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特開2022-65154波形加工された中間物とエンボス加工された中間物を有した多層板紙を製造するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065154
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】波形加工された中間物とエンボス加工された中間物を有した多層板紙を製造するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/24 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B31F1/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022025541
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2018551444の分割
【原出願日】2017-03-31
(31)【優先権主張番号】15/088,999
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517093186
【氏名又は名称】スコアボード,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SCORRBOARD,LLC
【住所又は居所原語表記】1100 SW 27th Street,Renton,WA 98057,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーンフィールド,ジャイルズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】しわ及び/又は裂け目に加えて、その他の成形上の問題を実質的に防止する。
【解決手段】板紙製品内に少なくとも1つの波形加工中間物と少なくとも1つのエンボス加工中間物を有することを特徴としている。板紙製品は、波形加工中間物、あるいはエンボス加工中間物、またはそれらの両方に接着的に結合された1以上の面材をさらに含んでいる。波形加工中間物は、横断方向の波形化プロセスによって導入された溝部を有した紙製品であり溝部は紙製品の機械方向に垂直である。エンボス加工中間物は、縦方向のエンボス化プロセスによって導入された溝部を有した紙製品であり溝部は紙製品の機械方向に整列している。縦方向にエンボス加工された中間物が機械方向の紙の自然な強度を活用しているので、接着して得られる板紙製品は丈夫で、効率的に製造される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙製品であって、
機械方向と横断方向とを有した第1の紙から形成される第1の中間物であって、該第1の紙の機械方向に整列している1以上の溝部を有した第1の中間物と、
機械方向と横断方向とを有した第2の紙から形成される第2の中間物であって、前記第1の中間物に対して固定されており、前記第2の紙の横断方向に整列している1以上の溝部を有した第2の中間物と、
を含んでいる、板紙製品。
【請求項2】
前記第1の中間物に接着された面材をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項3】
前記第2の中間物に接着された面材をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項4】
前記第1の中間物は前記第2の中間物に直接的に接着されている、請求項1記載の板紙製品。
【請求項5】
前記第1の中間物と前記第2の中間物の間に取り付けられるように、第1の中間物と第2の中間物に接着された面材をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項6】
前記第1の中間物は、エンボス加工を通じて導入される溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項7】
前記第1の中間物は、折線加工を通じて導入される溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項8】
前記第2の中間物は、波形加工を通じて導入される溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項9】
