(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065204
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20220419BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20220419BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20220419BHJP
H01M 50/242 20210101ALN20220419BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/289 101
H01M50/262 Z
H01M50/242
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029791
(22)【出願日】2022-02-28
(62)【分割の表示】P 2019549061の分割
【原出願日】2017-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】市川 智之
(57)【要約】
【課題】積層体が膨れても、正極と負極の短絡の可能性を抑える。
【解決手段】複数の外装材200は、第1外装材200a、第2外装材200b及び第3外装材200cを順に含んでいる。複数のスペーサ510は、第1外装材200aと第2外装材200bを隔てる第1スペーサ510aと、第2外装材200bと第3外装材200cを隔てる第2スペーサ510bと、を含んでいる。第1スペーサ510aは、第1外装材200a及び第2外装材200bと重なる第1部分512と、第1スペーサ510aの第1部分512から第2スペーサ510bに向けて突出した第2部分514と、を含んでいる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1電極と、
複数の第2電極と、
複数のセパレータと、
をそれぞれ含む複数の積層体と、
前記複数の積層体をそれぞれ収容し、互いに積層された複数の外装材と、
隣り合う外装材をそれぞれ隔てる複数のスペーサと、
前記複数のスペーサを一体に固定する部材と、
を備え、
前記複数の外装材は、前記複数の積層体のうちの第1積層体を収容する第1外装材と、前記複数の積層体のうちの第2積層体を収容する第2外装材と、前記複数の積層体のうちの第3積層体を収容する第3外装材と、を順に含み、
前記複数のスペーサは、
前記第1外装材と前記第2外装材を隔てる第1スペーサと、
前記第2外装材と前記第3外装材を隔てる第2スペーサと、
を含み、
前記第1スペーサは、
前記第1外装材及び前記第2外装材と重なる第1部分と、
前記第1スペーサの前記第1部分から前記第2スペーサに向けて突出した第2部分と、
を含む、電池。
【請求項2】
前記第2スペーサは、
前記第2外装材及び前記第2外装材と重なる第3部分と、
前記第2スペーサの前記第2部分から前記第1スペーサが位置する側の反対側に向けて突出した第4部分と、
を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記複数の外装材及び前記複数のスペーサを挟んで互いに反対側に位置する一対のカバーをさらに備える、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1スペーサの前記第2部分が前記第2スペーサの所定部分と対向し、又は接触している、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記第2スペーサの前記所定部分が前記第1スペーサに向けて突出している、請求項4に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非水電解液二次電池、特に、リチウムイオン二次電池が開発されている。非水電解液二次電池は、複数の正極、複数の負極及び複数のセパレータを含む積層体を有している。複数の正極及び複数の負極は、交互に積層されており、複数のセパレータは、各正極と各負極をそれぞれ隔てている。
【0003】
積層体は、特定の条件において膨れることがある。特許文献1には、過充電時に積層体が膨れることについて記載されている。特許文献1には、積層体の膨れを抑えるため、過充電時に正極と負極の間に圧迫を加えることについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、積層体が膨れることによって、正極と負極が互いに短絡し得ることを見出した。本発明者は、積層体が膨れても、正極と短絡が互いに短絡することを防ぐための条件を検討した。
