(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065054
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】カニューレ捕捉機構
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A61M25/06 512
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018849
(22)【出願日】2022-02-09
(62)【分割の表示】P 2018551272の分割
【原出願日】2017-03-17
(31)【優先権主張番号】62/314,262
(32)【優先日】2016-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/461,365
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】シッダールタ ケー.シェヴゴーア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カテーテルデバイスを提供する。
【解決手段】カテーテル捕捉機構12は、インターロック表面と、カテーテルアダプタ22と、外側ハウジング20と、インターロック構成要素46を備える内側ハウジング18と、遠位先端を備えるカニューレ14とを備え、遠位先端が内側ハウジングの遠位端部36に近接して配置されるように内側ハウジングおよびカテーテルアダプタに対して、カニューレが近位に後退させることに応答して、複数のアームが、互いに対して内側に移動するように構成され、複数のアームが互いに向かって内側に移動することに応答して、インターロック構成要素は、インターロック表面から分離するように構成され、外側ハウジングは、圧縮状態から伸張状態まで遠位方向に伸張し、内側ハウジングの複数のアームを一緒になるように付勢して、カニューレが内側ハウジングの遠位端部から退出することを防止するように構成される。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルデバイスであって、
インターロック表面と、
カテーテルアダプタと、
カニューレ捕捉機構を備え、前記カニューレ捕捉機構は、
外側ハウジングと、
インターロック構成要素を備える内側ハウジングであって、前記内側ハウジングの少なくとも一部分は、前記外側ハウジング内に配設され、前記内側ハウジングは、複数のアームを備える、内側ハウジングと、備え、
前記内側ハウジング内に延びるカニューレであって、遠位先端を備えるカニューレと、
を備え、
前記遠位先端が前記内側ハウジングの遠位端部に近接して配置されるように前記内側ハウジングおよび前記カテーテルアダプタに対して、前記カニューレが近位に後退させることに応答して、前記複数のアームが、互いに対して内側に移動するように構成され、前記複数のアームが互いに向かって内側に移動することに応答して、前記インターロック構成要素は、前記インターロック表面から分離するように構成され、前記外側ハウジングは、圧縮状態から伸張状態まで遠位方向に伸張し、前記内側ハウジングの前記複数のアームを一緒になるように付勢して、前記カニューレが前記内側ハウジングの遠位端部から退出することを防止するように構成されることを特徴とするカテーテルデバイス。
【請求項2】
前記カニューレが前記内側ハウジングの前記遠位端部から露出するとき、前記内側ハウジングの前記複数のアームは径方向に外方向に広げられ、前記外側ハウジングは前記圧縮状態にあることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項3】
前記外側ハウジングの前記遠位端部の内径は、前記複数のアームが一緒になるように付勢されるとき、前記内側ハウジングの遠位部分の外径にほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項4】
前記複数のアームは、前記内側ハウジングの近位端部から遠位に延びることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項5】
前記カニューレは、カニューレ特徴部を含み、前記カニューレが前記内側ハウジング内に近位に後退するとき、前記カニューレ特徴部は、前記内側ハウジングの近位端部と接触して、前記カニューレが前記内側ハウジングの前記近位端部から退出することを防止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項6】
前記外側ハウジングは、ばね部分を含み、前記ばね部分は、前記カニューレと位置合わせされた長手方向軸に沿って圧縮可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項7】
前記カテーテルアダプタの内表面または前記カテーテルアダプタ内に含まれる構成要素の表面は、前記インターロック表面を備え、前記インターロック表面および前記インターロック構成要素は、前記カニューレが前記内側ハウジングの前記遠位端部から露出するとき、前記内側ハウジングを前記カテーテルアダプタ内に固定することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項8】
前記カテーテルアダプタの前記内表面は、前記カニューレを前記内側ハウジング内に近位に後退させるとき、前記内側ハウジングから分離して前記内側ハウジングを前記カテーテルアダプタから解放するように構成されることを特徴とする請求項7に記載のカテーテルデバイス。
【請求項9】
さらにセプタム作動器を備え、前記セプタム作動器は、前記カテーテルアダプタの内側内腔内に配設され、前記セプタム作動器の内表面は、前記カニューレが前記内側ハウジングの前記遠位端部から露出するとき、前記内側ハウジングを前記カテーテルアダプタ内に固定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項10】
前記セプタム作動器の前記内表面は、前記カニューレが前記内側ハウジング内に近位に後退するとき、前記内側ハウジングから分離して前記内側ハウジングを前記セプタム作動器から解放するように構成されることを特徴とする請求項9に記載のカテーテルデバイス。
【請求項11】
カテーテルデバイスであって、
カテーテルアダプタと、
カニューレ捕捉機構を備え、前記カニューレ捕捉機構は、
外側ハウジングと、
内側ハウジングであって、前記内側ハウジングの少なくとも一部分は、前記外側ハウジング内に配設される、内側ハウジングと、
前記内側ハウジング内に延びるカニューレであって、前記カニューレが前記内側ハウジングの遠位端部から露出するとき、前記内側ハウジングの遠位部分は第1の直径を有し、前記カニューレを前記内側ハウジング内に近位に後退させるとき、前記内側ハウジングの前記遠位部分は第2の直径を有し、前記外側ハウジングの遠位端部は、遠位方向に伸張し、前記カテーテルアダプタ内の前記内側ハウジングの前記遠位部分上で遠位に摺動して前記内側ハウジングの前記遠位端部をシールするように構成され、前記第1の直径は前記第2の直径より大きい、カニューレと、を備えることを特徴とするカテーテルデバイス。
【請求項12】
