(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006520
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】シリカ含有成形体およびシリカ含有組成物
(51)【国際特許分類】
C01B 33/18 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
C01B33/18 E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108791
(22)【出願日】2020-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】390001487
【氏名又は名称】サンアロー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一義
(72)【発明者】
【氏名】小川 敦
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072BB05
4G072DD01
4G072FF01
4G072GG02
4G072UU07
(57)【要約】
【課題】 耐熱性材料由来の粉塵を抑制可能で高い成形性を有する新規なシリカ含有成形体を提供すること。
【解決手段】 多孔質シリカとガラス繊維とを含むシリカ含有成形体であり、ナノ繊維を含み、ガラス繊維の平均繊維長が1mm以上であり、ガラス繊維の平均繊維径が1μm超であり、ナノ繊維の平均繊維径が1μm以下であり、多孔質シリカとガラス繊維とナノ繊維との合計質量を基準として、ガラス繊維の含有量が1~40wt%であり、ナノ繊維の含有量が0.5~15wt%であることを特徴とするシリカ含有成形体。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質シリカとガラス繊維とを含むシリカ含有成形体において、
ナノ繊維を更に含み、
前記ガラス繊維の平均繊維長が1mm以上であり、
前記ガラス繊維の平均繊維径が1μm超であり、
前記ナノ繊維の平均繊維径が1μm以下であり、
前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量を基準として、前記ガラス繊維の含有量が1~40wt%であり、前記ナノ繊維の含有量が0.5~15wt%であることを特徴とするシリカ含有成形体。
【請求項2】
前記シリカ含有成形体の全量を基準として、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量が、95質量%以上である、請求項1記載のシリカ含有成形体。
【請求項3】
蒸気配管用である、請求項1又は2記載のシリカ含有成形体。
【請求項4】
多孔質シリカと、ガラス繊維と、ナノ繊維と、液体媒体と、を含むシリカ含有組成物において、
前記ガラス繊維の平均繊維長が1mm以上であり、
前記ガラス繊維の平均繊維径が1μm超であり、
前記ナノ繊維の平均繊維径が1μm以下であり、
前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量を基準として、前記ガラス繊維の含有量が1~40wt%であり、前記ナノ繊維の含有量が0.5~15wt%であることを特徴とする、シリカ含有組成物。
【請求項5】
前記シリカ含有組成物の全固形分量を基準として、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量が、95質量%以上である、請求項4記載のシリカ含有組成物。
【請求項6】
シリカ成形体製造用である、請求項4又は5記載のシリカ含有組成物。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項記載のシリカ含有組成物から前記液体媒体を除去することで、シリカ含有成形体を得る工程を含むことを特徴とする、シリカ含有成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ含有成形体およびシリカ含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性材料として、多孔質シリカを母材とする材料が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、多孔質シリカとガラス繊維とを含む耐熱性材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の多孔質シリカからなる耐熱性材料は、粉塵が発生したり、成形性が低い(欠陥の少ない成形体が得られない)、等の問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、耐熱性材料由来の粉塵を抑制可能であり、高い成形性を有することから欠陥の発生が少ない新規なシリカ含有成形体を提供することを第1の課題とする。
【0007】
