(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006517
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】3-メチルシクロアルケノン類の製造法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/45 20060101AFI20220105BHJP
C07C 49/587 20060101ALI20220105BHJP
C07C 49/607 20060101ALI20220105BHJP
C07B 61/00 20060101ALI20220105BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20220105BHJP
B01J 31/14 20060101ALI20220105BHJP
B01J 31/12 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C07C45/45
C07C49/587 A
C07C49/607
C07B61/00 300
B01J31/22 M
B01J31/14 M
B01J31/12 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108780
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】309006822
【氏名又は名称】銅谷 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】銅谷 正晴
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA21B
4G169BA27B
4G169BC01A
4G169BC08A
4G169BC15A
4G169BC16B
4G169BC20A
4G169BC22B
4G169BC24A
4G169BC30A
4G169BC34A
4G169BC35B
4G169BC49A
4G169BC53A
4G169BC61A
4G169BC65A
4G169BC69A
4G169BE01B
4G169BE05B
4G169BE08B
4G169BE14B
4G169BE33B
4G169BE37B
4G169CB35
4G169CB38
4G169CB63
4G169CB65
4G169CB72
4G169DA02
4H006AA02
4H006AC25
4H006BA09
4H006BA11
4H006BA51
4H006BB11
4H006BC10
4H039CA40
4H039CL25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大過剰の触媒と大量の希釈剤を使用することなく、高収率で3-メチルシクロアルケノン類を製造することができる、新規の3-メチルシクロアルケノン類の製造法を提供する。
【解決手段】反応部と蒸留分離部とからなる反応蒸留塔を用い、溶媒と触媒の存在下、一般式CH3CO(CH2)nCOCH3で示される脂肪族ジケトンを前記反応部へ連続的に供給し液相で反応を行い、反応で生成した3-メチルシクロアルケノン類を前記蒸留分離部で連続的に分離する。好ましくは、一般式のnが7~14の整数である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応部と蒸留分離部とからなる反応蒸留塔を用い、溶媒と触媒の存在下、一般式CH3CO(CH2)nCOCH3で示される脂肪族ジケトンを前記反応部へ連続的に供給し液相で反応を行い、反応により生成した3-メチルシクロアルケノン類を前記蒸留分離部で連続的に分離することを特徴とする3-メチルシクロアルケノン類の製造法。
【請求項2】
前記一般式のnが7~14の整数である請求項1に記載の3-メチルシクロアルケノン類の製造法。
【請求項3】
前記溶媒が反応により生成する3-メチルシクロアルケノン類より高沸点である請求項1又は2に記載の3-メチルシクロアルケノン類の製造法。
【請求項4】
前記触媒が元素の周期律表IA、IB、IIA、IIB,IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIB、VIIA、VIII属の原子群の中から選ばれた1種又は2種以上の原子又はその化合物である請求項1~3のいずれかに記載の3-メチルシクロアルケノン類の製造法。
【請求項5】