前記カニューレが前記内側ハウジング内に近位に後退するとき、前記外側ハウジングは伸張するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のカテーテルデバイス。
【請求項13】
前記内側ハウジングは、複数のアームを備え、前記カニューレが前記内側ハウジングの前記遠位端部から露出するとき、前記カニューレは前記複数のアームを分かれるように付勢するように構成される請求項11に記載のカテーテルデバイス。
【請求項14】
前記内側ハウジングの前記遠位部分は、前記複数のアームの少なくとも一部分を含むことを特徴とする請求項13に記載のカテーテルデバイス。
【請求項15】
前記複数のアームは、前記内側ハウジングの近位端部から遠位に延びることを特徴とする請求項13に記載のカテーテルデバイス。
【請求項16】
前記カニューレは、カニューレ特徴部を含み、前記カニューレが前記内側ハウジング内に近位に後退するとき、前記カニューレ特徴部は、前記内側ハウジングの近位端部と接触して前記カニューレが前記内側ハウジングの前記近位端部から退出することを防止するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のカテーテルデバイス。
【請求項17】
さらにカテーテルアダプタを備え、前記カテーテルアダプタの内表面は、前記カニューレが前記内側ハウジングの前記遠位端部から露出するときに前記内側ハウジングを前記カテーテルアダプタ内に固定し、前記カニューレが前記内側ハウジング内に近位に後退するときに前記内側ハウジングから分離して前記内側ハウジングを前記カテーテルアダプタから解放するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のカテーテルデバイス。
【請求項18】
さらにセプタム作動器を備え、前記セプタム作動器は、前記カテーテルアダプタの内腔内に配置され、前記カニューレが前記内側ハウジング内で近位に引き込まれるとき、前記セプタム作動器の内表面またはセプタムは、前記セプタム作動器と前記内側ハウジングとを分離するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のカテーテルデバイス。
【請求項19】
カテーテルデバイスであって、
カニューレ捕捉機構を備え、前記カニューレ捕捉機構は、
圧縮状態と伸張状態との間で遠位方向に伸張されるように構成された外側ハウジングと、
内側ハウジングであって、前記内側ハウジングは、複数のインターロック構成要素を含み、前記内側ハウジングの外径が前記複数のインターロック構成要素で増加されるように、前記複数のインターロック構成要素は、前記内側ハウジングの外面に配置される、内側ハウジングと、
前記内側ハウジング内に延びるカニューレであって、前記カニューレが前記内側ハウジングの遠位端部から露出するとき、前記複数のインターロック構成要素は、前記カテーテルデバイスの別の表面に形成された複数のインターロック表面と相互作用し、前記カニューレが前記内側ハウジング内に近位に後退されるとき、前記内側ハウジングは、径方向内側に収縮して、前記複数のインターロック構成要素が前記複数のインターロック表面から分離させ、前記外側ハウジングは、前記伸張状態に移動させ、前記内側ハウジングの遠位部分を越えて遠位に延ばして前記カニューレが前記内側ハウジングの前記遠位端部から退出することを防止する、カニューレと、を備えることを特徴とするカテーテルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、血管アクセスデバイスおよび関連する方法に関する。より詳細には、本開示は、カニューレを遮蔽された位置に係止するようにカニューレ先端を捕捉するように構成されたカニューレ捕捉機構について説明する。カニューレ捕捉機構は、カテーテルアセンブリと共に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
一般的に、血管アクセスデバイスは、患者の血管系に流体を連通させるために使用されている。例えば、カテーテルは、患者への流体(例えば、生理食塩水、薬剤、および/または完全非経口栄養)を注入する、患者から流体(例えば、血液)を吸引する、および/または患者の血管系のさまざまなパラメータを監視するために使用される。
【0003】
静脈内(IV)カテーテルアセンブリは、血管アクセスデバイスのさまざまなタイプの1つである。オーバー・ザ・ニードル(over-the-needle)末梢IVカテーテルは、一般的なIVカテーテル構成である。その名前が示すように、オーバー・ザ・ニードル・カテーテルは、鋭い遠位先端を有する導入針の上に装着される。導入針は、一般的に、針アセンブリに結合された皮下注射針であり、針を案内するのを助け、これとカテーテルの共働を容易にする。カテーテルの遠位部分の少なくとも内表面は、カテーテルのピールバックを防止し、これにより、血管内へのカテーテルの挿入を容易にするために、針の外表面としっかりと係合している。カテーテルおよび導入針は、導入針の遠位先端がカテーテルの遠位先端を超えて延びるように組み立てられている。また、カテーテルおよび針は、挿入中、針の斜面(ベベル)が患者の皮膚から外方を向くようにしばしば組み立てられている。カテーテルおよび導入針は、一般に、血管内に患者の皮膚を通して浅い角度で挿入される。
【0004】
血管内での針および/またはカテーテルの適切な配置を確認するために、オペレータは、一般的に、針アセンブリに関連付けられているフラッシュバック室への血液の「フラッシュバック」があることを確認する。フラッシュバックは、一般に、針アセンブリ内または針とカテーテルとの間に見る少量の血液の出現を伴う。カテーテルの遠位先端の血管内への適切な配置が確認されると、オペレータは、導入針およびカテーテルの遠位の血管上方で患者の皮膚を押し下げることによって、血管に圧力を適用することができる。この指の圧力が、血管を瞬間的に閉塞し、それによって導入針およびカテーテルを流れ抜けるさらなる血流を最小限に抑える。
【0005】
オペレータは、次いで、導入針をカテーテルから引き出すことができる。針は、針の先端上を越えて延在している針の先端カバーまたは針カバー内に引き出され、偶発的な針突き刺しを防止され得る。一般に、針先端カバーは、ケーシング、スリーブ、または導入針がカテーテルおよび患者から引き出されるときに、針先端をトラップ/捕捉するように設計された他の類似の装置を含む。針が引き出された後、カテーテルは、患者への静脈内アクセスを提供するために所定の場所に残される。
【0006】
