デバイスを作製する作製工程を備え、
前記作製工程は、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、前記第1拡張部の平面形状、厚み及び材料を含む設計情報を出力とする教師データを用いて学習させた学習モデルに、取得した前記組織の前記孔又は管の形状及び位置を入力して、前記第1拡張部の前記設計情報を出力させる第1プレート設計工程を備える、閉鎖デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記作製工程は、3Dプリンタによって前記第1プレートを作製する第1プレート作製工程を備える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1プレートは、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ウレタン、シリコーン又はポリエーテルケトンを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記閉鎖デバイスは、前記第1中央部に連結されたウエスト部と、前記ウエスト部に連結されている第2プレートと、を備え、
前記第2プレートは、前記ウエスト部に連結されている第2中央部と、前記第2中央部の周りに広がり、弾性復元性を有する樹脂を含む第2拡張部と、を備え、
前記作製工程は、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、前記第2拡張部の平面形状、厚み及び材料を含む設計情報を出力とする教師データを用いて学習させた学習モデルに、取得した前記組織の前記孔又は管の形状及び位置を入力して、前記第2拡張部の前記設計情報を出力させる第2プレート設計工程を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の形態は、心疾患に関連する組織の孔又は管を閉鎖するための閉鎖デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症、卵円孔開存症などの心疾患においては、心房中隔や肺動脈などの組織に孔又は管が形成されている。孔又は管を塞ぐための器具として、閉鎖デバイスが用いられている。例えば特許文献1は、金属ワイヤを編み込むことによって構成されたメッシュ構造体を用いて孔を塞ぐ方法を開示している。メッシュ構造体は、心臓に挿入されたカテーテルから押し出されると、心臓内で円盤状に膨らむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6661539号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zahid Amin, Echocardiographic Predictors of Cardiac Erosion After Amplatzer Septal Occluder Placement, Catheterization and Cardiovascular Interventions (2014) 83:84-92.
【非特許文献2】Tadaaki Abe; Shinya Tsukano; Yuko Tosaka, Pericardial tamponade due to erosion of a Figulla Flex II device after closure of an atrial septal defect, Catheter Cardiovasc Interv. (2019) 94:1003-1005.
【非特許文献3】Masataka Kitano; Satoshi Yazaki; Hisashi Sugiyama; Shin-ichi Ohtsuki; Hideshi Tomita, Risk Factors and Predictors of Cardiac Erosion Discovered from 12 Japanese Patients Who Developed Erosion After Atrial Septal Defect Closure Using Amplatzer Septal Occluder, Pediatric Cardiology (2020) 41:297-308.
【非特許文献4】Preetham Kumar; James L. Orford; Jonathan M. Tobis, Two cases of pericardial tamponade due to nitinol wire fracture of a gore septal occluder, Catheter Cardiovasc Interv. (2020) 96:219-224.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メッシュ構造体を用いる場合、閉鎖デバイスの平面形状が制限される。このため、孔又は管の位置や形状によっては孔又は管を適切に塞ぐことが難しい場合がある。
【0006】
例えば非特許文献1~4は、Amplatzer septal occluder(以下、ASOとも称する)を用いて心房中隔欠損症の孔を塞いだ事例を紹介している。ASOは、金属ワイヤを編み込むことによって構成されたメッシュ構造体を備える。非特許文献1~3は、ASOとの接触に起因して組織に生じる心臓穿孔などの機械的損傷(以下、エロージョンとも称する)を報告している。非特許文献4は、メッシュ構造体の金属ワイヤの一部が破損し、破損した金属ワイヤに起因してエロージョンが生じたことを報告している。エロージョンに起因して出血などが生じると、心タンポナーデが引き起こされるリスクがある。心タンポナーデとは、心のう液の増加に起因して心のう内圧が上昇することにより、心臓が十分に拡張することができない状態である。
【0007】
本開示の形態は、このような課題を効果的に解決し得る閉鎖デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の形態は、心疾患に関連する組織の孔又は管を閉鎖するための閉鎖システムであって、
内径D1〔mm〕を有するカテーテルと、
前記カテーテルを介して組織の孔又は管へ運ばれる閉鎖デバイスと、を備え、
前記閉鎖デバイスは、第1中央部と、前記第1中央部の周りに広がり、弾性復元性を有する樹脂を含む第1拡張部と、を含む第1プレートと、前記第1中央部に連結されたウエスト部と、を備え、
前記弾性復元性は、前記第1拡張部の表面の一部分同士が向かい合うように前記第1拡張部が折り曲げられた状態から、前記第1拡張部が前記第1中央部の周りに広がる状態に戻るという特性であり、
前記第1拡張部は、厚みA1〔mm〕を有し、
前記ウエスト部は、平面視において最大寸法T1〔mm〕を有し、
前記カテーテルの前記内径D1は、2×A1+T1よりも大きい、閉鎖システムである。
【0009】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1拡張部は、平面視における最大寸法B1〔mm〕を有し、
A1/B1が1/50以上であってもよい。
【0010】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1プレートは、前記第1中央部の周りに広がるベース層であって、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ウレタン、シリコーン又はポリエーテルケトンを含むベース層を備えてもよく、
