IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デジタルグリッド株式会社の特許一覧

特開2022-65275電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065275
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220420BHJP
   G06Q 30/08 20120101ALI20220420BHJP
   G06Q 40/04 20120101ALI20220420BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/08
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173736
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】518155155
【氏名又は名称】デジタルグリッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 航
(72)【発明者】
【氏名】田坂 芳史
(72)【発明者】
【氏名】高坂 大介
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB73
5L049CC06
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】電源を特定したP2P取引における電力需給バランスの精度を向上させる電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供すること。
【解決手段】電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム10であって、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、この入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
該入札データベースに登録されている前記発電入札グループを検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、
前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
該入札データベースに登録されている前記需要入札グループを検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、
前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、
前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ設定手段と発電入札グループ検索手段と発電入札表示手段とを備えた電力取引システムにより電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記発電入札グループ設定手段が前記売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録するステップと、
前記発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループを検索するステップと、
前記発電入札表示手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ設定手段と需要入札グループ検索手段と需要入札表示手段とを備えた電力取引システムにより電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記需要入札グループ設定手段が前記買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録するステップと、
前記需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループを検索するステップと、
前記需要入札表示手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置により実行することを特徴とする電力取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、該入札データベースに登録されている前記発電入札グループを検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、
前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、該入札データベースに登録されている前記需要入札グループを検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ設定手段と発電入札グループ検索手段と発電入札表示手段とを備えた電力取引システムにより電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記発電入札グループ設定手段が前記売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録するステップと、前記発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループを検索するステップと、前記発電入札表示手段が、前記検索するステップによる検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ設定手段と需要入札グループ検索手段と需要入札表示手段とを備えた電力取引システムにより電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記需要入札グループ設定手段が前記買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録するステップと、前記需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループを検索するステップと、前記需要入札表示手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置により実行することにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループを検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループを検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば、発電入札グループ設定手段が売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録するステップと、発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループを検索するステップと、発電入札表示手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、需要入札グループ設定手段が買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録するステップと、需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループを検索するステップと、需要入札表示手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置により実行することにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループを検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループを検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、発電入札グループ設定手段が売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録するステップと、発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループを検索するステップと、発電入札表示手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、需要入札グループ設定手段が買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録するステップと、需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループを検索するステップと、需要入札表示手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、発電入札グループ設定手段が売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベースに登録するステップと、発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループを検索するステップと、発電入札表示手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置により実行することにより、また、需要入札グループ設定手段が買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベースに登録するステップと、需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループを検索するステップと、需要入札表示手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置により実行することにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量表示ボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量表示欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、この入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
さらに、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給点を供給入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、供給入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を供給入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレート表示エリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力消費予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により平均需要量表示ボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を発電入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。 総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札市場選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71fが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは発電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示欄82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示欄82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示欄82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、この入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記処理装置が、
前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている1以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記処理装置が、
前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、
前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記処理装置が、
前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている1以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記処理装置が、
前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、
前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ設定手段と発電入札グループ検索手段と発電入札表示手段とを有する処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えた電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の発電入札グループ設定手段が前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の発電入札表示手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ設定手段と需要入札グループ検索手段と需要入札表示手段とを有する処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えた電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の需要入札グループ設定手段が前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の需要入札表示手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることを特徴とする電力取引プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在とし、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能とすることができなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記処理装置が、前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている1以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記処理装置が、前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている1以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ設定手段と発電入札グループ検索手段と発電入札表示手段とを有する処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えた電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の発電入札グループ設定手段が前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の発電入札表示手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ設定手段と需要入札グループ検索手段と需要入札表示手段とを有する処理装置と入札データベースと電力の購入を希望する買電者の買電者端末と電力の売却を希望する売電者の売電者端末とを備えた電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の需要入札グループ設定手段が前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の需要入札表示手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている1以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている1以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の発電入札グループ設定手段が売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている1以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札表示手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の需要入札グループ設定手段が買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている1以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札表示手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置に実行させることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、処理装置が、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている1以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、処理装置が、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている1以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、処理装置の発電入札グループ設定手段が売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札表示手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、処理装置の需要入札グループ設定手段が買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札表示手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、処理装置の発電入札グループ設定手段が売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札表示手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、また、処理装置の需要入札グループ設定手段が買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている1以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札表示手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量表示ボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量表示欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、この入札データベース23aに登録されている発電入札グループを買電者の買電者端末BTから送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