前記第1の中間物は、E形溝部外形に対応する大きさを有した溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項10】
前記第2の中間物は、C形溝部外形に対応する大きさを有した溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項11】
前記第1の中間物の溝部は、前記第2の中間物の溝部とは一致していないことを特徴とする、請求項1記載の板紙製品。
【請求項12】
改良した構造を備えた板紙製品を製造する方法であって、
第1の紙を機械方向にエンボス加工し、機械方向に導入された溝部を有したエンボス加工中間物を得る工程と、
第2の紙を横断方向に波形加工し、横断方向に導入された溝部を有した波形加工中間物を得る工程と、
前記エンボス加工中間物を前記波形加工中間物に取り付ける工程と、
を含んでいる、板紙製品を製造する方法。
【請求項13】
前記エンボス加工中間物を前記波形加工中間物に直接的に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記エンボス加工中間物を面材の第1の面に接着し、前記波形加工中間物を面材の第2の面に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記波形加工中間物から離れて配置された面材を前記エンボス加工中間物に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記エンボス加工中間物から離れて配置された面材を前記波形加工中間物に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記エンボス加工中間物は、E形溝部外形を有した溝部を含んでおり、前記波形加工中間物はC形溝部外形を有した溝部を含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項18】
機械であって、
波形化ステージに紙を供給するように構成された第1の紙供給ロールと、
エンボス化ステージに紙を供給するように構成された第2の紙供給ロールと、
横断方向に波形加工された中間物を製造するために前記波形化ステージに供給された紙を横断方向に波形加工するように構成された少なくとも1対の波形化ロールと、
縦方向にエンボス加工された中間物を製造するために前記エンボス化ステージに供給された紙を縦方向にエンボス加工するように構成された少なくとも1対のエンボス化ロールと、
前記横断方向に波形加工された中間物を前記縦方向にエンボス加工された中間物と組み合わせるステージと、
を含んでいる、機械。
【請求項19】
第1の面材を前記組み合わせるステージに供給し、該第1の面材を前記横断方向に波形加工された中間物と前記縦方向にエンボス加工された中間物の一方に接着させ、面材を前記波形加工された中間物および前記エンボス加工された中間物に組み合わせるように構成された第3の紙供給ロールと、
第2の面材を前記組み合わせるステージに供給し、該第2の面材を前記横断方向に波形加工された中間物と前記縦方向にエンボス加工された中間物の他方に接着させるように構成された第4の紙供給ロールと、
をさらに含んでいる、請求項18記載の機械。
【請求項20】
面材を前記組み合わせるステージに供給し、該面材を前記横断方向に波形加工された中間物に接着させ、および、前記縦方向にエンボス加工された中間物に接着させるように構成された第3の紙供給ロールをさらに含んでいる、請求項18記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(対応する記載なし)
【背景技術】
【0002】
近代の製紙技術は製紙工場で抄紙機を使用して、板紙製品(すなわち段ボール)を製造するために板紙メーカによって利用できる紙のロールを製造する。そのための紙のロールは連続的に作動する機械から製造できる。近代の抄紙機は典型的には、木質繊維(他の繊維も利用可能)を含む木材パルプを含んだ幾種類かの物質から紙を製造する。これら繊維は細長であることが多く、互いに整列(配向性一致)するのに適している。これら繊維は、当初は抄紙機のヘッドボックスから移動中のスクリーン上に供給できるスラリー形態である。近代の抄紙機においては、これら繊維は互いに整列し、スクリーンが移動する方向に整列される傾向にある。(下方スラリ)内在繊維のこの整列方向は紙の主方向であり、機械方向(流れ方向)と同一方向である。よって、この主方向は単に機械方向(MD)と呼ばれることが多く、製造される紙は関連するMD値を有する。
【0003】