また、従来技術の多孔質シリカ系の耐熱性材料は、通常、焼結されて得られたものである。しかしながら、焼結体は、複雑形状とすることが困難な場合があるため、焼結体とせずとも優れた性能を有する多孔質シリカ系の耐熱性材料が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、焼成の有無に限らず、優れた性能を有するシリカ含有成形体を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の成分を含む多孔質シリカ成形体とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち本発明は以下の通りである。
【0010】
本発明は、
多孔質シリカとガラス繊維とを含むシリカ含有成形体において、
ナノ繊維を更に含み、
前記ガラス繊維の平均繊維長が1mm以上であり、
前記ガラス繊維の平均繊維径が1μm超であり、
前記ナノ繊維の平均繊維径が1μm以下であり、
前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量を基準として、前記ガラス繊維の含有量が1~40wt%であり、前記ナノ繊維の含有量が0.5~15wt%であることを特徴とするシリカ含有成形体である。
【0011】
前記シリカ含有成形体の全量を基準として、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量が、95質量%以上であってもよい。
前記シリカ含有成形体は、蒸気配管用であってもよい。
【0012】
また、本発明は、
多孔質シリカと、ガラス繊維と、ナノ繊維と、液体媒体と、を含むシリカ含有組成物において、
前記ガラス繊維の平均繊維長が1mm以上であり、
前記ガラス繊維の平均繊維径が1μm超であり、
前記ナノ繊維の平均繊維径が1μm以下であり、
前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量を基準として、前記ガラス繊維の含有量が1~40wt%であり、前記ナノ繊維の含有量が0.5~15wt%であることを特徴とする、シリカ含有組成物である。
【0013】
前記シリカ含有組成物の全固形分量を基準として、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量が、95質量%以上であってもよい。
前記シリカ含有組成物は、シリカ成形体製造用であってもよい。
【0014】
また、本発明は、
前記シリカ含有組成物から前記液体媒体を除去することで、シリカ含有成形体を得る工程を含むことを特徴とする、シリカ含有成形体の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐熱性材料由来の粉塵を抑制可能であり、高い成形性を有することから欠陥の発生が少ない新規なシリカ含有成形体を提供することが可能となる。更に本発明によれば、焼成の有無に限らず、優れた性能を有するシリカ含有成形体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るシリカ含有成形体、および、シリカ含有成形体の製造方法について説明する。
【0017】
<<<シリカ含有成形体>>>
<<成分>>
シリカ含有成形体は、多孔質シリカと、ガラス繊維と、ナノ繊維とを含む耐熱性材料である。多孔質シリカは、通常、シリカ含有成形体の母材となる。また、シリカ含有成形体は、その他の成分を含んでいてもよい。
【0018】
<多孔質シリカ>
多孔質シリカとしては、特に限定されず、乾式シリカ、湿式シリカ、エアロゲル等を使用できる。また、多孔質シリカは、表面処理されたものを使用してもよい。これらは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0019】
多孔質シリカは、2次粒子径が、1~500μmであることが好ましく、10~300μmであることがより好ましく、20~100μmであることが特に好ましい。
【0020】
<ガラス繊維>
ガラス繊維としては、特に限定されず、ガラス質及び/又は結晶質のものであってもよく、ソーダ石灰ガラスや、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、アルミナ/ホウケイ酸ガラス等とすることができる。ガラス繊維は、アルミナ/ホウケイ酸ガラスであることが好ましい。これらは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0021】
ガラス繊維の平均繊維長は、1mm以上であることが好ましく、1~50mmであることがより好ましく、2~50mmであることが更に好ましく、2~30mmであることが更により好ましく、3~26mmであることが特に好ましい。
【0022】
ガラス繊維の平均繊維径は、1μm超であることが好ましく、1μm超100μm以下であることがより好ましく、1μm超50μm以下であることが更に好ましく、2~50μmであることが更により好ましく、2~30μmであることが更に一層好ましく、3~13μmであることが特に好ましい。