しかし、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給点を供給入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、供給入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を供給入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレート表示エリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力消費予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により平均需要量表示ボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を発電入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。 総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札市場選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71fが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは発電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示欄82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示欄82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示欄82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、この入札データベース23aに登録されている需要入札グループを売電者の売電者端末STから送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末
【手続補正書】
【提出日】2021-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点に関する発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記売電者端末からの指示に基づいて、前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループおよび1の前記発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点に関する需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記買電者端末からの指示に基づいて、前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループおよび1の前記供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者端末からの指示に基づいて前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループおよび1の前記発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者端末からの指示に基づいて前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループおよび1の前記供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることを特徴とする電力取引プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在とし、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能とすることができなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点に関する発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記売電者端末からの指示に基づいて、前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループおよび1の前記発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点に関する需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記買電者端末からの指示に基づいて、前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループおよび1の前記供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者端末からの指示に基づいて前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記発電地点から構成される前記発電入札グループおよび1の前記発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者端末からの指示に基づいて前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するか、または、2以上の前記供給地点から構成される前記需要入札グループおよび1の前記供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、売電者端末からの指示に基づいて、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の発電地点から構成される発電入札グループおよび1の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、買電者端末からの指示に基づいて、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の供給地点から構成される需要入札グループおよび1の供給地点から構成される需要入札グループの情報を入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者端末からの指示に基づいて売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の発電地点から構成される発電入札グループおよび1の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者端末からの指示に基づいて買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の供給地点から構成される需要入札グループおよび1の供給地点から構成される需要入札グループの情報を入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置に実行させることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、処理装置が、売電者端末からの指示に基づいて、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の発電地点から構成される発電入札グループおよび1の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、処理装置が、買電者端末からの指示に基づいて、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の供給地点から構成される需要入札グループおよび1の供給地点から構成される需要入札グループの情報を入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者端末からの指示に基づいて売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の発電地点から構成される発電入札グループおよび1の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者端末からの指示に基づいて買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の供給地点から構成される需要入札グループおよび1の供給地点から構成される需要入札グループの情報を入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者端末からの指示に基づいて売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の発電地点から構成される発電入札グループおよび1の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者端末からの指示に基づいて買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するか、または、2以上の供給地点から構成される需要入札グループおよび1の供給地点から構成される需要入札グループの情報を入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量表示ボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量表示欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者端末BTからの指示に基づいて、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベース23aに登録するか、または、2以上の発電地点から構成される発電入札グループおよび1の発電地点から構成される発電入札グループの情報を入札データベース23aに登録する、発電入札グループ登録手段111と、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを買電者の買電者端末BTから送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
しかし、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給点を供給入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、供給入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を供給入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレート表示エリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力消費予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により平均需要量表示ボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を発電入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。 総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札市場選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71fが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは発電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示欄82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示欄82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示欄82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者端末STからの指示に基づいて、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録するか、または、2以上の供給地点から構成される需要入札グループおよび1の供給地点から構成される需要入札グループの情報を入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを売電者の売電者端末STから送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末
【手続補正書】
【提出日】2021-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点に関する発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記売電者端末からの指示に基づいて、前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点に関する需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記買電者端末からの指示に基づいて、前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者端末からの指示に基づいて前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者端末からの指示に基づいて前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることを特徴とする電力取引プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在とし、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能とすることができなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点に関する発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記売電者端末からの指示に基づいて、前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点に関する需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記買電者端末からの指示に基づいて、前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者端末からの指示に基づいて前記売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者端末からの指示に基づいて前記買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、売電者端末からの指示に基づいて、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、買電者端末からの指示に基づいて、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者端末からの指示に基づいて売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者端末からの指示に基づいて買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置に実行させることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、処理装置が、売電者端末からの指示に基づいて、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、処理装置が、買電者端末からの指示に基づいて、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者端末からの指示に基づいて売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者端末からの指示に基づいて買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者端末からの指示に基づいて売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者端末からの指示に基づいて買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量表示ボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量表示欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者端末BTからの指示に基づいて、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを買電者の買電者端末BTから送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