紙が板紙製品の製造に使用されるとき、板紙製品の部分あるいは層は波形化できる。伝統的な波形化機は紙の横断方向(CD)で下方の紙製品を波形化するので、機械方向の紙の自然の強度の偏向性の利点を活用できない。また、機械方向の相対的に大きな紙の自然強度の質は、板紙製造において横断方向の波形化技術によっては利用されないままである。その結果、従来の板紙製品を製造する会社は、板紙製品の強度を制限している旧来の製造プロセスに拘泥している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(対応する記載なし)
【課題を解決するための手段】
【0005】
(対応する記載なし)
【0006】
請求項の特徴および付随する利点の多くは、添付の図面に照らして以下の詳細な説明を読むことによって理解が進むため、容易に把握されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ここに開示する発明の1以上の実施例による1以上の板紙製品の一部であり得る波形加工中間物の斜視図である。
図2】ここに開示する発明の1以上の実施例による1以上の板紙製品の一部であり得るエンボス加工中間物の斜視図である。
図3A】ここに開示する発明の1実施例による少なくとも1つの波形加工中間物と少なくとも1つのエンボス加工中間物を有した板紙製品の斜視図である。
図3B】ここに開示する発明の1実施例による少なくとも1つの波形加工中間物と少なくとも1つのエンボス加工中間物を有した板紙製品の斜視図である。
図4】ここに開示する発明の1実施例による図3A図3Bまたは図5A図5Bの板紙製品を製造するように構成されている機械の構造図である。
図5A】ここに開示する発明の1実施例による、波形加工中間物とエンボス加工中間物、および、それら中間物間に配置されている面材を有している板紙製品の断面斜視図である。
図5B】ここに開示する発明の1実施例による、波形加工中間物とエンボス加工中間物、および、それら中間物間に配置されている面材を有している板紙製品の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、当該技術の技術者に、ここに開示する本発明を実施して利用させるように提供されている。ここで説明されている一般的な原理は、この詳細な説明の精神と範囲から逸脱せずに、上述されているもの以外の実施態様および適用態様にも適用できる。ここに開示されている発明は、記述されている実施例に限定されず、ここに開示または暗示されている原理および特徴を含む最も広い範囲に解釈されるべきである。
【0009】
概略的には、ここに開示する発明は、少なくとも1つの波形加工中間物(波形化溝部とも言う)および少なくとも1つのエンボス加工中間物(エンボス化溝部とも言う)を有した紙製品から製造される板紙製品を製造するシステムおよび方法に向けられている。この板紙製品はさらに、波形加工中間物あるいはエンボス加工中間物あるいはそれら両方に接着的に結合された1枚以上の面材(裏打ち材または壁材とも言う)を含むことができる。一般的に波形加工中間物は、導入された溝部が紙製品の機械方向に垂直(あるいは、少なくと非調和的配向性)であるように、波形化プロセスによって導入された溝部を有する紙製品として特徴付けができる。すなわち、波形加工中間物は紙の横断方向に溝部を有する。エンボス加工中間物は、エンボス化プロセスによって導入された溝部を有し、導入されたそれら溝部が紙製品の機械方向に整列している紙製品として特徴付けられる。
【0010】
波形加工中間物とエンボス加工中間物が接着的に結合され、いずれかの表面側を面材によりカバーされるように板紙製品が製造されるとき、板紙製品の得られる特徴は、単に波形加工中間物を使用する従来の板紙製品より優れたものとなる。これは、エンボス加工中間物が、紙製品の機械方向の自然強度を利用する縦方向(線方向)エンボス加工プロセスによって製造されるからである。同じ板紙製品で横断方向に波形加工された中間物と縦方向(直線方向)にエンボス加工された中間物を有する概念を追加する変更は可能であり、その場合には、面材を波形加工中間体とエンボス加工中間体の間に配置し、板紙製品の一方または両方の外側壁材に面材を有することが含まれる。ここに開示する本発明の様々な実施例のこれら利点および追加の構造は、図1から図5に関連させて以下で説明されている。
【0011】