反応温度が150~350℃である請求項1~4のいずれかに記載の3-メチルシクロアルケノン類の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料中間体等として有用な3-メチルシクロアルケノン類の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3-メチルシクロアルケノン類としては、香料として有用なムスコンの合成中間体である3-メチルシクロペンタデセノンが知られている。
【0003】
また、大環状アルケノン類は、環の炭素数が異なるとその香気も変化することが知られている。したがって、前述のムスコン合成中間体である3-メチルシクロペンタデセノンと環の炭素数が異なる3-メチルシクロアルケノン類は、新規香料の合成中間体として産業上有用と期待される化合物である。
【0004】
ところで、3-メチルシクロアルケノン類の製造法としては、液相法と気相法がある。
【0005】
液相法としては、2,15-ヘキサデカンジオンを不活性溶媒中、触媒として特殊なアルミニウム化合物と第3級アミンを用いて分子内環化させる方法(特許文献1)、触媒として有機亜鉛化合物を用いて分子内環化させる方法(特許文献2)が知られている。
【0006】
気相法としては、2,15-ヘキサデカンジオンを不活性溶媒の存在下にて、温度300~400℃で触媒量に対して5~15重量%の水の存在下、触媒としてTiO2、CeO2、ThO2のいずれかを用いて分子内環化させる方法(特許文献3)、触媒として元素周期律表第2族の化合物を用いる方法(特許文献4、5)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭55-85536号公報
【特許文献2】特開昭59-157047号公報
【特許文献3】特開平3-81242号公報
【特許文献4】国際公開第2010/109650号パンフレット
【特許文献5】特開2017-165662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の3-メチルシクロアルケノン類の製造法は、液相法の場合、大希釈系、触媒の大量使用、長時間反応、収率が低い等の問題を有し、気相法の場合は、不活性稀釈ガスの大量使用、溶媒の大量使用、高温反応、転化率が低い等の問題を有していた。
【0009】
例えば、特許文献1に記載された方法は、液相反応であることから、分子間縮合を抑制するために、基質である2,15-ヘキサデカンジオンの濃度を0.2wt/vol%とし、触媒として特殊な有機アルミニウム化合物と第3級アミンを基質に対して4モル倍使用し、滴下11時間と熟成1時間という長時間反応を行う必要があり、経済的ではなかった。
【0010】
特許文献2に記載された方法も液相反応であることから、基質濃度を0.2wt/vol%とし、触媒としてヨウ化エチル亜鉛を基質に対して3~10モル倍使用する必要があり、経済的ではなかった。
【0011】
特許文献3に記載された方法は、分子間縮合を抑制するために気相反応を行うものであり、希釈剤として大量の不活性ガスと溶媒を使用し、300~400℃という高温で、触媒としてTiO2、CeO2、ThO2のいずれかを用いる方法であるが、触媒にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物をドーピングする等の特殊な処理をする必要があり、経済的でははなかった。
【0012】
特許文献4、5に記載された方法は、特許文献3と同様に気相反応を行うものであり、触媒として元素周期律表第2族の化合物を用いる方法である。この方法は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の安価な化合物を用いる点において特許文献3に記載の方法よりも優れているが、分子間縮合を抑制するために大量の不活性ガスと溶媒を使用し、副反応を抑えるために転化率を低めにする必要があることから、未反応物の回収リサイクルが必要であるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、大過剰の触媒と大量の希釈剤を使用することなく、高収率で3-メチルシクロアルケノン類を製造することができる、新規の3-メチルシクロアルケノン類の製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、反応部と蒸留分離部とからなる反応蒸留塔を用い、溶媒と触媒の存在下、原料の脂肪族ジケトンを反応部へ連続的に供給し液相で反応を行い、反応生成物を蒸留分離部で連続的に分離する方法により、大過剰の触媒と大量の稀釈剤を使用することなく、高収率で3-メチルシクロアルケノン類を製造することができることを見出し、本発明に想到した。
【0015】
