(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065194
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】流体試料の再使用により流体試料を多重化するための装置、方法およびキット
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20220419BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N35/10 G
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022028777
(22)【出願日】2022-02-28
(62)【分割の表示】P 2018565847の分割
【原出願日】2017-06-06
(31)【優先権主張番号】62/351,530
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・レデン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少量の単一流体試料中に存在する少なくとも2つの被検体を検出する装置、方法およびキット。
【解決手段】第1のピペット14Aの内面16A上に存在する第1の被検体に特異的な第1の固定化された結合パートナー20Aを有する第1のピペット14A、および第2のピペット26Aの内面28A上に存在する第2の被検体に特異的な第2の固定化された結合パートナー30Aを有する第2のピペット26Aを含み、第1のピペット14Aは、単一流体試料の少なくとも一部分抜き取り、第1の被検体が流体試料18A中に存在する場合は第1の被検体-結合パートナー複合体が形成され、第2のピペット26Aは、流体試料の非反応部分の少なくとも一部分を抜き取り、第2の被検体が単一流体試料の非反応部分中に存在する場合は第2の被検体-結合パートナー複合体が形成される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を検出するための装置であって:
少なくとも2本のピペットを受けるように構成されたピペッティングステーションを含み、少なくとも2本のピペットは、
第1のピペットの内面上に存在する第1の被検体に特異的な第1の固定化された結合パートナーを有する第1のピペット、および
第2のピペットの内面上に存在する第2の被検体に特異的な第2の固定化された結合パートナーを有する第2のピペットを含み、
第1の固定化された結合パートナーの被検体特異性は、第2の固定化された結合パートナーの被検体特異性とは異なる、ピペッティングステーション;
を含み、
ここで、第1のピペットは、流体試料を保持するように構成された流体試料レセプタクル内に配置可能であり、第1のピペットは、単一流体試料の少なくとも一部分を第1のピペット内に抜き取り、それによって第1の固定化された結合パートナーがその抜き取られた流体試料と接触し、第1の被検体が流体試料中に存在する場合は第1の被検体-結合パートナー複合体が形成される、ように構成され;
さらに、単一流体試料中の非反応部分は、第1のピペットから流体試料レセプタクル内に再分配可能であり、その後、第2のピペットは、流体試料レセプタクル内に配置可能であり、第2のピペットは、流体試料の非反応部分の少なくとも一部分を抜き取り、それによって第2の固定化された結合パートナーがその抜き取られた流体試料の非反応部分と接触し、第2の被検体が単一流体試料の非反応部分中に存在する場合は第2の被検体-結合パートナー複合体が形成される、ように構成される
前記装置。
【請求項2】
流体試料は、全血、血漿、血清、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、腸液、腹腔液、嚢胞液、汗、間質液、涙液、粘液、尿、膀胱洗浄液および精液からなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
流体試料は、約1マイクロリットル~約100マイクロリットルの体積を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
流体試料の体積は、約50マイクロリットルである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
試料レセプタクルは、ウェル、キュベット、チューブ、バイアルおよびキャピラリからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
第1の被検体および第2の被検体は、心臓マーカー、感染症血清学的被検体、治療用薬物、乱用薬物、ホルモン、癌マーカー、感染症核酸被検体、自己免疫疾患核酸マーカー、タンパク質、ビタミン、共同因子、代謝産物およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第1の固定化された結合パートナーおよび第2の固定化された結合パートナーは、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、二重特異的抗体、抗体断片、受容体、配位子、アプタマー、抗原、抗体代替タンパク質またはペプチド、分子認識ポリマーおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第1の固定化された捕捉抗体および第2の固定化された捕捉抗体は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を検出する方法であって:
被検体を含むことができる流体試料を受けたとき、該単一流体試料を試料レセプタクル内に配置する工程と;
単一流体試料を試料レセプタクル内に配置された第1のピペット内に抜き取る工程であって、第1の固定化された結合パートナーは第1のピペットの内面上に存在し流体試料と接触し、それによって、第1の被検体が単一流体試料中に存在する場合は第1の被検体-結合パートナー複合体が形成される、工程と;
流体試料の非反応部分を第1のピペットから流体試料レセプタクル内へと再分配する工程と;
流体試料の非反応部分を試料レセプタクル内に配置された第2のピペット内に抜き取る工程であって、第1の固定化された結合パートナーとは被検体特異性が異なる第2の固定化された結合パートナーは第2のピペットの内面上に存在し、第2の固定化された結合パートナーは流体試料の非反応部分と接触し、それによって、第2の被検体が流体試料の非反応部分中に存在する場合は第2の被検体-結合パートナー複合体が形成される、工程と;
第1の被検体-結合パートナー複合体の存在、および第2の被検体-結合パートナー複合体の存在を検出する工程と
を含む、前記方法。
【請求項10】