【0006】
本発明の一の目的は、積層体が膨れても、正極と負極の短絡の可能性を抑えることにある。本発明のさらなる目的は、実施形態の以下の開示から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
複数の第1電極と、
複数の第2電極と、
複数のセパレータと、
をそれぞれ含む複数の積層体と、
前記複数の積層体をそれぞれ収容し、互いに積層された複数の外装材と、
隣り合う外装材をそれぞれ隔てる複数のスペーサと、
前記複数のスペーサを一体に固定する部材と、
を備え、
前記複数の外装材は、前記複数の積層体のうちの第1積層体を収容する第1外装材と、前記複数の積層体のうちの第2積層体を収容する第2外装材と、前記複数の積層体のうちの第3積層体を収容する第3外装材と、を順に含み、
前記複数のスペーサは、
前記第1外装材と前記第2外装材を隔てる第1スペーサと、
前記第2外装材と前記第3外装材を隔てる第2スペーサと、
を含み、
前記第1スペーサは、
前記第1外装材及び前記第2外装材と重なる第1部分と、
前記第1スペーサの前記第1部分から前記第2スペーサに向けて突出した第2部分と、
を含む、電池が提供される。
【0008】
本発明の他の一態様によれば、
複数の第1電極と、前記複数の第1電極とは異なる極性をそれぞれ有し、前記複数の第1電極と交互に並ぶ複数の第2電極と、各第1電極と各第2電極をそれぞれ隔てる複数のセパレータと、を含む積層体と、
前記複数の第1電極からそれぞれ突出しており、互いに束ねられた複数の第1タブと、
を備え、
前記複数の第1電極は、第1の第1電極と、第2の第1電極と、第3の第1電極と、を含み、前記第1の第1電極は、前記第2の第1電極と前記第3の第1電極の間に位置しており、前記第2の第1電極及び前記第3の第1電極は、前記複数の第1電極のうちの両端の一方及びもう一方にそれぞれ位置しており、
前記第1の第1電極の前記第1タブ、前記第2の第1電極の前記第1タブ及び前記第3の第1電極の前記第1タブは、前記第2の第1電極及び前記第3の第1電極から等距離にある第1位置において互いに接続しており、各第2電極のうちの前記第1位置側の端部の方が各第1電極のうちの前記第1位置側の端部よりも前記第1位置の近くに位置しており、
前記複数の第2電極は、前記第1の第1電極に隣接する第1の第2電極を含み、
前記複数のセパレータは、前記第1の第1電極と前記第1の第2電極を隔てている第1セパレータを含み、
前記積層体が前記積層体の厚み方向に膨らんでいない場合において、
前記積層体は、前記第2の第1電極から前記第3の第1電極にかけて厚みT0を有し、
前記第1位置は、前記積層体の厚み方向に直交する方向において、前記第1セパレータのうちの前記第1位置側の端部から距離L0だけ離れており、
前記第1セパレータのうちの前記第1位置側の端部は、前記第1の第2電極のうちの前記第1位置側の端部よりも、前記第1位置に向けて前記積層体の厚み方向に直交する方向において距離Gだけ突出しており、
前記積層体は、前記積層体が前記積層体の厚み方向に膨らんでも、前記積層体のうちの前記第2の第1電極から前記第3の第1電極にかけての厚みが2×{(T0/2)2+L0
2-(L0-G)2}1/2未満となるように設計されている電池が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上述の一態様によれば、積層体が膨れても、正極と負極の短絡の可能性を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0011】
【
図1】実施形態に係る電池を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係る電池を説明するための図である。
【
図3】積層体の膨らみを制限する方法の第1例を説明するための図である。
【
図4】積層体の膨らみを制限する方法の第2例を説明するための図である。
【
図5】積層体の膨らみを制限する方法の第3例を説明するための図である。
【
図6】積層体の膨らみを制限する方法の第4例を説明するための図である。
【
図7】
図6に示した電池10の詳細を説明するための図である。
【
図8】積層体の膨らみを制限する方法の第5例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1及び
図2は、実施形態に係る電池10を説明するための図である。
図1及び
図2のそれぞれの上側の図は、電池10の側面図であり、