しかし、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給点を供給入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、供給入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を供給入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレート表示エリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力消費予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により平均需要量表示ボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を発電入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札市場選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71fが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは発電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示欄82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示欄82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示欄82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者端末STからの指示に基づいて、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを売電者の売電者端末STから送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末
【手続補正書】
【提出日】2021-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記売電者の管轄する発電地点から前記売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者の管轄する前記売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることを特徴とする電力取引プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在とし、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能とすることができなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記売電者の管轄する発電地点から前記売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの前記電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者の管轄する前記売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、売電者の管轄する発電地点から売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば記処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置に実行させることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、処理装置が、売電者の管轄する発電地点から売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、処理装置が、買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量表示ボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量表示欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者端末BTからの指示に基づいて、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを買電者の買電者端末BTから送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
しかし、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給点を供給入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、供給入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を供給入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレート表示エリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力消費予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により平均需要量表示ボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を需要入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札市場選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71fが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは発電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示欄82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示欄82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示欄82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者端末STからの指示に基づいて、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを売電者の売電者端末STから送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記売電者の管轄する発電地点から前記売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者の管轄する前記売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることを特徴とする電力取引プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在とし、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能とすることができなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記売電者の管轄する発電地点から前記売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者の管轄する前記売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、売電者の管轄する発電地点から売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば記処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置に実行させることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、処理装置が、売電者の管轄する発電地点から売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、処理装置が、買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量表示ボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量表示欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者端末BTからの指示に基づいて、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを買電者の買電者端末BTから送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
しかし、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給点を供給入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、供給入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を供給入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレート表示エリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力消費予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により平均需要量表示ボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を需要入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札市場選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71fが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは発電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示欄82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示欄82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示欄82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者端末STからの指示に基づいて、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを売電者の売電者端末STから送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力消費予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末
【手続補正書】
【提出日】2022-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記売電者の管轄する発電地点から前記売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、
該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項2】
前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力取引システム。
【請求項5】
処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、
前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、
前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、
前記処理装置が、
前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、
前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、
該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることを特徴とする電力取引システム。
【請求項6】
前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、
前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの電力需要予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていること特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力取引システム。
【請求項9】
発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者の管轄する前記売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項10】
需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、
前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、
前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、
前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることを特徴とする電力取引方法。
【請求項11】
電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、
請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることを特徴とする電力取引プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2016年4月1日より電気の小売業への参入が全面自由化され、以前は地域で決められていた電力会社(旧一般電気事業者)としか契約できなかった電力が、新たに参入した新電力も含め、自由に電力会社を選んで契約できるようになった。
【0003】
そこで、電力調達コストを低減するために買電者が最適な売電者から電力を購入できるような電力取引システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】価格.com - 電気料金比較|最適なプランを選んで電気代を節約;https://kakaku.com/energy/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電力取引システムは、買電者が利用するシステムであり、電気をなるべく高い値段で販売したい売電者は利用できなかった。
また、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在とし、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能とすることができなかった。