前記ベース層の厚みは、第1プレート全体の前記厚みA1の50%以上であってもよい。
【0011】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1拡張部は、20MPa以上150MPa以下の引張強さを有してもよい。
【0012】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1拡張部は、平面視において、第1部分と、前記第1中央部の中心に対して前記第1部分と非対称な形状を有する第2部分と、を含んでもよい。
【0013】
本開示の形態による閉鎖システムは、前記ウエスト部に連結されている第2プレートを備えてもよく、
前記第2プレートは、前記ウエスト部に連結されている第2中央部と、前記第2中央部の周りに広がり、弾性復元性を有する樹脂を含む第2拡張部と、を備えてもよい。
【0014】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第2拡張部は、厚みA2〔mm〕を有し、
前記カテーテルの前記内径D1は、2×A1+2×A2+T1よりも大きくてもよい。
【0015】
本開示の形態による閉鎖システムは、樹脂に埋め込まれているICチップを備えてもよい。
【0016】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記ICチップは、心臓の動作を利用して発電する発電素子を含んでもよい。
【0017】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1プレートは、フッ素樹脂を含む表面層を備えてもよい。
【0018】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1プレートは、前記組織に対向する接触面に位置する複数の突起を備えてもよい。
【0019】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記第1拡張部は、線状に延びる補強部を備えてもよい。
【0020】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記心疾患は、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症又は卵円孔開存症であってもよい。
【0021】
本開示の形態による閉鎖システムは、前記閉鎖デバイスを操作するハンドルを備えてもよい。
【0022】
本開示の形態による閉鎖システムにおいて、前記閉鎖デバイスは、前記第1プレートに設けられているマーカーを含んでもよく、
前記ハンドルは、前記第1プレートの回転角を制御するレバーを含んでもよい。
【0023】
本開示の形態は、心疾患に関連する組織の孔又は管を閉鎖するための閉鎖デバイスの製造方法であって、
前記閉鎖デバイスは、前記孔又は管を覆う第1プレートを備え、
前記第1プレートは、第1中央部と、前記第1中央部の周りに広がり、弾性復元性を有する樹脂を含む第1拡張部と、を備え、
前記弾性復元性は、前記第1拡張部の表面の一部分同士が向かい合うように前記第1拡張部が折り曲げられた状態から、前記第1拡張部が前記第1中央部の周りに広がる状態に戻るという特性であり、
前記製造方法は、前記組織の前記孔又は管の形状及び位置に関する情報に基づいて閉鎖デバイスを作製する作製工程を備え、
前記作製工程は、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、前記第1拡張部の平面形状、厚み及び材料を含む設計情報を出力とする教師データを用いて学習させた学習モデルに、取得した前記組織の前記孔又は管の形状及び位置を入力して、前記第1拡張部の前記設計情報を出力させる第1プレート設計工程を備える、閉鎖デバイスの製造方法である。
【0024】
本開示の形態による製造方法において、前記作製工程は、3Dプリンタによって前記第1プレートを作製する第1プレート作製工程を備えてもよい。
【0025】
本開示の形態による製造方法において、前記第1拡張部は、厚みA1〔mm〕及び平面視における最大寸法B1〔mm〕を有してもよく、
A1/B1が1/50以上であってもよい。
【0026】
本開示の形態による製造方法において、前記第1プレートは、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ウレタン、シリコーン又はポリエーテルケトンを含んでもよい。
【0027】
本開示の形態による製造方法において、前記閉鎖デバイスは、前記第1中央部に連結されたウエスト部と、前記ウエスト部に連結されている第2プレートと、を備えてもよく、
前記第2プレートは、前記ウエスト部に連結されている第2中央部と、前記第2中央部の周りに広がり、弾性復元性を有する樹脂を含む第2拡張部と、を備えてもよく、
前記作製工程は、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、前記第2拡張部の平面形状、厚み及び材料を含む設計情報を出力とする教師データを用いて学習させた学習モデルに、取得した前記組織の前記孔又は管の形状及び位置を入力して、前記第2拡張部の前記設計情報を出力させる第2プレート設計工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本開示の形態によれば、様々な孔又は管を適切に塞ぐことができる閉鎖デバイス及び閉鎖システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】大動脈と肺動脈との間に、動脈管による管が形成されている例を示す図である。
図2図1の動脈管が閉鎖デバイスによって塞がれる様子を示す図である。
図3】閉鎖デバイスの一例を示す図である。
図4】閉鎖デバイスの弾性復元性を説明する図である。
図5】非接触面側から見た場合の第1プレートを示す図である。
図6図5の第1プレートをVI-VI方向から見た断面図である。
図7】第1プレートのベース層を構成する材料の例を示す図である。
図8】第1プレートの繊維を構成する材料の例を示す図である。
図9】第1プレートの第2表面層を構成する材料の例を示す図である。
図10】閉鎖デバイスの製造方法の一例を示す図である。
図11A】閉鎖デバイスを用いて動脈管を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図11B】閉鎖デバイスを用いて動脈管を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図11C】閉鎖デバイスを用いて動脈管を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図11D】閉鎖デバイスを用いて動脈管を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図12】閉鎖システムの一例を示す図である。
図13】孔が形成されている心房中隔を含む心臓の一例を示す図である。
図14】閉鎖デバイスの一例を示す図である。
図15】心房中隔の孔が図14の閉鎖デバイスによって塞がれる様子を示す図である。
図16図14の閉鎖デバイスの寸法を説明する図である。
図17A】閉鎖デバイスを用いて孔を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図17B】閉鎖デバイスを用いて孔を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図17C】閉鎖デバイスを用いて孔を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図17D】閉鎖デバイスを用いて孔を塞ぐ方法の一例を示す図である。
図18】孔が形成されている心房中隔を含む心臓の一例を示す図である。
図19図18の孔を塞ぐための閉鎖デバイスの一例を示す図である。
図20図18の心房中隔の孔が閉鎖デバイスによって塞がれる様子を示す図である。
図21】心室中隔の孔が閉鎖デバイスによって塞がれる様子を示す図である。
図22】閉鎖デバイスの一例を示す図である。
図23】閉鎖デバイスを操作するハンドルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の形態に係る閉鎖デバイスについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は一例であって、本開示の形態はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0031】
(閉鎖システム)
図1は、心疾患に関連する組織の一例を示す図である。図1に示す例において、心疾患は、動脈管開存症である。動脈管開存症とは、大動脈71と肺動脈72とを連結する動脈管73が閉鎖されておらず、動脈管73が残存している状態である。
【0032】
図2は、図1の動脈管73が閉鎖システム10によって治療される様子を示す図である。閉鎖システム10は、身体に挿入されるカテーテル11と、カテーテル11を介して動脈管73に運ばれる閉鎖デバイス20と、を備える。閉鎖デバイス20は、動脈管73を塞ぐよう構成されている。
【0033】
図3は、閉鎖システム10の一例を示す図である。閉鎖システム10は、閉鎖デバイス20に結合されるデリバリーケーブル12を備えていてもよい。カテーテル11の内部でデリバリーケーブル12を動かすことにより、カテーテル11の内部で閉鎖デバイス20を移動させたり、カテーテル11から閉鎖デバイス20を押し出したりすることができる。閉鎖デバイス20を心臓1の組織に取り付けた後、デリバリーケーブル12は閉鎖デバイス20から取り外される。
【0034】
閉鎖デバイス20は、折り曲げられた状態でカテーテル11の内部に挿入され、動脈管73に運ばれる。閉鎖デバイス20は、動脈管73又は大動脈71まで運ばれた後、デリバリーケーブル12によってカテーテル11から押し出される。閉鎖デバイス20は、カテーテル11から押し出された後、図3に示すように広がった状態に弾性的に復元することができる。
【0035】
(閉鎖デバイス)
閉鎖デバイス20について詳細に説明する。閉鎖デバイス20は、動脈管73を覆う第1プレート30を少なくとも備える。閉鎖デバイス20は、動脈管73に設置されるウエスト部50を備えていてもよい。ウエスト部50は、デリバリーケーブル12と結合する結合部51を含んでいてもよい。結合部51は、例えば、デリバリーケーブル12が挿入される穴を含む。結合部51の穴には、デリバリーケーブル12との結合及びデリバリーケーブル12の取り外しを容易化するための構造が形成されていてもよい。例えば、結合部51の穴の壁面にはネジ山が形成されていてもよい。
【0036】
(第1プレート)
第1プレート30について詳細に説明する。第1プレート30は、図3に示すように、接触面31及び非接触面32を含む。接触面31は、心疾患に関連する組織に対向し接触する面である。本実施の形態において、接触面31は、大動脈71の壁面に対向し接触する。非接触面32は、接触面31の反対側に位置する面である。
【0037】
平面視における第1プレート30の形状について説明する。「平面視」とは、接触面31又は非接触面32の法線方向に沿って閉鎖デバイス20を見ることを意味する。図3に示す例において、第1プレート30は平面視において円形を有する。以下の説明において、平面視における形状のことを平面形状とも称する。
【0038】
第1プレート30は、図3に示すように、第1中央部33と、第1中央部33の周りに広がる第1拡張部34と、を含む。第1中央部33は、ウエスト部50に連結されている。第1中央部33は、ウエスト部50と一体的に構成されていてもよい。「一体的」とは、2つの部材の間に界面が存在しないことを意味する。第1拡張部34は、弾性復元性を有する樹脂を含む。弾性復元性とは、第1拡張部34の表面の一部分同士が向かい合うように第1拡張部34が折り曲げられた状態から、第1拡張部34が第1中央部33の周りに広がる状態に戻る、という特性である。第1拡張部34は、第1中央部33と一体的に構成されていてもよい。
【0039】
図4を参照して、弾性復元性について説明する。
まず、図4の左側に示すように、第1プレート30に力F1を加える。これによって、第1拡張部34の第1部分34aの接触面31と第2部分34bの接触面31とが向かい合うように第1拡張部34を折り曲げる。第2部分34bは、第1中央部33の中心に対して第1部分34aと反対側に位置している。図3及び図4に示す例において、第1部分34aは第1中央部33よりも下側に位置し、第2部分34bは第1中央部33よりも上側に位置する。図4の符号Sは、折り曲げられた状態における第1部分34aの先端と第2部分34bの先端との間の距離を表す。距離Sは、例えばB1/3である。B1は、平面視における接触面31の最大寸法である。第1プレート30が円形である場合、最大寸法B1は、図3に示すように第1プレート30の直径である。
続いて、第1プレート30から力F1を取り除く。これによって、図4の右側に示すように、第1プレート30は、広がった状態に弾性的に復元する。図4において、θ1は、第1部分34aが広がる方向と第2部分34bが広がる方向とが成す角度を表す。本願においては、角度θ1が135°以上225°以下である場合、第1拡張部34が弾性復元性を有すると称する。角度θ1は、150°以上210°以下であってもよい。
【0040】
第1部分34aが広がる方向は、図4において符号L1で示すように、第1中央部33と第1部分34aとの境界において第1部分34aが広がる方向によって規定される。同様に、第2部分34bが広がる方向は、図4において符号L2で示すように、第1中央部33と第2部分34bとの境界において第2部分34bが広がる方向によって規定される。方向L1、方向L2、角度θ1は、例えば、側方から第1プレート30を撮影することによって得られた画像を解析することによって算出される。
【0041】
第1拡張部34の弾性復元性は、様々な方法によって実現され得る。例えば、第1拡張部34の厚みA1〔mm〕と、平面視における第1拡張部34の最大寸法B1〔mm〕との関係を適切に設定することにより、弾性復元性を実現することができる。A1/B1は、例えば1/50以上であり、1/30以上であってもよく、1/20以上であってもよい。一方、厚みA1が大きすぎると、第1プレート30を折り曲げにくくなり、カテーテル11内における閉鎖デバイス20の搬送性が低下する。この点を考慮し、A1/B1は、1/3以下であってもよく、1/5以下であってもよく、1/10以下であってもよい。後述するように、第1拡張部34の弾性復元性は、引張強さなどの機械特性に基づいて実現されてもよい。
【0042】