種々な実施例の説明に入る前に、横断方向の波形加工と縦方向(直線方向)のエンボス加工に関する簡単な説明が行われる。簡単に上述したように、従来の板紙製品は従来式に製造された波形加工中間物、すなわち横断方向に波形加工された中間物を含んでいる。横断方向に波形加工された中間物は紙製品のほとんどの内在繊維に垂直に形成された溝部を有する。これで、内在繊維の大部分と整列しない溝部が提供され、よって紙のMD値の自然強度の利点(CD値との比較)を享受しない。そのような紙のMD値の非活用は、特定の板紙強度が提供されるべき板紙製品の製造において実現する機会の喪失につながる。すなわち、必要な板紙強度を実現するのに、さらに多くの紙(さらに多量の紙、さらに大型の溝部、等々)が必要になる。
【0012】
縦方向(線方向)にエンボス加工された中間物は横断方向に波形加工された中間物とは異なる。すなわち、導入された溝部は紙製品のMD値に調和(一致)したものとなる。これで、内在されている繊維の大部分と整列した溝部が提供され、紙のMD値の自然強度の利点(CD値との比較)が活用できる。紙のMD値を活用することで、特定の板紙強度を実現すべき場合に板紙製品の製造において効率化が導かれる。すなわち、必要とされる板紙強度の実現に必要な紙量が少なくて済む(軽い紙、小さな溝部、等々が可能)。縦方向
にエンボス加工した中間物の作成、製造および使用の特徴は米国特許願第15/077250「機械方向にエンボス加工することで紙製品に溝部を導入するシステムと方法」(2016年3月22日出願)においてさらに詳細に記述されている。その内容をここに借用する。よって、図1から図5に関する説明においては縦方向にエンボス加工された中間物の特徴は説明の簡素化のために省略する。
【0013】
図1は、ここで説明する発明の1以上の実施例による1以上の板紙製品の一部であり得る波形加工中間物120の斜視図である。この図は、従来から知られている波形化プロセスで形成できる波形加工中間物120の一部を斜視図で示している。すなわち、溝部121は、溝部121が紙製品の大部分の内在繊維125と垂直(例:一致していない状態)で、機械方向122と調和(一致)しないよう形成されるように、横断波形化技術において当初の紙製品を波形化ロールに通過させることで形成される。簡単に上述したように、溝部121が紙の横断方向(例:大部分の内在繊維125と一致していない方向)に形成されるので、横断方向に波形加工されている中間物120は紙製品の機械方向の自然強度を活用しない。
【0014】
機械方向122の紙の自然強度を活用しないにもかかわらず、図1の横断方向に波形加工した中間物120は製造コストが比較的に安価であり、容易に入手できる産業用波形化機械によって大量に製造されている。そのような波形加工中間物120は、図3A図3Bに関して以下で説明するように板紙製品の一部/一層として利用できる。
【0015】
図2は、ここで説明する発明の1以上の実施例による1以上の板紙製品の一部であり得るエンボス加工中間物130の斜視図である。この図はエンボス加工プロセスで形成できるエンボス加工中間物130の一部を斜視図で示している。すなわち、溝部131は、溝部131が紙の内在繊維125の大部分と配向性調和状態(配向性が一致する状態)に形成されるよう、縦方向エンボス化技術を利用して溝部を形成するために当初の紙製品をエンボス化ロールに通過させて形成される。溝部131は機械方向122にも配向性調和(配向性が一致するように)して形成される。縦方向にエンボス加工された中間物130は、溝部131が紙の機械方向122(例:内在繊維125の大部分と配向性調和方向)に形成されるので、機械方向122の紙の自然強度を活用する。従って、縦方向にエンボス加工された中間物130は機械方向122に紙の自然の強度を確実に活用する。図3A図3Bに関して以下で説明するように、そのようなエンボス加工中間物130を板紙製品の別な部材/層とすることができる。
【0016】
図3Aは、ここに開示する発明の少なくとも1つの実施例による少なくとも1つの波形加工中間物120と、少なくとも1つのエンボス加工中間物130とを有した板紙製品100の斜視図である。この実施例では、板紙製品は第1面材110、波形加工中間物120、エンボス加工中間物130および第2面材140を含んでいる。図示のごとく、第1面材110は、波形加工中間物120の片面に結合された上部外壁を形成できる(但し、板紙製品100の整列に関する上/下の方向は随意)。この結合は、接着剤が塗布されている箇所で面材110が波形加工中間物120に接着されるように、波形加工中間物120の上面で、それぞれの溝部の頂部に塗布される接着剤を介して実施される。他の実施例では、接着剤は波形加工中間物120への結合に先立って面材110の全体に塗布される。
【0017】
同様に、第2面材140は、エンボス加工中間物130の1面に結合された下部外壁(但し、上/下方向は随意)を形成できる。この結合は、面材140がエンボス加工中間物130に接着剤で接着されるように、エンボス加工中間物130の下面で、それぞれの溝部の頂部に塗布されている接着剤を介して実行できる。他の実施例では、接着剤はエンボス加工中間物130への結合に先立って面材140の全体に塗布できる。
