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特開2022-65119薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065119
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20220419BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220419BHJP
   A61P 39/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P43/00 121
A61P39/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022023307
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2020136852の分割
【原出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】394021270
【氏名又は名称】MiZ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文武
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文平
(72)【発明者】
【氏名】市川 祐介
(72)【発明者】
【氏名】平野 伸一
(72)【発明者】
【氏名】見手倉 理弘
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物を提供する。
【解決手段】分子状水素を有効成分として含む、組成物。好ましくは、薬が、抗がん剤、降圧剤、抗パーキンソン病薬、抗生物質、抗アレルギー薬、睡眠薬、精神安定剤、解熱・鎮痛・抗炎症薬、抗生物質、胃腸薬、ビタミン剤、風邪薬、抗てんかん薬、漢方薬、肝臓病治療薬、呼吸器系疾患治療薬、心臓病治療薬、目薬、勃起不全治療薬、糖尿病治療薬、抗真菌薬、バイオ医薬品、ステロイド薬、抗認知症薬、筋ジストロフィー治療薬、抗精神病薬、および、麻酔薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子状水素を有効成分として含む、被験体において、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、医療的処置に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物。
【請求項2】
前記薬が、抗がん剤、降圧剤、抗パーキンソン病薬、抗生物質、抗アレルギー薬、睡眠薬、精神安定剤、解熱・鎮痛・抗炎症薬、抗生物質、胃腸薬、ビタミン剤、風邪薬、抗てんかん薬、漢方薬、肝臓病治療薬、呼吸器系疾患治療薬、心臓病治療薬、目薬、勃起不全治療薬、糖尿病治療薬、抗真菌薬、バイオ医薬品、ステロイド薬、抗認知症薬、筋ジストロフィー治療薬、抗精神病薬、および、麻酔薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記医療的処置が、身体に対する侵襲を伴う処置、リハビリテーションにおける処置、または、身体に対する電磁波を照射する処置であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記身体に対する侵襲を伴う処置が、手術、透析、輸血、臓器移植、細胞の移植、注射、および、点滴からなる群から1つまたは2つ以上選択される症状であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記身体に対する電磁波を照射する処置が、X線撮影、MRI、CT、放射線治療、赤外線を用いた治療からなる群から1つまたは2つ以上選択される症状であることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記前記薬の副作用、前記薬の副作用に関連する症状、および/または、前記医療的処置に伴う副作用が、眠気、のどの渇き、息苦しさ、発熱、身体のかゆみ、皮膚の荒れ、皮膚・粘膜のびらん、水疱、皮膚の乾燥、体重変動、耳鳴り、難聴、皮膚炎、結膜炎、光過敏症、神経過敏、色素沈着、薬剤性過敏症症候群、化学物質過敏症、脱毛、多汗、寝汗、脱水症状、動悸、息切れ、呼吸困難、食欲不振、不眠、腰痛、めまい、ふらつき、立ちくらみ、ほてり、てんかん、けいれん、しびれ、昏睡、心筋梗塞、脳梗塞、気管支けいれん、浮腫、味覚障害、嗅覚障害、聴覚異常、灼熱感、冷感、寒気、穿痛感、圧痛、アロディニア、発作、咳発作、低血糖、低血糖発作、精神錯乱、意識障害、記憶力障害、ボケ症状、興奮、せん妄、視力障害、倦怠感、疲労、気分の落ち込み、幻覚、吐き気、嘔吐、集中力の低下、不整脈、心電図異常、腹痛、筋肉痛、筋肉麻痺、筋肉痙攣、歩行困難、頭痛、片頭痛、血管痛、上腹部痛、注射部位の異常、排尿痛、下痢、便秘、線維筋痛症、腸閉塞、発疹、肝障害、肝静脈閉塞症、腎臓障害、腎尿細管転送障害、出血性膀胱炎、膵炎、骨髄抑制、血液障害、多臓器不全、喘息、肺炎、肺水腫、肺塞栓、肺繊維症、黄疸、白血病、骨髄異形成症、薬剤性間質性肺炎、関節痛、糖尿病、リンパ節腫張、こむら返り、低カリウム血症、尿組成異常、尿毒症、溶解性尿毒症、紅斑、緑内障、白内障、血小板減少症、白血球減少症、白血球増加、汎血球減少、無顆粒球症、感染症、貧血、高カルシウム血症、自己免疫性溶血性貧血、菌血症、敗血症、心不全、心臓発作、心臓喘息、房室ブロック、排尿障害、横紋筋融解症、インフュージョン・リアクション、胃腸の潰瘍、アナフィラキシーショック、ステーブンス・ジョンソン症候群、炎症、扁桃炎、口内炎、舌炎、口角炎、口粘膜の乾燥、歯肉肥厚、歯肉増生、骨粗しょう症、膀胱委縮、片麻痺、壊死、勃起機能低下、インポテンツ、性欲減退、陰萎、睾丸委縮、無精子症、女性化乳房、生理不順、無月経、おりものの異常、卵巣繊維症、免疫力低下、組織の奇形、出血、血尿、排尿困難、下血、皮膚・爪の委縮、蕁麻疹、性腺への悪影響、血圧低下、血圧上昇、黄疸、喘息発作、正常細胞の障害、催奇形性、薬剤性がん、腫瘍崩壊症候群、狭心症、腹水、脳卒中、急性呼吸窮迫症候群、DNA損傷、病状の悪化、うつ症状、不安、および、それらの症状に伴うQOLの喪失からなる群から1つまたは2つ以上選択される症状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記分子状水素を含む液体又は気体である、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記分子状水素を含む液体が、1~10ppmの水素濃度を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記分子状水素を含む気体が、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下の水素濃度を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記被験体が、ヒトを含む哺乳動物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置を用いて作製される、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、分子状水素を有効成分として含む、被験体において、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物を提供する。