ウエスト部50は、図4に示すように、第1プレート30が広がった状態において、平面視において最大寸法T1を有する。ウエスト部50が平面視において円形である場合、最大寸法T1は、ウエスト部50の直径である
【0043】
図3に示すように、第1プレート30の接触面31には複数の突起31aが形成されていてもよい。突起31aを設けることにより、大動脈71の壁面に対する接触面31の接触面積を増加させることができる。このため、第1プレート30が組織から外れることを抑制できる。突起31aの高さ、形状、分布密度などは、突起31aが組織に損傷を与えることを抑制しながら、組織に対する第1プレート30の密着性を高めるよう、設定される。突起31aの高さは、例えば10μm以上であり、100μm以上であってもよく、1mm以上であってもよい。突起31aの高さは、例えば20mm以下であり、10mm以下であってもよく、5mm以下であってもよい。
【0044】
図3及び図4において、符号30eは、第1プレート30の外縁を表す。外縁30eは、金属のような硬い材料を含まないことが好ましい。例えば、外縁30eが、後述する生体適合性材料のような樹脂によって構成されていることが好ましい。これにより、外縁30eとの接触に起因して組織にエロージョンが生じることを抑制できる。
【0045】
図3及び図4において、符号50eは、ウエスト部50の外周面を表す。外周面50eは、金属のような硬い材料を含まないことが好ましい。例えば、外周面50eが、後述する生体適合性材料のような樹脂によって構成されていることが好ましい。これにより、外周面50eとの接触に起因して組織にエロージョンが生じることを抑制できる。
【0046】
次に、第1プレート30の非接触面32の構造について説明する。図5は、非接触面側から見た場合の第1プレートを示す図である。図5に示すように、線状に延びる補強部35が非接触面32に形成されていてもよい。補強部35は、非接触面32から隆起している。補強部35を設けることにより、第1拡張部34の弾性復元性を高めることができる。図示はしないが、補強部35は接触面31に形成されていてもよい。
【0047】
図5に示すように、補強部35は、第1中央部33から第1プレート30の外縁に向かって延びていてもよい。言い換えると、補強部35は、第1プレート30の半径方向に沿って延びていてもよい。図示はしないが、補強部35は、その他の方向に沿って延びていてもよい。例えば、補強部35は、第1プレート30の外縁に平行な方向に延びていてもよい。また、第1プレート30は、第1中央部33から第1プレート30の外縁に向かって延びる補強部35、及び第1プレート30の外縁に平行な方向に延びる補強部35の両方を含んでいてもよい。
【0048】
補強部35の幅W1は、例えば1mm以上であり、3mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。また、補強部35の幅W1は、例えば20mm以下であり、15mm以下であってもよく、10mm以下であってもよい。
【0049】
次に、図6を参照して、第1プレート30の層構成について説明する。第1プレート30は、少なくともベース層63を備える。ベース層63は、第1プレート30の第1拡張部34の大部分を占める層である。例えば、ベース層63の厚みは、第1プレート30全体の厚みA1の50%以上であり、60%以上であってもよく、70%以上であってもよい。第1拡張部34の弾性復元性は、主にベース層63の特性によって決定される。
【0050】
ベース層63は、適切な弾性特性を有する生体適合性材料を含む。例えば、ベース層63は、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ウレタン、シリコーン、ポリエーテルケトン、又はその他の生体適合性ポリマー及びそれらの組合せを含む。
【0051】
フッ素樹脂の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(PVDF)などである。
ポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマ(TPEE)などである。エラストマとは、熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却すればゴム状に戻る性質である。
ポリアミドの例は、PC12、ポリアミド系エラストマ(TPAE)などである。
ウレタンとは、アルコールとイソシアネートが反応して形成するウレタン結合を持つ化合物である。ウレタンの例は、ポリウレタン系エラストマ(TPU)などである。
シリコーンは、例えば、シリコーンゴム(SR)などである。
ポリエーテルケトンの例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などである。
ベース層63を構成する材料及び各材料の機械特性の例を図7に示す。
【0052】
図6に示すように、第1プレート30は、接触面31を構成する第1表面層64を含んでいてもよい。第1表面層64は、ベース層63に積層されていてもよい。好ましくは、第1表面層64は、生体親和性又は生分解性を有する材料によって構成されている。これによって、第1プレート30に対する生体の排除反応を抑制できる。好ましくは、第1表面層64はフッ素樹脂を含む。これにより、組織に対する第1プレート30の密着性を高めることができる。
【0053】
生体親和性を有する材料の例は、以下の生体親和ポリマーである。
ePTFE(多孔体)、PTFE等のフッ素樹脂、ポリアミド、ウレタン系ポリマー、PEEK
生分解性を有する材料の例は、以下の生分解性ポリマーである。
ラクチド・カブロラクタン共重合体、ePTFE+〔コラ-ゲン・細胞外マトリックス〕
【0054】
図6に示すように、第1プレート30は、非接触面32を構成する第2表面層65を含んでいてもよい。第2表面層65は、ベース層63に積層されていてもよい。好ましくは、第2表面層65は、カテーテル11との間の摩擦係数が小さくなるよう構成される。これにより、カテーテル11の内部での閉鎖デバイス20の搬送をスムーズに行うことができる。
【0055】
例えば、第2表面層65は、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ウレタン、又はその他の生体適合性ポリマー及びそれらの組合せを含む。
【0056】
フッ素樹脂の例は、ePTFE、PTFE、FEP、ETFEなどである。
ポリアミドの例は、PC12、ポリアミド系エラストマ(TPAE)などである。
第2表面層65を構成する材料及び各材料の機械特性の例を図8に示す。
【0057】
図6に示すように、補強部35は、繊維66の束を含んでいてもよい。繊維66は、平面視において補強部35が延びる方向に沿って延びている。繊維66は、例えばベース層63に埋め込まれている。
【0058】
繊維66は、好ましくは、ベース層63よりも高い引張強さを有する。繊維66の例は、炭素繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール、ポリアリレート、ナイロン、超高分子量ポリエチレン繊維などである。
繊維66を構成する材料及び各材料の機械特性の例を図9に示す。
【0059】
補強部35の高さH1は、例えば1mm以上であり、3mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。また、補強部35の高さH1は、例えば20mm以下であり、15mm以下であってもよく、10mm以下であってもよい。