流体試料は、全血、血漿、血清、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、腸液、腹腔液、嚢胞液、汗、間質液、涙液、粘液、尿、膀胱洗浄液および精液からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
流体試料は、約1マイクロリットル~約100マイクロリットルの体積を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
流体試料の体積は、約50マイクロリットルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料レセプタクルは、ウェル、キュベット、チューブ、バイアルおよびキャピラリからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
第1の被検体および第2の被検体は、心臓マーカー、感染症血清学的被検体、治療用薬物、乱用薬物、ホルモン、癌マーカー、感染症核酸被検体、自己免疫疾患核酸マーカー、タンパク質、ビタミン、共同因子、代謝産物およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
第1の固定化された結合パートナーおよび第2の固定化された結合パートナーは、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、二重特異的抗体、抗体断片、受容体、配位子、アプタマー、抗原、抗体代替タンパク質およびペプチド、分子認識ポリマーおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
第1の固定化された結合パートナーおよび第2の固定化された結合パートナーは、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の被検体および第2の被検体の検出は、化学発光検出、蛍光検出およびこれらの組合せによって実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を検出するためのキットであって:
第1のピペットの内面上に存在する第1の被検体に特異的な第1の固定化された捕捉抗体を有する第1のピペット、および
第2のピペットの内面上に存在する第2の被検体に特異的な第2の固定化された捕捉抗体を有する第2のピペット
を含む少なくとも2本のピペットであって、第1の固定化された捕捉抗体の被検体特異性は、第2の固定化された捕捉抗体の被検体特異性とは異なる、少なくとも2本のピペットと;
流体試料を保持するように構成された流体試料レセプタクルと;
使用者が流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を識別する該キットを使用できるように使用者に提供される説明書と
を含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその開示全体が組み入れられている、2016年6月17日出願の米国仮特許出願第62/351,530号の優先権を主張するものである。
【0002】
連邦政府の資金援助を受けた研究または開発に関する申告
該当なし
【0003】
本明細書に開示され特許請求される発明の概念は、少量の単一流体試料中に存在する、組成が互いに異なる別個の少なくとも2つの被検体の検出のための装置および方法に関する。そのような検出の結果として、単一流体試料損失/減少が緩和され単一流体試料の再使用が可能にされるとともに、少量の単一流体試料中に存在する様々な被検体の多重化パネルが達成される。
【背景技術】
【0004】
流体試料中に存在することがある被検体を検出するための多数の装置および方法が存在する。しかし、現在利用されている装置および方法は、そのような試料中に存在する被検体の検出のために多数の流体試料の使用および/または単一流体試料のアリコートの使用を必要とする。そのような装置および方法は、被検体検出を達成するために、大量の流体試料、すなわち患者からの多数の流体試料の収集が必要であり、および/または、被検体検出のために流体試料から多数のアリコートが採取されることから、結果的に流体試料損失/減少になる。したがって、単一流体試料中に存在する少なくとも2つの被検体を検出するために、患者から得た少量の単一流体試料の再使用を可能にする新しく改善された高感度の装置および方法が必要とされている。そのような装置および方法によって、単一流体試料中に存在する様々な被検体に会合される多重化パネルの作成が可能になる。本明細書に開示され特許請求される発明の概念は、そのような装置および方法、ならびにそれに関するキットを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本明細書に開示され特許請求される発明の概念に従って構築された装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一実施形態の詳細な斜視図である。
【
図1B】本明細書に開示され特許請求される発明の概念に従って構築された装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一実施形態の詳細な斜視図である。
【
図1C】本明細書に開示され特許請求される発明の概念に従って構築された装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一実施形態の詳細な斜視図である。
【
図2A】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2B】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2C】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2D】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2E】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2F】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2G】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2H】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2I】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2J】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2K】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【