【0018】
さらに、波形加工中間物120とエンボス加工中間物130は、接着剤でそれぞれに対して接着できる。波形加工中間物120の溝部が横断方向に整列し、エンボス加工中間物130の溝部が機械方向に整列しているので、これら2つの中間物の間の接触点はそれぞれの溝部の頂部の交点となるであろう。このように、相手に対して直接的に片方の中間物を保持する接着剤によって、波形加工中間物120とエンボス加工中間物130は相互に固定される。
【0019】
4層全てが組み入れられ、固定されたときに得られた板紙製品100は従来の板紙製品よりも強力になる。なぜなら、縦方向にエンボス加工された中間物130は下方の紙製品のさらに高いMD値の利点を有するからである。図3Bに図示するように、これら4層は、組み入れられると、波形加工中間物120の溝部と垂直(または少なくとも非配向同調的)な溝部を有したエンボス加工中間物130を特徴とする。これで追加の板紙強度が得られる。なぜなら、それぞれの中間物の溝部は互いに対して垂直(または少なくとも非配向同調的)であるからである。図示されていない他の実施例は、少なくとも1つの中間物が波形加工中間物120であり、少なくとも1つの中間物がエンボス加工中間物130であるような中間物と面材の任意の組み合わせを含むことができる。
【0020】
図3A図3Bで示す実施例においては、波形加工中間物120はC形溝部として知られる溝部の外形で示されている。この溝部の外形は、溝部の高さ、溝部のピッチ、溝部の数/フィート(30.48cm)等々である溝部の様々な計測値を表すパラメータの標準化されたセットで表される。他の標準化された溝部の外形には、A形溝部、B形溝部、E形溝部、F形溝部、およびR形溝部が含まれる。よって、この実施例では、波形加工中間物120は正弦波形状のC形溝部のパターンを含んでいる。さらに、エンボス加工中間物130もC形溝部で示されているが、もちろん、溝部は下方の紙の機械方向に対して配向的に同調する縦方向である。エンボス加工中間物130は、溝部の外形が三角形のパターンにより特徴付けられる異なる形状も含んでいる。図示しない他の実施例では、エンボス加工中間物130は、E形溝部の外形のごとき波形加工中間物120とは異なる溝部の外形を有することができる。
【0021】
さらに別な実施例(非図示)においては、波形加工中間物120の溝部と、エンボス加工中間物130の溝部は組み入れられたときに相互に整列できる。それでも、波形加工中間物120は、紙の横断方向に導入された波形化溝部を有するであろうし、エンボス加工中間物130は、紙の機械方向に導入された溝部を有するであろう。しかし、これら2つの中間物の一方は、2つの中間物120と130の溝部に整列させる過程で板紙組み立てプロセスの最中に90°回転移動でき、また紙のMD値を活用する縦方向にエンボス加工された中間物130の利点も有することができる。
【0022】
図示されていない別実施例においては、板紙製品100は、図3A図3Bの板紙製品に示すように4層を含むが、エンボス加工中間物130の代わりに板紙製品100は折線加工中間物(非図示)を含むことができる。折線加工中間物は、折線が実際に溝加工中間物となるように折線加工プロセスを介して溝部外形を示すことができる。よって、この実施例では、板紙製品100は第1面材110、波形加工中間物120、折線加工中間物(非図示)、および第2面材140を含むことができる。さらなる実施例は、機械方向あるいは横断方向にて、面材110と140の一方または両方に追加の折線を含むことができる。
【0023】
図3A図3Bに関して説明したように、エンボス加工中間物130の溝部は機械方向122に配向性が調和(一致)する。よって、紙の内在長繊維125(図2)は溝部の方向に整列した状態にある。内在長繊維125(図2)をそれぞれの溝部と整列させると、
溝部の紙のさらに大きなMD値(CD値との比較)との調和が実現する。横断方向の波形化技術は必然的に紙のCD値との溝部の整列に導く。それとは異なり、縦方向エンボス化プロセスは、機械方向に溝部を整列させることで紙のMD値の利点を享受する。よって、溝部を導入するエンボス加工プロセスは、板紙製品100のごとき得られる板紙製品の特定の強度の達成に使用される総繊維量の減少を可能にする。
【0024】