【0060】
第1拡張部34の好ましい機械物性について説明する。
第1拡張部34の引張強さは、例えば20MPa以上であり、25MPa以上であってもよく、30MPa以上であってもよく、40MPa以上であってもよく、50MPa以上であってもよい。また、第1拡張部34の引張強さは、例えば150MPa以下であり、130MPa以下であってもよく、100MPa以下であってもよく、80MPa以下であってもよい。
第1拡張部34の引張破壊ひずみは、例えば50%以上であり、80%以上であってもよく、100%以上であってもよく、150%以上であってもよい。また、第1拡張部34の引張破壊ひずみは、例えば550%以下であり、450%以下であってもよく、400%以下であってもよく、300%以下であってもよい。
第1拡張部34の引張強さ及び引張破壊ひずみは、JIS K 7161に準拠して測定される。測定のためのサンプルは、例えば図5において符号30Sが付された一点鎖線で示すように、第1中央部33から第1プレート30の外縁に向かう方向に沿って第1拡張部34の一部分を切り出すことによって得られる。
【0061】
ウエスト部50の層構成は、第1プレート30の層構成と全体的に同一であってもよく、部分的に同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、ウエスト部50は、第1プレート30のベース層63と同一の材料で一体的に構成された層を含んでいてもよい。
【0062】
図6に示すように、閉鎖デバイス20は、閉鎖デバイス20の樹脂に埋め込まれているICチップ36を備えていてもよい。ICチップ36は、例えばMEMSを含む。
ICチップ36は、例えばセンサの機能を有する。例えば、ICチップ36は、心臓1の運動を電気的に測定する心拍センサとして機能できる。
ICチップ36は、レーダーの機能を有していてもよい。例えば、ICチップ36は、電波を送信及び受信する送受信機を含んでいてもよい。これにより、閉鎖デバイス20の周囲の物体を検出することができる。
ICチップ36は、音を検出する機能を有していてもよい。例えば、ICチップ36は、音を検出する収音マイクと、検出した音を電気信号に変換する変換機と、を含んでいてもよい。
ICチップ36を樹脂に埋め込むことにより、ICチップ36が閉鎖デバイス20から外れることを抑制できる。ICチップ36が取得したデータは、無線通信などによって外部の装置に伝送される。
【0063】
ICチップ36は、発電素子36aを含んでいてもよい。発電素子36aは、例えば、心臓1の動作を利用して発電する。発電素子36aを用いることにより、ICチップ36が長期にわたって継続して動作できる。
【0064】
(閉鎖デバイスの製造方法)
次に、図10を参照して、閉鎖デバイス20の製造方法について説明する。まず、心疾患に関連する組織の孔又は管の形状及び位置を測定する測定工程S1を実施する。例えば、エコーなどによって、動脈管73の形状及び位置を測定する。
【0065】
続いて、動脈管73の形状及び位置に関する情報に基づいて、閉鎖デバイス20を作製する作製工程を実施する。作製工程は、動脈管73の形状及び位置の測定結果に応じて閉鎖デバイス20の一部を設計及び作製する工程を含んでいてもよい。例えば、作製工程は、図10に示すように、第1プレート設計工程S2及び第1プレート作製工程S3を含んでいてもよい。これにより、患者の個々の症例により適した第1プレート30を備える閉鎖デバイス20を提供することができる。なお、個々の症例への依存性が低い閉鎖デバイス20の部分については、予め定められた設計や予め作製された部材が用いられてもよい。
【0066】
第1プレート設計工程S2においては、学習モデルに基づいて第1拡張部34の設計情報が生成されてもよい。例えば、学習モデルを備えるコンピュータに、測定工程S1で取得した動脈管73の形状及び位置を入力することにより、第1拡張部34の設計情報を得ることができる。設計情報は、第1拡張部34の平面形状、厚み又は材料の少なくともいずれか1つを含む。設計情報は、第1拡張部34の平面形状、厚み又は材料のいずれか2つを含んでいてもよい。設計情報は、第1拡張部34の平面形状、厚み及び材料を含んでいてもよい。
【0067】
第1プレート30学習モデルは、例えば、コンピュータを、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、第1拡張部34の上述の設計情報を出力とする教師データを用いて学習させることによって得られる。学習モデルへの入力は、カテーテル11の内径、カテーテル11の摩擦係数などのその他の情報を更に含んでいてもよい。
【0068】
学習モデルを備えるコンピュータへの入力は、身長、体重などの、患者の身体的特徴を含んでいてもよい。学習モデルを備えるコンピュータへの入力は、患者の年齢、性別などの情報を含んでいてもよい。コンピュータは、心臓などの組織に将来生じる変化を予測して、設計情報を出力してもよい。例えば、入力情報から、患者が子供であると判断される場合、コンピュータは、心臓などの組織に生じる成長を予測して、設計情報を出力してもよい。これにより、患者が成長した後も閉鎖デバイス20が適切に機能できる。
【0069】
第1プレート作製工程S3においては、3Dプリンタによって第1プレート30を作製してもよい。これにより、測定工程S1で取得した情報に基づいて迅速に閉鎖デバイス20を作製することができる。
【0070】
作製工程は、ウエスト部設計工程及びウエスト部作製工程を含んでいてもよい。ウエスト部設計工程は、第1プレート設計工程S2と同様に、学習モデルに基づいてウエスト部50の設計情報を生成してもよい。この場合、学習モデルは、大動脈71などの組織の厚みの情報を入力として使用してもよい。ウエスト部作製工程は、第1プレート作製工程S3と同様に、3Dプリンタによってウエスト部50を作製してもよい。
【0071】
ASOなどの従来の閉鎖デバイスを用いた治療においては、患者の心疾患の形状に応じて、患者に適した閉鎖デバイスが選択される。例えば、従来の閉鎖デバイスのラインナップが、閉鎖デバイスの直径を1mmごとに準備していると仮定する。心疾患の孔の直径が19.3mmである場合、20.0mmの直径を有する閉鎖デバイスが用いられる。すなわち、既成の閉鎖デバイスが用いられる。この場合、閉鎖デバイスの余剰の寸法に起因してエロージョンが生じるかもしれない。
【0072】
一方、3Dプリンタによって閉鎖デバイス20を作製する場合、閉鎖デバイス20は、患者の心疾患の形状に応じた形状を有することができる。すなわち、オーダーメイドの閉鎖デバイス20を提供できる。これにより、閉鎖デバイス20が余剰の寸法を有することを抑制できる。このため、エロージョンなどの不具合が生じることを抑制できる。3Dプリンタの分解能は、例えば500μm以下である。これにより、閉鎖デバイス20の寸法が500μmの精度を有することができる。3Dプリンタの分解能は、300μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
【0073】
第1プレート設計工程などの作製工程は、コンピュータで動作するソフトウェアによって実現されてもよい。例えば、プログラムをコンピュータにインストールすることにより、コンピュータが、学習モデルを利用する第1プレート設計工程を実行してもよい。