したがって、従来の電力取引システムでは、買電者や売電者のような電力取引者にとって自由度の高い電力取引が実現できず、更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現する電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記売電者端末が、前記売電者の管轄する発電地点から構成される発電入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記買電者端末が、前記発電入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記売電者の管轄する発電地点から前記売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、該発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における前記発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の発電入札情報送信手段が、前記発電入札グループ検索手段による検索結果として前記売電入札計画を前記買電者の買電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記売電入札計画が、前記発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記売電入札計画に対する前記買電者の売電応札の情報を前記売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、前記売電者の操作に基づき選択された1つの前記売電応札を前記入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続されて前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引システムであって、前記買電者端末が、前記買電者の管轄する供給地点から構成される需要入札グループの情報を前記処理装置に対して送信し、前記売電者端末が、前記需要入札グループに関する検索条件を前記処理装置に対して送信し、前記処理装置が、前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、該需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における前記需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、前記処理装置の需要入札情報送信手段が、前記需要入札グループ検索手段による検索結果として前記買電入札計画を前記売電者の売電者端末に送信することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、所定時刻までの前記供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、前記供給地点の前記電力実消費量に基づいて所定時間後の前記供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、前記買電入札計画が、前記需要入札グループを構成する各前記供給地点の前記単位時間ごとの電力需要予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載された電力取引システムの構成に加えて、前記処理装置が、前記買電入札計画に対する前記売電者の買電応札の情報を前記買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、前記買電者の操作に基づき選択された1つの前記買電応札を前記入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、発電入札グループ登録手段と発電入札グループ検索手段と発電入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の発電入札グループ登録手段が前記売電者の管轄する前記売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を前記売電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の発電入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記発電入札グループの情報を前記買電者の買電者端末から送信された前記発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の発電入札情報送信手段が前記発電入札グループ検索手段による検索結果を前記買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、需要入札グループ登録手段と需要入札グループ検索手段と需要入札情報送信手段とを有する処理装置と入札データベースとを備え、電力の購入を希望する買電者の買電者端末および電力の売却を希望する売電者の売電者端末が接続される電力取引システムにより前記買電者と前記売電者との間の電力取引を支援する電力取引方法であって、前記処理装置の需要入札グループ登録手段が前記買電者の管轄する供給地点から前記買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を前記買電者端末からの指示に基づいて少なくとも前記入札データベースに登録するステップと、前記処理装置の需要入札グループ検索手段が前記入札データベースに登録されている前記需要入札グループの情報を前記売電者の売電者端末から送信された前記需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、前記処理装置の需要入札情報送信手段が前記需要入札グループ検索手段による検索結果を前記売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する電力取引プログラムであって、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを前記処理装置に実行させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0018】
ここで、本発明における「買電者」とは、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上管轄している者であり、供給地点特定番号が割り振られている者(電力の各種契約の契約主体である需要家等)および供給地点特定番号が割り振られていない者(需要家に電気を供給する小売電気事業者、取次業者(小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う者)等)を意味する。
また、本発明における「売電者」とは、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上管轄している者であり、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有する者(電力会社やガス会社等の電気事業法上の発電事業者、発電設備を保有して当該発電設備により発電した電力の販売を希望する発電設備保有者)、および、受電地点特定番号が設定されている発電設備を保有しないが送配電事業者と発電量調整の責任を負う契約(発電量調整供給契約)を締結した者(小売電気事業者、需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター等)を意味する。
さらに、本発明における「管轄」とは、「所有」という意味のみならず、「契約による管理」という意味も含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、売電者の管轄する発電地点から売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の電力取引システムによれば、請求項1に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電者の売電者端末から入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の発電入札情報送信手段が、発電入札グループ検索手段による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末に送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4に係る発明の電力取引システムによれば、請求項2または請求項3に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末に送信する売電応札情報送信手段と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベースに約定登録する買電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明の電力取引システムによれば、処理装置が、買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0024】
請求項6に係る発明の電力取引システムによれば、請求項5に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電者の買電者端末から入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段をさらに備え、処理装置の需要入札情報送信手段が、需要入札グループ検索手段による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末に送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段とをさらに備え、買電入札計画が、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0026】
請求項8に係る発明の電力取引システムによれば、請求項6または請求項7に係る発明の電力取引システムが奏する効果に加えて、処理装置が、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末に表示する買電応札情報送信手段と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項9に係る発明の電力取引方法によれば記処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0028】
請求項10に係る発明の電力取引方法によれば、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0029】
請求項11に係る発明の電力取引プログラムによれば、請求項9または請求項10に記載の電力取引方法の各ステップを処理装置に実行させることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
あるいは、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図。
図3】処理装置の装置構成図。
図4A】本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャート。
図4B】本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャート。
図5】本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャート。
図6】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図7A】発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図7B】発電入札グループの登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図。
図8】本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図9】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図。
図10】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図11】発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図。
図12】本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャート。
図13】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャート。
図14A】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図14B】需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図。
図15】本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャート。
図16】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図。
図17】本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャート。
図18】需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電力取引システムは、処理装置が、売電者の管轄する発電地点から売電者端末上で選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する発電入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段と、この発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信する発電入札情報送信手段とを備えていることにより、また、処理装置が、買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録する需要入札グループ登録手段と、この入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段と、この需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信する需要入札情報送信手段とを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0032】
また、本発明の電力取引方法は、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを備えていることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された発電入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを備えていることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0033】
また、本発明の電力取引プログラムは、処理装置の発電入札グループ登録手段が売電者の管轄する売電者端末上で発電地点から選択された2以上の発電地点により構成される発電入札グループの情報を売電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の発電入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている発電入札グループの情報を買電者の買電者端末から送信された検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の発電入札情報送信手段が発電入札グループ検索手段による検索結果を買電者の買電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、また、処理装置の需要入札グループ登録手段が買電者の管轄する供給地点から買電者端末上で選択された2以上の供給地点により構成される需要入札グループの情報を買電者端末からの指示に基づいて少なくとも入札データベースに登録するステップと、処理装置の需要入札グループ検索手段が入札データベースに登録されている需要入札グループの情報を売電者の売電者端末から送信された需要入札グループに関する検索条件に基づいて検索するステップと、処理装置の需要入札情報送信手段が需要入札グループ検索手段による検索結果を売電者の売電者端末に送信するステップとを処理装置に実行させることにより、電力取引者にとって自由度の高い電力取引を実現するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0034】
例えば、買電者端末および売電者端末は、通信機能を備えるものであれば、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等如何なるものであってもよい。
【実施例0035】
以下、図1乃至図18に基づいて、本発明の一実施例である電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラムについて説明する。
【0036】
<1.電力取引システムが接続されるネットワークの概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施例である電力取引システム10が接続されるネットワークの概要について説明する。
図1は、本発明の実施例である電力取引システムが接続されるネットワーク構成図である。
【0037】
本発明の実施例である電力取引システム10は、図1に示すように、ネットワークNWに接続されている。
このネットワークNWは、例えば、インターネットでもよいし、特定のユーザーしかアクセスできないイントラネットでもよいし、これらを組み合わせたネットワークでもよい。
【0038】
ネットワークNWには、電力取引システム10が参照する気象データベースDBや、他の電力取引システムES(具体的には、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)が運営する卸電力取引市場の電力取引システム)などが接続されている。
また、このネットワークNWには、電力需要バランスを維持する送配電事業者も接続している。