【0023】
ガラス繊維の平均繊維長は、JISR3420 7.8 チョップドストランドの長さに基づき測定できる。またガラス繊維の平均繊維径は、JISR3420 7.6単繊維直径のA法に基づき測定できる。なお、ガラス繊維の平均繊維長および平均繊維径は、電子顕微鏡写真に基づき50本以上について測定した算術平均値とすることもできる。
【0024】
<ナノ繊維>
ナノ繊維は、有機繊維であっても無機繊維であってもよく、カーボンナノチューブ(CNT)、セルロースナノファイバー(CNF)、窒化ホウ素ナノチューブ、アルミナ繊維、ポリブチレンテレフラレート繊維等が挙げられる。ナノ繊維としては、CNT、CNF、アルミナ繊維であることが好ましい。これらは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0025】
ナノ繊維の平均繊維長は、5000μm未満であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、150μm以下であることが特に好ましい。ナノ繊維の平均繊維長の下限値は、特に限定されないが、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1μm等とすることができる。
【0026】
ナノ繊維の平均繊維径は、1μm以下であることが好ましく、900nm以下であることがより好ましく、750nm以下であることが更に好ましく、500nm以下であることが更により好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。ナノ繊維の平均繊維径の下限値は、特に限定されないが、1nm、2nm、4nm、10nm、20nm等とすることができる。
【0027】
ナノ繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、ナノ繊維の材質に応じて変更してもよい。例えば、CNTの場合、平均繊維長を5mm以下とし、繊維径を150nm以下としてもよいし、CNFの場合、平均繊維長を500μm以下とし、平均繊維径を20~1000nmとしてもよいし、アルミナ繊維の場合、平均繊維長を500~2000nmとし、繊維径を2~10nmとしてもよい。なお、ナノ繊維の平均繊維長および平均繊維径は、電子顕微鏡写真に基づき50本以上について測定した算術平均値とする。
【0028】
ここで、ガラス繊維の平均繊維径とナノ繊維の平均繊維径との比(ガラス繊維の平均繊維径/ナノ繊維の平均繊維径)は、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることが更に好ましく、20以上であることが更により好ましく、50以上であることが特に好ましい。この比の上限値は、例えば、50000、10000、5000、1000、または500等とすることができる。
【0029】
ガラス繊維及びナノ繊維の平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は特に限定されず、例えば、5以上、10以上、100以上、500以上、1000以上又は5000以上等とすることができる。
【0030】
<その他の成分>
シリカ含有成形体は、その他の成分として、シリカ含有成形体に通常含まれる適宜の成分(例えば、顔料、界面活性剤、難燃剤、防水剤、撥水剤等)を含有していてもよい。シリカ含有成形体は、バインダーを含有していてもよいし含有していなくともよい。
【0031】
<各成分の配合量>
シリカ含有成形体中(固形分中)、多孔質シリカの含有量は、50wt%超であることが好ましい。多孔質シリカの含有量は、シリカ含有成形体中、55wt%以上、60wt%以上、65wt%以上、70wt%以上、75wt%以上、80wt%以上、85wt%以上等としてもよく、98.5wt%以下、98wt%以下、97wt%以下、96wt%以下、95wt%以下、90wt%以下等としてもよい。この多孔質シリカの含有量の好ましい一例は、55.5~96.4wt%である。
【0032】
シリカ含有成形体中、多孔質シリカとガラス繊維とナノ繊維との合計質量を基準として、ガラス繊維の含有量は、1wt%以上50wt%未満であることが好ましく、1~40wt%であることがより好ましく、2~35wt%であることが更に好ましく、3~34wt%であることが特に好ましい。
【0033】
シリカ含有成形体中、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量を基準として、ナノ繊維の含有量は、0.1~18wt%であることが好ましく、0.1~15wt%であることがより好ましく、0.5~15wt%であることが更に好ましく、0.6~10.5wt%であることが更により好ましく、1~7wt%であることが特に好ましい。
【0034】
シリカ含有成形体中、多孔質シリカの含有量に対するガラス繊維の含有量(ガラス繊維の含有量/多孔質シリカの含有量)が、1~40wt%であることが好ましく。2~35wt%であることがより好ましく、3~34wt%であることが更に好ましい。