【0074】
プログラムは、コンピュータの出荷時に予めコンピュータにインストールされていてもよく、若しくは、コンピュータの出荷後に、プログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体を利用することによって、コンピュータにインストールされてもよい。記録媒体のタイプが特に限られることはなく、磁気ディスクや光ディスク等の携帯型の記録媒体や、ハードディスク装置やメモリ等の固定型の記録媒体など、様々なものが考えられる。またプログラムは、インターネット等の通信回線を介して頒布されてもよい。なおプログラムが通信回線を介して頒布される場合、頒布のためのサーバには、少なくとも一時的に、本実施の形態によるプログラムが格納された記録媒体が存在する。
【0075】
(閉鎖デバイスの使用方法)
次に、図11A図11Dを参照して、閉鎖デバイス20の使用方法を説明する。
【0076】
まず、カテーテル11を身体に挿入する。続いて、図11Aに示すように、カテーテル11の先端が動脈管73を超えて大動脈71に到達するまで、カテーテル11を進める。また、閉鎖デバイス20のウエスト部50にデリバリーケーブル12を取り付け、閉鎖デバイス20をカテーテル11の内部に挿入する。続いて、図11Aに示すように、閉鎖デバイス20をカテーテル11の先端の近傍まで進める。閉鎖デバイス20は、少なくとも第1プレート30が折り曲げられた状態でカテーテル11の内部に位置している。
【0077】
図11Aに示すように、閉鎖デバイス20がカテーテル11の内部に位置しているとき、ウエスト部50は、カテーテル11の内壁から受ける力によって径方向において圧縮されていてもよい。圧縮されているウエスト部50は、径方向において、カテーテル11の内径よりも小さい寸法を有する。径方向とは、第1拡張部34が第1中央部33の周りに広がっている状態において、第1中央部33から第1拡張部34の外縁に向かう方向である。カテーテル11から取り出された後のウエスト部50は、好ましくは、径方向において、カテーテル11の内径よりも大きい寸法を有する。
【0078】
閉鎖デバイス20を更に進めると、図11Bに示すように、閉鎖デバイス20の第1プレート30がカテーテル11から押し出される。すると、図11Cに示すように、第1拡張部34が、第1中央部33の周りに広がるように弾性的に復元する。またウエスト部50は、カテーテル11から受ける力から解放されるので、径方向に膨らむことができる。
【0079】
続いて、デリバリーケーブル12を引き戻すと、図11Dに示すように、第1プレート30の接触面31が大動脈71の壁面に接触する。また、ウエスト部50が動脈管73の壁面に接触する。これにより、動脈管73を塞ぐことができる。その後、デリバリーケーブル12を閉鎖デバイス20から取り外す。また、カテーテル11及びデリバリーケーブル12を身体から引き抜く。
【0080】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態においては、閉鎖デバイス20の第1プレート30が、弾性復元性を有する樹脂を含む第1拡張部34を備える。このため、折り曲げられた状態で搬送された閉鎖デバイス20の第1プレート30が、身体の内部で広がった状態に弾性的に復元することができる。このため、第1プレート30によって動脈管73を塞ぐことができる。また、従来のメッシュ構造体を用いる場合に比べて、平面形状の自由度が高く、作製も容易である。例えば、3Dプリンタを用いて所望の形状の第1プレート30を迅速に作成できる。このため、動脈管73の様々な形状に適した第1プレート30を容易に提供できる。これにより、閉鎖デバイス20の余剰の寸法に起因してエロージョンが生じることを抑制できる。
【0081】
本実施の形態においては、金属ワイヤのメッシュ構造体を用いることなく、動脈管73などの心疾患を塞ぐことができる。閉鎖デバイス20がメッシュ構造体を含まないので、破損した金属ワイヤに起因してエロージョンが生じることを抑制できる。
【0082】
エロージョンを抑制することにより、心タンポナーデなどの危険な状態が生じることを抑制できる。
【0083】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0084】
(閉鎖システムの変形例)
図12は、閉鎖システム10の一例を示す図である。カテーテル11は、内径D1〔mm〕を有する。内径D1は、2×A1+T1よりも大きくてもよい。A1は、第1プレート30の第1拡張部34の厚みである。T1は、平面視におけるウエスト部50の最大寸法である。内径D1が2×A1+T1よりも大きい場合、ウエスト部50がカテーテル11の径方向において圧縮されることを抑制できる。これにより、カテーテル11の内壁と閉鎖デバイス20との間の摩擦力を低減できるので、閉鎖デバイス20がカテーテル11の内部を容易に移動できる。このため、閉鎖デバイス20を速やかに身体の組織へ運ぶことができる。
【0085】
(心疾患の変形例)
上述の実施の形態においては、閉鎖デバイス20を用いて動脈管開存症を治療する例を示した。しかしながら、閉鎖デバイス20が使用される心疾患は動脈管開存症には限られない。例えば、閉鎖デバイス20を用いて、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、卵円孔開存症などのその他の心疾患を治療してもよい。図13は、心臓1の心疾患の例を示す図である。
【0086】
心臓1は、心房壁1aの内側に位置する左心房2、右心房3、心房中隔4、左心室5、右心室6及び心室中隔7を含む。心房中隔4は、左心房2と右心房3との間に位置する。心室中隔7は、左心室5と右心室6との間に位置する。図13に示す例において、心房中隔4には孔4aが形成されている。すなわち、心臓1に生じている心疾患は、心房中隔欠損症である。
【0087】
図14は、閉鎖デバイス20の一例を示す図である。図14に示すように、閉鎖デバイス20は、第1プレート30及びウエスト部50に加えて、ウエスト部50に連結されている第2プレート40を備えていてもよい。第2プレート40は、第1プレート30との間で心房中隔4の孔4aを挟むように心臓1の内部に配置される。図15は、心房中隔4の孔4aが図14の閉鎖デバイス20によって塞がれる様子を示す図である。
【0088】
第2プレート40は、図14に示すように、接触面41及び非接触面42を含む。接触面41は、第1プレート30の接触面31と対向する。接触面41は、心房中隔4に接触してもよい。非接触面42は、接触面41の反対側に位置する面である。
【0089】
第2プレート40は、図14に示すように、第2中央部43と、第2中央部43の周りに広がる第2拡張部44と、を含む。第2中央部43は、ウエスト部50に連結されている。第2中央部43は、ウエスト部50と一体的に構成されていてもよい。第2拡張部44は、第2中央部43と一体的に構成されていてもよい。
【0090】
第2拡張部44は、第1拡張部34と同様に、弾性復元性を有する樹脂を含む。このため、第2拡張部44は、第2拡張部44の表面の一部分同士が向かい合うように第2拡張部44が折り曲げられた状態から、第2拡張部44が第2中央部43の周りに広がる状態に戻ることができる。
【0091】