図1及び
図2のそれぞれの下側の図は、電池10のうちの第1電極110a及びその周辺を詳細に示した図である。
【0014】
図1を用いて、電池10について説明する。電池10は、積層体100及び複数の第1タブ112を備えている。積層体100は、複数の第1電極110、複数の第2電極120及び複数のセパレータ130を含んでいる。複数の第2電極120は、複数の第1電極110とは異なる極性をそれぞれ有している。複数の第2電極120は、複数の第1電極110と交互に並んでいる。複数のセパレータ130は、各第1電極110と各第2電極120をそれぞれ隔てている。複数の第1タブ112は、複数の第1電極110からそれぞれ突出しており、互いに束ねられている。
【0015】
本実施形態において、第1電極110は正極であり、第2電極120は負極である。
図1に示す例において、第2電極120の長さは、第1電極110の長さよりも長く、第2電極120のうちの第1位置P1側の端部の方が第1電極110のうちの第1位置P1側の端部よりも第1位置P1の近くに位置している。特に電池10がリチウムイオン二次電池であるとき、正極からのリチウムイオンを負極が効率的に受け取るため、負極(第2電極120)の長さが正極(第1電極110)の長さより長く、言い換えると、負極(第2電極120)の面積が正極(第1電極110)の面積より大きくなっている。
【0016】
他の例において、第1電極110及び第2電極120は、それぞれ、負極及び正極であってもよい。本実施形態の説明から明らかなように、本実施形態に係る構成は、第1電極110及び第2電極120がそれぞれ正極及び負極である例だけでなく、第1電極110及び第2電極120がそれぞれ負極及び正極である例にも適用可能である。
【0017】
複数の第1電極110は、第1電極110a(第1の第1電極)、第1電極110b(第2の第1電極)及び第1電極110c(第3の第1電極)を含んでいる。第1電極110aは、第1電極110bと第1電極110cの間に位置している。
図1及び
図2に示す例では、第1電極110b及び第1電極110cは、複数の第1電極110のうちの両端の一方及びもう一方にそれぞれ位置している。
【0018】
第1電極110aの第1タブ112(第1タブ112a)、第1電極110bの第1タブ112(第1タブ112b)及び第1電極110cの第1タブ112(第1タブ112c)は、第1位置P1において互いに接続している。第1位置P1は、第1電極110b及び第1電極110cから等距離にある。
【0019】
複数の第2電極120は、第2電極120a(第1の第2電極)を含んでいる。第2電極120aは、第1電極110aに隣接している。
【0020】
複数のセパレータ130は、セパレータ130a(第1セパレータ)を含んでいる。セパレータ130aは、第1電極110aと第2電極120aを隔てている。
【0021】
図1において、積層体100は、初期状態にある。初期状態において、積層体100は、積層体100の厚み方向に膨らんでいない。一例において、積層体100は、充放電されておらず、加熱も冷却もされておらず、25℃の温度下にあるとき、積層体100は、積層体100の厚み方向に膨らまない。
【0022】
図1に示すように、初期状態において、電池10は、次の状態となっている。積層体100は、第1電極110bから第1電極110cにかけて厚みT
0を有している。第1位置P1は、積層体100の厚み方向に直交する方向において、セパレータ130aのうちの第1位置P1側の端部から距離L
0だけ離れている。第1タブ112aのうちの第1位置P1側の端部は、第2電極120aうちの第1位置P1側の端部よりも、第1位置P1に向けて積層体100の厚み方向に直交する方向において距離Gだけ突出している。
【0023】
積層体100は、積層体100が積層体100の厚み方向に膨らんでも、積層体100のうちの第1電極110bから第1電極110cにかけての厚みが2×{(T0/2)2+L0
2-(L0-G)2}1/2未満となるように設計されている。
【0024】
本発明者は、積層体100のうちの第1電極110bから第1電極110cにかけての厚みを上述の範囲に抑えることで、第1電極110と第2電極120の間、特に第1電極110aと第2電極120a(つまり、積層体100のおおよそ中央に位置する第1電極110aと第2電極120a)の間の短絡の可能性が抑えられることを見出した。
【0025】
図2を用いて、積層体100の厚みを上述の範囲に抑えることで、第1電極110aと第2電極120aの間の短絡の可能性が抑えられる理由を説明する。
【0026】