送配電事業者は、送配電網の敷設や保守を行い、送配電網の利用状況(送配電先、送配電量等)を監視している事業者である。
【0039】
さらに、このネットワークNWには、電力の購入を希望する買電者の有する買電者端末BTや電力の売却を希望する売電者の有する売電者端末STも接続している。
【0040】
需要家は、供給地点特定番号により特定される電気の供給地点を1つ以上有し、電力の各種契約の契約主体であり、買電者端末BTを有している。
需要家の供給地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される順潮流計量メーターFSMが設置されている。
この順潮流計量メーターFSMは、所定の周期ごとの電力の使用量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、順潮流スマートメーター等も含む。
なお、順潮流計量メーターFSMが電力の使用量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期(日本国では30分周期が一般的)であるが、周期は特に限定されるものではない。
また、各供給地点には、順潮流計量メーターFSMと一体又は別体のHEMS等からなる電力管理システムを備えていても良い。
【0041】
発電事業者は、受電地点特定番号により特定される電気の発電地点を1つ以上有し、売電者端末STを有している。
この発電事業者は、発電設備(火力発電所、風力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等に設置されている発電機)を保有し、それぞれの発電設備を制御および監視している事業者である。
発電事業者の発電地点のそれぞれには、電力をデジタル計測すると共にネットワークNWに接続される逆潮流計量メーターRSMが設置されている。
この逆潮流計量メーターRSMは、所定の周期ごとの発電量などを把握し、送配電事業者にネットワークNWを介して送信するものであり、例えば、逆潮流スマートメーター等も含む。
なお、逆潮流計量メーターRSMが発電量などを把握する周期は、例えば、デマンド制御の周期であるが、周期は特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、このネットワークNWには、需要家に電気を供給する小売電気事業者や需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーター、小売供給契約の締結の取次ぎを業として行う取次業者などが接続されている。
小売電気事業者は、電力の購入を希望する買電者にも、電力の売却を希望する売電者にもなり得るため、買電者端末BTと売電者端末STの少なくとも一方を所持している。
アグリゲーターは、電力の売却を希望する売電者に該当するため、売電者端末STを所持している。
取次業者は、電力の購入を希望する買電者に該当するため、買電者端末BTを所持している。
【0043】
<2.電力取引システムの概要>
次に、図1乃至図3に基づいて、電力取引システム10の概要について説明する。
図2図1に示す電力取引システムのシステム構成図であり、図3は処理装置の装置構成図である。
【0044】
電力取引システム10は、図1および図2に示すように、電力の購入を希望する買電者と電力の売却を希望する売電者との間の電力取引を支援する長期相対取引サブシステム100と、供給地点間の電力需給バランスを電力供給日前日および電力供給日当日に調整して計画値同時同量制度におけるインバランス量を最小化する短期需給調整システム200と、長期相対取引サブシステム100と短期需給調整システム200とに共通する処理を担う共通サブシステム300とを備えている。
【0045】
<2.1.長期相対取引サブシステム>
長期相対取引サブシステム100は、図1および図2に示すように、買電者主体の電力取引を行うための買電取引コンポーネント110と売電者主体の電力取引を行うための売電取引コンポーネント120とを有している。
【0046】
買電取引コンポーネント110は、図2に示すように、発電入札グループ登録手段111と、発電入札グループ検索手段112と、発電入札情報送信手段113と、売電入札計画作成手段114と、売電応札情報送信手段115と、買電約定登録手段116とを有している。
【0047】
発電入札グループ登録手段111は、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループ(例えば、図1に示すGA1)を後述する入札データベース23a(図3参照)に登録する。
発電入札グループ検索手段112は、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを検索する。
発電入札情報送信手段113は、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電入札計画作成手段114は、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する。
売電応札情報送信手段115は、売電者による売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する。
買電約定登録手段116は、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0048】
売電取引コンポーネント120は、図2に示すように、需要入札グループ登録手段121と、需要入札グループ検索手段122と、需要入札情報送信手段123と、買電入札計画作成手段124と、買電応札情報送信手段125と、売電約定登録手段126とを有している。
【0049】
需要入札グループ登録手段121は、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループ(例えば、図1に示すGX1)を入札データベース23aに登録する。
需要入札グループ検索手段122は、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを検索する。
需要入札情報送信手段123は、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信する。
買電入札計画作成手段124は、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する。
買電応札情報送信手段125は、買電者による買電入札計画に対する売電者の買電応札の情報を買電者の買電者端末BTに送信する。
売電約定登録手段126は、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する。
【0050】
<2.2.共通サブシステム>
共通サブシステム300は、図2に示すように、電力実消費量取得手段310と、電力需要予測量算出手段320と、発電量取得手段330と、発電予測量算出手段340とを少なくとも備えている。
【0051】
電力実消費量取得手段310は、所定時刻までの所定の供給地点の電力実消費量をそれぞれ取得する。
電力需要予測量算出手段320は、電力実消費量取得手段310が取得した供給地点の電力実消費量などに基づいて所定時間後の供給地点の電力需要予測量を算出する。
発電量取得手段330は、所定時刻までの所定の発電地点の発電量をそれぞれ取得する。
発電予測量算出手段340は、発電量取得手段330が取得した発電地点の発電量などに基づいて所定時間後の発電地点の発電予測量を算出する。
【0052】
<2.3.処理装置>
以上のように構成される電力取引システム10は、少なくとも1台の処理装置20により構成される。
処理装置20は、ネットワークNWに接続される通信部21と、外部からの情報を入力し、あるいは、外部へ情報を出力するマンマシンインターフェイス等の入出力部22と、通信部21によりネットワークNWから入手したデータや入出力部22からの入力および電力取引プログラム等を記憶する記憶部23と、この記憶部23に記憶された電力取引プログラムによりネットワークNWから入手したデータや入出力部22から入力された情報等を処理する処理部24とを備えている。
記憶部23は、買電者と売電者との間の電力取引の経過を保存する入札データベース23aを有している。
このように構成された処理装置20は、電力取引システム10の各サブシステムの各コンポーネントや各手段を構成する。
【0053】
<3.電力取引方法>
次に、図4A乃至図18に基づいて、図1および図2に示す電力取引システム10および図3に示す処理装置20に記憶された電力取引プログラムによる電力取引方法について説明する。
【0054】
<3.1.電力実消費量および発電量の取得、並びに、電力需要量および発電量の予測>
まず、図4Aおよび図4Bに基づいて、電力取引システム10の共通サブシステム300による供給地点の電力実消費量の取得および電力需要量の予測、並びに、電力取引システム10の共通サブシステム300による発電地点の発電量の取得および発電量の予測について、説明する。
図4Aは本発明の実施例である電力取引システムによる供給地点の電力需要量の予測手順を示すフローチャートであり、図4Bは本発明の実施例である電力取引システムによる発電地点の発電量の予測手順を示すフローチャートである。
【0055】
<3.1.1.供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出>
まず、図4Aに基づいて、供給地点の電力実消費量の取得および電力需要予測量の算出について説明する。
【0056】
電力取引システム10による供給地点の電力実消費量の取得は、共通サブシステム300の電力実消費量取得手段310により行われる。
電力取引システム10による供給地点の電力需要量の予測(電力需要予測量の算出)は、共通サブシステム300の電力需要予測量算出手段320により行われる。
【0057】
なお、電力実消費量取得手段310による電力実消費量の取得および電力需要予測量算出手段320による電力需要量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、電力実消費量取得手段310が電力実消費量を取得する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
同様に、電力需要予測量算出手段320が電力需要量を予測する供給地点は、全ての供給地点であってもよいし、一部の供給地点であってもよい。
【0058】
電力取引システム10の電力実消費量取得手段310は、過去分(例えば、所定の起算時刻から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)供給地点における30分ごとの電力実消費量[kWh]を各供給地点に設けられた順潮流計量メーターFSMから送配電事業者を介して取得する(ステップS10)。
なお、順潮流計量メーターFSMが設置された初年度の場合、電力実消費量取得手段310は、30分ごとの電力実消費量を送配電事業者から入手する。
また、供給地点自体が新規の場合、または、供給地点の電力実消費量が取得できない場合、電力実消費量取得手段310は既存の電力消費モデルで電力実消費量を推定する。
【0059】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、各供給地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS11)。
ここでいう「供給地点の環境データ」とは、電力需要予測量算出手段320が気象データベースDBから取得する各供給地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各供給地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0060】
次に、電力取引システム10の電力需要予測量算出手段320は、ステップS10で取得した過去分の電力実消費量とステップS11で取得した環境データとに基づき、過去分の電力実消費量を取得した各供給地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの電力需要予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS12)。
【0061】
<3.1.2.発電地点の発電量の取得および発電量の予測>
続いて、図4Bに基づいて、発電地点の発電量の取得および発電予測量の算出について説明する。
【0062】
電力取引システム10による発電地点の発電量の取得は、共通サブシステム300の発電量取得手段330により行われる。
電力取引システム10による発電地点の発電量の予測(発電予測量の算出)は、共通サブシステム300の発電予測量算出手段340により行われる。
【0063】
なお、発電量取得手段330による発電量の取得および発電予測量算出手段340による発電量の予測は、如何なるタイミングであってもよい。
また、発電量取得手段330が発電量を取得する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
同様に、発電予測量算出手段340が発電量を予測する発電地点は、全ての発電地点であってもよいし、一部の発電地点であってもよい。
【0064】
電力取引システム10の発電量取得手段330は、過去分(例えば、所定の起算日から過去1年分)の所定の(例えば、全ての)発電地点における30分ごとの発電量[kWh]を各発電地点に設けられた逆潮流計量メーターRSMから送配電事業者を介して取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS20)。
なお、逆潮流計量メーターRSMが設置された初年度の場合、発電量取得手段330は、30分ごとの発電量を送配電事業者から入手する。
また、発電地点自体が新規の場合、または、発電地点の発電量が取得できない場合、発電量取得手段330は既存の発電モデルで発電量を推定する。
【0065】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、各発電地点の環境データを取得して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS21)。
ここでいう「発電地点の環境データ」とは、発電予測量算出手段340が気象データベースDBから取得する各発電地点の過去1年分の気象データ(気温、湿度、気圧、日射量、降雨量など)や各発電地点の84時間分の気象予報データであったり、祝日や休日が記録された暦データであったりする。
【0066】
次に、電力取引システム10の発電予測量算出手段340は、ステップS20で取得した過去分の発電量とステップS21で取得した環境データとに基づき、過去分の発電量を取得した各発電地点における所定期間(例えば、1年間)の30分ごとの発電予測量[kWh]を算出して処理装置20の記憶部23に保存する(ステップS22)。
【0067】
<3.2.買電者による電力購入>
続いて、図5乃至図11に基づいて、買電者による電力購入手順について説明する。
【0068】
まず、図5に基づいて、買電者による電力購入手順の概要について説明する。
図5は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた買電者による電力購入手順を示すフローチャートである。
【0069】
買電者が発電入札グループを選択して電力を購入する場合、図5に示すように、まず、売電者が事前に発電入札グループを登録(ステップS100)しておいた後、買電者は発電入札グループを検索(ステップS120)して、売電入札計画に対して売電応札を行う(ステップS140)。
その後、売電者が売電応札を確認して約定処理を行う(ステップS160)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
<3.2.1.発電入札グループの登録>
まず、図6乃至図7Bに基づいて、ステップS100の売電者による発電入札グループの登録について、説明する。
図6は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図7Aおよび図7Bは発電入札グループを登録する際に売電者端末に表示される発電入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0071】
売電者が発電入札グループを登録する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS101)。
発電入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ設定画面データを売電者端末STに送信する(ステップS102)。
これにより、売電者端末STは、図7Aおよび図7Bに示すような発電入札グループ設定画面30を表示する(ステップS103)。
【0072】
ここで、発電入札グループ設定画面30について説明する。
発電入札グループ設定画面30は、発電入札グループ情報入力エリア31と、発電地点検索条件入力エリア32と、発電入札グループ登録エリア33と、発電量シミュレートエリア34と、売電希望単価入力エリア35と、売電入札計画表示エリア36と、売電入札計画登録ボタン37と、戻りボタン38とから構成されている。
【0073】
発電入札グループ情報入力エリア31は、入札エリア選択タブ31aと、電力売却期間入力欄31bと、発電入札グループ名入力欄31cとから構成されている。
なお、発電入札グループ情報入力エリア31においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ31aの選択)と電力売却期間の設定(電力売却期間入力欄31bへの入力)と発電入札グループ名の入力(発電入札グループ名入力欄31cへの入力)とが必須となっている。
【0074】
入札エリア選択タブ31aは、入札エリアの候補(日本であれば、国内を10に分割した供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ31aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