図16は、図14の閉鎖デバイス20の寸法を説明する図である。第2拡張部44は、厚みA2〔mm〕を有する。第2拡張部44は、平面視において最大寸法B2〔mm〕を有する。第2プレート40が円形である場合、最大寸法B2は、第2プレート40の直径である。A2/B2は、例えば1/50以上であり、1/30以上であってもよく、1/20以上であってもよい。A2/B2は、1/3以下であってもよく、1/5以下であってもよく、1/10以下であってもよい。
【0092】
第2プレート40の外縁40eは、金属のような硬い材料を含まないことが好ましい。例えば、外縁40eが、上述の生体適合性材料のような樹脂によって構成されていることが好ましい。これにより、外縁40eとの接触に起因して組織にエロージョンが生じることを抑制できる。
【0093】
第2拡張部44の層構成は、第1拡張部34の層構成と同様であってもよい。例えば、第2拡張部44は、少なくとも上述のベース層63を備える。第2拡張部44は、接触面41を構成する上述の第1表面層64を含んでいてもよい。また、第2拡張部44は、非接触面42を構成する上述の第2表面層65を含んでいてもよい。
【0094】
第2拡張部44の好ましい機械物性は、第1拡張部34の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0095】
次に、図14の閉鎖デバイス20の製造方法について説明する。本変形例においても、まず、組織の孔4aの形状及び位置を測定する測定工程S1を実施する。この際、組織の厚み、例えば心房中隔4の厚みを更に測定してもよい。
【0096】
続いて、孔4aの形状及び位置に関する情報に基づいて、閉鎖デバイス20を作製する作製工程を実施する。作製工程は、上述の第1プレート設計工程S2及び第1プレート作製工程S3を含んでいてもよい。また、作製工程は、第2プレート設計工程及び第2プレート作製工程を含んでいてもよい。
【0097】
第2プレート設計工程は、第1プレート設計工程S2と同様に、学習モデルに基づいて第2拡張部44の設計情報を生成してもよい。例えば、学習モデルを備えるコンピュータに、測定工程S1で取得した動脈管73の形状及び位置を入力することにより、第2拡張部44の設計情報を得ることができる。設計情報は、第2拡張部44の平面形状、厚み又は材料の少なくともいずれか1つを含む。設計情報は、第2拡張部44の平面形状、厚み又は材料のいずれか2つを含んでいてもよい。設計情報は、第2拡張部44の平面形状、厚み及び材料を含んでいてもよい。
【0098】
第2プレート40の学習モデルは、例えば、コンピュータを、心疾患を有する患者の組織の孔又は管の形状及び位置を入力、第2拡張部44の上述の設計情報を出力とする教師データを用いて学習させることによって得られる。学習モデルへの入力は、カテーテル11の内径、カテーテル11の摩擦係数などのその他の情報を更に含んでいてもよい。
【0099】
第2プレート作製工程は、第1プレート作製工程S3と同様に、3Dプリンタによって第2プレート40を作製してもよい。
【0100】
作製工程は、ウエスト部設計工程及びウエスト部作製工程を含んでいてもよい。ウエスト部設計工程は、第1プレート設計工程S2と同様に、学習モデルに基づいてウエスト部50の設計情報を生成してもよい。この場合、学習モデルは、心房中隔4などの組織の厚みの情報を入力として使用してもよい。ウエスト部作製工程は、第1プレート作製工程S3と同様に、3Dプリンタによってウエスト部50を作製してもよい。
【0101】
次に、図17A図17Dを参照して、図14の閉鎖デバイス20の使用方法を説明する。
【0102】
まず、カテーテル11を足の付け根の血管などから挿入する。続いて、図17Aに示すように、カテーテル11の先端が心房中隔4の孔4aを超えて左心房2に到達するまで、カテーテル11を進める。また、閉鎖デバイス20のウエスト部50にデリバリーケーブル12を取り付け、閉鎖デバイス20をカテーテル11の内部に挿入する。続いて、図17Aに示すように、閉鎖デバイス20をカテーテル11の先端の近傍まで進める。閉鎖デバイス20は、第1プレート30及び第2プレート40が折り曲げられた状態でカテーテル11の内部に位置している。
【0103】
カテーテル11の内径D1は、2×A1+2×A2+T1よりも大きくてもよい。A1は、第1プレート30の第1拡張部34の厚みである。A2は、第2プレート40の第2拡張部44の厚みである。T1は、平面視におけるウエスト部50の最大寸法である。内径D1が2×A1+2×A2+T1よりも大きい場合、ウエスト部50がカテーテル11の径方向において圧縮されることを抑制できる。これにより、カテーテル11の内壁と閉鎖デバイス20との間の摩擦力を低減できるので、閉鎖デバイス20がカテーテル11の内部を容易に移動できる。
【0104】
閉鎖デバイス20を更に進めると、図17Bに示すように、閉鎖デバイス20の第1プレート30がカテーテル11から押し出される。すると、図17Bに示すように、第1拡張部34が、第1中央部33の周りに広がるように弾性的に復元する。
【0105】
続いて、デリバリーケーブル12を引き戻すと、図17Cに示すように、第1プレート30の接触面31が心房中隔4に接触する。続いて、カテーテル11を引き戻して、第2プレート40をカテーテル11から排出する。すると、図17Dに示すように、第2拡張部44が、第2中央部43の周りに広がるように弾性的に復元する。これにより、第1プレート30及び第2プレート40で心房中隔4を挟むことができる。このため、心房中隔4の孔4aをより強固に塞ぐことができる。また、閉鎖デバイス20が組織から外れることを抑制できる。
【0106】
本変形例の閉鎖デバイス20も、従来のメッシュ構造体を用いる場合に比べて、平面形状の自由度が高く、作製も容易である。例えば、3Dプリンタを用いて所望の形状の第1プレート30及び第2プレート40を迅速に作成できる。このため、心房中隔4の孔4aの様々な形状に適した第1プレート30及び第2プレート40を容易に提供できる。これにより、閉鎖デバイス20の余剰の寸法に起因してエロージョンが生じることを抑制できる。また、閉鎖デバイス20がメッシュ構造体を含まないので、破損した金属ワイヤに起因してエロージョンが生じることを抑制できる。
【0107】
(閉鎖システムの変形例)
図示はしないが、第1プレート30及び第2プレート40を備える閉鎖デバイス20のウエスト部50は、閉鎖デバイス20がカテーテル11の内部に位置しているとき、径方向において圧縮されていてもよい。すなわち、カテーテル11の内径D1が、2×A1+2×A2+T1よりも小さくてもよい。この場合、図11Dに示す例の場合と同様に、カテーテル11から押し出された後の閉鎖デバイス20のウエスト部50が孔4aの壁面に接触してもよい。
【0108】
(孔の位置の変形例)
図18に示すように、心房中隔4の孔4aが心臓1の心房壁1aに近接している場合について説明する。従来のメッシュ構造体の閉鎖デバイスを用いる場合、閉鎖デバイスの一部が心房壁1aに接触する。このため、閉鎖デバイスが孔4aを適切に塞げないことが懸念される。
【0109】
一方、本願においては、第1プレート30の平面形状の自由度が高いので、例えば図19に示す閉鎖デバイス20を提供できる。図19に示す例において、第1プレート30の第1拡張部34は、第1部分34aと、第1中央部33の中心に対して第1部分34aと非対称な形状を有する第2部分34bと、を含む。例えば、第1部分34aは半円形であり、第2部分34bは、半円の弧の一部を直径に平行に切り取った形状を有する。第2部分34bをこのように加工することにより、図20に示すように、第1プレート30が心臓1の心房壁1aに接触することを抑制できる。このため、閉鎖デバイス20が孔4aを適切に塞ぐことができる。また、心房壁1aへの接触を抑制することにより、心房壁1aにエロージョンが生じることを抑制できる。