積層体100は、厚みT
0(
図1)から厚みT
1(
図2)に膨れている。積層体100は、特定の条件、例えば、積層体100の過充電又は積層体100の加熱によって膨れる。
【0027】
ピタゴラスの定理に基づいて、以下の式(1)が成り立つ。
Δ
2=L
0
2+(T
0/2)
2=L
1
2+(T
1/2)
2 (1)
具体的には、第1電極110bの端部と第1位置P1までの距離は、積層体100の初期状態(
図1)及び積層体100が膨れた状態(
図2)のいずれにおいても、一定(図中のΔ)である。これに対して、第1位置P1は、第1位置P1と第1電極110bの間の張力及び第1位置P1と第1電極110cの間の張力によって、積層体100に近づく方向に移動する。したがって、第1位置P1と積層体100の間の距離は、L
0(
図1)からL
1(
図2)に減少する(L
0>L
1)。
【0028】
第1電極110aの第1タブ112aと第2電極120aの接触の可能性を抑えるための条件は、以下の式(2)であるといえる。
L
0-L
1<G (2)
具体的には、第1位置P1が積層体100に近づく方向に向けて移動すると、第1電極110aの第1タブ112aは、折れ曲がり、
図2に示すように第2電極120aに接触する。第1タブ112aと第2電極120aの接触の可能性は、第1位置P1の移動距離(つまり、L
0-L
1)が距離Gより大きくなると大きくなるといえる。言い換えると、第1位置P1の移動距離(つまり、L
0-L
1)が距離G未満である(つまり、式(2)が満たされる。)と、第1タブ112aと第2電極120aの接触の可能性を抑えることができるといえる。
【0029】
式(1)及び式(2)より、以下の式(3)が導かれる。
T1<2×{(T0/2)2+L0
2-(L0-G)2}1/2 (3)
式(3)は、積層体100のうちの第1電極110bから第1電極110cにかけての厚みを2×{(T0/2)2+L0
2-(L0-G)2}1/2未満に抑えることで、第1電極110aと第2電極120aの間の短絡の可能性が抑えられることを意味している。
【0030】
図3は、積層体100の膨らみを制限する方法の第1例を説明するための図である。
図3内の上側の図は、積層体100の側面図であり、
図3内の下側左側の図は、積層体100の前面図であり、
図3内の下側右側の図は、積層体100の平面図である。
【0031】
電池10は、複数の第1タブ112及び複数の第2タブ122を備えている。
図1を用いて説明したように、複数の第1タブ112は、複数の第1電極110(例えば、
図1又は
図2)からそれぞれ突出しており、互いに束ねられている。
図3に示す例において、複数の第1タブ112は、リード114に接続している。複数の第2タブ122は、複数の第1タブ112と同様にして、複数の第2電極120(例えば、
図1又は
図2)からそれぞれ突出しており、互いに束ねられている。複数の第2タブ122は、複数の第1タブ112と同様にして、リードに接続していてもよい。
【0032】
積層体100は、第1面102、第2面104、第3面106及び第4面108を有している。第1面102及び第2面104は、積層体100の厚み方向において互いに反対側に位置している。第3面106は、第1面102と第2面104の間にあって、複数の第2タブ122よりも複数の第1タブ112に近くにある。第4面108は、第1面102と第2面104の間にあって、複数の第1タブ112よりも複数の第2タブ122の近くにある。
【0033】
電池10は、部材300を備えている。部材300は、積層体100に取り付けられている。
図3に示す例において、部材300はテープである。部材300は、積層体100のうちの複数の第1タブ112側を覆っている。具体的には、部材300は、第3面106、第4面108よりも第3面106に近い領域において第1面102及び第4面108よりも第3面106に近い領域において第2面104を覆っている。さらに、部材300は、第4面108、第3面106よりも第4面108に近い領域において第1面102及び第3面106よりも第4面108に近い領域において第2面104を露出している。
【0034】
部材300が積層体100のうちの複数の第1タブ112側を覆うことによって、積層体100のうちの複数の第1タブ112側の膨らみを制限することができる。
【0035】
さらに、部材300が積層体100のうちの複数の第2タブ122側を露出することによって、積層体100に取り付けられる部材300を少なくすることができる。具体的には、