電力売却期間入力欄31bは、電力売却の対象期間(電力売却期間)を入力する欄である。
発電入札グループ名入力欄31cは、これから登録する発電入札グループの名称(電力源を特定する情報が付加されていると好ましい)を入力する欄である。
【0075】
発電地点検索条件入力エリア32は、検索条件入力欄32aと、検索ボタン32bと、クリアボタン32cとから構成されている。
検索条件入力欄32aは、予め登録されている発電地点から所定の発電地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン32bは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードに基づき、発電地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン32cは、検索条件入力欄32aに入力されたキーワードを削除するボタンである。
【0076】
発電入札グループ登録エリア33は、発電地点表示欄33aと、発電入札グループ表示欄33bと、追加ボタン33cと、削除ボタン33dとから構成されている。
発電地点表示欄33aは、電力取引システム10から送信された発電地点の情報の1つである発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
発電入札グループ表示欄33bは、発電入札グループの候補を構成する発電地点の名前が1行に1発電地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン33cは、発電地点表示欄33aで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bに追加するボタンである。
削除ボタン33dは、発電入札グループ表示欄33bで選択された発電地点を発電入札グループ表示欄33bから削除するボタンである。
【0077】
発電量シミュレートエリア34は、発電量シミュレートボタン34aと、発電量シミュレート欄34bとから構成されている。
発電量シミュレートボタン34aは、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点の発電予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
発電量シミュレート欄34bは、電力取引システム10から送信された発電入札グループ表示欄33bに表示された発電地点全体(発電入札グループ候補)の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件(最も一日の発電量が多い日)に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0078】
売電希望単価入力エリア35は、売電希望単価入力欄35aと、売電入札計画表示ボタン35bとから構成されている。
売電希望単価入力欄35aは、売電入札計画に登録したい売電希望単価を入力する欄である。
売電入札計画表示ボタン35bは、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114に発電入札グループ候補の売電入札計画を作成させて、売電者端末STに売電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0079】
売電入札計画表示エリア36には、電力取引システム10から受信した発電入札グループ候補の売電入札計画が表示される。
売電入札計画として具体的には、発電入札グループ候補の電力源を特定する情報(再生可能エネルギーか否か等)、発電入札グループ候補としての総電力量[MWh]、発電入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、発電入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、発電入札グループ候補としての売電希望単価[円/kWh]、総価格(発電入札グループ候補としての総電力量×発電入札グループ候補としての売電希望単価)[円]等が含まれる。
【0080】
売電入札計画登録ボタン37は、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループ候補を発電入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された内容、売電入札計画表示エリア36に表示された売電入札計画も発電入札グループを構成する発電地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン38は、発電入札グループ設定画面30から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0081】
図6に戻り、売電者による発電入札グループの登録について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ情報入力エリア31にこれから登録する発電入札グループの情報を入力する。
【0082】
次に、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10に登録する発電入札グループの候補となる発電地点を検索するためのキーワードを検索条件入力欄32aに入力する。
そして、売電者端末STへの操作により検索ボタン32bが押下されると、売電者端末STは発電地点検索条件入力エリア32に入力された発電地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS104)。
【0083】
発電地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う発電地点を検索(ステップS105)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う発電地点の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS106)。
【0084】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに受信した検索条件に見合う発電地点を表示する(ステップS107)。
【0085】
次に、売電者は、売電者端末STにより発電入札グループ登録エリア33の発電地点表示欄33aに表示された発電地点から発電入札グループを構成したい発電地点を選択し、追加ボタン33cを押す。
これにより、発電入札グループの候補が、発電入札グループ表示欄33bに表示される(ステップS108)。
【0086】
次に、売電者端末STが、電力量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS109)。
売電者端末STへの操作により発電量シミュレートボタン34aが押下された場合、売電者端末STは電力量をシミュレートする命令を受け付けたとして、電力量をシミュレートする命令および発電入札グループの候補となる発電地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS110に進む。
発電量シミュレートボタン34aが押下されなかった場合は、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力し、ステップS113に進む。
【0087】
ステップS110では、電力量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、発電予測量算出手段340により算出された各発電地点の発電予測量に基づき、発電入札グループの候補の発電量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を売電者端末STに送信する(ステップS111)。
発電入札グループの発電量のシミュレート結果を受信した売電者端末STは、シミュレート結果を発電量シミュレート欄34bに表示する(ステップS112)。
そして、売電者は、売電者端末STにより売電希望単価入力エリア35の売電希望単価入力欄35aに売電希望単価を入力する。
【0088】
売電者端末STへの操作により売電入札計画表示ボタン35bが押下された場合、売電者端末STは、発電入札グループ情報入力エリア31に入力された情報と、発電入札グループ表示欄33bに表示された発電入札グループの候補となる発電地点の情報と、売電希望単価入力欄35aに入力された売電希望単価とのような売電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS113)。
【0089】
次に、電力取引システム10の売電入札計画作成手段114は、売電者端末STから受信した売電入札計画作成情報から発電入札グループの候補の売電入札計画を作成し(ステップS114)、売電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS115)。
【0090】
売電入札計画を電力取引システム10から受信した売電者端末STは、売電入札計画表示エリア36に売電入札計画を表示する(ステップS116)。
売電者端末STへの操作により売電入札計画登録ボタン37が押下されると、売電者端末STは、売電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS117)。
売電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の発電入札グループ登録手段111は、売電者端末STに送信した売電入札計画を発電入札グループの売電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS118)。
【0091】
<3.2.2.発電入札グループの検索および売電応札>
次に、図8および図9に基づいて、ステップS120の買電者による発電入札グループの検索およびステップS140の売電応札について、説明する。
図8は本発明の実施例である電力取引システムによる発電入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図9は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される発電入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0092】
買電者が発電入札グループを検索する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、発電入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS121)。
発電入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、発電入札グループ検索画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS122)。
これにより、買電者端末BTは、図9に示すような発電入札グループ検索画面40を表示する(ステップS123)。
【0093】
ここで、発電入札グループ検索画面40について説明する。
発電入札グループ検索画面40は、発電入札グループ検索条件入力エリア41と、発電入札グループ表示エリア42と、発電予測量表示エリア43と、売電入札計画表示エリア44と、応札ボタン45とから構成されている。
【0094】
発電入札グループ検索条件入力エリア41は、入札エリア選択タブ41aと、総価格入力欄41bと、年間最大出力入力欄41cと、電力売却期間入力欄41dと、総電力量入力欄41eと、検索ボタン41fと、クリアボタン41gとから構成されている。
なお、発電入札グループ検索条件入力エリア41においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ41aの選択)が必須となっている。
【0095】
入札エリア選択タブ41aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ41aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄41bは、発電入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄41cは、発電入札グループの年間最大出力の範囲を入力する欄である。
電力売却期間入力欄41dは、売電者の電力売却の対象期間を入力する欄である。
総電力量入力欄41eは、発電入札グループの総電力量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン41fは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報に基づき、発電入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン41gは、入札エリア選択タブ41aから総電力量入力欄41eに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0096】
発電入札グループ表示エリア42には、電力取引システム10から送信された発電入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この発電入札グループ表示エリア42には、各発電入札グループの入札状況や売電入札計画が表示される。
また、発電入札グループ表示エリア42の各行は、選択自在となっている。
【0097】
発電予測量表示エリア43は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループとして発電地点全体の発電予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の発電量の推移などが表示される。
【0098】
売電入札計画表示エリア44には、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画が表示される。
【0099】
応札ボタン45は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0100】
図8に戻り、買電者による発電入札グループの検索について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ検索条件入力エリア41に電力調達したい発電入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0101】
次に、買電者端末BTへの操作により検索ボタン41fが押下されると、買電者端末BTは発電入札グループ検索条件入力エリア41に入力された発電入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS124)。
【0102】
発電入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の発電入札グループ検索手段112は、受信した検索条件に見合う発電入札グループを検索する(ステップS125)。
そして、電力取引システム10の発電入札情報送信手段113は、検索結果(検索条件に見合う発電入札グループの売電入札計画等の発電入札情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS126)。
【0103】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、発電入札グループ表示エリア42に発電入札グループの情報を表示する(ステップS127)。
【0104】
次に、買電者は、買電者端末BTにより発電入札グループ表示エリア42に表示された発電入札グループから応札したい発電入札グループを選択する(ステップS128)。
買電者が買電者端末BTにより応札したい発電入札グループを選択すると、買電者端末BTは選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS129)。
【0105】
買電者により選択された発電入札グループの電力予測量および売電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS130)。
【0106】
発電入札グループの電力予測量および売電入札計画を受信した買電者端末BTは、発電入札グループの電力予測量を発電予測量表示エリア43に表示し、売電入札計画を売電入札計画表示エリア44に表示する(ステップS131)。
【0107】
買電者端末BTへの操作により、応札ボタン45が押下されると、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループの売電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS141)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、発電入札グループ表示エリア42で選択された発電入札グループに応札が入った旨(売電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS142)。
【0108】
<3.2.3.約定処理>
次に、図10及び図11に基づいて、ステップS160の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図11は発電入札グループを検索する際に売電者端末に表示される売電応札表示画面の一例を示す図である。
【0109】
売電者が売電入札計画に対する応札(売電応札)を確認する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、売電応札確認画面データを呼び出す(ステップS161)。
売電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、売電応札確認画面データを売電者端末STに送信する(ステップS162)。
これにより、売電者端末STは、図11に示すような売電応札確認画面50を表示する(ステップS163)。