【0110】
図19において、符号R1及びR2はそれぞれ、第1部分34a及び第2部分34bが並ぶ方向における両者の寸法を表す。第2部分34bの寸法R2は、第1部分34aの寸法R1よりも小さい。例えば、寸法R2は、寸法R1の9/10以下であり、8/10以下であってもよく、7/10以下であってもよい。
【0111】
第1プレート30と同様に、第2プレート40の平面形状の自由度も高い。図19に示すように、第2プレート40の第2拡張部44は、第3部分44aと、第2中央部43の中心に対して第3部分44aと非対称な形状を有する第4部分44bと、を含んでいてもよい。例えば、第3部分44aは半円形であり、第4部分44bは、半円の弧の一部を直径に平行に切り取った形状を有する。第4部分44bをこのように加工することにより、図20に示すように、第2プレート40が心臓1の心房壁1aに接触することを抑制できる。このため、閉鎖デバイス20が孔4aを適切に塞ぐことができる。また、心房壁1aへの接触を抑制することにより、心房壁1aにエロージョンが生じることを抑制できる。
【0112】
(閉鎖デバイスの製造方法の変形例)
上述の実施の形態においては、学習モデルに基づいて閉鎖デバイス20を設計する例を示したが、その他の方法を用いて閉鎖デバイス20を設計してもよい。例えば、経験に基づいて人が閉鎖デバイス20を設計してもよい。
【0113】
また、上述の実施の形態においては、3Dプリンタによって閉鎖デバイス20を作製する例を示したが、その他の方法を用いて閉鎖デバイス20を作製してもよい。例えば、シート成形などの成形法によって閉鎖デバイス20を作製してもよい。
【0114】
(心疾患の変形例)
上述の実施の形態においては、閉鎖デバイス20を用いて心房中隔欠損症を治療する例を示した。しかしながら、閉鎖デバイス20が使用される心疾患は心房中隔欠損症には限られない。例えば、閉鎖デバイス20を用いて、心室中隔欠損症、動脈管開存症、卵円孔開存症などのその他の心疾患を治療してもよい。図21は、閉鎖デバイス20を用いて心室中隔7の孔7aを塞ぐ例を示す図である。
【0115】
(閉鎖デバイスの変形例)
図22は、閉鎖デバイス20の一例を示す図である。第1プレート30は、回転対称性を有さない。例えば、閉鎖デバイス20は、図19の例と同様に、第1部分34aと、第1中央部33の中心に対して第1部分34aと非対称な形状を有する第2部分34bと、を含む。この場合、心疾患の孔又は管を適切に塞ぐためには、第1部分34a及び第2部分34bの位置を制御することが求められる。制御を適切に実施するためには、閉鎖デバイス20が体の内部に挿入されているときに、第1部分34a及び第2部分34bの位置をモニタすることが求められる。
【0116】
本変形例において、第1プレート30は、第1マーカー38を含む。第1マーカー38は、例えば第1部分34aに位置する。エコーなどを用いて第1マーカー38を検出することにより、閉鎖デバイス20が体の内部に挿入されているときに、第1部分34aの位置を把握できる。これにより、例えば第1プレート30の回転角を算出できる。
【0117】
エコーなどの検査法によって身体の外部からマーカー38の位置を検出することができる限りにおいて、第1マーカー38の構成は任意である。例えば、第1マーカー38は、第1プレート30の面から隆起した構造を有していてもよい。若しくは、第1マーカー38は、第1プレート30の面から窪んだ構造を有していてもよい。第1マーカー38は、金属など、周囲の要素とは異なる材料を含んでいてもよい。
【0118】
図23は、閉鎖デバイス20を操作するハンドル80の一例を示す図である。ハンドル80は、閉鎖デバイス20の回転角を制御するためのレバー81を含む。例えば、回転方向Aにおいてレバー81を動かすと、回転方向Bにおいて閉鎖デバイス20が回転することができる。マーカー38を利用して閉鎖デバイス20の回転角をモニタしながらレバー81を操作することにより、閉鎖デバイス20の回転角を制御できる。
【0119】
閉鎖デバイス20を回転させるための駆動機構は任意である。例えば、デリバリーケーブル12又はカテーテル11を回転させることにより閉鎖デバイス20を回転させてもよい。
【0120】
図示はしないが、閉鎖デバイス20は、複数のマーカーを含んでいてもよい。
例えば、第1プレート30は、第1部分34aに位置する第1マーカー38に加えて、第2部分34bに位置する第2マーカーを含んでいてもよい。第1マーカー38と第2マーカーとは、異なる形状、寸法、材料などを含んでいてもよい。
若しくは、第1プレート30は、時計のアワーマークと同様に、一周にわたって等間隔で並ぶ12個のマーカーを含んでいてもよい。
【0121】
図22においては、第1プレート30の接触面31に第1マーカー38が位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1マーカー38は、第1プレート30の非接触面32に位置していてもよい。第1マーカー38は、第2プレート40の接触面41又は非接触面42に位置していてもよい。
【0122】
図示はしないが、ICチップ、マイクロアクチュエータ、マーカーなどが、閉鎖デバイス20以外の閉鎖システム10の構成要素に設けられていてもよい。例えば、カテーテル11、デリバリーケーブル12などが、ICチップ、マイクロアクチュエータ、マーカーなどを含んでいてもよい。
【0123】
(閉鎖デバイスの使用方法の変形例)
上述の実施の形態においては、カテーテル11を介して閉鎖デバイス20を心臓1の内部に運ぶ例を示した。しかしながら、閉鎖デバイス20を心臓1に運ぶ手段はカテーテル11には限られない。例えば、心臓1を手術で切開し、切開箇所を介して閉鎖デバイス20を心臓1の内部に運んでもよい。この場合、糸及び針を用いて閉鎖デバイス20を組織に縫合してもよい。
本変形例においては、第1拡張部34が弾性復元性を有するので、第1拡張部34を折り曲げた状態で切開箇所に閉鎖デバイス20を通すことができる。また、第1拡張部34の弾性を利用して第1拡張部34を組織に密着させやすい。また、第1拡張部34の平面形状の自由度が高いので、心疾患に関連する組織の孔又は管を適切に塞ぐことができる。
【0124】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 心臓
1a 心房壁
2 左心房
3 右心房
4 心房中隔
4a 孔
5 左心室
6 右心室
7 心室中隔
7a 孔
8 下大静脈
10 閉鎖システム
11 カテーテル
12 デリバリーケーブル
20 閉鎖デバイス
30 第1プレート
31 接触面
31a 突起
32 非接触面
33 第1中央部
34 第1拡張部
34a 第1部分
34b 第2部分
35 補強部
36 ICチップ
36a 発電素子
38 マーカー
40 第2プレート
41 接触面
42 非接触面
43 第2中央部
44 第2拡張部
50 ウエスト部
51 結合部
63 ベース層
64 第1表面層
65 第2表面層
66 繊維
71 大動脈
72 肺動脈
73 動脈管
80 ハンドル
81 レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20
図21
図22
図23