図2L】本明細書に開示され特許請求される発明の概念による装置および本明細書に記載されるような方法でのその使用の一代替実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な図面、実験、結果および実験手順を用いて発明の概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、発明の概念は、その適用において、以下の説明に記載されまたは図面中、実験および/または結果に示される構成要素の構造および配置の詳細に限定されないと理解されたい。発明の概念は、他の実施形態が可能であり、種々の様式で実施または実行することができる。したがって、本明細書で用いられる言語は、可能な限り広範な範囲および意味を有することが意図され;実施形態は、例示的なものであって、網羅を意図していない。また、本明細書で用いる表現法および専門用語は、説明のためであって限定とみなされるべきではないということも理解されたい。
【0007】
別段本明細書で定義しない限り、本明細書に開示され特許請求される発明の概念に関連して使用される科学的および技術的な用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、別段文脈により必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、また、複数形の用語は単数形を含むものとする。酵素反応および純化手技は、製造業者の仕様に従って実行される、または当業界で一般的に行われるように実行される、または本明細書に記載のように実行される。上述の手技または手順は、一般的に、当業界で周知の慣用法に従って、また、本明細書において引用され記載される様々な一般的なより特定の参照文献に記載されるように、実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医薬および薬学化学に関連して使用される命名法、ならびに実験手順および技法は、当業界で周知であり一般的に用いられるものである。
【0008】
本明細書において言及されるすべての特許、公開特許出願および非特許刊行物は、本明細書に開示され特許請求される発明の概念が関係する技術分野の当業者の技術水準を示すものである。本出願のいかなる部分であれ、参照される特許、公開特許出願および非特許刊行物はすべて、各個々の特許または刊行物が参照によって組み入れることが具体的にかつ個々に示されているのと同じ程度において、その全体が参照により本明細書に明示的に組み入れる。
【0009】
本明細書に開示され特許請求される組成物および/または方法のすべては、本開示に照らして必要以上の実験作業なしに実施および実行することができる。本明細書に開示され特許請求される発明の概念の組成物および方法を好ましい実施形態に関連して記載したが、組成物および/または方法に対し、さらに、本明細書に記載の方法の工程または一連の工程において、本明細書に開示され特許請求される発明の概念の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、変形形態が適用できることは当業者には明らかであろう。当業者には明らかなこうした同様の置換物および変形物のすべては、添付の特許請求の範囲に定義される発明の概念の趣旨、範囲および概念の範囲内に含まれるとみなされる。
【0010】
本開示に従って使用される場合、以下の用語は、別段指定の無い限り、以下の意味を有するものと理解すべきである:
【0011】
単語「a」または「an」の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において用語「含む(comprising)」との組合せにおいて使用される場合、「1つの」を意味するが、「1つまたはそれ以上」、「少なくとも1つ」および「1つまたは1つより多く」の意味とも矛盾しない。単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に指定しない限り複数形の指示対象を含む。したがって、たとえば、「化合物」に対する言及は1以上、2以上、3以上、4以上、またはそれより大きな数の化合物を指す場合もある。用語「複数」は「2以上」を指す。特許請求の範囲における用語「または」の使用は、代替物のみであるまたは代替物が互いに排他的であるということが明確に指示されていない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示においては、代替物のみ、ならびに「および/または」を指す定義を支持する。本出願を通して、用語「約」は、ある値が、装置の誤差の固有変動、その数値を決定するために使用される方法、または研究主題間に存在する変動を含むことを示すために使用される。用語「約」が用いられる場合、表示された値は、指定された値から、これらに限定されないがたとえば、±20%、または±10%、または±5%、または±1%、または±0.1%だけ変動する場合があり、こうした変動は開示された方法を行うのに適切であり、当業者によって理解される。用語「少なくとも1つ」の使用は、1、ならびに、これらに限定されないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを始めとする1よりも大きい任意の量をも含むものと理解される。用語「少なくとも1つ」は、それが付されている用語によっては100または1000以上に拡張されることもある。また、100/1000の量は限定とみなすべきではなく、より高い限界も良好な結果を生む場合がある。加えて、用語「X、YおよびZのうちの少なくとも1つ」の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX、YおよびZのあらゆる組合せを含むものと理解されよう。序数詞(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)の使用は、単に2つ以上の項目を区別する目的で使用され、1つの項目に他の項目を超える何らの順列または順序または重要性を付与することを意味せず、たとえば何らの添加の順序を意味するものでもない。
【0012】