図1を用いて説明したように、第2電極120のうちの第1位置P1側の端部の方が第1電極110のうちの第1位置P1側の端部よりも第1位置P1の近くに位置している。このため、電池10が膨らむことで第1タブ112及び第2タブ122が積層体100に向けて移動したとき、第2タブ122が第1電極110に接触する可能性の方が、第1タブ112が第2電極120に接触する可能性よりも低いといえる。したがって、部材300が積層体100のうちの第2タブ122側を覆わなくとも、第2タブ122が第1電極110に接触する可能性はある程度低くすることができる。
【0036】
図4は、積層体100の膨らみを制限する方法の第2例を説明するための図である。
図4に示す例は、以下の点を除いて、
図3に示した例と同様である。
【0037】
部材300は、第1面102、第2面104、第3面106及び第4面108を含む全周に亘って積層体100を覆っている。
【0038】
部材300が全周に亘って積層体100を覆うことによって、積層体100の膨らみを制限することができる。
【0039】
図5は、積層体100の膨らみを制限する方法の第3例を説明するための図である。
図5内の左側の図は、電池10の正面図であり、
図5内の右側の図は、電池10の側面図である。
【0040】
電池10は、外装材200を備えている。外装材200は、積層体100(例えば、
図3)を収容している。
【0041】
電池10は、収容体400を備えている。収容体400は、空間402を画定している。収容体400は、空間402内に外装材200を収容している。
【0042】
収容体400は、積層体100(外装材200)の厚み方向における積層体100(外装材200)の膨らみを制限している。具体的には、積層体100(外装材200)の厚み方向における空間402の長さは、空間402内で積層体100(外装材200)が最大限に膨れても、積層体100の厚みが上述の範囲に抑えられるように設計されている。
【0043】
図5に示す例では、積層体100(外装材200)の厚み方向における空間402の長さは、積層体100が膨らんでいない場合における外装材200の厚さよりも長くなっている。つまり、積層体100は、空間402内で僅かだけ膨らむことが可能になっている。積層体100の膨らみを全く許容しないと、積層体100が膨らもうとするとき、積層体100及び収容体400に大きな力が加わり、積層体100(外装材200)又は収容体400へのダメージに繋がるおそれがある。
図5に示す例では、積層体100の膨らみを僅かだけ許容することで、積層体100(外装材200)又は収容体400へのダメージを防いでいる。
【0044】
図6は、積層体100の膨らみを制限する方法の第4例を説明するための図である。
図5内の左側の図は、電池10の正面図であり、
図5内の右側の図は、電池10の側面図である。
【0045】
電池10は、複数の外装材200、複数のスペーサ510、部材520、カバー532及びカバー534を備えている。複数の外装材200は、複数の積層体100(例えば、
図3)をそれぞれ収容している。複数の外装材200は、互いに積層されている。複数のスペーサ510は、隣り合う外装材200をそれぞれ隔てている。部材520は、複数の外装材200及び複数のスペーサ510を一体に固定している。
図6に示す例では、部材520は、テープであり、複数の外装材200及び複数のスペーサ510を巻いている。カバー532及びカバー534は、部材520によって一体に固定された複数の外装材200及び複数のスペーサ510を挟んで互いに反対側に位置している。
【0046】
図6に示す例では、部材520によって複数の外装材200を一体に固定することによって、積層体100(外装材200)の膨らみを制限することができる。
【0047】
図7は、
図6に示した電池10の詳細を説明するための図である。
【0048】
複数の外装材200は、第1外装材200a、第2外装材200b及び第3外装材200cを含んでいる。第1外装材200a、第2外装材200b及び第3外装材200cは、順に並んでいる。
【0049】
複数のスペーサ510は、第1スペーサ510a及び第2スペーサ510bを含んでいる。第1スペーサ510aは、第1外装材200aと第2外装材200bを隔てている。第2スペーサ510bは、第2外装材200bと第3外装材200cを隔てている。
【0050】
第1スペーサ510aは、第1部分512及び第2部分514を含んでいる。第1スペーサ510aの第1部分512は、第1外装材200a及び第2外装材200bと重なっている。第1スペーサ510aの第2部分514は、第1スペーサ510aの第1部分512から第2スペーサ510bに向けて突出している。