導入針アセンブリをカテーテルアセンブリのカテーテル部分から分離することは、分野内のオペレータおよび他の人に対する数多くの潜在的な危険を提示する。上記で示したように、針先端が針先端シールド内に適切に固定されていない場合には、偶発的な針突き刺しの危険性が存在する。さらに、針は患者の血管内の血液と接触しているため、血液は、多くの場合、針の外側に存在するだけでなく、針の内腔の内側に存する。針がカテーテルから引き出されるとき、この血液は針先端から滴下し、または人々および機器を血液にさらすべく他の表面と接触するリスクが存在する。加えて、針をカテーテルアセンブリから引き出すことは、多くの場合、針アセンブリの一部にエネルギーを付与することが観察されている。例えば、針の引き出しの間、曲げ力が(非意図的にまたは意図的に)針に加えられ得る。そのようなエネルギーにより、カテーテルアセンブリから自由になり、蓄積されたエネルギーを放出するにつれて、針が振動および揺動するとき、針から血液が飛び散るか、または吹き出すことが観察されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、針を遮蔽されない位置からカニューレ特徴部がトラップされる、遮蔽された位置に後退させることを可能にするカニューレ捕捉機構を説明する。したがって、説明する捕捉機構は、針を遮蔽された位置に係止して、針がカーテルアセンブリから引き出された後の偶発的な突き刺しおよび血液露出を大きく制限するか、または防止するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は、カニューレ捕捉機構に関する。いくつかの実施形態では、捕捉機構は、カニューレと、内側ハウジングと、外側ハウジングとを含み得る。いくつかの実施形態では、内側ハウジングは、内側ハウジングの近位端部から遠位に延びることができる複数のアームを含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレが内側ハウジングの遠位端部から露出するとき、内側ハウジングの複数のアームは径方向に外方向に広げられ得る。いくつかの実施形態では、カニューレが内側ハウジング内に近位に後退するとき、外側ハウジングは、圧縮状態から伸張状態に移動するように構成され得る(本明細書では、「伸張状態」は、外側ハウジングが圧縮状態にあるときより圧縮されていない状態を指すことができ、必ずしも外側ハウジングの圧縮を伴わない状態を指してはいない)。いくつかの実施形態では、外側ハウジングが伸張状態にあるとき、外側ハウジングは、内側ハウジングのアームを一緒になるように付勢することができ、これらアームは、内側ハウジングの遠位端部をしっかりと閉じ、カニューレが内側ハウジングの遠位端部から退出することを防止することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、カニューレが内側ハウジング内に近位に後退させるとき、カニューレは、内側ハウジングの遠位端部ならびに内側ハウジングの近位端部から退出することが防止され得る。したがって、カニューレが内側ハウジング内に近位に後退させるとき、カニューレは、内側ハウジング内に双方向に閉じ込められ得る。例えば、いくつかの実施形態では、カニューレは、カニューレ特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、カニューレが内側ハウジング内に近位に後退させるとき、カニューレ特徴部は、内側ハウジングの近位端部と接触してカニューレが内側ハウジングの近位端部から退出することを防止するように構成され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、外側ハウジングの圧縮可能な部分は、外側ハウジングが圧縮状態にあるときに圧縮され、外側ハウジングが伸張状態にあるときに伸張され得る。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分は、ばね、エラストマー、または別の圧縮可能な部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分は、バッフル付きまたはアコーディオンの形状であってよい。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分は、カニューレの長手方向軸に位置合わせされた軸に沿って圧縮可能であってよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、外側ハウジングの伸張状態への移動は、径方向に剛性であってよくおよび/または圧縮可能な部分に結合され得る外側ハウジングの遠位端部を、内側ハウジングの遠位部分上で遠位に摺動させることができ、それによって内側ハウジングのアームを一緒になるように付勢し、内側ハウジングの遠位端部をシールするか、または閉じることができる。内側ハウジングの遠位部分は、アームの少なくとも一部分を含むことができ、カニューレを内側ハウジングの遠位端部から露出させるときに第1の外径を、カニューレを内側ハウジング内に近位に後退させるときに第2の外径を有することができる。いくつかの実施形態では、第2の外径は、外側ハウジングの遠位端部の内径にほぼ等しくてよく、第1の外径より小さくてよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、カニューレ捕捉機構は、カニューレを内側ハウジングの遠位端部から露出させるときに次の1つまたは複数に固定され得る:カテーテルアダプタ、カテーテルアダプタの側部ポート、カテーテルアダプタの非ルアー型(non-luer)アクセス可能ポート、セプタム作動器、およびセプタム。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタの内表面は、カニューレを内側ハウジングの遠位端部から露出させるとき、内側ハウジングをカテーテルアダプタ内に固定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタの内表面はまた、カニューレを内側ハウジング内に近位に後退させるとき、内側ハウジングから分離して内側ハウジングをカテーテルアダプタから解放するように構成され得る。
【0013】
さらなる詳細では、内側ハウジングの外表面は、カテーテルアダプタの内表面内に形成された1つまたは複数のインターロック表面と相互作用することができる1つまたは複数のインターロック構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、カニューレを内側ハウジング内に近位に後退させることに応答して内側ハウジングを径方向に内方向に収縮させることにより、1つまたは複数のインターロック構成要素を1つまたは複数のインターロック表面から分離させることができ、それによってカニューレ捕捉機構をカテーテルアダプタから取り外すことを可能にすることができ、カニューレの遠位先端は、内側ハウジングの内側に遮蔽されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、側部ポート、セプタム作動器、および/またはセプタムの内面も同様に、カニューレを内側ハウジングの遠位端部から露出させるときにカニューレ捕捉機構をカテーテルアダプタ内に固定し、および/またはカニューレを内側ハウジング内に近位に後退させるときに内側ハウジングから分離するように構成され得る。例えば、内側ハウジングの外表面の1つまたは複数のインターロック構成要素は、側部ポート、セプタム作動器、および/またはセプタムの内表面内に形成された1つまたは複数のインターロック表面と相互作用することができる。カニューレを内側ハウジング内に近位に後退させることに応答して内側ハウジングを径方向に内方向に収縮させることにより、1つまたは複数のインターロック構成要素を側部ポート、セプタム作動器、および/またはセプタムの1つまたは複数のインターロック表面から分離させることができ、それによってカニューレ捕捉機構をカテーテルアダプタから取り外すことを可能にすることができ、カニューレの遠位先端は、内側ハウジングの内側に遮蔽されている。いくつかの実施形態では、セプタムは、固定されたセプタム作動器上で遠位に移動するように構成されてよく、内側ハウジングの外面は、セプタムの内面内に形成された1つまたは複数のインターロック表面と相互作用することができる。