縦方向にエンボス加工された中間物130を有したそのような板紙製品は、幾つかのレベルでさらなる効率化を可能にし、紙メーカと板紙/箱メーカの関心を実現するのに成功する。まず、縦方向エンボス加工は、最初に抄紙機のスクリーン上に注がれるときにパルプ繊維の整列(むしろ非整列)を注意深く制御する必要性を紙メーカに無視させることができる。紙メーカは、横断方向の強度を向上させるため、内在長繊維の機械方向の自然の整列(整合)と争うヘッドボックスを含んだ抄紙機を使用するであろう。縦方向エンボス加工では、横断方向に改善された強度を付与する必要性は減少あるいは不要化される。従って、紙メーカは抄紙機の速度の改善に専念できる。
【0025】
続いて、板紙メーカは板紙製品を少ない紙材料で製造できる。ここで説明する縦方向エンボス化層130は、製造に少ない材料で済む溝部加工中間物に導く。すなわち、従来の波形化機では、溝部加工中間物に必要な紙の量は面材部分に必要な紙の量よりも(長さにおいて)大きくなる。よって、効率の向上は2要因的(2倍)であり、段ボールの製造に使用される全紙量は少なくなり、溝部と面材の両方のMD値を整列(調和)させることで、得られる板紙の強度は大きくなる。
【0026】
図1から図3に関して説明した実施例のものは、正弦波形状の溝部を示す波形加工中間物120を有する。さらに、エンボス加工中間物130は三角形状の溝部外形を有して示されている。しかし、他の実施例には、鋸歯形状、台形形状、または任意の曲線形状のものを含んで、いずれか一方の中間物の溝部に異なる形状のものを含むことができる。図1から図3の板紙製品100の追加の構造は図4の機械に関して以下で説明する。
【0027】
図4は、ここに開示する発明の1実施例による図1の板紙製品100(または他の板紙製品)を製造するように構成された機械400の構造図である。この実施例では、この機械は、板紙製品の製造に使用される5つの紙の供給ロール410、420、430、440および445を含んでいる。これら供給ロールには第1面材供給ロール410、波形加工中間物供給ロール420、エンボス加工中間物供給ロール430、第2面材供給ロール440、および中央面材供給ロール445が含まれる。この波形加工中間物供給ロール420に巻かれている紙は波形加工前のものであり、エンボス加工中間物供給ロール430に巻かれている紙はエンボス加工前のものである。それぞれの供給ロールのための紙の重量と組成は異なることができ、それぞれの目的に沿って特別にデザインされたものでよい。
【0028】
それぞれのロールからの紙はそれぞれのロールから解巻(引き出し)でき、紙の様々な層を組み合わせて所望の板紙製品を形成するように構成されているコンバイナー(組み合わせ機)450に供給できる。様々な実施例においては、機械400の供給ロールの組み合わせは図4に示すものとは異なっていてもよい。例えば、図4に示す供給ロールの構成は5層の板紙製品を製造することができる(図5A図5Bに関して以下で説明する)。図3A図3Bの板紙製品100を製造するために4つだけの供給ロールを使用することもできる。すなわち、第1面材供給ロール410、波形加工中間物供給ロール420、エンボス加工中間物供給ロール430および第2面材供給ロール440の4つである。図4に関する残りの説明はこの実施例に焦点が当てられている。
【0029】
コンバイナー450に入る前に、それら供給ロールからの紙の少なくとも一部は、その
紙を中間物に形成するステージ(段階、台)を通ることができる。本発明および産業界で使用されているごとく、中間物とは、溝部を有した紙の外形に形成されている紙製品のことである。よって、波形加工中間物供給ロール420は、それぞれに対して整列されている第1波形加工ロール421aと第2波形加工ロール421b内に紙を供給することができる。紙が波形加工ステージ(例えば、波形加工ロール421aと421b)を出ると、それは図1に関して上述したように波形加工中間物120になる。続いて波形加工中間物120はコンバイナー450に供給され、他の材料と組み合わされる。同様に、エンボス加工中間物供給ロール430は紙を、互いに整列している第1エンボス加工ロール431aと第2エンボス加工ロール431bに供給できる。紙がエンボス加工ステージ(例えば、エンボス加工ロール431aと431b)を出ると、それは図2に関して上述したようにエンボス加工中間物130になる。その後、エンボス加工中間物130はコンバイナー450に供給され、他の材料と組み合わされる。
【0030】
図3A図3Bの板紙製品を製造する実施例において、第1面材110、波形加工中間物120、エンボス加工中間物13、および第2面材140は、接着剤処理、硬化処理、湿潤処理、乾燥処理、加熱処理および化学処理等の様々な技術を駆使してコンバイナー450で組み合わされる。得られる板紙製品100は少なくとも1枚の横断波形加工中間物120と、少なくとも1枚の縦方向エンボス加工中間物130の特徴を備えている。