図7に示す例では、第1スペーサ510aは、積層体100を挟んで両側のそれぞれに第2部分514を含んでいる。
【0051】
第2スペーサ510bは、第1部分512及び第2部分514を含んでいる。第2スペーサ510bの第1部分512は、第2外装材200b及び第3外装材200cと重なっている。第2スペーサ510bの第2部分514は、第2スペーサ510bの第1部分512から第1スペーサ510aに向けて突出している。
図7に示す例では、第2スペーサ510bは、積層体100を挟んで両側のそれぞれに第2部分514を含んでいる。
【0052】
第1スペーサ510aの第2部分514と第2スペーサ510bの第2部分514は、互いに対向している。
【0053】
図7に示す例においては、第1外装材200a及び第3外装材200cが複数の外装材200の積層方向に膨れて第2外装材200bが膨れないときに、第2外装材200bが押しつぶされることを防ぐことができる。具体的には、上述した構成においては、第1スペーサ510aの第2部分514と第2スペーサ510bの第2部分514は、互いに対向している。したがって、第1外装材200a及び第3外装材200cが膨れても、第1スペーサ510aと第2スペーサ510bの間の隙間の長さは、第1スペーサ510aの第2部分514と第2スペーサ510bの第2部分514の接触によって、一定に長さより短くならない。したがって、第2外装材200bが押しつぶされることを防ぐことができる。
【0054】
図7に示す例では、第1外装材200a及び第3外装材200cが膨らんでいない場合において、第1スペーサ510aの第2部分514と第2スペーサ510bの第2部分514は、隙間を挟んで互いに対向している。つまり、第1外装材200a及び第3外装材200cは、僅かだけ膨らむことが可能になっている。第1外装材200a及び第3外装材200cの膨らみを全く許容しないと、第1外装材200a及び第3外装材200cが膨らもうとするとき、第1外装材200a及び第3外装材200cに大きな力が加わり、第1外装材200a及び第3外装材200cへのダメージに繋がるおそれがある。
図7に示す例では、第1外装材200a及び第3外装材200cの膨らみを僅かだけ許容することで、第1外装材200a及び第3外装材200cへのダメージを防いでいる。
【0055】
さらに、
図7に示す例では、スペーサ510の第2部分514によって外装材200の位置決めをすることができる。具体的には、第1スペーサ510aのうちの図中の左側の第2部分514及び第2スペーサ510bのうちの図中の左側の第2部分514によって、第2外装材200bが図中の左側にずれることを防ぐことができ、第1スペーサ510aのうちの図中の右側の第2部分514及び第2スペーサ510bのうちの図中の右側の第2部分514によって、第2外装材200bが図中の右側にずれることを防ぐことができる。このようにして、外装材200(第2外装材200b)の位置決めをすることができる。
【0056】
図8は、積層体100の膨らみを制限する方法の第5例を説明するための図である。
図8に示す例は、以下の点を除いて、
図6に示した例と同様である。
【0057】
図8に示す例では、複数の外装材200及び複数のスペーサ510は、カバー532とカバー534の間に位置している。部材520は、複数の外装材200、複数のスペーサ510、カバー532及びカバー534を一体に固定している。
【0058】
図8に示す例においても、部材520によって複数の外装材200を一体に固定することによって、積層体100(外装材200)の膨らみを制限することができる。
【0059】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 複数の第1電極と、前記複数の第1電極とは異なる極性をそれぞれ有し、前記複数の第1電極と交互に並ぶ複数の第2電極と、各第1電極と各第2電極をそれぞれ隔てる複数のセパレータと、を含む積層体と、
前記複数の第1電極からそれぞれ突出しており、互いに束ねられた複数の第1タブと、
を備え、
前記複数の第1電極は、第1の第1電極と、第2の第1電極と、第3の第1電極と、を含み、前記第1の第1電極は、前記第2の第1電極と前記第3の第1電極の間に位置しており、前記第2の第1電極及び前記第3の第1電極は、前記複数の第1電極のうちの両端の一方及びもう一方にそれぞれ位置しており、
前記第1の第1電極の前記第1タブ、前記第2の第1電極の前記第1タブ及び前記第3の第1電極の前記第1タブは、前記第2の第1電極及び前記第3の第1電極から等距離にある第1位置において互いに接続しており、各第2電極のうちの前記第1位置側の端部の方が各第1電極のうちの前記第1位置側の端部よりも前記第1位置の近くに位置しており、