【0015】
本発明の上記で挙げた、および他の特徴および利点が容易に理解されるように、上記で簡単に説明したカニューレ捕捉機構のより具体的な説明が、添付の図面に示されているその特定の実施形態を参照してなされるであろう。これらの図面は、典型的な実施形態を示すにすぎず、したがって、その範囲を限定すると考えられるものではないことを理解して、本発明は、添付の図面を使用して追加の特異性および詳細を用いて記載され説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、カニューレがカテーテルデバイスから露出する、カニューレ捕捉機構を含むカテーテルデバイスの代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図2A】
図2Aは、カニューレが内側ハウジングの遠位端部から露出する、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図2B】
図2Bは、カニューレが内側ハウジング内に後退した、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図3A】
図3Aは、カニューレが内側ハウジング内の遠位端部から露出する、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、カニューレが内側ハウジング内に後退する、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1のカニューレ捕捉機構の外側ハウジングおよび内側ハウジングの代表的な実施形態の分解図である。
【
図4B】
図4Bは、一緒に結合された
図1のカニューレ捕捉機構の外側ハウジングおよび内側ハウジングを示す図である。
【
図5A】
図5Aは、別のカニューレ捕捉機構の外側ハウジングおよび内側ハウジングの代表的な実施形態の分解図である。
【
図5B】
図5Bは、一緒に結合された
図5Aのカニューレ捕捉機構の外側ハウジングおよび内側ハウジングを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、カニューレが内側ハウジングから露出し、カニューレ捕捉機構がセプタム作動器に固定させ、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図6B】
図6Bは、カニューレが内側ハウジング内に後退し、カニューレ捕捉機構がセプタム作動器から分離された、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図7A】
図7Aは、遠位端部が内側ハウジングから部分的に露出し、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の断面図である。
【
図7B】
図7Bは、遠位先端が直角へり付きスリーブ内に配設された、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の断面図である。
【
図7C】
図7Cは、内側ハウジングの第1のアームおよび第2のアームが異なる長さである、別のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の断面図である。
【
図8】
図8は、別のカニューレ捕捉機構を含む、カテーテルデバイスの代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図9】
図9は、カニューレが内側ハウジングから露出した、カニューレ捕捉機構がセプタムに固定された、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図10A】
図10Aは、一体式カテーテル内に配設された
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【
図10B】
図10Bは、一体式カテーテル内に配設され、カニューレを部分的に後退させた、
図1のカニューレ捕捉機構の代表的な実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
記載された本発明の現時点で好ましい実施形態が、同じ部分が全体を通して同じ番号で指定されている、図面を参照することによって最良に理解されるであろう。本明細書において一般的に記載され、図面に示す本発明の構成要素は、多様な異なる構成で配置され、且つ設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、
図1から
図7Cに表すような、双方向性カニューレ特徴捕捉機構の実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求されように、本発明の範囲を限定するようには意図されず、本発明の現在好ましいいくつかの実施形態を表すにすぎない。
【0018】
一般的に、この出願は、カニューレ捕捉機構に関する。換言すれば、この出願は、カニューレが、遮蔽されない位置から、カニューレが遠位に移動して捕捉機構から出ることが防止される遮蔽された位置に移動することを可能にするカニューレ捕捉機構を説明している。いくつかの実施形態では、カニューレは、双方向に閉じ込められ、捕捉機構から近位に動いて出ることも防止される。本明細書で使用される場合、「遮蔽されない」という用語は、カニューレ遠位先端が捕捉機構の内側ハウジングから露出している状況を指すことができる。その反対に、「遮蔽された」という用語は、カニューレ先端が捕捉機構の内側ハウジングによって覆われ、遮蔽され、または別の形で保護される状況を指すことができる。いくつかの実施形態では、捕捉機構は、カニューレが遮蔽された位置に係止されることを可能にするので、捕捉機構は、意図しない突き刺しおよび/または血液暴露を防止することができる。捕捉機構をより良好に説明するために、機構のより詳細な説明が以下で与えられ、その後で機構の使用のより詳細な説明が続けられる。
【0019】
図1は、カニューレ捕捉機構12を含むカテーテルデバイス10の代表的な実施形態を示す。
図1に示すように、いくつかの実施形態では、カニューレ捕捉機構12は、カニューレ(たとえば針14)と、係合可能なカニューレ特徴部(たとえば、針特徴部16)と、内側ハウジング18と、外側ハウジング20とを含むことができる。さらに、
図1は、捕捉機構12がカテーテルアダプタ22と選択的に結合され得ることを示す。捕捉機構12のより良好な理解をもたらすために、前述の構成要素の各々が、以下でさらに詳細に説明される。
【0020】
図1は、捕捉機構12がカニューレ(たとえば針14)を含むことができることを示す。本明細書で使用される場合、用語「カニューレ(cannula)(単数)」および「カニューレ(cannulae)(複数)」は、流体を引き出すか、または導入するために動物の体内に挿入するように構成された実質的に任意の剛性チューブを指すことができ、当該チューブは、チューブが体に突き刺して意図されたスペースにアクセスすることを可能にする鋭利にされた先端を備えている。そのようなカニューレのいくつかの例は、意図しない突き刺しまたは血液暴露のリスクにオペレータを露出させ得る、皮下注射針および他のカニューレを含むことができる。