すなわち、本発明の3-メチルシクロアルケノン類の製造法は、反応部と蒸留分離部とからなる反応蒸留塔を用い、溶媒と触媒の存在下、一般式CH3CO(CH2)nCOCH3で示される脂肪族ジケトンを前記反応部へ連続的に供給し液相で反応を行い、反応により生成した3-メチルシクロアルケノン類を前記蒸留分離部で連続的に分離するものである。
【0016】
また、前記一般式のnが7~14の整数である。
【0017】
また、前記溶媒が反応により生成する3-メチルシクロアルケノン類より高沸点である。
【0018】
また、前記触媒が元素の周期律表IA、IB、IIA、IIB,IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIB、VIIA、VIII属の原子群の中から選ばれた1種又は2種以上の原子又はその化合物である。
【0019】
また、反応温度が150~350℃である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大過剰の触媒と大量の希釈剤を使用することなく、高収率で3-メチルシクロアルケノン類を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の3-メチルシクロアルケノン類の製造法は、反応部と蒸留分離部とからなる反応蒸留塔を用い、原料となる脂肪族ジケトンを反応部へ連続的に供給し液相で反応を行い、反応により生成した3-メチルシクロアルケノン類を蒸留分離部で連続的に分離するものである。液相での反応は、溶媒と触媒の存在下で行われ、好ましくは、原料は溶媒に溶解した状態で反応部へ供給される。
【0022】
本発明は、このような方法を採用することにより、原料を連続的に供給し、反応により生成した3-メチルシクロアルケノン類を直ちに分離することができる。このため、本発明によれば、従来法のように大過剰の触媒と大量の希釈剤を使用することなく、副反応である原料の分子間縮合を抑制して、高収率で3-メチルシクロアルケノン類を製造することができる。
【0023】
本発明において用いられる脂肪族ジケトンは、一般式CH3CO(CH2)nCOCH3で示される。本発明により製造される3-メチルシクロアルケノン類は、蒸留により分離されるため、実用的に蒸留に適した分子量であることが好ましい。したがって、好ましくは、上記一般式のnは7~14の整数である。
【0024】
本発明の方法は、好ましくは、まず、反応部へ所定量の溶媒と触媒を供給し、所定温度へ昇温する。つぎに、溶媒に溶解した脂肪族ジケトンを反応部へ連続的に供給する。そして、反応で生成した3-メチルシクロアルケノン類を、蒸留分離部の塔頂より連続的に得ることにより反応系から分離する。
【0025】
蒸留分離部に用いられる蒸留塔の塔段数と還流比は、反応により生成する3-メチルシクロアルケノン類の種類と濃度、溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよいが、通常は実用的な塔段数2~50段、還流比1~100の範囲で設定することができる。
【0026】
本発明において用いられる溶媒は、原料の脂肪族ジケトンを溶解し、反応に不活性であり、好ましくは、反応で生成する3-メチルシクロアルケノン類より高沸点であるものが用いられる。そのような溶媒としては、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の置換又は非置換の炭化水素類、エーテル類、ジフェニルスルホン類、シリコン油、ジフェニルスルホキシド等が挙げられる。本発明に用いられる溶媒は、原料の脂肪族ジケトン類の沸点、生成する3-メチルシクロアルケノン類の沸点に応じて、適宜選定することができる。
【0027】
本発明の方法において、反応部へ供給される溶媒の量は、多すぎると経済的ではなく、少なすぎると副反応を抑制できなくなる。したがって、反応部へ供給される溶媒の量は、好ましくは、原料の脂肪族ジケトンに対して質量で1~100倍である。
【0028】
本発明において用いられる触媒は、反応に活性であればよく、特定のものに限定されるものではない。例えば、元素の周期律表IA、IB、IIA、IIB,IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIB、VIIA、VIII属の原子群の中から選ばれた1種又は2種以上の原子又はその化合物等を用いることができる。すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、錫、鉛、バナジウム、リン、イオウ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその化合物を用いることができる。触媒の使用量は、反応部における濃度として、好ましくは、0.001~1質量%の範囲である。