【0110】
ここで、売電応札確認画面50について説明する。
売電応札確認画面50は、売電応札検索条件入力エリア51と、売電応札表示エリア52と、約定ボタン53とから構成されている。
【0111】
売電応札検索条件入力エリア51は、発電入札グループ名入力欄51aと、供給区域選択欄51bと、電力売却期間入力欄51cと、応札者名入力欄51dと、売電応札検索ボタン51eと、クリアボタン51fとから構成されている。
【0112】
発電入札グループ名入力欄51aは、登録した発電入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
供給区域選択欄51bは、供給区域を選択する欄であり、複数の供給区域が選択自在となっている。
電力売却期間入力欄51cは、発電入札グループが設定した電力売却期間を入力する欄である。
応札者名入力欄51dは、応札者(買電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
売電応札検索ボタン51eは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報に基づき、売電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン51fは、発電入札グループ名入力欄51aから応札者名入力欄51dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0113】
売電応札表示エリア52には、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115から送信された売電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この売電応札表示エリア52の各行には、発電入札グループ名、電力源、応札者や売電入札計画などが表示される。
また、売電応札表示エリア52の各行は、選択自在となっている。
【0114】
約定ボタン53は、売電応札表示エリア52で選択された売電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0115】
図10に戻り、約定処理について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより売電応札検索条件入力エリア51に売電者にとって好都合となるような売電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、売電者端末STへの操作により売電応札検索ボタン51eが押下されると、売電者端末STは売電応札検索条件入力エリア51に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS164)。
【0116】
売電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札を検索する(ステップS165)。
そして、電力取引システム10の売電応札情報送信手段115は、検索結果(検索条件に見合う売電入札計画に対する売電応札の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS166)。
【0117】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、売電応札表示エリア52に検索条件に合致する売電応札を表示する(ステップS167)。
【0118】
売電者は、売電者端末STにより、売電応札確認画面50の売電応札表示エリア52に表示された発電応札を確認し、最も好条件な売電応札を選択し、約定ボタン53を押す。
売電者端末STへの操作により約定ボタン53が押下されると、売電応札表示エリア52で選択された1つの売電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS168)。
【0119】
そして、約定対象となる売電応札の情報を受信した電力取引システム10の買電約定登録手段116は、1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS169)。
これにより、売電者と買電者との長期相対取引が完了する。
【0120】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、売電者端末STからの指示に基づいて、売電者の管轄する1以上の発電地点から構成される発電入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、売電者の管轄する2以上の発電地点から構成される発電入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する発電入札グループ登録手段111と、入札データベース23aに登録されている発電入札グループを買電者の買電者端末BTから送信された検索条件に基づいて検索する発電入札グループ検索手段112と、この発電入札グループ検索手段112による検索結果を買電者の買電者端末BTに送信する発電入札情報送信手段113とを備えていることにより、買電者は特定の発電地点を管轄する発電入札グループを選択自在となり、買電者自らが選択した発電入札グループから電力を調達可能となるため、買電者は最も安い売値を提示した発電入札グループから電力を調達するような、買電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0121】
また、売電者の売電者端末STから入力された電力売却期間における発電入札グループの売電入札計画を作成する売電入札計画作成手段114をさらに備え、発電入札情報送信手段が113、発電入札グループ検索手段112による検索結果として売電入札計画を買電者の買電者端末BTに送信することにより、買電者が売電入札計画に基づいて発電入札グループを精査した上で発電入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0122】
近年、環境意識の高まりから、RE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)への要請が強まっているが、上述した電力取引システムでは、買電者は売電者を選択できても、電力源まで特定できなかった。
しかし、売電入札計画が、発電入札グループの電力源を特定する情報を含むことにより、買電者は特定の電力源を管轄する発電入札グループを選択可能となるため、買電者は事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーとするような電力調達を容易に実現することができる。
【0123】
また、売電入札計画に対する買電者の売電応札の情報を売電者の売電者端末STに送信する売電応札情報送信手段115と、売電者の操作に基づき選択された1つの売電応札を入札データベース23aに約定登録する買電約定登録手段116とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0124】
<3.3.売電者による電力販売>
続いて、図12乃至図18に基づいて、売電者による電力販売手順について説明する。
【0125】
まず、図12に基づいて、売電者による電力販売手順の概要について説明する。
図12は、本発明の実施例である電力取引システムを用いた売電者による電力販売手順を示すフローチャートである。
【0126】
売電者が需要入札グループを選択して電力を販売する場合、図12に示すように、まず、買電者が事前に需要入札グループを登録(ステップS200)しておいた後、売電者は需要入札グループを検索(ステップS220)して、買電入札計画に対して買電応札を行う(ステップS240)。
その後、買電者が買電応札を確認して約定処理を行う(ステップS260)。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0127】
<3.3.1.需要入札グループの登録>
まず、図13乃至図14Bに基づいて、ステップS200の買電者による需要入札グループの登録について、説明する。
図13は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの登録手順を示すフローチャートであり、図14Aおよび図14Bは需要入札グループを登録する際に買電者端末に表示される需要入札グループ設定画面の一例を示す図である。
【0128】
買電者が需要入札グループを登録する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ設定画面データを呼び出す(ステップS201)。
需要入札グループ設定画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ設定画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS202)。
これにより、買電者端末BTは、図14Aおよび図14Bに示すような需要入札グループ設定画面60を表示する(ステップS203)。
【0129】
ここで、需要入札グループ設定画面60について説明する。
需要入札グループ設定画面60は、需要入札グループ情報入力エリア61と、供給地点検索条件入力エリア62と、需要入札グループ登録エリア63と、需要量シミュレートエリア64と、買電希望単価入力エリア95と、買電入札計画表示エリア66と、買電入札計画登録ボタン67と、戻りボタン68とから構成されている。
【0130】
需要入札グループ情報入力エリア61は、入札エリア選択タブ61aと、需要入札グループ名入力欄61bとから構成されている。
なお、需要入札グループ情報入力エリア61においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ61aの選択)と需要入札グループ名の入力(需要入札グループ名入力欄61bへの入力)とが必須となっている。
【0131】
入札エリア選択タブ61aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ61aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
需要入札グループ名入力欄61bは、これから登録する需要入札グループの名称を入力する欄である。
【0132】
供給地点検索条件入力エリア62は、検索条件入力欄62aと、検索ボタン62bと、クリアボタン62cとから構成されている。
検索条件入力欄62aは、予め登録されている供給地点から所定の供給地点を検索する際のキーワードを入力する欄である。
検索ボタン62bは、検索条件入力欄62aに入力された情報に基づき、供給地点を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン62cは、検索条件入力欄62aに入力された情報を削除するボタンである。
【0133】
需要入札グループ登録エリア63は、供給地点表示欄63aと、需要入札グループ表示欄63bと、追加ボタン63cと、削除ボタン63dとから構成されている。
供給地点表示欄63aは、電力取引システム10から送信された供給地点の情報の1つである供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
需要入札グループ表示欄63bは、需要入札グループの候補を構成する供給地点の名前が1行に1供給地点ずつ表示される欄であり、各行が選択自在になっている。
追加ボタン63cは、供給地点表示欄63aで選択された供給地点を需要入札グループ表示欄63bに追加するボタンである。
削除ボタン63dは、需要入札グループ表示欄63bで選択された供給地点を需要入札グループ表示欄63bから削除するボタンである。
【0134】
需要量シミュレートエリア64は、需要量シミュレートボタン64aと、需要量シミュレート欄64bとから構成されている。
需要量シミュレートボタン64aは、需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点の電力需要予測量を合算する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
需要量シミュレート欄64bは、電力取引システム10から送信された需要入札グループ表示欄63bに表示された供給地点全体(需要入札グループ候補)の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定期間(例えば、1年間)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0135】
買電希望単価入力エリア65は、買電希望単価入力欄65aと、買電入札計画表示ボタン65bとから構成されている。
買電希望単価入力欄65aは、買電入札計画に登録したい買電希望単価を入力する欄である。
買電入札計画表示ボタン65bは、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124に需要入札グループ候補の買電入札計画を作成させて、買電者端末BTに買電入札計画を送信させる命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
【0136】
買電入札計画表示エリア66には、電力取引システム10から受信した需要入札グループ候補の買電入札計画が表示される。
買電入札計画として具体的には、需要入札グループ候補としての総電力量[MWh]、需要入札グループ候補としての平均使用電力量[kWh/日]、需要入札グループ候補としての年間最大電力[kW]、需要入札グループ候補としての買電希望単価[円/kWh]、総価格(需要入札グループ候補としての総電力量×需要入札グループ候補としての買電希望単価)[円]、需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量を特定する情報等が含まれる。
なお、ここでいう「需要入札グループ候補の需要入札グループ電力需要予測量」とは、需要入札グループを構成する各供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を合算した値であり、需要入札グループ候補としての単位時間(例えば、30分)ごとの電力需要予測量の推移である。
【0137】
買電入札計画登録ボタン67は、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループ候補を需要入札グループとして入札データベース23aに登録すると共に、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された内容、買電入札計画表示エリア66に表示された買電入札計画も需要入札グループを構成する供給地点の情報と関連付けての入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
戻りボタン68は、需要入札グループ設定画面60から他の画面(例えば、初期画面)に遷移するボタンである。
【0138】
図13に戻り、買電者による需要入札グループの登録について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ情報入力エリア61にこれから登録する需要入札グループの情報を入力する。
【0139】
次に、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10に登録する需要入札グループの候補となる供給地点を検索するための情報を検索条件入力欄62aに入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により検索ボタン62bが押下されると、買電者端末BTは供給地点検索条件入力エリア62に入力された供給地点の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS204)。
【0140】
供給地点の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う供給地点を検索(ステップS205)する。
そして、電力取引システム10は、検索結果(受信した検索条件に見合う供給地点の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS206)。
【0141】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに受信した検索条件に見合う供給地点を表示する(ステップS207)。
【0142】
次に、買電者は、買電者端末BTにより需要入札グループ登録エリア63の供給地点表示欄63aに表示された供給地点から需要入札グループを構成したい供給地点を選択し、追加ボタン63cを押す。
これにより、需要入札グループの候補が、需要入札グループ表示欄63bに表示される(ステップS208)。
【0143】
次に、買電者端末BTが、需要量をシミュレートする命令を受け付けた否かを判定する(ステップS209)。
買電者端末BTへの操作により需要量シミュレートボタン64aが押下された場合、買電者端末BTは需要量をシミュレートする命令を受け付けたとして、需要量をシミュレートする命令および需要入札グループの候補となる供給地点の情報を電力取引システム10に送信し、ステップS210に進む。
需要量シミュレートボタン64aが押下されなかった場合は、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力し、ステップS213に進む。
【0144】
ステップS210では、需要量をシミュレートする命令を受信した電力取引システム10は、電力需要予測量算出手段320により算出された各供給地点の電力需要予測量に基づき、需要入札グループの候補の需要量のシミュレーションを作成する。
そして、電力取引システム10は、そのシミュレート結果を買電者端末BTに送信する(ステップS211)。
需要入札グループの平均発電量のシミュレート結果を受信した買電者端末BTは、シミュレート結果を需要量シミュレート欄64bに表示する(ステップS212)。