【0021】
カニューレは、それだけに限定されないが皮下注射針を含む、説明した捕捉機構と共に使用することができる任意のカニューレを含むことができる。カニューレが皮下注射針を含む場合、カニューレは、IVカテーテルアセンブリ(例えば、オーバー・ザ・ニードル末梢IVカテーテルアセンブリ)において使用するための導入針を含む、皮下注射針の任意の適切なタイプを含むことができる。
【0022】
図1に示すように、カニューレは、導入針14を含むことができる。針14を内側ハウジング18から遮蔽されない位置で露出させるとき、針14は、遠位先端24が内側ハウジング18の遠位端部36および外側ハウジング20の遠位端部38を超えて延びるように、内側ハウジング18および外側ハウジング20を通って軸方向に延びることができる。さらに、遮蔽されない位置では、針14の遠位部分は、任意選択により、カテーテル25内に延び、外側ハウジング20は、任意選択により、カテーテルアダプタ22に動作可能に結合される。
【0023】
いくつかの実施形態では、針14は、針14の遠位先端24が内側ハウジング18の近位端部から退出することを防止する任意の構成要素または特徴部を含むことができる。例えば、針14は、針14のODより大きいODを有するか、または針14のODを超えて横方向に延びる少なくとも1つの表面を有する任意の適切な針特徴部を含むことができる。1つの例では、針14は、切り欠き付きクリンプ(crimp)特徴部、溶接されたフェルール特徴部、切り欠き特徴部、クリンプ特徴部、またはカニューレのODを超えて横方向に延びる外径(「OD」)を有する別のカニューレ特徴部などの係合可能な針特徴部16を含む。この例では、針特徴部16は、内側ハウジング18の表面と接触して内側ハウジング18内の針特徴部16の近位運動を制限するように適合された近位係合部を含むことができる。いくつかの実施形態では、針特徴部16は、1つまたは複数の一方向バーブまたは切り欠き部を含むことができる。針特徴部16の特有のタイプにかかわらず、針特徴部16は、任意の適切な特徴を有することができる。例えば、針特徴部16は、任意の適切な形状またはサイズであってよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、針14は、IVカテーテルアセンブリと共に使用するのに適切である任意の特徴部を有することができる。例として
図1は、針14が、鋭利にされた遠位先端24と、内腔26(直接図示せず)と、実質的に一定のOD30を有する細長い管状部分28と、係合可能な針特徴部16とを含む実施形態を示す。さらに、針の前述の構成要素の各々は、任意の適切な特徴を含むことができる。たとえば、針14の遠位先端24は、標準的な斜面(ベベル)、短い斜面(ベベル)、真に短い斜面(ベベル)、バイアス研削先端、ベット先端(vet point)、ランセット先端、偏心された先端(アンチコアリング(anti-coring)、または別の適切な針先端を含むことができる。別の例では、内腔26および細長い管状部分28は、任意の適切なサイズであってよい。例えば、針14は、これがIVアセンブリ内の針14として使用することを可能にする任意の長さまたはゲージ(例えば、スタブスケールで7から33)であってよい。
【0025】
これまで述べたように、捕捉機構12は、内側ハウジング18を含むこともできる。いくつかの実施形態では、内側ハウジング18は、長手方向に分割されて複数のアーム32を形成することができる。内側ハウジング18は、任意の数のアーム、たとえば2本、3本(
図1に示すように)、または4本のアームなどを含み得る。いくつかの実施形態では、アーム32は、内側ハウジング18の近位端部などの近位部分から遠位に延びることができる。いくつかの実施形態では、針14が内側ハウジング18の遠位端部36から露出するとき、針14は、アーム32を分かれるように付勢するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、針14が内側ハウジング18の遠位端部36から遮蔽されない位置で露出するとき、内側ハウジング18のアーム32は、
図1に示すように、針14によって弾性的に径方向に外方向に広げられ得る。
【0026】
内側ハウジング18は、たとえば、金属、金属合金、セラミック、プラスチック、ポリマーなどのような任意の適切な材料または複数の材料から構築され得る。有利には、剛性プラスチックが、遠位先端24を遮蔽された位置にあるときに内側ハウジング18の内面内に埋め込むことを可能にすることができる。針14と接触する内側ハウジング18の表面は、表面と針14との間の摩擦を減少させるためのコーティングを含むことができ、および/または表面に対して針14が滑る感覚を改善することができる。コーティングは、たとえば、潤滑油および/または絶縁保護コーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、内側ハウジング18は、一体品であってよい。いくつかの実施形態では、内側ハウジング18は、たとえば、螺合(threading)、嵌合、スナップ留め、連結、取り付け、締結、クリップ留め、フック留め、または任意の他の適切な結合手段などの任意の数の方法で一緒に結合され得る複数部材を含むことができる。
【0027】
捕捉機構は、外側ハウジング20を含むこともできる。いくつかの実施形態では、針14が内側ハウジング18内に近位に遮蔽された位置まで後退するとき、外側ハウジング20は、
図1および2Aに示す圧縮状態から、
図2Bに示す伸張状態に移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、外側ハウジング20が伸張状態にあるとき、外側ハウジング20は、内側ハウジング18のアーム32を一緒になるように付勢することができ、それによって内側ハウジング18の遠位端部36をしっかりとシールするか、または閉じ、針14が内側ハウジング18の遠位端部36から退出することを防止することができる。
【0028】
外側ハウジング20は、伸張するか、または
図2Aに示す圧縮状態から
図2Bに示す伸張状態に移動するとき、内側ハウジング18の少なくとも一部上で軸方向に摺動または拡張することができる。外側ハウジング20がその上で摺動または拡張する内側ハウジング18の部分は、任意の適切なサイズであってよく、または任意の適切な形状を有してもよい。例えば、内側ハウジング18の部分は、実質的に円筒状、立方体状、管状などであってよい。遠位方向の復元力により、外側ハウジング20が圧縮状態から伸張状態に移動するときに外側ハウジング20を軸方向に摺動または拡張させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、外側ハウジング20は、圧縮可能な部分34を含むことができ、この圧縮可能な部分は、外側ハウジング20の遠位端部38と外側ハウジング20の近位端部48との間に配設されてよく、および/またはこれらと結合されてよい。いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の圧縮可能な部分34は、外側ハウジング20が圧縮状態にあるときに圧縮され、外側ハウジング20が伸張状態にあるときに伸張され得る。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分34は、針14と位置合わせされた軸に沿って圧縮可能であってよい。