【0029】
本発明における反応温度は、好ましくは、150~350℃の範囲である。反応温度が低いと反応速度が遅く、反応温度が高いと副反応が促進されるので、好ましくない。
【0030】
本発明における反応圧力は、反応により生成する3-メチルシクロアルケノン類が、反応部において蒸発し、蒸留分離部において分離、濃縮され、蒸留塔の塔頂より留出することができる圧力であればよく、反応により生成する3-メチルシクロアルケノン類の種類と濃度、溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。通常は減圧下で反応が行われるが、必要に応じて常圧又は加圧下で反応を行ってもよい。
【0031】
本発明における反応時間は、原料の脂肪族ジケトンの種類、触媒の種類と濃度、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0032】
本発明における反応操作は、連続法又は半回分法により行うことができる。例えば、連続法により反応操作を行う場合は、所定量の触媒を溶解した溶媒を反応部へ入れ、減圧下、所定温度に保持された反応部へ脂肪族ジケトン、溶媒、触媒を連続的に供給し、反応で生成する3-メチルシクロアルケノン類を溶媒とともに蒸発させて蒸留分離部へ送り、蒸留分離部において3-メチルシクロアルケノン類と溶媒とを分離し、蒸留分離部の塔頂より3-メチルシクロアルケノン類を高濃度留分として得る。ここで得られた3-メチルシクロアルケノン類の高濃度留分は、そのまま次の工程で使用されてもよく、或いは、必要に応じて蒸留等によって高純度品に精製されてもよい。一方、反応部から滞留液を連続的又は間欠的に抜き出し、例えば、別途、蒸発器により高沸点不純物を除去した後、留分の溶媒等を原料系又は反応系へ循環させてもよい。
【0033】
本発明によれば、上記のような方法を採用することにより、特殊な装置を使用することなく、原料の供給濃度を従来の方法よりも高く設定し、従来の方法よりも少ない触媒の使用量で、極めて効率よく、香料の合成中間体等として産業上有用な3-メチルシクロアルケノン類を製造することができる。
【実施例0034】
以下、実施例に基づき、本発明についてより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0035】
[実施例1]
本実施例では、反応により生成する3-メチルシクロアルケノンよりも高沸点の溶媒を使用した。そして、原料液を反応器へ連続的に供給し液相で反応を行い、反応により生成した3-メチルシクロアルケノンを蒸留分離塔で連続的に分離して反応系外へ抜き出す、半回分法により実験を行った。
【0036】
撹拌機、温度計、原料供給ノズル、分留塔付き蒸留塔としてスルーザーパッキング充填塔;約10段を付した500mlフラスコを反応器に使用した。溶媒として、反応により生成する3-メチルシクロアルケノンよりも高沸点のバーレルサーム400(主成分:ジベンジルトルエン)を使用し、触媒にはヨウ化エチル亜鉛を使用した。
【0037】
溶媒に対して1000ppmの触媒を含む溶液200gを反応器に仕込み、油浴中に浸した。分留塔には還流冷却器と反応で生成する3-メチルシクロペンタデセノンを捕集する受器を取り付け、還流冷却器に60℃の温水を循環させた。還流冷却器上部は、縮合反応で副生する水を捕集するための氷水トラップを通して真空ラインに連結した。
【0038】
原料槽に原料の2,15-ヘキサデカンジオンと溶媒を1:4の質量比で200g仕込み、窒素ガスで置換後、80℃へ加温溶解し、原料液を調製した。
【0039】
反応器内の溶液の温度が250℃を保持するよう減圧度を20~25mmHgに調整し、溶媒を蒸留塔と還流冷却器において全還流させた。
【0040】
反応器内が定常状態になった時点で、原料液を50g/時間の流速で原料供給ノズルより反応器へ供給した。その後、反応で生成する3-メチルシクロペンタデセノンが蒸留塔上部において濃縮され、蒸留塔上部の蒸気温度が次第に低下した。蒸留塔上部の蒸気温度が原料液を供給する前の溶媒の全還流時の温度より20~30℃低下した時点で、還流比を10として留出液を連続的に受器へ抜き出した。原料液を所定量供給後、3-メチルシクロペンタデセノンの生成がなくなり、蒸留塔上部の蒸気温度が次第に溶媒の全還流温度へ上昇した。原料液の供給を終了してから1時間留出を継続した後、反応を終了した。
【0041】
留出液の液量は115gであった。ガスクロマトグラフィーを用いて組成を分析し収率を求めたところ、2,15-ヘキサデカンジオンの転化率は97%、3-メチルシクロペンタデセノンの選択率は91%であった。