本明細書および請求項で使用する場合、用語「含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」といったcomprisingの任意の形)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」といったhavingの任意の形)、「含む(including)」(ならびに「includes」および「include」といったincludingの任意の形)、または「含む(containing)」(ならびに「contains」および「contain」といったcontainingの任意の形)は、包括的なものであるか終わりがないものであり、列挙されていない追加の要素または方法工程を排除しない。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「またはこれらの組合せ」は、その用語に先行して列挙された項目のすべての並べ替えおよび組合せを指す。たとえば、「A、B、C、またはこれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCの少なくとも1つを含み、および特定の文脈において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABもまた含むことが意図される。この例に加えて、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1以上の項目または用語の繰り返しを含む組合せが明らかに含まれる。そうでないことが文脈から明らかでない限り、典型的には、いずれの組合せにおいても項目または用語の数に制限がないことを当業者は理解するであろう。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に」は、続けて記載される事象または状況が完全に起こるかまたは続けて記載される事象または状況が大きな範囲または程度まで起こると言うことを意味する。たとえば、用語「実質的に」は、続けて記載される事象または状況が少なくとも90%の時間、または少なくとも95%の時間、または少なくとも98%の時間起こることを意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、語句「と関連する」は、2つの部位が互いに直接に関連することおよび2つの部位が互いに対して間接的に関連することの両方を含む。関連の非限定的な例としては、直接結合またはスペーサ基を介した結合のいずれかによる1つの部位の他の部位への共有結合、1つの部位の他の部位への直接のまたはそれらの部位に結合された特異的な結合対メンバーのいずれかによる非共有結合、1つの部位の他の部位中への溶解、合成、および1つの部位上への他の部位への塗布などによる1つの部位の他の部位への組み込みが挙げられる。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「純化された」は、出発材料またはその天然状態の材料に比べて、少なくとも1桁の純化、たとえば、これに限定されないが、出発材料または天然材料の2、3、4または5桁の純化、が達成されることを意味する。したがって、本明細書で用いられる用語「純化された」は、必ずしも、材料が100%純化されたこと意味するものではなく、したがって、そのような用語は、純化された組成物中に他の材料が存在することを排除しない。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「試料」は、本明細書に開示され特許請求される発明の概念に従って利用されるあらゆる種類の生物学的流体試料を含むものと理解されよう。利用できる生物学的試料の例としては、全血またはそれらの任意の部分(すなわち、血漿または血清)、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、腸液、腹腔液(intraperotineal fluid)、嚢胞液、汗、間質液、涙液、粘液、尿、膀胱洗浄液(bladder wash)、精液、組合せなどが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に開示され特許請求される発明の概念に従って用いられる試料の体積は、約1~約100マイクロリットルである。本明細書で使用される場合、本明細書に開示され特許請求される発明の概念に従って用いられる試料に関する場合の用語「少量」は、約0.1マイクロリットル~約90マイクロリットル、または約1マイクロリットル~約75マイクロリットル、または約2マイクロリットル~約60マイクロリットル、または約50マイクロリットル以下を意味する。
【0018】
用語「患者」は、ヒトおよび動物の被験体を含む。いくつかの実施形態では、患者は、哺乳動物である。いくつかの他の実施形態では、患者は、ヒトである。処置目的の「哺乳動物」は、ヒト、家庭動物および農業動物、非ヒト霊長類、および犬、馬、猫、牛などの動物園、戸外用またはペットの動物を指す。
【0019】
次に、本明細書に特許請求され開示される発明の概念の特定の実施形態に移ると、単一流体試料中に存在する少なくとも2つの被検体を検出するために患者から得た少量の単一流体試料を再使用することができる高感度の装置、方法およびキットが本明細書において開示される。
【0020】
キットは、キットの使用方法を説明する、一式の文書または絵による説明書(または、文書か絵のどちらかの説明書のインターネットからの入手方法の情報)をさらに含むことができる。この類のキットは、本明細書に記載の方法または別のやり方で企図される方法のいずれにおいても使用することができる。
【0021】
本明細書に請求され開示される発明の概念の装置、キットおよび方法では、生物学、化
学または生化学的な分析の分野で使用される実質的にあらゆる試薬が使用できることが企図される。これらの試薬は、対象の被検体に結合すると物理的および/または化学的な変化を受け、それによって、試薬-被検体複合体によって生成される信号の強度、性質、周波数またはタイプは、流体試料中に存在する被検体の濃度に比例することが企図される。これらの試薬は、指示染料、金属、酵素、ポリマー、抗体および電気化学的反応成分を含むことができる。
【0022】
流体試料中の被検体を検出および測定する任意の方法は、本明細書に請求される発明の概念の装置、キットおよび方法において使用することができる。これらに限らないが、酵素阻害アッセイ、抗体染色、ラテックス凝集法、およびラジオイムノアッセイなどのイムノアッセイを含む、被検体を検出するための様々なアッセイが当業界で周知である。本明細書において用語「抗体」は、広義に使用され、たとえば、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(たとえば、二重特異的抗体)、および所望の生物活性を示す抗体断片(たとえば、抗原/被検体-結合)を指す。抗体は、任意のタイプまたはクラス(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、またはサブクラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のものであってよい。