【0031】
他の機械400も実施例は、紙、表面材および中間物の異なる組み合わせで異なる板紙製品を製造するように構成できる。例えば、別な面材供給ロール445が、横断波形加工中間物120と縦方向エンボス加工中間物130の間に第3面材446を配置させるよう供給するために含まれることができる。よって、5層が、それら5層を組み合わせている板紙製品を製造するようにコンバイナー450に供給できる。
【0032】
図5Aは、ここに開示する発明の1実施例による、波形加工中間物120とエンボス加工中間物130を有し、それら中間物120と130の間に挟まれた面材446を有した板紙製品500の断面斜視図である。この実施例では、板紙製品500は5層を含んでいる。すなわち、第1面材110、波形加工中間物120、中央面材446、エンボス加工中間物130、および第2面材140である。図示されているように、第1面材110は、波形加工中間物120の1面に結合されている上部外壁(但し、板紙製品500の整列に対する方向の言及は随意)を形成できる。結合は、波形加工中間物120の上面のそれぞれの溝部の頂部に塗布される接着剤を介して行われ、接着剤が塗布されたところで面材110は波形加工中間物120に結合される。同様に、第2面材140はエンボス加工中間物130の1面に結合されている下部外壁(方向の言及は随意)を形成できる。結合は、エンボス加工中間物130の下面のそれぞれの溝部の頂部に塗布される接着剤を介して行われ、接着剤が塗布されたところで面材140はエンボス加工中間物140に接着される。
【0033】
さらに、波形加工中間物120とエンボス加工中間物130も接着剤を使用して中央面材446に接着できる。このように、それぞれの中間物を中央面材336に保持している接着剤によって波形加工中間物120とエンボス加工中間物130は互い同士固定されている。5層全てが組み立てられて固定されると、得られる板紙製品500は従来の板紙製品よりも丈夫になる。なぜなら、縦方向にエンボス加工された中間物130が紙製品の大きなMD値を利用しているからである。図5Bに示すように、これら5層は組み立てられると、波形加工中間物120の溝部に垂直(あるいは少なくとも一致していない)な溝部を有したエンボス加工中間物130を備える。これで、追加の板紙構造と強度が得られる。なぜなら、それぞれの中間物の溝部は互いに対して垂直(あるいは少なくとも一致していない)だからである。
【0034】
ここで説明した発明には様々な修正および代用構成が適用できるが、それらの実施例の一部は図示されており、詳細に説明されている。しかしながら、本明細書の請求項を、ここに開示した特定の外形に限定する意図はなく、むしろ、請求項の精神と範囲内の全ての修正、代案構成および等価の外形を含むことが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2022-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙製品であって、
機械方向と横断方向とを有した第1の紙から形成される第1の中間物であって、該第1の紙の機械方向に整列している1以上のエンボス加工された溝部を有し、前記エンボス加工された溝部は前記機械方向に整列する下層の繊維を含む、第1の中間物と、
機械方向と横断方向とを有した第2の紙から形成される第2の中間物であって、前記機械方向に整列する下層の繊維を含み、前記第1の中間物に対して固定されており、前記第2の紙の横断方向に整列している1以上の溝部を有した第2の中間物と、を含み、
前記板紙製品は、前記第1の中間物が、前記第1の紙の前記機械方向に整列する1以上の縦方向にエンボス加工された溝部を有し、前記縦方向にエンボス加工された溝部は、一対の整列したエンボス化ロールを使用して、前記第1の紙に付与されることを特徴とする、板紙製品。
【請求項2】
前記第1の中間物に接着された面材をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項3】
前記第2の中間物に接着された面材をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項4】
前記第1の中間物は前記第2の中間物に直接的に接着されている、請求項1記載の板紙製品。
【請求項5】
前記第1の中間物と前記第2の中間物の間に取り付けられるように、第1の中間物と第2の中間物に接着された面材をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項6】