【0035】
シリカ含有成形体中、多孔質シリカと、ガラス繊維と、ナノ繊維との合計を、60wt%以上、80wt%以上、85wt%以上、90wt%以上、95wt%以上、96wt%以上、97wt%以上、98wt%以上、99wt%以上、99.5wt%以上、または99.9wt%以上とすることができる。
【0036】
<<構造/形状>>
シリカ含有成形体の構造や形状は、上記成分を含む限りにおいて限定されず、用途に応じて適宜自由に変更可能である。
【0037】
<<物性/性質>>
<熱伝導率>
シリカ含有成形体は、JIS A 1412-2に従い測定された熱伝導率を、0.028w/mK(23℃)以下とすることができる。
【0038】
<撥水性>
シリカ含有成形体は、水滴(1~4μl)を用いた接触角測定で、70°以上、110°以上または150°以上とすることができる。
【0039】
<<用途>>
シリカ含有成形体の用途は特に限定されないが、シリカ含有成形体を、車の断熱材料、防寒素材、配管(蒸気配管)等に用いることが好ましい。さらに、このようなシリカ含有成形体に、その他の部材(反射材や外装材等)を組みつけて使用したり、シリカ含有成形体を更に加工して使用することもできる。
【0040】
<<<シリカ含有成形体の製造方法>>>
シリカ含有成形体は、所定のシリカ含有組成物を使用することで容易に製造することができる。
【0041】
<<シリカ含有組成物の調製>>
シリカ含有組成物は、シリカ含有成形体を構成する各固形分(多孔質シリカ、ガラス繊維、ナノ繊維)と、液体媒体と、を含む。シリカ含有組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。シリカ含有組成物の固形分(多孔質シリカ、ガラス繊維、ナノ繊維、その他の成分)については上述の通りであるため、説明を省略する。
【0042】
<液体媒体>
液体媒体は、揮発性を有する液体である限り特に限定されず、極性溶媒であっても無極性溶媒であってもよく、水、アルコール(メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール)、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン等を例示することができる。これらは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0043】
液体媒体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ性や酸性としても構わない。
【0044】
シリカ含有組成物における液体媒体の含有量は特に限定されないが、固形分が1~50wt%、5~40wt%、または、10~30wt%となるように調整されることが好ましい。
【0045】
シリカ含有組成物に含まれる各成分を適宜混合することで、シリカ含有組成物を調製できる。また、ナノ繊維を分散させた副溶媒と、主溶媒と、を別々に混合してもよい。
【0046】
<<シリカ含有成形体の成形>>
シリカ含有組成物を所定の形状に変形させ、シリカ含有組成物に含まれる液体媒体を揮発/乾燥させることでシリカ含有成形体とすることができる。
【0047】
シリカ含有組成物の変形は、例えば、型に流しこむことで実施できる。
【0048】
シリカ含有組成物に含まれる液体媒体を揮発/乾燥させる場合、乾燥温度/圧力は、シリカ含有組成物に含まれる液体媒体の沸点を考慮して調整すればよいし、乾燥時間は、液体媒体を十分に乾燥させることが可能な時間とすればよい。
【0049】
なお、このようにして得られたシリカ含有成形体を、更に焼結させてもよいし、焼結させてなくともよい。焼結とは、例えば、400℃以上でシリカ含有成形体を十分に加熱させることを示す。
【実施例0050】
以下、実施例及び比較例により、本発明のシリカ含有成形体をより詳細に説明するが、本発明は以下には限定されない。
【0051】
<<<シリカ含有組成物の調製>>>
以下の原料にて、シリカ含有組成物を調製した。
なお、使用した成分は以下の通りである。
(ガラス繊維)
平均繊維長1~26mm、平均繊維径10.7μm
(CNF)
平均繊維長500μm以下、平均繊維径20~1000nm
(CNT)
平均繊維長5mm以下、平均繊維径150nm以下
(アルミナ繊維)
平均繊維長1400nm、平均繊維径4nm
【0052】
<<組成物1>>
イソプロパノール:1600g
エアロゲル:300g
ガラス繊維:40g
CNF:10g
【0053】
<<組成物2>>
イソプロパノール:1600g
エアロゲル:300g
ガラス繊維:40g
CNT:10g
【0054】
<<組成物3>>
イソプロパノール:1600g
エアロゲル:300g
ガラス繊維:40g
アルミナ:10g
【0055】
<<組成物4>>
水:400g
イソプロパノール:1200g
エアロゲル:300g
ガラス繊維:40g
CNF:10g
【0056】