【背景技術】
副作用とは、医薬品あるいは医療的処置における、副次的あるいは望ましくない作用のことをいう。すべてのサプリメントを含む薬、侵襲を伴う疾病の治療や診断には多かれ少なかれ必ず良くない作用を持ち合わせており時に、そのような副作用によって重篤な状況が身体にもたらされる場合がある。
本発明の有効成分である水素は、活性酸素種に起因する酸化ストレスを抑制する抗酸化反応性を有し、難治性のがん、呼吸器疾患など様々な疾患に対して改善効果を示すことが知られている(非特許文献1、特許文献1)。MiZ株式会社は、水素分子はミトコンドリア内部に容易に到達できることから、水素はミトコンドリア内部で発生するヒドロキシルラジカルを選択的に消去する最も有効な手段であるという学説を提唱している。しかしながら、水素の使用により薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善したという効果が確認された前例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特許第6628449号
【非特許文献】
【非特許文献1】Malcolm Dole,F.Ray Wilson,William P.Fife;Science,New Series,Vol.190,No.4210(Oct.10,1975),pp.152-154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善することができるならば、患者の苦痛を軽減し、かつ生活の質を改善することができるであろう。しかしながら、上記のとおり、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善に有用な成分もしくは物質は、ほとんど知られていない。
このような状況下で、本発明の目的は、分子状水素を使用することによって薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善することである。
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、以下の特徴を包含する。
[書類名]特許請求の範囲
(1)分子状水素を有効成分として含む、被験体において、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、医療的処置に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物。
(2)前記薬が、抗がん剤、降圧剤、抗パーキンソン病薬、抗生物質、抗アレルギー薬、睡眠薬、精神安定剤、解熱・鎮痛・抗炎症薬、抗生物質、胃腸薬、ビタミン剤、風邪薬、抗てんかん薬、漢方薬、肝臓病治療薬、呼吸器系疾患治療薬、心臓病治療薬、目薬、勃起不全治療薬、糖尿病治療薬、抗真菌薬、バイオ医薬品、ステロイド薬、抗認知症薬、筋ジストロフィー治療薬、抗精神病薬、および、麻酔薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(1)に記載の組成物である。
(3)前記抗がん剤が、アルキル化剤(イホスファミド、シクロホスファミド、ダカルバジン、チオテパ、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、プロカルバジン、メルファラン、ラニムスチン、カルムスチン、クロラムブシル、スプレプトゾシンを含む)、代謝拮抗薬(エノシタビン、カペシタビン、カモフール、クラドリビン、ゲムシタビン、シタラビン、シタラビンオクスタファート、テガフール、テガフール・ウラシル配合剤、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペメトレキセドナトリウム水和物、メトトキサレート、メルカプトプリン、クロファラビン、ネララビン、フロクスウリジンを含む)、植物アルカロイド(イリノテカン、エトポシド、ゾブゾキサン、ドクタキセル、ノギテカン、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、バルルビシン、リポソーマル・ダウノルビシンを含む)、抗がん性抗生物質(アクチノマイシンD、アクラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ジスタチンスチラマー、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、リポソーマルドキソルビシンを含む)、プラチナ製剤(オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチンを含む)、ホルモン剤(アナストロゾール、エキセメスタン、エストラムスチン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、タモキシフェン、デキサメタゾン、トレミフェン、ピカルタミド、ファドロゾール、フルタミド、プレドニゾロン、ホスフェストロール、ミトタン、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メピチオスタン、リュープロレリン、レトロゾール、フルベストラントを含む)、生物学的応答調節剤(インターフェロン(α、β、γ)、インターフェロンを含む、ウベニメクス、かわらたけ多糖体、乾燥BCG、溶連菌抽出物、レンチナンを含む)、分子標的薬(イマチニブ、ゲフィチニブ、ゲッムツズマブオゾガマイシン、タミバロテン、トレチノイン、トラスツズマブ、ボルテゾミフ、リツキシマブ、L-アスパラギナーゼ、アルムツズマブ、セツキシマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、テムシロリムス、ベバシズマブを含む)、オプジーボを含む免疫チェックポイント阻害薬、その他の抗がん剤として、三酸化ヒ素、ホリナートカルシウム、レボホリナートカルシウム、ドセタキセル、ソラフェニブ、エルロチニブ、クリゾチニブ、ギテカン(トポテカン)、ビノレルビン、エベロリムス、ゴセレリン、タモキシフェン、エムタンシン、フルベストラント、プレドニゾロン/メチルプレドニゾロン、ラパチニブ、オクトレオチド、オキサリプラチン、ギメラシル、オテラシルカリウム、パニツムマブ、レゴラフェニブ、アキシチニブ、テセロイキン、テムシロリムス、パゾパニブ、サリドマイド、イリノテカン、エンドキサン、それらの系列の抗がん剤、および、これらの誘導体からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(4)前記降圧剤が、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿剤、α1遮断薬、β遮断薬、中枢性交感神経抑制薬(中枢性α2アゴニスト)、および、これらの誘導体からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(5)前記抗パーキンソン病剤が、L-ドパ、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、カテコール-0-メチル転移酵素阻害薬、アマンタジン(ドパミン遊離促進薬)、抗コリン薬、ドロキシドパ(ノルアドレナリン補充薬)、ゾニサミド(ドパミン賦活薬)、アデノシン受容体拮抗薬および、これらの誘導体からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(6)前記抗生物質が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原虫薬および、これらの誘導体からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(7)前記抗アレルギー剤が、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH受容体拮抗薬、トロンボキサンA阻害薬、ロイコトリエンLT受容体拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬および、これらの誘導体からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(8)前記睡眠薬および精神安定剤が、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬、バルビツール酸系および、これらの誘導体からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(9)前記解熱・鎮痛・抗炎症薬が、ピリン系薬剤、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、非麻薬性鎮痛薬(オピオイド鎮痛剤)、および、麻薬性鎮痛薬からなる群から選択される疾患であることを特徴とする、(2)に記載の組成物。
(10)前記胃腸薬が、ヒスタミンH受容体拮抗薬、ムスカリンM受容体拮抗薬、制酸剤、鎮痛鎮痙剤、および、漢方からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(11)前記ビタミン剤が、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンからから選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(12)前記抗てんかん薬が、ヒダントイン系てんかん薬、バルビツール系てんかん薬、トリアジル系てんかん薬、イミノスチル、および、複合アレビアチン配合薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(13)前記呼吸器系疾患治療薬が、呼吸抑制拮抗薬、呼吸中枢刺激薬、睡眠時無呼吸症候群改善薬、および、呼吸窮迫症候群改善薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(14)前記肝臓病治療薬が、B型肝炎治療薬、C型肝炎治療薬、自己免疫性肝炎治療薬、および、肝硬変治療薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(15)前記心臓病治療薬が、慢性心不全治療薬、利尿薬、強心薬、β遮断薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬からなる群から選択される慢性心不全治療薬、および、カルシウム拮抗薬、β遮断薬、硝酸薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、抗血小板薬、ARB・ACE阻害薬からなる群から選択される虚血性心疾患治療薬、および抗凝固薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(16)前記糖尿病治療薬が、スホニル尿素薬、即効型インスリン分泌促進薬、DPP-4阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、α―グルコシダーゼ阻害薬、SLGT2阻害薬、および、それらの配合薬からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(17)前記バイオ医薬品が、タンパク質製剤、核酸製剤、ワクチン、血液製剤、抗体医薬、および、類似バイオ医薬品からなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(18)前記抗認知症薬が、塩酸ドネペジル、ガランタミン、イクセロン、リバスチグミン、および、メマンチンからなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(19)前記麻酔薬が、イソフルラン、デスフルラン、セボフルラン、キセノン、亜酸化窒素、チオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム、フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、レミフェンタニル塩酸塩、ドロベリドール・フェンタニルクエン酸塩、ケタミン塩酸塩、および、プロポフォールからなる群から選択される薬であることを特徴とする、(2)に記載の組成物である。
(20)前記医療的処置が、身体に対する侵襲を伴う処置、リハビリテーションにおける処置、または、身体に対する電磁波を照射する処置であることを特徴とする(1)に記載の組成物である。
(21)前記身体に対する侵襲を伴う処置が、手術、透析、輸血、臓器移植、細胞の移植、注射、および、点滴からなる群から1つまたは2つ以上選択される処置であることを特徴とする(20)に記載の組成物である。
(22)前記身体に対する電磁波を照射する処置が、X線撮影、MRI、CT、放射線治療、赤外線を用いた治療からなる群から1つまたは2つ以上選択される処置であることを特徴とする(2)に記載の組成物である。