そして、買電者は、買電者端末BTにより買電希望単価入力エリア65の買電希望単価入力欄65aに買電希望単価を入力する。
【0145】
買電者端末BTへの操作により買電入札計画表示ボタン65bが押下された場合、買電者端末BTは、需要入札グループ情報入力エリア61に入力された情報と、需要入札グループ表示欄63bに表示された需要入札グループの候補となる供給地点の情報と、買電希望単価入力欄65aに入力された買電希望単価とのような買電入札計画作成情報を電力取引システム10に送信する(ステップS213)。
【0146】
次に、電力取引システム10の買電入札計画作成手段124は、買電者端末BTから受信した買電入札計画作成情報から需要入札グループの候補の買電入札計画を作成し(ステップS214)、買電入札計画を買電者端末BTに送信する(ステップS215)。
【0147】
買電入札計画を電力取引システム10から受信した買電者端末BTは、買電入札計画表示エリア66に買電入札計画を表示する(ステップS216)。
買電者端末BTへの操作により買電入札計画登録ボタン67が押下されると、買電者端末BTは、買電入札計画を入札データベース23aに登録する命令を電力取引システム10に送信する(ステップS217)。
買電入札計画の登録指示を受信した電力取引システム10の需要入札グループ登録手段121は、買電者端末BTに送信した買電入札計画を需要入札グループの買電入札計画として、入札データベース23aに登録する(ステップS218)。
【0148】
<3.3.2.需要入札グループの検索および買電応札>
次に、図15および図16に基づいて、ステップS220の売電者による需要入札グループの検索およびステップS240の買電応札について、説明する。
図15は本発明の実施例である電力取引システムによる需要入札グループの検索手順を示すフローチャートであり、図16は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される需要入札グループ検索画面の一例を示す図である。
【0149】
売電者が需要入札グループを検索する際、売電者は、売電者端末STにより電力取引システム10にアクセスし、需要入札グループ検索画面データを呼び出す(ステップS221)。
需要入札グループ検索画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、需要入札グループ検索画面データを売電者端末STに検索画面データを送信する(ステップS222)。
これにより、売電者端末STは、図16に示すような需要入札グループ検索画面70を表示する(ステップS223)。
【0150】
ここで、需要入札グループ検索画面70について説明する。
需要入札グループ検索画面70は、需要入札グループ検索条件入力エリア71と、需要入札グループ表示エリア72と、需要予測量表示エリア73と、買電入札計画表示エリア74と、応札ボタン75とから構成されている。
【0151】
需要入札グループ検索条件入力エリア71は、入札エリア選択タブ71aと、総価格入力欄71bと、年間最大出力入力欄71cと、総電力量入力欄71dと、検索ボタン71eと、クリアボタン71fとから構成されている。
なお、需要入札グループ検索条件入力エリア71においては、入札エリアの指定(入札エリア選択タブ71aの選択)が必須となっている。
【0152】
入札エリア選択タブ71aは、入札エリアの候補(日本であれば、供給区域)を表示するドロップダウンリストであり、入札エリア選択タブ71aに表示された入札エリアから1つの入札エリアを選択自在となっている。
総価格入力欄71bは、需要入札グループが設定した総価格の範囲を入力する欄である。
年間最大出力入力欄71cは、需要入札グループの年間最大需要量の範囲を入力する欄である。
総電力量入力欄71dは、需要入札グループの総需要量の範囲を入力する欄である。
検索ボタン71eは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報に基づき、需要入札グループを検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン71fは、入札エリア選択タブ71aから総電力量入力欄71dに入力あるいは選択された情報を削除するボタンである。
【0153】
需要入札グループ表示エリア72には、電力取引システム10から送信された需要入札グループの情報が1行に1グループずつ表示される。
この需要入札グループ表示エリア72には、各需要入札グループの入札状況や買電入札計画が表示される。
また、需要入札グループ表示エリア72の各行は、選択自在となっている。
【0154】
需要予測量表示エリア73は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループとして供給地点全体の電力需要予測量が表示される欄であり、具体的には、所定の条件に該当する所定期間(例えば、1日)の所定時間(例えば、30分ごと)の電力需要予測量の推移などが表示される。
【0155】
買電入札計画表示エリア74には、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画が表示される。
【0156】
応札ボタン75は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループを応札対象として応札する命令を電力取引システム10に送信する。
【0157】
図15に戻り、売電者による需要入札グループの検索について更に説明する。
売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ検索条件入力エリア71に電力調達したい需要入札グループを検索するための検索条件を入力する。
【0158】
次に、売電者端末STへの操作により検索ボタン71eが押下されると、売電者端末STは需要入札グループ検索条件入力エリア71に入力された需要入札グループの検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS224)。
【0159】
需要入札グループの検索条件を受信した電力取引システム10の需要入札グループ検索手段122は、受信した検索条件に見合う需要入札グループを検索する(ステップS225)。
そして、電力取引システム10の需要入札情報送信手段123は、検索結果(検索条件に見合う需要入札グループの買電入札計画等の情報)を売電者端末STに送信する(ステップS226)。
【0160】
電力取引システム10から検索結果を受信した売電者端末STは、需要入札グループ表示エリア72に需要入札グループの情報を表示する(ステップS227)。
【0161】
次に、売電者は、売電者端末STにより需要入札グループ表示エリア72に表示された需要入札グループから応札したい需要入札グループを選択する(ステップS228)。
売電者が売電者端末STにより応札したい需要入札グループを選択すると、売電者端末STは選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を電力取引システム10に送信する(ステップS229)。
【0162】
売電者により選択された需要入札グループの需要予測量および買電入札計画の呼出命令を受信した電力取引システム10は、当該需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を売電者端末STに送信する(ステップS230)。
【0163】
需要入札グループの需要予測量および買電入札計画を受信した売電者端末STは、需要入札グループの需要予測量を需要予測量表示エリア73に表示し、買電入札計画を買電入札計画表示エリア74に表示する(ステップS231)。
【0164】
売電者端末STへの操作により、応札ボタン75が押下されると、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループの買電入札計画に応札する旨(応札指示)が電力取引システム10に送信される(ステップS241)。
そして、応札指示を受信した電力取引システム10は、需要入札グループ表示エリア72で選択された需要入札グループに応札が入った旨(買電応札があった旨)を入札データベース23aに登録する(ステップS242)。
【0165】
<3.3.3.約定処理>
次に、図17及び図18に基づいて、ステップS260の約定処理について説明する。
図10は本発明の実施例である電力取引システムによる約定手順を示すフローチャートであり、図18は需要入札グループを検索する際に買電者端末に表示される買電応札表示画面の一例を示す図である。
【0166】
買電者が買電入札計画に対する応札(買電応札)を確認する際、買電者は、買電者端末BTにより電力取引システム10にアクセスし、買電応札確認画面データを呼び出す(ステップS261)。
買電応札確認画面データの呼び出しを受信した電力取引システム10は、買電応札確認画面データを買電者端末BTに送信する(ステップS262)。
これにより、買電者端末BTは、図18に示すような買電応札確認画面80を表示する(ステップS263)。
【0167】
ここで、買電応札確認画面80について説明する。
買電応札確認画面80は、買電応札検索条件入力エリア81と、買電応札表示エリア82と、約定ボタン83とから構成されている。
【0168】
買電応札検索条件入力エリア81は、需要入札グループ名入力欄81aと、応札者名入力欄81bと、買電応札検索ボタン81cと、クリアボタン81dとから構成されている。
【0169】
需要入札グループ名入力欄81aは、登録した需要入札グループを検索する際のキーワードを入力する欄である。
応札者名入力欄81bは、応札者(売電者)を検索する際のキーワードを入力する欄である。
買電応札検索ボタン81cは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに入力された情報に基づき、買電応札を検索する命令を電力取引システム10に送信するボタンである。
クリアボタン81dは、需要入札グループ名入力欄81aおよび応札者名入力欄81bに選択された情報を削除するボタンである。
【0170】
買電応札表示エリア82には、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125から送信された買電応札の情報が1行に1件ずつ表示される。
この買電応札表示エリア82の各行には、需要入札グループ名、応札者、買電入札計画などが表示される。
また、買電応札表示エリア82の各行は、選択自在となっている。
【0171】
約定ボタン83は、買電応札表示エリア82で選択された買電応札の情報を電力取引システム10に送信する。
【0172】
図17に戻り、約定処理について更に説明する。
買電者は、買電者端末BTにより買電応札検索条件入力エリア81に買電者にとって好都合となるような買電応札を検索するための検索条件を入力する。
そして、買電者端末BTへの操作により買電応札検索ボタン81cが押下されると、買電者端末BTは買電応札検索条件入力エリア81に入力した売電応札の検索条件を電力取引システム10に送信する(ステップS264)。
【0173】
買電応札の検索条件を受信した電力取引システム10は、受信した検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札を検索する(ステップS265)。
そして、電力取引システム10の買電応札情報送信手段125は、検索結果(検索条件に見合う買電入札計画に対する買電応札の情報)を買電者端末BTに送信する(ステップS266)。
【0174】
電力取引システム10から検索結果を受信した買電者端末BTは、買電応札表示エリア82に検索条件に合致する買電応札を表示する(ステップS267)。
【0175】
買電者は、買電者端末BTにより、買電応札確認画面80の買電応札表示エリア82に表示された買電応札を確認し、最も好条件な買電応札を選択し、約定ボタン83を押す。
買電者端末BTへの操作により約定ボタン83が押下されると、買電応札表示エリア82で選択された1つの買電応札を約定対象として電力取引システム10に送信する(ステップS268)。
【0176】
そして、約定対象となる買電応札の情報を受信した電力取引システム10の売電約定登録手段216は、1つの買電応札を入札データベース23aに約定登録する(ステップS269)。
これにより、買電者と売電者との長期相対取引が完了する。
【0177】
<3.2.4.まとめ>
このように構成された本実施例の電力取引システム10は、買電者端末BTからの指示に基づいて、買電者の管轄する1以上の供給地点から構成される需要入札グループを入札データベース23aに登録する、すなわち、買電者の管轄する2以上の供給地点から構成される需要入札グループの情報を少なくとも入札データベース23aに登録する需要入札グループ登録手段121と、入札データベース23aに登録されている需要入札グループを売電者の売電者端末STから送信された検索条件に基づいて検索する需要入札グループ検索手段122と、この需要入札グループ検索手段122による検索結果を売電者の売電者端末STに送信する需要入札情報送信手段123とを備えていることにより、売電者は特定の供給地点を管轄する需要入札グループを選択自在となり、売電者自らが選択した需要入札グループから電力を購入可能となるため、売電者は最も高い買値を提示した需要入札グループを調達するような、売電者にとって自由度の高い電力調達を実現することができる。
【0178】
また、買電者の買電者端末BTから入力された電力購入期間における需要入札グループの買電入札計画を作成する買電入札計画作成手段124をさらに備え、需要入札情報送信手段123が、需要入札グループ検索手段122による検索結果として買電入札計画を売電者の売電者端末STに送信することにより、売電者が買電入札計画に基づいて需要入札グループを精査した上で需要入札グループを選択可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度を向上させることができる。
【0179】
さらに、所定時刻までの供給地点の電力実消費量を取得する電力実消費量取得手段310と、供給地点の電力実消費量に基づいて所定時間後の供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を算出する電力需要予測量算出手段320とをさらに備え、買電入札計画作成手段124の作成する買電入札計画が、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量を含むことにより、需要入札グループに属する各供給地点の単位時間ごとの電力需要予測量を合算した需要入札グループ電力需要予測量が需要入札情報送信手段により送信されるため、売電者が買電者の電力消費の時間変化の大小を確認して電力販売を実現することができる。
【0180】
また、買電入札計画に対する売電者の買電応札情報を買電者の買電者端末BTに表示する買電応札情報送信手段125と、買電者の操作に基づき選択された1つの買電応札を入札データベースに約定登録する売電約定登録手段126とをさらに備えていることにより、買電者は応札条件を確認したうえで電力を購入する売電者を選定可能となるため、買電者と売電者とのマッチング精度をさらに向上させることができる。
【0181】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0182】
例えば、一人の買電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の売電者から電力を購入してもよい。
同様に、一人の売電者が、本実施例の電力取引システムを利用して複数の買電者に電力を販売してもよい。
【0183】
例えば、本実施例において、他の電力取引システムはJEPXの電力取引システムであったが、他の電力取引システムは電力の現物取引および先渡取引を行う電力取引システムであればJEPX以外の電力取引システムであってもよい。
【0184】
例えば、電力取引システム10は、複数台の処理装置20により構成されていてもよい。
具体的には、記憶部と処理部とが別々の処理装置の構成であってもよい。
【0185】
例えば、本実施例において、電力取引システム10が行っていた処理は、売電者端末STまたは買電者端末BTが行ってもよい。
【0186】
例えば、本実施例において、「環境データ」は、気象データベースDBに保存されている気象データや予報データであったり、暦データであったりしたが、発電予測量を算出したい発電地点の周囲の状況や電力需要予測量を算出したい供給地点の周囲の状況に関するデータであれば、これに限られるものではない。
【0187】
例えば、本実施例において、種々の情報は処理装置20の記憶部23に保存されていたが、これらの情報は記憶部23への保存に限定されるものではなく、例えばブロックチェーンデータベースに保存されてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10 ・・・ 電力取引システム
100 ・・・ 長期相対取引サブシステム
110 ・・・ 買電取引コンポーネント
111 ・・・ 発電入札グループ登録手段
112 ・・・ 発電入札グループ検索手段
113 ・・・ 発電入札情報送信手段
114 ・・・ 売電入札計画作成手段
115 ・・・ 売電応札情報送信手段
116 ・・・ 買電約定登録手段
120 ・・・ 売電取引コンポーネント
121 ・・・ 需要入札グループ登録手段
122 ・・・ 需要入札グループ検索手段
123 ・・・ 需要入札情報送信手段
124 ・・・ 買電入札計画作成手段
125 ・・・ 買電応札情報送信手段
126 ・・・ 買電約定登録手段
200 ・・・ 短期需給調整サブシステム
300 ・・・ 共通サブシステム
310 ・・・ 電力実消費量取得手段
320 ・・・ 電力需要予測量算出手段
330 ・・・ 発電量取得手段
340 ・・・ 発電予測量算出手段

20 ・・・ 処理装置
21 ・・・ 通信部
22 ・・・ 入力部
23 ・・・ 記憶部
23a・・・ 入札データベース
24 ・・・ 処理部

DB ・・・ 気象データベース
NW ・・・ ネットワーク
FSM・・・ 順潮流計量メーター
RSM・・・ 逆潮流計量メーター
ES ・・・ 他の電力取引システム
BT ・・・ 買電者端末
ST ・・・ 売電者端末