前記第1の中間物は、エンボス加工を通じて導入される溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項7】
前記第1の中間物は、折線加工を通じて導入される溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項8】
前記第2の中間物は、波形加工を通じて導入される溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項9】
前記第1の中間物は、E形溝部外形に対応する大きさを有した溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項10】
前記第2の中間物は、C形溝部外形に対応する大きさを有した溝部をさらに含んでいる、請求項1記載の板紙製品。
【請求項11】
前記第1の中間物の溝部は、前記第2の中間物の溝部とは一致していないことを特徴とする、請求項1記載の板紙製品。
【請求項12】
改良した構造を備えた板紙製品を製造する方法であって、
エンボス加工された溝部を、一対の整列したエンボス化ロールを使用して、前記第1の紙に付与することによって、第1の紙を機械方向にエンボス加工し、機械方向に導入された縦方向にエンボス加工された溝部を有したエンボス加工中間物を得る工程と、
第2の紙を横断方向に波形加工し、前記第2の紙は前記機械方向に整列した下層の繊維を有し、横断方向に導入された溝部を有した波形加工中間物を得る工程と、
前記エンボス加工中間物を前記波形加工中間物に取り付ける工程と、
を含んでいる、板紙製品を製造する方法。
【請求項13】
前記エンボス加工中間物を前記波形加工中間物に直接的に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記エンボス加工中間物を面材の第1の面に接着し、前記波形加工中間物を面材の第2の面に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記波形加工中間物から離れて配置された面材を前記エンボス加工中間物に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記エンボス加工中間物から離れて配置された面材を前記波形加工中間物に接着する工程をさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記エンボス加工中間物は、E形溝部外形を有した溝部を含んでおり、前記波形加工中間物はC形溝部外形を有した溝部を含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項18】
機械であって、
波形化ステージに紙を供給するように構成され、機械方向に整列する下層の繊維を有する紙を備えた第1の紙供給ロールと、
エンボス化ステージに紙を供給するように構成され、機械方向に整列する下層の繊維を有する紙を備えた第2の紙供給ロールと、
前記第1の紙供給ロールの、前記下層の整列した繊維に対して垂直方向の溝部を付した、横断方向に波形加工された中間物を製造するために前記波形化ステージに供給された紙を横断方向に波形加工するように構成された少なくとも1対の波形化ロールと、
前記第2の紙供給ロールの、前記下層の整列した繊維に対して水平方向の溝部を付した、縦方向にエンボス加工された中間物を製造するために前記エンボス化ステージに供給された紙を縦方向にエンボス加工し、エンボス加工された溝部を形成するように構成された少なくとも1対のエンボス化ロールと、
前記横断方向に波形加工された中間物を前記縦方向にエンボス加工された中間物と組み合わせるステージと、
を含んでいる、機械。
【請求項19】
第1の面材を前記組み合わせるステージに供給し、該第1の面材を前記横断方向に波形加工された中間物と前記縦方向にエンボス加工された中間物の一方に接着させ、面材を前記波形加工された中間物および前記エンボス加工された中間物に組み合わせるように構成された第3の紙供給ロールと、
第2の面材を前記組み合わせるステージに供給し、該第2の面材を前記横断方向に波形加工された中間物と前記縦方向にエンボス加工された中間物の他方に接着させるように構成された第4の紙供給ロールと、
をさらに含んでいる、請求項18記載の機械。
【請求項20】
面材を前記組み合わせるステージに供給し、該面材を前記横断方向に波形加工された中間物に接着させ、および、前記縦方向にエンボス加工された中間物に接着させるように構成された第3の紙供給ロールをさらに含んでいる、請求項18記載の機械。
【外国語明細書】