(23)前記薬の副作用、前記薬の副作用に関連する症状、および/または、前記医療的処置に伴う副作用が、眠気、のどの渇き、息苦しさ、発熱、身体のかゆみ、皮膚の荒れ、皮膚・粘膜のびらん、水疱、皮膚の乾燥、体重変動、耳鳴り、難聴、皮膚炎、結膜炎、光過敏症、神経過敏、色素沈着、薬剤性過敏症症候群、化学物質過敏症、脱毛、多汗、寝汗、脱水症状、動悸、息切れ、呼吸困難、食欲不振、不眠、腰痛、めまい、ふらつき、立ちくらみ、ほてり、てんかん、けいれん、しびれ、昏睡、心筋梗塞、脳梗塞、気管支けいれん、浮腫、味覚障害、嗅覚障害、聴覚異常、灼熱感、冷感、寒気、穿痛感、圧痛、アロディニア、発作、咳発作、低血糖、低血糖発作、精神錯乱、意識障害、記憶力障害、ボケ症状、興奮、せん妄、視力障害、倦怠感、疲労、気分の落ち込み、幻覚、吐き気、嘔吐、集中力の低下、不整脈、心電図異常、腹痛、筋肉痛、筋肉麻痺、筋肉痙攣、歩行困難、頭痛、片頭痛、血管痛、上腹部痛、注射部位の異常、排尿痛、下痢、便秘、線維筋痛症、腸閉塞、発疹、肝障害、肝静脈閉塞症、腎臓障害、腎尿細管転送障害、出血性膀胱炎、膵炎、骨髄抑制、血液障害、多臓器不全、喘息、肺炎、肺水腫、肺塞栓、肺繊維症、黄疸、白血病、骨髄異形成症、薬剤性間質性肺炎、関節痛、糖尿病、リンパ節腫張、こむら返り、低カリウム血症、尿組成異常、尿毒症、溶解性尿毒症、紅斑、緑内障、白内障、血小板減少症、白血球減少症、白血球増加、汎血球減少、無顆粒球症、感染症、貧血、高カルシウム血症、自己免疫性溶血性貧血、菌血症、敗血症、心不全、心臓発作、心臓喘息、房室ブロック、排尿障害、横紋筋融解症、インフュージョン・リアクション、胃腸の潰瘍、アナフィラキシーショック、ステーブンス・ジョンソン症候群、炎症、扁桃炎、口内炎、舌炎、口角炎、口粘膜の乾燥、歯肉肥厚、歯肉増生、骨粗しょう症、膀胱委縮、片麻痺、壊死、勃起機能低下、インポテンツ、性欲減退、陰萎、睾丸委縮、無精子症、女性化乳房、生理不順、無月経、おりものの異常、卵巣繊維症、免疫力低下、組織の奇形、出血、血尿、排尿困難、下血、皮膚・爪の委縮、蕁麻疹、性腺への悪影響、血圧低下、血圧上昇、黄疸、喘息発作、正常細胞の障害、催奇形性、薬剤性がん、腫瘍崩壊症候群、狭心症、腹水、脳卒中、急性呼吸窮迫症候群、DNA損傷、病状の悪化、うつ症状、不安、および、それらの症状に伴うQOLの喪失からなる群から1つまたは2つ以上選択される症状であることを特徴とする(1)から(22)のいずれか一項に記載の組成物である。
(24)前記分子状水素を含む液体又は気体である、(1)から(23)のいずれか1つに記載の組成物である。
(25)前記分子状水素を含む液体が、1~10ppmの水素濃度を有する、(24)に記載の組成物である。
(26)前記分子状水素を含む気体が、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下の水素濃度を有する、(24)に記載の組成物。
(27)前記被験体が、ヒトを含む哺乳動物である、(1)~(26)のいずれか1つに記載の組成物である。
(28)水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置を用いて作製される、請求項1~27のいずれか1つに記載の組成物である。
【発明の効果】
本発明は、被験体において、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善することができる。
【発明を実施するための形態】
本発明をさらに詳細に説明する。
1.薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物
本発明は、分子状水素を有効成分として含む、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための組成物を提供する。
本明細書中「副作用」とは、薬、食品、サプリメントあるいは医療的処置の副次的あるいは望ましくない作用のことをいう。
本明細書中「薬」には、医薬品、サプリメントの他、病者用食品等の特別用途食品や保健機能食品等の健康食品を含み、具体的には、これに限られるものではないが、抗がん剤、降圧剤、抗パーキンソン病薬、抗生物質、抗アレルギー薬、睡眠薬、精神安定剤、解熱・鎮痛・抗炎症薬、抗生物質、胃腸薬、ビタミン剤、風邪薬、抗てんかん薬、漢方薬、肝臓病治療薬、呼吸器系疾患治療薬、心臓病治療薬、目薬、勃起不全治療薬、糖尿病治療薬、抗真菌薬、バイオ医薬品、ステロイド薬、抗認知症薬、筋ジストロフィー治療薬、抗精神病薬、および、麻酔薬等のことをいう。
本明細書中「被験体」という用語は、哺乳動物、例えば、ヒトを含む霊長類、イヌ、ネコなどのペット動物、動物園などの観賞用動物などを含む。好ましい被験体はヒトである。
本明細書中「抗がん剤」とは、これに限られないが、アルキル化剤(イホスファミド、シクロホスファミド、ダカルバジン、チオテパ、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、プロカルバジン、メルファラン、ラニムスチン、カルムスチン、クロラムブシル、スプレプトゾシンを含む)、代謝拮抗薬(エノシタビン、カペシタビン、カモフール、クラドリビン、ゲムシタビン、シタラビン、シタラビンオクスタファート、テガフール、テガフール・ウラシル配合剤、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペメトレキセドナトリウム水和物、メトトキサレート、メルカプトプリン、クロファラビン、ネララビン、フロクスウリジンを含む)、植物アルカロイド(イリノテカン、エトポシド、ゾブゾキサン、ドクタキセル、ノギテカン、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、バルルビシン、リポソーマル・ダウノルビシンを含む)、抗がん性抗生物質(アクチノマイシンD、アクラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ジスタチンスチラマー、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、リポソーマルドキソルビシンを含む)、プラチナ製剤(オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチンを含む)、ホルモン剤(アナストロゾール、エキセメスタン、エストラムスチン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、タモキシフェン、デキサメタゾン、トレミフェン、ピカルタミド、ファドロゾール、フルタミド、プレドニゾロン、ホスフェストロール、ミトタン、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メピチオスタン、リュープロレリン、レトロゾール、フルベストラントを含む)、生物学的応答調節剤(インターフェロン(α、β、γ)、インターフェロンを含む、ウベニメクス、かわらたけ多糖体、乾燥BCG