【0023】
本明細書で用いられる用語「結合パートナー」は、他の分子と会合することができる任意の分子を指すと理解される。たとえば、これらに限らないが、結合パートナーは、(ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を含む)抗体、抗体断片(たとえば、これらに限られないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、二重特異的抗体、単鎖抗体および無傷の抗体の可変領域の少なくとも一部分を保持している他の抗体断片)、受容体、配位子、アプタマー、抗体代替タンパク質もしくはペプチド(すなわち、改変結合タンパク質/ペプチド)、分子認識ポリマー(すなわち、無機マトリクス)、これらの組合せもしくは誘導体、ならびに、被検体に結合できるあらゆる他の分子であってよい。
【0024】
本明細書で使用される用語「非反応部分」は、単一流体試料のうち、中の被検体がピペットの内面上に存在する固定化された捕捉抗体/結合パートナーと会合せずに試料レセプタクル内へと再分配される、任意の部分を指すと理解されよう。本明細書で使用される用語「反応部分」は、単一流体試料のうち、中の被検体がピペットの内面上の固定化された捕捉抗体/結合パートナーと会合し試料レセプタクル内へと再分配されない、任意の部分を示すと理解されよう。
【0025】
本明細書ではイムノアッセイが主に論じられるが、当業者には、本明細書に開示され特許請求される発明の概念は、イムノアッセイに厳密に限定されるものではなく、これらに限定されないがたとえば、核酸捕捉アッセイ、および血清学に基づいたアッセイを含むことができると容易に理解されたい。ラジオイムノアッセイおよび酵素結合イムノアッセイを含むイムノアッセイは、本明細書に請求され開示される発明の概念と共に使用される有用な方法である。たとえば競合および非競合的なイムノアッセイ形態を含む、様々なイムノアッセイ形態、抗原/被検体捕捉アッセイおよび二抗体サンドイッチアッセイは、本発明の方法に使用することができる。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISAs)も同様に本明細書に請求され開示される発明の概念において使用することができる。酵素イムノアッセイの場合、典型的には、酵素は、一般的に、グルタルアルデヒド、過ヨウ素酸塩、ヘテロ二官能性架橋抗体、またはビオチン-ストレプトアビジン複合体によって第2の抗体に接合される。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、本明細書に開示され請求される発明の概念での使用に容易に利用可能な多種多様な接合技術が存在する。
【0026】
いくつかの実施形態では、被検体は、化学発光検出を用いて検出され、測定される。た
とえば、いくつかの実施形態では、生物学的流体試料中に存在する被検体の捕捉に、被検体-特異的捕捉抗体が使用される。被検体-特異的捕捉抗体(および/または特異的被検体)は、化学発光検出抗体で標識され、ある被検体が生物学的流体試料中に存在する場合にそれによって検出される。本発明の装置および方法には、あらゆる化学発光標識および検出システムを使用することができる。化学発光検出抗体/結合パートナーは、様々な供給者から商業的に入手することができる。化学発光検出抗体/結合パートナーの検出方法は、当業界で既知のため、本明細書には詳細には記載しない。
【0027】
蛍光検出は、また、本明細書に請求され開示される発明の概念において被検体を検出するために有用でありうる。有用な蛍光色素としては、これらに限定されないが、DAPI、フルオレセイン、ランタニド金属、Hoechst 33258、Rフィコシアニン、B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン、ローダミン、Texasレッド、およびリサミンが挙げられる。蛍光化合物は、それらの結合能力を変えることなく抗体/結合パートナーに化学的に結合することができる。特定の波長の光を用いた照明により活性化された場合、蛍光色素で標識された抗体/結合パートナーは、光エネルギーを吸収し、分子において励起状態を誘導し、視覚的に検出可能な特徴的な色での光の放出が続く。ラジオイムノアッセイ(RIAs)は、また、本発明の特定の方法において有用になりうる。そのようなアッセイは、当業界で周知である。ラジオイムノアッセイは、たとえば、検出される被検体および/または固定化された捕捉抗体/結合パートナーと会合される125I標識した検出抗体/結合パートナーを用いて実施することができる。
【0028】
これらに限らないが、イムノアッセイ、核酸捕捉アッセイ、血清学に基づいたアッセイを含むアッセイは、流体試料中に含まれることがあるタンパク質、ペプチドおよび核酸の多重化パネルのために開発することができ、そのようなタンパク質およびペプチドとしては、これらに限らないが、たとえばアルブミン、ヘモグロビン、ミオグロブリン、α-1-ミクログロブリン、イムノグロブリン、酵素、糖タンパク質、プロテアーゼ阻害剤、薬物およびサイトカインが挙げられる。装置は、これらに限定されないが、全血、血漿、血清または尿を含む任意の流体試料の分析に使用することができる。以下の表1は、限定としてではなく単なる一例として、本明細書に開示され特許請求される発明の概念において使用することができる、対象の特定の被検体ならびにそれぞれの抗体/結合パートナーを示している。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
さらに、図面は、上の表1に示されるような、ピペットの内面に存在する固定化された捕捉抗体を具体的に示しているが、当業者には、本発明の概念を達成するために、限定としてではなく単なる一例として、核酸およびその断片、抗原、配位子、および本明細書に開示され請求される発明の概念を達成することができる任意の結合パートナーを含む、あらゆる結合パートナーがピペットの内面上に固定化されることを容易に理解されたい。
【0034】
次に図面、より具体的には
図1A~
図1Cに移ると、患者から得た単一流体試料中の少なくとも2つの被検体の有および/または無を検出する装置10の例示的な一実施形態が図示されている。装置10は、試料レセプタクル12、および少なくとも1本のピペット14を含み、すなわち、装置10は、機械連結ウェブ、または限定的ではないがたとえばピペッティングステーション15のようなピペッティングステーションを介して互いに取り付けられた1、2、5、10、15、20、50、100または1000本のピペットを含むことができる。単なる一例として、
図1A~
図1Cには、装置10が1本よりも多いピペットを含むことができることを例示するために、14および26で示されるような2本のピペットが示されている。限定としてではなく単なる明確化のために、