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分34は、ばね、エラストマー、または別の圧縮可能な部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分34は円筒状であってよい。いくつかの実施形態では、ばねは、円筒状および/またはコイル状であってよい。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分34は、バッフル付きまたはアコーディオン形状であってよい。これらおよび他の実施形態では、圧縮可能な部分34は、エラストマー、シリコーン、液体シリコーン、ゴム材料、または別の適切な材料から構築され得るチューブまたはスリーブを含むことができる。いくつかの実施形態では、圧縮可能な部分34は、内側ハウジング18を封入することができ、針14上の任意の残留血液がカニューレ捕捉機構12内に留まることを確実にするように冗長機構として作用することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の内面は、この内面と内側ハウジング18との間の摩擦を減少させるためにコーティングを含むことができ、ならびに/または外側ハウジング20の外面は、コーティングを含むことができる。コーティングは、例えば、潤滑油および/または絶縁保護コーティングを含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の近位端部48は、内側ハウジング18の近位端部と直接的に結合されてよく、外側ハウジング20の遠位端部38は、外側ハウジング20が伸張状態に移動するとき、外側ハウジング20の近位端部および内側ハウジング18の近位端部から遠位に離れることができる。いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の伸張状態への移動は、径方向に剛性であってよい、および/または圧縮可能な部分34に結合されてよい外側ハウジング20の遠位端部38を、内側ハウジング18に沿って遠位に摺動または移動させることができる。
【0032】
図2Aに示すように、いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ22の内面は、針14が内側ハウジング18から露出するとき、内側ハウジング18をカテーテルアダプタ22内に固定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ22の内面は、
図2Bに示すように、針14が内側ハウジング18内に近位に後退するとき、内側ハウジング18から分離して内側ハウジング18をカテーテルアダプタから解放するように構成され得る。さらに詳細には、内側ハウジングの外面は、カテーテルアダプタ22の内面内に形成された1つまたは複数のインターロック表面54と相互作用することができる、1つまたは複数のインターロック構成要素46を含むことができる。インターロック構成要素46は、針14が内側ハウジング18の遠位端部36から遮蔽されない位置で露出するとき、カテーテルアダプタ22の対応するインターロック表面54に押しつけるように付勢され得る。針14を内側ハウジング18内に近位に後退させることに応答して内側ハウジング18を径方向に内方向に収縮させることにより、1つまたは複数のインターロック構成要素46を1つまたは複数のインターロック表面54から分離させることができ、それによってカニューレ捕捉機構12をカテーテルアダプタ22から取り外すことを可能にすることができ、針14の遠位先端24は、内側ハウジング18の内側に遮蔽されている。したがって、意図しない針の突き刺しを防止することができ、カニューレ捕捉機構12は安全に配設され得る。
【0033】
カニューレ捕捉機構12がカテーテルアダプタ22と併用される場合、この2つは、カニューレ捕捉機構12を、針14が遮蔽されない位置にあるときにアダプタ22に結合し、針14が遮蔽された位置にあるときにアダプタ22から結合解除することを可能にする任意の適切な方法で結合され得る。また、捕捉機構12は、任意の適切なカテーテルアダプタ22と共に使用され得る。さらに、内側ハウジング18がカテーテルアダプタ22内に結合機構によって選択的に結合される場合、結合機構は、任意の適切な位置に位置することができる。たとえば、インターロック構成要素46およびインターロック表面54は、カテーテルアダプタ22の内腔47内に近位または遠位に配設され得る。
【0034】
図3Aから
図3Bは、カニューレ捕捉機構12の断面図を示す。
図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、遠位端部38は、内側ハウジング18の遠位部分40上を摺動し、この周りにぴったりと嵌まることができ、それによって内側ハウジング18のアーム32を一緒になるように付勢し、内側ハウジング18の遠位端部36をしっかりと閉じることができる。内側ハウジング18の遠位部分40は、アーム32の少なくとも一部分を含むことができ、針14を内側ハウジング18の遠位端部36から露出させ、外側ハウジング20が圧縮状態にあるとき、
図3Aに示すように第1の外径42を有することができる。内側ハウジング18の遠位部分40は、針14が内側ハウジング18内に近位に後退し、外側ハウジング20が伸張状態にあるとき、
図3Bに示すように第2の外径44を有することができる。いくつかの実施形態では、第2の外径44は、外側ハウジング20の遠位端部38の内径とほぼ等しくてよく、第1の外径42より小さくてよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、遠位端部38は、圧縮可能な部分34の長さ、および/または内側ハウジング18の遠位端部36の少なくとも近位に配設され、停止部として作用することができる内側ハウジング18のインターロック構成要素46の存在により、遠位部分40において停止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インターロック構成要素46における内側ハウジング18の内径56は、第1の外径42および第2の外径44より大きくてよい。
【0036】
図3Aから
図3Bに示すように、外側ハウジング20の近位端部48は、内側ハウジング18の近位端部50に直接結合され得る。近位端部48は、螺合(たとえばねじ山52)、嵌め合い、スナップ留め、連結、取り付け、締結、クリップ留め、フック留め、または任意の他の結合手段などの任意の数の方法で近位端部50に直接結合され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、内側ハウジング18は、針14が軸方向にそこを通って延びる内部空間60を画定することができる、内壁58を含むことができる。