前記複数の第2電極は、前記第1の第1電極に隣接する第1の第2電極を含み、
前記複数のセパレータは、前記第1の第1電極と前記第1の第2電極を隔てている第1セパレータを含み、
前記積層体が前記積層体の厚み方向に膨らんでいない場合において、
前記積層体は、前記第2の第1電極から前記第3の第1電極にかけて厚みT0を有し、
前記第1位置は、前記積層体の厚み方向に直交する方向において、前記第1セパレータのうちの前記第1位置側の端部から距離L0だけ離れており、
前記第1セパレータのうちの前記第1位置側の端部は、前記第1の第2電極のうちの前記第1位置側の端部よりも、前記第1位置に向けて前記積層体の厚み方向に直交する方向において距離Gだけ突出しており、
前記積層体は、前記積層体が前記積層体の厚み方向に膨らんでも、前記積層体のうちの前記第2の第1電極から前記第3の第1電極にかけての厚みが2×{(T0/2)2+L0
2-(L0-G)2}1/2未満となるように設計されている電池。
2. 1.に記載の電池において、
前記複数の第2電極から前記複数の第1タブと同じ方向にそれぞれ突出しており、互いに束ねられた複数の第2タブと、
前記積層体に取り付けられた部材と、
を備え、
前記積層体は、前記積層体の厚み方向において互いに反対側に位置する第1面及び第2面と、前記第1面と前記第2面の間にあって、前記複数の第2タブよりも前記複数の第1タブに近い第3面と、前記第1面と前記第2面の間にあって、前記複数の第1タブよりも前記複数の第2タブに近い第4面と、を有し、
前記部材は、前記積層体の前記第3面と、前記第4面よりも前記第3面に近い領域において前記第1面と、前記第4面よりも前記第3面に近い領域において前記第2面と、を覆っている電池。
3. 2.に記載の電池において、
前記部材は、前記積層体の前記第4面と、前記第3面よりも前記第4面に近い領域において前記第1面と、前記第3面よりも前記第4面に近い領域において前記第2面と、を露出している電池。
4. 2.に記載の電池において、
前記部材は、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面を含む全周に亘って前記積層体を覆っている電池。
5. 1.に記載の電池において、
前記積層体を収容する外装材と、
前記外装材を収容する空間を画定する収容体と、
を備え、
前記収容体は、前記積層体の厚み方向における前記積層体の膨らみを制限している電池。
6. 1.に記載の電池において、
複数の前記積層体と、
前記複数の積層体をそれぞれ収容し、互いに積層された複数の外装材と、
隣り合う外装材をそれぞれ隔てる複数のスペーサと、
前記複数の外装材及び前記複数のスペーサを一体に固定する部材と、
を備える電池。
7. 6.に記載の電池において、
前記複数の外装材は、第1外装材、第2外装材及び第3外装材を順に含み、
前記複数のスペーサは、前記第1外装材と前記第2外装材を隔てる第1スペーサと、前記第2外装材と前記第3外装材を隔てる第2スペーサと、を含み、
前記第1スペーサは、前記第1外装材及び前記第2外装材と重なる第1部分と、前記第1スペーサの前記第1部分から前記第2スペーサに向けて突出した第2部分と、を含み、
前記第2スペーサは、前記第2外装材及び前記第3外装材と重なる第1部分と、前記第2スペーサの前記第1部分から前記第1スペーサに向けて突出した第2部分と、を含み、
前記第1スペーサの前記第2部分と前記第2スペーサの前記第2部分は、互いに対向している電池。
8. 複数の第1電極と、複数の第2電極と、複数のセパレータと、をそれぞれ含む複数の積層体と、
前記複数の積層体をそれぞれ収容し、互いに積層された複数の外装材と、
隣り合う外装材をそれぞれ隔てる複数のスペーサと、
前記複数の積層体及び前記複数のスペーサを一体に固定する部材と、
を備え、
前記複数の外装材は、第1外装材、第2外装材及び第3外装材を順に含み、
前記複数のスペーサは、前記第1外装材と前記第2外装材を隔てる第1スペーサと、前記第2外装材と前記第3外装材を隔てる第2スペーサと、を含み、
前記第1スペーサは、前記第1外装材及び前記第2外装材と重なる第1部分と、前記第1スペーサの前記第1部分から前記第2スペーサに向けて突出した第2部分と、を含み、
前記第2スペーサは、前記第2外装材及び前記第3外装材と重なる第1部分と、前記第2スペーサの前記第1部分から前記第1スペーサに向けて突出した第2部分と、を含み、
前記第1スペーサの前記第2部分と前記第2スペーサの前記第2部分は、互いに対向している電池。