図1A~
図1Cに示される装置10を、ピペット14だけを参照して述べることにする。ピペット14は、内面16を含み、その上には少なくとも1つの固定化された捕捉抗体20が存在する。試料レセプタクル12は、患者から得た単一流体試料18を含む。
図1Aに示されるように、ピペット14について、内面16上に固定化された5つの固定化された捕捉抗体20が図示されている。しかし、当業者には、ピペット14の内面16上には任意の数の固定化された捕捉抗体20が固定化できると理解されよう。
【0035】
図1Bに示されるように、単一流体試料18の少なくとも一部分は、ピペット14内へと抜き取られ、それによって単一流体試料18はピペット14の内面16と接触する。この接触の結果、単一流体試料18は、固定化された捕捉抗体/結合パートナー20と接触するようになる。対象の被検体が単一流体試料18中に存在する場合、単一流体試料18中に存在する被検体22と、ピペット14の内面16上に存在する少なくとも1つの固定化された捕捉抗体/結合パートナーの会合により、少なくとも1つの被検体-抗体/結合パートナー複合体24が形成される。
【0036】
図1Cに示されるように、単一流体試料18の非反応部分は、ピペット14から試料レセプタクル12内へと再分配される。被検体22は、存在する場合、被検体22と固定化された捕捉抗体20との会合によりピペット14の内面16上に存在する第1の被検体-抗体/結合パートナー複合体24が形成されることから、ピペット14内に残る(単一流体試料18の反応部分)。ピペット14中の被検体22の検出は、本明細書に記載の、または当業界で周知の方法論のいずれかに従って行うことができる。検出は、ピペット14中の被検体22の存在の定性評価か定量評価のどちらかとすることができ、それによって単一流体試料18中の被検体22の存在が示される。
【0037】
その後、ピペット14は、試料レセプタクル12から除去され、ピペット26が試料レセプタクル12内に配置される。その後、単一流体試料18のうちの非反応部分の少なくとも一部分がピペット26内へと抜き取られ、第2の固定化された捕捉抗体30が結合されたピペット26の内面28と接触する。その後、被検体22とは組成が異なる第2の被検体(図示せず)が、単一流体試料18中に存在するならば、ピペットの内面28に結合された第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30と結合し、それによって第2の被検体-抗体/結合パートナー複合体(図示せず)が形成される。
【0038】
次に
図2A~
図2Lを参照すると、図面には、患者から得た単一流体試料中の少なくとも2つの被検体の有および/または無を検出する装置10Aの一代替実施形態が示されている。装置10Aは、試料レセプタクル12A、第1のピペット14A、第2のピペット26Aおよび第3のピペット36Aを含む。
図2A~
図2Lに示されるような装置10Aの非限定的な実施形態は3本のピペット、3つの被検体、および3つの別個の異なる固定化された捕捉抗体/結合パートナーを含むとして図示されているが、当業者には、装置10Aは、患者から得た単一流体試料中に存在する少なくとも2つの被検体の存在を検出するために、あらゆる数のピペット、被検体、および異なる別個の固定化された捕捉抗体/結合パートナーからなることができると理解されたい。たとえば、装置10Aは、1、2、5、10、15、20、50、100または1000本のピペットを含むことができる。ピペットは、機械連結ウェブ、または限定的ではないがたとえばピペッティングステーション15Aのようなピペッティングステーションを介して互いに取り付けられる。それに加えて、試料レセプタクル12A中に第1のピペット14A、第2のピペット26Aおよび第3のピペット36Aを順次的に配置するプロセスは、手動か、ピペッティングステーション15Aの使用による自動プロセスのどちらかによって行うことができる。
【0039】
図2A~
図2Dに示されるように、第1のピペット14Aは、内面16Aを含み、その上には第1の固定化された捕捉抗体20Aが存在する。
図2A~
図2Dに示されるように、5つの第1の固定化された捕捉抗体/結合パートナー20Aが内面16A上に固定化されているとして図示されている。しかし、当業者には、あらゆる数の第1の固定化された捕捉抗体/結合パートナー20Aが第1のピペット14Aの内面16A上に固定化されると理解されよう。第1のピペット14Aは、患者から得た単一流体試料18Aを含む試料レセプタクル12A内に配置される、前記単一流体試料18Aは、少なくとも2つの被検体を含む。単一流体試料18Aの少なくとも一部分が第1のピペット14A内に抜き取られ、それによって単一流体試料18Aは第1のピペット14Aの内面16Aと接触する。
この接触の結果、単一流体試料18Aは、第1の固定化された捕捉抗体/結合パートナー20Aと接触することになる。対象の第1の被検体が単一流体試料18A中に存在する場合、単一流体試料18A中に存在する第1の被検体22Aと、第1のピペット14Aの内面16A上に存在する第1の固定化された捕捉抗体20Aとの会合によって、少なくとも1つの第1の被検体-抗体/結合パートナー複合体24Aが形成される。単一流体試料18Aの非反応部分は、第1のピペット14Aから試料レセプタクル12A内へと再分配される。第1の被検体22Aは、存在する場合、第1の被検体22Aと第1の固定化された捕捉抗体/結合パートナー20Aとの会合により第1のピペット14Aの内面16A上に存在する第1の被検体-抗体複合体24Aが形成されることから、第1のピペット14A内に残る(単一流体試料18Aの反応部分)。第1のピペット14A中の第1の被検体22Aの検出は、本明細書に記載の、または当業界で周知の方法論のいずれかに従って行うことができる。検出は、ピペット14A中の第1の被検体22Aの存在の定性評価か定量評価のどちらかとすることができ、それによって単一流体試料18A中の第1の被検体22Aの存在が示される。単一流体試料18Aの非反応部分が第1のピペット14Aから試料レセプタクル12A内へと再分配された後、試料レセプタクル12A内に配置することができるように第2のピペット26Aが移動される。
【0040】
次に
図2E~
図2Hを参照すると、第2のピペット26Aは、内面28Aを含み、その上には第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aが存在する。第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aは、第1の固定化された捕捉抗体/結合パートナー20Aとは被検体特異性が異なり、したがって、単一流体試料18A中に存在する第1の被検体22Aとは異なる別個の、単一流体試料18A中に存在する被検体との会合および検出を可能にする。第2のピペット26Aは、第1のピペット14Aから試料レセプタクル12A内へと再分配された単一流体試料18Aの非反応部分を含む試料レセプタクル12A内に配置可能である。