図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、針14が内側ハウジング18内に近位に遮蔽された位置まで後退するとき、針14は、内側ハウジング18の遠位端部36から退出することが防止され得る。例えば、遠位先端24は、内側ハウジング18の表面と接触して針14の遠位移動を制限することができる。さらに詳細には、アーム32の遠位端部は、内方向に延び、針14の長方向軸に向かって延びるように構成された横断障壁62を含むことができる。横断障壁62は、針14が内側ハウジング18内に近位に後退するとき、遠位先端24と接触して針14の遠位移動を制限することができる。いくつかの実施形態では、横断障壁62は、針14を内側ハウジング18内に近位に後退させるときに互いに接触および/または重複し、血液および/または遠位先端24が内側ハウジング18の遠位端部36から退出することを防止することができるシールを形成することができる。横断障壁62は、それによって、針先端捕捉機構を提供することができ、この針先端捕捉機構は、遠位先端24を封入して意図しない突き刺しから人を保護し、および/または血液露出のリスクを低減する。さらにまたは代替的には、内側ハウジングのアーム32は、別の適切なタイプの針遮蔽構成要素を含むことができる。
【0038】
図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、針14が内側ハウジング18内に近位に後退するとき、針14は、内側ハウジング18の近位端部50から退出することも防止され得る。いくつかの実施形態では、針特徴部16を、これが内側ハウジング18の近位端部50と接触するまで近位に後退させて、遠位先端24が内側ハウジング18の近位端部50から退出することを防止することができる。例えば、内側ハウジング18の近位端部50は、任意の適切なタイプの針遮蔽構成要素を含むことができる。一例として、
図3Aから
図3Bに示すように、近位端部50は、内方向に延び、針14の長手方向軸に向かって延びるように構成された横断障壁64を含むことができる。横断障壁64は、針14が内側ハウジング18内に近位に後退するとき、針特徴部16と接触して針14の近位移動を制限することができる。別の例として、近位端部50は、ワッシャ、シリンダ、くさび、または針14は通すが、針特徴部16は通さない穴を含む他の適切な構成要素を含むことができる。
【0039】
言及したように、いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の遠位端部38は径方向に剛性であってよい。いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の遠位端部38は、遠位端部38がある程度の可撓性を有するように実質的に径方向に剛性であってよい。これらの実施形態では、内部にかけられた径方向力が遠位端部を撓ますことができる。遠位端部38は、いくつかの要因により径方向に剛性であってよい。例えば、遠位端部38は、金属またはポリマーまたは他の適切な材料から構築されてよいばねの端部分を含むことができる。別の例として、いくつかの実施形態では、遠位端部38は、径方向に剛性の構成要素と結合され得る。いくつかの実施形態では、径方向に剛性の構成要素は、遠位端部38の周りに嵌合するようにサイズ設定され構成され得る。いくつかの実施形態では、安定性をもたらすために、径方向に剛性の構成要素は、カテーテルアダプタ22の内腔47内に嵌合し、カテーテルアダプタ22の内壁63と当接するか、またはセプタム作動器の内腔または内部空間内に嵌合し、セプタム作動器の内壁と当接するようにサイズ設定され構成され得る。いくつかの実施形態では、径方向に剛性の構成要素は、金属またはポリマーまたは他の適切な材料から構築されたリングを含むことができる。いくつかの実施形態では、径方向に剛性の構成要素は、外側ハウジング20とは別個のものであってよく、またはこれと一体的に形成されてもよい。
【0040】
図4Aは、径方向剛性構成要素66が外側ハウジング20とは別個のものである、外側ハウジング20および内側ハウジング18の代表的な実施形態の分解図を示す。あるいは、いくつかの実施形態では、外側ハウジング20は、径方向剛性構成要素66を含むことができる。例えば、径方向剛性構成要素66は、外側ハウジング20の遠位端部38と結合され得る。別の例として、径方向剛性構成要素66は、コイル状であってよいばね部分の端部を含むことができる。径方向剛性構成要素66は、遠位端部38の剛性を高めることができる。
【0041】
図5Aは、別のカニューレ捕捉機構12の外側ハウジング20および内側ハウジング18の代表的な実施形態の分解図を示す。いくつかの実施形態では、カニューレ捕捉機構12は、
図1~
図4のカニューレ捕捉機構12に対応することができる。いくつかの実施形態では、径方向剛性構成要素66は、外側ハウジング20の遠位端部38と一体的に形成され得る。また、
図5A~
図5Bに示すように、いくつかの実施形態では、外側ハウジング20の近位端部48を内側ハウジング18の近位端部50にねじ山52によって直接結合するもの(たとえば、
図3Aから
図3Bおよび
図4Aに示す)とは対照的に、内側ハウジング18の近位端部50は、外側ハウジング20の近位端部48の内径より大きい外径を有することができ、停止部として作用して、外側ハウジング20が近位方向に移動することを防止することができる。
【0042】
内側ハウジング18は、任意のカテーテルアダプタ22またはカテーテルデバイス10の別の構成要素に選択的にかつ取り外し可能に任意の適切な方法で結合するように構成され得る。例えば、
図6Aに示すように、セプタム作動器68の内面は、針14が内側ハウジング18の遠位端部36から露出するときに内側ハウジング18をカテーテルアダプタ22内に固定し、および/または針14が内側ハウジング18内に近位に後退するときに内側ハウジング18から分離するように構成され得る。例えば、内側ハウジング18の外表面の1つまたは複数のインターロック構成要素46は、セプタム作動器68の内表面内に形成された1つまたは複数のインターロック表面70と相互作用することができる。いくつかの実施形態では、インターロック表面70は、
図1~3のインターロック表面54に対応することができる。いくつかの実施形態では、インターロック表面70の形状は、
図6A~6Bに示すように、針14が内側ハウジング18の遠位端部36から露出するとき、カニューレ捕捉機構12の内側ハウジング18が近位または遠位に移動することを防止することができる。針14が内側ハウジング18内で近位に後退することに応答して内側ハウジング18を径方向に内方向に収縮させることにより、1つまたは複数のインターロック構成要素46をセプタム作動器68の1つまたは複数のインターロック表面70から分離させることができ、それによってカニューレ捕捉機構12をカテーテルアダプタ22から取り外すことを可能にすることができ、針14の遠位先端は、内側ハウジング18の内側に遮蔽されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、カニューレ捕捉機構12がセプタム作動器68と併用される場合、この2つは、カニューレ捕捉機構12を、針14が遮蔽されない位置にあるときにセプタム作動器68に結合し、針14が遮蔽された位置にあるときにセプタム作動器68から結合解除することを可能にする任意の適切な方法で結合させることができる。また、捕捉機構12は、任意の適切なセプタム作動器68と共に使用され得る。さらに、内側ハウジング18がセプタム作動器68内に結合機構によって選択的に結合される場合、結合機構は、任意の適切な位置に位置することができる。例えば、インターロック構成要素46およびインターロック表面70は、セプタム作動器68の内腔71内に近位または遠位に配設され得る。