、溶連菌抽出物、レンチナンを含む)、分子標的薬(イマチニブ、ゲフィチニブ、ゲッムツズマブオゾガマイシン、タミバロテン、トレチノイン、トラスツズマブ、ボルテゾミフ、リツキシマブ、L-アスパラギナーゼ、アルムツズマブ、セツキシマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、テムシロリムス、ベバシズマブを含む)、オプジーボを含む免疫チェックポイント阻害薬、その他の抗がん剤として、三酸化ヒ素、ホリナートカルシウム、レボホリナートカルシウム、ドセタキセル、ソラフェニブ、エルロチニブ、クリゾチニブ、ギテカン(トポテカン)、ビノレルビン、エベロリムス、ゴセレリン、タモキシフェン、エムタンシン、フルベストラント、プレドニゾロン/メチルプレドニゾロン、ラパチニブ、オクトレオチド、オキサリプラチン、ギメラシル、オテラシルカリウム、パニツムマブ、レゴラフェニブ、アキシチニブ、テセロイキン、テムシロリムス、パゾパニブ、サリドマイド、イリノテカン、エンドキサン、それらの系列の抗がん剤、および、これらの誘導体からなる群から選択される抗がん剤をいう。
本明細書中「降圧剤」とは、これに限られないが、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿剤、α1遮断薬、β遮断薬、中枢性交感神経抑制薬(中枢性α2アゴニスト)、および、これらの誘導体からなる群から選択される降圧剤をいう。
本明細書中「抗パーキンソン病剤」とは、これに限られないが、L-ドパ、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、カテコール-0-メチル転移酵素阻害薬、アマンタジン(ドパミン遊離促進薬)、抗コリン薬、ドロキシドパ(ノルアドレナリン補充薬)、ゾニサミド(ドパミン賦活薬)、アデノシン受容体拮抗薬および、これらの誘導体からなる群から選択される抗パーキンソン病剤をいう。
本明細書中「抗生物質」とは、これに限られないが、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原虫薬および、これらの誘導体からなる群から選択される抗生物質をいう。
本明細書中「抗アレルギー剤」とは、これに限られないが、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH受容体拮抗薬、トロンボキサンA阻害薬、ロイコトリエンLT受容体拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬および、これらの誘導体からなる群から選択される抗アレルギー剤をいう。
本明細書中「眠薬および精神安定剤」とは、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬、バルビツール酸系および、これらの誘導体からなる群から選択される眠薬および精神安定剤をいう。
本明細書中「解熱・鎮痛・抗炎症薬」とは、これに限られないが、ピリン系薬剤、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、非麻薬性鎮痛薬(オピオイド鎮痛剤)、および、麻薬性鎮痛薬からなる群から選択される解熱・鎮痛・抗炎症薬をいう。
本明細書中「胃腸薬」とは、これに限られないが、ヒスタミンH受容体拮抗薬、ムスカリンM受容体拮抗薬、制酸剤、鎮痛鎮痙剤、および、漢方からなる群から選択される胃腸薬をいう。
本明細書中「ビタミン剤」とは、これに限られないが、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンからから選択されるビタミン剤をいう。
本明細書中「抗てんかん薬」とは、これに限られないが、ヒダントイン系てんかん薬、バルビツール系てんかん薬、トリアジル系てんかん薬、イミノスチル、および、複合アレビアチン配合薬からなる群から選択される抗てんかん薬をいう。
本明細書中「呼吸器系疾患治療薬」とは、これに限られないが、呼吸抑制拮抗薬、呼吸中枢刺激薬、睡眠時無呼吸症候群改善薬、および、呼吸窮迫症候群改善薬からなる群から選択される呼吸器系疾患治療薬をいう。
本明細書中「肝臓病治療薬」とは、これに限られないが、B型肝炎治療薬、C型肝炎治療薬、自己免疫性肝炎治療薬、および、肝硬変治療薬からなる群から選択される肝臓病治療薬をいう。
本明細書中「心臓病治療薬」とは、これに限られないが、慢性心不全治療薬、利尿薬、強心薬、β遮断薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬からなる群から選択される慢性心不全治療薬、および、カルシウム拮抗薬、β遮断薬、硝酸薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、抗血小板薬、ARB・ACE阻害薬からなる群から選択される虚血性心疾患治療薬、および抗凝固薬からなる群から選択される心臓病治療薬をいう。
本明細書中「糖尿病治療薬」とは、これに限られないが、スホニル尿素薬、即効型インスリン分泌促進薬、DPP-4阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、α―グルコシダーゼ阻害薬、SLGT2阻害薬、および、それらの配合薬からなる群から選択される糖尿病治療薬をいう。
本明細書中「バイオ医薬品」とは、これに限られないが、タンパク質製剤、核酸製剤、ワクチン、血液製剤、抗体医薬、および、類似バイオ医薬品からなる群から選択されるバイオ医薬品をいう。
本明細書中「麻酔薬」とは、これに限られないが、イソフルラン、デスフルラン、セボフルラン、キセノン、亜酸化窒素、チオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム、フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、レミフェンタニル塩酸塩、ドロベリドール・フェンタニルクエン酸塩、ケタミン塩酸塩、および、プロポフォールからなる群から選択されるをいう。
本明細書中「医療的処置」とは、ヒト、動物等の傷病の治療・診断・介護・リハビリテーションをする行為のことをいい、具体的には、これに限られないが、身体に対する侵襲を伴う処置、リハビリテーションにおける処置、または、身体に対する電磁波を照射する処置等のことをいう。
本明細書中「身体に対する侵襲を伴う処置」とは、これに限られないが、手術、透析、輸血、臓器移植、細胞の移植、注射、および、点滴からなる群から選択される処置をいう。
本明細書中「身体に対する電磁波を照射する処置」とは、これに限られないが、X線撮影、MRI、CT、放射線治療、赤外線を用いた処置をいう。
本明細書中「透析」とは、これに限られないが、血液透析または腹膜透析をいう。