<<組成物5>>
MEK:1400g(主溶媒)
イソプロパノール:200g(CNF分散媒)
エアロゲル:300g
ガラス繊維:40g
CNF:10g
(CNFはIPAとの混合ペーストとして使用した。)
【0057】
<<組成物6>>
ヘプタン:1400g(主溶媒)
イソプロパノール:200g(CNF分散媒)
エアロゲル:300g
ガラス繊維:40g
CNF:10g
(CNFはIPAとの混合ペーストとして使用した。)
【0058】
<<シリカ含有組成物の調製>>
容器に上記原料を入れ、混合させて、シリカ含有組成物を作製した。
【0059】
また、このシリカ含有組成物の調製に際して、各固形分の量を変更したシリカ含有組成物を準備した。
【0060】
<<シリカ含有成形体の製造>>
各シリカ含有成形体を型に入れて昇温し、液体媒体を蒸発させ、シリカ含有成形体を製造した。
【0061】
<<評価>>
シリカ含有成形体について、耐熱性、断熱性、撥水性、成形性、低粉塵性を評価した。
【0062】
<耐熱性>
500℃2時間加熱前後において、3点曲げ強度(JIS A 9510に準じる。)および変色具合の確認。
5点:強度低下なし。変色なし。
4点:5%以下の強度低下あり。軽微な変色あり。
3点:5%超10%以下の強度低下あり。軽微な変色あり。
2点:10%超50%以下の強度低下あり。変色あり。
1点:50%超の強度低下あり。変色あり。
【0063】
<断熱性>
200℃ホットプレート上に厚さ1cmの試験片を置き、30分後の表面温度の確認。
5点:55度以下
4点:55度超56度以下
3点:56度超57度以下
2点:57度超58度以下
1点:58度超
【0064】
<撥水性>
2μLの純水で接触角測定の確認。
5点:150度以上
4点:110度超70度以下
3点:70度超110度以下
2点:30度超70度以下
1点:30度以下
【0065】
<成形性>
成形品から30cm離れた状態で、表面状態を目視確認。
5点:シワが見えない。
4点:表面積半分程度までの軽微なシワ
3点:表面全体に軽微なシワ
2点:表面全体に著しいシワ
1点:表面全体に著しいクラック
【0066】
<低粉塵性>
(縦10cm×横5cm×厚1cm)板を用いて破断時の粉落ち量の確認。
5点:0.001g以下
4点:0.001g超0.003g以下
3点:0.003g超0.006g以下
2点:0.006g超0.01g以下
1点:0.01g超
【0067】
組成物1に基づき、CNF配合量を2~90g(固形分濃度0~19wt%)の範囲で変更して得られたシリカ含有成形体について各評価の比較を行い、CNF配合量の影響を確認した。結果を下記表に示す。また、「低粉塵性」や「成形性」が1点のもの、乃至は、「低粉塵性」及び「成形性」が共に2点以下のものについては、実用性がないと判断する。
【0068】
【0069】
同様に、組成物1に基づき、ガラス繊維配合量を変更した得られたシリカ含有成形体について、成形性および低粉塵性の評価の比較を行い、ガラス繊維配合量の影響を確認した。結果を下記表に示す。
【0070】
【0071】
なお、表2に示されたシリカ含有成形体のうち、ガラス繊維濃度が3wt%、6wt%、34wt%としたシリカ含有成形物については、優れた耐熱性(評価結果が3以上)および優れた断熱性(評価結果が2以上)を奏することが確かめられた。
【0072】
組成物1~3を使用して得られたシリカ含有成形体について、成形性および低粉塵性の評価の比較を行った。結果を下記表に示す。
【0073】
【0074】
組成物4を使用して得られたシリカ含有成形体について、成形性および低粉塵性の評価を行い、シリカ含有組成物の主溶媒変更の影響を確認した。結果を下記表に示す。
【0075】
【0076】
なお、表4のシリカ含有成形物については、優れた耐熱性(評価結果が3以上)および優れた断熱性(評価結果が2以上)を奏することが確かめられた。
【0077】
組成物1、5、6を使用して得られたシリカ含有成形体について、成形性および低粉塵性の評価を行い、シリカ含有組成物の主溶媒変更の影響を確認した。結果を下記表に示す。
【0078】
【0079】
なお、表5のシリカ含有成形物については、優れた耐熱性(評価結果が3以上)および優れた断熱性(評価結果が2以上)を奏することが確かめられた。
【0080】
CNF3wt%添加したシリカ含有成形物を代表として熱伝導率の測定を行ったところ、0.028w/mK(23℃)以下となることが確認できた。
前記シリカ含有成形体の全量を基準として、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量が、95質量%以上である、請求項1記載のシリカ含有成形体。
前記シリカ含有組成物の全固形分量を基準として、前記多孔質シリカと前記ガラス繊維と前記ナノ繊維との合計質量が、95質量%以上である、請求項4記載のシリカ含有組成物。
請求項4~6のいずれか一項記載のシリカ含有組成物から前記液体媒体を除去することで、シリカ含有成形体を得る工程を含むことを特徴とする、シリカ含有成形体の製造方法。