【0042】
[比較例1]
実施例1と比較するため、反応により生成する3-メチルシクロアルケノンよりも低沸点の溶媒を使用し、原料液を連続的に反応器へ供給し、生成した3-メチルシクロアルケノンを反応系内へ溜め込む、半回分溜め込み方式により実験を行った。
【0043】
撹拌機、温度計、原料供給ノズル、ジムロートを付した500mlフラスコを反応器に使用した。溶媒として、反応により生成する3-メチルシクロアルケノンより低沸点のビフェニルを使用し、触媒にはヨウ化エチル亜鉛を使用した。
【0044】
溶媒に対して触媒1000ppmを含む溶液200gを反応器に仕込み、油浴中に浸した。ジムロートには80℃の温水を循環させた。
【0045】
原料槽に原料の2,15-ヘキサデカンジオンと溶媒を1:4の質量比で200g仕込み、窒素ガスで置換後、80℃へ加温溶解し、原料液を調製した。
【0046】
反応器内の溶液の温度を250℃へ昇温後、攪拌下、原料液を50g/時間の流速で原料供給ノズルより反応器へ供給した。原料液を所定量供給後、1時間熟成反応を行い、反応を終了した。
【0047】
ガスクロマトグラフィーを用いて反応器内の組成を分析し収率を求めたところ、2,15-ヘキサデカンジオンの転化率は100%、3-メチルシクロペンタデセノンの選択率は38%であり、多量の高沸点物の副生が認められた。。
【0048】
[実施例2]
原料に2,11-ドデカンジオン、溶媒にバーレルサーム430(芳香族炭化水素類、沸点291℃)を使用し、触媒にジイソブチルアルミニウムフェノキシドとトリフェニルアミンを溶媒に対して各500ppmの濃度で使用し、反応温度を290~295℃、常圧、蒸留塔の還流比15とした以外は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0049】
反応終了後の留出液の液量は108gであった。ガスクロマトグラフィーを用いて組成を分析し収率を求めたところ、2,11-ドデカンジオンの転化率は91%、3-メチルシクロウンデセノンの選択率は90%であった。
【0050】
[実施例3]
分留塔付き蒸留塔としてスルーザーパッキング充填塔;約15段を使用し、原料に2,17-オクタデカンジオン、溶媒にサームオイル500(石油系炭化水素類、沸点450℃)を使用し、触媒にジブチル錫ジラウレートを溶媒に対して2000ppmの濃度で使用し、原料槽の原料の2,17-オクタデカンジオンと溶媒の質量比を1:9とし、反応器への原料液の供給流速を25g/時間、反応温度を200℃、減圧度を約2mmHg、還流比を15とした以外は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0051】
反応終了後の留出液の液量は102gであった。ガスクロマトグラフィーを用いて組成を分析し収率を求めたところ、2,17-オクタデカンジオンの転化率は98%、3-メチルシクロヘプタデセノンの選択率は93%であった。
【0052】
[実施例4]
実施例1と同様の反応器を使用し、連続法にて実験を行った。
【0053】
溶媒にバーレルサーム400(主成分:ジベンジルトルエン)を使用し、触媒には亜鉛ナフテネートを使用した。
【0054】
溶媒に対して500ppmの触媒を含む溶液350mlを反応器に仕込み、油浴液中に浸した。
【0055】
原料槽に原料の2,15-ヘキサデカンジオンと溶媒を1:4の質量比で仕込み、溶媒に対して500ppmの触媒を添加し、窒素ガスで置換後、80℃へ加温溶解し、原料液を調製した。
【0056】
反応器内の溶液の温度を250℃、減圧度を20~25mmHgに保持し、溶媒を蒸留塔と還流冷却器において全還流させた。
【0057】
反応器内が定常状態になった時点で、原料液を75g/時間の流速で原料供給ノズルより反応器へ供給した。その後、反応で生成した3-メチルシクロペンタデセノンが蒸留塔上部において濃縮され、蒸留塔上部の蒸気温度が次第に低下した。蒸留塔上部の蒸気温度が原料液を供給する前の溶媒の全還流時の温度より20~30℃低下した時点で、還流比を10として留出液を連続的に受器へ抜き出した。また、反応器内の滞留液の液面を一定レベルに維持するように、反応液を連続的に受器へ抜き出した。
【0058】
反応開始後、所定時間毎に各受器の液量を測定し、ガスクロマトグラフィーを用いて組成分析を行った。
【0059】
12時間連続して運転を行い、定常状態におけるデータを解析した結果、留出液中の3-メチルシクロペンタデセノン濃度は91%、2,15-ヘキサデカンジオンの転化率は98.5%、3-メチルシクロペンタデセノンの選択率は92%であった。