本明細書中「薬の副作用、前記薬の副作用に関連する症状、および/または、前記医療的処置に伴う副作用の症状」とは、これに限られないが、眠気、のどの渇き、息苦しさ、発熱、身体のかゆみ、皮膚の荒れ、皮膚・粘膜のびらん、水疱、皮膚の乾燥、体重変動、耳鳴り、難聴、皮膚炎、結膜炎、光過敏症、神経過敏、色素沈着、薬剤性過敏症症候群、化学物質過敏症、脱毛、多汗、寝汗、脱水症状、動悸、息切れ、呼吸困難、食欲不振、不眠、腰痛、めまい、ふらつき、立ちくらみ、ほてり、てんかん、けいれん、しびれ、昏睡、心筋梗塞、脳梗塞、気管支けいれん、浮腫、味覚障害、嗅覚障害、聴覚異常、灼熱感、冷感、寒気、穿痛感、圧痛、アロディニア、発作、咳発作、低血糖、低血糖発作、精神錯乱、意識障害、記憶力障害、ボケ症状、興奮、せん妄、視力障害、倦怠感、疲労、気分の落ち込み、幻覚、吐き気、嘔吐、集中力の低下、不整脈、心電図異常、腹痛、筋肉痛、筋肉麻痺、筋肉痙攣、歩行困難、頭痛、片頭痛、血管痛、上腹部痛、注射部位の異常、排尿痛、下痢、便秘、線維筋痛症、腸閉塞、発疹、肝障害、肝静脈閉塞症、腎臓障害、腎尿細管転送障害、出血性膀胱炎、膵炎、骨髄抑制、血液障害、多臓器不全、喘息、肺炎、肺水腫、肺塞栓、肺繊維症、黄疸、白血病、骨髄異形成症、薬剤性間質性肺炎、関節痛、糖尿病、リンパ節腫張、こむら返り、低カリウム血症、尿組成異常、尿毒症、溶解性尿毒症、紅斑、緑内障、白内障、血小板減少症、白血球減少症、白血球増加、汎血球減少、無顆粒球症、感染症、貧血、高カルシウム血症、自己免疫性溶血性貧血、菌血症、敗血症、心不全、心臓発作、心臓喘息、房室ブロック、排尿障害、横紋筋融解症、インフュージョン・リアクション、胃腸の潰瘍、アナフィラキシーショック、ステーブンス・ジョンソン症候群、炎症、扁桃炎、口内炎、舌炎、口角炎、口粘膜の乾燥、歯肉肥厚、歯肉増生、骨粗しょう症、膀胱委縮、片麻痺、壊死、勃起機能低下、インポテンツ、性欲減退、陰萎、睾丸委縮、無精子症、女性化乳房、生理不順、無月経、おりものの異常、卵巣繊維症、免疫力低下、組織の奇形、出血、血尿、排尿困難、下血、皮膚・爪の委縮、蕁麻疹、性腺への悪影響、血圧低下、血圧上昇、黄疸、喘息発作、正常細胞の障害、催奇形性、薬剤性がん、腫瘍崩壊症候群、狭心症、腹水、脳卒中、急性呼吸窮迫症候群、DNA損傷、病状の悪化、うつ症状、不安、および、それらの症状に伴うQOLの喪失からなる群から1つまたは2つ以上選択される症状をいう。
本明細書中、本発明の組成物の有効成分である「水素」は分子状水素(すなわち、気体状水素もしくは水素ガス)であり、特に断らない限り、単に「水素」又は「水素ガス」と称する。また、本明細書中で使用する用語水素」は、分子式でH、D(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスを指す。Dは、高価であるが、Hよりスーパーオキシド消去作用が強いことが知られている。本発明で使用可能な水素は、H、D(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスであり、好ましくはHであり、或いはHに代えて、又はHと混合して、D及び/又はHDを使用してもよい。
本発明の組成物の好ましい形態は、分子状水素を含む気体又は液体であり、好ましくは分子状水素を含む気体である。
分子状水素を含む気体は、好ましくは、水素ガスを含む空気又は、水素ガスと酸素ガスを含む混合ガスである。分子状水素を含む気体(すなわち、本発明の組成物)の水素ガスの濃度は、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下、例えば0.5~18.5体積%であり、好ましくは1~10体積%、例えば2~10体積%、2~9体積%、2~8体積%、3~10体積%、3~9体積%、3~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~10体積%、4~9体積%、4~8体積%、4~7体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~9体積%、5~8体積%、6~10体積%、6~9体積%、6~8体積%、6~7体積%などである。本発明では、爆発限界以下で水素ガス濃度が高いほど、或いは1日あたりの水素投与量が高いほど、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善する(例えば抑制又は軽減)を促進する効果が大きい傾向がある。
水素は可燃性かつ爆発性ガスであるため、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を改善するにおいては、ヒトなどの被験体に安全な条件で本発明の組成物に水素を含有させて被験体に投与することが好ましい。
水素ガス以外の気体が空気であるときには、空気の濃度は、例えば81.5~99.5体積%の範囲である。
水素ガス以外の気体が酸素ガスを含む気体であるときには、酸素ガスの濃度は、例えば21~99.5体積%の範囲である。
その他の主気体として例えば窒素ガスをさらに含有させることができる。
通常の水素ガス吸入療法においては、66%や99%の高濃度の水素ガスによってようやく疾病(癌)に対する改善効果が示されている。しかしながら、本発明においては、ヒトなどの被験体に安全な条件で本発明の組成物に水素を含有させて被験体に投与することが好ましく、0(ゼロ)より大きく18.5%以下の水素低濃度であっても、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用に対して十分な改善効果を示すことができる。
分子状水素を含む液体は、具体的には、水素ガスを溶存させた水性液体であり、ここで、水性液体は、非限定的に、例えば水(例えば精製水、滅菌水)、生理食塩水、緩衝液(例えばpH4~7.4の緩衝液)、点滴液、輸液、注射溶液、飲料(例えば、緑茶、紅茶などの茶飲料、果汁、青汁、野菜ジュース、など)などである。分子状水素を含む液体の水素濃度は、非限定的に、例えば1~10ppm、好ましくは1.2~9ppm、例えば1.5~9ppm、1.5~8ppm、1.5~7ppm、1.5~6ppm、1.5~5ppm、1.5~4ppm、2~10ppm、2~9ppm、2~8ppm、2~7ppm、2~6ppm、2~5ppm、3~10ppm、3~9ppm、3~8ppm、3~7ppm、4~10ppm、4~9ppm、4~8ppm、4~7ppm、5~10ppm、5~9ppm、5~8ppm、5~7ppmなどである。
本発明では、爆発限界以下で溶存する水素濃度が高いほど、或いは1日あたりの水素投与量が高いほど、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善する効果が大きい傾向がある。