図2E~
図2Hに示されるように、第2のピペット26Aについて、5本の第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aが内面28A上に固定化されているとして図示されている。しかし、当業者には、あらゆる数の第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aが第2のピペット26Aの内面28A上に固定化されると理解されよう。単一流体試料18Aの非反応部分の少なくとも一部分は、第2のピペット26A内に抜き取られ、それによって単一流体試料18Aは、第2のピペット26Aの内面28Aと接触する。この接触の結果、単一流体試料18Aは、第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aと接触することになる。対象の第2の被検体が単一流体試料18A中に存在する場合、単一流体試料18A中に存在する第2の被検体32Aと、第2のピペット26Aの内面28A上に存在する第2の固定化された捕捉抗体/結合30Aの会合によって、少なくとも1つの第2の被検体-抗体/結合パートナー複合体34Aが形成される。単一流体試料18Aの非反応部分は、第2のピペット26Aから試料レセプタクル12A内へと再分配される。第2の被検体32Aは、存在する場合、第2の被検体32Aと、第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aとの会合により第2のピペット26Aの内面28A上に存在する第2の被検体-抗体/結合パートナー複合体34Aが形成されることから、第2のピペット26A内に残る(単一流体試料18Aの反応部分)。第2のピペット26A中の第2の被検体32Aの検出は、本明細書に記載の、または当業界で周知の方法論のいずれかに従って行われる。検出は、第2のピペット26A中の第2の被検体32Aの存在の定性評価か定量評価のどちらかとすることができ、それによって単一流体試料18A中の第2の被検体32Aの存在が示される。単一流体試料18Aの非反応部分が試料レセプタクル12A内へと再分配された後、試料レセプタクル12A内に配置することができるように第3のピペット36Aが移動される。
【0041】
次に
図2I~
図2Lを参照すると、第3のピペット36Aは、内面38Aを含み、その上には第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aが存在する。第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aは、第1の固定化された捕捉抗体/結合パートナー
20Aおよび第2の固定化された捕捉抗体/結合パートナー30Aとは被検体特異性が異なり、したがって、単一流体試料18A中に存在する第1の被検体22Aおよび第2の被検体32Aとは異なる別個の、単一流体試料18A中に存在する被検体との会合および検出を可能にする。第3のピペット36Aは、第2のピペット26Aから試料レセプタクル12A内へと再分配された単一流体試料18Aの非反応部分を含む試料レセプタクル12A内に配置される。
図2I~
図2Lに示されるように、第3のピペット36Aについて、5つの第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aが内面38A上に固定化されているとして図示されている。しかし、当業者には、あらゆる数の第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aが第3のピペット36Aの内面38A上に固定化されると理解されよう。単一流体試料18Aの非反応部分の少なくとも一部分は、第3のピペット36A内に抜き取られ、それによって単一流体試料18Aは、第3のピペット36Aの内面38Aと接触する。この接触の結果、単一流体試料18Aは、第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aと接触することになる。対象の第3の被検体が単一流体試料18A中に存在する場合、単一流体試料18A中に存在する第3の被検体42Aと、第3のピペット36Aの内面38A上に存在する第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aの会合によって、少なくとも1つの第3の被検体-抗体/結合パートナー複合体44Aが形成される。単一流体試料18Aの非反応部分は、第3のピペット36Aから試料レセプタクル12A内へと再分配される。第3の被検体42Aは、存在する場合、第3の被検体42Aと第3の固定化された捕捉抗体/結合パートナー40Aとの会合により第3のピペット36Aの内面38A上に存在する第3の被検体-抗体複合体44Aが形成されることから、第3のピペット36A内に残る(単一流体試料18Aの反応部分)。第3のピペット36A中の第3の被検体42Aの検出は、本明細書に記載の、または当業界で周知の方法論のいずれかに従って行うことができる。検出は、第3のピペット36A中の第3の被検体42Aの存在の定性評価か定量評価のどちらかとすることができ、それによって単一流体試料18A中の第3の被検体42Aの存在が示される。
【0042】
発明の概念の非限定的な例
流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を検出するための装置であって、少なくとも2本のピペットを受けるように構成されたピペッティングステーションであって、少なくとも2本のピペットは、その内面上に存在する第1の被検体に特異的な第1の固定化された結合パートナーを有する第1のピペット、およびその内面上に存在する第2の被検体に特異的な第2の固定化された結合パートナーを有する第2のピペットを含み、第1の固定化された結合パートナーの被検体特異性は、第2の固定化された結合パートナーの被検体特異性とは異なる、ピペッティングステーション;を含み、ここで、第1のピペットは、流体試料を保持するように構成された流体試料レセプタクル内に配置可能であり、第1のピペットは、単一流体試料の少なくとも一部分を第1のピペット内に抜き取り、それによって第1の固定化された結合パートナーがその抜き取られた流体試料と接触し、第1の被検体が流体試料中に存在する場合は第1の被検体-結合パートナー複合体が形成される、ように構成され;さらに、単一流体試料中の非反応部分は、第1のピペットから流体試料レセプタクル内に再分配可能であり、その後、第2のピペットは、流体試料レセプタクル内に配置可能であり、第2のピペットは、流体試料の非反応部分の少なくとも一部分を抜き取り、それによって第2の固定化された結合パートナーがその抜き取られた流体試料の非反応部分と接触し、第2の被検体が単一流体試料の非反応部分中に存在する場合は第2の被検体-結合パートナー複合体が形成される、ように構成される、装置。