【0044】
いくつかの例では、針14を内側ハウジング18内に近位にゆっくりと後退させることにより、
図7Aに示すように、アーム32の横断障壁62は針14の傾斜(ベベル)にひっかかる可能性がある。これらの例では、インターロック構成要素46は、針14が近位に後退するとき、インターロック表面54またはインターロック表面70から解放または分離することはできるが、アーム32は、横断障壁62が内側ハウジング内の針14に接触し、これを遮蔽するのに十分な力で径方向に内方向に収縮しない可能性がある。
【0045】
したがって、いくつかの実施形態では、遠位先端24は、
図7Bに示すように、略円筒状および/または直角へり付きスリーブ72内に配設され得る。いくつかの実施形態では、スリーブ72は、管状であってよく、および/または開放遠位端部を含むことができる。したがって、インターロック構成要素46がインターロック表面54またはインターロック表面70から解放されるか、または分離されるとき、アーム32は、より急速に径方向に内方向に収縮することができ、それによって横断障壁62が内側ハウジング内の針14に接触し、これを遮蔽することを可能にすることができる。
【0046】
さらにまたは代替的には、アーム32の長さは、
図7Cに示すように、特定の横断障壁62の内面74が別の特定の横断障壁62の内面76から第1の長さ78だけ分離されるように異なり得る。傾斜(ベベル)は、第2の長さ80であってよい。いくつかの実施形態では、インターロック構成要素46がインターロック表面54またはインターロック表面70から解放されるか、または分離されるとき、針14が内側ハウジング18の遠位端部から退出することを横断障壁62が防止することを確実にするために、第1の長さを第2の長さより大きくすることができる。
【0047】
図8は、別のカニューレ捕捉機構12を含むカテーテルデバイス10の代表的な実施形態の部分断面平面図を示す。いくつかの実施形態では、内側ハウジング18は、
図8に示すように、3本またはそれ以上のアーム32を含むことができる。
【0048】
カニューレ捕捉機構12のこれまで説明した実施形態に加えて、捕捉機構12は、これがその意図する目的を果たすことを可能にする任意の適切な方法で改変され得る。さらに、カニューレ捕捉機構12は、任意の適切な方法で使用され得る。非限定的な説明として、
図1は、針14が患者の血管(図示せず)に挿入される前、針14は、軸方向に内側ハウジング18および外側ハウジング20を通り、カテーテルアダプタ22の遠位先端を通って延びることを示す。さらに、
図1は、針14が血管に挿入される前、針特徴部16が、内側ハウジング18の遠位端部36の遠位に配設され得ることを示す。さらに、
図1は、内側ハウジング18の少なくとも一部分が外側ハウジング20内に配設され得ることを示す。
【0049】
次に
図9を参照すれば、いくつかの実施形態では、セプタム82は、
図9に示すように、固定されたセプタム作動器84上で遠位に移動してセプタム82の1つまたは複数の障壁86を開き、針14がセプタム82を通過することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、内側ハウジング18の外表面は、これまでに説明したインターロック表面54またはインターロック表面70と同じまたは類似の方法で、セプタム82の内表面内に形成された1つまたは複数のインターロック表面88と相互作用することができる。例えば、針14を内側ハウジング18内に近位に後退させることに応答して内側ハウジング18を径方向に内方向に収縮させることにより、1つまたは複数のインターロック構成要素46を1つまたは複数のインターロック表面88から分離させることができ、それによってカニューレ捕捉機構12をセプタム82およびカテーテルアダプタ22から取り外すことを可能にすることができ、針14の遠位先端24は、内側ハウジング18の内側に遮蔽されている。
【0050】
記載されたカニューレ捕捉機構12および関連する方法は、特定の従来技術の針遮蔽デバイスに勝るいくつかの利点を提供することができる。例えば、カニューレ捕捉機構12は、コンパクトであることができ、および/またはカテーテルデバイス10の内部にあることができる。また、カニューレ捕捉機構12は、針先端保護ならびに針先端の血液の封じ込みをもたらすことができる。さらに、カニューレ捕捉機構12は、医師にしっかりとした触覚フィードバックをもたらし、針14が遮蔽された位置にあることを示すことができる。さらに、カニューレ捕捉機構12はまた、たとえば、カテーテルアダプタ22、血液制御またはポート弁、セプタム作動器68などを含む、カテーテルデバイス10の1つまたは複数の構成要素と相互利用するための多用途のインターロック境界面も提供する。
【0051】
カニューレ捕捉機構12は、例えば、ポート付き、真っすぐ、および一体式のカテーテルデバイスならびにポート付きおよび真っすぐな血液制御カテーテルデバイスを含む、さまざまなカテーテルデバイスと互換性があってよい。次に、
図10A~10Bを参照すれば、いくつかの実施形態では、カテーテルデバイス10が一体式カテーテルを含むとき、インターロック表面54は、針ハブ90の遠位および/またはカテーテルアダプタ22のセプタム92の近位に配設され得る。これらおよび他の実施形態では、カニューレ捕捉機構12の少なくとも一部分は、セプタム92と針ハブ90との間に配設され得る。いくつかの実施形態では、インターロック表面54は、セプタム92、セプタムキャニスタ、もしくはハウジング(図示せず)上、またはカテーテルアダプタ22上に配設され得る。いくつかの実施形態ではたとえば、針14の近位端部は、針14の近位端部上に配設された特徴部、および/または針ハブ90内に配設された接着剤を含む任意の適切な手段を使用して針ハブ90内に固定され得る。
【0052】
針ハブ90は、任意の形状またはサイズを含むことができる。いくつかの実施形態では、針ハブ90は、カテーテルアダプタ22の外径とほぼ等しいか、またはこれより大きい外径を有することができ、それによって針14を、カテーテルハブ90を通して移動させるときに挿入グリップとして針ハブ90を使用することを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、針ハブ90は、
図10Aに示すように、針14をカテーテル25の遠位端部から露出させるとき、遠位に延びてカニューレ捕捉機構12を部分的にまたは完全に覆うことができる。
【0053】
本発明は、本明細書において広範に説明され、特許請求されるその構造、方法、または他の本質的な特徴から逸脱することなく他の特有の形態で具現化されてよい。いくつかの実施形態では、インターロック表面54などの特定のインターロック表面は、たとえばカテーテルアダプタ、セプタム作動器、血液制御セプタム、一体式カテーテルセプタム、またはセプタムハウジングを含む、カテーテルデバイスの任意の適切な構成要素の表面上に配設され得る。説明する実施形態および例は、あらゆる点において、例示的にすぎず、制限的ではないと考えられるものとする。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、付属の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内に含まれるすべての変更は、その範囲内に包含されるものとする。