分子状水素を含む気体又は液体は、所定の水素ガス濃度になるように配合されたのち、例えば耐圧性の容器(例えば、ステンレスボンベ、アルミ缶、好ましくは内側をアルミフィルムでラミネーションした、耐圧性プラスチックボトル(例えば耐圧性ペットボトル)及びプラスチックバッグ、アルミバッグ、等)に充填される。アルミは水素分子を透過させ難いという性質を有している。或いは、分子状水素を含む気体又は分子状水素を含む液体は、投与時に、水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置、例えば、公知のもしくは市販の水素ガス供給装置(分子状水素を含む気体の生成用装置)、水素添加器具(水素水生成用装置)、非破壊的水素含有器(例えば点滴液などの生体適用液バッグ内部へ非破壊的に水素ガスを添加するための装置)などの装置を用いてその場で作製されてもよい。
水素ガス供給装置は、水素発生剤(例えば金属アルミニウム、水素化マグネシウム、等)と水の反応により発生する水素ガスを、希釈用ガス(例えば空気、酸素、等)と所定の比率で混合することを可能にする(日本国特許第5228142号公報、等)。あるいは、水の電気分解を利用して発生した水素ガスを、酸素、空気などの希釈用ガスと混合する(日本国特許第5502973号公報、日本国特許第5900688号公報、等)。これによって、例えば0.5~18.5体積%の範囲内の水素濃度の分子状水素を含む気体を調製することができる。
水素添加器具は、水素発生剤とpH調整剤を用いて水素を発生し、水などの生体適用液に溶存させる装置である(日本国特許第4756102号公報、日本国特許第4652479号公報、日本国特許第4950352号公報、日本国特許第6159462号公報、日本国特許第6170605号公報、特開2017-104842号公報、等)。水素発生剤とpH調整剤の組み合わせは、例えば、金属マグネシウムと強酸性イオン交換樹脂もしくは有機酸(例えばリンゴ酸、クエン酸、等)、金属アルミニウム末と水酸化カルシウム粉末、などである。これによって、例えば1~10ppm程度の溶存水素濃度の分子状水素を含む液体を調製できる。
非破壊的水素含有器は、点滴液などの市販の生体適用液(例えば、ポリエチレン製バッグなどの水素透過性プラスチックバッグに封入されている。)に水素ガスをパッケージの外側から添加する装置又は器具であり、例えばMiZ(株)から市販されている(http://www.e-miz.co.jp/technology.html)。この装置は、生体適用液を含むバッグを飽和水素水に浸漬することによってバッグ内に水素を透過し濃度平衡に達するまで無菌的に水素を生体適用液に溶解させることができる。当該装置は、例えば電解槽と水槽から構成され、水槽内の水が電解槽と水槽を循環し電解により水素を生成することができる。或いは、簡易型の使い捨て器具は同様の目的で使用することができる(特開2016-112562号公報、等)。この器具は、アルミバッグの中に生体適用液含有プラスチックバッグ(水素透過性バッグ、例えばポリエチレン製バッグ)と水素発生剤(例えば、金属カルシウム、金属マグネシウム/陽イオン交換樹脂、等)を内蔵しており、水素発生剤は例えば不織布(例えば水蒸気透過性不織布)に包まれている。不織布に包まれた水素発生剤を水蒸気などの少量の水で濡らすことによって発生した水素が生体適用液に非破壊的かつ無菌的に溶解される。
或いは、精製水素ガスボンベ、精製酸素ガスボンベもしくは精製空気ボンベを用意し、所定の水素濃度、所定の酸素もしくは空気濃度になるように調整した分子状水素を含む気体や液体を作製してもよい。
上記の装置又は器具を用いて調製された、分子状水素を含む気体や分子状水素を含む液体(例えば水(例えば精製水、滅菌水)、生理食塩水、点滴液、等)は、被験体に、経口的に又は非経口的に投与されうる。
本発明の組成物の別の形態には、被験体に経口投与(もしくは摂取)するように調製された、消化管内で水素の発生を可能にする水素発生剤を含有する剤型(例えば、錠剤、カプセル剤、等)が含まれる。水素発生剤は、例えば食品もしくは食品添加物として承認されている成分によって構成されることが好ましい。
本発明の組成物を被験体に投与する方法としては、分子状水素を有効成分とするとき、例えば吸入、吸引等による投与、例えば経肺投与が好ましい、また、分子状水素を含む液体を有効成分とするとき経口投与又は静脈内投与(点滴を含む)が好ましい。ガスを吸入するときには、鼻カニューラや、口と鼻を覆うマスク型の器具を介して口又は鼻からガスを吸入して肺に送り、血液を介して全身に送達することができる。
経口投与する分子状水素を含む液体については、冷却した液体又は常温で保存した液体を被験体に投与してもよい。水素は常温常圧下で約1.6ppm(1.6mg/L)の濃度で水に溶解し、温度による溶解度差が比較的小さいことが知られている。或いは、分子状水素を含む液体は、例えば上記の非破壊的水素含有器を用いて調製された水素ガスを含有させた点滴液又は注射液の形態であるときには、静脈内投与、動脈内投与などの非経口投与経路によって被験体に投与してもよい。
上記水素濃度の分子状水素を含む気体又は上記溶存水素濃度の分子状水素を含む液体を1日あたり1回又は複数回(例えば2~3回)、1週間~3か月又はそれ以上の期間、例えば1週間~6か月又はそれ以上(例えば、1年以上、2年以上、など)にわたりヒトに投与することができる。分子状水素を含む気体が投与されるときには、1回あたり少なくとも30分吸入することが好ましい。吸入時間は長いほど改善効果があることから、例えば、30分から1時間、1時間から2時間、2時間から3時間、もしくはそれ以上かけて投与することができる。また、分子状水素を含む気体を吸入又は吸引によって経肺投与するときには、大気圧環境下で、或いは、例えば標準大気圧(約1.013気圧をいう。)を超える且つ7.0気圧以下の範囲内の高気圧、例えば1.02~7.0気圧、好ましくは1.02~5.0気圧、より好ましくは1.02~4.0気圧、さらに好ましくは1.02~1.35気圧の範囲内の高気圧環境下(分子状水素含有気体を含む)で被験体に当該気体を投与することができる。
2.薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善するための方法
分子状水素を含む組成物、薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用、投与量、投与方法、などについては、上記1.で説明したとおりである。
本発明の方法では、被験体に、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下、例えば0.5~18,5体積%、2~10体積%、2~9体積%、2~8体積%、3~10体積%、3~9体積%、3~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~10体積%、4~9体積%、4~8体積%、4~7体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~9体積%、5~8体積%、6~10体積%、6~9体積%、6~8体積%、6~7体積%など、好ましくは5~10体積%、5~8体積%、例えば6~10体積%、6~8体積%、6~7体積%など、の分子状水素を含有する気体(好ましくは、空気もしくは酸素)を1日あたり例えば1~3時間もしくはそれ以上にわたり吸入又は吸引し、例えば1~3か月もしくはそれ以上、4~7か月もしくはそれ以上、1~3年もしくはそれ以上継続することができる。