【0043】
装置の流体試料は、全血、血漿、血清、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、腸液、腹腔液、嚢胞液、汗、間質液、涙液、粘液、尿、膀胱洗浄液および精液からなる群から選択される。
【0044】
装置の流体試料は、約1マイクロリットル~約100マイクロリットルの体積を含む。
装置の流体試料の体積は、約50マイクロリットルである。
【0045】
装置の試料レセプタクルは、ウェル、キュベット、チューブ、バイアルおよびキャピラリからなる群から選択される。
【0046】
装置の第1の被検体および第2の被検体は、心臓マーカー、感染症血清学的被検体(infectious disease serological analytes)、治療用薬物、乱用薬物、ホルモン、癌マーカー、感染症核酸被検体、自己免疫疾患核酸マーカー、タンパク質、ビタミン、共同因子、代謝産物およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0047】
装置の第1の固定化された結合パートナーおよび第2の固定化された結合パートナーは、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、二重特異的抗体、抗体断片、受容体、配位子、アプタマー、抗原、抗体代替タンパク質またはペプチド、分子認識ポリマーおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0048】
装置の第1の固定化された捕捉抗体および第2の固定化された捕捉抗体は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0049】
流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を検出する方法であって、被検体を含むことができる流体試料を受けたとき、単一流体試料を試料レセプタクル内に配置する工程と;単一流体試料を試料レセプタクル内に配置された第1のピペット内に抜き取る工程であって、第1の固定化された結合パートナーは第1のピペットの内面上に存在し流体試料と接触し、それによって、第1の被検体が単一流体試料中に存在する場合は第1の被検体-結合パートナー複合体が形成される、工程と;流体試料の非反応部分を第1のピペットから流体試料レセプタクル内へと再分配する工程と;流体試料の非反応部分を試料レセプタクル内に配置された第2のピペット内に抜き取る工程であって、第1の固定化された結合パートナーとは被検体特異性が異なる第2の固定化された結合パートナーは第2のピペットの内面上に存在し、第2の固定化された結合パートナーは流体試料の非反応部分と接触し、それによって、第2の被検体が流体試料の非反応部分中に存在する場合は第2の被検体-結合パートナー複合体が形成される、工程と;第1の被検体-結合パートナー複合体の存在、および第2の被検体-結合パートナー複合体の存在を検出する工程とを含む、方法。
【0050】
方法の流体試料は、全血、血漿、血清、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、腸液、腹腔液、嚢胞液、汗、間質液、涙液、粘液、尿、膀胱洗浄液および精液からなる群から選択される。
【0051】
方法の流体試料は、約1マイクロリットル~約100マイクロリットルの体積を含む。方法の流体試料の体積は、約50マイクロリットルである。
【0052】
方法の試料レセプタクルは、ウェル、キュベット、チューブ、バイアルおよびキャピラリからなる群から選択される。
【0053】
方法の第1の被検体および第2の被検体は、心臓マーカー、感染症血清学的被検体、治療用薬物、乱用薬物、ホルモン、癌マーカー、感染症核酸被検体、自己免疫疾患核酸マーカー、タンパク質、ビタミン、共同因子、代謝産物およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0054】
方法の第1の固定化された結合パートナーおよび第2の固定化された結合パートナーは、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、二重特異的抗体、抗体断片、受容体、配位子、アプタマー、抗原、抗体代替タンパク質およびペプチド、分子認識ポリマーおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0055】
方法の第1の固定化された結合パートナーおよび第2の固定化された結合パートナーは、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0056】
方法の第1の被検体および第2の被検体の検出は、化学発光検出、蛍光検出およびこれらの組合せによって実行される。
【0057】
流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を検出するためのキットであって、第1のピペットの内面上に存在する第1の被検体に特異的な第1の固定化された捕捉抗体を有する第1のピペット、および第2のピペットの内面上に存在する第2の被検体に特異的な第2の固定化された捕捉抗体を有する第2のピペットを含む少なくとも2本のピペットであって、第1の固定化された捕捉抗体の被検体特異性は、第2の固定化された捕捉抗体の被検体特異性とは異なる少なくとも2本のピペットと;流体試料を保持するように構成された流体試料レセプタクルと;使用者が流体試料中の少なくとも2つの被検体の存在を識別するキットを使用できるように使用者に提供される説明書とを含む、キット。
【0058】
したがって、本明細書に開示され特許請求される発明の概念によれば、患者から得た少量の単一流体試料をそのような単一流体試料中に存在する少なくとも2つの被検体を検出するために再使用することができる装置、方法およびキットが提供される。したがって、上述した目的および利点を完全に満たす、単一流体試料中に存在する様々な被検体に会合される多重化パネルが作成される。本明細書に開示され特許請求される発明の概念は、上述した特定の図面、実験、結果および言語に関連して記載されているが、当業者には、多くの代替形態、修正形態および変形形態が明らかであることが明白である。したがって、本明細書に開示され特許請求される発明の概念の趣旨および広範な範囲内に入るそのような代替形態、修正形態および変更形態のすべてを包含するものとする。
【外国語明細書】