或いは、本発明の方法では、被験体に、例えば1~10ppm、1.5~9ppm、1.5~8ppm、1.5~7ppm、1.5~6ppm、1.5~5ppm、1.5~4ppm、2~10ppm、2~9ppm、2~8ppm、2~7ppm、2~6ppm、2~5ppm、3~10ppm、3~9ppm、3~8ppm、3~7ppm、4~10ppm、4~9ppm、4~8ppm、4~7ppm、5~10ppm、5~9ppm、5~8ppm、5~7ppmなど、好ましくは3~10ppm、4~10ppm、5~10ppm、5~9ppm、5~8ppm、5~7ppmなど、の分子状水素含有液体を、静脈内投与の場合1回あたり例えば200~500mL、また経口投与の場合1回あたり例えば500~1000mLを投与し、例えば0.5~3か月もしくはそれ以上、4~7か月もしくはそれ以上、1~3年もしくはそれ以上継続することができる。
本発明の方法では、被験体に少なくとも1日に30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、または、6時間以上吸入させることを含む。
本発明の方法において、水素ガス供給装置やボンベにて被験体に吸入させる水素ガスの量はゼロml/分よりも大きく、5ml/分以下、10ml/分以下、20ml/分以下、30ml/以下、40ml/以下、50ml/以下、100ml/以下、200ml/以下、300ml/以下、400ml/以下、500ml/以下、1000ml/以下、1200ml/以下、1500ml/以下、2000ml/以下とすることができる。
【実施例
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は当該実施例によって制限されないものとする。
【実施例1】
<水素吸入による抗がん剤の副作用改善の症例1>
心臓と肺の血管内に未分化類軟部肉腫と診断された患者(38歳女性)は、手術により心臓の肉腫の切除を行ったが、心臓から肺に転移した肉腫は血管集まるところにあるために切除することができなかった。抗がん剤(8サイクル)による治療とオプジーボによる治療を平行して続けていたが、副作用のために頭髪が抜け、肌が荒れた。それらの治療と並行して水素と空気の混合気体を作製する水素ガス生成装置MHG2000α(MiZ(株)製、水素ガス濃度6.6体積%、水素約120ml/分)を使用した水素ガス吸引を開始したところ、1か月ほどで肌荒れが改善し、肌に張りが出てきた。抗がん剤の治療の後にも水素ガスの吸入を半年間継続したところ、通常はなかなか生えてこない頭髪も生えてきた。
<水素吸入による抗がん剤の副作用改善の症例2>
原発は不明であるが、68歳の女性は、肋骨に転移した癌の治療のために抗がん剤治療を行っていたところ、副作用で倦怠感と肌荒れに悩まされた。その後、それらの治療と並行して水素と空気の混合気体を作製する水素ガス生成装置Jobs-α(MiZ(株)製、水素ガス濃度4-5体積%、約200ml/分)を使用した水素ガス吸引と7ppmの水素水の飲用を開始した。水素ガスの吸入は1日3時間から5時間行い、水素水は1日に500ml飲んだ。3ケ月間水素ガスの吸入と水素水の飲用を継続したところ、肌につやが出てきて倦怠感も抑制された。
<水素吸入による抗がん剤の副作用改善の症例3>
食道がんの45歳男性は、抗がん剤の副作用のために不眠が続き、倦怠感のため食事が進まず、外出もできなかった。水素ガス生成装置Jobs-mini(MiZ(株)製、水素ガス濃度1.3体積%、約30ml/分)で水素ガスの吸入を開始した。1日の吸入時間は2時間から3時間であった。2回目の水素ガス吸入の後、血行が良くなったためか頭がポカポカする感覚があり、ぐっすり眠ることができ、目覚めがよかった。その後、睡眠の質が改善し、身体が軽くなり、外出ができるようになった。酒を飲みすぎた時は二日酔いがひどかったが、水素を吸入して寝ると二日酔いの改善もいつもより早かった。
<水素吸入による抗菌剤の副作用改善の症例>
70歳の男性は風邪をひき、ニューロキノン系の抗菌剤を服用したところ、身体にちからが入らなくなり救急車で搬送された。医師の診断で抗菌剤による横紋筋融解症であると診断された。1週間後に退院をしたが、身体のだるさがなかなか取れず、四肢に力が入りにくかった。周りからの勧めもあり水素ガス生成装置MHG2000α(MiZ(株)製、水素ガス濃度6.6体積%、水素約120ml/分)を使用した水素ガス吸引を開始した。2週間の水素ガスの吸入(1日90分)を継続したところ、次第に四肢に力が入るようになり、身体のだるさが軽減され、散歩ができるまで改善した。本人は水素による薬の副作用の改善効果であることを確信している。
<水素吸入による抗アレルギー薬の副作用改善の症例>
スギ花粉症の45歳男性は、毎年3月に抗アレルギー剤(抗ヒスタミン剤、点鼻薬、目薬)を医師に処方してもらい服用していたが、服用後に副作用で眠気とだるさで悩まされていた。水素ガス生成装置MHG2000α(MiZ(株)製、水素ガス濃度6.6体積%、水素約120ml/分)による水素ガス吸入(1日90分から3時間)と7ppmの水素水の飲用(1日500ml~1L)を開始したところ、3日後には薬の服用後の身体のだるさが軽減され、頭がすっきりすることを感じた。
<水素吸入による血液透析の副作用改善の症例>
65歳の女性は、糖尿病から腎不全になり、2006年から血液透析を受けている。20数種類の薬剤を使用してきたが症状の改善は認められず、歩行困難の症状もあった。
このため、水素発生装置(使用機種:MiZ株式会社製、Jobs-α(水素濃度:約5%、その他のガス:空気)、水素ガス発生量:200ml/分)を用いて、1日あたり吸入時間3~4時間の水素ガスを吸入した。
水素吸入開始10日後から歩行ができるようになり、また、水素吸入開始から1か月後から、通常は透析の後に浮腫が出て体が重くなる感覚があったが、浮腫も軽減し身体が楽になった。明らかに、水素吸入による改善効果が認められた。
<水素吸入による放射線治療の副作用改善の症例>
放射線治療を受けていた癌患者(男性)は、当該治療の後に、倦怠感と吐き気を感じていた。帰宅後、家族からの勧めで水素ガス生成装置MHG2000(MiZ(株)製、水素ガス濃度3-4体積%、水素約120ml/分)を使用した水素ガス吸引を開始した。吸入開始から1時間後に、身体が軽くなる感覚があり、90分後には吐き気も少しずつ収まってきたため、放射線治療の後は水素ガス吸入を継続して行うことで、副作用を軽減させている。
【産業上の利用可能性】
本発明により、分子状水素を含む組成物を投与することによって薬の副作用、薬の副作用に関連する症状、および/または、治療に伴う副作用を予防および/または改善が可能である。